JPS5918178Y2 - 船内外機等のクラッチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は船舶の船内外機、船外機等に用いられるクラッ
チに関し、クラッチに同期噛合機構を対陣せしめてクラ
ッチの嵌脱のさい発生する大きな衝撃やそれによるエン
ジン停止などを防止することを目的とするもので゛ある
。

従来用いられている船内外機等のクラッチは第１図及び
第２図に示す如く、機関（図示せず）の動力で回転する
入力軸１に装着された入力歯車２ｏと噛合し且つプロペ
ラ軸３を介してプロペラ４を回転するドライブ軸５に連
結されたクラッチ軸６゜に回転自在に支承されて互いに
反対方向に回転する前進及び後進歯車７゜、 ８ｏと、
クラッチ軸６ｏに軸方向に摺動自在にスプライン係合し
て選択的に前進及び後進歯車７゜、 ８０と噛合するク
ラッチドグ９゜とから成り、前進及び後進歯車７゜、＆
ｌには歯７゜′、８８′の内側に爪部１０ｏ、 ｌｌｏ
を夫々設け、クラッチドグ９゜には、上下両端部に爪部
１０．。

１１ｏに噛合するドグ爪部１２．、１３ｏと、前記クラ
ッチ軸６゜との摺動面中央附近に波形状凹部の係止溝１
７ｏとを設けると共に、前記クラッチ軸６゜の貫通孔１
４ｏに嵌入されたばね１５ｏを挾持するデテントボール
１６． 、１６．で該係止溝１７．を介して前記クラッ
チドグ９゜を押圧するドグの位置決め機構を設けたもの
である。

このクラッチはシフトレバ−（図示せず）を操作してシ
フター１８ｏを上方或は下方に移動させ、クラッチドグ
９゜のドグ爪部１乙或は１３．を前進歯車７゜の爪部１
０ｏ或は後進歯車８ｏの爪部１１ｏに噛合させてクラッ
チ軸６゜を前進歯車７゜或は後進歯車８゜と同期させ、
ドライブ軸５及びプロペラ軸３を介してプロペラ４を前
進或は後進の方向に回転させるものである。

この場合前進及び後進のクラッチ機構は前進及び後進歯
車７゜、 ８０の爪部１０．、１１．とクラッチドグ９
゜のドグ爪部１２ｏ、 １３ｏとをいきなり噛合させる
単純なものなので、爪の噛合直後に大きな衝撃が発生し
て船舶の乗心地を損ない、このうえ構成部品の耐久性も
減少させ、さらに高速前進状態で障害物を発見するなど
して急停止を行なうため、急速に後進にシフトする所謂
クララシュアスターンのさいエンジン停止を起し、又機
関の低速時にクラッチを操作すると爪部１０．、１１ｏ
とドグ爪部１２ｏ、１３ｏの噛合によって急激に負荷が
か＼る衝撃のためエンジン停止を起すので機関のアイド
ル回転数を余り低くできず、又ハーフクラッチ操作が不
可能なので漁扮時などにおける微速航走が困難である等
の欠陥がある。

上記の問題を解決するためのクラッチとしては、機関の
動力で回転する入力軸の軸心上に配設したクラッチ軸に
回転自在に支承して対立させた前進傘歯車と後進傘歯車
及びクラッチ軸と直交して配設されたドライブ軸に固着
されて前進傘歯車と後進傘歯車とに噛合する中間傘歯車
で構成された傘歯車装置と、前進及後進傘歯車間でクラ
ッチ軸に摺動自在にスプライン係合したスリーブ及びス
リーブの外周にスプライン係合したドグで構成されたク
ラッチ本体から戊り、前進及び後進傘歯車にはその歯の
直ぐ内側に爪部と、爪部のクラッチ軸側に内周に内向き
摩擦円錐面を有する歯車側摩擦部と設け、クラッチ本体
のスリーブにはその両端部に外向き摩擦円錐面を有し前
記歯車側摩擦部に嵌合するスリーブ側摩擦部、またドグ
にはその両端面に爪部と噛合するドグ爪部、またスリー
ブとドグとの摺動面に前記同様のドグの位置決め機構を
夫々設けたものが既に提案されている。

このクラッチはクラッチドグを前進傘歯車或は後進傘歯
車の何れかの方向に摺動させると、まず傘歯車の摩擦部
にスリーブの摩擦部が嵌合してその摩擦力により前進或
は後進傘歯車が緩やかに回転を始め、さらに摺動させる
とクラッチ軸の回転をあげながら傘歯車の爪部とクラッ
チ本体のドグ爪部が噛合して中間傘歯車及びドライブ軸
を前進或は後進する方向に回転させる。

この場合同期させるためのスリーブの摩擦部と嵌合する
傘歯車の摩擦部が爪部のさらに内側に設けているため摩
擦力を発生させる円錐面の有効径がどうしても小さくな
り必然的に摩擦トルクも小さなものになってしまうので
、十分な摩擦トルクを得ようとすると傘歯車装置全体が
大形になり、さらに十分な摩擦トルクを発生させるため
にはドグの位置決め機構のばね力を強いものにしなけれ
ばならないので゛クラッチを操作する力が大きくなる欠
陥がある。

本考案はこれらの欠陥を排除してクラッチの嵌脱のさい
発生する大きな衝撃やそれによるエンジン停止を防止す
る船舶の船内外機等のクラッチを提供せんとするもので
ある。

本考案をその一実施例を示す第３図〜第５図により以下
説明する。

入力軸１に装着された入力歯車２と噛合し且つドライブ
軸５に連結されたクラッチ軸６に回転自在に支承されて
互いに反対方向に回転する前進及び後進歯車７，８と、
該クラッチ軸６に軸方向摺動自在にスプラインなどの方
法で係合して選択的に該前進及び後進歯車７，８と噛合
するクラッチドグ９とから戊り、前記前進及び後進歯車
７，８には、歯７’、 ８’に近接した周壁１９、２０
内周に内向き摩擦円錐面及び底部２１．２２にクラッチ
軸６及び爪部２５．２６に対応する切欠部２１”、 ２
２”を設けた底部穴２１’、 ２２’とを有し、該底部
２１．２２を樹内底７／／、８／ｌにビス８“′或は接
着などで固着した椀状の板金製摩擦受具２３．２４と、
該周壁１９、２０の前記クラッチ軸６側に該樹内底７″
、８“がら突出した爪部２５．２６とを夫々設け、前記
クラッチドグ９には、上下両端面に前記爪部２５．２６
と噛合するドグ爪部２７．２８と、上下両端部に外周に
摩擦外向き円錐面と内周に係止溝２９．３０とを有し且
つ前記クラッチ軸６方向に摺動自在に係合した前記摩擦
受具２３．２４に内嵌するシンクロナイザリング３１．
３２とを設けると共に、該係止溝２９．３０に対応して
クラッチドグ９外周に設けられた複数の穴３３．３３’
に嵌入するテ゛テントボール３４．３４’及びばね３５
．３５’で前記係止溝２９．３０を介して前記クラッチ
軸６に対し外方垂直に該シンクロナイザリング３１，３
２を押圧する一定荷重機構を設けた船内外機等のクラッ
チである。

尚クラッチ軸６と摩擦受具２３．２４の底部穴２１’、
２２’との間に微小間隙を設けてスラストカラー３６
．３６’が間挿されている。

又クラッチ軸６とクラッチドグ９との摺動面部には従来
設けられていたものと同様な、摺動面中央附近の前記ク
ラッチ軸６の貫通孔１４に嵌入されたばね１５を挾持す
るテ゛テントボール１６と該デテントボール１６が嵌合
するクラッチドグ９に設けた波形状凹部の係止溝１７と
で構成されたドグの位置決め機構を備えている。

このクラッチは、シフトレバ−（図示せず）を操作して
シフター１８を中立状態から上方或は下方に移動させる
と、デテントボール３４．３４’と係止溝２９．３０と
の係合によりシンクロナイザリング３１、３２がクラッ
チドグ９と共に移動して、前進歯車７或は後進歯車８の
摩擦受具２３或は２４とシンクロナイザリング３１或は
３２が嵌合し、両者の摩擦円錐面が接触して発生する接
触摩擦力でクラッチドグ９を介してクラッチ軸６が緩や
かに回転を始める。

続いてレバーの操作力を強めてクラッチドグ９を摺動さ
せると、摩擦受具２３．２４とシンクロナイザリング３
１．３２との嵌合がより進められて両者の摩擦力が大き
くなりクラッチ軸６の回転数が上昇する。

更にレバーの操作力を強めてクラッチドグ９を摺動させ
るとテ゛テントボール３４．３４’が係止溝２９．３０
から摺動方向に外れた状態となっては゛ね力が強くなり
シンクロナイザリング３１．３２を摩擦受具２３．２４
に強く圧接して摩擦力を更に大きくしてクラッチ軸６の
回転数をさらに上昇させる。

レバーの操作力を強めて一定荷重を超過するとデテント
ボール３４．３４’と係止溝２９．３０との係合が解か
れてクラッチドグ９がさらに前進し、前進歯車７或は後
進歯車８の爪部２５或は２６とクラッチドグ９のドグ爪
部２７或は２８が滑らかに噛合して前進歯車７或は後進
歯車８とクラッチ軸６の回転が同期し前進或は後進のた
めの動力がクラッチ軸６を介してドライブ軸５からプロ
ペラ軸３を経てプロペラ４へと伝達される。

又シフトレバ−を操作してクラッチドグ９を中立側に寄
せると、前進歯車７或は後進歯車８の爪部２５或は２６
とクラッチドグ９の爪部２７或は２８が離れると共にデ
テントボール３４或は３４′が係止溝２９或は３０に嵌
入して、クラッチ軸６への動力伝達が絶たれる。

本考案では前進及び後進歯車７，８とクラッチ軸６との
シンクロ効果を高めて円滑な動力伝達のための噛合に重
要である摩擦受具２３．２４を、絞りや打抜き加工の容
易な板金製とすることにより、内面が円滑で精度の高い
円錐面を形成してシンクロナイザリング３１．３２との
嵌合、摺動を円滑に行なわしめるようにしている。

尚摩擦受具２３．２４にはその端部周辺に鍔部３７．３
８を形成して剛性を高め、また爪部２５．２６に対応す
る底部穴２１’、 ２２’の切欠部２１”、 ２２”と
爪部２５．２６とで位置決めを行なうのに利用すると共
に円周方向の摩擦受具２３．２４に対するトルクを伝達
する。

上記の如く前進或は後進歯車７，８とクラッチ軸６とが
同期したのち動力伝達のための爪部２５゜２６とドグ爪
部２７．２８が噛合する（所謂コンスタントロード式同
期噛合機構）ので、従来のクラッチ嵌脱のさいの大きな
衝撃が発生しない。

上記の一実施例で摩擦受具２３．２４とクラッチ軸との
間にスラストカラー３６．３６’を間挿しているが、場
合によっては摩擦受具２３．２４と一体に製作しても良
い。

本考案はクラッチ軸に回転自在に支承されて互いに反対
方向に回転する前進及び後進歯車と、該クラッチ軸に軸
方向摺動自在に係合して選択的に該両歯車と噛合するク
ラッチドグとから戊り、前記両歯車には、歯の内周に内
向き摩擦円錐面を有し歯肉底に固着された椀状の板金製
摩擦受具を設け、前記クラッチドグには、上下両端部に
外周に外向き前記摩擦円錐面に当接する摩擦円錐面と内
周に係止溝を有し且つ前記クラッチ軸方向に摺動自在に
係合されたシンクロナイザリングを設けると共に、該係
止溝を介して該シンクロナイザリングを外方へ押圧する
一定荷重機構を設けたことを特徴とする船内外機等のク
ラッチなので次の効果を奏する。

（１）動力伝達のための噛合を極めて円滑に行なって、
従来のクラッチ嵌脱のさいに発生する大きな衝撃を完全
に防止できるので、船舶の乗心地を損なうこともなくま
たその構成部品の耐久性も高めることができる。

（２）高速前進状態から所謂クララシュアスターンなど
行なってもエンジン停止を発生することがない。

（３）機関の低速運転時においてクラッチ切換えによる
エンジン停止を起すことがないので、機関のアイドル回
転数を低くすることができ、使用燃料の低減を計ること
ができる。

（４）前進又は後進歯車とクラッチ軸とのシンクロ効果
を高めるための両歯車の摩擦円錐面を、歯車内部では最
大の部分に設けて有効径を大きくして発生する摩擦トル
クを大きくすることができるので、ドライブユニットの
基本形状である傘歯車装置全体を小形化できて、安価な
りラッチ装置を提供することができる。

（５）摩擦円錐面の有効径を大きくして発生する摩擦ト
ルクを大きくすることができるので一定荷重機構のばね
力を余り大きくする必要がなく、クラッチの操作性を高
めることができる。

（６）前進及び後進歯車の摩擦受具を板金製にして装着
容易で安価としたためクラッチ装置の原価低減に寄与す
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の船内外機の部分断面図、第２図は第１図
のクラッチ要部の縦断面図、第３図は本考案の一実施例
を装備した船内外機の部分断面図、第４図は一実施例の
要部縦断面図、第５図は一実施例の摩擦板の平面図であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. クラッチ軸に回転自在に支承されて互いに反対方向に回
   転する前進及び後進歯車と、該クラッチ軸に軸方向摺動
   自在に係合して選択的に該両歯車と噛合するクラッチド
   グとから威り、前記両歯車には、歯の内周に内向き摩擦
   円錐面を有し歯肉底に固着された椀状の板金製摩擦受具
   を設け、前記クラッチドグには、上下両端部に外周に前
   記摩擦円錐面と当接する外向き摩擦円錐面と内周に係止
   溝を有し、且つ前記クラッチ軸方向に摺動自在に係合さ
   れたシンクロナイザリングを設けると共に、前記係止溝
   を介して該シンクロナイザリングを外方へ押圧する一定
   荷重機構を設けたことを特徴とする船内外機等のクラッ
   チ。