JPS5915030Y2 - 高周波加熱装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は電波エネルギーによって物体を加熱する高周波
加熱装置、さらに詳しくは同装置の被加熱を均一に加熱
するための手段に関するものである。

物体を加熱するためにマイクロ波帯の電波エネルギーが
利用されていることは周知のことである。

係る高周波加熱装置において慣用の構成は、マグネトロ
ンのごとき電波発生源から放射される電波を直接あるい
は導波管を経て、被加熱物が収納されているオーブンと
称している空洞内部へ供給するという構成のものである
。

係る構成の同装置では、被加熱物は種々の要因によって
不均一に加熱されることがある。

この主な要因としては、該空洞の電波供給部から放射さ
れる電波、すなわち放射波の不均一な分散と該空洞の壁
面で反射される電波、すなわち反射波の不均一な分散を
あげることができる。

この解決策として従来は電波を収束して放射する放射ア
ンテナを該空洞内部に設けて、それを回動して均一な分
散を計るという方法が行なわれてきている。

この方法は上記放射波及び反射波の均一な分散を計るう
えですぐれた効果を奏す。

しかしながら、上記放射アンテナを該空洞に設けるだけ
では、実際には種々の問題が派生する。

その具体例としては、放射アンテナに隔間している部分
には、放射アンテナの作用・効果が及ばず、所望の均一
加熱が得られないとか、たとえ均一加熱が得られたとし
ても、その条件をかえずにマグネトロンの高効率動作が
得られず、実用に供せないといった問題がある。

そこで本考案は以上の問題を解決する手段を提供せんと
するものである。

すなわち、本考案のねらいとしているところは、該空洞
に回動する放射アンテナを設けて、しかも他の手段を併
用して、その相互作用により被加熱物の均一加熱化を計
りかつマグネトロンの高効率動作もできるようにせんと
するものである。

以下一実施例につき添付図面とともに説明する。

第１図において、高周波加熱装置の本体１に扉３が開閉
自在に装着されている。

本体１の要部断面は、第２図に示すごとくにある。

第２図において被加熱物１７を収納する空洞２の上部に
は導波管４が固着されている。

導波管４にはマグネトロン５が装着され、マグネトロン
５のアンテナ部は導波管４内に突出して配置されている
。

該導波管４と空洞２の境界、すなわち空洞２の壁面には
電波エネルギーを空洞２内へ導入するための開口部１４
を有している。

該開口部１４には、結合アンテナ７が貫通している。

結合アンテナ７は、第３図に示すごとく、回転軸８で支
持されている。

回転軸８と結合アンテナ７の装着は、割ピン１３等の手
段により行なう。

回転軸８はフッ素樹脂等の低誘電損失の樹脂で構成する
。

結合アンテナ７は前記開口部１４に同心的に配置する。

結合アンテナ７の一端は導波管４内に介在しているが、
他端は空洞２内に配設されている。

空洞２内に配設された結合アンテナ７の先端には、第４
図に示すごとく放射アンテナ６が付設されている。

該放射アンテナ６には、卵子たん部６ａが付設されてい
る。

該卵子たん部６ａはプレス等の手段により、該放射アン
テナ６の壁面に凹凸を設けて形成されている。

結合アンテナ７及び放射アンテナ６はいずれもアルミニ
ューム等の良導電性の金属体で構成する。

前記回転軸８は導波管４を貫通して設けられている。

回転軸８の導波管４の外側の部分には風車１０が取付け
られている。

該風車１０は第３図に示すごとくＥリング１１等の手段
により回転軸８に装着され、導波管４に付設した軸受部
９により支承されている。

回転軸８は前記開口部１４に同軸状に配置する。

又、軸受部９で支承される風車１０には摺動部１２を有
し、該軸受部９及び該摺動部１２はフッ素樹脂のごとく
摺動抵抗が少ない誘電体で構成する。

風車１０はマグネトロン５の冷却に用いるブロワ（図示
せず）の冷却風によって回動させられている。

放射アンテナ６は、風車１０の回動にともなって回動す
る。

放射アンテナ６の近傍にはアンテナカバーと称する誘電
体のバリヤが設けられている。

アンテナカバー１９は放射アンテナ６を外部から保護隔
離するための周知の手段である。

該アンテナカバー１９は、例えば磁器等の無機質の焼結
材で構成しである。

該アンテナカバー１９は円筒形の器状のもので、周縁部
にフランジ部１９ ａを有し該フランジ部１９ ａに取
付ネジ１８を装着して空洞２に固着されている。

さらに、アンテナカバー１９には導電壁２０がポリプロ
ピレン等のプラスチック材の取付ピン２１等で装着され
ている。

導電壁２０はアルミニューム等の良導電性の金属材で構
成され、空洞２及び放射アンテナ６と任意の空間を介し
て配設され、しかも回転軸８の軸心Ｑ−０’と導電壁２
０の中心軸Ａ−Ａ’は略々同軸状に配設されている。

一方、被加熱物１７はガラス製の受皿１６に載置されて
、空洞内に収納されている。

受皿１６は空洞２の底面に対して遊休空間１５を介して
配設されている。

これは、被加熱物１７に空洞２の底面からの反射波を照
射し、均一加熱を行なう周知の方法である。

次に本実施例の動作及び各部の作用について説明する。

マグネトロン５より放射される電波は導波管４を経て空
洞２に向って進行し、結合用アンテナ７に供給される。

結合用アンテナ７は前記開口部１４と同心的に配置され
ているので、同軸モードで導波管４と空洞２とを結合さ
せる作用をする。

空洞２内へ伝播された電波は結合アンテナ７を経て、放
射アンテナ６に伝播される。

放射アンテナ６に伝播された電波は、導電壁２０の作用
により、放射角度及び放射領域が規制されて、アンテナ
カバー１９を通して、該空洞２内に放射される。

被加熱物１７は放射アンテナ６及び導電壁の作用により
均一に加熱される。

又、マグネＩ・ロン５は放射アンテナ６に設けた卵子た
ん部６ａの作用により高効率動作させられる。

ところで、導電壁２０を放射アンテナ６の近傍に設ける
ことの作用は、放射アンテナ６から放射される電波の放
射角度及び放射領域を規制し、回動する放射アンテナ６
の作用・効果を放射アンテナ６から隔間している部分に
配設された被加熱物にも及ぼすことにある。

導電壁２０を放射アンテナ６の回転軸８と同軸状に配設
させている理由は放射アンテナ６から放射される電波を
四方に均一に分散し空洞２の壁面からの反射波が被加熱
物に均等に照射されるようにするためである。

この四方、人吉に均一な電波を照射させる作用を効果的
に得るには、前記開口部１４を空洞２の中央部軸心上に
設けることが好ましい。

又、該開口部１４と導電壁２０及び結合アンテナ７の位
置関係を同軸状に配設すると良い。

又、放射アンテナ６に設けた卵子たん部６ａの作用は、
マグネトロンのインピーダンス整合作用を行なうことで
ある。

すなわち、卵子たん部６ａは電波エネルギーが収束して
いる放射アンテナ６に設けられているので、放射アンテ
ナ６の近傍の電磁界に対して、リアクティブな作用をす
る。

このリアクティブな作用は、卵子たん部６ａの形状大き
さ及び位置を適宜に選ぶことにより、所望のものとする
ことができる。

これによって、インピーダンス整合を行なうことができ
、マグネトロンの高効率動作が可能となる。

ところで、該卵子たん部６ａは放射アンテナ６の壁面に
部分的に設けられたものであり、放射アンテナ６から隔
間している部分へ放射される電波を著しく乱すことはな
い。

たとえ、若干の影響があったとしても、該卵子たん部６
ａの微少の調整によって囲壁することができる。

したがって、均一加熱条件が維持され、マグネトロンの
高効率動作もできるようになる。

なお、本実施例においては導波管を用いてマグネトロン
を作動させる形態の高周波加熱装置について説明したが
、マグネトロンを直接に空洞へ装着し、マグネトロンの
アンテナ部に放射アンテナをマイクロ波的に連結させた
形態のものにおいても適用できることはいうまでもない
。

以上、本考案によれば被加熱物を均一に加熱することが
でき、しかもマグネトロンの高効率動作ができる高周波
加熱装置を提供することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る高周波加熱装置の斜視図であり、
第２図はその要部断面図である。 第３図は第２図の要部拡大図であり、第４図は本考案の
構成部品である放射アンテナの平面図である。 ２・・・空洞、６・・・放射アンテナ、６ａ・・・卵子
たん部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 被加熱物を収納する空洞２を有し、該空洞２の壁面、に
   は導波管４に連通する開口部１４を有し、該開口部１４
   には同軸モードで結合する結合アンテナ７を有し、該結
   合アンテナ７には空洞２の壁面と伝送線路を形成する放
   射アンテナ６を付帯させ、該放射アンテナ６を回動させ
   て被加熱物に電波エネルギーを供給するように構成した
   ものにおいて、前記放射アンテナ６は導電壁２０で放射
   姿態が規制されるものであり、かつ放射アンテナ６の平
   たん部の一部に非平たん部を形成したものであることを
   特徴とする高周波加熱装置。