JPS586593B2 - 金属接着装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は金属間の鑞着又は半田接着等に用いる装置の改
善に関するものである。

電極間に複数の金属被接着体及び接着用低融点金属材料
を挾持して、電極を介してこれ等に通電し、適切な電流
強度と適切な通電時間を保持する場合、電流通路に発生
するジュール熱に依る温度上昇に依り、低融点金属が熔
融し、金属被接着体を相互に接着せしめることが出来る
。

この場合、被接着体自身が発熱し、その温度を利用する
のであるから、他の各種の間接加熱方式に依る鑞着や半
田接着に比較して次の如き効果がある。

（１）必要な温度上昇が瞬時に完了する。

（２）電極形状の選定に依り必要な部分だけを最低のエ
ネルギー損失で加熱することが出来る。

（３）必要最少限の接着用低融点金属材料に依り接着す
ることが出来る。

（４）電流の強さ、通電時間、挾持圧力等の接着条件が
何れも精密確実に調整することが出来るので、接着品質
が安定し、むらが無く不良品の発生確率が極めて小さい
。

この様なジュール熱応用の金属接着装置は金属被接着体
相互の接着だけでなく、金属体の所望の位置に低融点金
属を接着したり、低融点金属の被覆をほどこす如き作業
をも実施することが可能であり、この様な場合も上述の
如き効果を発揮するものである。

然しこの様な卓越した金属接着装置にも改善を望まれる
重要な問題点が残されてあり、それは次の如くである。

（１）連続的に接着作業を実施する場合、電極の温度上
昇が激しく、電極の消耗が早い。

（２）電極の温度上昇は接着装置のシステム全体として
、電流強度、通電時間、挾持圧力等の接着最適条件を変
化させ、接着品質の安定化を妨げる。

（３）金属被接着体の熱容量が大きい場合、冷却に要す
る時間が長くなり、低融点金属の固化が不安定となり、
接着品質も不安定になる。

本発明はヒートパイプの秀れた熱移送特性及び導電性を
利用して、上述の如きジュール熱応用の金属接着装置を
改善して、更に高能率、高品質な接着作業を安定して実
施することの可能な金属接着装置を提供せんとするもの
である。

以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。

第１図は本発明に係る金属接着装置の主要構成を示して
ある。

１及び３は金属ヒートパイプで夫々の一端に靭せた金属
キャップ２，４の先端部のチツプ９，１０は夫々ジュー
ル熱応用の金属接着装置の電極２１ ．４１を形成して
いる。

必要接着温度が極めて低温の場合や被接着体の熱容量が
小さい場合等キャップ２，４は省略しても良くその場合
はヒートパイプ１，３の先端部をチップとして形成して
も良く又はチツプ９，１０を予じめヒートパイプ先端部
に熔接した構造でも良い。

キャップ構造としてあるのは電極交換を容易にする為で
あり、キャップとヒートパイプ端末間の接触熱抵抗が性
能上問題になる恐れある場合は省略して良いものである
。

又本実施例では電極の双方共ヒートパイプ構造にしてあ
るが、ジュール熱の発生量が少ない用途の場合は一方の
電極はヒートパイプ構造を省略することが出来る。

両電極２１，４１には電源用導線５，６及び導線取付金
具１６．１７及びヒートパイプ１，３を介して必要な電
力が供給される。

７，８はヒートパイプ１，３の放熱部に設けられた放熱
用フィン群である。

金属被接着体を加熱し、低融点金属を熔融せしめた後、
不要となった熱エネルギーは通常の金属の熱伝導の数百
倍に達するヒートパイプの卓越した熱移送特性に依り瞬
時に放熱部に移送され放熱フィン群７，８に依り空気中
に放散される。

本実施例ではフィン群に依る自然放熱構造を示してある
が、大型の金属接着装置の場合等は冷媒液等に依り強制
冷却を実施しても良い。

又放熱すべき熱量が少ない場合にはフィン群を省略して
、ヒートパイプ本体のみで放熱しても良い。

ヒートパイプ１はホルダー１４アーム１５を介して移動
装置に依り上下に移動自在になって居り、電極２１，４
１の先端部のチツプ９及び１０の間に必要な加圧力を保
持しつ５金属被接着体１１，１２及び接着用低融点金属
１３等を挾持する様になっている。

この状態を維持したまゝ電源用導線５，６、取付金具１
６，１７、ヒートパイプ１，３及びキャップ２，４を介
してチツプ９，１０に適切な電流電圧を適切な時間の間
供給することに依り金属被接着体１１．１２及び低融点
金属１３の所望の位置にジュール熱が発生し瞬時的に必
要温度に加熱することが出来る。

これに依り低融点金属１３は忽ち熔融し、被接着体１１
，１２間の空隙を充填し接着準備を完了する。

この時点で電流の供給を停止すると前述の如くヒートパ
イプ１，３の作用に依って先に発生した熱エネルギーの
殆んど総べてはヒートパイプ放熱部に高速度で移送され
放熱フィン群７，８に依って放熱される。

この結果として金属被接着体１１．１２及び熔融した低
融点金属１３は極めて短時間の間に冷却され、低融点金
属１３は固化し接着作業は完了する。

この間電極であるキャップ２，４及びその先端部チツプ
９，１０はヒートパイプの作用に依り常に冷却を続けら
れ決して高温度になることはない。

本発明に係る金属接着装置の構造は以上の如くであるか
ら下記の如き卓越した各種の作用効果を発揮する。

（１）連続多量接着作業の高能率化 ジュール熱応用の接着作業は前述の如く温度上昇の為の
加熱時間は極めて短時間であるからむしろ如何に迅速に
冷却固化せしめるかに作業能率の良否は係わっている。

本発明に係る金属接着装置は電極自身がヒートパイプ構
造の冷却手段となって居り、被接着体金属から直接に熱
エネルギーを吸収冷却するものであり、又その冷却能力
はヒートパイプ独特の高速熱移送能力に依り極めて秀れ
たものである。

本発明に係る接着装置の冷却能力は被接着体の材質、熱
容量、電極の材質、形状、ヒートパイプの性能等に依っ
て差異はあるが、通常の電極の場合に比較して数分の一
乃至数拾分の一の短時間で熔融した低融点金属を冷却固
化せしめる能力を有する。

（２）電極の長寿命化 本発明接着装置に於ける電極の冷却は自然冷却や他の外
部冷却手段と異なり電極内部からヒートパイプ作用に依
り完全に冷却されるので連続多数の接着に際しても余熱
が蓄積されることがなく、電極の温度上昇が無い。

又通電加熱中にも電極はヒートパイプの高速高能率な熱
移送能力に依り完全に冷却を続けられ温度上昇すること
がない。

従って電極は熱劣化や酸化消耗が極めて少なく、又低融
点金属との相溶に依る消耗も極めて少ない。

従って通常の電極構造の場合よりはるかに寿命が長く多
数連続の使用に耐えることが出来る。

（３）接着品質の安定化 従来構造の接着装置の場合、接着速度のバラツキ、被接
着体の熱容量変化等に依り、余熱蓄積量が変化し、それ
に依り電極温度が変化し、又長時間連続多数接着の場合
電極温度の上昇割合が変化する。

この様な電極の温度変化は接着条件の変化となり接着品
質の不安定の原因となる。

本発明に係る接着装置の場合、電極温度は外気温度が一
定な限り常に一定となり、温度上昇が無いので接着品質
が常に安定し不良品発生率も極めて小さいものとなる。

（４）エネルギーの無駄がなく保守費が不要である。

従来の接着装置に於いて接着能率向上の為には何等かの
冷却手段を必要とするが、その場合冷却手段を運転する
ためにエネルギーを必要とし、又その制御装置の保守調
整を必要とする。

本発明装置に於いてはヒートパイプ原理応用の冷却であ
るから無動力、無調整、無故障で且つ静粛な放熱に依る
冷却が実施されると共に冷却効果は完全なものである。

ジュール熱応用の金属接着装置は金属の鑞着等に際して
、加熱速度が極めて早く、加熱条件の設定、及び調節が
容易で、熱エネルギーの損失が少なく、鑞着用低融点金
属の無駄が少ない等、そのまゝでも極めて優秀な性能を
有するものである。

然し鑞着等低融点金属の熔融固化に係る接着の場合は加
熱時間はその接着サイクルタイムの１／２に過ぎず、ジ
ュール熱応用に依り加熱時間が１／３〜１／４の如く短
縮された場合、加熱時間と冷却時間比は１：４位になり
、前述した如く冷却時間の短縮、冷却条件の正確さ等が
残された重要課題としてクローズアップされるに至るも
のである。

冷却時間の短縮の為に圧縮空気等に依る強制冷却等が採
用されている例が多いが、風圧、風速、風量等の制御に
複雑な制御装置を必要とし、又被接着体の材質、熱容量
等に依って設定条件が大巾に変化し、又残存熱量の蓄積
に依り電極温度が大巾に変化し、接着条件を安定せしめ
、接着品質を安定化せしめるためには未だ多くの問題を
残していたものである。

本発明に係る金属接着装置に於いては、ヒートパイプを
それ自身を電極とし、更に電流供給手段の一部として利
用することに依り、即ちジュール熱応用の加熱手段とヒ
ートパイプ応用の冷却手段を混然一体化ならしめた全く
新規な金属接着装置を提供し、加熱も冷却も何れも極め
て短時間に、極めて効率的に、極めて安定して実施する
ことを可能ならしめるもので、大きな工業的作用を発揮
するものと信ぜられる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示す一部を断面した正面図で
ある。 １，３・・・金属ヒートパイプ、２，４・・・金属キャ
ップ、５，６・・・電源用導線、７，８・・・フィン、
９，１０・・・チップ、１１．１２・・・金属被接着体
、１３・・・接着用低融点金属、１４・・・ホルダ、１
５・・・アーム、１６，１７・・・取付金具、２１．４
１・・・電極。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電極間に複数又は単数の金属被接着体、接着用低融
   点金属等を挾持し、電極を介してそれ等に通電して、発
   生するジュール熱を利用して金属被接着体相互間の接着
   、又は金属被接着体に対する低融点金属の接着等を実施
   する金属接着装置に於いて、電極の一極又は両極にヒー
   トパイプの端末部又はヒートパイプの端末部に装着した
   金属キャップを用い、又該ヒートパイプ本体の一部を電
   流供給手段の一部として用い、更に該ヒートパイプを通
   電停止後の急速冷却手段又は急速冷却手段の一部として
   用いてあることを特徴とする金属接着装置。