JPS583866B2 - 全油圧式パワ−ステアリングのバルブ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、全油圧式パワーステアリングのバルブ装置に
関する。

従来、トラクタ等の各種の車両に用いられるパワーステ
アリングにおいて、ブースタータイプではブースタを取
付けるスペースに苦慮すると共にインテグラルタイプで
はビットマンアームがあってキャビン形状に適合しにく
いといった問題があった。

そこでステアリングシャフトの下端部にバルブ装置及び
メジャリングポンプ等を一体に取付け、パワーシリンダ
とは油圧チューブ等で単に連結するのみで上記各タイプ
の欠点を解決する全油圧式パワーステアリングが最近多
用されるようになってきたが、しかし、これに使用され
るバルブ装置は極めて構造の複雑で、加工も困難で、故
障率も高いものであるという多大の欠点を有していた。

本発明は、これらの問題点を解決し、簡易な構造で安価
かつ容易に製作でき、故障の少い全油圧式パワーステア
リングのバルブ装置を提供することを目的とし、従って
、本発明の特徴とするところは、バルブボデイの内周面
と、中心にステアリングシャフトが貫挿された回転スプ
ールの外周面とは回動自在に嵌合され、該内周面と該外
周面との間に、該スプールを中立位置に弾発付勢する中
立弾発保持機構を設けると共に、上記ステアリングシャ
フトの左右回動に対応して上記スプールのポートを上記
中立弾発保持機構に抗して選択的に切換えるセレクタ機
構を、上記ステアリングシャフトと上記スプールとの間
に介装したところにある。

以下、図示の実施例にもとづいて本発明を説明する。

第１図、第２図において、１は車両であり、２はその前
輪、３はナックルアーム、４は左右のナックルアーム３
，３を連結するタイロツド、５は該タイロツド４を作動
すべくその中途部で連結された揺動腕であり、パワーシ
リンダ６によってこの揺動腕５が支軸７廻りに揺動され
る。

８はステアリングハンドルであって、ステアリングシャ
フト９の上端に固着され操舵時に左右に回動されるので
あり、このステアリングシャフト９の下端部は、バルブ
装置１０とメジャリングポンプ１１等を内有する油圧ケ
ース１２内に挿嵌状とされ、この油圧ケース１２内にお
いて軸受１３で回動自在にステアリングシャフト９が枢
支されている。

しかして、この油圧ケース１２はケース本体１４と蓋体
１５とから構成され、かつ、該ケース本体１４は、回転
スプール１７を内有するバルブボデイ１６を兼用する。

また、１８はオイルタンク、１９はギヤポンプ等の油圧
ポンプであって、パワーシリンダ６を作動させるに十分
な圧力を発生する。

そして、油圧ケース１２のバルブボデイ１６部分とタン
ク１８とはもどり油路２０で連結され、タンク１８と油
圧ポンプ１９とは吸込油路２１により連結され、さらに
油圧ポンプ１９から吐出される圧油は吐出油路２２によ
り油圧ケース１２の蓋体１５に連結されている。

さらに、２３，２４は各々パワーシリンダ６のロツド側
、ピストン側と、バルブボデイ１６とを連通するシリン
ダ油路である。

しかして、第２図乃至第６図に示す如く、バルブボデイ
１６の内周面１６ａと、回転スプール１７の外周面１７
ａとは相互に回動自在に嵌合され、該内周面１６ａと該
外周面１７ａとの間に、スプール１７を中立位置に第４
図のように弾発付勢する中立弾発保持機構２５が設けら
れている。

具体的には、内周面１６ａの一部に円弧状切欠溝部２６
が形成され、さらに外周面１７ａから突出状にこの切欠
溝部２６に突入する突出片２７が、回転スプール１７に
植込み等で固着されると共に、第４図のようにこの突出
片２７が円弧状の溝部２６の２等分中央位置に弾発付勢
するスプリング部材２８，２８が内有されている。

しかして、第３図と第２図において、ステアリングシャ
フト９の左右回動に対応してスプール１７のポートを上
記中立弾発保持機構２５に抗して選択的に切換えるセレ
クタ機構２９が、ステアリングシャフト９と回転スプー
ル１７との間に介装されている。

具体例では、回転スプール１７の上方凹所３０内に、所
定円周間隔をもって、三角状凹凸歯３１を外周面に有す
る係止盤３２が内嵌され、さらにキー３３等によりこの
係止盤３２はステアリングシャフト９と一体に固着され
ていると共に、他方、凹所３０の内周面３０ａには、ス
プリング３４により内方突出状に弾圧付勢される任止片
３５が設けられ、対応する上記凹凸歯３１に係合して、
係止盤３２の左又は右方向の回動につれてバルブボデイ
１６が同方向に回動させられるのであるが、前述の如く
バルブボデイ１６の回動には、中立弾発保持機構２５に
て、所定角度以上は大きな反発力を生じるため、このよ
うな大きな角度になれば、凹凸歯３１と係止片３５とが
相互にスリツプして空転すべくスプリング３４が押圧さ
れて係止片３５が外径方向に押圧されるように構成され
ている。

なお、この凹凸歯３１を凹所３０側に設け、係止片３５
をステアリングシャフト９側に設けるも自由である。

しかして、ステアリングハンドル８を回動させない状態
である第４図の中立位置においては、吐出油路２２から
回転スプール１７の外周面１７ａまで油路３６，３７に
より圧送されてきた圧油もブロツクされた状態とされ、
メジャリングポンプ１１には送られないが、第５図の如
くステアリングシャフト９が左に回動すれば、セレクタ
機構２９を介して、係止片３５と係止盤３２とが所定ト
ルクで空転するまで回転スプール１７は回動し、もって
、矢印Ｃ，Ｄ，Ｅ，Ｆ，Ｇ，Ｈのように圧油がシリンダ
６のピストン側に送られ、ロツド側からは、矢印Ｊ，Ｋ
，Ｌ，Ｍのように流れてタンク１８に還流すべく、スプ
ール１７とバルブボデイ１６の各ポートが切換られる。

逆に、第６図のように右方向にステアリングシャフト９
が回動させられると、上述とは逆方向に矢印Ｎ，Ｐ，Ｑ
，Ｒ，Ｓ，Ｔのようにシリンダ６のロンド側に圧油が送
られ、シリンダ６のロンドは前記の場合と逆方向に作動
し、もどり油は、Ｕ，Ｖ，Ｗのように流れるように、ス
プール１７とバルブボデイ１６の各ポートが切換られる
。

なお、メジャリングポンプ１１としてはトロコイドポン
プ等が用いられ、ステアリングシャフト９０回転数に正
比例して油量を計測しつつシリンダ６に圧油な送る作用
をなす。

以上、詳説した如く、本発明に係る全油圧式パワーステ
アリングのバルブ装置は構成されているため、所期目的
を有効達成でき、構造が簡素で故障が少く長寿命であり
、安価にかつ容易に製作でき、著大な効果を有するもの
である。

もちろん、このような構成により、操舵力は著しく軽減
でき、全油圧式パワーステアリングを車両に容易に使用
可能とすることにより、全油圧式の長所が生かされ、ビ
ットマンアームが無くなるからキャビンを作り易くなり
、ステアリングハンドルをチルト可能とし、さらに、チ
ェックバルブを油圧回路に介装してエンジン停止時でも
すえ切り可能とすることも容易である。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示し、第１図は油圧回路兼全
体構成図、第２図は断面側面図兼油圧回路図、第３図は
第２図のＡ−Ａ断面図、第４図、第５図及び第６図は各
々中立位置、左旋回位置、右旋回位置を示す第２図のＢ
−Ｂ断面図兼油圧回路図である。 ９・・・・・・ステアリングシャフト、１６・・・・・
・バルブボデイ、１６ａ・・・・・・・内周面、１７・
・・・・・回転スプール、１７ａ・・・・・・外周面、
２５・・・・・・中立弾発保持機構、２９・・・・・・
セレクタ機構。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ バルブボデイ１６の内周面１６ａと、中心にステア
   リングシャフト９が貫挿された回転スプール１７の外周
   面１７ａとは回動自在に嵌合され、該内周面１６ａと該
   外周面１７ａとの間に、該スプール１７を中立位置に弾
   発付勢する中立弾発保持機構２５を設けると共に、上記
   ステアリングシャフト９の左右回動に対応して上記スプ
   ール１７のポートを上記中立弾発保持機構２５に抗して
   選択的に切換えるセレクタ機構２９を、上記ステアリン
   グシャフト９と上記スプール１７との間に介装したこと
   を特徴とする全油圧式パワーステアリングのバルブ装置
   。