JPS5853682B2 - 粉末冶金用亜鉛含有金属粉及び焼結体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は粉末冶金用亜鉛含有金属粉及びその粉末冶金焼
結体に関し、特に銅−亜鉛系合金を芯材とする金属被覆
金属粉及びその粉末冶金焼結体に関する。

従来亜鉛含有金属粉、例えば黄銅粉の粉末冶金焼結に際
しては、その焼結に際し亜鉛が揮発し、所定の組成の粉
末から同−組成の焼結体を得ることは困難であった。

また、亜鉛揮発の結果、表面性状が多孔化し、さらに収
縮による精度劣化を生じたりするほか、作業環境の悪化
をももたらすという欠点があった。

従って、従来法においては鋳造、切削加工等による以外
に、粉末冶金法により亜鉛含有合金の良質な製品を得る
ことは困難であった。

また、黄銅粉末の焼結体において多孔化による強度減も
認められた。

本発明は上述の如き従来技術の欠点を除去することを目
的とする。

即ち、本発明は亜鉛含有金属粉末を芯材として銅、ニッ
ケル、鉛、銀又は錫のうち一種以上の金属からなる一以
上の金属被覆を有することを特徴とする粉末冶金用亜鉛
含有金属粉を提供する。

さらに本発明は上記金属粉を成型焼結して成る粉末冶金
焼結体をも提供する。

本発明において粉末冶金用亜鉛含有金属粉とは亜鉛含有
金属を芯材としてその表面に銅、ニッケル、鉛、銀又は
錫のうち一種以上の金属からなる１層又は２層以上の金
属被覆を有する金属粉を称する。

芯材としてはＣｕ−Ｚｎ系合金、特に黄銅粉（Ｃｕ６０
〜９０％、ｚｎ１０〜５０％、又はこれをベースとし、
さらにＮｉ、Ｐｂ、ＳｎｌＭｎ。

Ａｌ、Ｆｅ等の第三成分を小量（０，２〜４％）含有す
るもの）等を用いることができる。

芯材−被覆の組合せとしては上記各芯材と各被覆金属夫
々の組合せ、さらに被覆金属としては第１層Ｓｎ、Ａｇ
又はｐｂのうち一種以上の金属、第２層Ｃｕ、Ｎｉ、Ｐ
ｂ、Ｓｎ又は、Ａｇのうち一種以上の金属を含有するも
の、その他の組合せによる２以上の多重被覆も可能であ
る。

その好例としては、Ｃｕ −Ｚ ｎ系合金特に黄銅また
はこれに他の第三成分を含有する合金を芯材としてＣｕ
、Ａｇのうち一種以上の金属を被覆するもの、第１層Ｓ
ｎ又はｐｂ並びに第２層としてＣｕ、Ａｇのうち一種以
上の金属を有するもの等がある。

芯材粉末の程度は特に厳しく限定されるものではないが
、一般に汎そ２０〜２０００μの範囲が好ましい。

芯材粉末の形状は特に限定されないが、一般に球状に近
いものが好ましい。

被覆金属層の厚さは汎そ０．３〜５μ程度好ましくは０
．５〜１μ程度とされるが、これも厳密に限界づげられ
るものではない。

但し、少くとも亜鉛の揮散を抑止しうる程度の厚さが必
要である。

その他強度、色調等の種々の目的に応じて、また被覆金
属の種類及び被覆形成法に応じて適宜層厚は選定される
。

芯材粉末を所定メツシュにそろえ、清浄化等の前処理を
必要に応じ施した後、Ｃｕ、Ｎｉ、Ｓｎ等の被覆金属は
好ましくはセメンチージョン法により容易に芯材粉末表
面に被覆されうる。

その他電気メッキ法、スパッタリング、蒸着、化学メッ
キ法等によることも当然に可能である。

セメンチージョン法による場合には、被覆金属の可溶性
塩（硝酸塩、硫酸塩、塩酸塩、アンモニウム塩、有機酸
塩、シアン塩又はこれらの混合系等）を約０．５？／ｌ
〜飽和値の濃度で適宜液状において添加し、必要に応じ
当該析出被覆金属よりも卑なる金属（例えばＣｕ −Ｚ
ｎ系芯材に対してＦｅ ）により還元析出させること
ができる。

還元用金属粉は通例、被覆金属の被覆目的量の化学量論
量に対しわずか過剰に添加される。

（例えば約１．０１倍）。第２層に第１層被覆金属より
も責なる金属を被覆する場合には、還元用金属粉末の添
加は必ずしも必要ではない場合がある。

蓋し第１層被覆金属の二部が還元剤として働くからであ
る。

このセメンチージョン法による金属被覆は、芯材粉末と
所定量の還元用粉末とを十分攪拌混合し、次いで攪拌下
に被覆金属塩溶液を所定量添加混合して行うことができ
る。

この際まず、固液系の５段階表示においてフエニキュラ
ー■域（第３段階固、液相共連続、パサパサの可塑分散
体）に至るまで、例えば２０秒〜１０分という比較的長
時間で行ない、引き続き５〜１０秒程度の短時間におい
てスラリー域に達するまで添加混合することが好ましい
。

但しこれらの混合（反応）時間は粉末の寸法及び量、攪
拌の効率等に応じて選定される。

なお、被覆金属塩溶液の添加完了後例えば約３０秒程攪
拌を継続する。

第２被覆層を形成する場合には第１層被覆粉体の水洗後
、上澄液の一部を捨てスラリー状とし、このスラリーを
攪拌しつつ第２の被覆金属塩溶液を添加し、必要に応じ
その還元用粉末金属を添加する。

このようにして第２層は形成でき、更に多層化する場合
には同様な処理を繰り返す。

このようにして形成される被覆粉体は被覆金属量を目標
設定値の約±０．３％以内にコントロールすることがで
き、層厚も一様な高品質な被覆粉体をなす。

この被覆粉体は所定形状に例えば２〜４トン／ｃｒＡの
成型圧で圧縮成型され、次いで所定温度で所定雰囲気下
において焼結される。

例えば、Ｃｕ被覆黄銅芯材粉末については汎そ７００〜
８７０℃、好ましくは約７５０℃程度で焼結される。

この焼結温度は一般には芯材の溶融温度以下とされる。

この焼結過程においては、Ｚｎは金属被覆により遮られ
て揮散が抑制されるのでＺｎ揮発量は最低量に低減され
ることができる。

本発明によれば、かくして亜鉛含有合金を芯材とする金
属被覆粉末の成型、焼結により亜鉛含有合金、とりわけ
黄銅芯材粉末の粉末冶金焼結体を得ることができ、強度
上も亜鉛含有合金粉末単体の焼結体よりも優れたものが
得られる。

さらに被覆金属の色調をそのまま保持できうるので、黄
銅芯材でありながら、例えば銅とか銀とかの外観を有す
る高級な色調の焼結体かえられる。

加えて焼結体の寸法精度においても、その表面の仕上り
性状においても、遜色のない製品かえられる。

かくて、本発明によれば、例えばノ・ンガー等の如きイ
ンテリア金物（建築金物）のような製品を安価に大量生
産することができる。

以下実施例について述べる。

但し、本発明を限定するものではない。

実施例 １ ステップＡ（Ｃｕ被覆黄銅粉の調整） 市販黄銅粉（スタンプ粉、８０メツシユスル−Ｚｎ４０
ｗｔ％９５０グ及び電解鉄粉（関東化学、１００メツシ
ユスルー）４４１を攪拌槽に秤取し、攪拌混合したのち
、ＣｕＳＯ４・５Ｈ２０の水溶液（Ｃｕ８８Ｐ／ｌ）を
１１３７７１１添加し、良く攪拌し、槽内粒子が均一な
銅色を程した時点で遊離硫酸含有ＣｕＳＯ４・５Ｈ２０
の水溶液（Ｃｕ７０？／１３． Ｈ２ＳＯ４５ｆｌ／ｌ
）を５９ ＱＴＬｌ添加し、１分間攪拌を行なって黄
銅粉のＣｕメッキを終了し、引き続き沢別、水洗、防錆
、乾燥を行なってＣｕメッキ黄銅粉を９９９．５Ｐ作成
した。

得られた粉体は市販銅粉と同様な色調を有し、Ｃｕメッ
キ前後の重量から算出されるＣｕメッキ量は５．０％で
あった。

なお平均被覆Ｃｕ厚さは約０．５μであった。

ステップＢ（Ｃｕ被覆黄銅粉の成型及び焼結）前述の方
法で得たＣｕ黄銅粉を２． Ｏｔ／ｃｒＡで外径２０關
φ×内径ＩＣ）ｍｍφ×肉厚５ｍｍの円筒型に成型し、
８６０℃、６０分、Ｎ２５００就／分の条件で焼結し、
前後の重量変化からＺｎの揮発率を算出した。

なお比較としてＣｕメッキ前の黄銅粉の成型、焼結を同
時に実施し、実施例同様にＺｎの揮発率を算出した。

それぞれの結果を表１に示した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 亜鉛含有金属粉末を芯材とし、銅、ニッケル、鉛、
   銀又は錫のうち一種以上の金属を含有する一以上の金属
   被覆層を有することを特徴とする粉末冶金用亜鉛含有金
   属粉。 ２ 前記芯材が銅−亜鉛系をベースとする合金である特
   許請求の範囲前項記載の粉末冶金用亜鉛含有金属粉。 ３ 亜鉛含有金属粉末を芯材とし銅、ニッケル、鉛、銀
   又は錫のうち一種以上の金属を含有する一以上の金属被
   覆を有する被覆金属粉を成型焼結して成る粉末冶金焼結
   体。 ４ 前記被覆金属粉が銅−亜鉛系をベースとする合金を
   特徴とする特許請求の範囲前項記載の粉末冶金焼結体。