JPH1190691A - ハイブリッドプレス機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】独立した駆動系を複数組設け、各種のスライド
モーションが得られ、プレス作業が効率的で、応用範囲
の広いハイブリッドプレス機械を提供する。 【解決手段】第１モータ９Ａで回転駆動する第１フライ
ホイール３Ａと、第２モータ９Ｂで回転駆動する第２フ
ライホイール３Ｂとを動力的に接／断制御して連結する
第１駆動軸４Ａと第２駆動軸４Ｂとに、第１ピニオン１
１Ａと第２ピニオン１１Ｂを設けてメインギヤ２と噛み
合わせ、メインギヤ２に連結したクランク軸でスライド
を昇降させ、第１ピニオン１１Ａと第２ピニオン１１Ｂ
の歯数を変えて等速とする他、高速回転側と低速回転側
とを設け、所要のクランク角度で切り換えて駆動させ、
リンクモーション、ナックルモーションを得、または高
速側と低速側とを単独に使用して正弦モーションを得
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、独立した駆動系を
複数組設けたハイブリッドプレス機械に関し、プレス作
業に応じてスライドモーションが変えられ、かつ構造の
比較的簡単なプレス機械を得たい場合に効果がある。

【０００２】

【従来の技術】機械プレスは、一般に図２の側面図及び
図１２の後面図に示すように、独立した一組の駆動系を
有し、クランク軸１に設けたメインギヤ２と、フライホ
イール３に連結した駆動軸４との連結構造を変えること
によって、スライドモーションを正弦モーション、リン
クモーションとし、あるいは駆動軸でリンクを駆動して
ナックルモーションとしているが、共用は不可能で、プ
レス作業の内容に応じて別々の機械プレスを用意しなけ
ればならなかった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上述の正弦モーション
は、駆動軸４のピニオン５とメインギヤ２を噛み合わせ
た汎用のもので、多く使用されているが、どのプレス作
業にも最適とはいかない。また、リンクモーションは、
駆動軸４とメインギヤ２との間にリンク機構、すなわち
早戻り機構を設け、プレス作業を行うスライドの下降側
を遅く、上昇側を早くし、絞り成形に適しているが、そ
の他の成形には最適ではない。さらに、ナックルモーシ
ョンは、下死点前後のスライド速度が非常に遅く、決め
押しが必要な鍛造成形に多用され、最近は厚板のプログ
レ精密加工や、振動や騒音を小さくしたいブランキング
加工に使われているが、その他の成形には最適ではな
い。その他、駆動軸に減速ギヤを連結し、高／低２速に
切り換えて複数のスライドモーションを得るものもある
が、構造が複雑となると言う欠点がある。

【０００４】本発明の目的は、上述の課題を解決し、各
種のスライドモーションが得られ、応用範囲が広いハイ
ブリッドプレス機械を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明は、独立した駆動系を複数組設けたハイブ
リッドプレス機械において、偏心部をコネクチングロッ
ドでスライドと連結したクランク軸に設けたメインギヤ
と、別々のモータで同じ回転方向に回転駆動される複数
のフライホイールに動力的に接／断可能に連結された複
数の駆動軸と、メインギヤと噛み合わせて複数の駆動軸
にそれぞれ設けられ、直径及び歯数が等しいか、または
異なる第１ピニオンと第２ピニオンとを具備し、所要の
クランク角度で複数のフライホイールの動力を接／断制
御し、複数の駆動軸を切り換えて回転駆動することによ
り各種のスライドモーションを得る。

【０００６】上述のように構成されたハイブリッドプレ
ス機械において、複数のフライホイールを互いに逆回転
方向に回転駆動するとともに、第１ピニオンと第２ピニ
オンを等径・等歯数とし、クランク角度１８０°の前後
に最大１８０°のクランク角度の範囲を、一方のフライ
ホイールの動力で正転させ、他方のフライホイールの動
力で逆転させるスライドモーションを繰り返す。

【０００７】独立した駆動系を複数組設けたハイブリッ
ドプレス機械において、遊星歯車機構に対向させて回転
自在に設けた第１入力軸と出力軸と、これらの第１入力
軸と出力軸との軸端部に互いに対向させて設けた入力軸
ギヤと出力軸ギヤと、これらの入力軸ギヤと出力軸ギヤ
を内包し、第１入力軸と出力軸で回転自在に支承した遊
星ギヤ箱と、第１入力軸と平行に遊星ギヤ箱に回転自在
に設けられ、入力軸ギヤと出力軸ギヤとにそれぞれ噛み
合う第１遊星ギヤと第２遊星ギヤを有する遊星ギヤ軸
と、第１入力軸と平行にプレスフレームに回転自在に設
けられ、遊星ギヤ箱外周の外歯と噛み合うギヤを有する
第２入力軸と、偏心部をコネクチングロッドでスライド
と連結し、出力軸に連結されたクランク軸と、別々のモ
ータで回転駆動され、第１入力軸と第２入力軸に、それ
ぞれ動力的に接断可能に連結された第１フライホイール
と第２フライホイールとを具備し、第１入力軸と第２入
力軸に所要のクランク角度で動力を接／断制御すること
により各種のスライドモーションを得る。

【０００８】

【発明の実施の形態】図１から図１１に本発明のハイブ
リッドプレス機械の実施例を示す。図１から図３に示す
第１実施例におけるハイブリッドプレス機械６は、クラ
ンク軸１の軸端部にメインギヤ２を設けるとともに、偏
心部１Ａをコネクチングロッド７でスライド８と連結し
ている。メインギヤ２には、第１モータ９Ａと第２モー
タ９Ｂで回転駆動される第１フライホイール３Ａと第２
フライホイール３Ｂにクラッチ・ブレーキ１０Ａ、１０
Ｂを介して連結された第１駆動軸４Ａと第２駆動軸４Ｂ
とに設けた第１ピニオン１１Ａと第２ピニオン１１Ｂと
を噛み合わせている。

【０００９】図３に示すように、ハイブリッドプレス機
械６のクラッチ・ブレーキ１０Ａ、１０Ｂには、圧力エ
ア源１２から低圧エア調整弁１３Ａ、１３Ｂと高圧エア
調整弁１４Ａ、１４Ｂとにより低圧エアと高圧エアをそ
れぞれ並列に設け、エアタンク１５に溜めたものを第１
電磁弁１６Ａ、１６Ｂを開いて低圧エアを供給し、第１
電磁弁１６Ａ、１６Ｂと第２電磁弁１７Ａ、１７Ｂを同
時に開として高圧エアを供給し、第１電磁弁１６Ａ、１
６Ｂを閉とすると排気出来るようになっている。クラッ
チ・ブレーキ１０Ａ、１０Ｂはいずれも、低圧エアを供
給するとクラッチ及びブレーキとともに断、高圧エアを
供給するとクラッチ接、ブレーキ断、排気するとクラッ
チ断、ブレーキ接となる。

【００１０】第１ピニオン１１Ａの歯数を第２ピニオン
１１Ｂの歯数よりも大きくしておけば、クランク軸１
は、第１フライホイール３Ａの動力をクラッチ・ブレー
キ１０Ａに高圧エアを供給しクラッチを接として駆動
し、第２フライホイール３Ｂのクラッチ・ブレーキ１０
Ｂに低圧エアを供給してクラッチ及びブレーキを断とす
れば高速回転となり、逆にクラッチ・ブレーキ１０Ａに
低圧エアを、クラッチ・ブレーキ１０Ｂに高圧エアを供
給すれば低速回転となる。クランク軸１の所要のクラン
ク角度において高速回転と低速回転とに切り換えれば、
各種のスライドモーションが得られる。

【００１１】図５は、従来の機械プレスにおいて、回転
数５０ｓｐｍ、スライドストローク１５０ｍｍの場合の
下死点上位置とその位置におけるスライドの速度を実線
でクランクモーション、一点鎖線でリンクモーション、
二点鎖線でナックルモーションの各場合を表した線図で
ある。この線図で下死点上位置１５ｍｍにおける各モー
ションの点Ａ、Ｂ、Ｃにおけるスライド速度比を概算す
ると、Ａ：Ｂ：Ｃ＝５：３：４ であり、速度比はプレ
スの回転数比に等しいので、前述の高速回転と低速回転
の比をこの割合にし、スライドの下降途中の所要のクラ
ンク角度で高速・低速を切り換えて使用すればよい。高
速／低速２駆動系のそれぞれによるスライドモーション
は、いずれも正弦モーションであるが、全体的に見たス
ライドモーションはリンク、またはナックルモーション
に近似したものとなる。

【００１２】図６から図９は、図３の第１フライホイー
ル３Ａで駆動する高速回転側と、第２フライホイール３
Ｂで駆動する低速回転側とを単独、または切り換えた場
合の各種スライドモーションを示す。図６から図１０の
図中、高速回転側電磁弁、ａ、ｂは、図３に示す電磁弁
１６Ａ、１７Ａを示し、低速回転側電磁弁、ｃ、ｄは、
図３に示す電磁弁１６Ｂ、１７ＢＡを示す。図６は高速
連続運転正弦モーション、図７は低速連続運転正弦モー
ション、図８はクランク角度９０°から１８０°までを
低速、他を高速として切り換え運転した場合のリンクモ
ーション、図９は１２０°から２４０°までを低速、他
を高速に切り換え運転した場合のナックルモーションを
示し、それぞれの図中の下表にそれぞれ各電磁弁のＯＮ
／ＯＦＦ切り換え状態を示している。

【００１３】以上のように、高速回転と低速回転を単独
で使用し、あるいは高速回転／低速回転を切り換えて使
用出来るのでハイブリッドプレス機械の利用範囲は広く
なる。なお、高速回転と低速回転の比をリンクモーショ
ンとナックルモーションとの中間に選んで両方の用途に
使用したり、回転比をさらに大きくして特殊なプレス作
業に利用することも出来る。

【００１４】図４は、第２実施例で、独立した駆動系を
速度比を等しくして２組設けたハイブリッドプレス機械
１８を示す。すなわち、図３に示すような構成とし、図
４のモータ９、９でフライホイール３、３を等速で回転
駆動し、等径、等歯数のピニオン１１、１１をメインギ
ヤ２に噛み合わせ、両駆動系でクランク軸１を等しい速
度で回転駆動する。この場合、一方のモータ９を正転、
他方のモータ９を逆転として使用し、図１０に示すよう
に、クランク角度９０°から２７０°まで正転、クラン
ク角度２７０°から９０°まで逆転を繰り返すよう両駆
動系を切り換えれば、繰り返し鍛造が可能となる。

【００１５】また、図４の構成で、両方モータ９、９を
正転とし、交互に両方モータ９、９を使用するよう制御
して安全一行程のプレス作業を行えば、クラッチ・ブレ
ーキ１０Ａ、１０Ｂの焼き付きを予想した使用限度を改
善出来、高速で安全一行程のプレス作業を続けることの
出来るハイブリッドプレス機械１８とすることが出来
る。１台のプレス機械を上述の両用に使用するために
は、一方のモータ９を正転／逆転切り換え可能とすれば
よい。

【００１６】図１１は、第３実施例のハイブリッドプレ
ス機械１９を示し、偏心部１Ａにコネクチングロッド７
でスライド８を連結したクランク軸１の軸端を、遊星歯
車機構２０の出力軸２１に連結し、出力軸２１と対向す
る第１入力軸２２にクラッチ・ブレーキで動力を接／断
出来る第２フライホイール３Ｂを連結している。第１入
力軸２２の軸端部に入力軸ギヤ２３を設け、出力軸２１
の軸端部に入力軸ギヤ２３と対向する出力軸ギヤ２４を
設ける。出力軸２１と第１入力軸２２に回転自在に支承
され、入力軸ギヤ２３と出力軸ギヤ２４を内包する遊星
ギヤ箱２５を設け、第１入力軸２２と平行に遊星ギヤ箱
２５に設けた遊星ギヤ軸２６に入力軸ギヤ２３と噛み合
う第１遊星ギヤ２７と、出力軸ギヤ２４と噛み合う第２
遊星ギヤ２８を設ける。また、第１入力軸２２と平行に
プレスフレーム２９に回転自在に第２入力軸３０を設
け、第２入力軸３０に設けたギヤ３１と遊星ギヤ箱２５
の外周に設けた外歯３２とを噛み合わせるとともに、第
２入力軸３０にクラッチ・ブレーキで動力を接／断出来
る第１フライホイール３Ａを連結している。

【００１７】第１フライホイール３Ａをモータ９Ａで回
転駆動し、第２フライホイール３Ｂをモータ９Ｂで回転
駆動するとともに、それぞれのクラッチ・ブレーキに電
磁弁３３Ａ、３３Ｂを介して圧力エア源３４の圧力エア
を供給する。電磁弁３３Ａ、３３Ｂを所要のクランク角
度において切り換えてＯＮ／ＯＦＦすれば、第１フライ
ホイール３Ａと第２フライホイール３Ｂの動力を切り換
えて第２入力軸３０及び第１入力軸２２に接続し、遊星
歯車機構２０を介して出力軸２１の回転速度を切り換え
ることが出来る。従って、クランク軸１の回転速度を所
要のクランク角度で切り換えることにより、スライド８
を所要のスライドモーションとすることが出来る。

【００１８】遊星歯車機構２０の減速比を変えることに
よりハイブリッドプレス機械１９のスライドモーション
は、第１実施例のハイブリッドプレス機械６と同様、各
種に変えることが出来、運転態様も図６から図１０まで
のいずれも使用出来る。

【００１９】なお、上述の説明は、複数の駆動系のモー
タは固定回転数のものとしたが、変速出来るモータとす
ることも出来、フライホイールも各種のものを使用し、
組み込むクラッチ・ブレーキも一体でなく、別々のもの
を使用してもよい。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、独立した駆動系を２組設けたので、これらの
駆動系を所要のクランク角度ごとに切り換えたり、ある
いはそれぞれを独立して使用することにより各種のスラ
イドモーションを得ることが出来る。従って、１台のハ
イブリッドプレス機械を多様なプレス作業に使用するこ
とが出来、機械の稼働率を向上出来るとともに、プレス
作業ごとに最適なスライドモーションを選択して効率的
に使用出来る。特に、２組の駆動系を等速として交互に
使用したり、正転及び逆転を交互に使用したり、広い用
途に応用出来る。さらに、モータを定速のみでなく、変
速可能なものを使用すれば、さらに広い用途に使用出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図 １】本発明の第１実施例におけるハイブリッドプ
レス機械の後面図

【図 ２】同じく、側面図（従来例の側面図を兼用）

【図 ３】同じく、空圧による制御回路図を付したスケ
ルトン図

【図 ４】本発明の第２実施例におけるハイブリッドプ
レス機械の後面図

【図 ５】一般の機械プレスのスライドモーションにお
ける下死点上位置に対するスライド速度線図

【図 ６】本発明における高速連続運転正弦スライドモ
ーションの説明図

【図 ７】同じく、低速連続運転正弦モーションの説明
図

【図 ８】同じく、リンクモーションの説明図

【図 ９】同じく、ナックルモーションの説明図

【図１０】同じく、正逆回転駆動連続／断続運転のスラ
イドモーションの説明図

【図１１】本発明の第３実施例におけるハイブリッドプ
レス機械の側面図

【図１２】従来例の機械プレスの後面図

【符号の説明】

１はクランク軸、１Ａは偏心部、２はメインギヤ、３は
フライホイール、３Ａは第１フライホイール、３Ｂは第
２フライホイール、４Ａは第１駆動軸、４Ｂは第２駆動
軸、６、１８、１９はハイブリッドプレス機械、７はコ
ネクチングロッド、８はスライド、９はモータ、９Ａは
第１モータ、９Ｂは第２モータ、１０Ａ、１０Ｂはクラ
ッチ・ブレーキ、１１はピニオン、１１Ａは第１ピニオ
ン、１１Ｂは第２ピニオン、１２は圧力エア源、１３
Ａ、１３Ｂは低圧エア調整弁、１４Ａ、１４Ｂは高圧エ
ア調整弁、１５はエアタンク、１６Ａ、１６は第１電磁
弁、１７Ａ、１７Ｂは第２電磁弁、２０は遊星歯車機
構、２１は出力軸、２２は第１入力軸、２３は入力軸ギ
ヤ、２４は出力軸ギヤ、２５は遊星ギヤ箱、２６は遊星
ギヤ軸、２７は第１遊星ギヤ、２８は第２遊星ギヤ、２
９はプレスフレーム、３０は第２入力軸、３１はギヤ、
３２は外歯、３３Ａ、３３Ｂは電磁弁、３４は圧力エア
源、である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】独立した駆動系を複数組設けたハイブリッ
   ドプレス機械において、偏心部をコネクチングロッドで
   スライドと連結したクランク軸に設けたメインギヤと、
   別々のモータで同じ回転方向に回転駆動される複数のフ
   ライホイールに動力的に接／断可能に連結された複数の
   駆動軸と、前記メインギヤと噛み合わせて複数の前記駆
   動軸にそれぞれ設けられ、直径及び歯数が等しいか、ま
   たは異なる第１ピニオンと第２ピニオンとを具備し、所
   要のクランク角度で複数の前記フライホイールの動力を
   接／断制御し、複数の前記駆動軸を切り換えて回転駆動
   することにより各種のスライドモーションを得ることを
   特徴とするハイブリッドプレス機械。
2. 【請求項２】複数の前記フライホイールを互いに逆回転
   方向に回転駆動するとともに、前記第１ピニオンと前記
   第２ピニオンを等径・等歯数とし、クランク角度１８０
   °の前後に最大１８０°のクランク角度の範囲を、一方
   の前記フライホイールの動力で正転させ、他方の前記フ
   ライホイールの動力で逆転させるスライドモーションを
   繰り返すことを特徴とする請求項１記載のハイブリッド
   プレス機械。
3. 【請求項３】独立した駆動系を複数組設けたハイブリッ
   ドプレス機械において、遊星歯車機構に対向させて回転
   自在に設けた第１入力軸と出力軸と、これらの第１入力
   軸と出力軸との軸端部に互いに対向させて設けた入力軸
   ギヤと出力軸ギヤと、これらの入力軸ギヤと出力軸ギヤ
   を内包し、前記第１入力軸と前記出力軸で回転自在に支
   承した遊星ギヤ箱と、前記第１入力軸と平行に前記遊星
   ギヤ箱に回転自在に設けられ、前記入力軸ギヤと前記出
   力軸ギヤとにそれぞれ噛み合う第１遊星ギヤと第２遊星
   ギヤを有する遊星ギヤ軸と、前記第１入力軸と平行にプ
   レスフレームに回転自在に設けられ、前記遊星ギヤ箱外
   周の外歯と噛み合うギヤを有する第２入力軸と、偏心部
   をコネクチングロッドでスライドと連結し、前記出力軸
   に連結されたクランク軸と、別々のモータで回転駆動さ
   れ、前記第１入力軸と前記第２入力軸に、それぞれ動力
   的に接／断可能に連結された第１フライホイールと第２
   フライホイールとを具備し、前記第１入力軸と前記第２
   入力軸に所要のクランク角度で動力を接断制御すること
   により各種のスライドモーションを得ることを特徴とす
   るハイブリッドプレス機械。