JPS5923809B2 - 加熱治療器具 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、例えば癌治療等に極めて有効な加熱治療器具
に関するものである。

癌等の生体内組織を生体内において破壊するための手法
として被破壊組織のみを選択的に長時間加熱する方法（
「ハィパーサーミャー」と称される）がある。

従来、この生体内の被破壊組織のみを選択的に加熱する
手段としては、マイクロ波あるいは集束超音波等が用い
られているが、いずれも生体外部からエネルギを与え生
体内の予定個所に局部的にエネルギを集束させ加熱する
方法であるので、直径数ｍＷ１〜救国の被破壊部位にの
み正確にエネルギを集中させることは非常に困難である
。

そのため、所望とする被破壊部位以外の部位を損傷して
しまう危険もある。その上加熱偏度を長時間制御するこ
とも容易ではない。ところで、超音波診断装置によるい
わゆるリアルタイム断層像を観察しながら生体内に穿刺
針を刺入し生体内の直径数ｒｌｔ３前後あるいはそれ以
上の特定の患部に正確に針先を進め前記特定患部の組織
をとり出して検査に供する「バイオプシイ（穿刺月やこ
れと略同様にして生体液を抽出する「ドレナージ」は現
在広く行なわれている。

このようなバイオプシイ等において、例えば、穿刺針を
超音波断層像を見ながら針先が正確に患部に位置するよ
うに刺入するためには穿刺針が常に超音波断層像の撮像
領域内に位置し断層像によつて観察可能な状態で刺入さ
れなければならない。このため超音波プローブに穿刺針
のガイドを設けたものが用いられており、これによつて
穿刺針等の先端を正確に所望部位に位置させることを可
能としている。本発明は、このような背景に基づいてな
されたもので、穿刺針等と同様の針状体の先端部または
その近傍に通電により略一定の濃度で発熱させることの
可能な発熱素子を設けることにより、超音波断層像をみ
ながら針状態を所望の被破壊部位に刺入し前記発熱素子
に通電して当該部位を局部的に加熱し得るようにして、
所望の特定部位のみを正確に加熱することを可能とする
加熱治療器具を提供することを目的としている。

以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。

第１図において、１は針状体としての例えば穿刺用の中
空筒状の針であり、この針１の中空部の例えば先端部近
傍に発熱素子としての正特性サーミスタ（ＰＯｓｉｔｉ
ｖｅｔｅｍｅｒａｔｕｒｅｃＯｅｆｆｉｃｉｅｎｔｔｈ
−ＥｒｍｉｓｔＯｒ−ＰＴＣ：商品名）２を装着する。

この状態は第２図に断面図として詳細に示されている。
そして、この正特性サーミスタ２に通電するための電源
Ｅからの給電路を形成するリード線３（３ａ，３ｂ）は
正特性サーミスタ２から針１の中空部を通つて基端部よ
り外部に導出されている。前記正特性サーミスタは詳細
は後述するが、予定の温度で定温度発熱するものが選定
される。このようにして、加熱治療器具ＨＮが構成され
る。次にこのような構成の加熱治療器具ＨＮを用いた治
療について説明する。

第３図に示すように生体Ｂの体表に穿刺用針ガイドＮＯ
．付きの超音波プローブＰを当接し、図示していない超
音波診断装置本体により断層像を観察しながら加熱治療
器具ＨＮを前記超音波プローブＰの針ガイドＮＧより生
体Ｂ内に刺入し、加熱治療器具ＨＮの先端部を対象部位
ＴＥに正しく位置させる。

この状態で加熱治療器具？にリード線３を介して電源Ｅ
から給電すると加熱治療器具先端に埋設された正特性サ
ーミスタ２が予定温度で発熱し、該加熱治療器具ＨＮの
先端部近傍を前記予定温度に加熱する。正特性サーミス
タ２は異なる周囲温度Ｔ１ 〜Ｔ４（Ｔ，＜Ｔ２＜Ｔ，
Ｔ４）に対して第４図に示すような電圧−電流特性を示
し、略一定の消費電力を示す定電力領域ＰＳＲにおいて
例えば一定の電圧Ｖ，を印加し、周囲温度Ｔ３であると
１３なる ．電流が流れこのときの消費電力はＶ，×１
３となる。

そして、この状態で周囲温度が下がつてＴ１となつた場
合電流はＩ，に増加して消費電力がＶ，×工，と増加し
て、自動的に淵度補償するように動作する。このため、
正特性サーミスタ２に ・おける濶度は略一定に保たれ
る。また、ある周囲温度において電圧が下がつた場合は
電流が増加し、電圧が上がつた場合は電流が減少してそ
の消費電力は略一定に保たれ、電圧変動に無関係に一定
温度の発熱を行なう。上記正特性サーミスタの略一定の
発熱淵度は素子材料の組成によつて定まるキュリー温度
よりわずかに高い温度であ沙、素子のキュリー温度は例
えばＢａＴｉＯ３系のもので−１００℃前後から＋３０
０℃前後までの広範囲において選定することができる。

従つて、予め定めた加熱すべき温度に合つた正特性サー
ミスタ２を選定すれば、針１の先端部周辺の特定部位の
みを第５図に示すように長時間予定の略一定淵度に局部
加熱することができる。

一般に癌組織の破壊には癌組織の温度を例えば、数日間
〜数週間の間４３±１℃に保てぱよい（癌の種類によつ
て加熱温度および期間がこれとは多少異なる場合もある
）といわれているので、この温度に応じた正特性サーミ
スタ２を作ればよい。なお、本発明は、上述し且つ図面
に示した実施例にのみ限定されることなく、その要旨を
変更しない範囲内で種々変形して実施することができる
。例えば、上記実施例においては、針状体として穿刺用
の針を流用しその中空部に発熱素子および給電路を配設
するようにしたが、他の例えば注射用の針を流用しても
よく、別途に略同様な形状を有する針状体を作り同時に
発熱素子、給電路を埋設するようにしてもよい。また、
発熱素子としても正特性サーミスタが（上述したその特
性によつて）最も好ましいと考えられる力ζ外部からの
通電によつて略定温度（許容誤差内）に発熱させること
の可能な発熱素子であれば他の素子でもよい。

もちろん、癌治療の場合は４３±１℃に予定部位を加熱
すればよいと考えられるが、他の治療を目的とする場合
もそれに応じた予定塩度で特定部位を局部加熱すること
ができるので、正確な局部加熱治療が行なえる。

以上、詳述したように、本発明によれば、所望の特定部
位のみを正確に加熱することの可能な加熱治療器具を提
供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の概略的構成を示す図、第２
図はその要部を詳細に説明するための図、第３図〜第５
図は同実施例の作用効果を説明するための図である。 １ ・・・針、２・・・正特性サーミスタ、３・・・リ
ード線。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 生体内に刺入し得るように形成した針状体と、この
   針状体の先端部またはその近傍に埋設され通電により略
   一定の温度で発熱させることの可能な発熱素子と、この
   発熱素子に外部から給電するため前記針状体内部を通し
   て配設された給電路とを具備してなる加熱治療器具。 ２ 発熱素子は正特性サーミスタであることを特徴とす
   る特許請求の範囲第１項記載の加熱治療器具。 ３ 針状体は、穿刺用または注射用の針を流用したこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項に記載
   の加熱治療器具。