JPS5828466B2 - メカニカルシ−ル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、回転軸部からの流体の漏洩を防止するメカニ
カルシール、特に封入圧力流体が液体または液体と気体
の混合物であり、外部流体が気体一般的には空気である
場合において密封流体の漏洩を防止するメカニカルシー
ルの改良に関する。

通常、上記種類のメカニカルシールは、回転軸を挿通さ
せた固定側のシートリングに対し、上記回転軸とともに
回転する従動リングを摺接させて摺接面外周側から内周
側への流体の漏れを阻止する構成を有している。

このため、摺接面の密封効果を挙げるには、従来、シー
トリングに対する従動リングの押圧力を犬にして摺接面
の単位面積当たりの圧力を増大させるようにすること、
あるいは摺接する両ソングの材料を選んで堅牢な封塞函
を形成させるようにするなどの対策が講じられて来た。

しかしながら、摺接部に生ずる面の粗さ、経時的変形等
は新設回避し得す、特に例えば自動車用クーラのコンプ
レッサ等に適用されるメカニカルシールの如く、振動や
湿度変化等が加わる過酷な条件下で使用された場合には
、流体の漏れが著しく密封手段の根本的改善が望まれて
いた。

しかして本発明者等は、この密封手段の根本的改善策と
して、既にシートリングと従動リングの摺接面の少なく
とも一方に、外端部を閉心した行き止まり糸条溝を形成
したメカニカルシールを発明し、これを特許出願（特願
昭５２−４１８３８号、特願昭５３−２４１３７号）し
ている。

上記特許出願に係る発明は、摺動面間の微小な間隙に介
在する流体に対し、摺接面の相対回動を利用して、漏洩
流に対抗しうる半径方向圧力を付与できることに着目し
、上記摺接面の少なくとも一方に外端部の閉止された所
要形状の糸条溝を設けたことを特徴とするもので、従動
リングの回転に伴５糸条溝のポンプ作用または従動リン
グ側に溝を形成した場合は糸条溝内に侵入する流体に作
用する遠心力により、漏れの防止作用が得られると考え
られている。

ところが、さらに研究を重ねた結果、上記摺接面の少な
くとも一方に形成する糸条溝は、これを従動リングの回
転方向後方側に傾斜する仮想線上に並べた複数の窪みと
置き換えても、はぼ同等のシール効果の得られることが
判明し、さらにこの窪みは上記摺接面の内周部に規則的
にあるいは不規則的に多数設けた場合にも、自動車用ク
ーラのコンプレッサ等の使用条件下では、糸条溝による
ものとほぼ同等あるいは若干これより劣るにしても従来
よりは優れたシール効果の得られることが判った。

特に従動リングの高回転域では高いシール効果が得られ
る。

したがって本発明は、上記のような使用条件のメカニカ
ルシールにおいて、上記摺接面の少なくとも一方の外周
部をランド部とし、内周部に多数の窪みを形成したこと
を特徴とするものである。

以下、図示具体例について本発明の詳細な説明する。

第１図は、このようなメカニカルシールを有する回転軸
の一例として、自動車用クーラのコンプレッサを示すも
ので、１はコンプレッサの回転軸５．２は回転軸１にキ
ー３により軸方向に摺動可能に結合された電磁クラッチ
の連結体、４はケーシング５に対し回転自在な回転体で
あり、回転体４内の空間に挿入された励磁コイル６に通
電されたとさ、回転体４と連結体２が一体となり、回転
体４と共に回転軸１が回転する。

しかして、７はコンプレッサ部８の流体が回転軸１側へ
洩れるのを防止するメカニカルシール部であり、回転軸
１を挿通させたシートリング９に対し、回転軸１と共に
回転する従動リング１０を摺接させ、この摺接に ４よ
りシートリング９と回転軸１との間の空隙からの油やガ
スの漏洩を防止している。

１１は回転軸１に密着するパツキン、１２はその受金、
１３はノックリング、１４は従動リング１０にシートリ
ング９側への押圧力を与えるばねである。

第２図は上記メカニカルシール部７の拡大図であり、こ
の図のノックリング１３は厚肉の成形品として構成され
ているが、第３図に示すものはノックリング１３をプレ
ス加工により曲或し、１３ａ部をスポット溶接して製品
全体としての軽量化簡素化を図ったものである。

また、第４図ＡＢはメカニカルシール部Ｉの他の変形例
を示す側面図および断面図であって、受金１２の外周部
を歯車状に形成しその歯部に相当する部分に孔を設ける
一方、ノックリング１３には軸方向に折曲させた複数個
の爪状片１３ｂを設けてこれを前述せる受金１２の孔に
挿通させ、爪状片１３ｂの外方への拡開防止を図るとと
もに、爪状片１３ｂの先端部１３ｃを従動リング１０の
溝部分にカシメ付けて該従動リング１０の回り止めを施
すようにしている。

しかしながら、上名己のものいずれも、このままでは自
動車用クーラのコンプレッサとしての振動湯度変化等が
加わる過酷な使用条件下において、メカニカルシール部
からの流体漏れは完全には避は得られないところである
。

然るに、本発明者等の提案によれば、第５図に示すよう
に、従動リング１０の摺接面１０ａの外周部分を平坦な
ランド部りとし、その表面によって閉じられた多数の窪
み２０を形成することによって、良好なシール効果を得
ることができる。

上記窪み２０は第５図Ａに示すように摺接面１０ａの内
周部分に不規則的にあるいは規則的に多数形成すること
ができるが、同図Ｂに示すように従動リング１００回転
方向後方側に傾斜させた仮想線■上に複数個並べて形成
することにより、より良好なシール効果を期待すること
ができる。

このような仮想線Ｉ上に並べた複数の窪み２０は全体と
して前記の糸条溝と同等の作用をすると考えられるから
である。

もっとも仮想線■の数を増やすと、外観的には多数の窪
み２０が単に整夕１ルて規則的に並んでいるのと同じこ
ととなり、したがって窪み２０の配列については自由度
がある。

例えば摺接面１０ａの内周部に径の異なる複数の仮想円
を描き、この仮想円上に外周部側程数が多くなるように
、あるいは間隔が等しくなるように窪み２０を並べて設
けてもよい。

なお仮想線■の方向は、従動リング１００半径方向と直
交する方向が好ましい。

次に窪み２０の形状は、図示例のような平面的に児て円
形のものの他、長円状、矩形状等適宜の形状を採用する
ことができるが、円形状のものはこれを押型により形成
するも切削により形成するも、他の形状より容易に穿設
できるという利点がある。

押型の場合は球体を用いてこの窪みを形成することがで
きる。

また、この窪み２０の大きさは、窪み内に発生する流体
圧力が洩れ流に対抗して洩れを防ぐと考えられるところ
から、深さ、幅とも小さいことが好ましいが、回転時の
摩耗粉により埋る程小さくては無意味である。

具体的には深さを０．０１〜１．０ ｍｍ、好ましくは
０．０５ｍｍ〜１．０朋程度、径または短辺長を０．１
〜１．０間層度とするとよい結果が得られる。

勿論この深さおよび径または短辺長は、多数の窪み２０
１（つき異なならせて設定してもよい。

上記窪み２０を摺接面１０ａの内周部に形成した従動リ
ング１０は、その外周部のランド部りの作用と相俟って
、回転軸１０回転に伴うシートリング９との摺接により
良好なシール効果を発揮する。

シール効果の得られるメカニズムは必ずしも明瞭ではな
いが、一応ランド部りを通って洩れようとする流体を従
動リング１０の窪み２０がかき取り（スクレープ、５ｃ
ｒａｐｅ）、さらに前述のように窪み２０内の流体に作
用する遠心力によって溝内に発生する流体圧力がかき取
った流体を再びランド部りに戻す作用をするため、シー
ル効果が得られると考えられている。

なおランド部りの位置は摺接面１０ａの外周側とするこ
とが必要で、ランド部りと窪み２０の位置関係を逆とし
た場合には却ってシール性能を悪化させる。

これはこのような設定では液体または液体と気体の混合
物からなる密封流体が窪みの部分からランド部に容易に
侵入するのに対し、これを再び密封流体側に戻す作用が
得られないためであると考えられる。

なお、上述せる実施例においては、窪みを従動リング側
の摺接面にのみ穿設することについて述べたが、上記作
用は従動リングとシートリングとの相対回転によって得
られるものであるから、前述の糸条溝の場合と同様に、
窪みをシートリング側に設けても良いことは明らがであ
り、また両横接而に設定することも可能である。

以上のように本発明に係るメカニカルシールによれば、
従動リングの外周部をランド部とし、内周部に多数の窪
みを形成するという簡易な構成により、液体または液体
と気体との混合物からなる密封流体の外部気体側へ洩れ
を良好に防止しうるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はメカニカルシールを有する回転軸の一例を示す
縦断面図、第２図は第１図のメカニカルシール部の拡大
図、第３図および第４図シマそれぞれ第２図の変形例を
示す図、第５図は本発明に係るメカニカルシールに用い
る従動リングの実施例を示す平面図である。 １・・・・・・回転軸、９・・・・・・シートリング、
１０・・・・・・従動リング、１０ａ・・・・・・摺接
面、２０・・・・・・窪み、Ｌ・・・・・・ランド部。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 回転軸を挿通させ固定側部材を形成するシートリン
   グと、上記回転軸とともに回転してこのシートリングに
   摺接される従動リングとを備え、この従動リングの外周
   側に液体または液体と気体との混合物からなる密封圧力
   流体を封入し、内周側を外部気体とするメカニカルシー
   ルにおいて、上記シートリングと従動リングとの少なく
   とも一方の摺接面を平坦な表面としてその外周部をラン
   ド部とするとともに、内周部の平坦な表面上にその平坦
   な表面によって閉じられた多数の窪みを形成したことを
   特徴とするメカニカルシール。 ２ 窪みが外周部側程数が多くなるような整列させて設
   けられている特許請求の範囲第１項記載のメカニカルシ
   ール。 ３ 窪みがシー） ＩＪングと従動リングの相対回転方
   向後方側に傾斜させた仮想線上に並べられている特許請
   求の範囲第１項記載のメカニカルシール。 ４ 窪みが平面円形である特許請求の範囲第１項ないし
   第３項のいずれかに記載のメカニカルシール。 ５ 窪みが平面長円状または矩形状である特許請求の範
   囲第１項ないし第３項のいずれかに記載のメカニカルシ
   ール。 ６ 窪みの深さが０．０１〜１．０ ｍｕ、径または短
   辺長がＯ４１〜ＬＯｍｍである特許請求の範囲第１項な
   いし第５項のいずれかに記載のメカニカルシール。