JPS5826655Y2 - 血液回路用気泡除去器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、血液を体外循環するための血液回路、特に血
液回路用気泡除去器の改良に関するものである。

血液の体外循環は主に人工腎臓９人工肺といった人工臓
器を使用する場合に行なわれるものであって、現在その
目的に応じるために多種類の血液回路が販売されている
。

そのなかで気泡除去器は体外循環中に発生する気泡を除
去することを主たる目的として血液回路中に設けられる
ものであって、本考案の目的は血液中の気泡除去効率が
高く、かつ気泡除去器内部に血液が流入する際に気泡除
去器内で発生する気泡を防止することにある。

すなわち本考案は、室を構成する透明若しくは半透明な
合成樹脂製本体と、該本体の底部に設けられた血液導入
管および血液排出管と、該血液排出管の開口端を包囲し
た血液中の異物を除去するフィルターと、前記室内の血
液の液面を前記血液導入管の開口端より上方に位置する
ように調整する液面調整用導管とを具備し、該血液導入
管の開口端が該血液排出管の開口端よりも高い位置にあ
ることを特徴とする血液回路用気泡除去器を特徴とする
血液回路用気泡除去器である。

以下、本考案を図面により公知例と比較して詳述する。

第１図乃至第２図は公知例を示すもので、第３図は本考
案の一実施例を示している。

図面中、矢印は血液の流れの方向を示し、第１図乃至第
２図の公知例は共に液面に対して血液が上方より落下す
るためその衝撃により気泡除去器内での気泡発生が問題
となっている。

第２図の公知例は血液を気泡除去器内壁にったわせてそ
の衝撃を緩和せしめようにしたものであるが気泡発生の
問題を十分に解決していない。

さらに両者共発生した気泡は浮力によって液面から上の
気泡除去空間に行こうとするが、血液の流れの方向と全
く逆の方向であるため気泡除去効率を低下せしめている
。

一方、本考案においては、血液の導入、排出口が液面下
にあるため気泡除去器内で気泡の発生を供わす、外部か
らの気泡混入に対しても気泡の浮き方向と血液の流入方
向が一致するため、気泡の除去効率が高いものである。

第３図を参照して、全体数字１で示されたものは本考案
の気泡除去器を示すもので、筒状の本体２をその主要部
とする。

該本体２の底部には血液導入管３および血液排出管４が
取りつけられておリ、血液の流れの方向が実質的に略１
８０°変換されるようになっている。

又、該本体２の上部には、通常の血液回路用気泡除去器
と同様に液面調整用導管５ならびに圧力モニター用導管
６等が取りつけられている。

本体２は外部と遮断された一つの室７を構成するもので
あり、本明細書全記載に照らして本考案の思想を逸脱し
ない限りにおいて種々の形態が可能であり、該本体２の
底部に設置される導入管３゜排出管４．並びに必要に応
じて該本体２の上部に設置される導管５，６は様々な手
段によって室７と連通させることができるものである。

本実施例において本体２は透明若しくは半透明な軟質ポ
リ塩化ビニルの如き合成樹脂製の両開口端を有する円筒
状のもので、一端開口部より導入管３と排出管４が挿入
され、底端８で熱融着され固定される。

その際、血液中の血栓気泡等の異物除去の目的でフィル
ター９を排出管４にかぶせて底端８で一緒に熱融着する
こともできる。

したがって、フィルター９は血液中の血栓を除去すると
ともに血栓より大きな浮力によって除去できない微細な
気泡を除去する。

他端開口部には液面調整用導管５．圧力モニター用導管
６．吊り下げ用チューブ１０等を具備するキャップ１１
が被嵌固着される。

又、導入管３と排出管４の各々の開口端はある程度、隔
置されることが望ましく、導入管３の開口端までの高さ
を排出管４のそれより高くすることにより遠戚される。

あまりに両者の開口端が隣接すると気泡が除去されずに
排出管４より流出する可能性があることは理解されるで
あろう。

このように構成された気泡除去器は吊り下げ用チューブ
１０によって本体２の長手軸が地面に対して垂直となる
様に固定されて使用される。

導入管３の開口端以上の高さまで室７に予しめ血液を貯
溜させてから体外循環（人工腎臓透析器を使用する場合
の流量は通常２００ｍ１／ｍｉｎである。

）を行ない、又体外循環中、絶えず液面が導入管３の開
口端以上の高さにあるように液面調整用管５を使用して
調整する。

本考案の効果を立証するために公知例と比較した実験を
行なったので下に示す。

本実験は気泡除去器の高さＨが１３Ｑｍｍ、内径２０ｍ
ｍの第１図乃至第３図の各々の気泡除去器を作成し、又
第３図の例においては導入管３の開口端よ、での高さｈ
ｌ、（導入管３と排出管４の開口端間の距離）を２０ｍ
ｍに設計したものを使用した。

血液流量は２００ｍ１／ｍｉｎである。このような設定
下において液面の高さｈが何如なる数値の時に気泡が気
泡除去器から流出されるかを求めた。

以上の実験結果より、本考案の実施例においては気泡除
去器内の血液容量が公知例と比較してかなり少ない場合
であっても気泡が流出しないことを顕著に示している。

以上詳述した通り、本考案によれば、気泡発生が少なく
、又気泡が発生してもその除去効率が高く、さらに従来
のものと比較した場合に血液容量が少さくてその効果を
示すものであるから、従来と同じ大きさの気泡除去器に
あって気泡除去空間の占める割合が大きく、圧変動の大
きな（液面の変動が大きい）体外循環（交換流シングル
ニードルシステム等がある）であっても充分にその機能
を発揮することができる等の効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第２図は公知例を示す概略図であり、第３図
は本考案の一実施例を示す一部切欠断面図である。 １・・・・・・血液回路用気泡除去器、２・・・・・・
本体、３・・・・・・血液導入管、４・・・・・・血液
排出管、７・・・・・・室。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 室を構成する透明若しくは半透明な合成樹脂製本体と、
   該本体の底部に設けられた血液導入管および血液排出管
   と、該血液排出管の開口端を包囲した血液中の異物を除
   去するフィルターと、前記室内の血液の液面を前記血液
   導入管の開口端より上方に位置するように調整する液面
   調整用導管とを具備し、該血液導入管の開口端が該血液
   排出管の開口端よりも高い位置にあることを特徴とする
   血液回路用気泡除去器。