JPS5914367Y2 - 緩衝材料 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は緩衝材料、特に青果包装用の緩衝材料に関す
る。

果物を箱詰め包装するに際して、輸送中に受ける衝撃を
吸収緩和すると共に果物の表面の損傷を防止するために
、果物と果物との間、または果物と包装箱壁もしくはト
レーとの間に緩衝材料を介在させている。

従来、一般に使用されてきた緩衝材料としては、クレー
プ紙を１０枚以上積層したものが知られているが、上下
動はもちろん水平動の緩衝性に劣る欠点があった。

近時、上記緩衝材料に代わるものとして、ポリウレタン
、ポリ塩化ビニル等の発泡シートや、ポリエチレン、ポ
リスチレンなどの木毛状もしくは網状の発泡体が使用さ
れているが、これらの緩衝材料は吸湿性に欠けるので果
物の鮮度を長く保持することができず、また使用済みの
廃品がゴミ公害を起こす等の欠点がある。

更に、緩衝材料として片面段ボールを使用する場合があ
るが、片面段ボールは厚み方向の緩衝性はあるが、横方
向の緩衝性がなく、従って輸送中に果物の表面が片面段
ボールの段頂にすれて損傷するという欠点がある。

この考案は、上記した従来の緩衝材料の欠点を除去した
新しいタイプの緩衝材料を提供するものである。

以下にこの考案の緩衝材料の最も簡単な構造の例を第１
図、第２図によって説明する。

１は平面紙、２は非連続的の小凹凸をエンボス加工した
凹凸紙、３は非連続的の大凹凸をエンボス加工した凹凸
厚紙である。

そして上記平面紙１、凹凸紙２及び凹凸厚紙３を積層し
、第２図に示すように、その周縁に沿って間隔４ａをも
ってポリビニルアルコール、でんぷん等の糊剤をもって
接着部４，４・・・・・・を形威し断続的に接着したも
のである。

上記平面紙１は、果物表面に接する面であって、青果物
用では適当な吸湿性、耐氷性と表面平滑性と柔軟性を有
するものであり、その坪量は２０〜１００ ｇ／ｍ２が
好ましい範囲である。

凹凸紙２は、エンボス加工されて表面に非連続的の凹凸
を有するものであり、適当な吸湿性、耐水性を有する。

その坪量は５０〜１５０ ｇ／ｍ２の範囲が好ましい。

凹凸厚紙３は、上記平面紙１および凹凸紙２の強度を保
持しかつ嵩を増して緩衝性を良くするためのもので、表
面にエンボス加工された非連続的の凹凸を有し、その坪
量は１５０〜３００ｇ／ｍ２の範囲か゛好ましい。

上記凹凸紙２の凹凸は、凹凸厚紙３の凹凸の大きさより
小さく、かつその個数密度は凹凸厚紙３より小さく成形
されている。

なお、エンボス加工による凹凸の形状は、第１図、第２
図に示した角状に限るものでなく、角錐状、円錐状、円
筒状の任意の形状でよく、また凹凸の深さは２〜７ｍｍ
、密度は８０００〜３００００個／ｍ２が好ましく、そ
の配列は任意のものでよい。

積層された各紙は、上記第２図の例で示したように、そ
の周縁に沿って間隔４ａをもって断続的に接着部４を形
成し部分的に接合されるものであるが、この接合は積層
紙の全周縁を接着して周縁より内方の紙間の空間を密封
するものでないことを意味するのである。

従って、縦及び横の両側部のいずれか一方の周縁に沿っ
て連続的に接着し、他方の両側部の周縁に沿って全く接
着しないか断続的に接着したものでもよく、また各周縁
の接着は部分的な点接着であってもよい。

糊剤による接着部４の幅は１０〜１５ｍｍが好ましい。

更に接合は、接着剤の代わりに糸、テープ等で縫合して
もよい。

この考案の実用的例は、平面紙１に凹凸紙２、凹凸厚紙
３を複数枚積層するものであり、それらの枚数及び凹凸
の大きさは任意に組み合わすことができるが、凹凸の大
きさ、密度の粗、密が交互になるように重ね合わせる。

第３図に略図的に示した例は、平面紙１、小凹凸紙２ａ
、大凹凸紙２ｂ、小凹凸中しん紙３ａ、大凹凸厚紙３を
積層したものである。

第４図に示した例は、上記第３図の例の各凹凸紙２ａ、
２ｂ、３ａ、３の間に平面紙１を挿入して積層したもの
で゛ある。

次にこの考案の実施例について説明する。

実施例 下表の各紙を組み合わせて積層した。

原 紙 坪量（％）凹凸深さくｆｌ）凹凸密度（個／
ｄ）１枚目 湿潤強力紙 ３５Ｘｌ −−２枚
目 チ リ 紙 ２０Ｘ５ ２ ２５，０００８
枚目 チ リ 紙 ２０Ｘ５ ４ １８，０００
４枚目 中しん紙 １６０Ｘ１ ２ ２５，００
０５枚目 厚 紙 １８０Ｘ１ ４ １８，０
００１枚目の湿潤強力紙は、クラ７１−パルプに紙力増
強剤を混合して抄紙したもので、通常の絞りタオルに代
用されているもので゛ある。

２枚目、３枚目のチリ紙は、故紙パルプもしくはバージ
ンパルプから抄造した坪量２０ ｇ／ｍ２の紙を５枚重
ね合わせてエンボス加工によって積層したものである。

４枚目の申しん紙はセミケミカルパルプを抄紙したもの
であり、また５枚目の厚紙はジュートまたはクラフトパ
ルプを抄紙シ１．た通常の段ボールのライナーとして使
用されるものであり、いずれもエンボス加工によって凹
凸が形成されている。

上記各紙を重ね合わせ、その周縁をポリビニルアルコー
ルを樹材として任意の間隔で点接着して緩衝材料を得た
。

次に上記実施例の緩衝材料の実用試験の結果の一例を説
明する。

通常の線用包装箱に、桃１８個（５ｋｇ）をトレーを使
用して一段に配列し、桃の上部に上記実施例の湿潤強力
紙面が桃に接触するように緩衝材料を挿入して箱詰めし
た。

この箱詰めの桃を桃産地より約９００ｋｍ離れた都市に
トラック輸送したところ、桃は１個も損傷せず段目の跡
も見られなかった。

なお比較のために片面段ボールを緩衝材料としたものは
、■８個中の７個に段目の跡がついており、またウレタ
ンフオームを緩衝材料としたものは、通気性が悪いため
に１８個中の４個がむれて傷がついていた。

以上に説明したようにこの考案は、吸湿性の平面紙と、
該平面紙に順次重ね合わせた少なくとも２枚の凹凸の大
きさおよび個数密度の異なった非連続的の凹凸を有する
吸湿性の凹凸紙とからなり、かつ上記複数枚の紙を周縁
が周縁に沿って部分的に接合されたものであるから、上
下動のクッション性のみならず左右動のクッション性も
優れており、また各紙層間の滑りが容易であるので青果
物表面の擦れによる損傷が生じにくい。

またこの考案は、その内部の空隙が多く、通気性、通水
性、保水性に富んでいるので、貯蔵中もしくは運送中の
青果物の環境条件が良く、従って青果物の鮮度が長い間
保持される。

更に、この考案は、使用後の廃品の処理が容易であって
ゴミ公害は全く起こらないどころか、故紙パルプの原料
として回収できる。

更にまた、この考案は、青果物に接触する部分を吸湿性
とすれば、万一、青果物の表面が破傷して果汁等が少々
滲み出ることがあっても、包装箱を汚損するには至らな
い。

この考案の緩衝材料は、桃、ぶどう、梨、柿、トマＩ・
等のように損傷し易い青果物の包装に好適であり、その
他の一般の青果物、及び損傷し易い各種機械的部品の緩
衝材にも使用できることはもちろんである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の最も簡単な例の垂直断面図、第２図
は一部切欠けを示した平面図、第３図はこの考案の実用
的な例の略式模型図、第４図は他の実用的な例の略式模
型図である。 １：平面紙、２：小凹凸紙、３：大凹凸厚紙、４：接着
部、４ａ：間隔。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）吸湿性の平面紙と、該平面紙に重ね合わせた少な
   くとも２枚の凹凸の大きさおよび個数密度の異なった非
   連続的の凹凸を有する吸湿性の凹凸紙とからなり、かつ
   上記複数枚の紙を重ね合わせた周縁が周縁に沿って部分
   的に接合されていることを特徴とする緩衝材料。
2. （２）凹凸紙間に平面紙を介在させた実用新案登録請求
   の範囲第１項記載の緩衝材料。