JPS5849714B2 - カムポンプまたはモ−タ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はカムポンプまたはモータに関するものであり、
特に吐出量の脈動や出力の変動が少なく、かつ構造が簡
単なカムポンプまたはモータに関するものである。

カムポンプとカムモータとは、カムポンプが外部から動
力を与えられてカムが回転させられることにより液体を
吐出するものであるのに対し、カムモータは外部から供
給される液体によってカムが回転させられて回転動力を
発生させるものである点において異なっているのみで、
同じ構造のものをポンプまたはモータとして使用できる
ものである。

そしてポンプにおいて吐出量の脈動をなくすことはモー
タにおいて出力の変動をなくすことと全く同じである。

よって以下はポンプの脈動をなくすことを主体として説
明する。

カムポンプは、断面が円形の空所を備えたケースとその
ケースの空所内に同心かつ回転可能に設けられたカムと
を備え、カムの外周面上には複数の突起が設けられて、
その突起の互に隣接するものとケースとの間にポンプ室
が形或される。

一方、ケースには等角度間隔にかつ上記空所内へ突出可
能に複数の仕切板が設けられ、先端において上記カムの
外周面にその中心線に平行な直線に沿って摺接させられ
るとともに、これら仕切板の各々の両側において前記空
所に連通ずる状態で高圧液出入口としての吐出口と低圧
液出入口としての吸入口とが形威される。

このカムポンプは通常のベーンポンプに比較して仕切板
の数が少なくてすみ構造が簡単である特徴を備えている
。

しかし、従来の一般的なカムポンプは第１図にその一例
を示すように仕切板の数とカムに設けられる突起の数と
が同数とされていたために、液の流入及び流出が複数の
液出入口において一済に行われ、液の吐出が第２図に実
線で示されるように間歇的なものとなることを避け得な
かった。

従って連続的な一定の吐出を得るためには第２図に破線
で示されるような吐出を組み合わせる必要があり、同一
のカムポンプを９０度位相をずらしてもう１つ組み合わ
せなければならなかった。

そのためにポンプの構造が複雑となり、かつ大形となる
ことを避け得なかったのである。

これに対して特公昭３５−１３５２８号公報には、１個
で脈動のない一定の吐出量が得られるカムポンプが記載
されているが、このポンプはカムの外周面またはケース
の内周面の形状を三角関数を含む複雑な関数曲線で表わ
される形状とすることによって、複数の吐出口のすべて
の吐出を合流させた時に脈動のない一定の吐出量が得ら
れるようにしたものであって、ケースやカムの設計・製
作が困難であるとともに、ポンプ室の数がいかに多いも
のであってもそれらポンプ室の１部のものだけを有効に
働かせることにより、吐出量を段階的に変化させること
ができないものであった。

すべてのポンプ室からの吐出を合わせた時に初めて脈動
のない一定の吐出が得られるものであるため、複数のポ
ンプ室のうち１部のもののみを有効に働かせてスプリッ
ト的に使用する場合には、吐出量に脈動が生じてしまう
からである。

本発明は以上のような事情を背景として、構造が極めて
簡単で設計及び製作が容易であり、１個で脈動のない一
定の吐出量が得られるとともに、ポンプ室の数を多くし
た場合にはスプリット的に使用することにより、脈動の
ない一定の吐出を維持したままで段階的に吐出量を変化
させることのできるカムポンプ（または出力の変動が少
なくかつ出力を段階的に変化させ得るカムモータ）を提
供することを目的としてなされたものである。

しかして本発明の要旨とするところは、前述のようなケ
ースとカムと仕切板と液出入口とを備えたカムポンプま
たはモータにおいて、仕切板をケースの直径上において
互に対向する２個を１対として１対以上設けるとともに
、各１対の仕切板に対応する高圧液出入口を互に連通さ
せる液通路を設け、かつ、カムの外周面を、互に同心で
中心角がほぼ等しく半径が大小に異なりかつ交互に等角
度間隔に配置された複数の大径部分円筒面及び小径部分
円筒面とそれら両部分円筒面の互に隣接するものを滑ら
かに連結する連結面とから構成することにより、上諒」
＼径部分円筒面を含む円より外方へ突出した突起を、仕
切板の総数より１個多い奇数個形成したことにある。

以下、本発明の一実施例を図面に基いて詳細に説明する
。

第３図は本発明の一実施例であるカムポンプの正面断面
図であり、１は断面が円形の空所を備えたケース、２は
ケース１の空所内に同心かつ回転可能に設けられたカム
、３はケース１の直径上において互に対向し、２個が対
をなす仕切板である。

この仕切板３はケース１の空所内へ突出する向きに図示
しないスプリングによって付勢されており、先端におい
てカム２の外周面にカム２の中心線に平行な直線に沿っ
て摺接させられている。

ケース１にはまた、各仕切板３の両側において開口する
状態で吸入口ＡｓとＢｓ，及び吐出口ＡｄとＢｄが設け
られている。

吸入口ＡｓとＢｓとは液通路４によって互に連通させら
れ、吐出口ＡｄとＢｄとは液通路５によって互に連通さ
せられている。

この液通路５は図示しない負荷装置に接続され、液通路
４はタンクＴに接続される。

カム２の外周面は、互に同心で中心角は相等しいが半径
が大小に異なる各々３個の大径部分円筒面２ａ及び小径
部分円筒面２ｂと、それら両部分円筒面の互に隣接する
ものを滑らかに連結する連結面２ｃとからなっている。

この大径部分円筒面２ａ及び小径部分円筒面２ｂは交互
にかつ等角度間隔に配置されており、カム２は、大径部
分円筒而２ａ及び連結面２ｃに囲まｔ′ｔ／ト径部分円
筒而２ｂを含む円より外方に突出した突起を、前記仕切
板３の数より１個多い３個有する三角カムとされている
。

そして、この三角カムの大径部分円筒面２ａがケース１
の内周面と精密に嵌合させられることによって、ケース
１の内周面と前記小径部分円筒面２ｂ及び連結面２ｃと
によってポンプ室２ｄが形成されている。

以上の結果、一対をなす仕切板３の一方が大径部分円筒
面２ａに摺接している間は、他方が小径部分円筒面２ｂ
に摺接し、一方が連結面２ｃを大径部分円筒面２ａから
小径部分円筒面２ｂに向って下る時、他方は連結筒２ｃ
を小径部分円筒而２ｂを大径部分円筒而２ａに向って上
ることとなる。

そして、連結面２ｃの形状は一方の仕切板３が一方の連
結面２ｃを下るのに伴ってその仕切板３に対応する吐出
孔において生ずる吐出量の増大と、他方の仕切板３が他
方の連結面２Ｃを上るのＯこ伴ってその仕切板３に対応
する吐出孔において生ずる吐出量の減少とが互に打ち消
し合うように決定されている。

さらに具体的には、第７図において斜線を施した部分の
面積△Ｓ１と面積△Ｓ２とが等しくなるように決定され
ているのである。

而積△Ｓ１は連結部２ｃと大径部分円筒面２ａとの境界
から連結面２ｃ側へ取った任意の角度θが△θだけ増大
した場合における大径部分円筒面２ａを含む円Ｃ１と連
結面２ｃとによって挾まれた部分の面積の増分であり、
一方、面積△Ｓ２は連結面２ｃと小径部分円筒面２ｂと
の境界から連結而２ｃ側へ取った角度θが△θだけ増大
した場合における連結面２ｃと小径部分円筒面２ｂを含
む円Ｃ２とに挾まれた部分の面積の増分であって、これ
ら面積の増分△Ｓ１と△Ｓ２とが角度θを任意に変更し
た場合に常に同一となるように連結面２ｃの形状が定め
られているのである。

連結面２Ｃがこのように定められているため第７図に示
す面積Ｓ１と８２とも勿論相等しくなる。

このようなカムポンプにおいて、カムが矢印の方向に一
定速度で回転させられる時、仕切板３の一方が大径部分
円筒而２ａに摺接している間はこの仕切板側の吐出口か
ら吐出は行われないが、この時他方の仕切板３は小径部
分円筒面２ｂに摺接し、この仕切板側の吐出口からは吐
出が行われる。

また、一方の仕切板３が連結面２ｃを上って吐出量が減
少する時、他方の仕切板３は連結而２ｃを下って吐出量
が増大し、一方の吐出量の減少を補うため、結局あらゆ
る回転位相において吐出量は一定となるのである。

第４図はこの状態を示す図であって、吐出口Ａｄからｍ
出量を実線で、吐出口Ｂｄからの吐出量を破線で示して
おり、吐出口Ａｄ及ひＢｄからの吐出を液通路５で合流
させることにより、細線で表わされるような全く脈動の
ない一定吐出Ｑｃの得られることが解る。

第１図と第３図では単にカムの突起を２個から３個に増
しただけの相違であって仕切板も１対（２枚）であり、
一見した処特に大した差は見られないようであるが、第
２図と第４図とを比較すれば明らかなように、前者は間
歇吐出Ｑｉであるのに対し後者は完全な連続吐出Ｑｃで
ある。

ここに大きな差異が生まれることに注意すべきである。

第５図は２対の仕切板を有するものの一例である。

符号１ないし５は第３図において説明したとおりであり
、２対の仕切板３は、ケース１の互に直角な直径上にお
いて対向して設けられ、これに夫々対応して吐出口Ａｄ
，Ｂｄ，Ｃｄ，Ｄｄが設けられている。

６は吐出口Ｃｄ及びＤｄを互に連通させる液通路であり
、７は方向切換弁、８は吐出ラインである。

カム２の外周面は、前記実施例におけると同様に中心角
がほぼ等しく半径が大小に異なりかつ交互Ｏこ等角度間
隔に配置された各々５個の大径部分円筒面２ａ及び小径
部分円筒面２ｂとそれら両部分円筒面の互に隣接するも
のを滑らかに連結する連結面２ｃとから構戒され、カム
２は、これらの大径部分円筒面２ａの各々とその両側の
連結面２ｃとに囲まれた突起を仕切板の数より１個多い
５個有する五角カムとされている。

本実施例においては、カムが矢印の方向に一定速度で回
転する場合、吐出口Ａｄからは第６図上側の実線で示す
ように一回転中５回の間歇的吐出が行なわれる。

一方、吐出口Ａｄに対向する吐出口Ｂｄからは、吐出口
Ａｄよりの吐出に対して３６°の位相差で吐出が行なわ
れ、これは第６図上側の点線で示される間歇的吐出とな
る。

この２つの吐出を液通路５で合流させることにより、全
く脈動のない吐出量を得ることができる。

同様に吐出口ＣｄおよびＤｄからの吐出は第６図下側に
示したようになり、これまた液通路６において合流させ
られ、脈動のない一定吐出となる。

さらに第５図に示すように液通路５および６の吐出を方
向切換弁７により合流させれば、吐出ライン８において
全吐出量が得られ、またたとえば液通路６の吐出を方向
切換弁７によってタンクＴに還流させることにより、全
吐出量の％の吐出量が得られることになる。

３対の仕切板を有するポンプでは、対向する各対の吐出
口の吐出が夫々合流させられて、同量の脈動のない吐出
量が得られることは、これまでの説明により容易に理解
し得ることであり、この場合、これら３つの吐出量を方
向切換弁等で適宜組合わせれば、３：２：１の割合の３
種の吐出量が得られることもまた明らかである。

なお、この場合のカムは七角カムでなければならない。

仕切板の対の数をさらに増加することは、吐出量のスプ
リット効果を４：３：２：１，５：４：３：２：１など
と高め、理論的には無限に拡張できる。

更に、本発明に従えば、出力変動のないカムモータの実
現が可能となる。

このカムモータを低速高トルク液圧モータとして使用す
るときは、低速であるためにカムの直径をかなり大きく
しても、周速即ちカム表面と仕切板との間の相対速度が
過大となるおそれはなく、またポンプの場合と同様、仕
切板の増加によってモータの速度とトルクを段階的に変
化せしめるスプリット的使用も可能である。

仕切板の背面には前述のようにスプリングを設けて、カ
ム表面との接触圧を保つとともに、ポンプでは仕切板の
背面に吐出圧を、またモータでは圧力液供給口の液圧を
加えることによって圧力平衡を得るよう配慮することは
当然可能である。

尚、第４図および第６図はポンプにおける吐出量の変化
（カムの回転角度に対する）を概略的に示すものである
が、これはモータの場合にはトルクの変化を別のスケー
ルで示すものである。

即ちモータに使用する場合にはカムの回転位相の如何を
問わずトルクが一定であることを意味するものである。

以上の説明から明らかなように、本発明は、カムポンプ
において、仕切板をケースの直径上において対向する２
個を１対として１対以上設けるとともに、これら１対ず
つの仕切板に対応する吐出口からの吐出を互に逆位相、
即ち一方の吐出口が吐出している時は他方が吐出しない
ようにし、かつ両吐出口からの吐出を合流させる液通路
を設けたものであるから、１個のカムポンプで脈動のな
い一定吐出が得られる。

しかも１対の仕切板に対応する吐出口からの吐出を逆位
相とするために、単にカムをケースに設けられる仕切板
の総数より１個多い奇数個の突起を有するものとするの
みであるから、構造が簡単で小形に製作し得る利点を備
えている。

更に、カムが、中心角が同一で半径が大小に異なる大径
部分円筒面及び小形部分円筒面とそれらを滑らかに連結
する連結面とから戒る形状のものであるため、カムの設
計・製作が容易で安価な一定吐出カムポンプを提供し得
るのである。

また、仕切板を２対以上設ける場合には、各対の仕切板
に対応する吐出口を互に連通させる複数系統の吐出液通
路相互を、または吐出液通路と吸入液通路とを、方向切
換弁によって適宜連通させることにより脈動のない状態
を維持しつつ吐出量を段階的に変化させることができる
。

更に本発明はカムモータにも同様に適用することができ
、変動のない一定出力の液圧モータを安価に提供するこ
とを可能とする効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のカムポンプの正面断面図であり、第２図
はこのポンプの吐出量ダイヤグラムである。 第３図は本発明にかかる１対の仕切板を有するカムポン
プの正面断面図であり、第４図はその吐出量ダイヤグラ
ムである。 第５図および第６図は同じく２対の仕切板を有するカム
ポンプの正而断面図および吐出量ダイヤグラムである。 第７図は第３図に示したカムの連結面の形状の決め方を
示す説明図である。 １ニケース、２：カム、２ａ：犬径部分円筒面、２ｂ：
小径部分円筒面、２ｃ：連結面、２ｄ：ポンプ室、３：
仕切板、４，５，６：液通路、８：吐出ライン、Ａｓ，
Ｂｓ：吸入口、Ａｄ，Ｂｄ，Ｃｄ，Ｄｄ：吐出口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 断面が円形の空所を備えたケースと、該ケースの空
   所内に同心かつ回転可能に設けられたカムと、前記ケー
   スに等角度間隔にかつ前記空所内へ突出可能に設けられ
   、先端において前記カムの外周面に該カムの中心線に平
   行な直線に沿って摺接させられる複数の仕切板と、該仕
   切板の各々の両側において前記空所に連通ずる状態で前
   記ケースに設けられた高圧液出入口および低圧液出入口
   とを備えたカムポンプまたはモータにおいて、前記仕切
   板を前記ケースの直径上において互に対向する２個を１
   対として、１対以上設けるとともに、該１対の仕切板に
   対応する高圧液出入口を互に連通させる液通路を設け、
   かつ、前記カムの外周面を、互に同心で中心角がほぼ等
   しく半径が大小に異なりかつ交互に等角度間隔に配置さ
   れた複数の大径部分円筒面および小径部分円筒面と該両
   部分円筒面の互に隣接するものをなめらかに連結する連
   結面とから構戒することにより、前記小径部分円筒面を
   含む円より外方に突出した突起を、前記仕切板の総数よ
   り１個多い奇数個形成するとともに、前記各連結面の形
   状を、前記１対の仕切板が前記カムの中心線に関して互
   に対称な位置にある２個の連結面にそれぞれ接触した状
   態で前記カムが回転するとき該１対の仕切板の各々に対
   応した高圧液出入口における液流量の増大と減少とが互
   に打ち消し合うこととなる形状としたことを特徴とする
   カムポンプまたはモータ。