JPH118959A - 交流エネルギー変換駆動機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 回転板に歯車の役割を与え、簡単な構造で部
品点数の少ない、薄型の減速機構を備えた交流エネルギ
ー変換駆動機を提供すること。 【構成】 磁界発生機構部１と回転駆動部２が分離独立
してなる交流エネルギ−変換駆動機に於いて、磁界発生
機構部１は、複数のコイル群３，３…からなる複数の回
転磁界発生固定子ａ，ｂ，ｃを同心円上に配置し、複数
の固定子ａ，ｂ，ｃの直上面に対接するようにそれぞれ
回転板７ａ，７ｂ，７ｃを具備した回転子を配置し、回
転板７ａ，７ｂ，７ｃにはその外周部に歯車が形成され
て内輪歯車Ｇとして機能し、回転出力主軸１１に直結さ
れた外輪歯車１０と噛み合うように構成され、複数の内
輪歯車Ｇと外輪歯車１０からなるロ−タ群と主軸１１を
収容ケ−ス１７に納めて一体化する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はステータとロータと
からなる誘導モータに着眼し、ステータ側とロータ側と
を分離独立した別に器具として組み立てることにより誘
導モータの機能を更に発展させて応用面を多様化すると
共に、その実用性を図るべく主として回転機能に着眼し
た新規な交流エネルギー変換駆動機に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術および課題】誘導モータにおいて電力変換
を効率よく行うため、通常、ステータ側とロータ側との
磁気的空隙は１ｍｍ以下の実現可能な数値に設定され
る。これがステータ側とロータ側とを分離独立した別の
器具として組み立て、両者を相対させて組み立てるもの
では磁気空隙長を誘導モータより必然的に略１桁程長く
設定せざるを得ない。然し、その磁気空隙長を長く設定
すると機械的出力が低下し、これを補うために入力電力
を増すとステータ側のコイル群が鉄損，銅損でより発熱
しまた機械的出力を低下させるという悪循環を招く。

【０００３】本発明のステータ側とロータ側とを分離独
立した別の器具に組み立てるという点で着想的に近似す
るものとして、回転加熱調理器が既に提案されている
（特開平８ー３５６６４号）。

【０００４】その回転加熱調理器は誘導加熱乃至は回転
磁界を発生する磁気発生機構部（以下、「ステータ側」
という。）を備え、このステータ側より発生する回転磁
界で回転駆動する回転体或いは回転翼を支軸で回転自在
に内部に備えた鍋（以下、「ロータ側」という。）をス
テータ側と分離独立した別の器具として組み立て、磁気
的空隙を隔てロータ側をステータ側の上に相対配置させ
て回転体乃至は回転翼を回転磁界で回転駆動すると共
に、ロータ側を誘導加熱で発熱させて食品の煮炊きと同
時に攪拌を行う器具として構成されている。

【０００５】その回転加熱調理器においては磁界を発生
するコイルを複数部に分割させてステータ側に備えると
開示されているが、このコイル構成にてはロータ側を実
用向けに適するよう駆動する回転磁界を作用するのは難
い。殊に、ロータ側は広い空隙を隔ててステータ側と相
対配置するものであるから、上述した如く回転磁界をロ
ータ側に効果的に作用させようとすると、コイル自体が
鉄損，銅損で発熱するのを抑えられない。

【０００６】また、上述した回転加熱調理器においては
ロータ側は永久磁石または着磁体を備えた回転体乃至は
回転翼を装備すると開示されているが、この永久磁石ま
たは着磁体を備えると鉄くぎ等を吸い寄せる等の不具合
があるため、そのロータ側自体も実用化に向けて構成を
改良する余地がある。

【０００７】これに対して、本発明者らは回転機能に着
目し、回転磁界を効率よく発生できてコイル自体の発熱
を抑えられる磁気発生機構部を備えることにより回転機
構部を高性能に駆動できるよう構成する新規な交流エネ
ルギー変換器を提案している（特願平８−３４４６２
０）。これにより、ロータとステータが完全に分離した
使い勝手のよい実用的な交流エネルギー変換器が製造可
能となったが、回転磁界発生機構部と回転機構部が分離
独立してなる応用製品、例えば回転加熱調理器、ジュサ
−、水切り、研磨機等に使用するためには、回転力を向
上あるいは減速させる減速機構が必要であった。

【０００８】従来この種の回転力を向上或いは減速させ
る技術として、例えば特願平８−２８０１３９に示され
ているように、ロ−タ側に回転速度を調整する減速機構
を複数個の大小径の異なる歯付きプリ−をプリ−軸に備
えそのプリ−軸は出力軸を中心に周囲に装備され、各プ
リ−軸及び出力軸は、タイミングベルトを掛け渡すこと
により減速された駆動力を出力軸に伝達する方法があ
る。また同様にロ−タにギヤ−の組み合わせた遊星歯車
機構を、ロ−タ内に回転板に直結した支軸に連動するよ
うに且つ出力軸に連結して構成し減速された」駆動出力
を得る方法が提案されているが、上記方法では次の様な
欠点があった。即ち構造が複雑で部品点数も多く結果的
にコストの高いものになり、又減速機構を回転板と別に
具備させる為のスペ−スも必要となる欠点があり問題と
なっていた。

【０００９】本発明の目的は、上記欠点を解決し、回転
板に歯車の役割を与え、簡単な構造で部品点数の少な
い、薄型の減速機構を備えた交流エネルギー変換駆動機
を提供するものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は、前記従来の課
題を解決するためになされたもので、本発明の請求項１
に係る交流エネルギー変換駆動機においては、磁界発生
機構部１と回転駆動部２が分離独立してなる交流エネル
ギ−変換駆動機に於いて、磁界発生機構部１は、複数の
コイル群３，３…からなる複数の回転磁界発生固定子
ａ，ｂ，ｃを同心円上に配置し、複数の固定子ａ，ｂ，
ｃの直上面に対接するようにそれぞれ回転板７ａ，７
ｂ，７ｃを具備した回転子を配置し、回転板７ａ，７
ｂ，７ｃにはその外周部に歯車が形成されて内輪歯車Ｇ
として機能し、回転出力主軸１１に直結された外輪歯車
１０と噛み合うように構成され、複数の内輪歯車Ｇと外
輪歯車１０からなるロ−タ群と主軸１１を収容ケ−ス１
７に納めて一体化したものである。

【００１１】本発明の請求項２に係る交流エネルギー変
換駆動機においては、請求項１記載の交流エネルギ−変
換駆動機において、前記複数のロ−タ群の個々の回転板
７ａ，７ｂ，７ｃ内のすべり周波数を微妙に変えてこの
差で個々の回転子の機械的及び材質的な損失誤差を吸収
し、単一の同期的回転出力を出力主軸１１に与えるよう
にしたものである。

【００１２】本発明の請求項３に係る交流エネルギー変
換駆動機においては、請求項１または２記載の交流エネ
ルギ−変換駆動機において、回転板７ａ，７ｂ，７ｃは
鉄系軟磁性材で構成され、回転板７ａ，７ｂ，７ｃの内
輪歯車Ｇと噛み合う外輪歯車１０を非磁性材料で構成し
たものである。

【００１３】

【実施例】本発明は、従来技術の欠点を解決するため、
まず第一として分離独立してなる磁界発生機構部と回転
駆動部を有する誘導モータに於いて、回転を減速する方
法として、ロ−タに具備した回転板を内輪歯車として用
いる様にしたことを特徴とし、複数のコイル群からなる
複数の回転磁界発生機構部を同心円上に複数配置し、そ
のコイル群の直上にそれぞれロ−タを配置構成し、ロ−
タに具備した回転板の外周部を歯車状に形成し内輪歯車
とし、更にその内輪歯車と噛み合うように回転板の外周
部に外輪歯車を備え、その外輪歯車が回転出力軸に機械
的に一体化されるように構成したものである。

【００１４】上記のような構成にすることにより、ロ−
タが歯車を加味するので複数のロ−タで減速された駆動
力を出力軸に簡単な機構で伝達する事が出来るもので、
減速比は回転板の径と外周部に配置した外輪歯車の歯車
径の比で決まる。即ち本発明は、従来問題となっていた
複雑な減速機構を複数個のロ−タの回転板を歯車として
活用することにより簡単な機構で薄型化が可能で安価に
構成できることを特徴とする。

【００１５】以下図を用いて本発明の交流エネルギー変
換器を説明する。図１は、本発明の実施例を示す交流エ
ネルギー変換駆動機の概略断面図であり、磁界発生機構
部１と回転駆動部２がそれぞれ分離独立した構成に於い
て、磁界発生機構部１は、回転駆動用コイル３と、この
中心部に磁性材料で形成された磁芯４と、回転駆動用コ
イル３と磁芯４の下に磁性材料で形成された磁気台座５
とを備えた複数のコイル群３，３…からなる複数の回転
磁界発生固定子ａ，ｂ，ｃより構成され、その回転磁界
発生固定子ａ，ｂ，ｃを収容した収容ケ−ス６を備えて
磁界発生機構部１を構成している。

【００１６】回転駆動部２は、複数の回転板７ａ，７
ｂ，７ｃを備え、それぞれの回転板７ａ，７ｂ，７ｃ
は、それぞれ支軸ベアリングケ−ス１６の底面に取り付
けられ、回転板支軸８は収容ケ−ス１７の底板１４内に
挿入され支軸固定板１５により軸固定され、支軸８上部
は支軸ベアリング９に直結し保持されている。回転板７
ａ，７ｂ，７ｃは鉄系軟磁性材で形成され、回転板７
ａ，７ｂ，７ｃの外周部は歯車状に形成して内輪歯車Ｇ
とし、複数の歯車付回転板７ａ，７ｂ，７ｃは、外輪歯
車１０と噛み合わされ、外輪歯車１０の中央部ｄで主軸
１１に機械的に結合されている。主軸１１は、主軸ベア
リング１２でベアリング収容ケ−ス内に軸支されてい
る。回転駆動部２は、底板１４とロ−タ収容ケ−ス１３
からなる収容ケース１７内に一体で構成されている。

【００１７】図２は、磁界発生機構部１の回転駆動用コ
イル群３，３…からなる複数の回転磁界発生固定子ａ，
ｂ，ｃの配置を示した概略平面図であり、回転磁界発生
固定子ａ，ｂ，ｃのコイル３，３…は、一対極２相にな
るように結線され、それぞれの回転磁界発生固定子ａ，
ｂ，ｃは、直列に結線して構成している。尚、並列結線
も当然可能である。

【００１８】図３は磁界発生機構部１の概略断面図であ
り、図４は回転駆動部２の回転板の配置を示した概略平
面図である。図４において、回転板７ａ，７ｂ，７ｃの
外周部は、歯車状に形成し内輪歯車Ｇとし、その内輪歯
車Ｇと接するように外輪歯車１０を備え、それぞれの歯
車が噛み合うように構成され、回転板７ａ，７ｂ，７ｃ
との外径比で減速比が決定される。

【００１９】次に駆動確認した実施例について説明す
る。図１に示した磁界発生機構部１と回転駆動部２が分
離独立してなる交流エネルギー変換駆動機を用い、磁界
発生機構部１の回転駆動用コイル群３，３…に駆動周波
数５００Ｈｚ、駆動電力１００Ｗ（１相分）を印加し、
回転駆動部の回転状態を確認した。回転駆動部２の歯車
付回転板７は、図４に示した３個配置を用い十分に減速
された回転駆動力を得ることが出来た。

【００２０】即ち、磁界発生機構部１のコイル群３，３
…からなる複数の回転磁界発生固定子ａ，ｂ，ｃの直上
面に複数のロ−タ群(回転板７ａ，７ｂ，７ｃを配置
し、そのロ−タ群の回転板外周部を歯車状にし内輪歯車
Ｇとし、その内輪歯車Ｇと接するように外輪歯車１０を
備え、それぞれの歯車が噛み合うように構成され、その
外輪歯車１０の中央部ｄが、主軸１１に機械的に直結す
るように構成すると共に、個々の回転板内のすべり周波
数の微妙な差で個々のロ−タの損失誤差(機械的、材質
的）を吸収し、単一の同期的出力を主軸(出力軸)１１に
伝達させる事が出来た。

【００２１】

【発明の効果】以上の如く、本発明による交流エネルギ
ー変換駆動機によれば、回転の減速機構を複数の回転子
に具備した回転板を歯車に併用し、最外周に配置したイ
ンタ−ナルギヤ−付キャリヤより、主軸(出力軸）に減
速された回転出力を伝達するこができる全く新しい簡素
化された減速機構を薄型、安価に得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る交流エネルギー変換駆動機を概略
的に示す断面図である。

【図２】同交流エネルギー変換駆動機の磁界発生機構部
を説明する平面図である。

【図３】同磁界発生機構部の概略断面図である。

【図４】同交流エネルギー変換駆動機の回転駆動部の回
転板の配置を示す平面図である。

【符号の説明】 １ 磁界発生機構部 ２ 回転駆動部 ３ 回転駆動用コイル ４ 磁芯 ５ 磁気台座 ６ 収容ケ−ス ７ａ，７ｂ，７ｃ 回転板 ８ 回転板用支軸 ９ 支軸用ベアリング １０ 外輪歯車 １１ 主軸(出力軸） １２ 主軸用ベアリング １３ ロ−タ収容ケ−ス １４ 収容ケ−ス底板 １５ 支軸固定板 １６ 支軸用ベアリングケ−ス １７ 収容ケース Ｇ 内輪歯車部 ａ，ｂ，ｃ 回転磁界発生固定子 ｄ 外輪歯車と主軸の機械的結合部

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 磁界発生機構部と回転駆動部が分離独立
   してなる交流エネルギ−変換駆動機に於いて、磁界発生
   機構部は、複数のコイル群からなる複数の回転磁界発生
   固定子を同心円上に配置し、前記複数の固定子の直上面
   に対接するようにそれぞれ回転板を具備した回転子を配
   置し、前記回転板にはその外周部に歯車が形成されて内
   輪歯車として機能し、回転出力軸に直結された外輪歯車
   と噛み合うように構成され、前記複数の内輪歯車と外輪
   歯車からなるロ−タ群と主軸を収容ケ−スに納めて一体
   化したことを特徴とする交流エネルギ−変換駆動機。
2. 【請求項２】 前記複数のロ−タ群の個々の回転板内の
   すべり周波数を微妙に変えてこの差で個々の回転子の機
   械的及び材質的な損失誤差を吸収し、単一の同期的回転
   出力を出力軸に与えることを特徴とする請求項１記載の
   交流エネルギ−変換駆動機。
3. 【請求項３】 前記回転板は鉄系軟磁性材で構成され、
   回転板の歯車と噛み合う外輪歯車が非磁性材料で構成さ
   れていることを特徴とする請求項１または２記載の交流
   エネルギ−変換駆動機。