JPS5840375Y2 - 動力伝動用変速プ−リ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車、自動二輪車、農業機械、その他一般産
業機械の駆動装置に使用する変速プーリに関するもので
、相対向する一対のＶ形プーリ片のうち片方を軸に固定
し、他方を回転方向及びスラスト方向に回転及び移動可
能に取り付けると共に、可動プーリ片の側方にストッパ
ーを取り付け、前記可動プーリ片とストッパーの間に走
行中に生ずるトルクによって常に巻き緩む如くコイル状
スプリングを介挿係止し、可動プーリ片をスプリングで
押圧し、スプリングを介してシャフトとプーリ片とが回
転方向に結合する如く取付け、形成した変速プーリにお
いて、前記可動プーリ片側方に抑圧用金具を付設し、前
記可動プーリ片との間に弾性体によりクッション作用を
有せしめて両者を一体に連繋し、かつ該金具を押圧用治
具によりベアリングを介して抑圧可能とすることにより
、ベルト駆動中に、動力を伝動すると共に、可動プーリ
片の側方を外部より適宜押圧又は引き戻して軸方向に移
動させ、駆動プーリもしくは従動プーリに取り付けた変
速プーリの有効径を変化せしめることを目的としたもの
である。

通常の変速プーリは一般的構成として一対の■形変速プ
ーリ片でＶベルトを挾み、ベルト側面をスプリングの押
圧力により一方又は両方のプーリ片が軸の回転方向に対
しては空転を阻止し、軸のスラスト方向には一方又は両
方のプーリ片が可動し得るように、スプライン又はキー
溝が形成されているが、このようにスプラインやキー溝
を形成することは材料費及びに加工費が高いなどの問題
と共にスプラインやキ一部に応力を生じ、その部分の摩
擦による発熱、摩耗等により早期に破損する欠点を有し
ている。

一方、実公昭５２−３５４１２号公報により一方の可動
プーリ片をコイルスプリングを介して取り付けたＶ形変
速プーリが提案されているが、これはコイルスプリング
が回転によって巻き締めされる方向に捲回され、かつ、
スプリングの両端は可動プーリ片及びその側方に取り付
けられた軸筒に凹穴を設け、夫々の凹穴にスプリング先
端部を折り曲げて係合されているものであり、トルク変
動によって生ずる可動プーリ片の正逆回転の繰り返し運
動によりスプリング先端の係合部が屡々折損する問題を
避けられない。

そのため、本考案者はかねてより変速プーリの改良を企
図し、前記スプラインやキー溝を形成しない改良方式に
関し検討を重ね、さきにはブツシュを使用することを提
案し、又、一対の■形プーリ片のうち、片方もしくは双
方の可動プーリ片をスプラインやキー溝などの嵌合固定
部を有しない状態で、プーリ片と軸との間で自由にスラ
スト方向及び回転方向に可動可能とすると共に、夫々の
可動プーリ片とシャフトとの接触部を焼付の少ない鋳鉄
もしくはバードクロムメッキで構成し、かつ、夫々の可
動プーリ片と該プーリ片側方に配置固定せるストッパー
に溝もしくは突起で構成される係止部を設け、前記可動
プーリ片とストッパーの間にコイルスプリングを介挿し
、スプリングが可動プーリ片の回転により常に巻き緩む
方向に回転すべくスプリング両端部を前記溝に簡単に嵌
合係止するか、又は突起部に接圧係止せしめた変速プー
リを提案した。

本考案は、更にそれら一連の試みを発展させたもので、
前記変速プーリがスプリングを介して可動プーリ片と軸
との間の動力伝達を行なうのに対し、これに付加して可
動プーリ片をプーリ側方より押圧する抑圧用金具を設け
、かつ、これをスプリングによる可動プーリ片に対する
側圧には関係なしに抑圧、離反する抑圧用治具を更に別
途設けて、押圧用治具による押圧、離反操作により可動
プーリ片を押圧又は離反し、可動プーリ片の押圧力分散
を図り機械的所要強度を相対的に軽減して高負荷、高速
伝動用の用途に適合せしめた構成に特徴を有するもので
ある。

なお、本出願人は本考案に類するものとして、さきに別
途提案実開昭５７−１２２８４８号公報（実願昭５６−
４７９０号）をもってプーリ溝巾を開くとき、ベルトの
走行中に有するベルト張力によって生ずるプーリに対す
る側圧によってスプリングのスプリング力に抗して可動
プーリ片を移動せしめてプーリ溝巾可変具の端部と接す
るまで移動し、その位置でプーリ巾が定まる如くなした
変速機構を提案しているが、この場合には、必要な要件
として、ベルト張力によって生ずるベルトによるプーリ
に対する側圧と、スプリングとによって生ずる側圧との
関係が常に前者が後者より犬でなければならないことが
望まれる。

換言すれば、ベルト走行中に生ずる負荷に対して必要な
側圧をＰｏ、該側圧に対してスプリングによって生ぜし
ぬる側圧をＰとするとき、Ｏ１２Ｐｏ ＜Ｐ＜ ０．９
Ｐ。

とすることが必要であるが、伝動機構においては、プー
リ上におけるベルトの有効径が大きいときと、小さいと
きとで、プーリ（こ生ずるトルクが、馬カ一定である場
合、又はトルク一定である場合などによって異なること
があり、上記条件を満足したとしてもプーリ上における
ベルトの有効径が大きいときと、小さいときでＰが大き
な範囲になることが避けられない。

例えばＰが０．２Ｐｏ程度になると、当該方式からスプ
リングにかかるねじれトルクで、スプリングの捩れ量が
大きくなり、スプリングの耐久性に影響するのは勿論の
こと、伝達能力及び伝達効率の低下は避けられない。

従って、前記本考菓装置は、かかる点をも解消しスプリ
ングによる可動プーリ片に対する側圧とは無関係にベル
トに側圧を与え、あるいは、スプリングによる側圧に抗
してプーリ巾を可変とし、Ｐ ＞ Ｐ ｏであっても実
用に供し得る如くなしたものである。

以下、本考案変速プーリの実施例を更に添付図面に従っ
て詳述する。

第１図は本考案に係る変速プーリの一例を示すもので、
図において１は軸Ｓ外周にキー１３を介しボルト１２に
より、更に延長円筒部内において他のボルト１５により
軸Ｓに固定されたＶ形プーリ片、２は該プーリ片１と相
対向する位置に取り付けられた他方の可動プーリ片で、
この可動プーリ片２は軸回転方向に回転し、スラスト方
向（軸方向）に移動し得るよう、図では前記固定プーリ
片１の延長円筒部であるが、該円筒部又は軸Ｓに嵌装さ
れており、その可動プーリ片の外面には前記延長円筒部
を包囲する段状ボス部が形成されていて、可動プーリ片
２の延長円筒部左側部上に回転止め用キー１６を介しス
トップリング１７により固定されたストッパー６の段部
との間に反撥弾性を有するコイルスプリング４が介装・
押圧されて前記可動プーリ２を軸線方向に移動できる構
成となっている。

図中、１４はオイルシールである。

なお、前記スプリング４は断面円形の丸形スプリングで
もよいが、耐久性、負荷伝達効率の面から断面長方形状
の角形スプリングを用いるのが好ましく、これらは可動
プーリ片２の段状ボス部及びストッパー６の段部内面に
突起５，５′を設け、スプリング４の先端部を単に該突
起５，５′に接圧することにより係止されている。

しかし、この係止部は突起５，５′に限らず、溝を形成
し、これに嵌入押圧せしめて係止させてもよい。

一方、前記可動プーリ２とストッパー６との間のスプリ
ング４を囲繞し、固定プーリ１の延長円筒部上又は軸Ｓ
上に回転方向ならびにスラスト方向に可動自在なように
可動プーリ片押圧用金具７が設けられており、この金具
７の外側段部にはベアリング９が内装設置されて、その
外方に設けられた押圧治具により外部より押圧されるよ
うになっている。

この押圧治具は図示のように抑圧用金具Ｔ内のベアリン
グ９を介して軸Ｓと同心で連結される可変用シャフト２
２と、中間に回動支軸をもち、上部に把持部、下部にベ
アリング抑圧部をもつアーム部材８からなり、アーム材
抑圧部側は可変用シャフト２２内に挿入されて内部の押
圧部１０．１１に押圧、あるいは戻し時に当接する仕組
となっている。

図中、１ Ｂ 、 １８’は摺動部におけるグリス溜で
ある。

又、前記の構成において可動プーリ片２と可動プーリ片
押圧用金具７との取付に際しては両者の間及び可動プー
リ片押圧用金具７と留金２０との間に夫々ゴム、ウレタ
ン樹脂材、合成樹脂材、金属はねなどからなる弾性体１
９ 、１９’が介装され、これを介してクッション作用
下に留金２０及びポル）２Ｌ２１’により結合され、取
付けがなされている。

次に、前記実施例についてその変速プーリの作動を説明
すると、先ず２つのＶ形プーリ片１，２により形成され
るＶ溝中にＶベルト３を係架し、ベルトにより動力を伝
達させるとき、ベルトとＶ形プーリ片１，２との間で回
転トルクを発生する。

そのトルクは、Ｖ形プーリ片１，２に設けられたスプリ
ング係止部、例えば突起５によりスプリング４を介し、
かつ、スプリング押えのストッパー６に設けられた係止
部、例えば突起５′を通じてストッパー６に伝わり、キ
ー１６を通じて軸Ｓに伝わる機構となっている。

一方、又、逆に軸側からすれば、軸Ｓよりストッパ−６
→突起５′→スプリング４→Ｖ形プーリ側突起５→■形
プーリ片１，２→ベルト３と動力を伝達することができ
るのである。

そして、上記動力伝達において、前記スプリング抑圧に
よる調整の外に、更に可動プーリ片を強制的に移動させ
るための押圧用金具７を押圧治具によりそのアーム部材
８及び可変用シャフト２２を介して外部より軸方向に移
動させ、可動プーリ片２の側方を適宜量、抑圧又は引き
戻して適宜、軸方向に移動させることによりＶ溝中のＶ
ベルト３の有効径を適宜変化させ得ることは本考案の特
異とするところである。

この場合、外部より押圧するにあたり、前記抑圧用金具
７と外部よりの可変用シャフト２２との間の回転時の直
接的フリクションを除くためにベアリングが介設されて
おり、従って、該ベアリングを介して押圧される。

なお、上記伝動において可動プーリ片２と可動プーリ片
押圧用金具７とが弾性体を介してクッション効果をもっ
て結合されている事から、回転の起動時等に於ける衝激
等を吸収すると同時に、プーリの加工精度面で弾性体の
変形による逃げ効果により許容巾を大きくする事が可能
となる。

又、可動プーリ片２をスプリング４であらかじめ押圧し
ているため、その分だけ可動プーリ片押圧用金具７によ
り押圧する力は大巾に低減できる事も他の有利な１つの
利点がある。

即ち、スプリングにより可動プーリ片２を押圧する力が
、走行時において必要なプーリ側圧を選定することによ
り、スプリングによる側圧と、プーリ溝中のベルトによ
り生ずる反撥力とはシバランスのとれる状態であれば、
可動プーリ片押圧用金具により可動プーリ片を押える力
はより小さな力で可能となる。

第２図乃至第５図は前記本考案に係る変速プーリを使用
した種々の伝動機構の態様を示したもので、大別して本
考案変速プーリを駆動プーリとして用いる場合（第２図
及び第３図）、従動プーリとして用いる場合（第４図及
び第５図）に分類される。

以下、夫々の態様について説明する。

図中、実線は高速時、点線は低速時を示す。

（１）本考案プーリを駆動プーリＤｒとして用いるとき
、 （イ）従動ブー’ＪＤｎが固定プーリであるときは、第
２図の如く駆動ブー’ＪＤｒと従動プーリＤｎとの間に
スプリング２３により支持され、支軸ピン２４を支点と
して回動可能なテンションプーリ２５を設けることによ
り前述の押圧用金具により可動プーリ片を移動させ変速
させることができる。

（０） 従動ブー’ＪＤｎが一般のスプリング式変速
プーリであるときは、第３図に図示するように本考案の
変速プーリＤｒのＶ溝中におけるＶベルト３の有効径を
変化させればこれに応じてスプリング式変速ブー’ＪＤ
ｒ中におけるベルトの有効径が変化して回転比が変化す
る。

（２）本考案プーリを従動ブー’ＪＤｎとして用いると
き、 （イ）駆動ブー’ＪＤｒが固定プーリであるとき、第４
図の如く第２図に対応し、スプリング２３′により支持
され、支軸ピン２４′を支点として回動可能なテンショ
ンプーリ２５′を設けることにより、可動プーリ片を移
動させ、変速させることができる。

０）駆動ブー’ＪＤｒが公知のスプリング式変速プーリ
であるときは、第５図に図示するようにＶベルト３の有
効径を変化させ、回転比を変化させる。

しかして、上記各方式中、特に本考案変速プーリによる
伝動機構として好適なものは（１）及び（２）の各０）
に示す所謂、ダブル変速プーリ機構である。

本考案は以上説明した如く、スプリングを介して可動プ
ーリ片と軸との間の動力伝達を行なうものであると共に
、更に、可動プーリ片をプーリ片側方よりベアリングを
介して外部より押圧治具で強制的に押え込み、可変とす
る構成からなるもので、従来一般に実用に供されている
公知の方式に比較し、スプラインやキーなどによる軸と
の一体化を必要とせず、軸とプーリ内面との摺動部の耐
久性を著しく向上させると同時に、押圧用金具の存在に
より可動プーリ片を押圧するに要する力を分散し、しか
も、可動プーリ片を押圧治具で押圧するに要する力の一
部を予めスプリングで可動プーリ片の側部を押圧するよ
うにしているので、可動プーリ片押圧用金具に与える押
圧力を軽減することができ、更に、可動プーリ片と可動
プーリ片押圧用金具とを留具で弾性体を介して連結し、
ベアリングを介して可変用シャフトと連結しアーム部材
で抑圧又は引き戻しを行なうことによって、押圧でベル
トに側圧を与え、引き戻しでスプリングに抗してプーリ
溝巾を変化させるようにしたため、スプリングによって
生せらしぬる側圧がベルト走行中に生ずる負荷に対して
必要な側圧を上廻ることがあっても、これに関係なく伝
達機能を果すことができて実用上の向上をもたらし、殊
に前記弾性体の使用により起動時における衝撃吸収の外
、プーリ加工精度面での許容度を大とする効果を有し、
又、ベアリングの存在により回転時の直接的フリクッシ
ョンを除き、構造上、機械的所要強度の軽減はもとより
、安価で、かつ、高負荷、高速伝動用の用途に適した変
速プーリを提供することができ、全体的に本考案は頗る
実用性に富み、動力伝達に顕著な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る変速プーリの一例を示す横断面概
要図、第２図乃至第５図は本考案変速プーリによる各種
伝動機構例を示す暗示説明図である。 １・・・・・・固定プーリ片、２・・・・・・可動プー
リ片、３・・・・・・Ｖベルト、４・・・・・・スプリ
ング、５，５′・・・・・・スプリング係止部（突起）
、６・・・・・・ストッパー ７・・・・・・プーリ片
押圧用金具、８・・・・・・アーム部材、９・・・・・
・ベアリング、１２，１５，２１・・・・・・固定ボル
ト、１３，１６・・・・・・キー １９ 、１９’曲・
・弾性体、２２・・・・・・可変用シャフト、 Ｓ・・・・・・軸。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １、軸に固定プーリ片及び可動プーリ片からなるＶ形変
   速プーリの固定プーリ片を固定し、一方、軸又は前記固
   定プーリ片の軸方向への延長円筒部を摺動軸としてその
   軸上に可動プーリ片をスラスト方向及び回転方向に可動
   的に取り付け、かつ、前記可動プーリ片と該プーリ片側
   方にキーを介し固定したストッパーとの間に、夫々に設
   けた回転係止部によりスプリングを介挿せしめてなると
   共に、前記軸又は固定プーリ片の軸方向延長円筒部上に
   更に前記可動プーリ片を軸方向に押圧する回転方向及び
   スラスト方向に可動自在な可動プーリ片押圧用金具を前
   記可動ブーり片との間に弾性体を介して一体に設け、該
   金具外側に段部を形成してベアリングを内装する一方、
   その側方に前記ベアリングを押圧する治具を設け、かつ
   該治具のベアリング押圧及び引き戻しによる可動プーリ
   片押圧用金具の移動を可能とし、該移動量に応じて両プ
   ーリ片間のＶ溝巾を変化させ、Ｖ溝巾に巻き掛けられた
   Ｖベルトの有効巻掛径を変化させる如くなしたことを特
   徴とする動力伝動用変速プーリ。 ２、可動プーリ片とストッパーとの間に介挿されたスプ
   リングが動力伝達時、常に巻き緩む方向に設置されてい
   る実用新案登録請求の範囲第１゜項記載の動力伝動用変
   速プーリ。 ３、スプリングが断面長方形状の角形スプリングである
   実用新案登録請求の範囲第１０項又は第２゜項記載の動
   力伝動用変速プーリ。 ４、可動プーリ片押圧用金具と可動プーリ片とをゴム、
   ウレタン材、合成樹脂材及び金属ばねから選ばれた弾性
   体を介して抑圧及び引張方向に結合した実用新案登録請
   求の範囲第１６項、第２゜項又は第３０項記載の動力伝
   動用変速プーリ。