JPS5840702B2 - コイルの試験方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は低電圧の高周波によるコイルの構造欠陥を検出
する試験方法に関する。

従来、コイル構造の欠陥を検出する方法として、衝撃電
圧試験による方法およびコロナ測定法がある。

前者は電流波形の極微な変化を目視で判別しなければな
らない上に、コイルの外部欠陥による微変化が重畳する
し、後者は、コイル内外部のコロナパルス識別が難しく
、そのうえ前者も後者も定格電圧値以上の過酷な電圧印
加が必要条件であり、コイル絶縁損傷の恐れがある。

本発明は上記に鑑みてなされたもので、コイル絶縁損傷
の恐れもなく、また、コイル内部の欠陥のみを容易に検
出可能なコイルの試験方法を提供することを目的とする
。

以下本発明の一実施例を第１図に示すコイル等価回路お
よび第２図に示す共振特性測定回路を参照しながら説明
する。

供試コイルＴの一端１に高周波発振器５および周波数カ
ウンター６を接続し、また供試コイル７の他端２に供試
コイル７を流れる電流検出用抵抗８、電流検出用抵抗８
０両端間の電圧レベルを読みとるレベル測定器９を並列
に接続する。

供試コイルＩの一例として、多層円筒コイルについて考
えると、導体の抵抗および漏洩コンダクタンスが無視し
得る場合は、供試コイルＩの等価回路は第１図で表わさ
れるから、コイルの単位長当りの分布インダクタンス３
をｌ、分布静電容量４をＣ、コイルの軸方向の長さをＳ
とすると、このときの共振周波数ｆｒは次の様に表され
る。

たたし、ｋは供試コイルの構造によって決まる定数であ
る。

■式にて、ｆｒは変数Ｓ、Ｚ、Ｃの関数であるが、コイ
ルの軸方向の長さＳおよびコイル単位長さ当りの分布イ
ンダクタンスｌがほぼ一定になるように製作されたコイ
ルでは、ｆｒは分布静電容量Ｃのみの関数となる。

例えば、コイルに合成樹脂等の絶縁物を含浸させる場合
、含浸状態の良否によって分布静電容量Ｃが異なるので
、分布静電容量Ｃの関数である共振周波数ｆｒを測定す
ることによって、含浸状態の良否を判別できる。

この場合、各コイルの分布静電容量Ｃを容量測定ブリッ
ジ等で測定して含浸状態の良否を判別できそうであるが
、実験の結果詳細は省くが合成樹脂の含浸状態の良否を
判別できる程の各コイル容量差は認められなかった。

このため供試コイルの分布インダクタンスｌと分布静電
容量Ｃの周波数特性を測定して、コイ４浸絶縁物の欠陥
の有無による各コイル特性差の犬なる領域の周波数また
は周波数帯を用いるようにした。

また、ｆｒｏ ；含浸絶縁物が全く含浸してないコイル
の共振周波数 ｆｒｌ ；含浸絶縁物が完全に含浸しているコイルの共
振周波数 ｆ ｒ ｘ ｓ含浸絶縁物が一部含浸してないコイルの
共振周波数 としてコイルの含浸絶縁物の含浸欠陥率ｑをと定義すれ
ば、含浸状態を定量的に把握できる。

−測定例を以下に説明する。

第２図にて、高周波発振器５を操作して、供試コイル７
に数ボルト程度の高周波を印加しかつ可変して供試コイ
ルＩに流れる電流を検出する抵抗８０両端間の電圧レベ
ルをレベル測定器９にて測定する。

またこの時の周波数を周波数カウンター６にて読みとる
。

レベル測定器９０針の振れが最大のとき供試コイル７に
流れる電流が最大、すなわち、供試コイルＴのインピー
ダンスが最小であり、針の振れが最小のとき、供試コイ
ル７に流れる電流が最小、すなわち、供試コイルＴのイ
ンピーダンスが最大となり、この時の周波数カウンター
６の読みが供試コイル７の共振周波数を示す。

第４図に同形式コイルの合成樹脂含浸欠陥有無の場合の
周波数特性を示す。

１３は含浸絶縁物が完全に含浸しているコイルの周波数
特性、１４は全く含浸していないコイルの周波数特性で
ある。

第３図は、同形式のコイル８個について共振周波数をプ
ロットしたもので、記号１０は含浸絶縁物が完全含浸し
ているコイル、記号１２は不完全含浸のコイルのそれぞ
れ共振周波数およびレベルを表し、両者の間の破線１１
は含浸欠陥有無の境界共振周波数を表す。

一様に製作したコイルに含浸絶縁物を含浸させた場合の
含浸完全、不完全による共振周波数は、含浸不完全の場
合、含浸完全の場合に比して分布静電容量が減少して高
くなるから、破線１１の右側領域に入る。

従って同形式のコイルについて含浸の完全、不完全品を
選別するには１．前もって境界周波数１１を測定してお
いて、共振周波数を測定するだけの簡単な操作で済む。

また、コイルの短絡試験等でコイルに変形を生じた場合
に変形を生じた箇所の分布インダクタンスおよび分布容
量が変化するよら健全品との共振周波数の比較または短
絡試験等の前後のコイルの共振周波数の比較にてコイル
の変形有無を検証できるし、コイルの段数の過不足やズ
レについても同様に検証できる。

本発明は以上説明のようにコイル内部の分布インダクタ
ンスと分布静電容量の共振特性を測定する試験方法であ
るため、コイル外部の影響を受は難く、周波数カウンタ
ー精度程度の高精度測定ができること、測定操作が簡単
なこと、高電圧印加の必要が無く数ボルト程度出力の高
周波発振器使用という極めて低電圧印加で済むからコイ
ル絶縁損傷の恐れが無いうえに人身に安全でもあること
等の利点があり、したがってコイル内部欠陥検証の現地
測定ができることやコイル単体に限らず変成器または変
成器セットのコイル状態でもコイル両端子が使用できる
状態であればコイル内部欠陥検証ができるという効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第４図は本発明によるコイルの試験方法を説
明するための図で、第１図はコイルの等何回路、第２図
はコイルの共振特性測定回路、第３図はコイルの含浸絶
縁物の含浸欠陥有無選別の一例、第４図はコイルの共振
特性曲線の一例である。 ５・・・高周波発振器、６・・・周波数カウンター、７
・・・コイル、８・・・コイルを流れる電流検出用の抵
抗、９・・・レベル測定器。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 供試コイルに低電圧の高周波を印加しかつ変化させ
   て上記供試コイル固有の分布インダクタンスと分布静電
   容量によって決まる共振周波数を測定し、この共振周波
   数により前記供試コイルの構造の欠陥を検出することを
   特徴とするコイルの試験方法。