JPH1189445A - 生分解性育樹用ポット - Google Patents
生分解性育樹用ポットInfo
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- JPH1189445A JPH1189445A JP9259952A JP25995297A JPH1189445A JP H1189445 A JPH1189445 A JP H1189445A JP 9259952 A JP9259952 A JP 9259952A JP 25995297 A JP25995297 A JP 25995297A JP H1189445 A JPH1189445 A JP H1189445A
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- growing
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A30/00—Adapting or protecting infrastructure or their operation
- Y02A30/24—Structural elements or technologies for improving thermal insulation
- Y02A30/254—Roof garden systems; Roof coverings with high solar reflectance
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02B—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO BUILDINGS, e.g. HOUSING, HOUSE APPLIANCES OR RELATED END-USER APPLICATIONS
- Y02B80/00—Architectural or constructional elements improving the thermal performance of buildings
- Y02B80/32—Roof garden systems
Landscapes
- Cultivation Receptacles Or Flower-Pots, Or Pots For Seedlings (AREA)
- Biological Depolymerization Polymers (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 生育期の苗木の根を適切に生育させることが
でき、さらに運搬時、移植時などに熟練を要する根巻き
作業、育樹用ポットの取外し作業などを必要とせず、移
植時の労力を大幅に軽減できる育樹用ポットを提供する
こと。 【解決手段】 熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系
重合体からなる生分解性合成繊維を含む不織布からなる
側面部および底面部から構成される生分解性育樹用ポッ
トにおいて、該不織布の空隙率が50%〜85%であ
り、該不織布の通気度が0.50cc/cm2/sec
〜100cc/cm2/secであり、該不織布の最大
孔径が30μm〜100μmであり、そして該不織布の
平均孔径が5.0μm〜35μmであることを特徴とす
る、生分解性育樹用ポット。
でき、さらに運搬時、移植時などに熟練を要する根巻き
作業、育樹用ポットの取外し作業などを必要とせず、移
植時の労力を大幅に軽減できる育樹用ポットを提供する
こと。 【解決手段】 熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系
重合体からなる生分解性合成繊維を含む不織布からなる
側面部および底面部から構成される生分解性育樹用ポッ
トにおいて、該不織布の空隙率が50%〜85%であ
り、該不織布の通気度が0.50cc/cm2/sec
〜100cc/cm2/secであり、該不織布の最大
孔径が30μm〜100μmであり、そして該不織布の
平均孔径が5.0μm〜35μmであることを特徴とす
る、生分解性育樹用ポット。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は樹木を植栽する時に
使用する育樹用ポットに関し、さらに詳細には、育生期
の苗木の根を適切に育生させることができ、さらに運搬
時、移植時などに熟練を要する根巻き作業、育樹用ポッ
トの取外し作業などを必要とせず、移植時の労力を大幅
に軽減できる育樹用ポットに関する。
使用する育樹用ポットに関し、さらに詳細には、育生期
の苗木の根を適切に育生させることができ、さらに運搬
時、移植時などに熟練を要する根巻き作業、育樹用ポッ
トの取外し作業などを必要とせず、移植時の労力を大幅
に軽減できる育樹用ポットに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、公共露地、街路、道路側帯、公
園、庭園、ビル屋上部人工地盤などの緑化および造園、
さらに美観および保養の為に、各種の樹木がこれらの場
所に植えられている。これらの樹木の多くは、上記の場
所に直接、播種したり、または苗木をそれらの場所に移
植して育生した樹木ではなく、苗木を別の圃場にて育生
するかあるいは苗木を育苗ポットで育生した後、苗木が
ある程度育生して樹木となった時点で、上記の場所に移
植された樹木である。このようにして、樹高、葉張、幹
径などがある程度同一な樹木を選択して上記の場所に移
植し、樹木の全体的な景観を統一している。
園、庭園、ビル屋上部人工地盤などの緑化および造園、
さらに美観および保養の為に、各種の樹木がこれらの場
所に植えられている。これらの樹木の多くは、上記の場
所に直接、播種したり、または苗木をそれらの場所に移
植して育生した樹木ではなく、苗木を別の圃場にて育生
するかあるいは苗木を育苗ポットで育生した後、苗木が
ある程度育生して樹木となった時点で、上記の場所に移
植された樹木である。このようにして、樹高、葉張、幹
径などがある程度同一な樹木を選択して上記の場所に移
植し、樹木の全体的な景観を統一している。
【0003】このような苗木を育生させて樹木とするた
めには、播種床、床替え床ごとに床の深さを変え、そし
て移植時には根切り掘取機を用いて、樹木の細根を切断
し、そして樹木を地中から取り出す必要があり、多大な
労力および時間を必要とする。
めには、播種床、床替え床ごとに床の深さを変え、そし
て移植時には根切り掘取機を用いて、樹木の細根を切断
し、そして樹木を地中から取り出す必要があり、多大な
労力および時間を必要とする。
【0004】従来では、播種後、ある程度育生した1本
の苗木を、土壌を入れた一鉢の植物栽培用容器(以下、
「育樹用ポット」と言う)内に植え、この育樹用ポット
を地中に埋設せず、育樹用ポットの外面が外気に触れる
状態で苗木を育生して樹木にする(すなわち、育樹用ポ
ットを植木鉢のように用いて育生する)方法、苗木を植
えたこの育樹用ポットを、苗木を地上に出した状態で地
中に埋設し、育樹用ポットの外周が外気に触れない状態
で苗木を育生して樹木にする方法、育樹用ポットを使わ
ずに圃場に直接苗木を植えて育樹させる方法(いわゆ
る、露地植え)などが挙げられる。一般的に、後2者の
方法は、前者の方法において育樹用ポット内の土壌だけ
では水分および栄養分が不足する場合に用いられるが、
これらの方法は、生産者が樹木の種類、育生期間などを
考慮して適切に選択して行なわれている。
の苗木を、土壌を入れた一鉢の植物栽培用容器(以下、
「育樹用ポット」と言う)内に植え、この育樹用ポット
を地中に埋設せず、育樹用ポットの外面が外気に触れる
状態で苗木を育生して樹木にする(すなわち、育樹用ポ
ットを植木鉢のように用いて育生する)方法、苗木を植
えたこの育樹用ポットを、苗木を地上に出した状態で地
中に埋設し、育樹用ポットの外周が外気に触れない状態
で苗木を育生して樹木にする方法、育樹用ポットを使わ
ずに圃場に直接苗木を植えて育樹させる方法(いわゆ
る、露地植え)などが挙げられる。一般的に、後2者の
方法は、前者の方法において育樹用ポット内の土壌だけ
では水分および栄養分が不足する場合に用いられるが、
これらの方法は、生産者が樹木の種類、育生期間などを
考慮して適切に選択して行なわれている。
【0005】一鉢の育樹用ポットに一本の苗木を植えて
育生する方法に用いられる育樹用ポットとしては、例え
ば、合成樹脂を溶融し、鉢状に成形したポリポットが挙
げられる。このポリポットを用いて苗木を育生して樹木
とし、この樹木をポリポットから取り出して地中に埋め
ることにより移植を行う。
育生する方法に用いられる育樹用ポットとしては、例え
ば、合成樹脂を溶融し、鉢状に成形したポリポットが挙
げられる。このポリポットを用いて苗木を育生して樹木
とし、この樹木をポリポットから取り出して地中に埋め
ることにより移植を行う。
【0006】この場合の苗木の育生場所の移動および移
植のための搬送においては、苗木または樹木を有するポ
リポットを運搬するだけですむので、簡単に行うことが
できるという利点がある。
植のための搬送においては、苗木または樹木を有するポ
リポットを運搬するだけですむので、簡単に行うことが
できるという利点がある。
【0007】しかし、上記のポリポットでは、ポリポッ
トの内面に到達するまで生長した苗木の根は、ポリポッ
トを貫通することができず、そしてポリポットの内面は
平滑性が高いので根の先端部が曲がり易い。さらに、こ
のようなポリポットは通気性が極めて低いため、ポリポ
ット内の土壌より蒸発した水分がポリポット外部に蒸散
することができず、ポリポット内面とポリポット内部の
土壌との間に結露が生じる。このため、ポリポットの内
面に到達した苗木の根がポリポットの内面に沿って伸長
し、いわゆる根回りが生じる。この根回りにより、ポリ
ポット内の根は太い主根が多くなる。苗木は、この主根
により水分や養分を吸収するため、育樹用ポット内には
細根が少なくなる。このため、根の発育不良が生じ、そ
して苗木の育生も優れず、樹木の移植時にも根付け不良
を生じやすい。また、このようなポリポットは、当然な
がら、地中に埋設して苗木を育生する方法には不適切で
ある。
トの内面に到達するまで生長した苗木の根は、ポリポッ
トを貫通することができず、そしてポリポットの内面は
平滑性が高いので根の先端部が曲がり易い。さらに、こ
のようなポリポットは通気性が極めて低いため、ポリポ
ット内の土壌より蒸発した水分がポリポット外部に蒸散
することができず、ポリポット内面とポリポット内部の
土壌との間に結露が生じる。このため、ポリポットの内
面に到達した苗木の根がポリポットの内面に沿って伸長
し、いわゆる根回りが生じる。この根回りにより、ポリ
ポット内の根は太い主根が多くなる。苗木は、この主根
により水分や養分を吸収するため、育樹用ポット内には
細根が少なくなる。このため、根の発育不良が生じ、そ
して苗木の育生も優れず、樹木の移植時にも根付け不良
を生じやすい。また、このようなポリポットは、当然な
がら、地中に埋設して苗木を育生する方法には不適切で
ある。
【0008】さらに、移植時にポリポットから樹木を取
り出す必要があり、労力を要するだけでなく、樹木を取
り出された使用後のポリポットは産業廃棄物となる問題
点があった。
り出す必要があり、労力を要するだけでなく、樹木を取
り出された使用後のポリポットは産業廃棄物となる問題
点があった。
【0009】このようなポリポットの欠点を解決するた
めに、特開昭57−94225号公報には合成繊維ウェ
ブを部分的な熱圧着により結合させることにより形成さ
れた不織布を用いた育樹用ポットが開示されている。特
開平8−56494号公報には、合成繊維のフェルトシ
ートを熱成形した育樹用ポットが開示されている。これ
らの公報は、本明細書に参考として援用される。
めに、特開昭57−94225号公報には合成繊維ウェ
ブを部分的な熱圧着により結合させることにより形成さ
れた不織布を用いた育樹用ポットが開示されている。特
開平8−56494号公報には、合成繊維のフェルトシ
ートを熱成形した育樹用ポットが開示されている。これ
らの公報は、本明細書に参考として援用される。
【0010】これらの不織布を用いた育樹用ポットは通
気性を有しているため、ポット内の土壌の水分が、不織
布を通過して外部に蒸散されるため、ポット内面に結露
することがない。さらに、このような育樹用ポットの内
面の平滑性が高くないので、育樹用ポットの内面に到達
するまで生長した根は、根回りを起こすことがなく、不
織布を貫通して外部に出ようとする。このため、育樹用
ポットを地中に埋設せず、地上に設置し、育樹用ポット
の外面が外気に触れる状態で苗木を育生すると、不織布
を貫通した根は、日光および空気にあたることにより枯
れてしまう。従って、育樹用ポット内で、新たに細根が
生じ、これが育樹用ポット内に広がり、発育が良好な苗
木が得られる。
気性を有しているため、ポット内の土壌の水分が、不織
布を通過して外部に蒸散されるため、ポット内面に結露
することがない。さらに、このような育樹用ポットの内
面の平滑性が高くないので、育樹用ポットの内面に到達
するまで生長した根は、根回りを起こすことがなく、不
織布を貫通して外部に出ようとする。このため、育樹用
ポットを地中に埋設せず、地上に設置し、育樹用ポット
の外面が外気に触れる状態で苗木を育生すると、不織布
を貫通した根は、日光および空気にあたることにより枯
れてしまう。従って、育樹用ポット内で、新たに細根が
生じ、これが育樹用ポット内に広がり、発育が良好な苗
木が得られる。
【0011】しかし、上記の育樹用ポットを地中に埋設
して育樹する場合、育樹用ポットの内面に到達するまで
生長した根は、上記の育樹用ポットに用いられる不織布
を貫通して外部にでるが、育樹用ポットの外部に出た根
に日光および空気があたることはほとんどないので、そ
のまま育生する。従って、この不織布を貫通して外部に
出た根は主根となり、そして苗木はこの主根により水分
や養分を吸収するため、育樹用ポット内には細根が少な
くなる。このため、根の発育不良が生じ、そして苗木の
育生が優れず、移植時には育樹用ポット外部に出た主根
を切る必要があり、根付け不良、根の活着の悪化などを
生じやすいという問題点があった。
して育樹する場合、育樹用ポットの内面に到達するまで
生長した根は、上記の育樹用ポットに用いられる不織布
を貫通して外部にでるが、育樹用ポットの外部に出た根
に日光および空気があたることはほとんどないので、そ
のまま育生する。従って、この不織布を貫通して外部に
出た根は主根となり、そして苗木はこの主根により水分
や養分を吸収するため、育樹用ポット内には細根が少な
くなる。このため、根の発育不良が生じ、そして苗木の
育生が優れず、移植時には育樹用ポット外部に出た主根
を切る必要があり、根付け不良、根の活着の悪化などを
生じやすいという問題点があった。
【0012】一方、育樹用ポットを地中に埋設して苗木
を育生させる方法においては、育樹用ポットの外部の土
壌から水分、養分などを苗木が吸収するために、約20
%の根が育樹用ポットの外部に貫通した状態が好まし
い。従って、地中に育樹用ポットを埋設して苗木を育生
する場合には、育樹用ポットを貫通する根を制御できる
育樹用ポットが望まれている。このような育樹用ポット
としては、合成繊維をニードルパンチにより不織布とし
た不織布を用いて、育樹用ポットを貫通する根を制御す
る育樹用ポットが挙げられる。このような育樹用ポット
は、例えば、米国特許第4,574,522号公報およ
び特開平8−252032号公報に開示されている。こ
れらの公報は、本明細書に参考として援用される。
を育生させる方法においては、育樹用ポットの外部の土
壌から水分、養分などを苗木が吸収するために、約20
%の根が育樹用ポットの外部に貫通した状態が好まし
い。従って、地中に育樹用ポットを埋設して苗木を育生
する場合には、育樹用ポットを貫通する根を制御できる
育樹用ポットが望まれている。このような育樹用ポット
としては、合成繊維をニードルパンチにより不織布とし
た不織布を用いて、育樹用ポットを貫通する根を制御す
る育樹用ポットが挙げられる。このような育樹用ポット
は、例えば、米国特許第4,574,522号公報およ
び特開平8−252032号公報に開示されている。こ
れらの公報は、本明細書に参考として援用される。
【0013】しかし、上記の育樹用ポットに用いられる
不織布は、代表的にはポリオレフィン繊維、ポリアミド
繊維などのような、微生物による生分解性を有していな
い合成繊維からなる必要がある。なぜなら、これらの育
樹用ポットにおいては、不織布を貫通した根が太く生長
しないよう、生分解性を有していない合成繊維からなる
不織布により、不織布を貫通した根を締め付けてその根
の生長を阻害することにより、育樹用ポットを貫通する
根を制御するためである。一方、環境保全、移植後の樹
木の活着の観点から、移植時には育樹用ポットを樹木か
ら外す必要がある。しかし、この育樹用ポットを樹木か
ら外すと、不織布に入り込んだ細根を取ってしまうこと
になり、さらに根の回りの土がとれてしまうので、根に
傷みが生じ、樹木の育生が優れず、このため樹木の活着
不良を起こし易い。これにより、移植時に育樹用ポット
を外す労力を要するだけでなく、移植時の根の活着が悪
くなるという問題点もある。
不織布は、代表的にはポリオレフィン繊維、ポリアミド
繊維などのような、微生物による生分解性を有していな
い合成繊維からなる必要がある。なぜなら、これらの育
樹用ポットにおいては、不織布を貫通した根が太く生長
しないよう、生分解性を有していない合成繊維からなる
不織布により、不織布を貫通した根を締め付けてその根
の生長を阻害することにより、育樹用ポットを貫通する
根を制御するためである。一方、環境保全、移植後の樹
木の活着の観点から、移植時には育樹用ポットを樹木か
ら外す必要がある。しかし、この育樹用ポットを樹木か
ら外すと、不織布に入り込んだ細根を取ってしまうこと
になり、さらに根の回りの土がとれてしまうので、根に
傷みが生じ、樹木の育生が優れず、このため樹木の活着
不良を起こし易い。これにより、移植時に育樹用ポット
を外す労力を要するだけでなく、移植時の根の活着が悪
くなるという問題点もある。
【0014】移植時の育樹用ポットの取外しを軽減する
ために、レーヨン繊維およびウール繊維をベースにした
生分解性を有する不織布を用いた育樹用ポットが特開平
6−7039号公報に開示されており、ジュートのよう
な天然繊維の織布を用いた育苗ポットも使用されてい
る。
ために、レーヨン繊維およびウール繊維をベースにした
生分解性を有する不織布を用いた育樹用ポットが特開平
6−7039号公報に開示されており、ジュートのよう
な天然繊維の織布を用いた育苗ポットも使用されてい
る。
【0015】しかし、これらの天然繊維をベースにした
育樹用ポットは、特に地中に埋設すると急速に生分解す
るため、強度が低下する。従って、移植のための掘り出
し作業、運搬作業などの間に破れが生じ、根の回りの土
が取れてしまい、上記と同様に細根が切れたりしてしま
うという問題もあった。さらに、育樹用ポットの内面に
到達するまで育生した根の全てが、育樹用ポットを貫通
してしまう問題点があった。
育樹用ポットは、特に地中に埋設すると急速に生分解す
るため、強度が低下する。従って、移植のための掘り出
し作業、運搬作業などの間に破れが生じ、根の回りの土
が取れてしまい、上記と同様に細根が切れたりしてしま
うという問題もあった。さらに、育樹用ポットの内面に
到達するまで育生した根の全てが、育樹用ポットを貫通
してしまう問題点があった。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記問
題点を解決するために鋭意研究した結果、育樹用ポット
に用いられる生分解性不織布の空隙率、通気度、最大孔
径、平均孔径などを特定の範囲に調整することによっ
て、苗木の養成時にその根の育生を阻害せず、育樹用ポ
ット内での根回りを防止し、そして育樹用ポットを地中
に埋設した場合に、育樹用ポットを貫通する根の育生を
制御することができることに着目し、さらに移植時には
熟練を要する根巻き作業および育樹用ポットから苗木を
取り出す植え替え作業を必要とせず、大幅な労力の軽減
がはかれることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、育生期の苗木の根を適切に
育生させることができ、さらに運搬時、移植時などに、
熟練を要する根巻き作業、育樹用ポットの取り外し作業
などを必要とせず、移植時の労力を大幅に軽減できる育
樹用ポットを提供することにある。
題点を解決するために鋭意研究した結果、育樹用ポット
に用いられる生分解性不織布の空隙率、通気度、最大孔
径、平均孔径などを特定の範囲に調整することによっ
て、苗木の養成時にその根の育生を阻害せず、育樹用ポ
ット内での根回りを防止し、そして育樹用ポットを地中
に埋設した場合に、育樹用ポットを貫通する根の育生を
制御することができることに着目し、さらに移植時には
熟練を要する根巻き作業および育樹用ポットから苗木を
取り出す植え替え作業を必要とせず、大幅な労力の軽減
がはかれることも見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、育生期の苗木の根を適切に
育生させることができ、さらに運搬時、移植時などに、
熟練を要する根巻き作業、育樹用ポットの取り外し作業
などを必要とせず、移植時の労力を大幅に軽減できる育
樹用ポットを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明に係る生分解性育樹用ポットは、熱可塑性生
分解性脂肪族ポリエステル系重合体からなる生分解性合
成繊維を含む不織布からなる側面部および底面部から構
成される生分解性育樹用ポットにおいて、上記不織布の
空隙率が50%〜85%であり、上記不織布の通気度が
0.50cc/cm2/sec〜100cc/cm2/s
ecであり、上記不織布の最大孔径が30μm〜100
μmであり、そして上記不織布の平均孔径が5.0μm
〜35μmであることを特徴とした。
め、本発明に係る生分解性育樹用ポットは、熱可塑性生
分解性脂肪族ポリエステル系重合体からなる生分解性合
成繊維を含む不織布からなる側面部および底面部から構
成される生分解性育樹用ポットにおいて、上記不織布の
空隙率が50%〜85%であり、上記不織布の通気度が
0.50cc/cm2/sec〜100cc/cm2/s
ecであり、上記不織布の最大孔径が30μm〜100
μmであり、そして上記不織布の平均孔径が5.0μm
〜35μmであることを特徴とした。
【0018】1つの実施態様において、上記不織布の針
貫通強度は50.0gf〜500gfであり得る。
貫通強度は50.0gf〜500gfであり得る。
【0019】1つの実施態様において、上記熱可塑性生
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、脂肪族ジオール
またはその誘導体の残基と、脂肪族ジカルボン酸または
その誘導体の残基とを含み得る。
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、脂肪族ジオール
またはその誘導体の残基と、脂肪族ジカルボン酸または
その誘導体の残基とを含み得る。
【0020】1つの実施態様において、上記熱可塑性生
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、ウレタン結合を
含み得る。
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、ウレタン結合を
含み得る。
【0021】1つの実施態様において、上記熱可塑性生
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、ウレタン結合を
含むポリブチレンサクシネート重合体であり得る。
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、ウレタン結合を
含むポリブチレンサクシネート重合体であり得る。
【0022】1つの実施態様において、上記熱可塑性生
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、ポリ乳酸重合体
であり得る。
分解性脂肪族ポリエステル系重合体は、ポリ乳酸重合体
であり得る。
【0023】1つの実施態様において、上記生分解性育
樹用ポットを縫製するために用いられる糸は、熱可塑性
生分解性脂肪族ポリエステル系重合体を含み得る。
樹用ポットを縫製するために用いられる糸は、熱可塑性
生分解性脂肪族ポリエステル系重合体を含み得る。
【0024】1つの実施態様において、上記不織布はポ
リビニルアルコール重合体を5.0g/m2〜40g/
m2の範囲で含有し、そして上記不織布の単位幅当たり
の曲げ剛性は2gf・cm2/cm以上であり得る。
リビニルアルコール重合体を5.0g/m2〜40g/
m2の範囲で含有し、そして上記不織布の単位幅当たり
の曲げ剛性は2gf・cm2/cm以上であり得る。
【0025】
A.不織布について A.1. 空隙率について 本発明に係る生分解性育樹用ポットに用いられる不織布
の空隙率は50%以上85%以下であることが必要であ
り、好ましくは55%以上82%以下の範囲であり、よ
り好ましくは65%以上80%以下である。
の空隙率は50%以上85%以下であることが必要であ
り、好ましくは55%以上82%以下の範囲であり、よ
り好ましくは65%以上80%以下である。
【0026】本明細書において用いられる用語「空隙
率」は、不織布中における繊維以外の空間が不織布全体
に対して占有する比率を指す。「空隙率」は、以下の数
式(1)より算出され、根が不織布を貫通するための空
間を表す指標であり、以下、本明細書中においては単に
「V」と表記される場合がある: 空隙率(%): V=(1−W/T/ρ)×100 (1) ここで、WはJIS L 1906に従って測定した不
織布の単位面積あたりの質量(単位:g/m2)であ
り、TはJIS L 1906に従って測定した不織布
の厚さ(単位:μm)であり、そしてρは不織布中の合
成繊維の密度(単位:g/cm3)である。
率」は、不織布中における繊維以外の空間が不織布全体
に対して占有する比率を指す。「空隙率」は、以下の数
式(1)より算出され、根が不織布を貫通するための空
間を表す指標であり、以下、本明細書中においては単に
「V」と表記される場合がある: 空隙率(%): V=(1−W/T/ρ)×100 (1) ここで、WはJIS L 1906に従って測定した不
織布の単位面積あたりの質量(単位:g/m2)であ
り、TはJIS L 1906に従って測定した不織布
の厚さ(単位:μm)であり、そしてρは不織布中の合
成繊維の密度(単位:g/cm3)である。
【0027】空隙率が50%未満である場合は、不織布
中の空間が少なく、育樹用ポットの内面まで生長した根
のほとんどが不織布を貫通することができなくなる。こ
のため、育樹用ポットを地中に埋設した場合には、根回
りが発生し、苗木の育生に悪影響を与える。従って、土
壌を入れ、苗木を植えた育樹用ポットを地中に埋設して
も、苗木の育生が不十分となってしまうので、不適切で
ある。
中の空間が少なく、育樹用ポットの内面まで生長した根
のほとんどが不織布を貫通することができなくなる。こ
のため、育樹用ポットを地中に埋設した場合には、根回
りが発生し、苗木の育生に悪影響を与える。従って、土
壌を入れ、苗木を植えた育樹用ポットを地中に埋設して
も、苗木の育生が不十分となってしまうので、不適切で
ある。
【0028】一方、空隙率が85%を超える場合には、
露地植えした育樹用ポットの内面に到達するまで育生し
た根のほとんど全てが不織布を貫通して主根となるの
で、移植時に主根を切る必要があり、結果的に根付きが
悪くなるため、不適切である。
露地植えした育樹用ポットの内面に到達するまで育生し
た根のほとんど全てが不織布を貫通して主根となるの
で、移植時に主根を切る必要があり、結果的に根付きが
悪くなるため、不適切である。
【0029】A.2. 通気度について 本発明に係る生分解性育樹用ポットに用いられる不織布
の通気度は0.50cc/cm2/sec以上100c
c/cm2/sec以下であることが必要であり、好ま
しくは20cc/cm2/sec以上75cc/cm2/
sec以下であり、より好ましくは30cc/cm2/
sec以上55cc/cm2/秒以下である。
の通気度は0.50cc/cm2/sec以上100c
c/cm2/sec以下であることが必要であり、好ま
しくは20cc/cm2/sec以上75cc/cm2/
sec以下であり、より好ましくは30cc/cm2/
sec以上55cc/cm2/秒以下である。
【0030】本明細書において用いられる用語「通気
度」とは、不織布表面の開孔面積を表し、不織布表面に
存在する開孔の大きさおよび数に影響される指標であ
る。「通気度」は、JIS L 1096(A法)に準
じて測定され、測定には、例えば、フラジール型試験機
(東洋精機製作所社製)が用いられ得る。
度」とは、不織布表面の開孔面積を表し、不織布表面に
存在する開孔の大きさおよび数に影響される指標であ
る。「通気度」は、JIS L 1096(A法)に準
じて測定され、測定には、例えば、フラジール型試験機
(東洋精機製作所社製)が用いられ得る。
【0031】不織布の通気度が0.50cc/cm2/
sec未満である場合には、育樹用ポットの内面に到達
するまで育生した根が不織布を貫通するための開孔が小
さいか、または開孔の数が少ないため、根回りが発生
し、苗木の育生に悪影響を与える。従って、育樹用ポッ
トの内面を貫通する根が少なくなり、育樹用ポットを地
中に埋設しても、苗木の育生が不十分となるので不適切
である。
sec未満である場合には、育樹用ポットの内面に到達
するまで育生した根が不織布を貫通するための開孔が小
さいか、または開孔の数が少ないため、根回りが発生
し、苗木の育生に悪影響を与える。従って、育樹用ポッ
トの内面を貫通する根が少なくなり、育樹用ポットを地
中に埋設しても、苗木の育生が不十分となるので不適切
である。
【0032】一方、通気度が100cc/cm2/秒を
超える場合には、育樹用ポットの内面に到達するまで育
生した根のほとんど全てが不織布を貫通して主根となる
ため、細根が少なくなり、さらに移植時に主根を切る必
要があり、根の活着が悪くなるので不適切である。
超える場合には、育樹用ポットの内面に到達するまで育
生した根のほとんど全てが不織布を貫通して主根となる
ため、細根が少なくなり、さらに移植時に主根を切る必
要があり、根の活着が悪くなるので不適切である。
【0033】A.3. 不織布の最大孔径 本発明に係る生分解性育樹用ポットに用いられる不織布
の表面に存在する開孔の最大孔径(本明細書中において
は、単に「不織布の最大孔径」という場合がある)は、
30μm以上100μm以下である必要があり、好まし
くは40μm以上80μm以下であり、より好ましくは
60μm以上75μm以下である。
の表面に存在する開孔の最大孔径(本明細書中において
は、単に「不織布の最大孔径」という場合がある)は、
30μm以上100μm以下である必要があり、好まし
くは40μm以上80μm以下であり、より好ましくは
60μm以上75μm以下である。
【0034】不織布の最大孔径は、ASTM(アメリカ
材料試験協会)F316−86(バブルポイント法)に
準じて測定される。より詳細には、「不織布の最大孔
径」は、不織布に存在するある孔に満ちている液体が、
空気に追い出されて空気が不織布を通過して流れた場合
の圧力および表面張力から、その孔の孔径(直径、単
位:μm、本明細書において単に「D」と表記する場合
がある)を以下の数式(2)によって算出し、孔径を算
出された孔のうち最も大きい孔の孔径を指す: 孔径(単位:μm) D=Cγ/P (2) ここで、γは液体の表面張力(液体:フレオンFC−4
0(du Pont社製)、16dyn/cm)であ
り、Pは液体を孔から押し出す空気の圧力(単位:Kg
/cm2)であり、Cは常数(2.918×10-3)で
ある。
材料試験協会)F316−86(バブルポイント法)に
準じて測定される。より詳細には、「不織布の最大孔
径」は、不織布に存在するある孔に満ちている液体が、
空気に追い出されて空気が不織布を通過して流れた場合
の圧力および表面張力から、その孔の孔径(直径、単
位:μm、本明細書において単に「D」と表記する場合
がある)を以下の数式(2)によって算出し、孔径を算
出された孔のうち最も大きい孔の孔径を指す: 孔径(単位:μm) D=Cγ/P (2) ここで、γは液体の表面張力(液体:フレオンFC−4
0(du Pont社製)、16dyn/cm)であ
り、Pは液体を孔から押し出す空気の圧力(単位:Kg
/cm2)であり、Cは常数(2.918×10-3)で
ある。
【0035】不織布の最大孔径が30μm未満である場
合には、不織布の通気度が0.50cc/cm2/se
c未満である場合と同様の理由により、不適切である。
同様に、不織布の最大孔径が100μmを超える場合に
は、不織布の通気度が100cc/cm2/secを超
える場合と同様の理由により、不適切である。
合には、不織布の通気度が0.50cc/cm2/se
c未満である場合と同様の理由により、不適切である。
同様に、不織布の最大孔径が100μmを超える場合に
は、不織布の通気度が100cc/cm2/secを超
える場合と同様の理由により、不適切である。
【0036】A.4. 不織布の平均孔径 本発明に係る生分解性育樹用ポットに用いられる不織布
の表面に存在する開孔の孔径の平均値(本明細書中にお
いては、単に「不織布の平均孔径」という場合がある)
は、5.0μm以上35μm以下である必要があり、好
ましくは10μm以上35μm以下であり、より好まし
くは25μm以上35μm以下である。
の表面に存在する開孔の孔径の平均値(本明細書中にお
いては、単に「不織布の平均孔径」という場合がある)
は、5.0μm以上35μm以下である必要があり、好
ましくは10μm以上35μm以下であり、より好まし
くは25μm以上35μm以下である。
【0037】不織布の平均孔径は、上記の式(2)と同
様に孔径を算出された孔の孔径の平均値である。
様に孔径を算出された孔の孔径の平均値である。
【0038】不織布の平均孔径が5.0μm未満である
場合には、不織布の通気度が0.50cc/cm2/s
ec未満である場合と同様の理由により、不適切であ
る。同様に、不織布の平均孔径が35μmを超える場合
には、不織布の通気度が100cc/cm2/secを
超える場合と同様の理由により、不適切である。
場合には、不織布の通気度が0.50cc/cm2/s
ec未満である場合と同様の理由により、不適切であ
る。同様に、不織布の平均孔径が35μmを超える場合
には、不織布の通気度が100cc/cm2/secを
超える場合と同様の理由により、不適切である。
【0039】A.5. 生分解性合成繊維 本発明に係る生分解性育樹用ポットに用いられる不織布
は、熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合体(以
下、単に「ポリエステル系重合体」という場合がある)
からなる生分解性合成繊維を含む。
は、熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合体(以
下、単に「ポリエステル系重合体」という場合がある)
からなる生分解性合成繊維を含む。
【0040】本明細書において用いられる用語「ポリエ
ステル系重合体」とは、少なくとも2つのエステル結合
を有するポリマーを指す。すなわち、「ポリエステル系
重合体」は、ジオール(好ましくは、1,4−ブタンジ
オール)とジカルボン酸(好ましくは、コハク酸)とが
脱水することにより形成され、以下の化学式(1)で表
されるエステル結合を少なくとも2つ、鎖中に含むポリ
マーである:
ステル系重合体」とは、少なくとも2つのエステル結合
を有するポリマーを指す。すなわち、「ポリエステル系
重合体」は、ジオール(好ましくは、1,4−ブタンジ
オール)とジカルボン酸(好ましくは、コハク酸)とが
脱水することにより形成され、以下の化学式(1)で表
されるエステル結合を少なくとも2つ、鎖中に含むポリ
マーである:
【0041】
【化1】 。
【0042】上記の化学式(1)において、R1および
R2は、それぞれ飽和または不飽和の、置換または非置
換の炭化水素基であり、生分解性および反応性の観点か
ら、R 1およびR2は、それぞれ飽和非置換のアルキレン
基であることが好ましい。R1は−(CH2)4−である
ことがより好ましく、そしてR2は−(CH2)2−であ
ることがより好ましい。
R2は、それぞれ飽和または不飽和の、置換または非置
換の炭化水素基であり、生分解性および反応性の観点か
ら、R 1およびR2は、それぞれ飽和非置換のアルキレン
基であることが好ましい。R1は−(CH2)4−である
ことがより好ましく、そしてR2は−(CH2)2−であ
ることがより好ましい。
【0043】ポリエステル系重合体は、生分解性の観点
から、複数のエステル結合を有するポリマーであること
が好ましい。生分解性を失わない限り、このポリマーに
はエステル結合以外にも他の結合が存在してもよい。こ
のようなエステル結合以外に生分解性の観点から存在が
許容される結合としては、例えば、ウレタン結合が挙げ
られ、ウレタン結合を有するポリエステル系重合体とし
ては、ポリブチレンサクシネート重合体にさらにヘキサ
メチレンジイソシアネートを添加させて形成される重合
体が挙げられる(特開平5−287043号公報を参照
のこと。その明細書は本明細書において参考として援用
される)。
から、複数のエステル結合を有するポリマーであること
が好ましい。生分解性を失わない限り、このポリマーに
はエステル結合以外にも他の結合が存在してもよい。こ
のようなエステル結合以外に生分解性の観点から存在が
許容される結合としては、例えば、ウレタン結合が挙げ
られ、ウレタン結合を有するポリエステル系重合体とし
ては、ポリブチレンサクシネート重合体にさらにヘキサ
メチレンジイソシアネートを添加させて形成される重合
体が挙げられる(特開平5−287043号公報を参照
のこと。その明細書は本明細書において参考として援用
される)。
【0044】上記のポリエステル系重合体としては、上
記のように、ポリブチレンサクシネート重合体にさらに
ヘキサメチレンジイソシアネートを添加させて形成され
る重合体の他に、ポリ乳酸重合体が挙げられる。本明細
書において用いられる用語「ポリ乳酸重合体」とは、少
なくとも以下の化学式(2)で表される乳酸残基を有
し、そして少なくとも2つのエステル結合を有するポリ
マーを指す:
記のように、ポリブチレンサクシネート重合体にさらに
ヘキサメチレンジイソシアネートを添加させて形成され
る重合体の他に、ポリ乳酸重合体が挙げられる。本明細
書において用いられる用語「ポリ乳酸重合体」とは、少
なくとも以下の化学式(2)で表される乳酸残基を有
し、そして少なくとも2つのエステル結合を有するポリ
マーを指す:
【0045】
【化2】 。
【0046】ポリ乳酸重合体は、生分解性の観点から複
数のエステル結合を有することが好ましい。ポリ乳酸重
合体としては、生分解性を有する限り特に限定されない
が、複数のエステル結合を有し、さらにL−乳酸残基ま
たはD−乳酸残基を70%モル以上含有するポリ乳酸重
合体(特開平7−48769号公報などを参照のこと。
その明細書は本明細書において参考として援用される)
が好ましい。
数のエステル結合を有することが好ましい。ポリ乳酸重
合体としては、生分解性を有する限り特に限定されない
が、複数のエステル結合を有し、さらにL−乳酸残基ま
たはD−乳酸残基を70%モル以上含有するポリ乳酸重
合体(特開平7−48769号公報などを参照のこと。
その明細書は本明細書において参考として援用される)
が好ましい。
【0047】本発明に係る育樹用ポットを得るために
は、上記において詳細に説明されたポリエステル系重合
体からなる生分解性合成繊維をシート状にした不織布を
準備する。このような不織布の準備方法としては、特に
限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられ
る。
は、上記において詳細に説明されたポリエステル系重合
体からなる生分解性合成繊維をシート状にした不織布を
準備する。このような不織布の準備方法としては、特に
限定されないが、例えば、以下のような方法が挙げられ
る。
【0048】まず、生分解性樹脂を加熱溶融して、次い
でオリフィスから押出紡糸し、紡出されたフィラメント
を延伸しながら引き取り、生分解性合成繊維を作製す
る。次いで、作製された生分解性繊維を支持体上に堆積
し、次いで繊維同士を熱融着させて不織布を作成する。
でオリフィスから押出紡糸し、紡出されたフィラメント
を延伸しながら引き取り、生分解性合成繊維を作製す
る。次いで、作製された生分解性繊維を支持体上に堆積
し、次いで繊維同士を熱融着させて不織布を作成する。
【0049】B. 針貫通強度について 本発明に係る生分解性育樹用ポットに用いられる不織布
の針貫通強度は50gf以上500gf以下であること
が好ましく、より好ましくは200gf以上410gf
以下の範囲であり、さらにより好ましくは230gf以
上310gf以下である。
の針貫通強度は50gf以上500gf以下であること
が好ましく、より好ましくは200gf以上410gf
以下の範囲であり、さらにより好ましくは230gf以
上310gf以下である。
【0050】本明細書において用いられる用語「針貫通
強度」は、直径1.0mmの市販刺繍針(No.3号
針)を万能試験機(形式:ストログラフV1B、東洋精
機社製)に装着し、速度50mm/minでその針を不
織布に向けて針と不織布とが垂直になった状態で移動さ
せ、針の先端が不織布に接触してから針の最大径部分が
不織布を貫通する間に示される最大強度gf(gram forc
e)を不織布の異なる20カ所について測定を行い、その
平均値を四捨五入した値を指す。
強度」は、直径1.0mmの市販刺繍針(No.3号
針)を万能試験機(形式:ストログラフV1B、東洋精
機社製)に装着し、速度50mm/minでその針を不
織布に向けて針と不織布とが垂直になった状態で移動さ
せ、針の先端が不織布に接触してから針の最大径部分が
不織布を貫通する間に示される最大強度gf(gram forc
e)を不織布の異なる20カ所について測定を行い、その
平均値を四捨五入した値を指す。
【0051】針貫通強度が50gf未満である場合に
は、不織布の空隙率、通気度、孔径などが小さくても、
ポット内壁に到達するまで生長した根の先端が、不織布
を構成する繊維を押し広げて不織布を貫通して育生し、
主根となる傾向が高くなる。従って、育樹用ポット内の
細根が少なくなり、移植時に主根を切る必要があり、こ
れにより根の活着が悪くなる場合がある。
は、不織布の空隙率、通気度、孔径などが小さくても、
ポット内壁に到達するまで生長した根の先端が、不織布
を構成する繊維を押し広げて不織布を貫通して育生し、
主根となる傾向が高くなる。従って、育樹用ポット内の
細根が少なくなり、移植時に主根を切る必要があり、こ
れにより根の活着が悪くなる場合がある。
【0052】一方、針貫通強度が500gfを超える場
合には、不織布の空隙率、通気度、孔径などが大きくて
も、ポット内壁に到達するまで生長した根が不織布を貫
通しにくくなるため、育樹用ポットを地中に埋設しても
苗木の育生が不十分となる場合がある。
合には、不織布の空隙率、通気度、孔径などが大きくて
も、ポット内壁に到達するまで生長した根が不織布を貫
通しにくくなるため、育樹用ポットを地中に埋設しても
苗木の育生が不十分となる場合がある。
【0053】C.ポリビニルアルコール重合体 本発明に用いられる不織布の剛性を向上させ、不織布を
加工して育樹用ポットを形成する際に加工性を向上させ
ること、および育樹用ポットを形成した後の育樹用ポッ
トの自立性および保形性を向上させるという観点から、
不織布はポリビニルアルコール重合体(本明細書中にお
いて、単に「PVA重合体」という場合がある)を含有
することが好ましい。
加工して育樹用ポットを形成する際に加工性を向上させ
ること、および育樹用ポットを形成した後の育樹用ポッ
トの自立性および保形性を向上させるという観点から、
不織布はポリビニルアルコール重合体(本明細書中にお
いて、単に「PVA重合体」という場合がある)を含有
することが好ましい。
【0054】本明細書において用いられる用語「ポリビ
ニルアルコール重合体」とは、少なくとも以下の化学式
(3)で表される部分を鎖中に有し、そして少なくとも
2つの水酸基を有するポリマーを指す。
ニルアルコール重合体」とは、少なくとも以下の化学式
(3)で表される部分を鎖中に有し、そして少なくとも
2つの水酸基を有するポリマーを指す。
【0055】
【化3】 。
【0056】C.1. 単位幅当たりの曲げ剛性 不織布がポリビニルアルコール重合体を含有する場合、
不織布の単位幅当たりの曲げ剛性は2gf・cm2/c
m以上である必要があり、4gf・cm2/cm以上で
あることが好ましく、5gf・cm2/cm以上である
ことがより好ましい。
不織布の単位幅当たりの曲げ剛性は2gf・cm2/c
m以上である必要があり、4gf・cm2/cm以上で
あることが好ましく、5gf・cm2/cm以上である
ことがより好ましい。
【0057】本明細書において用いられる用語「単位幅
当たりの曲げ剛性」(本明細書において単に「B」と表
記する場合がある)は、純曲げ試験機(形式:KES−
FB2、カトーテック社製)を用い、サンプル寸法とし
て20cm×20cmのポリビニルアルコール重合体を
含有する不織布に、曲率増加速度0.5cm/secで
曲げ変形を加えた時の、曲率1cm-1から2cm-1の範
囲の単位面積当たりの曲げモーメントおよび曲率から、
以下の(3)式によって5枚の不織布の縦方向および横
方向それぞれについて算出した平均値を四捨五入した値
である: 単位幅当たりの曲げ剛性(単位:gf・cm2/cm) B=M/K (3) ここで、Mは単位面積当たりの曲げモーメント(単位:
gf・cm/cm)であり、Kは曲率(単位:cm-1)
である。
当たりの曲げ剛性」(本明細書において単に「B」と表
記する場合がある)は、純曲げ試験機(形式:KES−
FB2、カトーテック社製)を用い、サンプル寸法とし
て20cm×20cmのポリビニルアルコール重合体を
含有する不織布に、曲率増加速度0.5cm/secで
曲げ変形を加えた時の、曲率1cm-1から2cm-1の範
囲の単位面積当たりの曲げモーメントおよび曲率から、
以下の(3)式によって5枚の不織布の縦方向および横
方向それぞれについて算出した平均値を四捨五入した値
である: 単位幅当たりの曲げ剛性(単位:gf・cm2/cm) B=M/K (3) ここで、Mは単位面積当たりの曲げモーメント(単位:
gf・cm/cm)であり、Kは曲率(単位:cm-1)
である。
【0058】単位幅当たりの曲げ剛性が2gf・cm2
/cm未満の場合には、不織布の腰が弱くなり、不織布
を加工して育樹用ポットを形成しにくくなり、不織布を
加工して形成された育樹用ポットには自立性および保形
性がなくなる。従って、育樹用ポットに苗木を植える際
に、育樹用ポットが自重などにより形崩れが生じ、土壌
および苗木を育樹用ポット中に入れにくくなるので不適
切である。PVA重合体を含有する不織布からなる育樹
用ポットを使用する場合には、上記のように不織布の単
位幅当たりの曲げ剛性の値は2gf・cm2/cm以上
であれば実用上問題なく使用できる。なお、育樹用ポッ
トに加工した場合に自立性および保形性が高くなるの
で、単位幅当たりの曲げ剛性は高ければ高いほど好まし
いが、ポリビニルアルコール重合体の含有量を増やして
も単位幅当たりの曲げ剛性の値には上限値があり、その
値は20gf・cm2/cm程度である。
/cm未満の場合には、不織布の腰が弱くなり、不織布
を加工して育樹用ポットを形成しにくくなり、不織布を
加工して形成された育樹用ポットには自立性および保形
性がなくなる。従って、育樹用ポットに苗木を植える際
に、育樹用ポットが自重などにより形崩れが生じ、土壌
および苗木を育樹用ポット中に入れにくくなるので不適
切である。PVA重合体を含有する不織布からなる育樹
用ポットを使用する場合には、上記のように不織布の単
位幅当たりの曲げ剛性の値は2gf・cm2/cm以上
であれば実用上問題なく使用できる。なお、育樹用ポッ
トに加工した場合に自立性および保形性が高くなるの
で、単位幅当たりの曲げ剛性は高ければ高いほど好まし
いが、ポリビニルアルコール重合体の含有量を増やして
も単位幅当たりの曲げ剛性の値には上限値があり、その
値は20gf・cm2/cm程度である。
【0059】C.2. ポリビニルアルコール重合体の
含有量 不織布がポリビニルアルコール重合体を含有する場合、
不織布中のポリビニルアルコール重合体の含有量は5g
/m2以上40g/m2である必要があり、10g/m2
以上40g/m2以下であることが好ましく、10g/
m2以上40g/m2以下であることがより好ましい。
含有量 不織布がポリビニルアルコール重合体を含有する場合、
不織布中のポリビニルアルコール重合体の含有量は5g
/m2以上40g/m2である必要があり、10g/m2
以上40g/m2以下であることが好ましく、10g/
m2以上40g/m2以下であることがより好ましい。
【0060】ポリビニルアルコール重合体の含有量が5
g/m2未満である場合には、不織布中のポリビニルア
ルコール重合体の量が少ないので、不織布の剛性が向上
しないおそれがある。従って、このような不織布から育
樹用ポットに加工しても、自立性および保形性が不足す
る場合がある。
g/m2未満である場合には、不織布中のポリビニルア
ルコール重合体の量が少ないので、不織布の剛性が向上
しないおそれがある。従って、このような不織布から育
樹用ポットに加工しても、自立性および保形性が不足す
る場合がある。
【0061】一方、含有量が40g/m2を超える場合
には、不織布中のポリビニルアルコール重合体が目止め
剤となるため、空隙率、通気度、最大孔径、平均孔径な
どが上記の所望の範囲よりも小さくなってしまい、結果
的に育樹用ポットの性能が低下する傾向がある。更に、
不織布の単位当たりの曲げ剛性がその上限値(20gf
・cm2/cm)に到達するので、含有量の増加は不織
布の価格を上げるだけである。
には、不織布中のポリビニルアルコール重合体が目止め
剤となるため、空隙率、通気度、最大孔径、平均孔径な
どが上記の所望の範囲よりも小さくなってしまい、結果
的に育樹用ポットの性能が低下する傾向がある。更に、
不織布の単位当たりの曲げ剛性がその上限値(20gf
・cm2/cm)に到達するので、含有量の増加は不織
布の価格を上げるだけである。
【0062】ポリビニルアルコール重合体としては、公
知の任意のものが用いられ得るが、上記のように不織布
の剛性を向上させるという観点から、重合度が1500
以上で、けん化度が98.5モル%以上のものが好まし
い。また、ポリビニルアルコール重合体は比較的耐水性
が低いため、必要に応じて、耐水化剤(例えば、尿素樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、およびグリオキサ
ール)を添加しても良い。また、不織布にポリビニルア
ルコール重合体を含有させる方法としては、公知の任意
の方法が用いられ得るが、不織布をポリビニルアルコー
ル重合体を含有する液体に含浸させる方法が好ましい。
知の任意のものが用いられ得るが、上記のように不織布
の剛性を向上させるという観点から、重合度が1500
以上で、けん化度が98.5モル%以上のものが好まし
い。また、ポリビニルアルコール重合体は比較的耐水性
が低いため、必要に応じて、耐水化剤(例えば、尿素樹
脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、およびグリオキサ
ール)を添加しても良い。また、不織布にポリビニルア
ルコール重合体を含有させる方法としては、公知の任意
の方法が用いられ得るが、不織布をポリビニルアルコー
ル重合体を含有する液体に含浸させる方法が好ましい。
【0063】この生分解性を有する不織布には、必要に
応じて着色が行なわれ得る。育樹用ポットを地上に設置
して苗木を育生させる場合において、不織布が遮光性を
有さないと、側面近くの土に光が差し込み、育樹用ポッ
ト内壁まで根が十分に育生する事ができなくなる場合が
ある。着色のために用いられる色としては、特に限定さ
れないが、黒色もしくは茶色が好ましい。着色する方法
としては、特に限定されないが、繊維同士を熱融着して
不織布を形成する際に、顔料などを繊維と共に熱融着す
る方法、ポリビニルアルコール重合体を不織布に含浸さ
せる場合には、含浸液中に顔料などを添加する方法など
が挙げられる。
応じて着色が行なわれ得る。育樹用ポットを地上に設置
して苗木を育生させる場合において、不織布が遮光性を
有さないと、側面近くの土に光が差し込み、育樹用ポッ
ト内壁まで根が十分に育生する事ができなくなる場合が
ある。着色のために用いられる色としては、特に限定さ
れないが、黒色もしくは茶色が好ましい。着色する方法
としては、特に限定されないが、繊維同士を熱融着して
不織布を形成する際に、顔料などを繊維と共に熱融着す
る方法、ポリビニルアルコール重合体を不織布に含浸さ
せる場合には、含浸液中に顔料などを添加する方法など
が挙げられる。
【0064】D.ポット形成方法 このようにして準備した不織布を加工して育樹用ポット
を形成する。育樹用ポットの形状としては側面部と底面
部が一体となり上方に開口していれば特に限定されない
が、例えば、有底の筒体が挙げられる。このような育樹
用ポットは、例えば、上記不織布を底面部およびその周
囲の側面部を展開した形状に型抜きし、側面部を筒状に
して側面部同士を接合すると共に、側面部と底面部と接
合して育樹用ポットに組立加工することにより形成され
る。この側面部同士ならびに側面部と底面部の接合方法
については、特に限定されず、例えば、加熱加圧による
ヒートシール方法、ホットメルト接着剤による接着方
法、ステップルによる止め付け、縫製糸による縫合方法
などが挙げられる。縫製糸としては、合成繊維による縫
製糸であれば特に限定されないが、特に、上記不織布を
構成する熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合体
と同一の樹脂で構成された縫製糸を用いることが好まし
い。縫製方法としては、公知の任意のミシンにより縫合
する方法が用いられ得、特に限定されない。なお、縫製
糸として天然繊維(特に木綿、レーヨンなどのセルロー
ス系天然繊維)などからなる縫製糸を用いることは好ま
しくない。なぜなら、縫製糸として天然繊維を用いた場
合、不織布と比較して縫製糸の生分解速度が著しく速
く、特に、地中に育樹用ポットを埋設して用いた場合に
縫製糸のみが先に分解し、樹木の移植が困難となる場合
があるからである。
を形成する。育樹用ポットの形状としては側面部と底面
部が一体となり上方に開口していれば特に限定されない
が、例えば、有底の筒体が挙げられる。このような育樹
用ポットは、例えば、上記不織布を底面部およびその周
囲の側面部を展開した形状に型抜きし、側面部を筒状に
して側面部同士を接合すると共に、側面部と底面部と接
合して育樹用ポットに組立加工することにより形成され
る。この側面部同士ならびに側面部と底面部の接合方法
については、特に限定されず、例えば、加熱加圧による
ヒートシール方法、ホットメルト接着剤による接着方
法、ステップルによる止め付け、縫製糸による縫合方法
などが挙げられる。縫製糸としては、合成繊維による縫
製糸であれば特に限定されないが、特に、上記不織布を
構成する熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合体
と同一の樹脂で構成された縫製糸を用いることが好まし
い。縫製方法としては、公知の任意のミシンにより縫合
する方法が用いられ得、特に限定されない。なお、縫製
糸として天然繊維(特に木綿、レーヨンなどのセルロー
ス系天然繊維)などからなる縫製糸を用いることは好ま
しくない。なぜなら、縫製糸として天然繊維を用いた場
合、不織布と比較して縫製糸の生分解速度が著しく速
く、特に、地中に育樹用ポットを埋設して用いた場合に
縫製糸のみが先に分解し、樹木の移植が困難となる場合
があるからである。
【0065】上記で説明したように、本願発明は不織布
の空隙率、通気度、孔径などを特定の範囲に調整するこ
とによって、苗木の養成時に根の育生を阻害せず育樹用
ポット内での根回りが防止され、そして育樹用ポットを
地中に埋設して育生させる場合には、育樹用ポットの壁
を貫通する根を制御することができ、苗木の地上部の旺
盛な育生をすることができる。更に、特定の生分解性を
有する樹脂を用いた合成繊維で構成された不織布を用い
ることによって、移植時には運搬のための熟練を要する
根巻き作業やポットから苗木を取り出しての植え替え作
業を必要せず、大幅な労力を軽減することが可能であ
る。
の空隙率、通気度、孔径などを特定の範囲に調整するこ
とによって、苗木の養成時に根の育生を阻害せず育樹用
ポット内での根回りが防止され、そして育樹用ポットを
地中に埋設して育生させる場合には、育樹用ポットの壁
を貫通する根を制御することができ、苗木の地上部の旺
盛な育生をすることができる。更に、特定の生分解性を
有する樹脂を用いた合成繊維で構成された不織布を用い
ることによって、移植時には運搬のための熟練を要する
根巻き作業やポットから苗木を取り出しての植え替え作
業を必要せず、大幅な労力を軽減することが可能であ
る。
【0066】
【実施例】以下に実施例および参考実施例をあげて本発
明をより具体的に説明するが、これらは例示の目的にの
み用いられ、限定の目的に用いられてはならない。以下
の実施例、参考実施例および比較例において、重量に関
する「%」は特に別個に指示しない限り、「重量%」を
示す。
明をより具体的に説明するが、これらは例示の目的にの
み用いられ、限定の目的に用いられてはならない。以下
の実施例、参考実施例および比較例において、重量に関
する「%」は特に別個に指示しない限り、「重量%」を
示す。
【0067】(実施例1)メルトフローレートが32g
/10分のコハク酸と1,4−ブタンジオールの縮合に
よって形成されるポリブチレンサクシネート重合体に、
ヘキサメチレンジイソシアネートを添加して形成される
ウレタン結合を有する熱可塑性生分解性脂肪族ポリエス
テル系重合体(商品名:ビオノーレ1030、昭和高分
子社製、融点:115℃)を、溶融押出し紡糸機を用い
て190℃で加熱溶融し、紡糸用口金の微細孔から押出
し紡出し、紡出された連続長繊維フィラメント群をエジ
ェクターを用いて高速高圧エアーにより延伸しながら引
き取り、繊度が3.1デニールである長繊維を形成し
た。次いでこの長繊維を開繊した後、走行しているステ
ンレス金網からなる支持体上に捕集、堆積し、単位面積
当たりの質量が125g/m2であるウェブを形成し
た。
/10分のコハク酸と1,4−ブタンジオールの縮合に
よって形成されるポリブチレンサクシネート重合体に、
ヘキサメチレンジイソシアネートを添加して形成される
ウレタン結合を有する熱可塑性生分解性脂肪族ポリエス
テル系重合体(商品名:ビオノーレ1030、昭和高分
子社製、融点:115℃)を、溶融押出し紡糸機を用い
て190℃で加熱溶融し、紡糸用口金の微細孔から押出
し紡出し、紡出された連続長繊維フィラメント群をエジ
ェクターを用いて高速高圧エアーにより延伸しながら引
き取り、繊度が3.1デニールである長繊維を形成し
た。次いでこの長繊維を開繊した後、走行しているステ
ンレス金網からなる支持体上に捕集、堆積し、単位面積
当たりの質量が125g/m2であるウェブを形成し
た。
【0068】次いで、得られたウェブを、105℃に加
熱した凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入して加熱加
圧することにより、凹凸ロールの規則的に配列させた凸
部に対応する部分のウェブ中の連続長繊維フィラメント
相互間を熱融着させてスパンボンド不織布を作製した。
その融着部分は直径0.7mmの丸形で、スパンボンド
不織布全体に対する面積比は13%であった。
熱した凹凸ロールと平滑ロールとの間に導入して加熱加
圧することにより、凹凸ロールの規則的に配列させた凸
部に対応する部分のウェブ中の連続長繊維フィラメント
相互間を熱融着させてスパンボンド不織布を作製した。
その融着部分は直径0.7mmの丸形で、スパンボンド
不織布全体に対する面積比は13%であった。
【0069】得られたスパンボンド不織布(以下、単に
「不織布」という)にポリビニルアルコール重合体(商
品名:PVA−117、クラレ社製、重合度2050、
けん化度98.5モル%)を含浸法により含浸させた
後、乾燥した。不織布におけるポリビニルアルコール重
合体の単位面積当たりの含有量は20g/m2であっ
た。
「不織布」という)にポリビニルアルコール重合体(商
品名:PVA−117、クラレ社製、重合度2050、
けん化度98.5モル%)を含浸法により含浸させた
後、乾燥した。不織布におけるポリビニルアルコール重
合体の単位面積当たりの含有量は20g/m2であっ
た。
【0070】このようにして得られた不織布の空隙率な
どを、上記の定義に基づいて測定した。測定された空隙
率は75%、通気度は45.0cc/cm2/sec、
最大孔径は63μm、そして平均孔径は28μmであっ
た。さらに針貫通強度は300gfであり、そして単位
幅当たりの曲げ剛性は4.0gf・cm2/cmであっ
た。この空隙率などに関するデータを、他の実施例、参
考実施例および比較例において用いられた不織布の空隙
率に関するデータと共に、表1に示す。
どを、上記の定義に基づいて測定した。測定された空隙
率は75%、通気度は45.0cc/cm2/sec、
最大孔径は63μm、そして平均孔径は28μmであっ
た。さらに針貫通強度は300gfであり、そして単位
幅当たりの曲げ剛性は4.0gf・cm2/cmであっ
た。この空隙率などに関するデータを、他の実施例、参
考実施例および比較例において用いられた不織布の空隙
率に関するデータと共に、表1に示す。
【0071】次いで、得られた不織布をプレス機により
所定の大きさの形に打ち抜き、上記と同じ熱可塑性生分
解性脂肪族ポリエステル系重合体(商品名:ビオノーレ
1030、昭和高分子社製)を溶融押出紡糸して作製し
た30番手の糸を用いて縫製し、直径18cm、高さ1
8cmの育樹用ポット(以下、「育樹用ポット1」とい
う)、および直径30cm、高さ30cmの育樹用ポッ
ト(以下、「育樹用ポット2」という)の2種類の有底
筒状の育樹用ポットを作製した。
所定の大きさの形に打ち抜き、上記と同じ熱可塑性生分
解性脂肪族ポリエステル系重合体(商品名:ビオノーレ
1030、昭和高分子社製)を溶融押出紡糸して作製し
た30番手の糸を用いて縫製し、直径18cm、高さ1
8cmの育樹用ポット(以下、「育樹用ポット1」とい
う)、および直径30cm、高さ30cmの育樹用ポッ
ト(以下、「育樹用ポット2」という)の2種類の有底
筒状の育樹用ポットを作製した。
【0072】得られた2種類の育樹用ポットによる苗木
の育生状況を、下記の低木育樹試験および高中木育樹試
験により試験し、その品質を評価した。
の育生状況を、下記の低木育樹試験および高中木育樹試
験により試験し、その品質を評価した。
【0073】「低木育樹試験」試験圃場として、株式会
社阪中緑化資材の敷地内の圃場(和歌山県那賀郡桃山町
元:北緯34度14分、東経135度20分)を使用し
た。試験圃場の気象条件については、月別平均気温が
5.5℃〜27.6℃であり、月別平均降水量が39.
2mm〜212.8mmであり、月別月間日照時間が1
35時間〜228時間である(北緯34度14分、東経
135度10分、標高13.9mの測定地点における1
961〜1990年の平均値、国立天文台編1997年
度版理科年表より引用)。
社阪中緑化資材の敷地内の圃場(和歌山県那賀郡桃山町
元:北緯34度14分、東経135度20分)を使用し
た。試験圃場の気象条件については、月別平均気温が
5.5℃〜27.6℃であり、月別平均降水量が39.
2mm〜212.8mmであり、月別月間日照時間が1
35時間〜228時間である(北緯34度14分、東経
135度10分、標高13.9mの測定地点における1
961〜1990年の平均値、国立天文台編1997年
度版理科年表より引用)。
【0074】本試験には、低木常緑樹であるボックスウ
ッドが用いられた。このボックスウッドは、直径6cm
のポリポットに挿し木を行い12ヶ月育樹して、建設省
公共用緑化樹木品質寸法規格基準による樹高15cm、
葉張5cmになった苗木であり、この苗木を育樹用ポッ
ト1に植え替えて以下の試験を行った。試験育生期間を
18ヶ月とし、育生後の目標樹木寸法を樹高50cm、
葉張25cmとした。
ッドが用いられた。このボックスウッドは、直径6cm
のポリポットに挿し木を行い12ヶ月育樹して、建設省
公共用緑化樹木品質寸法規格基準による樹高15cm、
葉張5cmになった苗木であり、この苗木を育樹用ポッ
ト1に植え替えて以下の試験を行った。試験育生期間を
18ヶ月とし、育生後の目標樹木寸法を樹高50cm、
葉張25cmとした。
【0075】試験圃場内土:ピートモスが8:2の割合
となるよう前もって調整した用土を用い、20鉢の育樹
用ポット1内に用土を入れた後、上記ボックスウッドを
1鉢あたり1本ずつ植えた。次いで、各育樹用ポット1
を、圃場に前もって掘った直径20cm、深さ20cm
の穴にそれぞれ入れ、各育樹用ポット1を地中に埋設し
た。夏期(7月〜9月)に5回程度灌水したが、他の期
間は灌水を施さなかった。肥料としては市販の粒状化学
肥料を一回に3〜4粒/鉢で、3ヶ月毎に施した。ま
た、除草については、除草剤の散布は行わず、随時手で
抜いて除草した。
となるよう前もって調整した用土を用い、20鉢の育樹
用ポット1内に用土を入れた後、上記ボックスウッドを
1鉢あたり1本ずつ植えた。次いで、各育樹用ポット1
を、圃場に前もって掘った直径20cm、深さ20cm
の穴にそれぞれ入れ、各育樹用ポット1を地中に埋設し
た。夏期(7月〜9月)に5回程度灌水したが、他の期
間は灌水を施さなかった。肥料としては市販の粒状化学
肥料を一回に3〜4粒/鉢で、3ヶ月毎に施した。ま
た、除草については、除草剤の散布は行わず、随時手で
抜いて除草した。
【0076】育樹用ポット1へ苗木を植える場合の作業
性については、下記の評価基準(0点〜5点)に基づい
て判断および評価した。
性については、下記の評価基準(0点〜5点)に基づい
て判断および評価した。
【0077】(1)作業性 5点:自立性および保形性にすぐれ極めて作業しやす
い。 4点:自立性および保形性にすぐれ作業しやすい。 3点:自立性および保形性は普通であり、作業性も普通
である。 2点:自立性および保形性にやや劣り、作業性もやや劣
っている。 1点:自立性および保形性に劣り、作業がややし難い。 0点:自立性および保形性が悪く、作業し難い。
い。 4点:自立性および保形性にすぐれ作業しやすい。 3点:自立性および保形性は普通であり、作業性も普通
である。 2点:自立性および保形性にやや劣り、作業性もやや劣
っている。 1点:自立性および保形性に劣り、作業がややし難い。 0点:自立性および保形性が悪く、作業し難い。
【0078】18ヶ月間(1994年4月〜1995年
10月)育樹した後、育樹用ポット1の周囲の土壌を注
意深く掘りながら取り除き、地中より試験に供した全2
0鉢の育樹用ポット1を取り出した。
10月)育樹した後、育樹用ポット1の周囲の土壌を注
意深く掘りながら取り除き、地中より試験に供した全2
0鉢の育樹用ポット1を取り出した。
【0079】樹木の地上部の育生状態として、全20鉢
の育樹用ポット1に植えられた各樹木の樹高および葉張
を測定し、その平均値と上記目標樹木寸法(樹高50c
m、葉張25cm)との比率(%)を算出した。
の育樹用ポット1に植えられた各樹木の樹高および葉張
を測定し、その平均値と上記目標樹木寸法(樹高50c
m、葉張25cm)との比率(%)を算出した。
【0080】樹木の地中部の育生状態として、上記20
鉢の育樹用ポット1のうち、10鉢の育樹用ポット1を
取り外し、各10鉢のボックスウッドの根回り、根張状
態および根の貫通状況を、下記の評価基準(0点〜5
点)に基づいて目視で判断し、根回り、根張状態、およ
び根の貫通状況について各点数の合計点数(50点満
点)でそれぞれ評価した。合計点数が30点以上であれ
ば効果は認められ、合計点数が40点以上であれば非常
に効果が高いと評価した。
鉢の育樹用ポット1のうち、10鉢の育樹用ポット1を
取り外し、各10鉢のボックスウッドの根回り、根張状
態および根の貫通状況を、下記の評価基準(0点〜5
点)に基づいて目視で判断し、根回り、根張状態、およ
び根の貫通状況について各点数の合計点数(50点満
点)でそれぞれ評価した。合計点数が30点以上であれ
ば効果は認められ、合計点数が40点以上であれば非常
に効果が高いと評価した。
【0081】(2)根回り 5点:根回りは全く生じていない。 4点:根回りはほとんど生じていない。 3点:根回りは少し生じている。 2点:根回りが生じている。 1点:根回りがかなり著しく生じている。 0点:根回りが著しく生じている。
【0082】(3)ポット内の根張状態 5点:ポット内の細根育生状況は非常に旺盛である。 4点:ポット内の細根育生状況は旺盛である。 3点:ポット内の細根育生状況は普通である。 2点:ポット内の細根育生状況は少し劣っている。 1点:ポット内の細根育生状況は劣っている。 0点:ポット内の細根育生状況は不良である。
【0083】(4)根の貫通状況 5点:ポットを貫通している根は全体の約20%であ
る。 4点:ポットを貫通している根は全体の約10%もしく
は約30%である。 3点:ポットを貫通している根は全体の約40〜約60
%の範囲である。 2点:ポットを貫通している根は全体の約10%以下ま
たは約70〜約90%の範囲である。 1点:全ての根がポットを貫通している。 0点:ポットを貫通している根は認められない。
る。 4点:ポットを貫通している根は全体の約10%もしく
は約30%である。 3点:ポットを貫通している根は全体の約40〜約60
%の範囲である。 2点:ポットを貫通している根は全体の約10%以下ま
たは約70〜約90%の範囲である。 1点:全ての根がポットを貫通している。 0点:ポットを貫通している根は認められない。
【0084】上記18ヶ月育樹したボックスウッドの残
り育樹用ポット1(10鉢)については移植を行った。
育樹用ポットを貫通して育樹用ポット1の外部に出てい
る根の全てをポット外周壁に沿って剪定した後、上記圃
場に直径20cm、深さ20cmの穴を掘り、上記各1
0鉢の育樹用ポットを再度埋設して移植を行った。移植
後、6ヶ月育樹して、活着状況を確認した。活着状況と
して、上記全10鉢の樹高および葉張を測定してその平
均値と目標樹木寸法(目標樹木寸法:樹高60cm、葉
張30cm)との比率(%)で表した。
り育樹用ポット1(10鉢)については移植を行った。
育樹用ポットを貫通して育樹用ポット1の外部に出てい
る根の全てをポット外周壁に沿って剪定した後、上記圃
場に直径20cm、深さ20cmの穴を掘り、上記各1
0鉢の育樹用ポットを再度埋設して移植を行った。移植
後、6ヶ月育樹して、活着状況を確認した。活着状況と
して、上記全10鉢の樹高および葉張を測定してその平
均値と目標樹木寸法(目標樹木寸法:樹高60cm、葉
張30cm)との比率(%)で表した。
【0085】本実施例で得られた育生状況および活着状
況の各データを、他の実施例、参考実施例および比較例
において用いられた不織布の空隙率に関するデータと共
に、表2に示す。
況の各データを、他の実施例、参考実施例および比較例
において用いられた不織布の空隙率に関するデータと共
に、表2に示す。
【0086】「高中木育樹テスト」試験圃場として、低
木育樹テストと同様に株式会社阪中緑化資材の敷地内の
圃場(和歌山県那賀郡桃山町元:北緯34度14分、東
経135度20分)を使用した。
木育樹テストと同様に株式会社阪中緑化資材の敷地内の
圃場(和歌山県那賀郡桃山町元:北緯34度14分、東
経135度20分)を使用した。
【0087】本試験には、高中木常緑樹である欅(けや
き)が用いられた。この欅は、直径9cmのポリポット
に種蒔きを行い、次いで苗床で12ヶ月育樹して、建設
省公共用緑化樹木品質寸法規格基準による樹高70c
m、葉張15cmになった苗木であり、この苗木を育樹
用ポット2に植え替えて以下の試験を行った。試験育生
期間を24ヶ月とし、育生後の目標樹木寸法を樹高30
0cm、葉張200cm、幹径10cmとした。なお、
「幹径」とは、育樹用ポット内の土表面から120cm
の高さの欅の幹の直径を指す。
き)が用いられた。この欅は、直径9cmのポリポット
に種蒔きを行い、次いで苗床で12ヶ月育樹して、建設
省公共用緑化樹木品質寸法規格基準による樹高70c
m、葉張15cmになった苗木であり、この苗木を育樹
用ポット2に植え替えて以下の試験を行った。試験育生
期間を24ヶ月とし、育生後の目標樹木寸法を樹高30
0cm、葉張200cm、幹径10cmとした。なお、
「幹径」とは、育樹用ポット内の土表面から120cm
の高さの欅の幹の直径を指す。
【0088】試験圃場内土:ピートモスが8:2の割合
となるよう前もって調整した用土を用い、20鉢の育樹
用ポット2内に用土を入れた後、上記欅を1鉢あたり1
本ずつ植えた。次いで、各育樹用ポット2を、圃場に前
もって掘った直径40cm、深さ40cmの穴にそれぞ
れ入れ、各育樹用ポット2を地中に埋設した。夏期(7
月〜9月)に5回程度灌水したが、他の期間は灌水を施
さなかった。肥料としては市販の粒状化学肥料を一回に
3〜4粒/鉢で、3ヶ月毎に施した。また、除草につい
ては、除草剤の散布は行わず、随時手で抜いて除草し
た。
となるよう前もって調整した用土を用い、20鉢の育樹
用ポット2内に用土を入れた後、上記欅を1鉢あたり1
本ずつ植えた。次いで、各育樹用ポット2を、圃場に前
もって掘った直径40cm、深さ40cmの穴にそれぞ
れ入れ、各育樹用ポット2を地中に埋設した。夏期(7
月〜9月)に5回程度灌水したが、他の期間は灌水を施
さなかった。肥料としては市販の粒状化学肥料を一回に
3〜4粒/鉢で、3ヶ月毎に施した。また、除草につい
ては、除草剤の散布は行わず、随時手で抜いて除草し
た。
【0089】育樹用ポット2へ苗木を植える場合の作業
性については、低木育樹テストにおいて作業性について
用いられた評価基準(0点〜5点)に基づいて判断およ
び評価した。
性については、低木育樹テストにおいて作業性について
用いられた評価基準(0点〜5点)に基づいて判断およ
び評価した。
【0090】24ヶ月間(1994年4月〜1996年
4月)育樹した後、育樹用ポット2の周囲の土壌を注意
深く掘りながら取り除き、地中より試験に供した全20
鉢の育樹用ポット2を取り出した。
4月)育樹した後、育樹用ポット2の周囲の土壌を注意
深く掘りながら取り除き、地中より試験に供した全20
鉢の育樹用ポット2を取り出した。
【0091】樹木の地上部の育生状態として、全20鉢
の育樹用ポット2に植えられた各樹木の樹高、葉張、お
よび幹径を測定し、その平均値と上記目標樹木寸法(樹
高300cm、葉張200cm、幹径10cm)との比
率(%)を算出した。
の育樹用ポット2に植えられた各樹木の樹高、葉張、お
よび幹径を測定し、その平均値と上記目標樹木寸法(樹
高300cm、葉張200cm、幹径10cm)との比
率(%)を算出した。
【0092】樹木の地中部の育生状態として、上記20
鉢の育樹用ポット2のうち、10鉢の育樹用ポット2を
取り外し、各10鉢の欅の根回り、根張状態および根の
貫通状況を、低木育樹試験において用いられた評価基準
と同様の判断基準(0点〜5点)に基づいて目視で判断
し、根回り、根張状態、および根の貫通状況について各
点数の合計点数(50点満点)でそれぞれ評価した。合
計点数が30点以上であれば効果は認められ、合計点数
が40点以上であれば非常に効果が高いと評価した。
鉢の育樹用ポット2のうち、10鉢の育樹用ポット2を
取り外し、各10鉢の欅の根回り、根張状態および根の
貫通状況を、低木育樹試験において用いられた評価基準
と同様の判断基準(0点〜5点)に基づいて目視で判断
し、根回り、根張状態、および根の貫通状況について各
点数の合計点数(50点満点)でそれぞれ評価した。合
計点数が30点以上であれば効果は認められ、合計点数
が40点以上であれば非常に効果が高いと評価した。
【0093】上記24ヶ月育樹した欅の残り育樹用ポッ
ト2(10鉢)については、移植を行った。育樹用ポッ
トを貫通して育樹用ポット2の外部に出ている根の全て
をポット外周壁に沿って剪定した後、上記圃場に直径4
0cm、深さ40cmの穴を掘り、上記各10鉢の育樹
用ポットを再度埋設して移植を行った。移植後、6ヶ月
育樹して、活着状況を確認した。活着状況として、上記
全10鉢の樹高および葉張を測定してその平均値と目標
樹木寸法(目標樹木寸法:樹高330cm、葉張250
cm、幹径11cm)との比率(%)で表した。
ト2(10鉢)については、移植を行った。育樹用ポッ
トを貫通して育樹用ポット2の外部に出ている根の全て
をポット外周壁に沿って剪定した後、上記圃場に直径4
0cm、深さ40cmの穴を掘り、上記各10鉢の育樹
用ポットを再度埋設して移植を行った。移植後、6ヶ月
育樹して、活着状況を確認した。活着状況として、上記
全10鉢の樹高および葉張を測定してその平均値と目標
樹木寸法(目標樹木寸法:樹高330cm、葉張250
cm、幹径11cm)との比率(%)で表した。
【0094】本実施例で得られた育生状況および活着状
況の各データを、他の実施例、参考実施例および比較例
において用いられた不織布の空隙率に関するデータと共
に、表3に示す。
況の各データを、他の実施例、参考実施例および比較例
において用いられた不織布の空隙率に関するデータと共
に、表3に示す。
【0095】(実施例2)エジェクターの条件を変更す
ることによって長繊維の繊度を7.8デニールとし、そ
してウェブの単位面積当たりの質量を127g/m2と
したこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、P
VA重合体を20g/m2、含有させた。得られた不織
布の空隙率は82%であり、通気度は73.0cc/c
m2/secであり、最大孔径は79μmであり、平均
孔径は33μmであり、針貫通強度は211gfであ
り、そして単位幅当たりの曲げ弾性は5.3gf・cm
2/cmであった。次いで、糸を用いて縫製する代わり
に、100℃に設定したヒートシール機を用いたこと以
外は、実施例1と同様に育樹用ポットを作製した。得ら
れた育樹用ポットを実施例1と同様に低木育樹試験およ
び高中育樹試験に供し、その品質を評価した。
ることによって長繊維の繊度を7.8デニールとし、そ
してウェブの単位面積当たりの質量を127g/m2と
したこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、P
VA重合体を20g/m2、含有させた。得られた不織
布の空隙率は82%であり、通気度は73.0cc/c
m2/secであり、最大孔径は79μmであり、平均
孔径は33μmであり、針貫通強度は211gfであ
り、そして単位幅当たりの曲げ弾性は5.3gf・cm
2/cmであった。次いで、糸を用いて縫製する代わり
に、100℃に設定したヒートシール機を用いたこと以
外は、実施例1と同様に育樹用ポットを作製した。得ら
れた育樹用ポットを実施例1と同様に低木育樹試験およ
び高中育樹試験に供し、その品質を評価した。
【0096】(実施例3)エジェクターの条件を変更す
ることによって長繊維の繊度を2.5デニールとし、そ
してウェブの単位面積当たりの質量を123g/m2と
したこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、P
VA重合体を40g/m2、含有させた。得られた不織
布の空隙率は55%であり、通気度は21.0cc/c
m2/secであり、最大孔径は41μmであり、平均
孔径は12μmであり、針貫通強度は405gfであ
り、そして単位幅当たりの曲げ弾性は15.0gf・c
m2/cmであった。次いで、糸を用いて縫製する代わ
りに、ステップル針(商品名:ステープラ綴針No.2
3、ライオン事務器社製)を用いたこと以外は、実施例
1と同様に育樹用ポットを作製した。得られた育樹用ポ
ットを実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試
験に供し、その品質を評価した。
ることによって長繊維の繊度を2.5デニールとし、そ
してウェブの単位面積当たりの質量を123g/m2と
したこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、P
VA重合体を40g/m2、含有させた。得られた不織
布の空隙率は55%であり、通気度は21.0cc/c
m2/secであり、最大孔径は41μmであり、平均
孔径は12μmであり、針貫通強度は405gfであ
り、そして単位幅当たりの曲げ弾性は15.0gf・c
m2/cmであった。次いで、糸を用いて縫製する代わ
りに、ステップル針(商品名:ステープラ綴針No.2
3、ライオン事務器社製)を用いたこと以外は、実施例
1と同様に育樹用ポットを作製した。得られた育樹用ポ
ットを実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試
験に供し、その品質を評価した。
【0097】(実施例4)エジェクターの条件を変更す
ることによって繊度を4.5デニールとしたこと以外は
実施例1と同様に長繊維を形成した。この長繊維を巻き
取った後、開繊して繊維長が25.4mmである短繊維
を作製した。次いで、この短繊維をカード機にかけ、単
位面積当たりの質量が124g/m2であるウェブを形
成した。次いで、融着部分の直径を0.6mmとし、そ
して融着部分の不織布に対する面積比を10%としたこ
と以外は、実施例1と同様に不織布(カードエンボス不
織布)を作製し、PVA重合体を20g/m2、含有さ
せた。得られた不織布の空隙率は79%であり、通気度
は53.0cc/cm2/secであり、最大孔径は6
7μmであり、平均孔径は27μmであり、針貫通強度
は231gfであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は
2.3gf・cm2/cmであった。次いで、この不織
布を用いて実施例1と同様に育樹用ポットを作製し、得
られた育樹用ポットを実施例1と同様に低木育樹試験お
よび高中育樹試験に供し、その品質を評価した。
ることによって繊度を4.5デニールとしたこと以外は
実施例1と同様に長繊維を形成した。この長繊維を巻き
取った後、開繊して繊維長が25.4mmである短繊維
を作製した。次いで、この短繊維をカード機にかけ、単
位面積当たりの質量が124g/m2であるウェブを形
成した。次いで、融着部分の直径を0.6mmとし、そ
して融着部分の不織布に対する面積比を10%としたこ
と以外は、実施例1と同様に不織布(カードエンボス不
織布)を作製し、PVA重合体を20g/m2、含有さ
せた。得られた不織布の空隙率は79%であり、通気度
は53.0cc/cm2/secであり、最大孔径は6
7μmであり、平均孔径は27μmであり、針貫通強度
は231gfであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は
2.3gf・cm2/cmであった。次いで、この不織
布を用いて実施例1と同様に育樹用ポットを作製し、得
られた育樹用ポットを実施例1と同様に低木育樹試験お
よび高中育樹試験に供し、その品質を評価した。
【0098】(実施例5)メルトフローレートが32g
/10分の熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合
体(商品名:ビオノーレ1030、昭和高分子社製)に
代えて、メルトフローレートが15g/10分のポリ乳
酸樹脂(商品名:ラクティ2012、島津製作所社製、
融点:178℃)を用い、210℃で加熱溶融したこ
と、ならびに繊維の繊度を5.6デニールとし、そして
ウェブの単位面積当たりの質量を129g/m2とした
こと以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、PVA
重合体を20g/m2、含有させた。得られた不織布の
空隙率は65%であり、通気度は34.0cc/cm2
/secであり、最大孔径は72μmであり、平均孔径
は32μmであり、針貫通強度は310gfであり、そ
して単位幅当たりの曲げ弾性は6.5gf・cm2/c
mであった。次いで、上記と同じポリ乳酸樹脂を溶融押
出紡糸して作製した30番手の糸を用いて、実施例1と
同様に育樹用ポットを作製した。得られた育樹用ポット
を実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試験に
供し、その品質を評価した。
/10分の熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合
体(商品名:ビオノーレ1030、昭和高分子社製)に
代えて、メルトフローレートが15g/10分のポリ乳
酸樹脂(商品名:ラクティ2012、島津製作所社製、
融点:178℃)を用い、210℃で加熱溶融したこ
と、ならびに繊維の繊度を5.6デニールとし、そして
ウェブの単位面積当たりの質量を129g/m2とした
こと以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、PVA
重合体を20g/m2、含有させた。得られた不織布の
空隙率は65%であり、通気度は34.0cc/cm2
/secであり、最大孔径は72μmであり、平均孔径
は32μmであり、針貫通強度は310gfであり、そ
して単位幅当たりの曲げ弾性は6.5gf・cm2/c
mであった。次いで、上記と同じポリ乳酸樹脂を溶融押
出紡糸して作製した30番手の糸を用いて、実施例1と
同様に育樹用ポットを作製した。得られた育樹用ポット
を実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試験に
供し、その品質を評価した。
【0099】(参考実施例1)エジェクターの条件を変
更することによって長繊維の繊度を3.3デニールと
し、そしてウェブの単位面積当たりの質量を125g/
m2としたこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製
した。なお、この不織布には、PVA重合体を含有させ
なかった。得られた不織布の空隙率は76%であり、通
気度は47.0cc/cm2/secであり、最大孔径
は62μmであり、平均孔径は29μmであり、針貫通
強度は45gfであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性
は1.8gf・cm2/cmであった。次いで、実施例
1と同様に育樹用ポットを作製し、得られた育樹用ポッ
トを実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試験
に供し、その品質を評価した。
更することによって長繊維の繊度を3.3デニールと
し、そしてウェブの単位面積当たりの質量を125g/
m2としたこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製
した。なお、この不織布には、PVA重合体を含有させ
なかった。得られた不織布の空隙率は76%であり、通
気度は47.0cc/cm2/secであり、最大孔径
は62μmであり、平均孔径は29μmであり、針貫通
強度は45gfであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性
は1.8gf・cm2/cmであった。次いで、実施例
1と同様に育樹用ポットを作製し、得られた育樹用ポッ
トを実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試験
に供し、その品質を評価した。
【0100】(参考実施例2)エジェクターの条件を変
更することによって長繊維の繊度を3.1デニールと
し、そしてウェブの単位面積当たりの質量を127g/
m2としたこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製
し、PVA重合体を20g/m2、含有させた。得られ
た不織布の空隙率は74%であり、通気度は45.0c
c/cm2/secであり、最大孔径は63μmであ
り、平均孔径は33μmであり、針貫通強度は320g
fであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は4.5gf
・cm2/cmであった。次いで、熱可塑性生分解性脂
肪族ポリエステル系重合体(商品名:ビオノーレ103
0、昭和高分子社製)を溶融押出紡糸して作製した30
番手の糸に代えて、市販木綿糸を用いたこと以外は実施
例1と同様に育樹用ポットを作製し、得られた育樹用ポ
ットを実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試
験に供し、その品質を評価した。ただし、本参考実施例
2においては、側面部と底面部とを縫合する糸が市販木
綿糸であり、本発明に用いられる不織布より速く生分解
する場合があるので、樹木を移植できない場合があっ
た。
更することによって長繊維の繊度を3.1デニールと
し、そしてウェブの単位面積当たりの質量を127g/
m2としたこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製
し、PVA重合体を20g/m2、含有させた。得られ
た不織布の空隙率は74%であり、通気度は45.0c
c/cm2/secであり、最大孔径は63μmであ
り、平均孔径は33μmであり、針貫通強度は320g
fであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は4.5gf
・cm2/cmであった。次いで、熱可塑性生分解性脂
肪族ポリエステル系重合体(商品名:ビオノーレ103
0、昭和高分子社製)を溶融押出紡糸して作製した30
番手の糸に代えて、市販木綿糸を用いたこと以外は実施
例1と同様に育樹用ポットを作製し、得られた育樹用ポ
ットを実施例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試
験に供し、その品質を評価した。ただし、本参考実施例
2においては、側面部と底面部とを縫合する糸が市販木
綿糸であり、本発明に用いられる不織布より速く生分解
する場合があるので、樹木を移植できない場合があっ
た。
【0101】(比較例1)メルトフローレートが32g
/10分の熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合
体(商品名:ビオノーレ1030、昭和高分子社製)に
代えて、230℃でのメルトフローレートが50g/1
0分の生分解性のないポリプロピレン樹脂(商品名:、
日本ポリケム社製、融点:163℃)を用いたこと、な
らびに繊維の繊度が3.2デニールとし、ウェブの単位
面積当たりの質量を126g/m2とし、ウェブを導入
する凹凸ロールおよび平滑ロールの温度を150℃にし
たこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製した。得
られた不織布の空隙率は68%であり、通気度は41.
0cc/cm2/secであり、最大孔径は61μmで
あり、平均孔径は25μmであり、針貫通強度は285
gfであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は3.5g
f・cm2/cmであった。次いで、この不織布を用い
て実施例1と同様に育樹用ポットを作製し、得られた育
樹用ポットを実施例1と同様に低木育樹試験および高中
育樹試験に供し、その品質を評価した。
/10分の熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系重合
体(商品名:ビオノーレ1030、昭和高分子社製)に
代えて、230℃でのメルトフローレートが50g/1
0分の生分解性のないポリプロピレン樹脂(商品名:、
日本ポリケム社製、融点:163℃)を用いたこと、な
らびに繊維の繊度が3.2デニールとし、ウェブの単位
面積当たりの質量を126g/m2とし、ウェブを導入
する凹凸ロールおよび平滑ロールの温度を150℃にし
たこと以外は、実施例1と同様に不織布を作製した。得
られた不織布の空隙率は68%であり、通気度は41.
0cc/cm2/secであり、最大孔径は61μmで
あり、平均孔径は25μmであり、針貫通強度は285
gfであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は3.5g
f・cm2/cmであった。次いで、この不織布を用い
て実施例1と同様に育樹用ポットを作製し、得られた育
樹用ポットを実施例1と同様に低木育樹試験および高中
育樹試験に供し、その品質を評価した。
【0102】(比較例2)エジェクターの条件を変更す
ることによって長繊維の繊度を1.5デニールとし、ウ
ェブの単位面積当たりの質量を260g/m2としたこ
と以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、PVA重
合体を含有させた。得られた不織布の空隙率は45%で
あり、通気度は2.5cc/cm2/secであり、最
大孔径は25μmであり、平均孔径は4μmであり、針
貫通強度は590gfであり、そして単位幅当たりの曲
げ弾性は20.0gf・cm2/cmであった。次い
で、この不織布を用いて実施例1と同様に育樹用ポット
を作製し、得られた育樹用ポットを実施例1と同様に低
木育樹試験および高中育樹試験に供し、その品質を評価
した。
ることによって長繊維の繊度を1.5デニールとし、ウ
ェブの単位面積当たりの質量を260g/m2としたこ
と以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、PVA重
合体を含有させた。得られた不織布の空隙率は45%で
あり、通気度は2.5cc/cm2/secであり、最
大孔径は25μmであり、平均孔径は4μmであり、針
貫通強度は590gfであり、そして単位幅当たりの曲
げ弾性は20.0gf・cm2/cmであった。次い
で、この不織布を用いて実施例1と同様に育樹用ポット
を作製し、得られた育樹用ポットを実施例1と同様に低
木育樹試験および高中育樹試験に供し、その品質を評価
した。
【0103】(比較例3)エジェクターの条件を変更す
ることによって長繊維の繊度を5.1デニールとし、ウ
ェブの単位面積当たりの質量を45g/m2としたこと
以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、PVA重合
体を含有させた。得られた不織布の空隙率は55%であ
り、通気度は120.0cc/cm2/secであり、
最大孔径は75μmであり、平均孔径は33μmであ
り、針貫通強度は15gfであり、そして単位幅当たり
の曲げ弾性は1.2gf・cm2/cmであった。次い
で、この不織布を用いて実施例1と同様に育樹用ポット
を作製し、得られた育樹用ポットを実施例1と同様に低
木育樹試験および高中育樹試験に供し、その品質を評価
した。
ることによって長繊維の繊度を5.1デニールとし、ウ
ェブの単位面積当たりの質量を45g/m2としたこと
以外は、実施例1と同様に不織布を作製し、PVA重合
体を含有させた。得られた不織布の空隙率は55%であ
り、通気度は120.0cc/cm2/secであり、
最大孔径は75μmであり、平均孔径は33μmであ
り、針貫通強度は15gfであり、そして単位幅当たり
の曲げ弾性は1.2gf・cm2/cmであった。次い
で、この不織布を用いて実施例1と同様に育樹用ポット
を作製し、得られた育樹用ポットを実施例1と同様に低
木育樹試験および高中育樹試験に供し、その品質を評価
した。
【0104】(比較例4)本比較例4においては、生分
解性を有しないポリプロピレン重合体からなる不織布か
ら作製された市販育樹用ポット(商品名:ルートコント
ロールバッグ、鈴五商事社製)の25号(直径25c
m、高さ25cm)、30号(直径30cm、高さ2
7.5cm)を用いた。これらの育樹用ポットを構成す
る不織布の空隙率は92%であり、通気度は220.0
cc/cm2/secであり、最大孔径は145μmで
あり、平均孔径は66μmであり、針貫通強度は38g
fであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は2.0gf
・cm2/cmであった。これらの育樹用ポットを実施
例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試験に供し、
その品質を評価した。ただし、成育状況(根回りなど)
を調査後、樹木を移植する際には、樹木をこれらの育樹
用ポットから外し、そしてその根の部分を埋設して活着
状況を調査した。上記の実施例、参考実施例、および比
較例にかかる育樹用ポットの空隙率、成育状況、活着状
況などを以下の表1から表3に示す。
解性を有しないポリプロピレン重合体からなる不織布か
ら作製された市販育樹用ポット(商品名:ルートコント
ロールバッグ、鈴五商事社製)の25号(直径25c
m、高さ25cm)、30号(直径30cm、高さ2
7.5cm)を用いた。これらの育樹用ポットを構成す
る不織布の空隙率は92%であり、通気度は220.0
cc/cm2/secであり、最大孔径は145μmで
あり、平均孔径は66μmであり、針貫通強度は38g
fであり、そして単位幅当たりの曲げ弾性は2.0gf
・cm2/cmであった。これらの育樹用ポットを実施
例1と同様に低木育樹試験および高中育樹試験に供し、
その品質を評価した。ただし、成育状況(根回りなど)
を調査後、樹木を移植する際には、樹木をこれらの育樹
用ポットから外し、そしてその根の部分を埋設して活着
状況を調査した。上記の実施例、参考実施例、および比
較例にかかる育樹用ポットの空隙率、成育状況、活着状
況などを以下の表1から表3に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
【表2】
【0107】
【表3】
【0108】表1、表2および表3から理解されるよう
に、不織布の空隙率、通気度、最大孔径、および平均孔
径(好ましくは、これらに加えて針貫通強度)を所定の
範囲にすることによって、本発明に係る育樹用ポット
は、根回りが発生しにくく、ポット内での根張が良好で
あり、そして適度にポットを貫通した根が延びており、
育樹期間における育生状況は目標品質を満足するほど優
れている。さらに、移植後の活着状況も良好である。こ
のため、本発明に係る育樹用ポットを用いる場合には、
育生期の苗木の根を適切に育生させることができ、さら
に運搬時、移植時などの熟練を要する根巻き作業、育樹
用ポットの取り外し作業などを必要とせず、植栽時の労
力を大幅に軽減できる。
に、不織布の空隙率、通気度、最大孔径、および平均孔
径(好ましくは、これらに加えて針貫通強度)を所定の
範囲にすることによって、本発明に係る育樹用ポット
は、根回りが発生しにくく、ポット内での根張が良好で
あり、そして適度にポットを貫通した根が延びており、
育樹期間における育生状況は目標品質を満足するほど優
れている。さらに、移植後の活着状況も良好である。こ
のため、本発明に係る育樹用ポットを用いる場合には、
育生期の苗木の根を適切に育生させることができ、さら
に運搬時、移植時などの熟練を要する根巻き作業、育樹
用ポットの取り外し作業などを必要とせず、植栽時の労
力を大幅に軽減できる。
【0109】また、本発明に用いられる不織布にPVA
を含浸させ、単位面積当たりの曲げ剛性を所定の範囲と
することにより、不織布の加工性が向上し、そして育樹
用ポットの自立性および保形性を向上させることがで
き、これにより苗木を植える作業性に優れた育樹用ポッ
トが得られることも理解される(実施例と参考実施例1
とを参照)。
を含浸させ、単位面積当たりの曲げ剛性を所定の範囲と
することにより、不織布の加工性が向上し、そして育樹
用ポットの自立性および保形性を向上させることがで
き、これにより苗木を植える作業性に優れた育樹用ポッ
トが得られることも理解される(実施例と参考実施例1
とを参照)。
【0110】側面部と底面部とを縫合する糸は、不織布
の生分解性の観点から、不織布に用いられる原料と同一
の原料を用いることが好ましいことも理解される(実施
例1、4、および5と参考実施例2とを参照)。
の生分解性の観点から、不織布に用いられる原料と同一
の原料を用いることが好ましいことも理解される(実施
例1、4、および5と参考実施例2とを参照)。
【0111】これに対して、不織布を構成する合成繊維
が生分解性を有しないポリプロピレン重合体である場合
には、苗木の育生状況は本発明に係る育樹用ポットを用
いた場合と同程度であっても、移植後でも不織布が分解
せず地中に残るため、活着状況は劣り、樹高、葉張など
に関して目標品質を得ることができない(比較例1)。
が生分解性を有しないポリプロピレン重合体である場合
には、苗木の育生状況は本発明に係る育樹用ポットを用
いた場合と同程度であっても、移植後でも不織布が分解
せず地中に残るため、活着状況は劣り、樹高、葉張など
に関して目標品質を得ることができない(比較例1)。
【0112】不織布を構成する合成繊維の繊度を細く
し、且つ、単位面積当たりの重量を多くすることにより
不織布の構造を緻密にした場合には、根回りが生じ易く
なり、育樹用ポット内での根の育生状態が悪くなるため
育生状況は劣り、結果的に植栽後の活着状況も劣る(比
較例2)。
し、且つ、単位面積当たりの重量を多くすることにより
不織布の構造を緻密にした場合には、根回りが生じ易く
なり、育樹用ポット内での根の育生状態が悪くなるため
育生状況は劣り、結果的に植栽後の活着状況も劣る(比
較例2)。
【0113】逆に、単位面積当たりの重量を少なくし、
不織布の構造を粗くした場合には、ポット内壁に到達す
るほど生長した根のほとんどが不織布を貫通し、外部の
土壌より養分を補給するため、育生状況は良好になる
が、植栽時に貫通した根が剪定され、結果的に活着状況
は劣り、樹高、葉張などに関して目標品質を得ることが
できない。また、不織布の剛性も不足し、育樹用ポット
としての自立性および保形性に劣り、育樹用ポット内に
土壌を入れ、苗木を植える際の作業性が悪い(比較例
3)。
不織布の構造を粗くした場合には、ポット内壁に到達す
るほど生長した根のほとんどが不織布を貫通し、外部の
土壌より養分を補給するため、育生状況は良好になる
が、植栽時に貫通した根が剪定され、結果的に活着状況
は劣り、樹高、葉張などに関して目標品質を得ることが
できない。また、不織布の剛性も不足し、育樹用ポット
としての自立性および保形性に劣り、育樹用ポット内に
土壌を入れ、苗木を植える際の作業性が悪い(比較例
3)。
【0114】なお、市販の育樹用ポットの場合、育生状
況は良好であるが、移植時にポットと共に細根や根の周
りの土壌がとれてしまい活着状況は悪くなる(比較例
4)。
況は良好であるが、移植時にポットと共に細根や根の周
りの土壌がとれてしまい活着状況は悪くなる(比較例
4)。
【0115】
【発明の効果】本発明によって、生分解性不織布の空隙
率、通気度、最大孔径、平均孔径などを特定の範囲に調
整することによって、苗木の養成時にその根の育生を阻
害せず、育樹用ポット内での根回りを防止し、そして育
樹用ポットを地中に埋設した場合に、育樹用ポットを貫
通する根の育生を制御することができ、さらに移植時に
は熟練を要する根巻き作業および育樹用ポットから苗木
を取り出す植え替え作業を必要とせず、大幅な労力の軽
減がはかれる育樹用ポットが提供される。
率、通気度、最大孔径、平均孔径などを特定の範囲に調
整することによって、苗木の養成時にその根の育生を阻
害せず、育樹用ポット内での根回りを防止し、そして育
樹用ポットを地中に埋設した場合に、育樹用ポットを貫
通する根の育生を制御することができ、さらに移植時に
は熟練を要する根巻き作業および育樹用ポットから苗木
を取り出す植え替え作業を必要とせず、大幅な労力の軽
減がはかれる育樹用ポットが提供される。
フロントページの続き (72)発明者 阪中 敏夫 和歌山県那賀郡桃山町大字最上112番地 株式会社阪中緑化資材内
Claims (8)
- 【請求項1】 熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステル系
重合体からなる生分解性合成繊維を含む不織布からなる
側面部および底面部から構成される生分解性育樹用ポッ
トにおいて、該不織布の空隙率が50%〜85%であ
り、該不織布の通気度が0.50cc/cm2/sec
〜100cc/cm2/secであり、該不織布の最大
孔径が30μm〜100μmであり、そして該不織布の
平均孔径が5.0μm〜35μmであることを特徴とす
る、生分解性育樹用ポット。 - 【請求項2】 前記不織布の針貫通強度が50.0gf
〜500gfである、請求項1に記載の生分解性育樹用
ポット。 - 【請求項3】 前記熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステ
ル系重合体が、脂肪族ジオールまたはその誘導体の残基
と、脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体の残基とを含
む、請求項1または2のいずれかに記載の生分解性育樹
用ポット。 - 【請求項4】 前記熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステ
ル系重合体が、ウレタン結合を含む、請求項1から3の
いずれかに記載の生分解性育樹用ポット。 - 【請求項5】 前記熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステ
ル系重合体が、ウレタン結合を含むポリブチレンサクシ
ネート重合体である、請求項4に記載の生分解性育樹用
ポット。 - 【請求項6】 前記熱可塑性生分解性脂肪族ポリエステ
ル系重合体が、ポリ乳酸重合体である、請求項1または
2のいずれかに記載の生分解性育樹用ポット。 - 【請求項7】 前記生分解性育樹用ポットを縫製するた
めに用いられる糸が、熱可塑性生分解性脂肪族ポリエス
テル系重合体を含む、請求項1から6のいずれかに記載
の生分解性育樹用ポット。 - 【請求項8】 前記不織布がポリビニルアルコール重合
体を5.0g/m2〜40g/m2の範囲で含有し、そし
て該不織布の単位幅当たりの曲げ剛性が2gf・cm2
/cm以上である、請求項1または7のいずれかに記載
の生分解性育樹用ポット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9259952A JPH1189445A (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 生分解性育樹用ポット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9259952A JPH1189445A (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 生分解性育樹用ポット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1189445A true JPH1189445A (ja) | 1999-04-06 |
Family
ID=17341208
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9259952A Pending JPH1189445A (ja) | 1997-09-25 | 1997-09-25 | 生分解性育樹用ポット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1189445A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030060681A (ko) * | 2002-01-11 | 2003-07-16 | 최장옥 | 부직포 포트를 이용한 묘목 재배방법 |
-
1997
- 1997-09-25 JP JP9259952A patent/JPH1189445A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20030060681A (ko) * | 2002-01-11 | 2003-07-16 | 최장옥 | 부직포 포트를 이용한 묘목 재배방법 |
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