JPS5817078B2 - 舶用推進器の浸食防止装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は舶用推進器の浸食防止装置の改良に関する。

従来、舶用プロペラの表面に生ずるキャビテーションエ
ロージョンを防止するため、キャビテーション気泡内部
に空気を吹込む方法が種々考えられている。

実施例を第１図に示すと、１は船体、２はプロペラ翼、
３はニアコンプレッサ、４は導管、５は空気の気泡、６
はキャビテーション気泡で、導管４はプロペラ翼２の上
流に開口し、ニアコンプレッサ３によって作られた空気
が水中に気泡５として放出される。

この様に、回転しているプロペラ翼２の上流から空気を
吹き出す方法では、吹き出された空気は気泡５となって
プロペラ翼２面に清って流れ、キャビテーション崩壊の
際の衝撃を緩和するクッションの役目をさせることがで
きる。

然し、この方法では放出された空気の気泡５がプロペラ
翼２の前方から流れてきて、キャビテーションエロージ
ョンの生じ易いプロペラ翼２の後縁に到達して効果を表
わすまでの間は、プロペラ翼２面上を気泡５が流れてい
る状態となるため、プロペラ翼２の揚力が減少し、プロ
ペラ効率が悪くなる。

第２図及び第３図は従来の他の実施例で、７は導管、８
は開口孔で、導管７はプロペラ翼２内に設けられ、プロ
ペラ翼２表面に導管７の開口孔８がおいており、図示さ
れていないニアコンプレッサによって空気が供給されて
いる。

この方法は第１図の方法の不具合を解消するために、プ
ロペラ翼２の中に設けた導管７で空気を吹き出すもので
あるが、プロペラ翼２に導管７を設けることは、実際に
非常に困難である。

また、回転するプロペラ翼２に空気を供給することも、
空気洩れ防止対策等容易でない。

そこで本発明は、プロペラ翼の後方、舵および舵柱より
前方で、且つプロペラ軸中心線を通って船体中心面と平
行な平面よりプロペラ回転方向の反対側に、プロペラ翼
から発生する翼端渦キャビテーションの流れの中に導管
を配設し、導管の出口を前方へ向はプロペラの翼端円の
上部付近へ開口させたもので、一実施例を第４図ないし
第６図に示す。

１１は導管、１２は開口部、１３はニアコンプレッサ、
１４は舵、１５は舵柱、１６はプロペラ軸を通る船体中
心面で、導管１１をプロペラ翼２の後方、舵１４および
舵柱１５より前方で、且つプロペラ翼２のプロペラ軸中
心線を通る船体中心面１６よりプロペラ回転方向の反対
側にプロペラ翼２から発生する翼端渦キャビテーション
の流れの中に配置し、導管１１の開口部１２を前方へ向
けプロペラの翼端面の上部付近へ開口させ、他端はニア
コンプレッサ１３と連通し、圧縮された空気が供給され
るようになっている。

一般に、プロペラが回転している間、常時キャビテーシ
ョン６が発生するのではな東プロペラ翼２がほぼ鉛直上
方を向いた位置に来た時のみキャビテーション６が発生
する。

これはプロペラ翼２へ流れ込む水流が船体形状によって
影響を受け、流速分布が不均一になるためである。

従って、キャビテーションエロージョン防止のために空
気吹込みをする時も、常時、プロペラ翼２に空気を吹き
込む必要はなく、キャビテーション気泡６を生じている
時のみで充分である。

模型試験、実船実験によると、キャビテーション気泡６
が発生する位置にプロペラ翼２が到達すると、プロペラ
翼２上にキャビテーション気泡６が生ずると共に、プロ
ペラ翼２の先端からも翼端渦キャビテーションという中
心部が中空となった渦流６′が生じ、後方へ流される。

然も、この中空渦流６′は、第５図および第６図に示す
ように、プロペラ翼２に生じたキャビテーション発生域
マでつながっている。

中空の渦流６′がプロペラ翼２と共に回転し螺線形を描
いて後方へ流れる。

然も、船尾の流湯から通常は、プロペラ翼２が真上を向
いた時に一番強くなる。

その瞬間に第６図矢印Ｂのように、導管１１の開口部１
２から高圧空気を中空の渦流６′内に吹き込むと、低圧
中空の渦流６′内に瞬間的に空気が入り込み、その空気
がクッションとなってキャビテーション崩壊の際の衝撃
的な圧力を緩和することができる。

勿論、導管１１の開口部１２は中空の渦流６′の通過す
る位置と一致させねばならない。

なお、本実施例はプロペラ軸が１本の場合であるが、多
軸の場合も当然本発明の技術的範囲に含まれるものであ
る。

以上述べたように本発明は、プロペラ翼の後方、舵およ
び舵柱より前方で、且つプロペラ軸線を通って船体中心
面と平行な平面よりプロペラ回転方向の反対側に、プロ
ペラ翼から発生する翼端渦キャビテーションの流れの中
に導管を配設し、導管の出口を前方へ向はプロペラの翼
端円の上部付近へ開口させたので、空気吹出用開口部は
プロペラ翼および舵に何ら悪影響を及ぼすことなく、し
かも船体、プロペラ等を変更することなく、導管の取り
付は位置決めも容易で、プロペラの浸食防止し得るすぐ
れた発明である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来の実施例で、第１図は一実施
例の側面図、第２図は他の実施例の側面図、第３図は第
２図の■−■断面図、第４図ないし第６図は本発明の一
実施例で、第４図は側面図、第５図は第４図のＡ矢視図
、第６図は第５図の■−■断面図である。 １：船体、２：プロペラ翼、６：キャビテーション気泡
、６′：中空の気泡、１１：導管、１２：開口部、１４
：舵、１５：舵柱、１６：プロペラ軸中心線を通る船体
中心面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ プロペラ翼の後方、舵および舵柱より前方で、且つ
   プロペラ軸中心線を通って船体中心面と平行な平面より
   プロペラ回転方向の反対側に、前記プロペラ翼から発生
   する翼端渦キャビテーションの流れの中に導管を配置し
   、前記導管の出口を前方へ向は前記プロペラの翼端円の
   上部付近へ開口させたことを特徴とする舶用推進器の浸
   食防止装置。