JPS5825863B2 - ピストンリングの組合わせ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、内燃機関に於るピストンリングの組合わせに
係り、特に鋼製ピストンリングに係る。

周知の如く、内燃機関の使用条件は高出力、高回転化、
長期無解放とその条件はますます苛酷となり、それに伴
って、ピストンリングもこの使用条件に充分対処し得る
ピストンリングが要求される。

このための−策として従来、圧縮リングに於ては外周面
、上、下面、内周面と全外表面にクロムメッキを施した
鋳鉄製リングが用いられているが、いまだ耐摩耗性の点
に於て、充分とは言えず、しかも製造上コスト高も招い
ていた。

一方、オイルリングにあっては、高張力が得られ且つ、
シリンダ内壁に対する追従性の優れたサイトレールとス
ペーサーエキスパンターカラ成ル組合わせオイルリング
が次第に数多く使用されるに至ったが、これまたサイト
レールの外周面にクロムメッキを施して使用しても耐摩
耗性の点に於て充分とは言い得す、また製造上、コスト
高を招いていた。

この様に、従来の圧縮リング及びオイルリングに於ては
、耐摩耗性の点に於ていまだ充分でなく、またコスト高
を招くと言う欠陥を有していた。

本発明は、この様な従来欠陥を全て排除した優れた圧縮
リングとオイルリングの組合わせを提供しようとするも
のである。

即ち、圧縮リングを重量係にてＣ０，１６〜１．４０％
、 Ｃｒ １１〜１９％を含有し、基地組織中に主に
クロムから戒る炭化物（ＨＶ１３００以上）が微細に分
散され且つ硬さがＨＲＣ３０〜５０の鋼材より製作し、
該鋼材より製作された圧縮リングの外周面に硬質金属被
膜を施した圧縮リングとなし、一方、前記圧縮リングと
組合わせて使用されるオイルリングは、組合わせオイル
リングとされ、該オイルリングのサイトレールは、前記
圧縮リングと同一材料にて製作されたサイトレールであ
ることを特徴とするピストンリングの組合わせである。

以下、本発明を第１図に基づいて詳細に説明する。

１は鋼製圧縮リングを示し、後述する特定材料にて製作
されている。

この鋼製圧縮リングの外周面には、クロムメッキ、や溶
剤、窒化、軟窒化等の硬質金属被膜種１１が施されてい
る。

また、前記鋼製圧縮リングと組合わせて用いられるオイ
ルリングは、サイトレール２とスペーサーエキスパンダ
３とから構成される組合わせオイルリング４が用いられ
、特にその特徴とするところはサイトレールにある。

即ち、該サイトレールは後述する特定材料によって製造
されており、そのため外周面２１に対するクロムメッキ
等の表面処理を施すことなく、優れた耐摩耗性を有する
ところにある。

もちろん、機種によってはオイルリングにあっても使用
条件が比較的苛酷な機種があるので、このような機種に
あっては外周面に軟窒化処理を施し耐摩耗性を向上させ
ることが効果的である。

なお図中５はピストン、６はピストンリング溝、７はシ
リンダを示すものである。

以下、前述した鋼製圧縮リング及びサイトレールの材料
について記述する。

先ず、鋼製圧縮リング及びサイトレールは共に重量％に
てＣ０，１６〜１．４０％、 Ｃｒ １１〜１９係を含
有し、基地組織中に主にクロムからなる炭化物が微細に
分散され且つ、硬さがＨＲＣ３０〜５０の特定された鋼
材よりなる。

これら成分等限定理由は下記の理由に基づくものである
。

即ち、Ｃ量については０．１６未満では耐摩耗性に寄与
する炭化物量が少く、優れた耐摩耗性が得られず、また
後述するＣｒ量とも関連するが焼入硬化性に乏しくなる
。

そして１．４０％超では炭化物が粗大になり、リングに
必要な強度が脆化するためＣ量は０．１６〜０．４０に
選定するものである。

Ｃｒ量については、１１係未満ではＣ量とも関連するが
高硬度の耐摩耗性に秀れたクロム炭化物量が少くなり、
また耐食、耐熱性も低下する。

そして、１９饅超ではＣ量とも関連するが基地に固溶す
るＣｒ量、炭化物量が増大し、材料の強度（靭性）を低
下させるためにＣｒ 量は１１〜１９φに選定するもの
である。

前記したＣ量、Ｃｒ量は密接に関連するものであるが、
Ｃｒ量の低い場合はＣ量が高い方が望しく、Ｃｒ量が高
い場合はＣ量はある程度低くとも目的を遠戚することが
判明している。

次に硬さについてであるがＨＲＣ３０未満では目的とす
る耐摩耗性が得られず、ＨＲＣ５０超では線材をカーリ
ングしリングを製造する時に困難をきたすと共にリング
をリング溝に装着する際も困難を伴い、しかも熱に対す
る変化率が高いためリングとして不適当になるため硬さ
についてはＨＲＣ３０〜５０に選定する必要がある。

なお、成分については耐摩耗性、耐熱性、耐食性更に向
上させるためにＭｏ、Ｎｉ、Ｖ等を添加することは極め
て有効的である。

以上説明から明らかな如く、本発明に於る鋼製圧縮リン
グ及びサイトレールの材質は特定された材料よりなり、
基地組織中に主にクロムからなる炭化物（ＨＶ１３００
以上）が微細に分散されているため、該材料自身の耐摩
耗性は極めて優れた性能を示す。

従って、オイルリングの如く潤滑条件が良好でしかも、
作動温度条件等も比較的低い場合は従来の如くクロムメ
ッキ等の表面処理を施すことなく良好な耐摩耗性を発揮
し得るものである。

つぎに、圧縮リングにあってはオイルリングよりも著し
く作動条件が苛酷となるが、上下面の如く外周面に比し
比較的作動条件が苛酷でない面については、従来の如く
クロムメッキを施すことなく充分に良好な耐摩耗性を発
揮する。

しかしながら、外周面にあっては、最も条件が苛酷とな
るため、従来の如くクロムメッキや溶剤層又は軟窒化等
の硬質金属被膜による耐摩耗性に依存することとなる。

しかし、クロムメッキや溶剤層又は軟窒化等の硬質金属
被膜が長期の使用の末、摩滅した際には、母材自体が前
記したように耐摩耗性を有するため急激に摩耗すること
がなく、長期にわたる優れた耐摩耗性を発揮するもので
ある。

この様にオイルリング及び圧縮リングとも、長期にわた
り優れた耐摩耗性を発揮するため、ピストンリング全体
としてのバランスがとれた優れたピストンリングの組合
わせとなり得る。

しかも、このピストンリングは、従来の如く耐摩耗性向
上のためにクロムメッキを多用することもないためコス
ト低減も可能となり、本願のもたらす効果は極めて大き
いものがある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のピストンリングの組合わせを示す要部
断面図を示す。 信号の説明、１・・・・・・圧縮リング、１１・・・・
・・硬質金属被膜、２・・・・・・サイトレール、３・
・・・・・スペーサーエキスパンダ、４・・・・・・組
合わせオイルリング、２１・・・・・・外周面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 圧縮リングを重量係にてＣ０，１６〜１．４０％。 Ｃｒ１ｌ〜１９係を含有し、基地組織中に主にクロムか
   ら成る炭化物が微細に分散され且つ硬さがＨＲＣ３０〜
   ５０の鋼材より製作し、該鋼材より製作された圧縮リン
   グの外周面に硬質金属被膜を施した圧縮リングとなし、
   一方、前記圧縮リングと組合わせて使用されるオイルリ
   ングは組合わせオイルリングとされ、該オイルリングの
   サイトレールは、前記圧縮リングと同一材料にて製作さ
   れたサイトレールであることを特徴とするピストンリン
   グの組合わせ。