JPS5852659B2 - ギブス用テ−プ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、整形外利治療、特に骨折、捻坐あるいは脱臼
等の治療において、これら患部の固定、支持あるいは保
護を目的として患部に施される固定用包帯に関するもの
である。

患部固定用包帯として従来は焼石膏をガーゼ様編織布に
塗着してロール状にした石膏包帯を用意しておき、治療
に際してこれを水中に浸漬し、前もって綿包帯やメリヤ
ス包帯で被覆された患部に対し、水中より取り出したそ
の石膏包帯を充分な強度が得られるまで巻き重ねる。

そして石膏が水利により硬化した後よく乾燥させ患部固
定用装具（以下単にギプスと称す）として使用に供して
いる。

ギプスは患部に正確に適合することが重要であり、長期
間の使用に耐え、治療上にも生活上にも支障を生じない
ものでなければならない。

石膏包帯は焼石膏の持つ優れた採型性を有する材料とし
て広く用いられている。

しかし一面では耐水性に欠け、破損しやすく、Ｘ線は透
過しにくく、重いうえ、衣服や寝具を汚損する等の欠点
が指摘されている。

従ってプラスチックによる石膏包帯の代替材の開発も数
多く行なわれ、特許出願がなされているが、いずれのも
のも採型性の点で石膏包帯にまさるものはない。

本発明においては、脂肪族ポリエステル重合体を主成分
とし、該重合体を伸縮性を有する基布に含浸させ、患部
固定用包帯とすることによって患部固定時における採型
性を高め、患部への正確な適合を容易ならしめ合わせて
耐久性、耐水性、Ｘ線透過性の面でも優れ、なお軽量で
剛性の面でも優れたギプスを提供することを可能にした
。

脂肪族ポリエステル重合体とは、脂肪族ジオールと飽和
ジカルボン酸から合成して得られる合成物であって、例
えばポリへキサメチレンアジペート、ポリエチレンセバ
ケート、ポリエチレンセバケート、ポリテトラメチレン
アジペート、ポリテトラメチレンセバケート、ポリヘキ
サメチレンサクシネート、ポリへキサメチレンオキサレ
ート、ポリへキサメチレンアジペート、ポリへキサメチ
レンアジペート、ポリへキサメチレンセバケート、ポリ
へキサメチレンアゼレート、ポリオクタメチレンオキサ
レート、ポリオクタメチレンサクシネート、ポリオクク
メチレングルタレート、ポリオフタメチレンアジペート
、ポリオクタメチレンアゼレート、ポリオクタメチレン
アゼレート、ポリオクタメチレンアゼレート、ポリオク
タメチレンセバケート、ポリエイコサメチレンマロネ−
ト、ポリエイコサメチレンマロネート、ポリエイコサメ
チレンマロネート、ポリエイコサメチレンマロネ−ト、
ポリエイユサメチレンアジペート、ポリエイユサメチレ
ンピメレート、ポリエイユサメチレンスベレート、ポリ
オクタメチレンアゼレート、ポリオクタメチレンセバケ
ート、ポリ２．２ジメチルトリメチレンマロネート、ポ
リ２．２ジメチルトリメチレンサクシネート、ポリデカ
メチレンオキサレート、ポリデカメチレンサクシネート
、ポリデカメチレンアジペ−ト、ポリデカメチレンアジ
ペート、ポリデカメチレンアジペート、ポリオクタメチ
レンアゼレート、ポリデカメチレンアジペート、ポリデ
カメチレンセバケート、等があげられる。

そしてポリマー融解温度が５０℃以上であり、２次転移
点（ガラス転移点）が２０°Ｃ以下の結晶性の高いもの
が望ましい。

又脂肪族ジオールとは、一般に の式で表わされ、飽和ジオールと不飽和ジオールとが有
る。

飽和ジオールにおいて、ＲがＨのものとしては、１−２
エタンジオール、１−３プロパンジオール、１−４ブタ
ンジオール、１−５ベンタンジオール １−６ヘキサン
ジオール、１−７へブタンジオール、■−８オクタンジ
オール、１−９ノナンジオール、１−１０デカンジオー
ル、１−１１ウンデカンジオール、１−１２ドデカンジ
オール、１−１５ペンタデカンジオール、１−１６ヘキ
サデカンジオール、■−１７へ７０タデカンジオール、
１−１８オクタデカンジオール、１−１９ノナデカンジ
オール、１−２０エイコサンジオール等が有る。

又Ｒがプロピル基の場合、ハロゲン（ＣＩ 、 Ｉ 、
Ｂｒ 、Ｆ）の場合、シクロヘキサンやベンゼン基の場
合等もある。

更に不飽和ジオールにおいて、ＲがＨのものとしてはエ
テノ１−２ジオール、１−ブテン１−４ジオール、２−
ブテン１−４ジオール、２−２ジメチルプロパン１−３
ジオール等の例があげられる。

又飽和ジカルボン酸トは、 一般に の式で表わされ、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸等がその主なものである。

次に本発明の実施例として、先ず脂肪族ポリエステル重
合体であるポリへキサメチレンアジペートを主成分とし
た場合について説明する。

ポリへキサメチレンアジペートは、■−６ヘキサンジオ
ールとアジピン酸を合成して得られる。

その合成の方法は１−６ヘキサンジオール１．０５モル
に対してアジピン酸１モルの割合で混合し、窒素ガス気
流中で充分攪拌しながら１８０〜２００℃に加熱し合成
する。

合成物は乳白色をした高粘度の液状を呈し、常温に冷却
すると固化して剛性に富んだ塊状となる。

分子量がｓ、ｏｏｏ以下ではもろく不適当であり少なく
とも分子量が１０，０００以上のものが好ましい。

ポリマー融解温度が５５℃であるため加熱ｆこよって容
易に軟化し、融着性をもたせることができる。

以上のポリへキサメチレンアジペート１００部（重量、
以下同じ）に対し充填剤として酸化チタンを１０部以下
の割合いで混合する。

酸化チタンやその他の無機充填剤の割合いが１０部を越
えるともろさを生じたり、採型性を劣化させたり、Ｘ線
透過を至難にする等の欠点が出る。

酸化チタンを混合するにはポリへキサメチレンアジペー
トをトリクレン等の有機溶媒に溶解させるかあるいは１
００〜１５０’Ｃに加熱融解させた中に攪拌しながら均
一に分散するように混入する。

酸化チタンはあらかじめ微粉砕しておく方がよい。

なおここでは酸化チタンの混合を前者の有機溶媒を用い
る方法で行なうことＩこした。

なお酸化チタン混合の際ギプスの色を調える目的で適当
な着色剤を添加する。

次に基布について説明する。

基布は一般的に素材面で区分すると天然繊維、合成繊維
、無機繊維となり、形態面から分類をすると紙状又は不
織布状、フェルト状となり、組織面で分類すると編織布
、網状物等に整理区分することができる。

本発明においては、採型性を高めるため編織布を基本と
した。

本発明による患部固定用包帯は前述した如く骨折、捻坐
、脱臼等をした身体部位に巻き重ねギプスとして使用す
るものであるが、身体は常に複雑な曲面をしており、患
部には強い力を加えられない。

ギプスはこうした疾患部位に対して正確に適合するもの
でなければならない。

そのためには、伸縮性をもち変形させやすい基布である
ことが望ましい。

基布の伸縮方向としては、帯状にして用いる場合、巾方
向より長さ方向に伸縮する方がよいが、両方向に伸縮す
ると一層変形しやすさが加わるのでより適当である。

両方向に伸縮する基布としては、ここζこトリコット編
地を用い、なお綿又はレーヨンでカバーリングされたゴ
ム糸又はスパンデックス糸を同時に編み込むことによっ
てその伸縮性をさらに増すことができた。

かかる伸縮性基布を前記有機溶媒にて溶解したポリへキ
サメチレンアジペート及び酸化チタンから成る組成物中
に浸漬し、２本のロールの間を通過させ、加圧すること
によって基布の中まで含浸させる。

含浸させた基布はまわりのものと接触させない方法にお
いて炉体内に導かれ４０〜１００℃の熱風により有機溶
媒を完全に発散させた後、波形ポリエチレンフィルムが
重ねられてロール状ｔこ巻き取られ、所定寸法の帯状に
切断されて患部固定用包帯として仕上げられる。

本発明による患部固定用包帯は、前述した如〈従来の石
膏帯とほぼ同様の方法において使用する。

綿包帯又はメリヤス包帯で被覆した疾患部位に対して、
５０〜１００’Ｃの熱湯中で充分軟化し、融着性を生せ
しめた患部固定用包帯を均等な厚みで固定に必要な強度
が得られる厚み（こなるまで巻き重ねる。

この際患部固定用包帯と重ね合せられている波形ポリエ
チレンフィルムは取り除かれて各層が完全に密着される
ようにする。

融解された組成物は伸縮性の有る基布と共に複雑曲面か
らなる身体疾患部位に正確に適合するギプスとして有効
に作用する。

そして後日更に矯正を必要とする場合には、局部的に加
熱して変形を加えることも可能である等、従来のギプス
包帯には得られない効果を奏する。

以上はポリへキサメチレンアジペートのみを主成分とし
た場合について説明を行なったが、本発明としては、さ
らに複数の脂肪族ポリエステル重合体の混合物を生成物
とした場合もある。

次にこの場合について、又その効果等について説明する
。

例えばポリへキサメチレンアジペート（以下前者という
）５０部に対しポリへキサメチレンアジペート（以下後
者という）５０部の混合物を主成分にした場合、前者の
ポリマー融解温度は５５℃であるのに対し、後者は６１
℃である。

したがって、ギプス製作時における前者単一物と、前後
者混合物との間には、作用効果上次のような結果が現わ
れる。

すなわち前後者混合物の方が前者単一物に比べて固化開
始時期が早くなり、一方融着可能時間は変わらない。

仕上がったギプスから見ると、前後者混合物の方が耐熱
性が高められたことになる。

以上のことから、ポリマー融解温度の異る２種以上の脂
肪族ポリエステル重合体の混合物を患部固定用包帯の主
成分とすることによってそれぞれの目的にもつとも適し
た性能の患部固定用包帯を容易に提供することができる
ようになった。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 脂肪族ジオールと飽和ジカルボン酸を合成して融解
   温度５０℃以上、二次転移点−２０℃以下、分子量１０
   ，０００以上から成る脂肪族ポリエステル重合体の単−
   物或いは複数混合物を生成物として構成した患部固定用
   包帯。 ２ 脂肪族ジオールと飽和ジカルボン酸を合成して融解
   温度５０℃以上、二次転移点−２０℃以下、分子量１０
   ，０００以上から成る脂肪族ポｌ）エステル重合体の単
   −物或いは複数混合物を主成物としてこれら主成物に着
   色剤、充填剤等を混合して成る組成物を、トリコット編
   地或いはゴム入織布等の伸縮性基布に含浸せしめた患部
   固定用包帯。