JPS5830792Y2 - 船底部取水口の気泡吸入防止用カバ−構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、船底部における取水口に関し、特に船底部に
沿う気泡の吸入を防止できるようにした取水口用カバー
の構造に関する。

従来、物理探査船や、その他の船艇において、第１図に
示すように、マスカー装置のごとき気泡発生装置１によ
り気泡２を噴出し、水線下の船体周囲に沿う海水の流れ
３と共に気泡層４を形成して、自船から発生する騒音を
遮蔽することが行なかれているが、この気泡２が船底部
の取水口５へ吸入される海水中に混入すると、この海水
を吸弓する海水ポンプにおいて、その摺動部に焼損を生
じたり、キャビテーションによる故障を生じたりするほ
か、海水管内に滞留した空気が海水の流れを阻害し、ま
た海水管に装備された熱交換器のチューブに空気が滞留
して熱交換能力が低下するという問題点がある。

そこで、第１〜３図に示すごとく、船底部の取水口５を
取り囲むように、円筒形のカバー６を船底表面Ｓに固定
して、気泡層４よりも下方から海水を取り入れる構造に
したものが開発されているが、このような円筒形カバー
６をそなえると、高速航行時に、下方へ大きく突き出た
カバー６により抵抗の増大を招き、船体の推進性能が低
下して、主機の燃料消費量が増加するという欠点を生じ
るほか、カバー６の根元部の強度を大きくしなければな
らないという問題点がある。

そこで第４，５図に示すように、カバー６′の前部に後
方へ深さの漸増する傾斜壁７をそなえるとともに後部に
後方へ深さの漸減する傾斜壁７ａをそなえて、その下面
に取水用開口５′をあけたものが考えられるが、このよ
うにすると、海水の流れ３の一部８が前部傾斜壁７に沿
い流下して前記気泡層内の気泡を開口５′内へ導くこと
になり、十分な気泡吸入防止効果が得られなくなるとい
う問題点が生じる。

本考案は、これらの問題点を解決しようとするもので、
高速航行時に船底部数水口のカバーによって受ける船体
の抵抗の軽減をはかるとともに、取水口への気泡の吸入
も十分に防止できるようにしたカバー構造を提供するこ
とを目的とする。

このため本考案の船底部数水口の気泡吸入防止用カバー
構造は、船底表面を気泡層で覆われうる船底部において
、船内配管へ海水を導入するための取水口をそなえると
ともに、この取水口を取り囲むように配設され且つ下面
に取水用開口を持った気泡吸入防止用カバーをそなえ、
このカバーが、前端部に上記気泡層よりも深さの大きい
彎曲筒面状の鉛直壁を有するとともに、上記開口の後方
には深さの漸減する壁部を有することを特徴とじている
。

以下、図面により本考案の一実施例としての船底部域水
口の気泡吸入防止用カバー構造について説明すると、第
６図はその縦断側面図、第７図は第６図の■−■−■図
である。

第６，７図に示すように、船底表面Ｓを気泡層４で覆わ
れうる船底部において、図示しない船内配管へ海水を導
入するための取水口５が形成され、この取水口５を取り
囲むように気泡吸入防止用カバー６“が配設されている
。

そして、このカバー６“は、下面に取水用開口５′をそ
なえ、前端部に気泡層４よりも深さの大きい鉛直壁７を
有するとともに、開口５′の後方には深さの漸減する壁
部７′ａを有している。

またカバー６“は、その水平断面形状を示す第７図から
明らかなように、前端部の鉛直壁７′に筒面状の彎曲面
を有し、その両側後方へ緩やかに凸彎曲しながら、後端
には尖った形状を有している。

上述の構成により、船底表面Ｓが気泡層４で覆われなが
ら航行するとき、海水の流れ３の一部８がカバー６“に
沿って流れる際に、気泡層４よりも深さの大きい彎曲筒
面状の鉛直壁７′の存在により、気泡層４の気泡がカバ
ー開口５′へ導入されることが防止され、したがって取
水口５へ吸入される海水中に気泡が混入されることはな
い。

またカバー開口５′よりも後方へ流れた水流は、カバー
６“の後部における深さの漸減した壁部７′ａに沿い円
滑に流れて、抵抗の軽減がはかられるのである。

また円筒形のカバー（第１〜３図参照）の場合に比べて
、カバー６“の船底表面Ｓへの取付強度が増大する利点
もある。

以上詳述したように、本考案の船底部域水口の気泡吸入
防止用カバー構造によれば、船底部の取水口５を取り囲
むように配設された取水口開口５′付きカバー６“が、
前端部に上記気泡層よりも深さの大きい彎曲筒面状の鉛
直壁を有するとともに、上記開口の後方には深さの漸減
する壁部を有するという極めて簡素な構成で、気泡吸入
の防止と、航行時の船体抵抗の軽減とが達成されるとと
もに、カバーの取付は強度の面からみても有利となるの
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の船底部域水口の気泡吸入防止用カバー構
造をそなえた船体の縦断側面図、第２図は上記カバー構
造の縦断側面図、第３図は第２図の■−■矢視断面図で
あり、第４，５図は上記カバー構造の他の例を示すもの
で、第４図はその縦断側面図、第５図は第４図の■−■
矢視断面図であり、第６，１図は本考案の一実施例とし
ての船底部域水口の気泡吸入防止用カバー構造を示すも
ので、第６図はその縦断側面図、第７図は第６図の■−
■矢親矢面断面図る。 ３・・・・・・海水の流れ、４・・・・・・気泡層、５
・・・・・・取水口、５′−・・・・・カバー下面の取
水用開口、６″・・・・・・カバー、７′・・・・・・
カバー前端部における彎曲筒面状の鉛直面、７′ａ・・
・・・・カバー後部の壁部、８・・・・・・カバーへ流
入する流れ、Ｓ・・・・・・船底表面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 船底表面を気泡層で覆われうる船底部において、船内配
   管へ海水を導入するための取水口をそなえるとともに、
   この取水口を取り囲むように配設され且つ下面に取水用
   開口を持った気泡吸入防止用カバーをそなえ、このカバ
   ーが、前端部に上記気泡層よりも深さの大きい彎曲筒面
   状の鉛直壁を有するとともに、上記開口の後方には深さ
   の漸減する壁部を有することを特徴とする、船底部数水
   口の気泡吸入防止用カバー構造。