JPS5919763Y2 - ロ−タリピストンエンジンのアペツクスシ−ル装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、ロータハウジング内周面に摺接して隣接作動
室間を相互にシールするためロータの頂辺に沿って設け
たシール溝に装着するアペックスシール装置の改良に関
する。

従来より、第１図および第２図に示すように、アペック
スシール本体をその長手方向端部においてロータ３の回
転方向に対して略平行であって、かつ軸方向に対して傾
斜した第１斜面Ａで分割面１ａが内周方向に向くメイン
ピース１と分割面２ａが外周方向に向く小片のサイドピ
ース２とに分割するとともに、ロータ３の軸方向に対し
て略平行であって、かつ回転方向（第２図中矢印）に対
して傾斜した第２斜面Ｂでツインピース１を分割面４ｂ
がロータ３の回転方向に向く上部材４と分割面５ｂがロ
ータ３の反回転方向に向く底部材５とに分割した３分割
型のアペックスシール装置が提案されている。

この型式のアペックスシール装置は、シール溝６内にお
いて底部材５の脚部５Ｃとサイドピース２の脚部２ｂと
の間に装着した５型形状のスプリング７によって、ロー
タハウジング８の内周面８ａおよびロータハウジング８
の両側に配置されるサイドハウジング９，９の摺動面９
ａ、９ａに同時にアペックスシールを圧接させることが
できるため、−次面シールすなわち、内周面８ａおよび
摺動面９ａに対するアペックスシールのシール性を良好
なものとすることができるうえ、第２斜面Ｂのくさび面
効果により、上部材４の背面４Ｃおよび底部材５の前面
５ｆを夫々シール溝６を画成する両壁面６ｂ、６ｆに夫
々圧接させることができるため、シール溝６を通して相
隣る作動室１１゜１２間に吹抜けようとするガスに対す
る二次面シールすなわち、シール溝６に対するアペック
スシールのシール性をもきわめて良好なものとすること
か゛できる利点がある。

しかしながら、その反面、アペックスシールを３分割構
造とするため、第１斜面Ａおよび第２斜面Ｂにおける二
次面シールすなわち、サイドピース２、上部材４、底部
材５間のシール性を確保しなければならず、第１斜面Ａ
、第２斜面Ｂにおける精度管理、具体的には、サイドピ
ース２に対する上部材４および底部材５の密着度、上部
材４と底部材５との密着度を高精度に管理する必要があ
り、加工費が著しく高価となり、製品管理が困難となる
問題がある。

とくに第１斜面Ａにおける二次面シールに関しては、第
３図に示すように、サイドピース２の分割面２ａに対し
、上部材４より底部材５が相対的に僅かでも長尺となる
ような加工誤差が生じた場合には、分割面２ａにおいて
底部材５のみがサイドピース２に密着する反面、上部材
４とサイドピース２との間には僅かな間隙Ｃが形成され
、この間隙Ｃを通して、隣接作動室間に直接的にガスが
吹抜け、二次面シール性能自体が著しく悪化するといっ
た問題を生じる。

本考案は、か・る問題を解消すべくなされたものであっ
て、上部材と底部材との間に存在しうる製品加工時の最
大許容誤差以上の有意な長さだけ、上部材のサイドピー
スに対する長さを、底部材のそれに比して相対的に長く
形成し、換言すれば、底部材とサイドピースとの間に間
隙を形成し、多少製品のバラツキがあっても、必らず上
部材をサイドピースに密着させる構造とすることにより
、上部材とサイドピースとの二次面シールを良好なもの
とし、直接的なガスの吹抜けを防止することができるロ
ータリピストンエンジンのアペックスシール装置を提供
することを目的としている。

以下、より具体的に本考案の一実施例について第４図に
より説明する。

いま、アペックスシール装置の装着時に、メインピース
１のサイドピース２どの分割面１ａ、すなわち上部材４
および底部材５の各分割面４ａ。

５ａが、サイドピース２の分割面２ａ、換言すれば第１
斜面Ａに密着するために必要な上部材４および底部材５
の長手方向長さく第１斜面Ａについて夫々平均した長さ
）をＳｌ、Ｓ２としたとき、第４図に示すように、上部
材４の長手方向長さＳ′１は、サイドピース２に密着さ
せるのに必要な長さ８に等しく （Ｓ’、＝Ｓ、）設定
する一方、底部材５の長手方向長さＳ′２をサイドピー
ス２に密着させるのに必要な長さＳ２より予しめ一定値
△だけ短く（Ｓ′２＝８２−△）設定する。

換言すれば、底部材５の分割面５ａとサイドピース２の
分割面２ａとの間に一定値△の間隙りが形成されるよう
にＳ′□。

Ｓ′２を設定する。

この値△は、上部材４が加工時の許容誤差△Ｓ′１の範
囲で短く形成され（Ｓ′１−△Ｓ′１）、かつ底部材５
が加工時の許容誤差△Ｓ′２の範囲で長く形成された（
Ｓ′２＋△Ｓ′２）のときにも、底部材５がサイドピー
ス２に必ず当接して上部材４とサイドピース２との間に
間隙を生じることのないような適当な値に（△≧△Ｓ′
１＋△Ｓ′２）設定し、製品のバラツキがあっても、上
部材４の分割面４ａがサイドピース２の分割面２ａに常
に密着するようにしている。

このようにした場合には、上部材４とサイドピース２と
の間の二次面シールは完全なものに維持することができ
、底部材５とサイドピース２との間に生じうる間隙りは
、シール溝６内に存在するため、第３図について説明し
た直接的なガスの吹抜けを生ずることはなく、二次面シ
ールが著しく低下することはない。

なお、第４図において、第１図〜第３図に示したものと
同じものは、同一符号を付して説明を省略する。

以上説明したことから明らかなように、本考案は、３分
割型のアベックスンールにおいて、底部材の長さを予し
め有意の量だけ短尺に形成することにより、上部材がサ
イドピースに常にもしくは優先的に密着するような構造
を有するアペックスシール装置を提供するものである。

本考案に係るアペックスシール装置によれば、上部材と
サイドピースとを製品のバラツキに関係なく密着させる
ことができるので両者の間の二次面シールを良好なもの
とすることができるうえ、比較的精度管理を容易化する
ことができ、それだけ製造コストを引下げることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のアペックスシール装置の正面図、第２図
は第１図のＩＩ −ＩＩ線方向断面図、第３図は従来の
アペックスシール装置の不具合を説明するための要部拡
大正面図、第４図は本考案の一実施例にかかるアペック
スシール装置の要部拡大正面図である。 １・・・・・・メインピース、１ａ・・・・・・分割面
、２・・・・・・サイドピース、２ａ・・・・・・分割
面、３・・・・・・ロータ、４・・・・・・上部材、４
ａ・・・・・・分割面、４ｂ・・・・・・分割面、５・
・・・・・底部材、５ａ・・・・・・分割面、５ｂ・・
・・・・分割面、６・・・・・・シール溝、７・・・・
・・スプリング、斜面、Ｂ・・・・・・第２斜面、Ｄ・
・・・・・間隙。 Ａ・・・・・・第１

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ロータの頂辺に沿って設けたシール溝にスプリングを介
   して摺動自在に装着したアペックスシールを長手方向端
   部においてロータの回転方向に対して略平行であって、
   かつロータの軸方向に対して傾斜する第１斜面により分
   割面が外周方向に向く小片のサイドピースと分割面か゛
   内周方向に向くメインピースとに分割するとともに、該
   メインピースをロータの軸方向に対して略平行であって
   、かつロータの回転方向に対して傾斜する第２斜面によ
   り分割面がロータの回転方向に向く上部材と分割面がロ
   ータの反回転方向に向く底部材とに分割したロータリピ
   ストンエンジンのアペックスシール装置において、 上記サイドピースと底部材との間に間隙を形成したこと
   を特徴とするロータリピストンエンジンのアペックスシ
   ール装置。