JPS5833617Y2

JPS5833617Y2 - 難燃性ケ−ブル

Info

Publication number: JPS5833617Y2
Application number: JP7117180U
Authority: JP
Inventors: 敏安林
Original assignee: 古河電気工業株式会社
Priority date: 1980-05-26
Filing date: 1980-05-26
Publication date: 1983-07-27
Also published as: JPS56174416U

Description

【考案の詳細な説明】本考案は耐熱耐炎性の著しく優れた難燃性ケーブルに関
するものである。

１本のケーブルが垂直に布設されている場合には火炎が
当ってもそのケーブルは延焼しないが、多条のケーブル
が垂直に布設されている場合には延焼することがあるこ
とは既に知られている。

製鉄所、発電所等のような大型プラントではケーブルが
多条布設されており、火炎が生じた場合にはケーブルは
極めて厳しい状況下に置かれる。

このような状況を考慮して、従来から電線ケーブルには
種々の難燃化方法がとられているが、ケーブルシース層
を難燃化する方法が一般的である。

ところがシース層の難燃度を十分に高めても、多条布設
されたケーブルがダクト内にある場合には、ケーブルは
ダクトの煙突効果により一層厳しい条件下に置かれるこ
とになる。

現状のケーブル線路においてはこのような状況にあるも
のが少なくない。

ところが、このような厳しい条件下においても十分な非
延焼性を有する電線・ケーブルを得ることは、必ずしも
容易ではなかった。

十分な非延焼性を有し、現用のケーブル構造をほとんど
変えることなく、従ってケーブル製造時および布設時の
作業性を何ら低下させずかつ大幅なコスト上昇を招くこ
と無く、シかも従来品と同等またはそれ以上の諸特性を
有する難燃性ケーブルは未だ得られていない。

電線・ケーブル自体を難燃化せずに行うことのできる電
線・ケーブルの防火方法としては、電線を金属管の中に
布設する方法、防災塗料またはパテを塗布する方法、防
災テープを電線・ケーブル上に巻く方法等があるが、こ
れらの方法はいずれも高価格であり、施工が煩雑になる
欠点がある。

従来難燃性の押え巻テープを用いることによるケーブル
の難燃化も試みられたが、未だ実用的製品を得るに至っ
ていない。

従来押え巻テープとして使用できる難燃性テープとして
は難燃ゴム引テープ、アルミ箔とプラスチックとを貼り
合せたテープ、ガラステープ、アスベストテープが知ら
れているが、アスベストテープを除けば耐熱耐炎性が全
く不十分であり、アスベストテープは耐熱耐炎性が比較
的良好であるがなお十分でなく、その上公害問題がある
ほか価格的にも高価になり、不適当である。

しかし、難燃性の押え巻テープによるケーブルの高難燃
化が可能であるならば、現用のケーブル構造をほとんど
変えることな〈実施できるので極めて有利である。

本考案においてはかかる点に着目し、上述の欠点のない
押え巻テープを使用した難燃性ケーブルを求めて検討を
行った結果、本考案に至ったものである。

本考案は所望数のケーブル線心の外側に、酸素指数３０
以上の難燃性材料からなるシース層を設けた難燃性ケー
ブルにおいて、前記ケーブル線心の外側で前記シース層
の内側に、無機物または金属の細線を基体とし、この外
面に酸素指数２７以上の難燃性プラスチックまたはゴム
混合物を被覆してテープ化した難燃性テープの巻回層を
設けたことを特徴とする難燃性ケーブルである。

さらに、本考案の構成を図面について詳細に説明する。

第１図および第２図はそれぞれ本考案の一態様を示した
もので、第１図の難燃性ケーブルは、導体１を絶縁体２
で被覆してなるケーブル線心３本とジュート介在物３と
を撚合せ、その外側に導電性布テープ４および遮蔽用銅
テープ５を巻付け、さらにその外側に上述の難燃性テー
プ６の巻回層を設け、その外側に酸素指数３０以上の難
燃性材料からなる難燃性シース層７を設けた難燃性Ｃ■
三心ケーブルの例である。

なお、難燃性テープ６の巻回層は、導体１を絶縁体２で
被覆してなるケーブル線心と難燃性シース層７との間の
任意の位置に設けることができる。

例えば、第２図の難燃性ケーブルは、第１図と同様な難
燃性ケーブルにおいて、難燃性テープ６の巻回層を、ケ
ーブル線心の外側で導電性布テープ４の内側に設け、さ
らに従来の押え巻テープ例えば難燃ゴム引布テープ８を
遮蔽用銅テープ５と難燃性シース層７との間に巻付けた
例である。

また、第１図と同様な難燃性ケーブルにおいて、ケーブ
ル線心と導電性布テープ４との間に従来の押え巻テープ
例えば難燃ゴム引布テープ８を巻付けてもよい。

なお、ジュート介在物３、導電性テーブル４および遮蔽
用銅テープ５は本考案の難燃性ケーブルにおいて不可欠
なものではなく、所要に応じて設けても設けなくてもよ
い。

また、ある場合には遮蔽用銅テープ５として錫メツキ銅
テープを使用するのが好ましい。

また、ある場合にはジュート介在物３を使用せずに複数
本の線心を撚合せたものの上にプラスチックテープを重
ね巻きし、その上に難燃性テープ６の巻回層を設けるこ
とができる。

本考案の難燃性ケーブルではケーブル線心の外側に設け
る難燃性テープ６を縦沿えより横巻きに施すのが好まし
い。

この理由は、縦沿えにした場合には、ケーブルの可撓性
が損われることがあるからである。

また、本考案における難燃性テープ６の巻回層は著ラッ
プ以上の重ね巻きが良く、÷ラップ以上にすると一層好
ましい結果が得られる。

巻き層は０．２ｍｍ以上とするのか゛好ましい。

ギャップ巻きでは十分な効果が得られず、巻き厚が０．
２ｍｍ未満の場合も十分な効果が得られない。

難燃性テープの基体としては、多条の不燃性の細線を同
一平面内で帯状に縦方向に配置したもの（緯糸が無く、
経糸のみの状態のもの）、または不燃性の細線を総連方
向に配置したもの、または不燃性の細線を粗織りしたも
のを使用することができる。

基体を構成する不燃性の細線としては、無機物または金
属の細線、例えば、ガラス糸、鉄線、銅線、アルミニウ
ム線等を用いる。

不燃性の細線を経緯方向に配置したものおよび粗織りし
たものとしては、ガラステープ、ガラス布、金属布（金
網状のもの）等がある。

基体の外面を被覆する難燃性プラスチック混和物のベー
ス樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリエチレン
、エチレンビニルアセテ−１−、エチレンエチルアクリ
レート、ポリエチレン等があり、不燃性ゴム混和物のベ
ース樹脂としては、エチレンプロピレンゴム、ポリクロ
ロプレン、クロロスルホン化ホリエチレン、ブチルゴム
、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体、天然ゴ
ム等がある。

なお、上述のプラスチックまたはゴムのうちの２種以上
の互に融和性のある樹脂同志を混合したものも使用でき
る。

上述のベース樹脂を基材とし、これに所要に応じて種々
の無機充填剤を使用することができる。

なお、通常用いられている導電材料、安定剤、老化防止
剤、可塑剤、滑剤、架橋剤、発泡剤、顔料、カーボンの
ほか、難燃度を向上させるために難燃剤、難燃助剤等の
添加剤を所要に応じて配合することができる。

基体に塗布する不燃性プラスチックまたはゴム混合物の
難燃度は酸素指数２７以上とする。

この理由は酸素指数が２７未満であると、ケーブルの難
燃性が低下してケーブルの延焼性が助長される恐れがあ
るからである。

難燃性プラスチックまたはゴム混合物はテープ厚０．１
〜Ｑ、９ｍｍとなるように細線に塗布するのが好ましい
。

テープ厚が０．１ｍｍ未満では十分な断熱層が形成され
難く、十分な耐熱耐炎効果が得られない。

テープ厚が０．９ｍｍを越えると、ケーブル製造時のテ
ープ巻き工程の能率が極度に低下し、かつテープ巻き後
のケーブル表面の凹凸が著しく、ケーブルの外観が著し
く損われる。

なお、難燃性ケーブルの難燃性シース層の酸素指数は３
０以上、好ましくは３５以上とする。

３０未満ではケーブルの非延焼性が不十分となる。

次に本考案を実施例および比較例について説明する。

実施例１厚さ０．１４ｍｍ、重量１５０ｇ／ｍ２ツガラス繊維粗
織りの両面に酸素指数３４のクロロプレンゴム混和物を
フローティング加工により塗布して得た厚さＱ、２ｍｍ
、重量３１０ｇ７ｍ２のテープ（以下難燃性テープ
Ａと称する）を使用し、次のようにして難燃性ケーブル
を製造した。

先ず、断面積３８ｍｍ２の銅導体上に架橋ポリエチレン
絶縁層を有する３、３ＫＶ電カケ−プル用線心（外径１
２．３ｍｍ）３本とジュート介在物とを撚合せ、その上
に難燃性テープＡを巻き厚Ｑ、５ｍｍとなるように巻付
け、さらにその上に難燃性シース層として酸素指数３９
のポリ塩化ビニルを２．８ｍｍ厚に押圧し被覆してケー
ブルを得た。

このケーブルについて垂直密閉ダクト燃焼試験法により
評価試験を行った。

この結果を第１表に示した。

比較例１難燃性テープＡの代りに厚さ０．２ｍｍ、重量２００ｇ
／ｍ２、酸素指数３７の難燃ゴム引木綿繊維織布テープ
（以下難燃ゴム引布テープと略記する）を使用し、難燃
性シース層として酸素指数４３のボッ塩化ビニルを使用
した点を除き、実施例１と同様にして得たケーブルにつ
いて、実施例１と同様な評価試験を行い、この結果を第
１表に示した。

実施例２断面積１００ｍｍ２の銅導体上に５．５５ｍｍ厚のエチ
レンプロピレンゴム絶縁層（内部導電層および外部導電
層を含む）を設けた１５ＫＶ電カケ−プル用線心（外
径２５．５ｍｍ）の上に導電性テープを０．３ｍｍ厚
に巻付け、その上に厚さ０．１ｍｍの遮蔽用軟鋼テープ
をＱ、１ｍｍ厚に巻付け、その上に難燃性テープＡを巻
き厚Ｑ、６ｍｍとなるように巻付け、さらにその上に難
燃性シース層として酸素指数３６のクロロスルホン化ポ
リエチレンヲ２．２ｍｍ厚に押出し被覆し次いで加熱に
よりシース層材料に架橋を施してケーブルを得た。

このケーブルについで実施例１と同様な評価試、験を行
った結果を第１表に示した。

比較例２遮蔽用銅テープの巻き厚をＱ、２ｍｍとし、難燃性テー
プＡの代りに比較例１と同一の難燃ゴム引布テープを使
用した点を除き、実施例２と同様にして得たケーブルに
ついて、実施例２と同様な試験を行い、この結果を第１
表に示した。

実施例３断面積８ｍｍ２の銅導体上に架橋ポリエチレン絶縁層を
有する６００■電カケ−プル用線心（外径５．６ｍｍ）
３本とジュート介在物とを撚合せ、その上に難燃性テー
プＡを巻き厚Ｑ、２ｍｍとなるように巻付け、さらにそ
の上に難燃性シース層として酸素指数３０のポリ塩化ビ
ニルを１．５ｍｍ厚に押出し被覆してケーブルを得た。

このケーブルについて垂直トレイ燃焼試験を行った結果
を第１表に示した。

比較例３難燃性テープＡの代りに厚さ０．２ｍｍ、重量２９０
ｇ／ｍ２、酸素指数９５以上のアスベスト繊維織布テー
プ（以下アスベストテープと略記する）を使用した点を
除き、実施例３と同様にして得たケーブルについて、実
施例３と同様な試験を行い、この結果を第１表に示した
。

実施例４外径Ｑ、１ｍｍのアルミ細線を粗織りした重量９０ｇ
／ｍ２のテープを基材とし、その両面に酸素指数３４の
クロロプレンゴム混合物をフローティング加工により塗
布して得た厚さ０．２ｍｍ、重量２９０ｇ／ｍ２のテ
ープ（以下難燃性テープＢと称する）を使用し、次のよ
うにして難燃性ケーブルを製造した。

先ず、外径Ｑ、９ｍｍの銅導体上に９．４ｍｍ厚の架橋
ポリエチレン絶縁層を有する計装用ケーブル線心を対撚
（即ち二心撚合せ）シ、かかる線心５本をさらに撚合せ
、その上に０．２ｍｍ厚のポリエチレンテープを重ね巻
きし、さらにその上に難燃性テープＢを巻き厚Ｑ、４ｍ
ｍとなるように巻付け、その上に難燃性シース層として
酸素指数３０のポリ塩化ビニルを１．５ｍｍ厚に押出し
被覆してケーブルを得た。

このケーブルについて実施例３と同様な評価試験を行っ
た結果を第１表に示した。

比較例４難燃性テープＢの代りに、０．１ｍｍ厚のポリエステル
フィルムの片面に１０ミクロン厚のアルミニウム箔を貼
り合せた酸素指数３４のアルミポリエステルテープを使
用した点を除き、実施例４と同様にして得たケーブルに
ついて、実施例４と同様な試験を行い、この結果を第１
表に示した。

実施例５断面積が２ｍｍ２の銅導体上にエチレンプロピレンゴム
絶縁層を有する制御用ケーブル線心（外径３．４ｍｍ
）１０本とジュート介在物とを撚合せ、その上にゴム
引布テープを巻き厚０．２５ｍｍとなるように巻付け、
さらにその上にＱ、１ｍｍ厚の錫メツキ軟銅テープを÷
ラップ巻付け、その上に難燃性テープＡを巻き厚Ｑ、４
ｍｍとなるように巻付け、その上に難燃性シース層とし
て酸素指数３０のクロロスルホン化ポリエチレンを１．
５ｍｍ厚に押出し被覆し次いで加熱によりシース層材料
に架橋を施してケーブルを得た。

比較例５難燃性テープＡの代りに厚さ０．２ｍｍ、重量３００ｇ
／ｍ２、酸素指数９５以上のガラス繊維織布テープ（以
下ガラステープと略記する）を使用した点を除き、実施
例５と同様な試験を行い、この結果を第１表に示した。

実施例１と比較例１とを比較することにより、従来ケー
ブルはシース層の難燃度を高めても極めて厳しいａ試験
に合格させることはできない（比較例１）が、本考案ケ
ーブルはシース層の難燃度が従来ケーブルより低いにも
拘らずａ試験に合格する（実施例１）ことが判る。

比較例２では、従来ケーブルにおいて耐熱耐炎性を向上
させるために完全な不燃物である遮蔽用銅テープの巻厚
を通常品の厚さ０．１ｍｍより大きくして０．２ｍｍに
したが、このケーブルではａ試験に不合格で満足な結果
が得られなかったのに対し、実施例２ではａ試験に合格
した。

試験後の比較例２のケーブルを詳細に調査したところ、
銅テープが縦方向に直線的に切断され、その内側の絶縁
体がひどく損傷していることが判った。

この理由は、火源からの熱が絶縁体に伝導し、絶縁体が
膨張し、８００℃以上の高温では銅テープの強度が低下
していることも重なって、絶縁体の外側にある銅テープ
が破断したものと思われる。

比較例３におけるようにアスベストテープを用いると、
ｂ試験には合格するが、実施例３と比較してシース層の
損傷長さが大きく、シかもバーナー停止後の残炎が長く
継続し、自己消火性に劣っていた。

実施例４および比較例４は押え巻テープに同時に遮蔽用
テープとしての働きを兼ね備えさせたケーブルに関する
ものである。

しかし、難燃性ケーブルとしての性能は第１表に示すよ
うに、実施例４が比較例４より優れていた。

比較例５では不燃性であるガラステープを用いたが、ｂ
試験に不合格であった。

これに対し、実施例５ではｂ試験に合格した。

上述のように、本考案の難燃性ケーブルは従来の難燃性
ケーブルでは得られなかった優れた難燃性を示す。

これは、実施例に示す本考案ケーブルと比較例に示す従
来ケーブルとを、その構造および材料について比較する
ことにより判るように、本考案に使用した難燃性テープ
によるものである。

このように本考案に使用した難燃性テープが難燃性ケー
ブルに対し優れた耐熱耐炎性能を付与する機構は未だ解
明されていない。

この機構については、ケーブル内部に位置する難燃性テ
ープが熱を受けると、難燃性テープのプラスチックまた
はゴム混和物が灰化して断熱層が形成され、しかも不燃
性の細線によってその形状が保持されることが相乗的に
作用するためであろうと考えられる。

なお、本考案ケーブルは、従来ケーブルと比較して、ケ
ーブル製造工程数、製造作業時間、ケーブル布設時の作
業性は全く変らず、ケーブルの全材料費もほとんど同等
である。

なお、実施例４に示すように、難燃性テープとして基体
に金属の細線を使用したテープを制御用または計装用ケ
ーブルの押え巻テープとして適用する場合には、このテ
ープは同時に遮蔽用テープとしての働きを兼ね備えるこ
とができる。

以上説明したように、本考案によれば、所望数のケーブ
ル線心の外側でシース層の内側に、無機物または金属の
細線を基体とし、この外面に酸素指数２７以上の難燃性
プラスチックまたはゴム混和物を被覆してテープ化した
難燃性テープの巻回層を設けることにより、従来達成し
得なかった著しく耐熱耐炎性の優れた難燃性ケーブルを
得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はそれぞれ本考案ケーブルの１例の
断面図である。１・・・・・・導体、２・・・・・・絶縁体、３・・・
・・・介在物、４・・・・・・導電性布テープ、５・・
・・・・遮蔽用銅テープ、６・・・・・・難燃性テープ
（難燃性テープＡまたはＢ）、７・・・・・・難燃性シ
ース層、８・・・・・・従来の押え巻テープ（難燃ゴム
引布テープ、アスベストテープ、アルミポリエステルテ
ープ、ガラステープ）。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】所望数のケーブル線心の外側に酸素指数３０以上の難燃
性材料からなるシース層を設けた難燃性ケーブルにおい
て、前記ケーブル線心の外側で前記シース層の内側に、無機
物または金属の細線を基体とし、この外面に酸素指数２
７以上の難燃性プラスチックまたはゴム混和物を被覆し
てテープ化した難燃性テープの巻回層を設けたことを特
徴とする難燃性ケーブル。