JPS5910229B2

JPS5910229B2 - 繊維強化プラスチック製バットの製造方法

Info

Publication number: JPS5910229B2
Application number: JP53079024A
Authority: JP
Inventors: 馨林
Original assignee: Mizuno Corp
Current assignee: Mizuno Corp
Priority date: 1978-06-28
Filing date: 1978-06-28
Publication date: 1984-03-07
Also published as: JPS555653A

Description

【発明の詳細な説明】この発明は、硬質発泡プラスチック内にガラスその他カ
ーボン、ケブラー、スチール等の繊維を単独又は複合介
在させてバット芯体を形成し、該芯体の外周に合成樹脂
含浸の繊維を芯体の中芯軸に対して角度を異にして巻着
積層したＦＲＰ層を有する繊維強化プラスチック製バッ
トの製造方法に係るもので、その目的は、打球時の衝撃
力及び曲げ応力、圧縮応力に対して曲げ強度を向上せし
め、撓みの小さい圧縮強度の強いバットを供給すること
にあり、更にはＦＲＰ層のクラツクや積層の剥離を防止
し、耐久性に優れ、品質の安定したバットを製造するこ
とにある。

従来からバットには野球用、ソフトボール用があり、材
質によって木製バット、金属製バット、プラスチック製
バット、ＦＲＰ製バットに別れているが、それぞれ次の
ような欠点があった。

すなわち、木製バットは天然材であるため、需要と供給
のバランスが不安定であり、特に原木からバットに仕上
げるまでに乾燥工程等に日時を要するほか材質、含水率
による重量の不均一、歩留りが悪い欠点があった。

金属製バットは、設計の自由度が少なく、打球の反復に
よりへこんだり、折損したときに怪我しやすいことが欠
点であった。

プラスチック製バットは、その殆んどが熱可塑性プラス
チックを材料にしているため、日光の直射を受けると柔
らかくなったり歪みが生じるものであった。

従って、最近では繊維強化プラスチック製（ＦＲ．Ｐ）
バットが考案されており、例えば特公昭５０−６８１４
号のように、マンドレルにガラス繊維等を巻着して加熱
硬化後、マンドレルよりバット本体を除去し、そのマン
ドレルの孔に発泡合成樹脂を注入してバットを形成する
か或は発泡合成樹脂でバット芯を形成し、これにガラス
繊維．を巻着、樹脂を含浸せしめて成形する方法が知ら
れているが、これらガラス繊維等の巻着方法は一般にい
うフィラメントワインデイング方式になるため、前者の
場合、マンドレルにガラス繊維等を巻着する際に、繊維
の配列がマンドレルの軸線に対して３０゜〜９０゜位い
の角度になってしまう。

そのために打球時の衝撃力において、圧縮応力に対して
は強い値を示すが、曲げ応力に対しては非常に弱くなり
、従って打球時の撓みが大きくなってガラス繊維の繊維
方向にクラツクが生じたり、積層繊維層間で内部ひずみ
に起因する剥離が生じ、いわゆる白化現象が起るなどの
問題があった。

また、強度を上げる目的でＦＲＰ層を厚くすると、バッ
ト本体が重くなり、そのために芯体を形成する発泡合成
樹脂の密度を小さくしなくてはならず、発泡倍率の大き
な発泡樹脂を充填することになるため、打球時の衝撃を
吸収せずにそのままグリップ部分に伝播し、手がしびれ
るなどの欠点があった。

また、後者の場合は発泡合成樹脂でバット芯体を形成し
たものに、ガラス繊維を巻着する場において、打球部か
らグリップ部に移行する外径の大きく異る部分で、巻着
する繊維にたるみが生じ、そのたるみで繊維方向密度が
不均等になるため、撓み、曲げ強度等の品質にバラッキ
が大きくなる。

また、フィラメントワインデイング方式ではガラス繊維
を巻着するため、マンドレル方式と同様に繊維の巻着角
度が３０゜〜９０゜の範囲になるので、打球時の衝撃力
による圧縮応力に対して強くても、曲げ応力に対して弱
く、バット全体のしなりが大きくなりすぎて繊維方向に
そってクラックが生じたり、繊維層間で剥離が生じるな
ど実用化に多くの問題が残されている。

この発明は、かかるＦＲＰ製バットの欠点を改良するた
めに開発された製造方法であって、その実施例を図面に
ついて説明すると、硬質発泡プラスチック内にガラスそ
の他の繊維を全長方向に張力を付与して介在させてバッ
ト芯体を形成し、該芯体１の外周に、合成樹脂含浸のガ
ラスその他の繊維の配列を芯体１の中心軸に対して角度
がＯ゜となるように張力を付与して配列したＦＲＰ層２
を設ける。

その上に芯体１の中心軸に対して角度５゜〜１５゜にな
るように合成樹脂含浸のガラスその他の繊維を巻着積層
したＦＲＰ層３を設ける。

その上に芯体１の中心軸に対して１５゜〜３０゜の角度
になるように合成樹脂含浸のガラスその他の繊維を巻着
積層したＦＲＰ層４を設ける。

更に、その上に芯体１の中心軸に対して３０’〜４５
゜の角度になるように合成樹脂含浸のガラスその他の繊
維を巻着積層したＦＲＰ層５を設けてバット本体を形成
し、これを金型９に挿入し、その際に先端部７と後端部
８にガラスその他の短繊維、サフエーシングマットをバ
ット本体と同じ合成樹脂を用いて形成し、加熱硬化一体
成型する。

次に、金型９よりバット本体を取出して表面を研摩し、
バット全体に合成樹脂塗装を施して表層部６を設けて仕
上げた繊維強化プラスチック製バットの製造方法である
。

また、第３図は他の実施例を示す断面斜視図であり、こ
れは上記実施例における芯体１の外周に芯体１の中心軸
に対してそれぞれ角度を異にした合成樹脂含浸のガラス
その他の繊維を巻着積層したＦＲＰ層２，３，４，５、
の巻着積層の順序を変えたものである。

これ以外にも巻着積層の順序を変えることは任意に実施
できる。

なお、芯体１に合成樹脂含浸のガラスその他の繊維を巻
着積層する場合、該繊維に適宜の張力を付与して巻着す
ることが望ましく、また、第５図に示すようにバット本
体を全部金型に挿入する方法をとらずに、バット本体は
ラツピングテープ１０を巻着して成形し、打球部先端部
７及び後端部８のみを金型１１に挿入して成型する方法
も実施できる。

更に、この発明に用いる繊維は、ガラス繊維のほかカー
ボン繊維、ケブラー繊維、スチール繊維等の有機繊維、
無機繊維、金属繊維を単独または複合して使用する。

以上述べたこの発明のバットは、硬質発泡プラスチック
の内部にガラスその他の繊維をバットの全長方向に張力
を付与して介在させてある芯体１を用いるため、この芯
体は撓み剛性が犬であり、この芯体１の外周に合成樹脂
含浸のガラスその他の繊維を巻着積層する場合に生じる
巻着のために付与する張力に対して芯体１はほとんど撓
むことがなく、そのために歪み反りのないバット本体を
成形することができるほか巻着時に繊維の角度が安定し
、品質にバラツキの少ないバットが供給できると共に、
芯体１の中心軸に対して撓み応力に対して剛性が犬であ
る角度Ｏ゜のＦＲＰ層２を設けてあるから、打球時の撓
みが抑制されて各ＦＲＰ層３，４，５、との間の剥離及
びクラツクの発生が予防できる。

また、芯体１の中心軸に対して５゜〜１５゜，１５゜〜
３０゜，３０゜〜４５゜のように角度を異にしたＦＲＰ
層３，４，５、を設けてあるため、打球時の衝
撃力及び圧縮応力に対して強くなり、曲げ応力に対して
も強い。

又打球時の感触も木製バットに近くなる。

特に体力のあるハードヒッターには、芯体１の中心軸に
対して０゜の角度で巻着積層したＦＲＰ層２を第３図の
ようにバット本体の表層に近く設けることによりいわゆ
る腰の強いバットになり、ハードヒッターに好適になる
。

更に、今一つの特徴は、従来の金属製バット、ＦＲＰ製
バットでは打球部先端部７及び後端部８に相当する部分
に、本体と異質材料のものを嵌着又は接着していたため
、使用中の衝撃等により本体から離脱するおそれがあっ
た。

しかし、この発明はこれらの部分を金型を用いてバット
本体と同じ素材で同時に一体成型するので、従来バット
にみられた上記欠点は解消する。

具体的な実施例１として、硬質発泡プラスチック内にガ
ラスその他の繊維を全長方向に少なくとも１〜２ｋｇの
張力を付与して介在させて形成した芯体の外周に、合成
樹脂含浸のカーボン繊維（繊維の寸法は、バット全長の
数倍から数十倍の長さを有する連続長繊維を用いる。

）を芯体の中心軸に対して角度がＯ゜となるように少な
くとも１〜２ｋｇの張力を付与して配列したＦＲＰ層を
１．０〜１．５ｍｍ厚になるように設ける。

その上に芯体の中心軸に対して５゜〜１５゜になるよう
に合成樹脂含浸のカーボン繊維の連続繊維を巻着積層し
たＦＲＰ層を０．５〜１ｍ７ＩＬ厚になるように設ける
。

その上に芯体の中心軸に対して１５゜〜３０゜の角度に
なるように合成樹脂含浸のカーボン繊維の連続繊維を巻
着積層したＦＲＰ層を０．３〜１．０ｍｍ厚に
なるように設ける。

更に、その上に士体の中心軸に対して３０゜〜４５゜の
角度になるように合成樹脂含浸のガラス繊維の連続繊維
を巻着積層したＦＲＰ層を０．２〜０．５朋厚になるよ
うに設けてバット本体を形成し、これを金型に挿入し、
その際に打球部先端部とグリップ後端部に、カーボン繊
維の短繊維やサフユーシングマットをバット本体と同じ
合成樹脂を用いて加熱硬化により同時に一体成型するも
のである。

その他実施例として以下の表に示すような構成が実施で
きるものである。

かくて、この発明によって製造されたバットは、所期の
目的に適い耐久性に富み、品質の安定した安全性の高い
バットになるので、野球、ソフトボールに有益である。

【図面の簡単な説明】

この発明の実施例を示すもので、第１図は外観図、第２
図はＡ−Ａの断面斜視図、第３図は他の実施例における
断面斜視図、第４図は金型による同時一体成型を示す断
面図、第５図は金型を一部分に用いて同時一体成型を示
す斜視図である。１・・・・・・芯体、２，３，４，５・・・・・・Ｆ’
ＲＰ層、６・・・・・・表層部、７・・・・・・打球部
先端部分、８・・・・・・グリップ部後端部分、９・・
・・・・金型、１０・・・・・・ラツピングテープ、１
１・・・・・・金型。

Claims

【特許請求の範囲】

１硬質発泡プラスチック内にガラスその他の繊維を全
長方向に張力を付与して介在させて形成した芯体の外周
に、合成樹脂含浸のガラスその他の繊維を、芯体の中心
軸に対して角度が０゜となるように張力を付与して配列
したＦＲＰ層を設け、その上に芯体の中心軸に対して角
度５゜〜１５゜になるように合成樹脂含浸のガラスその
他の繊維を巻着積層したＦＲＰ層を設け、その上に芯体
の中心軸に対して１５゜〜３０゜の角度になるように合
成樹脂含浸のガラスその他の繊維を巻着積層したＦＲＰ
層を設け、更に、その上に芯体の中心軸に対して３０゜
〜４５゜の角度になるように合成樹脂含浸のガラスその
他の繊維を巻着積層したＦＲＰ層を設けてバット本体を
形成し、これを金型に挿入し、その際に先端部と後端部
にガラスその他の短繊維、サフエーシングマットを本体
と同じ合成樹脂を用いて形成し、加熱硬化一体成型後金
型より取り出して研摩し、バット全体に合成樹脂塗装を
施して表層部を設けて仕上げた繊維強化プラスチック製
バットの製造方法。