JPS5841106B2

JPS5841106B2 - 漆塗製品製造方法

Info

Publication number: JPS5841106B2
Application number: JP3219281A
Authority: JP
Inventors: 陽一池野
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1981-03-05
Filing date: 1981-03-05
Publication date: 1983-09-09
Also published as: JPS57147482A

Description

【発明の詳細な説明】本発明は、杉、桐等の表面を焼いて、その表面に色漆を
塗重ねて研ぎを行い表面に斑点模様等を現わす家具、箱
、盆、花器、茶器、及び菓子器等の漆塗製品の製造方法
に関するものである。

従来、漆塗においては、種々の塗が知られている。

例えば中塗法に鉛白、水を混和して絞漆を作り、中塗研
ぎ面に凹凸をつけるために海綿、ゴムスポンジなどで散
点させて塗付し乾燥後、５〜６回塗重ね漆の乾固の後者
色漆が現れる程度に研ぎを施こす津軽塗、漆を数回塗型
ね、これに文様を彫刻した彫漆、又凹凸のある素地に錆
研ぎの水分を乾かし柿渋と油煙を充分に混和して刷毛で
全面に塗重し乾燥の後、砥の粉水練と生漆を混和した漆
層を木目にしごいて埋め、乾燥後黒漆、朱色法を適宜に
塗重ねて、後から塗重ねられた漆皮膜が研ぎ破れ、下に
ある他の色漆が現われて変化のある法服が得られる鎌倉
塗等が知られている。

しかしこれらの漆塗においては、素地である杉、桐等の
木目を活用し切れなかった。

本発明は木目を利用して、従来にない模様を有する漆塗
製品を提供する。

次に本発明の一実施例の製造工程を順に説明する。

第１工程・・・杉、ねずこ、桐、檜、翌檜、又はくさま
きの立木を切り倒し、所望長さに切断後、水槽の水に浸す。

第２工程・・・上記材木を天火乾燥せしめる。

第３工程・・・上記材木で手箱、宝石箱、盆、膳、鉢、
なつめ又は花台等の所望形状に木地を形成し、木作りを施こす。

第４工程・・・木地の表面をバーナー等により燃焼し、
たわし等で燃焼炭部を落とし、素地表面に凹凸１を有する焼き木地２を形成する。

第５工程・・・木固め、即ち上記焼き木地２に生漆を一
回刷毛ですり込む。

第６エ程・・・地付け、即ち錆漆を刷毛で引き伸ばし、
箆で押さえ、これを２回繰り返す。

第７エ程・・・地研ぎ、即ち水をつけ水ペーパーと村上
砥薦用研等の砥石で研ぐ。

第８工程・・・たわしで塵を取り除く。

第９工程・・・紅殻漆３ａを塗り、乾燥後砥石で砥ぐ。

第１０工程・・・黒漆３ｂを塗り、乾燥後砥石で砥ぐ。

第１１工程・・・末法３ｃを塗り、乾燥後研石で研ぐ。

第１２工程・・・黒と赤を混合した漆、即ち側法３ｄを
塗り、乾燥後研石で研ぐ。

第１３工程・・・上質の透漆に黒漆を混合した黒ため漆
３ｅを塗り、乾燥後研石で研ぐ。

第１４工程・・・側法３ｆを塗り、乾燥せしめる。

第１５工程・・・砥石４で上記紅殻漆、黒漆、末法、側
法、及び黒ため漆の法要３を木目による凹凸１を利用して、斑点状に、又は曲線状に研ぎ出す。

第１６エ程・・・艶消し、即ち砥粉を刷毛で引き艶を消
し、その上を種油に砥粉を混ぜたものを木綿又は羅沙で磨く。

第１７エ程・・・中法、即ち生漆を三階かける。

第１８工程・・・仕上り、即ち種油と砥粉で磨いて仕上
りとする。

尚、上記第５，６エ程は省略も可能である。

しかして第１工程においては、杉等を水槽の水に浸すこ
とにより、木材の有する木材繊維、樹脂を抜きとり、さ
らに第４工程においてバーナー等により木地の表面を燃
焼せしめ焼き木地を形成することにより、木地表面の余
分の養分を除去せしめる。

これにより焼き木地２表面の水分吸収率を低下せしめ、
多量の漆が焼き木地２表面に吸収されることを防止せし
める。

又焼き木地２に木目凹凸１による模様が形成される６次に第５〜８工程より木固め、地付けの後、地研ぎ、及
び塵を取り除いた後、第９〜１４工程により、紅殻漆、
黒漆、生漆、側法、黒ため漆、及び側法の多層の深層３
を形成せしめる。

尚、この実施例では６層であるが、これに限らず、又塗
色についてもこれに限定されるものでないことは当然で
ある。

次に第１５工程において研石４で研ぐことにより凹部１
ａでは第３図のように深層３は多く研がれなく側法３ｆ
が残り、凸部１ｂでは多くの深層３が研がれて生漆３ｃ
が現われ、かつ凹部１ａと凸部１ｂの中間では側法３ｄ
及び黒ため漆４ｅ等が現われるものである。

又研ぎ方によっては凹凸部１に限らなく平面においても
多色の漆が現わせるものである。

本発明は以上のようなものであるから、次の点の特長を
有する。

１杉等を水に浸して木材繊維、樹脂を抜き取り、かつ
焼き木地２により余分の木材養分を除去せしめた後、深
層３を形成する為、漆を塗った後、温度、湿度の変化に
よるひび割れ、しわ、及びゆがみの原因を一掃せしめ何
十年もの使用であっても寸分の狂いが生じなく高品質の
漆塗製品を提供せしめる。

２漆塗り後研ぎ出すことにより漆表面が平滑で美しく
仕上がる。

３天然の木目による凹凸１により深層３の各色が模様
として現われるものであるので、同一の模様が決して他
に現われなく審美性に優れた漆塗製品を提供せしめる。

４第１５工程での研ぎ方によっては木目の凹凸による
模様だけでなく、人為的にも模様が形成され木目との相
乗効果による審美性が一段と優れたものである。

５製品表面に凹凸１と漆による模様により従来にない
付加価値の高い製品である。

６従来製造方法における道具をそのまま使用できるか
ら、広〈実施できる。

７磨き上げたものであるから使用する程、艶が出て独
特の味が出てくる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の製造製品の全体斜視図、第２図は、
同第４工程による焼き素地の全体斜視図、第３図は同第
１５工程における一部拡大縦断面図である。１・・・凹凸部、２・・・焼き木地、３・・・深層、４
・・・砥石。

Claims

【特許請求の範囲】

１所望形状に成形した木地の面を焼成し該焼き木地に
複数回色漆を塗り、この後接表面を研ぎ漆の層を現わす
ことを特徴とする漆塗製品製造方法。