JPS5843621B2 - 密閉型シリンダ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はガススプリングや緩衝器などのような密閉型シ
リンダ装置が高温に晒された場合にその内圧が極度に上
昇することを防ぐためのガススプリングなどの安全を図
った密閉型シリンダ装置に関するものである。

例えばガススプリングや緩衝器は内部と外部とを完全に
遮断した密閉シリンダ構造としており、これが高温に晒
されると、内圧が極度に上昇し、筒状のシリンダ本体が
場合によっては爆発的に破壊するか又は内圧に耐え得る
ことのできない箇所より破壊するため、ガススプリング
の使用される状況によっては非常に危険が伴なっている
ものであった。

しかもガススプリングや緩衝器があらゆる分野に使用さ
れつつある現在においてはこの危険度は一層伴なうもの
であり、これらに対する安全確保が要求される。

本発明は前記問題点を解消するもので、使用条件に応じ
た所定の内圧上昇が発生した場合、積極的に内圧を低下
させる安全機構を設けた密閉型シリンダ装置を提供する
ことを特徴とするものである。

以下本発明の一実施例をガススプリングに適用した場合
について図面によって説明する。

第１図は従来の一般的なガススプリングの断面図を示す
もので、シリンダ１内にはピストン３を兼ね備えたロッ
ド２がシリンダ１の内径面とロントガイド４により軸支
されて軸方向に摺動自在に嵌入されている。

またシリンダ１内は軸方向に摺動するフリーピストン５
によってＡ、Ｂの２室に区画され、この２室Ａ、Ｂとの
間はＯＩＪング６により気密に保持されている。

そしてＡ室には圧縮気体（一般には窒素ガス）が、Ｂ室
には作動流体（一般にはオイル）が充満されている。

またＢ室において、ピストン３の両側室Ｂ１．Ｂ２はピ
ストン３に設けられた流体通路Ｃによって連通されてい
る。

Ｂ室内の作動流体はバッキング７によりシールされてお
り、またロッドガイド４はカシメ、トメワ又はカールな
どによってシリンダ１の一端に固定されている。

またストッパ８はシリンダ１の内径面に打込などにより
固定されており、ロッド２が最伸長になったときにシリ
ンダ１外に抜は出るのを防止する役目をするものである
。

このように圧縮気体と作動流体とを充満したガススプリ
ングは温度が上昇すると、作動流体が体積膨張をするた
め、Ａ室とＢ室との内圧のバランスがくずれ、Ａ室とＢ
室とが再び同圧になるまで、フリーピストン５が左方に
移動する。

したがってＡ室およびＢ室の内圧が温度上昇前より極度
に増大する。

このように温度が上昇するのに伴ないシリンダ１内の圧
力が極度に上昇するため、温度の上昇度合によってはシ
リンダ１自体の破壊又は内圧に耐えきれない部分より破
壊するという現象が発生し、使用条件や焼却によっては
非常に危険なものとなる。

本発明はこの破壊現象を未然に防ぐような機構を案出し
たものである。

第２図、第３図により本発明を説明すると、ロントガイ
ド９の内径部に一定温度に達すると融解する熱可塑性樹
脂（例えばアセタール樹脂など）からなるリング状の圧
力開放部材１０を打込又は挿入し、該圧力開放部材１０
によりバッキング７を正規の姿勢（シール作用を行なう
姿勢）に保持すると共に、ロッド２に対するすべり軸受
を構成する。

今、周囲の温度が上昇してＢ室内の圧力が極度に達する
と共にその温度が圧力開放部材１０の融解温度以上にな
ると、圧力開放部材１０が融解し、第３図に示すように
ロッドガイド９とロッド２との間に環状空間ｄが形成さ
れる。

この環状空間ｄが形成されることにより、これまで内圧
によって前記ロントガイド９と圧力開放部材１０との間
に押え付けられていたバッキング７は環状空間ｄ内に向
けて撓み、これまでロッド２をシールリングしていた締
代を失ない、ガススプリング内部の圧力はこの環状空間
ｄを通って外部へ漏洩する。

またこの場合圧力開放部材１０はその躊融温度以下にお
いても変形するのでこの変形によってバンキング７に対
する押え機能が失われ、上記と同様に該バッキング７が
変形して内部を大気に開口することもできる。

このようにガススプリングが極度の温度に晒されても圧
力開放部材１０の融解温度以上の内圧上昇にはなり得ず
、従ってシリンダ１の破損などなしに初期の目的を十分
に達し得ることができる。

以上はロントガイドの内径面に圧力開放部材１０を用い
たものであるが、ロントガイド９そのものに前記圧力開
放部材１０と同様の熱可塑性樹脂を使用しても良い。

なお実施例ではガススプリングに本発明を適用したが、
これに限定されるものではなく、油圧緩衝器に適用して
も良く、要は密閉構造としたものであればいずれのもの
でも良い。

以上のように本発明はシリンダの周囲温度が所定の温度
になったときに、その温度を感知してシリンダ内に設け
たロントガイド内径部の熱可塑性樹脂を融解させ、シリ
ンダ内を外部に開放させたので、シリンダが破壊される
ことがなく、安全な状態で使用でき、また機構が簡単で
ある上、信頼性の高い安全機構を得ることができる。

更には熱可塑性樹脂の材質を種々変化させることにより
、シリンダの内圧条件に対しても自由に安全性の基準を
設定することができる。

さらに本発明にあっては、ロッドが熱可塑性樹脂によっ
て摺動案内されるため、それぞれ金属材からなるロッド
とロッドガイドとが直接接触していた従来のもの比して
、ロッドの円滑な摺動を確保し、金属同士の触れ合いに
よる異音の発生防止、高価な大型部材であるロッド外周
面の摺動による損傷の防止等の見地からも好ましいもの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一般的なガススプリングの断面図、第２
図〜第４図は本発明の実施例を示すものである。 １・・・・・・シリンダ、２・・・・・・ロッド、７・
・・・・・バッキング、９・・・・・・ロッドガイド、
１０・・・・・・圧力開放部材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 出入可能のロッドを備えた密閉型シリンダ装置にお
   いて、ロントガイド内径部を周囲温度が所定以上になる
   と変形する熱可塑性樹脂で形成し、シリンダの前記ロッ
   ドガイドよりも内方には前記熱可塑性樹脂の変形により
   その変形が許容されて該シリンダ内を外部へ向けて開口
   するバッキングを設けたことを特徴とする密閉型シリン
   ダ装置。