JPH1192524A - ポリビニルアルコール系重合体含水ゲルの製造方法 - Google Patents

ポリビニルアルコール系重合体含水ゲルの製造方法

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JPH1192524A
JPH1192524A JP9259548A JP25954897A JPH1192524A JP H1192524 A JPH1192524 A JP H1192524A JP 9259548 A JP9259548 A JP 9259548A JP 25954897 A JP25954897 A JP 25954897A JP H1192524 A JPH1192524 A JP H1192524A
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JP
Japan
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polyvinyl alcohol
group
structural unit
water
based polymer
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JP9259548A
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English (en)
Inventor
Yoshimi Kakimaru
好海 柿丸
Masao Tanihara
正夫 谷原
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の平滑性と均一性、柔軟性、透明性に優
れていて、しかも高温での蒸気滅菌処理や水中煮沸処理
などに耐え得る良好な耐湿熱性および耐熱水性を備え、
さらに高含水率で、溶出物が少なく安全性に優れるポリ
ビニルアルコール系重合体含水ゲルの新規な製造方法を
提供する。 【解決手段】 ポリビニルアルコール系重合体を水溶性
有機溶剤または水と水溶性有機溶剤の混合溶液に溶解
し、得られた溶液を気相状態にある水と接触させてゲル
化することを特徴とするポリビニルアルコール系重合体
含水ゲルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリビニルアルコ
ール系重合体含水ゲルの新規な製造方法、該製造方法に
よって得られるポリビニルアルコール系重合体含水ゲ
ル、並びに前記の含水ゲルから主としてなる創傷被覆材
に関する。より詳細には、本発明は、表面の平滑性に優
れていて、しかも均一性、柔軟性、透明性が良く、かつ
蒸気滅菌処理や水中煮沸処理などに耐え得る良好な耐湿
熱性および耐熱水性を備え、しかも高含水率で溶出物が
少なく安全性にも優れるポリビニルアルコール系重合体
含水ゲルの新規な製造方法、該製造方法によって得られ
るポリビニルアルコール系重合体含水ゲル、並びに前記
の含水ゲルから主としてなる創傷被覆材に関する。
【0002】
【従来の技術】ゲル、特に水を媒体として含む高分子含
水ゲルは、古来から実生活などにおいても広く用いられ
ている。なかでも食品分野では、例えば寒天、ゼラチ
ン、コンニャクなどにもみられるように、天然高分子か
らなる各種のゲル基材があり、それらのゲル基材からな
る含水ゲル、すなわち食品が従来から汎用されている。
また、最近では、ゲルの有する優れた機能を活かした技
術開発が広く進められていて、それに伴ってゲルの用途
も広がる一方であり、例えば、紙おむつや生理用品に代
表される高吸水性ゲル、酵素や菌体を固定化するための
ゲル、コンタクトレンズ、人工筋肉、人工臓器、創傷被
覆材などのような生体に対して親和性のあるゲルの技術
開発が著しい。さらに、ゲルの相転移現象の発見に代表
される、ゲルに対する基礎科学の発展に伴い、例えばセ
ンサー、機能性分離膜、放出制御膜、スイッチ、アクチ
ュエータなどのような高機能製品の用途にゲルを利用す
ることも色々試みられるようになっている。
【0003】一方、ゲルの基材である高分子化合物につ
いてみると、ゼラチンや各種多糖類に代表される天然高
分子と、ポリアクリル酸、ポリ(メタクリル酸2−ヒド
ロキシエチル)、ポリアクリルアミド、ポリビニルアル
コールなどの合成高分子に大別されるが、最近の新しい
ゲルの用途によっては、表面の平滑性、均一性、柔軟
性、透明性、耐湿熱性、耐熱水性、高含水率、低溶出物
による安全性を兼ね備えたものが強く要求されるように
なっており、そのようなゲルを形成し得る高分子基材の
開発が求められている。
【0004】ところで、上記したように、ゲルの用途の
一つに創傷被覆材があるが、創傷被覆材では、一般に創
傷からの滲出液中に含まれる治癒を促進する種々の増殖
因子を創傷被覆材によって創傷部に閉鎖的に保持して創
傷の治癒を促進させる機能を有していることが求められ
る。すなわち、外傷、熱傷、潰瘍、褥瘡などの創傷の治
療には従来からガーゼや軟膏類が用いられており、これ
は創傷部からの滲出液を吸収すると共に外部からの細菌
などの侵入を防ぐ効果を有している。近年、創傷部から
の滲出液中に治癒を促進する種々の増殖因子(例えばb
FGF、TGFβなど)が存在することが明らかになり
[Howell, J.M., Current and Future Trends in Wound
Healing, Emerg. Med. Clin. North Amer., 10, 655-6
63(1992)等を参照]、そのような増殖因子を創傷部に保
持することによって創傷部の治癒を促進する効果を示す
閉鎖性の創傷被覆材が注目されるようになってきた[Ea
glstein, W.E., Experience with biosynthetic dressi
ngs, J. Am. Acad. Dermatol., 12 ,434-440(1985)参
照]。
【0005】そして、閉鎖性の創傷被覆材としては、ポ
リビニルアルコール含水ゲル、ポリエチレングリコール
含水ゲル、ポリアクリルアミド含水ゲルなどの含水ゲル
と共に、ポリウレタンフイルム、ハイドロコロイド、ア
ルギン酸塩繊維からなる不織布、ポリビニルアルコール
スポンジなどが知られている。特許公報上では、具体的
には例えば、(1)不溶性アルギン酸塩と可溶性アルギ
ン酸塩との混合アルギン酸塩の繊維の不織布よりなる傷
手当て具(特表平4−501067号公報);(2)ケ
ン化度が95モル%以上で粘度平均重合度が1500以
上のポリビニルアルコールと2〜8個の水酸基を有する
水溶性有機化合物を用いて形成したヒドロゲルよりなる
創傷被覆材(特開昭58−92359号公報);(3)
ポリビニルアルコールと、ポリ(メチルビニルエーテル
/無水マレイン酸)などの複合化剤とを物理的に架橋さ
せた半結晶質の半透明で水不溶性の、創傷被覆材などと
して用いられるハイドロゲル(特開平6−212045
号公報)などが提案されている。
【0006】そして、上記した従来公知の創傷被覆材に
おいて、ポリウレタンフイルムよりなる創傷被覆材は透
明性および閉鎖性の点ではある程度満足できるが、吸水
性がないために滲出液が多い創傷部には使用できないと
いう欠点がある。また、ポリエチレングリコール含水ゲ
ルおよびポリアクリルアミド含水ゲルには透明なものも
あるが、ハイドロコロイド系創傷被覆材の場合と同様に
創傷部に残存して慢性的な炎症反応を生ずる心配があ
り、しかも両者の原料モノマーは毒性が強く、含水ゲル
中に含まれる残存モノマーや分解成分による毒性の発現
の心配がある。そして、ハイドロコロイド、ポリビニル
アルコールスポンジおよび上記(1)に挙げた混合アル
ギン酸塩繊維の不織布よりなる傷手当て具は、滲出液の
保持能を有するものの、不透明であるために創傷部の観
察ができないという欠点があり、しかもハイドロコロイ
ド系創傷被覆材ではその主要成分が生体組織中に長期間
残存して慢性的な炎症を引き起こすということも報告さ
れている[Young, S.R.et al., Comparison of the eff
ect of semi-occlusive polyurethane dressings and h
ydrocolloid dressings on dermal repair :1. Cellul
ar changes, J.Invest. Dermatol., 97 ,586-592(199
1) 参照]。しかも、これらの創傷被覆材を使用した場
合は、一旦細菌感染を起こすとその湿潤環境が細菌にと
って好適な培地となるため、細菌が急激に増殖して重度
の感染に発展する恐れがある。
【0007】また、上記(2)に挙げた創傷被覆材は、
ある程度の機械的強度を有しているが、不透明であるた
めに創傷部に貼り付けた場合に創傷部を観察することが
できず、しかも例えば121℃の温度で20分間湿熱蒸
気滅菌した場合には溶解してしまい、耐湿熱性に劣るの
で完全な滅菌処理を行うことができないという欠点があ
り、その上創傷被覆材が溶解しないような温度でも溶出
物が多く安全性が低いという欠点がある。
【0008】そして、上記(3)に挙げたハイドロゲル
は、その厚さが1000μm以下の場合には半透明であ
るとされているが、このハイドロゲルを創傷被覆材とし
て用いた場合には、厚さが1000μm以下の場合であ
っても創傷部を観察し得るに足る透明性を有していな
い。そして、閉鎖性創傷被覆材として十分な吸水性を発
現させるためには1000μmを超える厚さが必要であ
るが、その場合には不透明ないしはそれに近いものとな
って創傷部の観察は一層困難になる。その上、このハイ
ドロゲルでは複合化剤とポリビニルアルコールとの結合
が物理的な架橋であるために、湿熱蒸気滅菌が不可能で
あるため完全な滅菌処理を行うことができず、しかもハ
イドロゲルが溶解しないような低温においても溶出物が
多くて安全性が低く、創傷被覆材としては不適当であ
る。
【0009】ポリビニルアルコール系含水ゲルの製造方
法としては、ポリビニルアルコール系重合体を水、水溶
性有機溶剤または水溶性有機溶剤と水の混合溶液に撹拌
および/または加熱することにより溶解し、その後目的
とするゲルの形状や用途などに応じて、例えば、ガラス
板などの型用板体上への流延、ガラス管などの型内への
注入、Tダイからフイルム状への押出し、紡糸、微小液
滴下などを行った後、(1)硫酸ナトリウムなどの塩の
高濃度の凝固液に浸漬する方法、(2)凍結する方法、
(3)風乾後、水に浸漬して膨潤させる方法、(4)多
官能性の架橋剤で架橋する方法、(5)放射線を照射し
て架橋する方法などがある。
【0010】上記(1)の方法ではポリビニルアルコー
ル系重合体の沈殿と凝集がゲル化と並行して起こるた
め、高含水率のゲルは得られ難い。含水ゲルが得られる
場合でも、得られた含水ゲルは表面の平滑性が劣り、か
つ不均一で不透明なものとなり、透明性と均一性が要求
される創傷被覆材には適していない。
【0011】上記(2)の方法ではポリビニルアルコー
ル系重合体の結晶化が起るため透明な含水ゲルは得られ
ない。しかも、結晶により表面が平滑ではなく、かつ不
均一なものとなる。ポリビニルアルコール系重合体の水
と水溶性有機溶剤の混合溶媒の溶液を凍結すると透明な
含水ゲルが得られる場合があるが、該水溶性有機溶剤を
除去すると経時的に不透明で表面の平滑性が劣り、かつ
不均一なものとなる。
【0012】上記(3)の方法では、表面の平滑性と均
一性、透明性が良い含水ゲルが得られる場合もあるが、
得られた含水ゲルの含水率が低く、創傷被覆材などのよ
うな医療用途に適したものとは成りにくい。また、風乾
と膨潤に時間がかかるという問題点もある。
【0013】上記(4)の方法では、表面の平滑性と均
一性、透明性が良い含水ゲルが得られる場合もあるが、
毒性が強い架橋剤の残存が避けられないこと、十分に架
橋しない場合には溶出物が多いことなどの問題点があ
り、創傷被覆材などのような医療用途に適したものは得
られない。
【0014】上記(5)の方法では、表面の平滑性と均
一性、透明性が良い含水ゲルが得られる場合もあるが、
放射線による架橋反応とともに、分解も同時に起こるた
め、溶出物が多く、創傷被覆材などのような医療用途に
適したものは得られない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、表面
の平滑性と均一性、柔軟性、透明性に優れていて、しか
も高温での蒸気滅菌処理や水中煮沸処理などに耐え得る
良好な耐湿熱性および耐熱水性を備え、さらに高含水率
で、溶出物が少なく安全性に優れるポリビニルアルコー
ル系重合体含水ゲルの新規な製造方法を提供することで
ある。そして、本発明の目的は、上記の製造方法によっ
て得られるポリビニルアルコール系重合体含水ゲルを提
供することである。さらに、本発明の目的は、上記の含
水ゲルから主としてなる創傷被覆材を提供することであ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記のような状況下に、
本出願人においては、ゲルの上記したような高機能性、
そのますます発展しつつある用途などに着目して、ポリ
ビニルアルコール系重合体をベースとするゲルおよびそ
の製法やその用途などに関して従来から色々研究を行っ
てきた。そして、本発明者らが、本出願人による上記の
研究を踏まえて更に研究を重ねたところ、ポリビニルア
ルコール系重合体の溶液を気相状態にある水と接触させ
てゲル化することにより、表面の平滑性と均一性、柔軟
性、透明性、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量、安全性に
優れたポリビニルアルコール系重合体含水ゲルが得られ
ることを見出した。また、この方法によって得られるポ
リビニルアルコール系重合体含水ゲルが創傷被覆材とし
て極めて有効に使用し得ることを見出し、それらの知見
に基づいて本発明を完成した。
【0017】すなわち、本発明は、ポリビニルアルコー
ル系重合体を水溶性有機溶剤または水と水溶性有機溶剤
の混合溶液に溶解し、得られた溶液を気相状態にある水
と接触させてゲル化することを特徴とするポリビニルア
ルコール系重合体含水ゲルの製造方法である。
【0018】そして、本発明は、ポリビニルアルコール
系重合体が、下記の一般式(I)
【0019】
【化4】 (式中、R1 は水素原子または1価の炭化水素基を表
し、そしてR2 およびR3はそれぞれ独立して1価の炭
化水素基を表すかまたはR2 とR3 が一緒になってそれ
らが結合している炭素原子と共に環を形成するか、或い
はR1 、R2 およびR3 が一緒になってそれらが結合し
ている炭素原子と共に環を形成している。)で表される
構造単位を0.05〜0.50のモル分率で含有し、か
つ下記の数式(A)
【0020】
【数4】 θ=[OH、VES]/2[OH][VES] (A) (式中、[OH、VES]は、ポリビニルアルコール系
重合体が有するメチレン炭素のうち、水酸基が結合した
メチン炭素とアシルオキシ基が結合したメチン炭素に挟
まれたもののモル分率を表し、[OH]はビニルアルコ
ール単位のモル分率を表し、[VES]は一般式(I)
で示されるビニルエステル単位のモル分率を表す。)で
示されるブロックキャラクター(θ)が0.6以下であ
る粘度平均重合度300以上のポリビニルアルコール系
重合体である上記の製造方法をその一態様として包含す
る。
【0021】また、本発明は、ポリビニルアルコール系
重合体が、(i)前記一般式(I)で表される構造単位
を0.05〜0.50のモル分率で含有し、かつ(ii)
下記の一般式(II)
【0022】
【化5】 [式中、Xは式−CO−Y、式−Yまたは式−CO−C
OOHで表される基(前記式中Yは、カルボキシル基、
スルホン酸基、アミノ基およびリン酸基から選ばれる少
なくとも1種の極性基で変性された炭化水素基、または
カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基およびリン酸
基から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する基で変
性された炭化水素基を表す)であるか、或いはそれが結
合している酸素原子と共にリン酸基を形成している。]
で表される構造単位の少なくとも1種を0.0001〜
0.50のモル分率で含有するポリビニルアルコール系
重合体である上記の製造方法をその一態様として包含す
る。
【0023】さらに、本発明は、上記の一般式(II)で
表される構造単位のモル分率が、下記の数式(B)
【0024】
【数5】 {(1−Cest ) ×Cest } ×0.01≦Cpol <{(1−Cest ) ×Cest }× 2.0 (B) [式中、Cpol は一般式(II)で表される構造単位のモ
ル分率、そしてCest は一般式(I)で表される構造単
位のモル分率を示す。]を満足しているポリビニルアル
コール系重合体の製造方法;および上記の一般式(I)
で表される構造単位の、下記の数式(C)で表される平
均連鎖長(Lest
【0025】
【数6】 Lest =(Cest /Cmet )×2 (C) [式中、Lest は一般式(I)で表される構造単位の平
均連鎖長、Cest は一般式(I)で表される構造単位の
モル分率、そしてCmet はポリビニルアルコール系重合
体の主鎖を構成するメチレン炭素のうちで、水酸基また
は式−OXで表される基が結合しているメチン炭素と一
般式(I)で表される構造単位を構成するメチン炭素に
よって挟まれているメチレン炭素のモル分率を示す。]
が2.0以上である上記のポリビニルアルコール系重合
体の製造方法を好ましい態様として包含する。
【0026】そして、本発明は、上記の製造方法によっ
て得られるポリビニルアルコール系重合体含水ゲル;お
よび当該含水ゲルから主としてなる創傷被覆材である。
【0027】
【発明の実施の形態】以下で本発明について詳細に説明
する。本発明において用いられるポリビニルアルコール
系重合体としては、含水ゲルや含溶媒ゲルを形成し得る
ものであれば、特に制限されるものではない。なかで
も、ポリビニルアルコール系重合体としては、一般式
(I)で表される構造単位を0.05〜0.50のモル
分率で含有し、かつ数式(A)で示されるブロックキャ
ラクター(θ)が0.6以下である粘度平均重合度30
0以上のポリビニルアルコール系重合体[以下、これを
ポリビニルアルコール系重合体(1)と略称することが
ある]を使用するのが好ましい。また、上記一般式
(I)で表される構造単位を0.05〜0.50のモル
分率で含有し、かつ一般式(II)で表される構造単位の
少なくとも1種を0.0001〜0.50のモル分率で
含有するポリビニルアルコール系重合体[以下、これを
ポリビニルアルコール系重合体(2)と略称することが
ある]を使用するのが好ましい。ポリビニルアルコール
系重合体(2)のなかでも、一般式(II)で表される構
造単位のモル分率が数式(B)を満足しているポリビニ
ルアルコール系重合体か、または一般式(I)で表され
る構造単位の、数式(C)で表される平均連鎖長(L
est )が2.0以上であるポリビニルアルコール系重合
体が好ましい。
【0028】そして、本発明における「ゲル」とは、水
および/または有機溶媒を含む前記のポリビニルアルコ
ール系重合体、またはこれらを乾燥して得られる水およ
び/または有機溶媒を含んでいないポリビニルアルコー
ル系重合体からなるゲルをいう。
【0029】上記のポリビニルアルコール系重合体
(1)に含まれる構造単位(I)において、基R1 は水
素原子または1価の炭化水素基であり、基R2 および基
3 はそれぞれ独立して1価の炭化水素基であるかまた
は基R2 と基R3 が一緒になってそれらが結合している
炭素原子と共に環を形成するか、或いは基R1 、基R2
および基R3 が一緒になってそれらが結合している炭素
原子と共に環を形成している。
【0030】構造単位(I)において、R1 が水素原子
で、R2 およびR3 が1価の炭化水素基である場合は、
2 とR3 が同じ1価の炭化水素基であってもまたは異
なる1価の炭化水素基であってもよい。また、R1 、R
2 およびR3 のすべてが1価の炭化水素基である場合
は、3者が同じ1価の炭化水素基であっても、2者が同
じ1価の炭化水素基からなり残りの1者が別の1価の炭
化水素基であってもまたは3者がそれぞれ異なる1価の
炭化水素基であってもよい。
【0031】構造単位(I)におけるR1 、R2 および
3 が1価の炭化水素基である場合は、炭素数1〜18
のアルキル基、1価の芳香族炭化水素基またはシクロア
ルキル基であるのが好ましく、限定されるものではない
が、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブ
チル基、t−ブチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オク
チル基、ラウリル基、ステアリル基などのアルキル基;
フェニル基、ナフチル基、アンスリル基などの1価の芳
香族基;シクロヘキシル基、ビシクロ[3.1.0]ヘ
キシル基、ビシクロ[2.2.0]ヘキシル基等のシク
ロアルキル基などを挙げることができる。
【0032】また、R2 とR3 が一緒になってそれらが
結合している炭素原子と共に環を形成するか、或いはR
1 、R2 およびR3 が一緒になってそれらが結合してい
る炭素原子と共に環を形成している場合は、それらの環
の例として飽和炭化水素環、不飽和炭化水素環などを挙
げることができ、具体例としては、ベンゼン環、シクロ
ヘキサン環、ノルボルナン環、アダマンタン環、ノルア
ダマンタン環、ナフタレン環などを挙げることができ
る。
【0033】限定されるものではないが、構造単位
(I)の具体例としては、下記の化学式で表される構造
単位を挙げることができる。
【0034】
【化6】
【0035】そして、ポリビニルアルコール系重合体
(1)は、その主鎖中に、1種類の構造単位(I)のみ
を含有していても、または2種以上の構造単位(I)を
含有していてもよい。特に、本発明では、ポリビニルア
ルコール系重合体(1)における構造単位(I)が、上
記した式(Ia)および(Ib)で表される構造単位の
いずれか一方または両方であるのが、ゲルの機械的強
度、ポリビニルアルコール系重合体の製造の容易性など
の点から好ましい。
【0036】ポリビニルアルコール系重合体(1)は、
上記した構造単位(I)を、ポリビニルアルコール系重
合体の主鎖を構成する全構造単位に基づいて、0.05
〜0.50のモル分率で含有していることが好ましく、
0.10〜0.40のモル分率で含有するのがより好ま
しい。ポリビニルアルコール系重合体における構造単位
(I)のモル分率が0.05未満であると、ポリビニル
アルコール系重合体から形成したゲルが充分な強度を持
たなくなるか、その耐熱水性および透明性が低下してく
るかして実用に耐えなくなる傾向にあり、創傷被覆材と
して有効に使用できなくなる場合がある。一方、ポリビ
ニルアルコール系重合体における構造単位(I)のモル
分率が0.50を超えると、ポリビニルアルコール系重
合体からゲルを形成したときに、ゲルの含水率などの溶
媒の含有率が低下するか、柔軟性および透明性が低下す
る傾向にある。ここで、本発明でいうポリビニルアルコ
ール系重合体における構造単位(I)のモル分率は、 1
H−NMR測定により決定することができる。
【0037】ポリビニルアルコール系重合体(1)の粘
度平均重合度は、それから形成されるゲルの機械的強
度、耐熱水性、加工特性などの点から、300以上であ
るのが好ましく、800以上であるのがより好ましく、
1500以上であるのがさらに好ましい。また、粘度平
均重合度は、それから形成されるゲルの加工特性の点か
ら、50000以下であるのが好ましい。ここでいう、
粘度平均重合度は、ポリビニルアルコール系重合体を完
全にケン化し、その完全ケン化物を完全に酢化したとき
に得られるポリ酢酸ビニルの極限粘度[η](dl/
g、アセトン中、30℃で測定)から、下記の数式
(D)
【0038】
【数7】 P={[η]×(1000/7.94)}(1/0.62) (D) (式中、Pはポリビニルアルコール系重合体の粘度平均
重合度を示す)によって求めた値をいう。
【0039】そして、ポリビニルアルコール系重合体
(1)は、前記の数式(A)により定義されるブロック
キャラクター(θ)が0.6以下であるのが好ましい。
なお、数式(A)における[OH、VES]は、ポリビ
ニルアルコール系重合体の13C−NMR測定により求め
られる。ブロックキャラクター(θ)は、ポリビニルア
ルコール系重合体中に含まれるビニルアルコール単位お
よび一般式(I)でで表されるビニルエステル単位の連
鎖分布を0から2の間の値で示す特性値であり、ブロッ
ク重合体の場合は0に近い値となり、ランダム重合体の
場合は1、交互重合体の場合は2となる。ポリビニルア
ルコール系重合体(1)は、得られるゲルの透明性、含
水性および強度の点から、マルチブロックポリマーであ
るのが好ましい。したがって、ブロックキャラクター
(θ)は0.5以下であるのが好ましく、0.4以下で
あるのがより好ましい。ブロックキャラクター(θ)が
0.6を越えるポリビニルアルコール系重合体からは、
十分な透明性、高い含水性および耐熱水性を有する創傷
被覆材を構成する含水ゲルが得られない傾向にある。
【0040】また、ポリビニルアルコール系重合体
(I)は、それから形成されるゲルの耐熱水性をより良
好なものとする点から、そのシンジオタクティシティー
がダイアッドタクティシティー表示で55%以上である
のが好ましく、58%以上であるのがより好ましく、6
0%以上であるのがさらに好ましい。ここで、ダイアッ
ドタクティシティー表示とは、ポリビニルアルコール系
重合体を完全にケン化し、その完全ケン化物を重水素化
ジメチルスルホキシドに溶解したもののプロトンNMR
スペクトルにおける水酸基プロトンのシグナルより求め
られるトライアッドタクティシティーでのシンジオタク
ティシティーおよびヘテロタクティシティーから下記の
数式(E)
【0041】
【数8】 ダイアッドタクティシティー=S+(H/2) (E) (式中、SおよびHはそれぞれプロトンNMRから求め
られるトライアッドタクティシティーにおけるシンジオ
タクティシティーおよびヘテロタクティシティーを示
す)で求めた表示を意味する。
【0042】ポリビニルアルコール系重合体(I)は、
例えば、特開平8−206188号公報に記載された方
法により製造することができる。
【0043】次に、ポリビニルアルコール系重合体
(2)がその主鎖中に上記した構造単位(I)と共に含
有する上記の一般式(II)で表される構造単位(II)に
おいて、Xは、式−CO−Y、式−Yまたは式−CO−
COOHで表される基であるか、或いはそれが結合して
いる酸素原子と共にリン酸基を形成している。
【0044】構造単位(II)において、Xが式−CO−
Yまたは式−Yで表される基である場合に、前記の基Y
は、(イ) カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基
およびリン酸基から選ばれる少なくとも1種の極性基で
変性された炭化水素基、すなわちカルボキシル基、スル
ホン酸基、アミノ基およびリン酸基から選ばれる少なく
とも1種の極性基が、ポリビニルアルコール系重合体の
水酸基に由来する酸素原子に結合している炭化水素基の
炭素原子に直接結合している炭化水素基;或いは(ロ)
カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基およびリン
酸基から選ばれる少なくとも1種の極性基を有している
基で変性された炭化水素基、すなわちカルボキシル基、
スルホン酸基、アミノ基およびリン酸基から選ばれる少
なくとも1種の極性基が、ポリビニルアルコール系重合
体の水酸基に由来する酸素原子に結合している炭化水素
基の炭素原子に直接結合しておらずに、他の基または他
の結合を介して該炭化水素基に結合している炭化水素
基;のいずれであってもよい。そして、上記(イ)およ
び(ロ)のいずれの場合も、基Yは、カルボキシル基、
スルホン酸基、アミノ基およびリン酸基から選ばれる少
なくとも1種の極性基を、何らかの結合形態で有してい
る炭化水素基である(かかる点から以下基Yを「極性基
変性炭化水素基Y」ということがある)。
【0045】また、極性基変性炭化水素基Yは、カルボ
キシル基、スルホン酸基、アミノ基および/またはリン
酸基以外に、必要に応じて、例えば、水酸基、ハロゲン
原子、ニトリル基、イミダゾール基、アミド結合、エー
テル結合、エステル結合、ウレタン結合、チオエーテル
結合、ジスルフィド結合などの他の基や結合を有してい
てもよい。
【0046】構造単位(II)におけるXが式−CO−Y
または式−Yで表される基である場合に、その極性基変
性炭化水素基Yにおける炭化水素基部分は、飽和または
不飽和の炭化水素基のいずれであってもよいが、炭素数
1〜18のアルキレン基、アリーレン基またはシクロア
ルキレン基であるのが好ましい。より具体的には、極性
基変性炭化水素基Yにおける炭化水素基の例としては、
メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ブチレン
基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オク
チレン基などのアルキレン基;フェニレン基、ナフチレ
ン基などの2価の芳香族炭化水素基;シクロヘキシレン
基などの2価の脂環式炭化水素基などを挙げることがで
き、そのうちでもメチレン基、エチレン基、プロピレン
基、ブチレン基などの低級アルキレン基であるのが、ポ
リビニルアルコール系重合体(2)の製造の容易性など
の点から好ましい。
【0047】また、構造単位(II)において、基Xはそ
れが結合している酸素原子と共にリン酸基を形成しても
よく、その場合には、構造単位(II)は、リン酸基が直
接ポリビニルアルコール系重合体の主鎖を構成する炭素
原子に結合した構造を有する。
【0048】限定されるものではないが、構造単位(I
I)の例としては、下記の化学式で表される構造単位を
挙げることができる。Xが、カルボキシル基変性炭化水
素基Yまたは式−CO−COOHで表される基を有して
いる構造単位(II)である場合の例としては、下記の化
学式(IIa-1)〜(IIa-8)で表される構造単位を挙げ
ることができる。
【0049】
【化7】
【0050】また、Xが、スルホン酸基変性炭化水素基
Yを有している構造単位(II)である場合の例として
は、下記の化学式(IIb-1)〜(IIb- 10)で表される
構造単位を挙げることができる。
【0051】
【化8】
【0052】そして、Xが、アミノ基変性炭化水素基Y
を有している構造単位(II)である場合の例としては、
下記の化学式(IIc-1)〜(IIc- 10)で表される構造
単位を挙げることができる。
【0053】
【化9】
【0054】そして、Xが、リン酸基変性炭化水素基Y
を有している構造単位(II)またはそれが結合している
酸素原子と共にリン酸基を形成している構造単位(II)
である場合の例としては、下記の化学式(IId-1)〜
(IId-3)で表される構造単位を挙げることができる。
【0055】
【化10】
【0056】さらに、上記で例示した構造単位(II)以
外にも、構造単位(II)は、基Yがカルボキシル基、ス
ルホン酸基、アミノ基およびリン酸基のうちの2種以上
を有している極性基変性炭化水素基である、式−CO−
Yまたは式−Yで表される基であってもよい。また、ポ
リビニルアルコール系重合体(2)は、その主鎖中に、
1種類の構造単位(II)のみを含有していても、または
2種以上の構造単位(II)を含有していてもよい。
【0057】そしてポリビニルアルコール系重合体
(2)における構造単位(II)が、上記の化学式(IIa
-1)、(IIa-4)、(IIb-1)、(IIb-4)、(IIb-
5)、(IIb-6)、(IIc-1)、(IIc-4)、(IIc-
5)、(IIc-6)、(IId-1)、(IId-2)、(IId-
3)で表される構造単位のいずれかであるのが、ポリビ
ニルアルコール系重合体の製造の容易性や、得られるポ
リビニルアルコール系重合体(2)の性質などの点から
好ましい。
【0058】そして、ポリビニルアルコール系重合体
(2)では、構造単位(I)が上記の化学式(Ia)お
よび/または化学式(Ib)で表される構造単位であ
り、且つ構造単位(II)が、上記したmが2〜4である
化学式(IIa-1)、nが1〜4である化学式(IIa-
4)、pが1〜4である化学式(IIb-1)、qが1〜4
である化学式(IIb-4)、rおよびsが1〜4である化
学式(IIb-5)、tが1〜4である化学式(IIb-6)、
uが1〜4である化学式(IIc-1)、vが1〜4である
化学式(IIc-4)、wおよびxが1〜4である化学式
(IIc-5)、化学式(IIc-6)、化学式(IId-1)、y
が1〜4である化学式(IId-2)、zが1〜4である化
学式(IId-3)で表される構造単位の少なくとも1種で
あるのが特に好ましく、そのようなポリビニルアルコー
ル系重合体(2)から得られるゲルは柔軟性、透明性、
耐湿熱性、耐熱水性、高含水率、安全性、製造の容易性
などの点で一層優れている。
【0059】そして、ポリビニルアルコール系重合体
(2)は、ポリビニルアルコール系重合体(1)と同様
に上記した構造単位(I)を、ポリビニルアルコール系
重合体の主鎖を構成する全構造単位に基づいて、0.0
5〜0.50のモル分率で含有していることが好まし
く、0.10〜0.40のモル分率で含有するのがより
好ましい。
【0060】また、ポリビニルアルコール系重合体
(2)は、上記した構造単位(II)を0.0001〜
0.50のモル分率で含有することが好ましく、上記の
数式(B)を満足するモル分率で含有していることがよ
り好ましく、下記の数式(F)
【0061】
【数9】 {(1−Cest )×Cest } ×0.05≦Cpol ≦{(1−Cest ) ×Cest }× 1.0 (F) [式中、Cpol およびCest は上記と同じ)を満足する
範囲で含有していることがさらに好ましい。
【0062】ポリビニルアルコール系重合体(2)にお
いて、構造単位(II)のモル分率Cpol が{(1−
est ) ×Cest }×0. 01未満であるとポリビニル
アルコール系重合体から形成されるゲルの透明性および
柔軟性が不足する傾向にあり、一方構造単位(II)のモ
ル分率Cpol が{(1−Cest ) ×Cest }×2. 0を越
えるとポリビニルアルコール系重合体から形成されるゲ
ルの耐熱水性が低下する傾向にある。ここで、ポリビニ
ルアルコール系重合体(2)における構造単位(II)の
モル分率は、 1H−NMR測定、水系溶媒中における電
位差滴定、活性エステル基の導入量測定法などにより求
められるが、 1H−NMR測定による場合は溶媒の選択
によっては分子鎖の局所の運動の束縛によってシグナル
の定量性がしばしば不正確になることがあるので、水系
溶媒中における電位差滴定または活性エステル基の導入
量測定法により求めるのが構造単位(II)のモル分率を
正確に求めることができ好ましい。
【0063】また、ポリビニルアルコール系重合体
(2)では、ポリビニルアルコール系重合体から形成さ
れるゲルの透明性および耐水性を一層良好なものとする
点から、構造単位(I)の、下記の数式(C)で表され
る平均連鎖長(Lest )が2.0以上であるのが好まし
く、3.0以上であるのがより好ましく、4.0以上で
あるのがさらに好ましい。
【0064】ここで、上記の平均連鎖長(Lest )の内
容について説明する。ポリビニルアルコール系重合体
(2)の部分構造を示すと、例えば、下記の化学構造式
(III)
【0065】
【化11】 (式中、R1 、R2 、R3 およびXは上記と同じ基を示
す)のように、ビニルアルコール単位、構造単位(I)
および構造単位(II)などが結合した形態になっている
が、上記でいうCmet とは、ポリビニルアルコール系重
合体の主鎖を構成するメチレン炭素(−CH2 −)のう
ちで、水酸基または式−OXで表される基が結合してい
るメチン炭素[すなわち基:−CH(OH)−または
基:−CH(OX)−]と構造単位(I)を構成するメ
チン炭素[すなわち基:−CH−O−CO−C(R1
(R2 )(R3 )−]によって挟まれているメチレン炭
素[すなわち化学構造式(III) において*の印を付した
炭素]のポリビニルアルコール系重合体の全構造単位に
対するモル分率をいう。
【0066】したがって、ポリビニルアルコール系重合
体(2)において、複数の構造単位(I)が、ビニルア
ルコール単位や構造単位(II)によって隔離されておら
ずに、互いに隣接して存在しているほど、上記の化学構
造式 (III)に示した*印を付したメチレン炭素の数が少
なくなってそのモル分率Cmet が小さくなり[構造単位
(I)のモル分率の値よりも小さくなり]、その結果、
上記の数式(C)で表される構造単位(I)の平均連鎖
長(Lest )は1よりも次第に大きくなる。そして、ポ
リビニルアルコール系重合体(2)では、構造単位
(I)の平均連鎖長(Lest )が2以上であるのが好ま
しく、したがってポリビニルアルコール系重合体におい
て複数の構造単位(I)が互いに隣接してかたまって存
在している割合が高いほど好ましい。
【0067】ちなみに、ポリビニルアルコール系重合体
(2)において、構造単位(I)同士が全く隣接してお
らず、複数の構造単位(I)が、ビニルアルコール単位
や構造単位(II)が間に挟まっていて完全に隔離されて
いる場合には、上記のCmetは構造単位(I)のモル分
率の2倍になり、数式(C)で表される構造単位(I)
の平均連鎖長(Lest )は1となる。ここで、上記した
met は、ポリビニルアルコール系重合体の13C−NM
Rから求められる。
【0068】また、ポリビニルアルコール系重合体
(2)は、ポリビニルアルコール系重合体(I)と同様
に、それから形成されるゲルの耐熱水性をより良好なも
のとする点から、そのシンジオタクティシティーがダイ
アッドタクティシティー表示で55%以上であるのが好
ましく、58%以上であるのがより好ましく、60%以
上であるのがさらに好ましい。
【0069】そして、ポリビニルアルコール系重合体
(2)の粘度平均重合度は、ポリビニルアルコール系重
合体(1)と同様に、それから形成されるゲルの機械的
強度、耐熱水性、加工特性などの点から、300以上で
あるのが好ましく、800以上であるのがより好まし
く、1500以上であるのがさらに好ましい。また、粘
度平均重合度は、それから形成されるゲルの加工特性の
点から、50000以下であるのが好ましい。
【0070】また、ポリビニルアルコール系重合体
(2)から形成されるゲルを柔軟なものにするために
は、ポリビニルアルコール系重合体の結晶性を低下させ
ることが必要であり、一般にポリビニルアルコール系重
合体の融点を低下させるとその結晶性が低下する。した
がって、ポリビニルアルコール系重合体から形成される
ゲルの柔軟性を向上させるために、ポリビニルアルコー
ル系重合体(2)の融点が200℃以下であるのが好ま
しく、180℃以下であるのがより好ましい。ここで、
ポリビニルアルコール系重合体の融点は、ポリビニルア
ルコール系重合体を粉砕し、示差熱走査熱量分析により
窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分の条件下に測定した
ときの吸熱ピーク温度として求められる。
【0071】ポリビニルアルコール系重合体(2)は、
ビニルアルコール単位、上記した構造単位(I)および
構造単位(II)と共に、本発明の目的の妨げにならない
範囲で必要に応じて他の構造単位を含有していてもよ
く、そのような他の構造単位の例としては、酢酸ビニ
ル、蟻酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリアン酸ビ
ニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどの他の
ビニルエステル類;エチレン、プロピレン、イソブチレ
ン、α−オクテン、α−ドデセンなどのオレフィン類;
(メタ)アクリル酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イ
タコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸やそれらのエ
ステルや塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリルな
どの不飽和ニトリル類;(メタ)アクリルアミド、N−
ビニルピロリドンなどの不飽和アミド類;エチレンスル
ホン酸、アリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸など
のオレフィンスルホン酸類またはその塩;イソプロピル
ビニルエーテルなどの不飽和エーテル類;塩化ビニル、
塩化ビニリデンなどのハロゲン化オレフィン類などの重
合性モノマーから誘導される単位を挙げることができ
る。但し、その場合に前記した他の構造単位の割合は、
ポリビニルアルコール系重合体の全構造単位に基づいて
モル分率で0.1以下であるのが好ましい。
【0072】また、ポリビニルアルコール系重合体
(2)では、その用途などに応じて、ポリビニルアルコ
ール系重合体中の水酸基を化学修飾してもよく、さらに
ポリビニルアルコール系重合体中の構造単位(I)のモ
ル分率、構造単位(II)のモル分率および/または構造
単位(I)の連鎖長(Lest )を上記した範囲内で変化
・調節することによって、その透明性、柔軟性、物理的
・機械的強度などを調節してもよく、したがってポリビ
ニルアルコール系重合体(2)からなる創傷被覆材で
は、例えばポリビニルアルコール系重合体(2)の物性
を調節することにより、薬剤放出機能等の性質を付与し
てもよい。
【0073】ポリビニルアルコール系重合体(2)は、
その製法は特に制限されないが、例えば、下記の製法
1、製法2、製法3、製法4などにより製造することが
できる。
【0074】ポリビニルアルコール系重合体(2)の製
法1:常法にしたがって製造したポリビニルアルコール
を、下記の一般式(IV)
【0075】
【化12】 H−O−CO−C(R1 )(R2 )(R3 ) (IV) (式中、R1 、R2 およびR3 は上記と同じ基を示す)
で表されるカルボン酸および/またはそのエステル形成
性誘導体[以下これを「カルボン酸類(IV)」とい
う];並びに下記の一般式(V)
【0076】
【化13】 Z−X (V) (式中、Xは上記と同じ基、そしてZは水酸基またはハ
ロゲンを示す)で表される化合物[以下これを「化合物
(V)」という]、そのエステル形成性誘導体および/
またはエーテル形成性誘導体を用いて、同時にまたは逐
次に変性して、ポリビニルアルコール中に上記した構造
単位(I)および構造単位(II)を上記した所定のモル
分率で含有させる方法。
【0077】ポリビニルアルコール系重合体(2)の製
法2: (1) 下記の一般式(VI)
【0078】
【化14】 CH2 =CH−O−CO−C(R1 )(R2 )(R3 ) (VI) (式中、R1 、R2 およびR3 は上記と同じ基を示す)
で表されるビニルエステル化合物[以下「ビニルエステ
ル化合物(VI)」という]の1種または2種以上を用い
て付加重合を行って、上記の構造単位(I)の1種また
は2種以上を繰り返し単位として有する単独重合体また
は共重合体を製造するか、或いは上記のビニルエステル
化合物(VI)と他のビニルエステル化合物(例えばトリ
フルオロ酢酸ビニル、トリクロロ酢酸ビニル、蟻酸ビニ
ル、酢酸ビニルなど)および/またはビニルエーテル化
合物(例えばt−ブチルビニルエーテル、トリメチルシ
リルビニルエーテルなど)を共重合して上記の構造単位
(I)と前記他のビニルエステル化合物および/または
ビニルエーテル化合物から誘導される単位からなる共重
合体を製造し; (2) 次いで、上記(1)の工程で得られる単独重合
体または共重合体を、ケン化物中における構造単位
(I)のモル分率が0.05〜0.50になるように不
完全にケン化した後; (3) 上記(2)の工程で得られるケン化物中の水酸
基を、上記の一般式(V)で表される化合物(V)、そ
のエステル形成性誘導体および/またはエーテル形成性
誘導体を用いて、最終的に得られるポリビニルアルコー
ル系重合体中における構造単位(II)のモル分率が0.
0001〜0.50の範囲内になるようにして変性する
方法。
【0079】ポリビニルアルコール系重合体(2)の製
法3: (1) 上記したビニルエステル化合物(VI)の1種ま
たは2種以上を用いて付加重合を行って、上記の構造単
位(I)の1種または2種以上を繰り返し単位として有
する単独重合体または共重合体を製造するか、或いは上
記のビニルエステル化合物(VI)と他のビニルエステル
化合物(例えばトリフルオロ酢酸ビニル、トリクロロ酢
酸ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニルなど)および/また
はビニルエーテル化合物(例えばt−ブチルビニルエー
テル、トリメチルシリルビニルエーテルなど)を共重合
して上記の構造単位(I)と前記他のビニルエステル化
合物および/またはビニルエーテル化合物から誘導され
る単位からなる共重合体を製造し; (2) 次いで、上記(1)の工程で得られる単独重合
体または共重合体を、ケン化物中における構造単位
(I)のモル分率が0.05〜0.50になるように不
完全にケン化した後; (3) 上記(2)の工程で得られるケン化物中の水酸
基を、例えばエピハロヒドリンのようなエポキシ基含有
化合物と反応させて、上記単独重合体または共重合体の
側鎖にエポキシ基を導入し; (4) 次いで、上記(3)の工程で得られる変性重合
体中のエポキシ基を、エポキシ基と反応性の基を有し且
つ更にカルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基および
リン酸基から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する
化合物(例えばアミノアルキルスルホン酸、ジアミノア
ルカン類、アンモニア、ジカルボン酸類、水酸基とカル
ボキシル基を有する化合物、アミノ基とカルボキシル基
を有する化合物、リン酸など)と反応させて、カルボキ
シル基、スルホン酸基、アミノ基、リン酸基などを有す
る極性基変性炭化水素基Yを有する構造単位(II)を形
成させ、その際に最終的に得られるポリビニルアルコー
ル系重合体中における構造単位(II)のモル分率が0.
0001〜0.50の範囲内になるように調節する方
法。
【0080】ポリビニルアルコール系重合体(2)の製
法4: (1) 上記したビニルエステル化合物(VI)の1種ま
たは2種以上を用いて付加重合を行って、上記の構造単
位(I)の1種または2種以上を繰り返し単位として有
する単独重合体または共重合体を製造するか、或いは上
記のビニルエステル化合物(VI)と他のビニルエステル
化合物(例えばトリフルオロ酢酸ビニル、トリクロロ酢
酸ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニルなど)および/また
はビニルエーテル化合物(例えばt−ブチルビニルエー
テル、トリメチルシリルビニルエーテルなど)を共重合
して上記の構造単位(I)と前記他のビニルエステル化
合物および/またはビニルエーテル化合物から誘導され
る単位からなる共重合体を製造し; (2) 次いで、上記(1)の工程で得られる単独重合
体または共重合体を、ケン化物中における構造単位
(I)のモル分率が0.05〜0.50になるように不
完全にケン化した後; (3) 上記(2)の工程で得られるケン化物中の水酸
基を、例えば無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フタ
ル酸などの環状構造を有するジカルボン酸無水物;クロ
ル酢酸、クロルプロピオン酸、ブロム酢酸、ヨード酢酸
などのハロゲンを有するカルボン酸などと反応させて、
上記単独重合体または共重合体の側鎖にカルボキシル基
を導入し; (4) 次いで、上記(3)の工程で得られる側鎖にカ
ルボキシル基を導入した重合体を、カルボキシル基と反
応性の基(例えばアミノ基、水酸基、酸ハライド基な
ど)を有し且つさらにカルボキシル基、スルホン酸基、
アミノ基および/またはリン酸基を有する化合物(例え
ばアミノアルキルスルホン酸、ジアミノアルカン類、ア
ミノ酸、ヒドロキシカルボン酸、リン酸基含有化合物な
ど)と反応させて、カルボキシル基、スルホン酸基、ア
ミノ基およびリン酸基から選ばれる少なくとも1種の極
性基で変性された炭化水素基Yを有する構造単位(II)
を形成させ、その際に最終的に得られるポリビニルアル
コール系重合体中における構造単位(II)のモル分率が
0.0001〜0.50の範囲内になるように調節する
方法。
【0081】そして、上記の製法1および製法2で用い
る化合物(V)、そのエステル形成性誘導体またはエー
テル形成性誘導体の例としては、限定されるものではな
いが、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フ
タル酸などのジカルボン酸;無水コハク酸、無水グルタ
ル酸、無水フタル酸などの環状構造を有するジカルボン
酸無水物;クロル酢酸、クロルプロピオン酸、ブロム酢
酸、ヨード酢酸などのハロゲンを有するカルボン酸;リ
ン酸、無水リン酸、酸化リン、塩化リン;ハロゲンを有
するスルホン酸系化合物;ハロゲンを有するアミン系化
合物などを挙げることができ、これらの化合物は単独で
用いても、または2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0082】また、上記の製法2〜製法4の工程(1)
で用いるビニルエステル化合物(VI)としては、限定さ
れるものではないが、例えば、ピバリン酸ビニル、ジメ
チルエチル酢酸ビニル、ジメチルプロピル酢酸ビニル、
ジエチルメチル酢酸ビニル、トリエチル酢酸ビニル、ト
リプロピル酢酸ビニル、バーサチック酸ビニルなどのト
リアルキル酢酸ビニル;ジメチル酢酸ビニル、ジエチル
酢酸ビニル、ジプロピル酢酸ビニルなどのジアルキル酢
酸ビニル;メチルシクロヘキシル酢酸ビニル、1−ノル
ボルナンカルボン酸ビニル、3−ノルアダマンタンカル
ボン酸ビニルなどの環状炭化水素基を有するビニルエス
テルなどを挙げることができ、上記の製法2〜製法4の
工程(1)ではそれらのビニルエステル化合物(VI)の
1種または2種以上を用いることができる。
【0083】上記の製法1において、ポリビニルアルコ
ールを上記のカルボン酸類(IV)および化合物(V)を
用いて同時にまたは逐次に変性するに当たっては、ポリ
ビニルアルコールの水酸基をエステル化またはエーテル
化するのに従来採用されているのと同様の反応条件下に
行うことができる。限定されるものではないが、例え
ば、ポリビニルアルコールを適当な溶媒(ジメチルスル
ホキシド、ジメチルホルムアミド、水、それらの混合溶
媒など)に溶解して、50〜150℃の温度で上記のカ
ルボン酸類(IV)および化合物(V)を同時にまたは逐
次に反応させることによって、構造単位(I)および構
造単位(II)を有するポリビニルアルコール系重合体
(2)を製造することができる。
【0084】また、上記の製法2〜製法4によってポリ
ビニルアルコール系重合体(2)を製造する場合は、上
記したビニルエステル化合物(VI)を、必要に応じて少
量の上記した他の重合性モノマーと共に、適当な重合開
始剤の存在下に、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、エマ
ルジョン重合などによって−80〜300℃の範囲の温
度で重合させて、上記の構造単位(I)からなる単独重
合体または該構造単位(I)から主としてなる共重合体
を製造する[製法2〜製法4における工程(1)]。そ
して、その際に、この工程(1)を約0〜100℃で行
うと、ダイアッドタクティシティー表示によるシンジオ
タクティシティーが上記した55%以上であるポリビニ
ルアルコール系重合体を円滑に得ることができるので好
ましい。次いで、前記の工程(1)で生成した重合体
を、好ましくは有機溶媒(エーテル類、ケトン類、アミ
ド類、スルホキシド類、芳香族炭化水素類、アルコール
類およびそれらの混合溶媒など)に溶解させた状態で、
好ましくは酸素の不存在下または酸化防止剤の存在下
に、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ
金属水酸化物、カリウムメトキシド、カリウムエトキシ
ド、カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシド、
ナトリウムエトキシドなどの塩基性物質を用いて、通常
約40〜70℃の温度で、ポリビニルアルコール系重合
体中に構造単位(I)が上記した0.05〜0.50の
モル分率で残存するようにしてケン化処理を行い[製法
2〜製法4における工程(2)][なお前記した工程
(1)および工程(2)については本出願人の出願に係
る特開平3−121102号公報に詳述しているので参
照のこと]。そして、上記の工程(2)で得られるケン
化物を回収した後、ポリビニルアルコール系重合体にお
ける上記の構造単位(II)のモル分率が0.0001〜
0.50の範囲内になるようにして工程(3)以降の工
程を行う。その際に、工程(3)以降の工程を工程
(2)で用いたのと同様の有機溶媒を用いて、一般に約
50〜120℃の温度で行うのが好ましい。
【0085】上記のようにして得られたポリビニルアル
コール系重合体(1)およびポリビニルアルコール系重
合体(2)は、ゲル状物にする前は、通常、乾燥粉末ま
たは水もしくは有機溶媒を多少含有する粉末の状態にな
っている。
【0086】本発明において、ポリビニルアルコール系
重合体含水ゲルを製造するに際しては、まず該ポリビニ
ルアルコール系重合体を水溶性有機溶剤または水と水溶
性有機溶剤の混合溶液に溶解して、濃度0.1〜50重
量%、好ましくは1〜20重量%の溶液にする。水溶性
有機溶剤としては、ポリビニルアルコール系重合体を溶
解し且つ水に溶解し得る有機溶剤であればいずれでもよ
く、例えば、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリ
ドン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−
プロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、グリセリン、エチレングリコールなどを挙げる
ことができる。これらの有機溶剤は単独で使用してもま
たは2種以上を併用してもよい。また、場合により、溶
解性向上のために前記した有機溶剤に少量の無機塩(塩
化リチウム、塩化亜鉛、硝酸ナトリウムなど)を添加し
てもよい。
【0087】次に、目的とするポリビニルアルコール系
重合体含水ゲルの形状や用途などに応じて、例えばガラ
ス板などの型用板体上への流延、ガラス管などの型内へ
の注入、Tダイからフイルム状への押出し、紡糸、微小
液滴下などを行った後、気相状態にある水と接触させて
ゲル化を行わせる。場合によっては気相状態にある水と
水溶性有機溶剤との混合蒸気と接触させてゲル化させて
もよい。
【0088】気相状態にある水の温度は実質的なゲル化
が起こる範囲内であれば特に制限されないが、0℃〜1
00℃の範囲にあることが好ましく、10℃〜80℃の
範囲にあることがより好ましい。0℃未満の温度の場合
には、蒸気分圧が低く、ゲル化に時間がかかり過ぎて実
用的ではない。100℃を越える温度の場合には、ゲル
化速度は速くなるが、ゲル中に気泡を生じ易くなるこ
と、ゲル表面の平滑性と均一性が悪くなることなどの問
題が生じてくる傾向にある。
【0089】気相状態にある水が存在する雰囲気の相対
湿度は実質的なゲル化が起こる範囲内であれば特に制限
されないが、5%〜100%の範囲にあることが好まし
く、30%〜90%の範囲にあることがより好ましい。
5%未満の相対湿度である場合には、蒸気分圧が低く、
ゲル化に時間がかかり過ぎて実用的ではない。100%
を越える相対湿度である場合には、著しくゲル表面の平
滑性と均一性が悪くなることなどの問題が生じてくる傾
向にある。
【0090】ポリビニルアルコール系重合体の溶液を気
相状態にある水と接触させる方法としては、気相状態に
ある水の雰囲気下にポリビニルアルコール系重合体の溶
液を一定時間存在させることができればどのような方法
でもよいが、一定の温度、湿度に保つ機構を有する恒温
恒湿器または恒温恒湿室を用いることが好ましい。紡糸
あるいはベルトコンベア等の方法により、形状付与とゲ
ル化を連続して行う場合には、上記の気相状態にある水
が存在するトンネルを通過させることによって行うのが
好ましい。一般にゲル化は、ゲルの形状にもよるが数分
〜24時間で完了する。
【0091】さらに強固な架橋ゲルを得る場合には、本
発明の方法でポリビニルアルコール系重合体のゲル化を
行った後に、放射線や過酸化物による架橋、冷却、凍
結、凍結と融解の反復などを行う。
【0092】そして、本発明により得られる含水ゲル
は、その用途などに応じて、ゲル化後に、粉末(微粒
子)、フイルム、シート、繊維、織編物、不織布、網、
円筒状、その他の形状の塊や薄片状などの任意の形態に
加工することができる。例えば、含水ゲルを粉末(微粒
子)、フイルム、シート、繊維、織編物、不織布、網、
円筒状などの形態にすれば、創傷被覆材として用いるこ
とができる。
【0093】また、本発明により得られる含水ゲルは、
含水率や粘着性の調節のために、それぞれの用途などに
応じて、ゲルの製造時やゲルの製造後に他の成分をゲル
中に含有させることができる。その場合の他の成分とし
ては、ゲル化を阻害したり、ゲルの強度、透明性、柔軟
性などの特性を阻害しないものであれば特に制限され
ず、例えば、アルギン酸、キトサンなどの多糖類;ポリ
リジン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸などの
ポリアミノ酸;コラーゲン、アルブミン、ゼラチンなど
の蛋白質;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ
エチレングリコールなどの合成高分子化合物;エチレン
グリコール、グリセリン、コハク酸、シュウ酸などの低
分子化合物、それらの誘導体などを挙げることができ
る。
【0094】本発明により得られる含水ゲルは、耐熱水
性に優れ、高温で熱水処理しても溶出物が少なく、低毒
性であり、しかも耐湿熱性に優れており、例えば、12
1℃の高温で20分間にわたって湿熱蒸気滅菌しても、
上記した良好な諸特性を保つことができ、その上、吸水
性および閉鎖性に優れており、創傷からの滲出液を良好
に吸収し且つ保持するので、創傷被覆材として用いたと
きにその効果を十分に発揮できる。
【0095】本発明により得られる含水ゲルから主とし
てなる創傷被覆材は、その形態や形状などは特に制限さ
れない。本発明の創傷被覆材は、例えば、上記したグリ
セリンやポリエチレングリコールなどの柔軟剤、安定化
剤などの通常の薬理学的に許容される添加剤を含有して
いてもよく、Ca2+などの薬理作用を有する金属イオ
ン、消毒剤、抗生剤などの抗菌剤、PGE1などの血行
改善剤、TGFβ、PDGF、FGFなどの増殖因子、
ウリナスタチン、TIMPなどの酵素阻害剤、ステロイ
ド、非ステロイド性抗炎症剤などの創傷治療に有効な活
性を持つ薬剤や生理活性物質を含有していてもよい。ま
た、適当なスペーサーや刺激に応答して開裂するリンカ
ーを介して上記した薬剤や生理活性物質を、上記の含水
ゲルに固定化して創傷被覆材として用いてもよい。
【0096】本発明により得られる含水ゲルは、創傷被
覆材以外に、貼付剤の基材、酵素や菌体を固定化するた
めのゲル、コンタクトレンズ、人工筋肉、人工軟骨、人
工関節、人工臓器、センサー、機能性分離膜、放出制御
膜、スイッチ、アクチュエータ、マイクロマシンなどの
種々の用途に有効に使用することのできる。
【0097】
【実施例】以下に実施例によって本発明について具体的
に説明するが、本発明はそれにより何ら限定されない。
【0098】《実施例1》 (1) 攪拌機を備えた反応容器に、ピバリン酸ビニル
200gおよびメタノール70gを仕込み、系を窒素ガ
スで置換した。別途、メタノール5gに重合開始剤とし
て2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.04gを
溶解した溶液を調製して窒素ガスで置換した。前記の反
応容器を昇温し、内温が60℃に達したところで、前記
で調製した重合開始剤の溶液を添加して重合を開始さ
せ、同温度に保って5時間重合を行って、重合率が40
%に達した時点で、系を20℃に冷却して重合を停止さ
せた。系にt−ブタノールを徐々に添加しながら減圧下
で未反応のピバリン酸ビニルを除去して、ポリピバリン
酸ビニルのt−ブタノール溶液を回収し、これにテトラ
ヒドロフランの適量を加えて減圧下にt−ブタノールを
留去して、ポリピバリン酸ビニルのテトラヒドロフラン
溶液(濃度45.7重量%)を得た。 (2) 攪拌機と還流冷却管を備えた反応器に、上記
(1)で得たポリピバリン酸ビニルのテトラヒドロフラ
ン溶液の50gを入れ、60℃に加温して窒素ガス置換
し、60℃に保って、別途調製し窒素置換した水酸化カ
リウムの25%溶液20gを添加して充分に攪拌した。
系は約30分でゲル化したが、さらに60℃に60分間
保った後、酢酸5.5gおよびメタノール5.5gを系
に加えて水酸化カリウムを中和した。次いで、ゲルを粉
砕した後、メタノールによるソックスレー洗浄を行っ
て、構造単位(I)を含有する部分ケン化ポリビニルア
ルコール系重合体を得た。
【0099】(3) [構造単位(I)およびビニルア
ルコール単位のモル分率の測定] 上記(2)で得られた構造単位(I)を有する部分ケン
化ポリビニルアルコール系重合体0.01gを重水素化
ジメチルスルホキシド1.0gと重水素化クロロホルム
0.2gの混合溶媒に溶解して日本電子株式会社製のN
MR測定装置「JNM−GSX270」を用いて、その
1 H−NMR測定を行って、部分ケン化ポリビニルアル
コール系重合体中における構造単位(I)のモル分率、
およびビニルアルコール単位のモル分率を測定したとこ
ろ、構造単位(I)のモル分率=0.19およびビニル
アルコール単位のモル分率=0.81であった。
【0100】(4) [ポリビニルアルコール系重合体
の粘度平均重合度の測定] 上記(2)で得られた構造単位(I)を有する部分ケン
化ポリビニルアルコール系重合体2gを10gのメタノ
ールで膨潤させた後、水酸化カリウム1.6gを加え
て、60℃の温度で120分間加熱して、ポリビニルア
ルコール系重合体中の構造単位(I)を含めてそのエス
テル結合を完全にケン化した。その結果得られた完全ケ
ン化ポリビニルアルコール1gに、無水酢酸30g、ピ
リジン6gを加えて封管した後、110℃で5時間加熱
して、ポリビニルアルコール中の水酸基を完全に酢化し
た後、n−ヘキサンを加えて酢化により生成したポリ酢
酸ビニルを沈殿させた。次に沈殿物をアセトンに溶解
し、n−ヘキサンで沈殿させる操作を2回を繰り返して
精製した。その結果得られた精製ポリ酢酸ビニル0.4
gをアセトン80gに溶かして、30℃におけるその極
限粘度[η]を測定し、上記の数式(D)に基づいて粘
度平均重合度を求めたところ、1650であった。
【0101】(5) [シンジオタクティシティーの測
定] 粘度平均重合度の測定に用いたのと同じ上記の精製した
ポリビニルアルコール0.01gを重水素化ジメチルス
ルホキシド1gに溶解し、その溶液のプロトンNMRス
ペクトルにおける水酸基プロトンのシグナルより求めら
れるトライアッドタクティシティーでのシンジオタクテ
ィシティーおよびヘテロタクティシティーを日本電子株
式会社製のNMR測定装置「JNM−GSX270」を
用いて測定し、上記の数式(E)によって、ダイアッド
タクティシティー表示によるシンジオタクティシティー
を求め、これをもって構造単位(I)を有する部分ケン
化ポリビニルアルコール系重合体のシンジオタクティシ
ティーとした。上記(2)で得られた構造単位(I)を
有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体のダイ
アッドタクティシティー表示によるシンジオタクティシ
ティーは61%であった。
【0102】(6) 上記(2)で得られた構造単位
(I)を含有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重
合体1.2gをジメチルスルホキシド40gに溶解し、
無水コハク酸0.6gおよびピリジン0.47gを加え
て70℃で6時間反応させた。その結果得られた溶液約
40gを、ガラス製トレー(縦×横=100mm×10
0mm)に流延し、これをトレーごと25℃、相対湿度
80%の恒温恒湿槽に入れて、18時間静置してゲル化
させた。生成したゲルを充分に水洗した後、生理食塩水
中に浸漬して水と置換させたところ、表面の平滑性と均
一性、透明性、柔軟性に優れるシート状含水ゲル(縦×
横×厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得た。 (7) 上記(6)で得られた含水ゲルまたは該含水ゲ
ルを構成しているポリビニルアルコール系重合体につい
て、構造単位(II)のモル分率、構造単位(I)の平均
連鎖長(Lest )、吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均
一性、柔軟性、透明度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量
および溶出物量を下記の方法で測定または評価したとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0103】[含水ゲルの構造単位(II)のモル分率]
上記(6)で得られた含水ゲル0.1gを3片計り取
り、含有水をN,N−ジメチルホルムアミドに置換し
た。3片のそれぞれをN,N−ジメチルホルムアミド5
00μlに分散し、N−ヒドロキシコハク酸イミド4.
6mgと1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)−カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)18m
gを加えて、室温で一晩振盪した。ゲルを精製水で3回
洗浄した後、5mlのPBS(0.15MのNaClを
含む0.01Mリン酸塩緩衝液、pH7.4)を加え
て、さらに室温で一晩振盪した。PBSの260nmの
吸光度を測定して、カルボキシル基に結合していたN−
ヒドロキシコハク酸イミドの量から含水ゲルのカルボキ
シル基導入量を求めた。その結果から、含水ゲルを構成
するポリビニルアルコール系重合体における構造単位
(II)のモル分率を算出した。
【0104】[ポリビニルアルコール系重合体における
構造単位(I)の平均連鎖長(Lest)]上記(6)で
得られた含水ゲルを110℃で6時間加熱して水分を完
全に除去し、その結果得られたポリビニルアルコール系
重合体を粉砕し、該ポリビニルアルコール系重合体粉砕
物1.0gを、重水素化ジメチルスルホキシド/重水素
化クロロホルム=5/1(w/w)溶液10mlに溶か
し、その溶液における13C−NMRを日本電子株式会社
製「JNM−GSX270」を用いて測定して、上記し
たCmet [すなわちポリビニルアルコール系重合体にお
ける構造単位(I)と水酸基結合メチン炭素によって挟
まれているメチレン炭素のモル分率]を求め、上記の数
式(C)から、構造単位(I)の平均連鎖長(Lest
を求めた。
【0105】[ポリビニルアルコール系重合体の吸熱ピ
ーク温度]上記(6)で得られた含水ゲルを110℃で
6時間加熱して水分を完全に除去し、その結果得られた
ポリビニルアルコール系重合体を粉砕し、示差熱走査熱
量分析(測定装置:メトラー社製「DSC−30」)に
より窒素雰囲気下で昇温速度10℃/分の条件下に測定
した吸熱ピーク温度を求めた。
【0106】[含水ゲルの表面の平滑性]上記(6)で
得られた含水ゲルを20mm×20mmの寸法に切断し
て得た試験片の裏表それぞれ中央と4隅について、表面
粗さ[JIS K 7104]の記載に基づき比較サンプル法で、表
面の平滑性の段階評価を行った。得られた試験片の計1
0カ所の値の平均を、各含水ゲルの表面の平滑性とし
た。
【0107】[含水ゲルの均一性]上記(6)で得られ
た含水ゲルを20mm×20mmの寸法に切断して得た
試験片の中央と4隅の波長700nmの光の透過度を、
顕微分光装置(ライカ株式会社、Leitz MPV-MT)を用い
て測定し、得られた値の変動係数を求めて、含水ゲルの
均一性の尺度とした。
【0108】[含水ゲルの柔軟性]上記(6)で得られ
た含水ゲルを20mm×20mmの寸法に切断して試験
片を作製し、その一方の端部をスパーテルを用いてもう
一方の端部と接触するまで折り曲げて、含水ゲルに破損
や亀裂が生じずにもう一方の端部と接触でき、折り曲げ
にほとんど力を要しない場合を○、そしてもう一方の端
部と接触できないかまたは折り曲げ中に含水ゲルに破損
や亀裂が生じた場合を×として評価した。
【0109】[含水ゲルの透明度]上記(6)で得られ
た含水ゲルを約1〜2mm程度の大きさに粉砕して、そ
れを生理食塩水を満たした光路長10mmの吸光度測定
用セルに透き間なく充填し、ベックマン社製DU−65
型分光光度計を用いて波長700nmの光の透過度を測
定し、生理食塩水の透過度を100%として、それに対
する割合(%)として求めた。
【0110】[含水ゲルの耐湿熱性]上記(6)で得ら
れた含水ゲルを20mm×20mmの寸法に切断して得
た試験片を、生理食塩水中で121℃で20分間蒸気滅
菌を施して、蒸気滅菌後も透明なままで且つ蒸気滅菌を
行う前と同じ寸法およびゲル形状を保っている場合を
○、そして蒸気滅菌後に透明性が失われたり、蒸気滅菌
を行う前と異なる寸法および/または形状になっている
場合、或いは蒸気滅菌処理により溶けてしまった場合を
×として評価した。
【0111】[含水ゲルの耐熱水性]上記(6)で得ら
れた含水ゲルを20mm×20mmの寸法に切断して得
た試験片を、100℃の水中で1時間熱水処理をして、
熱水処理後も透明なままで且つ熱水処理を行う前と同じ
寸法およびゲル形状を保っている場合を○、そして熱水
処理後に透明性が失われたり、熱水処理を行う前と異な
る寸法および/または形状になっている場合、或いは熱
水処理により溶けてしまった場合を×として評価した。
【0112】[含水ゲルの水分含量]上記(6)で得ら
れた含水ゲルを110℃で6時間乾燥して完全に水分を
除去して、乾燥前の重量(W0 )(g)と乾燥後の重量
(W1 )(g)から、下記の数式により含水ゲルの水分
含量を求めた。
【0113】
【数10】含水ゲルの水分含量(%)={(W0
1 )/W0 }×100
【0114】[含水ゲルの溶出物量]上記(6)で得ら
れた含水ゲルの1gを採取し、それを10mlの生理食
塩水中に入れて、37℃で24時間加熱し、その時の生
理食塩水中に含まれる総有機炭素濃度(TOC)を島津
製作所株式会社製「全有機体炭素計;TOC−500
0」により測定して、含水ゲルの溶出物量とした。
【0115】《実施例2》 (1) 実施例1の(1)および(2)と同様の操作を
行って得られた構造単位(I)を含有する部分ケン化ポ
リビニルアルコール系重合体1.2gをジメチルスルホ
キシド40gに溶解し、無水コハク酸0.6gおよびピ
リジン0.47gを加えて70℃で6時間反応させた。
その結果得られた溶液約40gを、ガラス製トレー(縦
×横=100mm×100mm)に流延し、これをトレ
ーごと37℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽に入れて、
18時間静置してゲル化させた。生成したゲルを充分に
水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換させたと
ころ、透明で柔軟性に優れるシート状含水ゲル(縦×横
×厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得た。上記
(2)で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成する
ポリビニルアルコール系重合体について、その構造単位
(II)のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(L
est )、吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟
性、透明度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出
物量を、実施例1におけるのと同様にして求めたとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0116】《実施例3》 (1) 実施例1の(1)および(2)と同様の操作を
行って得られた構造単位(I)を含有する部分ケン化ポ
リビニルアルコール系重合体1.2gをジメチルスルホ
キシド40gに溶解し、無水コハク酸0.6gおよびピ
リジン0.47gを加えて70℃で6時間反応させた。
その結果得られた溶液約40gを、ガラス製トレー(縦
×横=100mm×100mm)に流延し、これをトレ
ーごと60℃、相対湿度80%の恒温恒湿槽に入れて、
4時間静置してゲル化させた。生成したゲルを充分に水
洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換させたとこ
ろ、透明で柔軟性に優れるシート状含水ゲル(縦×横×
厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得た。上記で
得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成するポリビニ
ルアルコール系重合体について、その構造単位(II)の
モル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(Lest )、吸
熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟性、透明
度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出物量を、
実施例1におけるのと同様にして求めたところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0117】《実施例4》 (1) 実施例1の(1)および(2)と同様の操作を
行って得られた構造単位(I)を含有する部分ケン化ポ
リビニルアルコール系重合体1.2gをジメチルスルホ
キシド40gに溶解し、無水コハク酸0.6gおよびピ
リジン0.47gを加えて70℃で6時間反応させた。
その結果得られた溶液約40gを、ガラス製トレー(縦
×横=100mm×100mm)に流延し、これをトレ
ーごと25℃、相対湿度60%の恒温恒湿槽に入れて、
21時間静置してゲル化させた。生成したゲルを充分に
水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換させたと
ころ、透明で柔軟性に優れるシート状含水ゲル(縦×横
×厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得た。上記
で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成するポリビ
ニルアルコール系重合体について、その構造単位(II)
のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(Lest )、
吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟性、透明
度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出物量を、
実施例1におけるのと同様にして求めたところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0118】《実施例5》 (1) 実施例1の(1)および(2)と同様の操作を
行って得られた構造単位(I)を含有する部分ケン化ポ
リビニルアルコール系重合体1.2gをジメチルスルホ
キシド40gに溶解し、無水コハク酸0.6gおよびピ
リジン0.47gを加えて70℃で6時間反応させた。
その結果得られた溶液約40gを、ガラス製トレー(縦
×横=100mm×100mm)に流延し、これをトレ
ーごと25℃、相対湿度40%の恒温恒湿槽に入れて、
38時間静置してゲル化させた。生成したゲルを充分に
水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換させたと
ころ、透明で柔軟性に優れるシート状含水ゲル(縦×横
×厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得た。上記
で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成するポリビ
ニルアルコール系重合体について、その構造単位(II)
のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(Lest )、
吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟性、透明
度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出物量を、
実施例1におけるのと同様にして求めたところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0119】《実施例6》 (1) 実施例1の(1)および(2)と同様の操作を
行って得られた構造単位(I)を含有する部分ケン化ポ
リビニルアルコール系重合体1.2gをジメチルスルホ
キシド40gに溶解し、無水コハク酸0.6gおよびピ
リジン0.47gを加えて70℃で6時間反応させた。
その結果得られた溶液約40gを、ガラス製トレー(縦
×横=100mm×100mm)に流延し、これをトレ
ーごと15℃、相対湿度70%の恒温恒湿槽に入れて、
65時間静置してゲル化させた。生成したゲルを充分に
水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換させたと
ころ、透明で柔軟性に優れるシート状含水ゲル(縦×横
×厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得た。上記
で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成するポリビ
ニルアルコール系重合体について、その構造単位(II)
のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(Lest )、
吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟性、透明
度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出物量を、
実施例1におけるのと同様にして求めたところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0120】《比較例1》実施例1の(1)および
(2)と同様の操作を行って得られた構造単位(I)を
含有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体1.
2gをジメチルスルホキシド40gに溶解し、無水コハ
ク酸0.6gおよびピリジン0.47gを加えて70℃
で6時間反応させた。その結果得られた溶液約40g
を、ガラス製トレー(縦×横=100mm×100m
m)に流延し、これをトレーごと25℃の液体の水中に
浸漬して、4時間静置してゲル化させた。生成したゲル
を充分に水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換
させたところ、透明で柔軟性に優れるシート状含水ゲル
(縦×横×厚さ=約80mm×80mm×3mm)を得
た。上記で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成す
るポリビニルアルコール系重合体について、その構造単
位(II)のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(L
est )、吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟
性、透明度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出
物量を、実施例1におけるのと同様にして求めたとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0121】《比較例2》実施例1の(1)および
(2)と同様の操作を行って得られた構造単位(I)を
含有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体1.
2gをジメチルスルホキシド40gに溶解し、無水コハ
ク酸0.6gおよびピリジン0.47gを加えて70℃
で6時間反応させた。その結果得られた溶液約40g
を、ガラス製トレー(縦×横=100mm×100m
m)に流延し、これをトレーごと25℃の10%硫酸ナ
トリウム水溶液に浸漬して、4時間静置しゲル化させ
た。生成したゲルを充分に水洗した後、生理食塩水中に
浸漬して水と置換させて、不透明なシート状含水ゲル
(縦×横×厚さ=約50mm×50mm×1mm)を得
た。上記で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成す
るポリビニルアルコール系重合体について、その構造単
位(II)のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(L
est )、吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟
性、透明度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出
物量を、実施例1におけるのと同様にして求めたとこ
ろ、下記の表1に示すとおりであった。
【0122】《比較例3》実施例1の(1)および
(2)と同様の操作を行って得られた構造単位(I)を
含有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体1.
2gをジメチルスルホキシド40gに溶解し、無水コハ
ク酸0.6gおよびピリジン0.47gを加えて70℃
で6時間反応させた。その結果得られた溶液約40g
を、ガラス製トレー(縦×横=100mm×100m
m)に流延し、これをトレーごと−20℃で24時間静
置し、凍結させてゲル化させた。生成したゲルを充分に
水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水と置換させ、不
透明なシート状含水ゲル(縦×横×厚さ=約60mm×
60mm×2mm)を得た。上記で得られた含水ゲルま
たは該含水ゲルを構成するポリビニルアルコール系重合
体について、その構造単位(II)のモル分率、構造単位
(I)の平均連鎖長(Lest )、吸熱ピーク温度、表面
の平滑性と均一性、柔軟性、透明度、耐湿熱性、耐熱水
性、水分含量および溶出物量を、実施例1におけるのと
同様にして求めたところ、下記の表1に示すとおりであ
った。
【0123】《比較例4》実施例1の(1)および
(2)と同様の操作を行って得られた構造単位(I)を
含有する部分ケン化ポリビニルアルコール系重合体1.
2gをジメチルスルホキシド40gに溶解し、無水コハ
ク酸0.6gおよびピリジン0.47gを加えて70℃
で6時間反応させた。その結果得られた溶液約40g
を、ガラス製トレー(縦×横=100mm×100m
m)に流延し、これをトレーごと120℃のオーブンに
48時間静置し乾燥させてフィルムを得た。得られたフ
ィルムを充分に水洗した後、生理食塩水中に浸漬して水
と置換させたところ、透明なシート状含水ゲル(縦×横
×厚さ=約50mm×50mm×1mm)を得た。上記
で得られた含水ゲルまたは該含水ゲルを構成するポリビ
ニルアルコール系重合体について、その構造単位(II)
のモル分率、構造単位(I)の平均連鎖長(Lest )、
吸熱ピーク温度、表面の平滑性と均一性、柔軟性、透明
度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量および溶出物量を、
実施例1におけるのと同様にして求めたところ、下記の
表1に示すとおりであった。
【0124】
【表1】
【0125】上記の表1の結果から、実施例1〜3の本
発明により得られた含水ゲルは、表面の平滑性と均一
性、柔軟性、透明度、耐湿熱性、耐熱水性、水分含量に
優れており、しかも溶出物がないか極めて少なく、高い
安全性を有していることがわかる。さらに、上記の表1
の結果から、本発明の要件を満足しない比較例1〜4の
場合には、表面の平滑性と均一性が劣っていたり、その
柔軟性や透明性が不良であったり、水分含量が少なかっ
たりして、良好な含水ゲルが得られないことがわかる。
【0126】《試験例1》[ブタ全層欠損創モデル] (1) ブタ1頭(3〜4週令)の背部に、20mm×
20mmの大きさの全層欠損創を12カ所作製した。 (2) 実施例1の(6)で得られたシート状の含水ゲ
ルを生理食塩水中で蒸気滅菌(121℃、20分間)し
て得られたものを20mm×20mmの大きさに切断
し、これを創傷被覆材として用いて、上記(1)で形成
した全層欠損創の4カ所に18日間にわたって貼付し
た。この創傷被覆材は表面の平滑性と均一性、透明性に
優れ、試験期間中、創傷の治癒状態が外部から良好に観
察できた。 (3) 比較例2で得られた部分ケン化ポリビニルアル
コールのシート状の含水ゲルを20mm×20mmの大
きさに切断し、これを創傷被覆材として用いて、上記
(1)で形成した全層欠損創の4カ所に18日間にわた
って貼付した。この創傷被覆材は不透明であるために、
試験期間中、創傷の治癒状態が外部から観察できなかっ
た。
【0127】(4) 対照として市販のポリウレタンフ
イルム創傷被覆材(Johnson & Johnson Medical 社製
「BIOCLUSIVE」)を40mm×40mmの大きさに切断
し、これを創傷被覆材として用いて、上記(1)で形成
した全層欠損創の4カ所に18日間にわたって貼付し
た。 (5) 上記(2)〜(4)の貼付試験の18日目に、
それぞれ創傷部の組織標本を採取し、ヘマトキシリン−
エオシン染色を常法により行って、それぞれの組織標本
部分における肉芽増殖と上皮化の程度を調べると共に炎
症性細胞の膨潤の状態を調べて異物反応の強弱を観察し
た。そして、上記(4)の対照と比較して、肉芽増殖と
上皮化が促進されていて創傷部の治癒の程度が良好な場
合を良好、肉芽増殖と上皮化が遅延して創傷部の治癒が
劣っていた場合を不良として、また異物反応が弱い場合
を良好(弱)、異物反応が強い場合を不良(強)として
評価したところ、下記の表2に示すとおりであった。
【0128】
【表2】
【0129】上記の表2の結果から、本発明により得ら
れた含水ゲルを創傷被覆材として用いた場合には、創部
における異物反応を生ずることなく、創治癒が促進され
ていること、それに対して比較例2の創傷被覆材を用い
た場合には、創治癒は良好であるが、異物反応が強くて
安全性に劣っていることがわかる。
【0130】
【発明の効果】本発明により得られるポリビニルアルコ
ール系重合体含水ゲルは、表面の平滑性と均一性、柔軟
性、透明性に優れていて、しかも蒸気滅菌処理や水中煮
沸処理などに耐え得る良好な耐湿熱性および耐熱水性を
備えており、さらに含水率や溶出物が少ないことによる
安全性にも優れており、それらの優れた特性を活かし
て、創傷被覆材として有効に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08F 16/06 C08F 18/04 18/04 A61L 15/01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリビニルアルコール系重合体を水溶性
    有機溶剤または水と水溶性有機溶剤の混合溶液に溶解
    し、得られた溶液を気相状態にある水と接触させてゲル
    化することを特徴とするポリビニルアルコール系重合体
    含水ゲルの製造方法。
  2. 【請求項2】 気相状態にある水の温度が0℃〜100
    ℃の範囲にある請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 気相状態にある水が相対湿度5%〜10
    0%の範囲にある請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 ポリビニルアルコール系重合体が、下記
    の一般式(I) 【化1】 (式中、R1 は水素原子または1価の炭化水素基を表
    し、そしてR2 およびR3はそれぞれ独立して1価の炭
    化水素基を表すかまたはR2 とR3 が一緒になってそれ
    らが結合している炭素原子と共に環を形成するか、或い
    はR1 、R2 およびR3 が一緒になってそれらが結合し
    ている炭素原子と共に環を形成している。)で表される
    構造単位を0.05〜0.50のモル分率で含有し、か
    つ下記の数式(A) 【数1】 θ=[OH、VES]/2[OH][VES] (A) (式中、[OH、VES]は、ポリビニルアルコール系
    重合体が有するメチレン炭素のうち、水酸基が結合した
    メチン炭素とアシルオキシ基が結合したメチン炭素に挟
    まれたもののモル分率を表し、[OH]はビニルアルコ
    ール単位のモル分率を表し、[VES]は一般式(I)
    で示されるビニルエステル単位のモル分率を表す。)で
    示されるブロックキャラクター(θ)が0.6以下であ
    る粘度平均重合度300以上のポリビニルアルコール系
    重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  5. 【請求項5】 ポリビニルアルコール系重合体が、
    (i) 下記の一般式(I) 【化2】 (式中、R1 は水素原子または1価の炭化水素基を表
    し、そしてR2 およびR3はそれぞれ独立して1価の炭
    化水素基を表すかまたはR2 とR3 が一緒になってそれ
    らが結合している炭素原子と共に環を形成するか、或い
    はR1 、R2 およびR3 が一緒になってそれらが結合し
    ている炭素原子と共に環を形成している。)で表される
    構造単位を0.05〜0.50のモル分率で含有し、か
    つ(ii) 下記の一般式(II) 【化3】 [式中、Xは式−CO−Y、式−Yまたは式−CO−C
    OOHで表される基(前記式中Yは、カルボキシル基、
    スルホン酸基、アミノ基およびリン酸基から選ばれる少
    なくとも1種の極性基で変性された炭化水素基、または
    カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基およびリン酸
    基から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する基で変
    性された炭化水素基を表す)であるか、或いはそれが結
    合している酸素原子と共にリン酸基を形成している。]
    で表される構造単位の少なくとも1種を0.0001〜
    0.50のモル分率で含有するポリビニルアルコール系
    重合体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 一般式(II)で表される構造単位のモル
    分率が、下記の数式(B) 【数2】 {(1−Cest ) ×Cest } ×0.01≦Cpol <{(1−Cest ) ×Cest }× 2.0 (B) [式中、Cpol は一般式(II)で表される構造単位のモ
    ル分率、そしてCest は一般式(I)で表される構造単
    位のモル分率を示す。]を満足している請求項5に記載
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 一般式(I)で表される構造単位の、下
    記の数式(C)で表される平均連鎖長(Lest ) 【数3】 Lest =(Cest /Cmet )×2 (C) [式中、Lest は一般式(I)で表される構造単位の平
    均連鎖長、Cest は一般式(I)で表される構造単位の
    モル分率、そしてCmet はポリビニルアルコール系重合
    体の主鎖を構成するメチレン炭素のうちで、水酸基また
    は式−OXで表される基が結合しているメチン炭素と一
    般式(I)で表される構造単位を構成するメチン炭素に
    よって挟まれているメチレン炭素のモル分率を示す。]
    が2.0以上である請求項5または6に記載の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項に記載の製
    造方法によって得られるポリビニルアルコール系重合体
    含水ゲル。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のポリビニルアルコール
    系重合体含水ゲルから主としてなる創傷被覆材。
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