JPS5833308Y2 - 電磁クラツチ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は主として車両用冷房装置において冷媒圧縮機を
エンジンに駆動結合するために用いられる電磁クラッチ
に関するものである。

従来、この種の電磁クラッチは入力軸の摩擦面と係合・
遮断するクラッチ板にコイルばねの一端が係止され、コ
イルばねの他端が出力軸に係止されており、電磁吸引力
によって前記クラッチ板が入力軸の摩擦面に吸着される
と、コイルばねが入力軸と出力軸に巻付いて両者を回転
結合するようになっている。

このような電磁クラッチはクラッチ板の係合・遮断の際
だけでなく、冷媒圧縮機の運転状態においても負荷トル
クが変動するために、前記コイルばねが繰返し強く巻締
められあるいは緩み、その都度コイルばねが入出力軸あ
るいはカバーに当り、異常な衝撃音が生じるという問題
がある。

このようなコイルばねの運動を解消するために、主クラ
ツチ板と副クラッチ板とを並設し、主クラツチ板により
コイルばねを巻締める一方、出力軸と一体に回転する副
クラッチ板を主クラツチ板に摩擦係合させるようにした
ものが提案されている。

しかし、この電磁クラッチではコイルばねの緩みと巻締
めの繰返し運動はかなり解消されるが、副クラッチ板を
出力軸に固定されたカバーに対して軸方向移動可能に支
持する手段として案内ピンを用いているので、案内ピン
とカバーに設けたピン穴との間でガタ付きが生じ、異常
音を発生するばかりでなく、案内ピンが変形するとクラ
ッチ遮断時に副クラッチ板が円滑に戻らなくなる恐れが
ある。

本考案はこのような問題に鑑み、副クラッチ板が軸方向
に移動できかつ出力軸と共に回転できるように、副クラ
ッチ板と出力軸に固定したカバーとを板ばねをもって結
合した電磁クラッチを提案するものである。

本考案はまた前記主クラツチ板に結合した保持筒と出力
軸に固定したカバーとの間に戻しばねを介装し、クラッ
チ遮断時前記戻しばねによって主クラツチ板及び副クラ
ッチ板が戻されるようにした電磁クラッチを提案するも
のである。

本考案の構成を実施例に基づいて説明すると、第１図は
冷媒圧縮機の端壁に取付けられる電磁クラッチの実施例
を示すものであり、図示してない冷媒圧縮機の端壁に円
筒体１９がこの端部フランジ１７をボルト１８によって
固定される。

円筒体１９にナツト２２をもって軸受２０が軸方向に移
動しないように支持され、この軸受２０に入力軸（駆動
軸）８が回転可能に支持される。

入力軸８はエンジンのプーリとの間に■ベルトを掛渡す
ためのプーリ３を固定支持している。

プーリ３を支持している入力軸８の壁部ないしフランジ
部の右端面は主クラツチ板１４を摩擦係合するための摩
擦面１５を形成し、また左端面には空部１６が形成され
、この内部に電磁コイル２を支持する断面Ｃ形の環状体
からなりかつ前記フランジ１７に固定されたヨーク２４
が収容される。

そして前記電磁コイル２を電源へ接続するための導線１
が外部へ引出されている。

入力軸８の右端部周面には耐摩耗性と衝撃吸収性を有す
る材料からなる円筒体Ｉが嵌合され、後述するコイルば
ね１１の巻付は面を提供する。

入力軸８と同径の出力軸（被駆動軸）１０が同心をなす
ように図示してない冷媒圧縮機の主軸に支持される。

このため、出力軸１０は円筒体１９の内部へ突出するボ
ス部２１を備えており、キー２３を介して冷媒圧縮機の
主軸と結合される。

出力軸１０の右端面にカップ状をなすカバー３１がボル
ト９をもって固定され、この内部に二条のコイルはね１
１が収容され、この一端は出力軸１０に設けた溝６へ係
止され、他端は主クラツチ板１４の内周面に設けた切欠
３２（第３図）に係止される。

主クラツチ板１４は磁性体からなり、入力軸８の摩擦面
１５に対向して配されかつコイルばね１１の端部によっ
て支持される。

主クラツチ板１４と並んで副クラッチ板１３が第２図に
示すようにカバー３１の外周面に設けたフランジ２７に
板はね２８を介して支持される。

第３図から明らかなように、磁性体からなる副クラッチ
板１３がフランジ２７と対向する面にリベット３３をも
って複数個の円弧状の板ばね２８を円周方向に間隔を存
して固定される。

そして、板ばね２８は他端にボルト穴３４を設けられ、
第２図に示すようにフランジ２７と衝合され、かつ前記
穴３４及びフランジ２７に設けた穴にボルト２９を挿通
し、ナツト３０を締付けてフランジ２７と結合される。

ボルト２９の頭部が副クラッチ板１３の側面に当らない
ように副クラッチ板１３に前記頭部を収容するくぼみが
構成されている。

主クラツチ板１４を摩擦面１５から引戻すために、主ク
ラツチ板１４の外周に保持筒５が嵌合され、ボルト４に
よって固定される。

保持筒５は副クラッチ板１３及びフランジ２７を覆い、
フランジ２７の右側にフランジ２７と平行な壁部５ａを
有し、この壁部５ａとフランジ２７との間に環状の板か
らなり、かつ円周方向に波形に湾曲された戻しはね１２
が介装される。

なお）第２図に示すように、入力軸８のフランジ、主ク
ラツチ板１４には有効な磁気回路を形成させるため、円
周方向に延びるスリット２５，２６がそれぞれ設けられ
ている。

次に、本考案による電磁クラッチの作動について説明す
る。

電磁コイル２に通電すると、第１図に破線で示すように
ヨーク２４、人力軸８のフランジ部、主クラツチ板１４
及び副クラッチ板１３に磁気回路が生じ、主クラツチ板
１４が戻しばね１２の力に抗して摩擦面１５へ吸引され
、同時に副クラッチ板１３が板ばね２８の力を受けて主
クラツチ板１４へ吸着される。

従って、入力軸８の回転力が主クラツチ板１４へ伝達さ
れ、コイルはね１１を入力軸８及び出力軸１０へ巻付け
ると出力軸１０へ伝達される。

このようにクラッチが接続される時、入力軸８に係合す
る主クラツチ板１４に対して、出力軸１０にカバー３１
を介して結合している副クラッチ板１３とが滑り摩擦を
伴って相対回転し、コイルばね１１が急激に巻付けられ
るのを緩和する。

つまり、コイルばね１１が円滑に入出力軸８，１０に巻
付くことになり、異常な衝撃音の発生を防ぐ。

クラッチ接続後においても、出力軸１０が冷媒圧縮機の
負荷トルクの変動を受けると、出力軸１０と入力軸８と
の間に相対回転運動が生じ、コイルばね１１が強く締め
られたり緩められたりする傾向の力を受けることになる
が、これに対して主りラッチ板１４と副クラッチ板１３
との間に、磁気吸引力による摩擦抵抗が作用し、コイル
ばね１１の急激な巻付きや緩みを抑え、異常音の発生を
防ぐ。

電磁コイル２の通電を遮断すると、磁気吸引力がなくな
り、副クラッチ板１３は板ばね２８の力によってカバー
３１のフランジ２７へ引戻され、また副クラッチ板１４
はフランジ２７と保持筒５との間に介装した戻しはね１
２の力によって摩擦面１５から引戻される。

この場合も主クラツチ板１４と副クラッチ板１３との間
の摩擦抵抗により、両者の急激な相対回転運動が抑えら
れ、コイルばね１１は緩やかに緩められるので、コイル
はね１１がカバー３１の内周面に強く当って異常音を発
生するのを防ぐことができる。

本考案による電磁クラッチは上述のように、副クラッチ
板を出力軸に固定したばねカバーのフランジに対して、
円弧状の板ばねをもって結合したので、クラッチ接続時
制クラッチ板は出力軸と一体的に回転すると同時にクラ
ッチ軸方向に移動して主クラツチ板と摩擦係合し、従っ
て次のような効果が得られる。

（１）主クラツチ板と出力軸とに結合するコイルばねの
急激な巻締めや緩みを抑えることができる。

（２）コイルばねが入出力軸やばねカバーに強く当って
打音を発生するのを防止できる。

（３）副クラッチ板の軸方向運動に対して、摺動部がな
いので運動が円滑であり、耐久性に優れ、またガタ付き
による異常音が生じない。

（４）また、保持筒５とフランジ２７との間に戻しばね
１２を設けたので、主、副クラッチ板の戻りが確実であ
り、副クラッチ板、ばねなどから護られるので、作動が
円滑である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る電磁クラッチの縦断面図、第２図
は同要部拡大図、第３図は主クラツチ板と副クラッチ板
についての斜視図である。

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）入力軸に形成されかつ入力軸の軸線と直角をなす
   摩擦面と、該摩擦面に対して電磁力によって吸着される
   主クラツチ板と、一端が前記クラッチ板に他端が出力軸
   にそれぞれ係止されたコイルばねとを有し、前記摩擦面
   と前記主クラツチ板との係合により前記コイルばねが入
   力軸と出力軸に巻締められて回転結合を得る電磁クラッ
   チにおいて、前記主クラツチ板の前記摩擦面と反対側に
   副クラッチ板を配設し、出力軸に固定されかつ前記コイ
   ルばねを覆う円筒状のカバーの外周部にフランジを設け
   、該フランジと前記副クラッチ板との間に複数個の円弧
   状の板ばねを円周方向に間隔を存して介装し、線板ばね
   の一端を前記副クラッチ板に、他端を前記フランジにそ
   れぞれ結合したことを特徴とする電磁クラッチ。
2. （２）前記副クラッチ板及び前記フランジを取囲む保持
   筒の一端を前記主クラツチ板の外周部に固碇し、他端部
   に前記フランジと対向する壁部を設け、該壁部と前記フ
   ランジとの間に主クラツチ板を前記摩擦面から戻すため
   の戻しばねを介装してなる実用新案登録請求の範囲（１
   ）に記載の電磁クラッチ。