JPS59218B2 - ねじ付歯髄用安定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は弛んだ歯の孔を介し患者の口の顎骨内に挿入し
歯を安定させる歯槽骨用安定装置、特にねじ付自己穿刺
歯槽骨用安定装置に関する。

歯槽骨用安定装置の効力は、本質的に３つの考察に依存
する。

第１に、安定装置は効果的な尖端密閉（すなわち、安定
装置と孔を形成する歯の基部との間の密閉）がなされね
ばならない。

第２に、安定装置は歯肉に効果的に保持され歯を安定装
置に固定しなければならない。

第３に、安定装置は頂点をこえて顎骨内に効果的に保持
され安定装置を顎骨に固定しなければならない。

臨床上実際に現在使用されている歯槽骨用安定装置は、
平滑テーパ付安定装置とねじ付自己穿刺安定装置との二
種類がある。

平滑テーパ付安定装置では、尖端密閉の形成は頂点にお
けるセメント塗布着床の効果的な楔止めいかんで定まり
、歯からの着床後退抵抗は使用される歯用セメントのせ
ん断性いかんで定まり、顎骨内への安定装置保持は安定
装置のまわりの膠原質靭帯の形成いかんで定まる。

平滑テーパ付安定装置は３つの考察分野すべてに欠如し
ている。

ねじ付自己穿刺歯槽骨用安定装置は、ピッチがきわめて
短かいねじを利用して、穿刺工程申出の歯牙質内への挿
入するのに要するトルクを小さくする。

従って、このねじは典型的に、断面が■形状のランドを
形成し、あるとすれば、わずかの溝区域を介在している
。

このような安定装置は尖端孔に近い歯の一部分にねじを
切り、従って確実な尖端密閉と歯からの後退力にたいす
る大きな抵抗とが得られる。

実際に、歯試料に、ねじ付自己穿刺安定装置が正しく取
付けられその後除去されると、歯の孔の内面を詳しく調
べてみれば判るように、歯牙質にねじがきざまれること
になる。

従って、ねじ付自己穿刺安定装置は最初の２つの考察面
（尖端密閉と菌内保持）では高く評価されるが、第３の
考察面（すなわち頂点をこえる顎骨内への安定装置の保
持）では、平滑テーパ付安定装置に優るものは、あった
としても少ない。

安定装置のねじ部に近接する安定装置周囲の膠原質靭帯
の創成は最小であり、事実、一定時間をこえると靭帯は
安定装置のねじ切り面から後退しやすい。

さらに複雑になるのは歯が弛いだけでなく、かつまた冠
状に欠けてしまい人造上を安定した歯の根に固定しなけ
ればならない場合である。

この場合、普通、平滑テーパ付安定装置を使用し、この
安定装置の上セグメントを切り離して除去し、底部セグ
メントを残して歯を安定するようにしている。

その後、金柱（ねじ付の場合とねじ無の場合とある）を
頭部を除去した安定装置の上方の歯の根の上部分にセメ
ント付けし、金柱の上部分を人造上の基部または固定点
として用いる。

この方法は、南向での金柱の保持不良、金柱のコス十高
、および安定装置の切断と金柱挿入とに要する余分の労
力等いくつかの欠点を有する。

従って、本発明の目的は安定装置を頂点をこえて顎骨内
に良好に保持しうる、ねじ付自己穿刺歯槽骨用安定装置
を提供することにある。

他の目的は、顎骨内に良好に保持しうると共に効果的な
尖端密閉と効果的な菌内保持が得られる安定装置を提供
することにある。

さらに他の目的は、折れた歯のために使用され、人造上
を受は入れるようにした頭部を有する安定装置を提供す
ることにある。

上記および関連の諸口的は、安定装置周囲の靭帯を強化
し、これによりその保持と安定装置に近接した骨の再創
成とを向上させるねじ設計を有する、ねじ付自己穿刺歯
槽骨用安定装置によって達成される。

一般に、弛んだ歯の孔を介して患者の口の顎骨に挿入し
歯を安定させるねじ付自己穿刺歯槽骨用安定装置は細長
貫通部材を備えている。

このような安定装置では通常みられるように、安定装置
の冠状端部ば（穿刺および挿入工程中）歯科医が手で回
動するようにした頭部を備え、また、尖端部は複数個の
ランドと介在溝とを形成した雄ねじを付した軸を備えて
いる。

本発明の特徴によれば、複数個の溝の縦方向の高さく軸
の軸線に平行して測定した）は少なくとも０．２０ミリ
メートル、なるべくは０．２５〜０．３８ミＩＪメート
ルである。

前述のねじ設計によれば、安定装置周囲の靭帯を創成さ
せるためのランド間の適切な溝面が得られる。

溝区域内に靭帯を創成してしまえば、安定装置のきわめ
て小さい縦方向運動によりランド間（溝内）の靭帯部分
を強化し、かつそれに働きかけ、それで靭帯の保持およ
び創成ならびに骨創成をさらに助長する。

なるべく、ねじの複数個のランドにはそれらの周縁に沿
って延長する浅みぞを設けるのが良く、これら浅みぞは
安定装置の表面積、従って安定装置と靭帯との接触面積
を増大することによって安定装置周囲の靭帯の強化およ
びそれへの働きかけを向上させる。

歯の上部が欠けている場合の使用に適する安定装置の実
施例において、頭部は軸と一体をなす柱と、この柱に着
脱可能に着座する回転挿入具とを備えている。

この柱は回転挿入具と係合しこれと一緒に回転し、また
挿入具が柱から離脱した後そのまわりに人造上を受は入
れるように構成されている。

なるべく、柱はその冠状端部に向けて傾斜した実質的に
平面状の１対の対向側面を有し、挿入具は柱の冠状端部
を受は入れるようにしたみぞを形成する対応して傾斜し
た１対の対向面を有する０ つぎに、図面とくに第１図および第２図を参照すると、
総括的に符号１０で表わされ、弛んだ歯１６の孔１４か
ら患者の口の顎骨１２内に挿入して歯１６を安定させる
ようにしたねじ付自己穿刺歯槽骨安定装置が示されてい
る。

この安定装置１０は口腔移植学で普通使用される剛性な
生物適合金属、たとえばチタンで作られる。

さらに詳しく言えば、安定装置１０は細長貫通部材２０
を備え、この部材はその冠状端部２１に近接して、自己
穿刺および後続挿入工程中、手動回転されるものであっ
て手で把り易いように大きさの異なる３つの部分から成
る如くきざみを付されたきざみ何頭部２２を有し、かつ
、その尖端部２３に近接して、総括的に符号２５で表わ
した雄ねじを有し、突出ランド２６を形成させ溝２８を
介在させた、頭部２２よりも小径の軸２４を有する。

本発明の安定装置１０ば、溝２８の縦方向の高さく第１
図で符号Ａで表わす）を少なくとも０．２０ミリメート
ル、なるべくは０．２５〜０．３８ミリメートルとした
ねじ２５を特徴とする。

溝２８はなるべく、実質的に縦方向高さＡの全長にわた
って軸２４の縦軸線に実質的に平行に延長する。

しかして、適切な間隔がランド２６の中間に設けられ、
そこに安定装置周囲の靭帯３０（第５図）を創成する。

安定装置１０を上下に移動すると、ランド２６の中間の
靭帯３０の創成部分が励起されて強化され、さらに靭帯
の創成を助長する。

靭帯３０が、言わば安定装置を顎骨１２内に効果的に固
定すると、全体的効果が高められて安定装置１０を顎骨
１２内に保持する。

縦方向の高さが０．２０ミリメートル以下の溝では、顎
骨１２と軸２４との中間に十分な安定装置周囲の靭帯３
０が創成されないが、それは靭帯３０は密接したランド
の中間には創成できないからである。

なお、溝２８の縦方向の高さは一定の最小値以下になら
ないことが要求される結果、ねじ２５のピッチ（すなわ
ち、ランドからランドへの縦方向の高さ）は本発明の安
定装置において普通望ましいと考えられているピッチよ
りも少なくともわずかに大きくなりやすい。

従来、ねじの設計を決めるのは、主として穿刺作動に必
要な回転力、すなわちトルクを低ピツチのねじを使用し
て減することによって穿刺作動を促進するという見地に
もとすいていた（より多くの数の回転を要したが安定装
置を一回転させるための所要回転力、すなわちトルクは
小さかった）。

本発明による安定装置のねじの設計により、溝の縦方向
の高さが従来の安定装置のねじの設計に使用された高さ
よりも大きいことによる利点が明かされ、それにより穿
刺が容易である考えと、顎骨１２内での保持が向上され
る考えとの間の平衡点が提示される。

ランド２６には、その周縁に沿って伸びる浅みぞ３２を
設けたので、ランド２６の横断面は一般にＷ形状となる
。

ランド２６にはみぞ３２があるので、ランド２６の表面
積、従ってランド２６と安定装置周囲の靭帯３０との接
触面積は増大する。

この接触面積の増大により、靭帯３０は安定装置１０部
分の運動により生ずるより大きな作用をうける。

安定装置１０の使用に先だって、歯１６の冠状部分を貫
いて歯の根の長軸線に沿い孔１４を設ける。

Ｘ線をかけて、安定装置１０を収容しうる「有効骨」の
深さを決定する。

この有効骨は尖端孔、すなわち頂点４０と図示せざる対
向する皮質板の手前２〜３ミリメートルの所との間の骨
である。

生物力学的準備を含む所定の歯の内部処置が終ると、孔
１４は「充てん」準備ができる。

手動または機械的リーマを使用して、予め選択した大き
さの安定装置が入るよう孔１４を拡げ、また歯用ドリル
を使用して頂点４０に近接した孔１４の缶壁を正確に平
行にさせるとともに、頂点４０をこえて骨１２内に安定
装置の受は入れ場所をつくる。

つぎに、第３図において、放射線写真の活性放射線を透
さない材料から成り、冠状端部に近接したきざみ何頭部
４４と、尖端部に近接した既知の縦方向長さを有する明
確に区画化されたセグメント４６（典型的にはミリメー
トル単位のセグメント）とを有する測定棒４２を顎骨内
の受は入れ場所に導入して放射線写真をとる。

この放射線写真から尖端制御点が決定できるとともに、
尖端点から下の使用しようとする安定装置の長さおよび
尖端点から歯１６の冠状部分までの縦方向長さの所与の
単位による距離が決定される。

必要に応じて、さらに孔あけして受入れ場所の深さを変
えることができる。

測定棒４２を取り出した後、予め選択した安定装置１０
を頂点４０を貫いて約２ミリメートル手で回動して歯１
６の歯牙質を貫通させた後、安定装置１０を反転して出
して洗浄した後乾燥させる。

この時点で、孔１４を公知の方法、たとえばペーパポイ
ントを使用して清掃しそして乾燥させる。

ついで、セメント塗布用のガイドとして尖端制御点を用
いてセメント４８を安定装置１０に塗布する。

尖端セメントは、尖端制御点を冠状に３ミリメートル被
覆して、安定装置１０上に塗布され、充てんセメントは
安定装置軸２４の冠状残部に塗布する。

ついで安定装置１０をゆっくり手で回動して着座させる
。

セメント４８が硬化した後、使い捨て頭部２２および軸
２４の不要部分を、たとえばドリルで切断し、第２図に
示すような頭部が切られた安定装置２０を残す。

ついで歯１６の孔１４は通常の口腔移植法に従って密封
されることになる。

つぎに、第６図および第７図を参照すると、歯１６の上
部が欠けるかまたは無くなり、結局は人造上またはキャ
ップ５０（第７図に一点鎖線で示す）と交換される場合
に使用する安定装置１０′が示されている。

この安定装置１０′は第１図および第２図に示した安定
装置１０と頭部２２を除いてあらゆる点で同じである。

この実施例において、頭部は柱５２から成り、この柱は
軸２４と一体をなしかつその周囲に人造上５０の内部を
受は入れるようにしである。

貫通部材２０の冠状端部２１を形成する２対の対向面か
ら成る柱５２の各側面は実質的に平面をなし、各対の対
向面は冠状端部２１に向けて次第に細くなるようにテー
パされている。

いくつかの等間隔に設けた浅溝５４が測定基準として柱
５２の周囲に沿って水平に伸びている。

柱５２の２対の対向面は図示例では実質的に平面をなし
、内方テーパ付きとしたが、平面とする必要のあるのは
１対の柱側面、なるべくは長い側面だけである。

頭部２２はさらに、符号６０で表わす回転挿入具を含み
、この挿入具は手で把み易くしてその回転を容易にする
ためのきざみ村上部分６２と、１対の垂下脚６４とから
成る。

これら脚６４の内面は実質的に平面をなし冠状端部２１
に向けてテーパされて、その間に柱５２を受は入れるよ
うにしたみぞを形成する。

挿入具６０が柱５２に正しく着座すると、脚６４の傾斜
面は対応の柱５２の１対の傾斜面に隣接するので、挿入
具６０の上部分６２が回転すると、これに応じて柱５２
を回転させ、従って安定装置１０′を回転させる。

第６図および第７図の安定装置１０′は第１図および第
２図の安定装置１０と同じ態様で使用されるが、ただ、
その余分の長さは挿入およびセメント塗布前に尖端部２
３から除去され、柱５２の尖端部を平らに削られた歯の
根の面に着座できるようにした点が異なる。

挿入後に挿入具６２を取り去ると柱５２が現われる。

セメント４８の硬化後、従来の歯科法により人造上５０
を柱５２に直接固定して、安定装置の頭部の除去および
金柱の挿入を要する高価で手間のかかる従来の方法を用
いないで、人造上５０を歯１６に取り付けることができ
る。

本発明による安定装置から生ずる利点は第４図および第
５図を比較すれば容易に理解でき、これら図面は、それ
ぞれ挿入後間もなくと回復後（すなわち、挿入後４〜６
週間）との、安定装置の極く周囲の情況を示す。

第４図において、安定装置１０の下端に近接した（尖端
孔４０の下方）骨１２は概ね安定装置１０の周囲と一致
するが比較的薄くかつ弱い。

第５図において、安定装置周囲の靭帯３０は骨１２と溝
２８の中間に創成されている。

溝２８内およびランド２６の中間への陥入により、また
浅みぞ３２による接触面積の増大により、例えばものを
食べている際に顎骨１２内で安安定装置が若干量くり返
し動き、これの周囲の靭帯３０が連続的に刺激されるゆ
えに、溝２Ｂに接近して伸びている骨１２を厚くし、か
つ強化することになる。

従って、本発明による安定装置は確実な尖端密閉を形成
し安定装置を菌内に適当に保持させるだけでなく、かつ
また、従来の安定装置では今までなし得なかった顎骨内
への安定装置の効果的保持が可能となる。

以上本発明の実施例を図示かつ詳細に説明したので、本
発明について種々の変型および改良は当業者により容易
になしうる。

従って、本発明の精神および範囲は特許請求の範囲によ
ってのみ限定されるが、上述の開示によっては限定され
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるねじ付自己穿刺歯槽骨用安定装置
の部分側面図、第２図は第１図の安定装置を菌内に挿入
した後、安定装置の頭部を除去した歯および周囲の情況
を示す一部断面にした正面図、第３図は安定装置の挿入
手順で有用な測定棒の部分正面図、第４図は第１図の安
定装置およびその挿入後間もなくの、すぐ近くの様子を
示す一部断面にした部分正面図、第５図は第１図の安定
装置およびその安定装置周囲の靭帯創成後の、すぐ近く
の情況ならびに周囲の骨の再創成を示す一部断面にした
部分正面図、第６図は着脱可能な挿入具を含み本発明に
よる安定装置の分解図、第１図は人造上を柱に固定して
一点鎖線で示し、第６図の安定装置およびその周囲の最
終的情況を示す一部断面にした正面図である。 主要部分の符号の説明、縦方向長さ・・・・・・Ａ、安
定装置・・・・・・１０，１０／、顎骨・・・・・・１
２、孔・・・・・・１４、歯・・・・・・１６、細長貫
通部材・・・・・・２０、冠状端部・・・・・・２１、
きざみ何頭部・・・・・・２２、４４、尖端部・・・・
・・２３、軸・・・・・・２４、雄ねじ・・・・・・２
５、突出ランド・・・・・・２６、溝・・・・・・２８
、浅みぞ・・・・・・３２．５４、柱・・・・・・５２
、回転挿入具・・・・・・６０、垂下脚・・・・・・６
４゜

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 冠状端部近くの手動回転のための頭部と、複数個の
   ランドおよび溝を形成している尖端部近くの雄ねじ材軸
   とを有する細長貫通部材を備えるねじ付歯槽骨用安定装
   置であって、弛んだ歯の孔を介して患者の口の顎骨内に
   挿入するねじ付歯槽骨用安定装置において、前記複数個
   のランドはその周縁に沿って延長する浅みぞを有し、前
   記複数個の溝の縦方向の高さは少なくとも０．２０ミｌ
   Ｊメートルであることを特徴とする安定装置。 ２ 前記溝の中間の前記ランド各々は、その周縁に沿っ
   て延長する浅みぞを有することを特徴とする特許請求の
   範囲第１項記載の安定装置。 ３ 前記細長貫通部材は、一体単一構造であることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項または第２項記載の安定
   装置 ４ 前記頭部は、前記雄ねじ材軸と一体になり当該柱の
   まわりに人造上の内部を受は入れるようにされた柱と、
   前記柱に離脱可能に着座され一緒に前記柱を回転させる
   回転挿入具とを有することを特徴とする特許請求の範囲
   第１項または第２項記載の安定装置 ５ 前記雄ねじ材軸は一条雄ねじを切った軸から成るこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第４項記載の安定装置。 ６ 前記雄ねじ材軸の直径を一定としたことを特徴とす
   る特許請求の範囲第４項または第５項記載の安定装置。