JPH1193614A - 低圧タービン内車室における翼環蒸気室 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低圧蒸気タービンの内車室に形成された翼環
蒸気室において、蒸気室を画成する仕切りの両端位置
間、または各仕切り相互の間等の温度差に対して影響が
小さく、安定的な蒸気室を形成するようにしたものを提
供することを課題とする。 【解決手段】 低圧蒸気タービンの静翼を支持する翼環
と内車室との間に、配置した二重翼環により、同二重翼
環と前記翼環との間で第１の仕切板を、また前記内車室
との間で第２の仕切板をそれぞれフレキシブルに支持し
て翼環蒸気室を画成し、翼環蒸気室の半径方向内側と外
側等に温度差が有っても、熱変形量は第１、第２の仕切
板で分担し、かつ、これらを連結する二重翼環のフレキ
シブルな構造で対処して前記温度差の影響を小さく抑
え、安定し、かつ安全性、および信頼性の高い低圧ター
ビン内車室における翼環蒸気室を得るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は低圧蒸気タービンの
内車室に形成された翼環蒸気室に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の低圧タービン内車室における翼環
蒸気室について、図２に基づいて説明する。

【０００３】図はダブルフロー型の低圧タービンの縦断
面を示し、１は外車室、２は内車室を示している。３は
蒸気供給口で、クロスオーバ管を経て上流に配置された
図示省略の高圧タービン、または、中圧タービンから供
給される蒸気を、この位置から取り込んでいる。

【０００４】従ってこの蒸気供給口３から供給された蒸
気はここから左右に二分し、対称的に配列された各段落
を経て後流側へと送られる。

【０００５】４は翼環で複数段の静翼５を支持するよう
に複数に区分して配置されている。また、各静翼４のそ
れぞれに対応して、その下流に複数の動翼８がそれぞれ
配置されている。

【０００６】この動翼８は、左右の軸受け７に軸支され
たロータ８上に設けられ、低圧タービンとしての基本形
態が形成される。

【０００７】このような基本構成に加えて、段落の途中
から抽気した蒸気を一旦収納する蒸気室１０が、前記翼
環４と内車室２とで内端と外端を支持され、その間に延
びる一枚板状の仕切板９で画成して形成されている。

【０００８】なお、１１はタービンの完全崩壊を防ぐた
めの安全装置としての大気放出板、また、１２は排気口
で、図示省略の復水器に連通している。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】前記した様に従来の低
圧蒸気タービンの内車室に形成された蒸気室９は、一枚
板状の仕切板９で画成して形成されているために、同仕
切板９についてみれば、仕切りの両端位置間で、また各
仕切り相互の間において、温度差が大きく、熱応力に起
因して疲労破壊が懸念されるという問題がある。

【００１０】しかも、この温度差による熱変形量の差
は、車室の変形に繋がり、上下の車室を連結するボルト
の応力が過大となり水平フランジ面での蒸気漏れに繋が
るというおそれもある。

【００１１】本発明は、このような従来のものにおける
問題点を解消し、温度差に対して影響が小さく、安定的
な蒸気室を形成し得るようにしたものを提供することを
課題とするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は前記した課題を
解決すべくなされたもので、低圧蒸気タービンの静翼を
支持する翼環と内車室との間に、同翼環と同心円状に二
重翼環を配置し、同二重翼環により、前記翼環との間で
第１の仕切板を、また前記内車室との間で第２の仕切板
をそれぞれフレキシブルに支持して翼環蒸気室を画成し
た低圧タービン内車室における翼環蒸気室を提供するも
のである。

【００１３】すなわち、本発明において翼環蒸気室は、
翼環と内車室との間で二重翼環により中継されてフレキ
シブルに支持された第１、第２の仕切板により画成され
た構成となっているので、翼環蒸気室の内方と外方、即
ち翼環寄りと内車室寄りとで温度差が有っても、その影
響はあまり受けずに、安定した翼環蒸気室を得るように
したものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の実施の一形態を、図１に
基づいて説明する。なお前記した従来のものと同一の部
分については、図中同一の符号を付して示し、重複する
説明は省略する。

【００１５】２０は二重翼環で、静翼５を支持する翼環
４の外周側で、同翼環４と同心円状に配置されている。
この二重翼環２０には、半径方向内方で対峙する翼環４
との間に第１の仕切板２１が配置され、また、半径方向
外方で対峙する内車室２との間に第２の仕切板２２が配
置されている。

【００１６】そして、この第１、第２の仕切板２１、２
２と軸方向で対峙する他の第１、第２の仕切板２１、２
２、および前記翼環４と内車室２とで画成して抽気蒸気
を収容する蒸気室１０が形成されている。

【００１７】なお、前記第１、第２の仕切板２１、２２
を支持する二重翼環２０の支持部は、例えば半径方向に
若干のガタを持たせるというように、フレキシブルな支
持部を形成するようにしている。

【００１８】本実施の形態は、上記の様に構成されてい
るので、蒸気室１０の内部で、その翼環４寄りと内車室
２寄りとで温度差が有っても、翼環４から内車室２まで
の半径方向距離の間に二重翼環２０を介装して、第１、
第２の仕切板２１、２２とで二分して対応することとな
り、熱変形量を分断し、その影響を小さくおさえること
になる。

【００１９】しかも、前記第１、第２の仕切板２１、２
２が二重翼環２０に支持される部位の構成は、フレキシ
ブルな支持となっているので、ここでも熱変形量は吸収
されるのみならず、むしろこの支持結合部がシール性を
向上して、蒸気室１０が形成されることになる。

【００２０】このように、本実施の形態によれば、蒸気
室１０の温度差に影響されず、車室変形からボルトの応
力が過大となり、水平フランジ面での蒸気漏れに繋がる
と言うようなおそれもなく、安定性の高い蒸気室１０を
得るものである。

【００２１】以上、本発明を図示の実施の形態について
説明してが、本発明はかかる実施の形態に限定されず、
本発明の範囲内でその具体的構造に種々の変更を加えて
よいことは言うまでもない。

【００２２】

【発明の効果】以上本発明によれば、低圧蒸気タービン
の静翼を支持する翼環と内車室との間に配置した二重翼
環により、同二重翼環と前記翼環との間で第１の仕切板
を、また前記内車室との間で第２の仕切板をそれぞれフ
レキシブルに支持して翼環蒸気室を画成しているので、
翼環蒸気室の半径方向内側と外側等に温度差が有って
も、熱変形量は第１、第２の仕切板で分担するととも
に、これらを連結する二重翼環のフレキシブルな構造で
対処し、この温度差の影響を小さく抑えて車室変形等に
発展する心配はなく、安定し、かつ安全性、および信頼
性の高い低圧タービン内車室における翼環蒸気室を得る
ことができたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施の一形態に係わる低圧タービンの
縦断面を示す説明図。

【図２】従来の低圧タービンの縦断面を示す説明図。

【符号の説明】

１ 外車室 ２ 内車室 ３ 蒸気供給口 ４ 翼環 ５ 静翼 ６ ロータ ７ 軸受 ８ 動翼 ９ 仕切板 １０ 蒸気室 １２ 排気口 ２０ 二重翼環 ２１ 第１の仕切板 ２２ 第２の仕切板

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 低圧蒸気タービンの静翼を支持する翼環
   と内車室との間に、同翼環と同心円状に二重翼環を配置
   し、同二重翼環により、前記翼環との間で第１の仕切板
   を、また前記内車室との間で第２の仕切板をそれぞれフ
   レキシブルに支持して翼環蒸気室を画成したことを特徴
   とする低圧タービン内車室における翼環蒸気室。