JPS589789B2 - 緊急補修用耐火ライニング材 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、各種工業炉等の緊急補修に使用される耐火ラ
イニング材に関するものである。

耐火ライニング材として、不定形耐火物を利用すること
は年々盛んになって来ているが、その結合硬化方式とし
てはいずれも、多量の水分の添加を必要とする水和凝結
反応を用いているため、施工後の火入れに際して、使用
された水分の脱水に伴なう蒸気圧によって爆散剥離の現
象が往々にして起こる。

この現象の防止対策としては、運転開始温度になるまで
相当長時間をかげた段階的な予熱加温の工程が必要であ
り、工業炉等の緊急補修用には不適当であった。

特に、その顕著な例は、アルミナセメントを用いたキャ
スタブル材である。

従って本発明の目的は、結合硬化反応のために水分の積
極的な添加を必要とせず、また、硬化反応に関与した水
分も反応過程において分解及び外部に蒸散してしまうた
め、長時間にわたる段階的な予熱乾燥の工程を経なくて
も、運転火入れ時における爆散剥離現象の懸念がなく、
工業炉等の緊急補修用として最適な耐火ライニング材を
提供することである。

本発明の要旨は、施工後の加熱で膨張する膨張性粒子を
含有し、かつ、微細な気孔を形成するよう粒度調整され
た耐火性粒子を骨材とする耐火ライニング材において、
珪素又は珪素含有合金若しくは珪素化合物の粉末と、珪
酸ソーダの粉末とを結合剤として配合し、この発熱ゲル
化反応によって結合硬化するようにしたことである。

この耐火ライニング材の一般的な配合としては、ライニ
ングの目的に応じて選択使用される炭化けい素、ジルコ
ン、マグネシアクリンカー等が１０〜４０部、粒度調整
された耐火性粒子骨材として例えば蝋石が３５〜８０部
、膨張性粒子として例えば珪石が５〜２０部、珪素又は
珪素を含む合金若しくは珪素化合物の粉末が４〜１０部
、珪酸ソーダの粉末が２〜８部である。

本発明の耐火ライニング材における結合硬化の主たる反
応は、珪素又は珪素を含有する合金（例えばけい化カル
シウムやフエロシリコン）或は珪素化合物の粉末と、粉
末けい酸ソーダとによるもので、粉末けい酸ソーダ中の
けい酸分を珪素によってゲル化するものである。

これら結合材は施工の直前にミキサー等で前記骨材と攪
拌混合され、珪素等の粉末と粉末珪酸ソーダは互いに隔
離して収容保管されている。

この結合極化反応において、粉末珪酸ソーダはその潮解
性によって空気中こ水分を吸収し、この加水分解によっ
て苛性ソーダとゾル状珪酸分が遊離する。

この苛性ソーダと珪素が次式のように反応する。

この反応は発熱反応であり、このとき発生した水素ガス
によって、ライニング材は発泡状態になるこの発泡の形
態如何によっては、耐火ライニング材としての目的から
逸脱してしまう恐れがあるので、本発明では適度に粒度
調整した耐火性粒子を骨材として用い、粒子間に非常に
微細な気孔を作り出し、該気孔によって前記水素ガスの
外部への脱出を容易にしている。

水分は、上記水素ガスへの分解と反応熱による蒸発作用
に伴なって減少していき、この水分の減少により前記ゾ
ル状珪酸分がゲル状となり、耐火性粒子と膨張性粒子を
強固に結合させる。

この反応熱によって生じた水蒸気は、前記水酸ガスと同
様に耐火性粒子によって形成確保された気孔を通って、
外部に蒸散する。

そして、結合硬化反応の完了時には、残留水分は無くな
っている。

そして、耐火ライニング材として使用される段階例えば
炉の修復施工後に注入された湯による加熱処理によって
、前記膨張性粒子が膨張して、骨材たる耐火性粒子間に
形成された前記気孔を充填、閉塞するため、耐火性に優
れた緻密な組織が得られるのである。

以上のような本発明の耐火ライニング材は、微細な気孔
を形成するよう粒度調整された耐火性粒子を骨材とし、
かつ、施工後の加熱で膨張して前記気孔を閉塞する膨張
性粒子を含有する耐火性ライニング材において、珪素又
は珪素含有合金又は珪素化合物の粉末と、珪酸ソーダの
粉末とを結合剤として配合し、この発熱ゲル化反応によ
って結合硬化するようにしたものであり、結合硬化反応
のための水分の積極的な添加が全く不要であると共に、
珪酸ソーダが自らの潮解性によって空気中より吸収し、
硬化反応に関与した水分も、反応過程において前記気孔
を通って外部に蒸散したり或いは分解されてしまい、組
織内部に残留しないため、従来の水和凝結反応を用いた
不定形耐火物とは異なり、長時間をかけての段階的な予
熱乾燥の工程が不要であり、運転火入れ時に爆散剥離現
象が起こる懸念がない。

そのため、本発明の耐火ライニング材は緊急補修用とし
て最適のものといえる。

また、本発明の耐火ライニング材は全て粒子状又は粉末
状の材料のみによって構成され、攪拌混合した後、粉体
状物として補修箇所等に流し込まれるので、水を加えて
混練し、流動状物としてエアーランマー等で打ち込む従
来の耐火ライニング材と比較して、高度の施工技術を要
せず、簡易迅速な施工が可能である。

そして、上記したエアーランマーで打ち込む方法では、
未熟技能者等の場合、ライニング層内にラミネーション
を作り出し勝ちであり、剥離現象の原因になっているが
、本発明では粉体のまま流し込めるため、ラミネーショ
ンの心配がなく、耐火性の良好な緻密な組織の造出を更
に容易にするのである。

実施例 （３）施工例 熔融金属収容容器に於ける本発明品と従来かから行われ
ている施工方法の１例として、スタンピング工法と比較 （１）容器の大きさ 長さ ２４００ｍｍ巾
１０００ｍｍ 深さ １０００ｍｍ 底部厚さ １５０ｍｍ 壁部厚さ １５０ｍｍ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 施工後の加熱で膨張する膨張性粒子を含有しかつ、
   微細な気孔を形成するよう粒度調整された耐火性粒子を
   骨材とする耐火ライニング材において、珪素又は珪素含
   有合金若しくは珪素化合物の粉末と、珪酸ソーダの粉末
   とを結合剤として配合し、この発熱ゲル化反応によって
   結合硬化するようにしたことを特徴とする緊急補修用耐
   火ライニング材。