JPS5821126B2 - コルゲ−ション・ボルト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は温度差による膨張，収縮の影響を受は易い部
品や物体をねじの締め付けにより固定する為のボルト、
特に通常は弾性ボルト、又はテンション・ボルト等とい
われているこの種ボルトとその製造方法に関し、ボルト
軸部に螺旋でない環状溝と環状膨隆部とよりなるコルゲ
ート部を冷間において転造加工することを特徴とするも
のである０ この種のボルトは頭部と先端の雄ねじ部との間に熱膨張
係数の差で伸縮し得る中間部を一体に有するものである
が、その中間部には軸部先端の雄ねじのピッチより大き
いねじ状の凹凸螺旋を形成するのが一般的である。

公知のものによれば軸部・の中間にこの凹凸の螺旋をね
じ転造により形成するものである。

その為螺旋の形や大きさ、及び溝幅，深さ等全てが一様
に揃ったものとなり、而も螺旋溝の始端と終端は謂ゆる
ねじの切り上りが角のとがったシャープなものとなるか
ら引っ張りゃ曲げ或いはねじれに対する応力の集中を受
は易く、疲労限度も小さいから外圧力に対して破断し易
い欠点があった。

又頭部と軸部との接続部は付根を或る程度のアールをも
って形成しないと付根部に前記の集中応力を受けること
になるからこのアールをできるだけ大きくする必要があ
るのであるが、ねじ転造では頭部の付根にアールをつけ
ることはできないのでこの部分においても強度上問題が
あり、いまだに未解決である。

この発明の目的は軸部の中間部に螺旋でない独立した複
数の環状溝と環状膨隆部とよりなるコルゲート部を冷間
転造により形成することによってねじ切りやねじ転造加
工によるねじ溝の始端及び終端にみられるようなねじの
切り上りを無くすと共に、応力の集中を分散できるよう
にして前記の欠点を除去する点にある。

以下その詳細を図面の実施例について説明する。

第２〜３図はこの発明に係るコルゲーション・ボルトを
示すもので、その製造方法は多段式ボルトフォーマのよ
うな鍛造機械を用いて鋼製の丸棒線材を一定寸法に切断
し、それをパンチとダイスで絞りと圧造を加えながら予
備成形を経て最終工程で軸部１０の後端に六角頭等の頭
部１１をつくつた後に、軸部１０の先端に締付は用ナツ
ト１２と螺合される雄ねじ１３を通常の方法により形成
する。

次に軸部１０の中間にコルゲート部１４をつくるもので
ある。

このコルゲート部１４は螺旋でない独立した複数の環状
溝１４ａと環状膨隆部１４ｂとよりなり、これを再結晶
温度以下の冷間において第１図に示すような冷間転造装
置で転造加工するものである。

この環状溝１４ａと膨隆部１４ｂは軸部先端の雄ねじ１
３の山部及び谷部の曲率半径より大きい曲率半径Ｒ＋
ｒをもった円弧形状に形成され、又複数の環状溝１４ａ
は前後外側のもの１４ａ′が内側のもの１４ａ“の溝幅
Ｗよりも大きい溝幅Ｗに形成する。

さらに第２図のように膨隆部１４ｂはその高さを成る部
分において、或いは段階的に高くし、又は第３図のよう
に前部と後部にグループ別に分けて形成する場合もある
。

又、頭部１１と軸部１０の付根には環状溝１４ａの曲率
半径Ｒ，ｒと同等若しくはそれよりも大きい曲率半径Ｒ
′の円弧部１４ｃを前記のコルゲート。

１４と一緒に転造加工する。

第１図において、１５はモータ（図示省略）により回転
駆動される転造ローラ、１６は固定ダイスであり、その
ダイス面は転造ローラー１５の周面を囲繞するように一
定の間隔１γを保有し、且つその相対する両面には成形
すべきボルトのコルゲート部１４に対応する凹凸条１５
ａ、１６ａを有する。

１８はボルト素材１９の供給部であって、平行した間隔
を存して所定長さ有し、その下端口１８ａは前記転造ロ
ーラー１５と固定ダイス１６゜との上部口に臨んでいる
。

２１はストッパー機構、２２はプッシャー機構であり、
両機構２１．２２は関連的に協動して供給部１８よりの
ボルト素材１９を下端部のものから一つづつ定期的に送
り出し転造部への供給を許容する。

転造ローラー１５は第１図の反時計方向（矢印イの方向
）へ連続回転し、そこへ供給部１８から素材１９が供給
されると前記の間隔を転勤しながら強制通過させられて
下部出口２３より自動的に取り出されるから転造ローラ
ー１５と固定ダイス・１６の両凹凸条１５ａ、１６ａに
よって環状溝１４ａと環状膨隆部１４ｂ及び頭部付根の
円弧部１４ｃが同時に形成されるものである。

前記の転造はねじ転造ではないからボルト素材は転造作
用中に軸方向へ移動しない。

その為転造ローラーと固定ダイスの凹凸条に変化をもた
せればコルゲート部１４の環状溝の深さや幅及び円弧部
の曲率半径等を個々に変化させ、而も夫々独立したもの
を任意に形成することができるものである。

ボルトにナツトを螺合し、ボルト頭部の座面とナツト座
面との間に被締結物を締付ける際の両者間に生じるボル
トの弾性伸び量δは Ｉ δニーΣ− Ａ （Ｐ：締付力、Ｅ：ヤング率、■：断面積Ａをもつボル
ト軸部の長さ） となり、δが変化した場合にＰの変化量を減少させるた
め、一般にＡを減少させたボルトが用いられている。

この目的のボルトは伸びボルト又は弾性ボルト等と云わ
れ、従来軸部の外径を１〜２ケ所において切削加工によ
り小さくしていたが、そのボルトの性質は断面積を小さ
くした部分の長さが長いほど有効であると考えられてい
たので切削加工の長さはボルトの軸部全長の２分の１以
上にわたることが多かったのである。

本発明は上述の構成とすることによってボルト軸部の断
面積が小さい部分を分割し、冷間において転造加工によ
って製造し得るようにしたものであって、切削加工によ
るボルト表面の微細な切欠を排除すると共にコルゲート
部のファイバーフローを途切らさないで強度を高め、且
つ加工を容易ならしめたものである。

特に本発明においては、コルゲート部の環状溝が膨隆部
と同等若しくはそれより大きい曲率半径で円弧状に形成
され且つ外側の環状溝を内側のものより曲率半径及び溝
幅が大きく形成されているので、溝列の端部における応
力集中を分散し減少させることができてボルトの強度を
著るしく高め而も外側の溝幅が内側の溝幅より大きい為
に転造加工が容易であり、又頭部と軸部の付根に環状溝
と同等若しくはそれかり大きい曲率半径の円弧部（アー
ル部）をコルゲート部と同時に転造形成したのでボルト
首下部分に残留圧縮応力を付加して回部の疲労強度を増
加させることができ、このような加工をコルゲート部の
加工と同時に転造にて行われ、製造が簡単で実施化が容
易であり、大幅にコストの低減を図り得る。

【図面の簡単な説明】

面はこの発明の一実施例を示すもので、その第１図は転
造装置の側面図、第２図及び第３図はこの発明の方法に
より製造されたコルゲーション・ボルトの側面図、第４
図は第２図Ａ−Ａ線の断面図、第５図はコルゲート部の
転造作用図、第６図は従来例のボルトを示す側面図であ
る。 １０・・・・・・軸部、１１・・・・・・頭部、１３・
・・・・・雄ねじ、１４・・・・・・コルゲート部、１
５・・・・・・転造ローラー、１６・・・・・・固定ダ
イス、１２・・・・・・締付は用ナツト、１４ａ・・・
・・・環状溝、１４ｂ・・・・・・環状膨隆部、１４ｃ
・・・・・・円弧部、Ｒ，ｒ・・・・・・曲率半径、Ｗ
、ｗ・・・・・・溝幅。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 軸部の後端に頭部を、先端部に締付は用ナツトと螺
   合される雄ねじを有し、中間部に螺旋でない独立した複
   数の環状溝と環状膨隆部とよりなるコルケート部を設け
   たボルトにおいて、前記コルゲート部は環状溝が膨隆部
   と同等若しくはそれより大きい曲率半径で円弧状に形成
   され、且つ外側の環状溝を内側のものより曲率半径及び
   溝幅が大きく形成されていることを特徴とするコルゲー
   ション・ボルト。 ２ 前記頭部と軸部との付根に、前記環状溝の曲率半径
   と同等若しくは少くともそれより大きい曲率半径の円弧
   部（アール部）をコルゲート部と同時に転造形成されて
   いることを特徴とする特許許請求の範囲第１項記載のコ
   ルゲーション・ボルト。