JPS5837081B2 - 工作機械の主軸装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は工作機械の主軸（スピンドル）装置に関し、特
に多種の工作機械に適用して工作機械の作業性能を著し
く向上させることのできる主軸装置に関する。

たとえば金型加工用工作機械の場合に工作物は大寸法に
亘るものが多く、材質も硬く、しかも形状が起伏に富む
複雑な形状であって削り代が多い。

従って従来の主軸装置を有した工作機械を用いて金型加
工をおこなう場合には金型の深掘り加工等に際して主軸
頭内のタイルを突き出して工具主軸（加工工具が取付け
られる主軸）を深溝部分等に到達させて加工作業をおこ
なわせる構造が採られているが、タイルの出し入れ案内
面におげる嵌合ガタ等のために高精度の主軸動作が得に
くくなったり、タイル自体が工作物の上部に当接して工
具主軸を深溝底部まで届かせることが困難になる等の不
都合が発生する場合がある。

更に主軸剛性が低いという欠点もあった。

また、従来の主軸装置を有した工作機械の場合には低速
重切削加工作業から高速仕上げ加工作業までの一連の加
工作業を一台の機械でおこなおうとすると、低速重切削
後に増連用アタッチメントを工具主軸に取付けて高速仕
上げ加工をおこなわなげればならない煩わしさがあり、
一方低速重切削後に別の高速形工作機械に工作物を載せ
替えて仕上げ加工をする方法では同じく位置決め作業等
のために煩わしさが伴いかつ加工精度も低下しがちにな
る。

本発明の主たる目的は上述した従来の主軸装置を有する
工作機械に伴う不都合や欠点を解消することのできる主
軸装置を提供することにある。

本発明の他の目的は上述した主目的に鑑みて加工工具の
取付けられる工具主軸自体が軸線方向に移動可能である
と共に高い剛性度を保有することができるような主軸装
置を提供することにある。

本発明は更に低速重切削加工作業から高速仕上げ加工作
業までの一連の作業を１台の工作機械で連続的に達成す
べく工具主軸回転速度の可変範囲、を広くし、しかも高
い主軸剛性を維持できる主軸装置を提供することも目的
とするものである。

また更に本発明の他の目的は、ベルト装置や歯車装置を
使用せずに主軸駆動用モータの回転子と固定子とを主軸
装置のハウジング内に組み込んで直接主軸に回転力を与
えることができるコンパクトな構造を有した主軸装置を
得ることである。

本発明によれば、主軸装置のハウジングを設け、この・
・ウジングに回転可能でかつ軸線方向移動可能に支持さ
れた工具主軸と、該工具主軸に作用するラジアル荷重を
受ける静圧流体軸受および転がり軸受からなるラジアル
軸受部と、前記工具主軸に作用するスラスト荷重を受け
る静圧流体軸受および転がり軸受からなるスラスト軸受
部と、該スラスト軸受部を工具主軸の軸線方向に移動さ
せる装置と、前記静圧流体軸受に圧力流体を供給する装
置と、前記工具主軸を回転させる装置とを設け、前記工
具主軸に作用する荷重が小さいときは前記工具主軸が前
記静圧流体軸受で主に回転し、また前記工具主軸に作用
する荷重が太きいときは前記工具主軸が前記転がり軸受
で主に回転するとともに前記スラスト軸受部を前記工具
主軸の軸線方向に移動させることにより、前記ラジアル
軸受部の静圧流体軸受を案内面として前記工具主軸を軸
線方向に移動させるようにしたことを特徴とする主軸装
置が提供されるものである。

以下、本発明を添付図面に示した実施例に基づき詳細に
説明する。

第１図は本発明の一実施例として静圧流体軸受と転がり
軸受とを組み合わせたラジアル軸受部およびスラスト軸
受部を持ち、かつ工具主軸を回転させるモータの回転子
と固定子をハウジングに組み込んで直接工具主軸を回転
駆動し得るようにした主軸装置の断面図である。

第１図において、下部ラジアル軸受部２は、ハウジング
１の下方に挿入された２個１対の転がり軸受５０と、こ
の１対の転がり軸受５０の内周に挿入された軸受環３と
、軸受環３に漏れなく圧力流体を供給するための流体供
給環５１とで基本的に構成されている。

上記の１対の転がり軸受５０は間座５２，５３を介して
下部押え金５４および上部押え金５５でハウジング１に
押え固定されており、また軸受環３は押え金５６で上記
１対の転がり軸受５０の内輪がわに押え固定されている
。

流体供給環５１は押え金５４の内周案内面５７を軸線方
向には移動可能でかつ回転方向にはピン５８で回わり止
めされるように挿入されている。

同様にして上部ラジアル軸受部４は、ハウジング１に挿
入された２個１対の転がり軸受５９と、この１対の転が
り軸受５９の内周に挿入された軸受環５と、軸受環５に
漏れなく圧力流体を供給するための流体供給環６０とで
基本的に構成されている。

上記１対の転がり軸受５９は間座６１，６２を介して上
部押え金６３および下部押え金６４でハウジング１に押
え固定されており、また軸受環５は押え金６５で１対の
転がり軸受５９の内輪に押え固定されている。

流体供給環６０は押え金６３の内周案内面６６を軸線方
向には移動可能で、かつ回転方向にはピン６７で回わり
止めされるように挿入されている。

工具主軸６は両ラジアル軸受部２，４との間にそれぞれ
適切な微小間隙７，８たとえば０．０１ｍｍ間隙を持っ
て軸受されている。

一方、工具主軸６に作用するスラスト荷重を受けるスラ
スト軸受部９は、サポート１０の中に間座１１を介して
軸受板１２，１３を上部の押え蓋１４によって押え固定
した部分と、工具主軸６に２個１対の転がり軸受６８と
受圧円板１７とをナット１８で固定した部分とで構成さ
れる。

この場合に、軸受板１２．１３はそれぞれピン１５，１
６で究極的に上記サポート１０に対し回転しないように
固定されている。

また受圧円板１７と両軸受板１２，１３との間にはそれ
ぞれ微小間隙１９，２０たとえば０． ０ １ ｍｍ間
隙を有するように調整されている。

スラスト軸受部９を工具主軸６の軸線方向に移動させる
装置は、送りモータ２１，一対の歯車２２，２３、送り
ねじ２４および移動台２５により構成されている。

またサポート１０に固着された移動台２５は、ハウジン
グ１０案内面２６を介して該ハウジング１に対して軸線
方向へ摺動可能に取り付けられている。

送りねじ２４は軸受箱２７により回転自在にハウジング
１に取り付けられており、送りねじ２４のおねじ部２８
は移動台２５のめねじ部２９にねじ込まれて送りねじ機
構を形成している。

一方、送りねじ２４の一端に取り付けられた上記歯車２
３は、送りモータ２１の軸に取り付けられた歯車２２と
噛み合っている。

従って送りモータ２１の回転駆動により歯車２２，２３
を介して送りねじ２４が回転駆動され、よってねじ部２
９を有する移動台２５の上・下方向の移動がモータ２１
の回転方向に対応して発生する。

圧力流体は圧力流体発生装置３０からフィルタ３１，圧
力調整弁３２および圧力計３３を通り、導管３４により
ラジアル軸受部２，４およびスラスト軸受部９の圧力流
体供給孔３５，３６，３７，３８に導かれる。

また圧力流体は圧力調整絞り弁６９と７０および導管γ
１と７２とを通り、定圧化されてからラジアル軸受部２
，４の圧力流体供給孔７３と７４とにそれぞれ導かれる
。

さて、工具主軸６を回転させる装置は、公知のベルト機
構または歯車機構からなる回転駆動装置を工具主軸６に
接続しても良いが、本実施例においては、ハウジング１
に嵌め込み固定されたモータの固定子７５と、ハウジン
グ１に固定された軸受箱７６，７７に軸受７８，７９を
介して回転自在に取付けられたモータの回転子８０とで
構成されている。

即ち、固定子７５の励磁によって回転子８０を可変速度
で回転させるのである。

このとき工具主軸６のスプライン部８１が回転子８０の
スプライン穴８２に挿入されているので、回転力が伝達
されるとともに工具主軸６は別の送りモータ２１の作用
で軸線方向にも移動可能である。

また、工具主軸６の下端に形成されたテーパ孔３９は加
工用工具（図示なし）を装着・把持するためのものであ
り、通常は加工工具の末端と係合する引き棒が工具主軸
６の中心孔中に設けられる。

上述の構成を有した主軸装置の作用、効果を以下に説明
する。

圧力流体発生装置３０から圧力流体がラジアル軸受部２
，４の各圧力流体供給孔３５，３６，７３，７４に供給
されると、流体供給環５１，６００流体通路８３，８４
と軸受環３，５の流体通路８５，８６を通り、それぞれ
のノズル４０，４１から微小間隙７，８へ吹き出し、工
具主軸６をラジアル方向に支持する。

このとき流体供給環５１ ，６０と軸受環３，５との接
触面のすき間から圧力流体が漏れないように、圧力流体
供給孔７３および７４から供給された圧力流体により流
体供給環５１，６０は軸受環３，５に密着するように押
し付けらｈる。

流体供給環５１，６０を軸受環３，５に押し付ける力は
、圧力調整絞り弁６９，７０によって調整される。

この場合に流体供給環５１，６０が環室８９，９０へ吹
き出した圧力流体により押し戻されるので、圧力調整絞
り弁６９，７００調整は押し戻す力に打ち勝つ程度にな
される。

また流体供給環５１ ，６０を軸受環３，５に押し付け
るのに圧力流体を使う構戒に替えて、間隙８７，８８に
適切な弾性力を持ったスプリングを挿入し、押え金５４
，６３と流体供給環５１ ，６０との間にばね反発力を
発生させて押し付ける構成にしてもよい。

一方、同じく圧力流体発生装置３０から管路３４を経由
した圧力流体がスラスト軸受部９の上・下圧力流体供給
孔３７，３８に供給されると、該圧力流体は軸受板１２
，１３のノズル４２から吹き出し、工具主軸６はスラス
ト方向に支持される。

この状態でモータの固定子７５を励磁させると、工具主
軸６は回転し、軸端のテーパ孔３９に装着された加工工
具を回転させて機械加工作業を行うことができるように
なる。

そして工具主軸６に作用する荷重が小さいときは工具主
軸６と軸受環３，５または円板１７と軸受板１２，１３
とが直接的に接触せず、工具主軸６は主に静圧流体軸受
で回転する。

工具主軸６に作用する荷重が大きくなると、ノズル４０
，４１ ，４２から吹き出す圧力流体の剛性では耐えき
れず、工具主軸６と軸受環３，５または円板１７と軸受
板１２，１３とが直接的に接触して、軸受環３，５は工
具主軸６とつれ回わりし、円板１７は静止して、工具主
軸６は主に転がり軸受５０，５９，６８で回転する。

このようにして速度範囲が広くかつ低速重切削から高速
軽切削までの負荷に耐え得る主軸装置が得られる。

また、万一何らかの理由で圧力流体の供給が停止した場
合でも、転がり軸受があるので静圧流体軸受部において
、焼付きを起こさないという安全装置としての効果もあ
る。

なお、ラジアル軸受部２，４において、転がり軸受５０
，５９が軸受環５１ ，６０の内側に位置する構造でも
、またスラスト軸受部９において、受圧円板１７が工具
主軸６にナット１８で固定された状態で転がり軸受６８
が軸受板１２とサポート１０との間、および軸受板１３
と押え蓋１４との間に位置するような構造でも本発明の
意図する機能を有する。

更に、送りモータ２１を駆動すると送りねじ２４の働き
により、工具主軸６はスラスト軸受部９と一体で、ラジ
アル軸受部２，４を案内面として軸線方向に移動する。

従って深掘り加工が可能であるし、工具主軸が軸線方向
に移動する際、ラジアル軸受部を案内面とするためはめ
あいガタがなく、従来のタイル形主軸装置と比較して剛
性が高い。

特にハウジング１に組み込んだ工具主軸を回転させるモ
ータと相まって歯車やプーりの動力伝達機構のないコン
パクトで騒音の少ない効率の高い主軸装置になる。

しかもモータが工具主軸を直接回転させるので回転力の
みが伝達され、工具主軸に曲げ応力が生じず、精度の高
い主軸装置が得られる。

なお、本実施例においても圧力流体発生装置３０はコン
プレツサ等の圧力空気発生装置により構成し、圧力流体
として圧力空気を用いれば、簡便性と低コストが確保さ
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による主軸装置の実施例における要部断
面図である。 １・・・・・・ハウジング、２，４・・・・・・ラジア
ル軸受部、６・・・・・・工具主軸、９・・・・・・ス
ラスト軸受部、２１・・・・・・送りモータ、２４・・
・・・・送りねじ、２５・・・・・・移動台、３０・・
・・・・圧力流体発生装置、３２・・・・・・圧力調節
弁、３３・・・・・・圧力計、７５・・・・・・固定子
、８０・・・・・・回転子。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 工作機械の主軸装置において、ハウジングと、該ハ
   ウジングに回転可能でかつ軸線方向移動可能に支持され
   た工具主軸と、該工具主軸に作用するラジアル荷重を受
   ける静圧流体軸受および転がり軸受からなるラジアル軸
   受部と、前記工具主軸に作用するスラスト荷重を受ける
   静圧流体軸受および転がり軸受からなるスラスト軸受部
   と、該スラスト軸受部を工具主軸の軸線方向に移動させ
   る装置と、前記静圧流体軸受に圧力流体を供給する装置
   と、前記工具主軸を回転させる装置とを設け、前記工具
   主軸に作用する荷重が小さいときは前記工具主軸が前記
   静圧流体軸受で主に回転し、また前記工具主軸に作用す
   る荷重が太きいときは前記工具主軸が前記転がり軸受で
   主に回転するとともに、前記スラスト軸受部を前記工具
   主軸の軸線方向に移動させることにより、前記ラジアル
   軸受部の静圧流体軸受を案内面として前記工具主軸を軸
   線方向に移動させるようにしたことを特徴とする工作機
   械の主軸装置。 ２ 特許請求の範囲第１項に記載の工作機械の主軸装置
   において、前記スラスト軸受部を工具主軸の軸線方向に
   移動させる装置は前記ハウジングに設けた送りねじ回転
   機構と前記スラスト軸受部を保持する移動台に設けた送
   りねじ装置とからなる工作機械の主軸装置。 ３ 特許請求の範囲第１項または第２項に記載の工作機
   械の主軸装置において、前記工具主軸を回転させる装置
   は、前記工具主軸にモータの回転子を設け、前記ハウジ
   ングにモータの固定子を設けてなる工作機械の主軸装置
   。 ４ 特許請求の範囲第１項ないし第３項のいずれか１項
   に記載の工作機械の主軸装置において、前記スラスト、
   ラジアル両静圧流体軸受に供給する前記圧力流体が空気
   である工作機械の主軸装置。