JPS592136Y2 - オ−プンエンド精紡機におけるピン式開繊ロ−ラ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はオープンエンド精紡機におけるピン式開繊ロー
ラに関するもので、特に把持されつつ供給されるスライ
バーの繊維密度の特性に対して均等な開繊作用を行ない
うるよう、ピンの働き角の分布について配慮したもので
ある。

オープンエンド精紡機の一形態として、第１図に示すよ
うに、集束器１で集束されたスライバーＳを、供給ロー
ラ２およびこれに圧接するブレツサー３との間で把持し
つつ開繊ローラ４による開繊域Ａに送り込み、開繊繊維
を移送域Ｂから輸送路５へ移し、さらに高速回転紡糸室
６内へ送り込み、ここで形成された糸を導糸管７に通し
て外部へ引き出すようにしたものがある。

この形態の場合において、プレツサー３はスプリング８
の加圧力により供給ローラ２側へ押し付けられるので、
第２図に示すように、供給ローラ２、プレフサ−３間で
把持されつつ送り出されるスライバーＳの断面形状は偏
平状であり、しかも供給ローラ２軸方向についてスライ
バーＳの両端部ａ、ａに近いほど繊維密度は小で中央部
Ｏでは大となる。

開繊ローラ４は通常、メタリックワイヤを周面に一定ピ
ッチで巻き付けたものが使用されているため、繊維密度
に差のある偏平形状スライバーＳがメタリックワイヤの
作用を受ける場合、開繊作用に斑が生ずる。

すなわち両端部ａ、ａでは一定開繊力に対して繊維本数
が少ないため、各繊維は過度の開繊作用を受け、繊維の
損傷、切断を生じがちである。

逆にスライバー中央部Ｏでは一定開繊力に対して繊維本
数が多いため、各繊維への開繊作用は不充分となり、ス
ラブ、ネップの発生を招きがちである。

加えてメタリックワイヤは開繊ローラ４への巻き付けの
ための可撓性を要求される結果、歯先の硬化処理に限界
があり、スライバー中央部Ｏにおける開繊効果を充分得
るべく一層高速に回転させた場合、メタリックワイヤ歯
先の早期摩耗という現象を呈する。

ところでツタリックワイヤが耐摩耗性に難点があるとこ
ろから、これを改善する観点にて高硬度のピン９を周面
に植設したピン式開繊ローラ４が開発されるようになっ
たが、本考案者等はピン９を自由な配置で植設しえて、
しかもピン９の角度も自由に設定しうる事実に着眼し、
ピン９の働き角をローラ４の軸心方向について変化させ
ることにより、前記偏平形状スライダーＳに対して均等
な開繊作用を及ぼしうるようにした。

第３図および第４図において、開繊ローラ４の円周面に
均等密度で植設されたピン９は、ローラ４軸心方向につ
いて両端部領域Ｉ、■のものは働き角α、δが比較的大
きく、中央部領域ＩＩのものは働き角βが比較的小さく
なっている。

このため供給ローラ２とプレフサ−３とで把持され偏平
形状にされたスライダーＳは、小さい繊維密度の両端部
ａ、ａに対しては大きい働き角α、δをもつピン９が作
用を及ぼすようになるので、繊維を損傷、切断すること
なくかつ開繊作用も充分発揮し、また大きい繊維密度の
中央部Ｏに対しては小さい働き角βをもつピン９が作用
し、大きな開繊力を発揮するので、充分な開繊効果が得
られる。

要するにスライバーＳ゛の両端部ａ、ａに対しては開繊
力を弱めるためにピン９の働き角を大きくシ、中央部Ｏ
に対しては開繊力を強めるためにピン９の働き角を小さ
くしたものである。

両端部領域ＩＩでのピン働き角α、δはａ＝δでもよく
、図示のようにα〉δでも、αくδでもよい。

しかしα〉β、δ〉βの関係は保つ必要がある。

そしてこのような働き角を得る手段として、第４図に示
すように作用面の角度が異なるピン９を、ローラ４周面
接線に対して全て同一角度に植設し、結局α〉β、δ〉
βの側き角を得る方法があり、また第５図に示すように
両端部領域Ｉ、Ｉおよび中央部領域ＩＩにおけるピン植
設孔を予め異なる角度に穿設しておき、これにピン９を
植設するだけでα〉β、δ〉βの働き角を得る方法を採
用してもよい。

働き角（α、β、δ）を形成する各ピン９の配列分布は
両端部領域１，１の１〜数列分について働き角α、δと
し、残りの中央部領域ＩＩについて小さい働き角βとし
てもよいし、両端部から中央部に向かって徐々に働き角
の小さくなるピン９を植設するようにしてもよい。

太いスライバーＳの開繊については把持される偏平形状
スライバーの中央部Ｏでの繊維密度が極く大きいので、
働き角βのかなり小さなピン９を使用するとともに、回
転数を増すことによって充分な開繊効果を発揮しうるが
、この際のピン９の摩耗は高硬度処理によって充分回避
しうる。

しかも小さい角βのためにピン９の基部まで繊維が押し
下げられてもピン特性により繊維が沈積することなく輸
送路５へ移される。

従来のメタリックワイヤ弐開繊ローラであると、働き角
の異なるワイヤを両端部領域と中央部領域とに分けて別
々に巻き付ける必要があるので、それぞれのワイヤの固
定端部がローラ円周面の数個所に存在し、繊維の引掛り
の原因となり好ましくない。

しかも働き角を小さくするほどワイヤ基部に付着して沈
積しやすく、輸送路５へ運ばれ難くなる。

本考案によるピン式開繊ローラによれば、自由な配置で
植設しうるピンについて、開繊作用を受けるスライバー
の繊維密度に対応させて働き角を変えたため、繊維の損
傷、切断を伴なうことなく開繊作用がスライバーの金山
にわたって域等に行なわれ、しかも繊維密度の大きい個
所に対する働き角の小さいピンの作用によって、多くの
繊維がピン基部へ沈下するにもかかわらず、ピンの特性
により沈積したままになることがないという利点があり
、結局長期間の効果的な開繊作用が期待できるものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案開繊ローラが採用されるオープンエンド
精紡機の平面断面図、第２図は把持状態のスライバー断
面形状を示す正面断面図、第３図はピンの植設状態を示
す展開図、第４図は第３図Ｘ−Ｘ断面図、第５図は他の
実施例による第３図Ｘ−Ｘ断面図である。 ２・・・・・・供給ローラ、３・・・・・・プレフサ−
１４・・・・・・開繊ローラ、Ｓ・・・・・・スライバ
ー、■・・・・・・開繊ローラ両端部領域、ＩＩ・・・
・・・開繊ローラ中央部領域。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 把持状態のスライバーについて開繊作用を行なうオープ
   ンエンド精紡機において、軸心方向について中央部領域
   のピンの働き角βは小で両端部領域のピンの働き角α、
   δは大となるように、少なくとも２種類の働き角のピン
   を円周面に植設したことを特徴とするピン式開繊ローラ
   。