JPH11886A - 鍛造用マニピュレータにおけるクランピング装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 クランプレバーの最大回転直径を小さく維持
したままで、クランプレバーを開閉駆動させるシリンダ
ーをクランピング装置の前部側に配置できるようにする
ことによって装置全体の長さを短くし、これによって装
置全体の軽量化を更に図り、しかもメンテナンスも簡単
に行うことにある。 【解決手段】 クランピング装置１の前部側に設けられ
たクランプハウジング２に、一対のクランプレバー３，
４の後部を同軸のクランプレバー支点ピン５を介して旋
回自在に枢結し、一対のクランプレバー３，４を開閉駆
動するシリンダー１０をクランプハウジング２の後部中
央に配置し、前方のクランプハウジング２に向けて進退
移動するシリンダー１０のピストンロッド１１の両側に
開いた先端部の両端側と、一対の各クランプレバー３，
４の中間部とを各リンク１２，１３によりそれぞれピン
連結した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、鋼塊の鍛造作業
時に、赤熱鋼塊を把握（クランプ）し、そのハンドリン
グ操作を行うための鍛造用マニピュレータにおけるクラ
ンピング装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】鍛造用マニピュレータのクランピング装
置は、鍛造作業時には赤熱鋼塊を把握して鍛造プレスの
コラムの間を通過し、プレスの中心部まで進入し、ここ
で、昇降・回転・横移動・傾斜などの複雑多岐にわたる
作業を行うものである。

【０００３】従って、このクランピング装置の外形（最
大回転直径）が小型化されていればいる程、クランピン
グ装置の鍛造プレス内での作動範囲は広くなって、鍛造
作業は容易となり、また、これによって、作業能率が著
しく向上し、更には鍛造品の品質向上も期待することが
できるようになる。

【０００４】また、クランピング装置が小型化されれ
ば、その分だけ、プレスのコラム間の距離を縮小するこ
とが可能となり、プレス全体の小型化や重量の軽減を実
現することができることにもなる。

【０００５】そこで、本願の出願人は、クランプレバー
の最大回転直径を小さくした『鍛造用マニピュレータに
おけるクランピング装置』を発明し、これを特許出願
（特開昭６０−８５８８６）し、特許を取得している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記の『鍛
造用マニピュレータにおけるクランピング装置』（特開
昭６０−８５８８６）においては、図６に示すように、
交差するリンク５１，５２を利用してクランプレバー５
３，５４の最大回転直径を小さくする構造になってお
り、そしてこの交差するリンク５１，５２がクランプレ
バー５３，５４の直ぐ後方に配置されている。

【０００７】このため、クランプレバーが取り付けられ
るクランピング装置の前部側に、当該クランプレバーを
開閉駆動させるシリンダーを配置することができず、し
かも、クランピング装置の中間部の下部側には該装置の
左右に設けられた側部フレームを連結するフレームが横
設されているために中間部にもシリンダーを配置でき
ず、結局、シリンダー５５はクランピング装置の後部側
にしか配置することができず、その結果、クランピング
装置全体が長くなるという課題があった。

【０００８】また、シリンダー５５がクランピング装置
の後部側に配置されるため、後部側のシリンダー５５の
駆動力をクランピング装置の前部側に配置されたリンク
５１，５２を介してクランプレバー５３，５４に伝達す
るドローバー５６が必要となり、しかもこのドローバー
５６は長さが１０ｍ前後もあってかなりの重量となり、
この長くて重いドローバー５６を装置の後部側から前進
又は後退させるシリンダー５５も大型になるという課題
があった。

【０００９】さらに、クランピング装置の前部側に交差
して配置されたリンク５１，５２はクランプハウジング
５７の内部に内装にされているため、そのメンテナンス
に際してはドローバー５６などを取り外す必要があり、
非常に面倒であった。

【００１０】この発明は、上記のような課題に鑑み、そ
の課題を解決すべく創案されたものであって、その目的
とするところは、クランプレバーの最大回転直径を小さ
く維持したままで、クランプレバーを開閉駆動させるシ
リンダーをクランピング装置の前部側に配置できるよう
にすることによって装置全体の長さを短くし、これによ
って装置全体の軽量化を更に図り、しかもメンテナンス
も簡単に行うことのできる鍛造用マニピュレータにおけ
るクランピング装置を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】以上の目的を達成するた
めに、この発明は、クランピング装置の前部側に設けら
れたクランプハウジングに、一対のクランプレバーの後
部を同軸のクランプレバー支点ピンを介して旋回自在に
枢結し、一対のクランプレバーを開閉駆動するシリンダ
ーをクランプハウジングの後部に配置し、前方のクラン
プハウジングに向けて進退移動するシリンダーのピスト
ンロッドの両側に開いた先端部の両端側と、一対の各ク
ランプレバーの中間部とを各リンクによりそれぞれピン
連結した手段よりなるものである。

【００１２】ここで、好ましい態様として、ピストンロ
ッドの両側に開いた先端部の両端側と一対の各クランプ
レバーの中間部とをピン連結する各リンクは、クランプ
ハウジングの外側に突出して設けられている。

【００１３】

【発明の実施の形態】以下、図面に記載の発明の実施の
形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。こ
こで、図１はクランピング装置の前部側の部分拡大断面
図、図２はクランピング装置の前部側の部分拡大平面
図、図３はクランピング装置の前部側の部分拡大断面
図、図４はクランピング装置の全体側断面図、図５はク
ランピング装置の全体平面図である。

【００１４】図において、クランピング装置１の前部側
に設けられたクランプハウジング２の前部には、一対の
クランプレバー３，４の後部が同軸のクランプレバー支
点ピン５を介して旋回自在に枢結されている。クランプ
ハウジング２は、中間を開けて左右両側にフレームが前
方に向けて水平に延設された構造からなっており、前方
に向けて延設された前部の横断方向にクランプレバー支
点ピン５が水平に取り付けられその両端が軸支されてい
る。

【００１５】一対のクランプレバー３，４は、クランプ
ハウジング２の左右のフレームの内側に取り付けられて
いる。クランプレバー３，４は支点ピン部が凹凸状に形
成されていて、互いに凹部と凸部が噛み合っており、こ
の噛み合った部分をクランプレバー支点ピン５が貫通し
て取り付けられている。

【００１６】このように、一対のクランプレバー３，４
はその後部を同一の軸のクランプレバー支点ピン５が貫
通して枢結されており、従来装置のように異なる軸にそ
れぞれ枢結されている場合に比べて、クランプレバー
３，４の最大回転直径を小さくすることができる。

【００１７】一対のクランプレバー３，４は、それぞれ
中間部でそれぞれ内側（図では上側のクランプレバー３
は下向き、下側のクランプレバー４は上向き）に向けて
折れ曲がったＬ字形の形状をしている。一対のクランプ
レバー３，４の先端部の内側には、赤熱鋼塊に直接接触
するクランプジョウ６，７がジョウピン８，９を介して
それぞれ連結されている。

【００１８】クランプハウジング２の後部には一対のク
ランプレバー３，４を開閉駆動するシリンダー１０が配
置されている。即ち、シリンダー１０の前端にクランプ
ハウジング２の左右フレームの後端がボルトなどによっ
て連結されて固定されている。シリンダー１０には例え
ば油圧シリンダーが使用されている。

【００１９】シリンダー１０には前方のクランプハウジ
ング２に向けて進退移動するピストンロッド１１が装着
されている。ピストンロッド１１はクランプハウジング
２の左右フレームの内側を前方に向けて進退移動するよ
うに取り付けられている。ピストンロッド１１の先端部
は両側方向（図では上下方向）に開いていて、両側に開
いた先端部の上下両端側はクランプハウジング２の上下
外側にそれぞれ突出している。

【００２０】クランプハウジング２の上下外側にそれぞ
れ突出したピストンロッド１１の先端部の上下両端側に
は、リンク１２，１３の後部側がピン１４，１５によっ
て旋回自在に連結されている。リンク１２，１３の後部
側が連結されるピストンロッド１１の先端部の上下両端
側は凹溝形に形成されていて、凹溝形の内側にリンク１
２，１３の後部側が入り込んだ状態でピン１４，１５に
よって連結されている。

【００２１】リンク１２，１３はピストンロッド１１と
クランプレバー３，４とを連結して、クランプレバー
３，４を開閉する駆動力をシリンダー１０の進退移動す
るピストンロッド１１よりクランプレバー３，４に伝達
する役目を果たす。

【００２２】リンク１２，１３の前部側はクランプレバ
ー３，４の折り曲がった中間部にピン１６，１７によっ
て旋回自在に連結されている。リンク１２，１３の前部
側が連結されるクランプレバー３，４の折り曲がった中
間部は凹溝形に形成されていて、凹溝形の内側にリンク
１２，１３の前部側が入り込んだ状態でピン１６，１７
によって連結されている。

【００２３】リンク１２，１３はクランプハウジング２
の上下外側にそれぞれ突出して取り付けられている。こ
のため、リンク１２，１３を交換する場合、リンク１
２，１３及びピン１４，１５，１６，１７はクランプハ
ウジング２の外側に位置しているので簡単に取り外して
交換することができ、メンテナンスが容易となる。

【００２４】シリンダー１０に摺動自在に内装されるピ
ストンロッド１１の後部側の側周面にはピストン１１ａ
が装着されており、また、ピストンロッド１１の後端と
シリンダー１０の奥端との隙間には油圧室１０ａが形成
されていて、この油圧室１０ａに流入する油圧によって
油圧室１０ａは広がりピストンロッド１１は前方に摺動
する。

【００２５】シリンダー１０はクランピング装置１の胴
体部の前側の内側に支持されている。クランピング装置
１は左右のサイドウォール１８の前部側の内側に設置さ
れている。左右のサイドウォール１８の下部には複数の
車輪１９が取り付けられていて、工場内の土台上に敷設
されたレール２０に車輪１９を介して走行自在に載置さ
れている。

【００２６】次に、上記発明の実施の形態の構成に基づ
く作用について以下説明する。図１の実線は、クランピ
ング装置１を最大径の鋼塊をクランプできる位置まで開
いた状態を示す。また、図１の仮想線は、クランピング
装置１が閉じた状態を示す。

【００２７】図１の実線のように、クランピング装置１
のクランプレバー３，４が最大に開いた状態では、シリ
ンダー１０のピストンロッド１１は後退して収縮してい
て、ピストンロッド１１の後端はシリンダー１０の内部
の奥端に接触して、油圧室１０ａの容積は最小の状態に
なっている。

【００２８】一対のクランプレバー３，４が最大限に開
いた状態では、ピストンロッド１１の最大限縮小して後
退しており、後退しているピストンロッド１１の上下両
端側にピンによって連結されたリンク１２，１３も最大
限後退している。

【００２９】このため、後退しているリンク１２の前部
側にピン連結されているクランプレバー３の折り曲がっ
ている中間部は、後退しているリンク１２によって後方
に引っ張られていて、クランプレバー３はクランプレバ
ー支点ピン５を支点として上向きに最大角度で回動して
いて、クランプレバー３はクランプレバー支点ピン５を
支点として最大角度で上向きに全開している。

【００３０】同様に、後退しているリンク１３の前部側
にピン連結されているクランプレバー４の折り曲がって
いる中間部は、後退しているリンク１３によって後方に
引っ張られていて、クランプレバー４はクランプレバー
支点ピン５を支点として下向きに最大角度で回動してい
て、クランプレバー４はクランプレバー支点ピン５を支
点として最大角度で下向きに全開している。

【００３１】この場合において、最大限に開くクランプ
レバー３，４は、同一の軸のクランプレバー支点ピン５
を中心として開くため、そのクランプレバー３，４の最
大回転直径を小さくすることができる。

【００３２】これに対して、最大限に開いたクランプレ
バー３，４を閉じる場合には、シリンダー１０の油圧室
１０ａに油圧を供給する。油圧の供給により油圧室１０
ａは膨張してピストンロッド１１の後端を前方に向けて
押圧し、これによりピストンロッド１１はクランプハウ
ジング２の内部を前方のクランプレバー３，４に向けて
前進する。

【００３３】前進するピストンロッド１１の先端部の上
下両端側にピン連結されたリンク１２，１３も一体とな
って前進する。前進するリンク１２，１３はそれぞれそ
の前部側がピン連結された折り曲がっているクランプレ
バー３，４の中間部を前方に向けて押圧する。

【００３４】リンク１２によって折り曲がっている中間
部が押圧されたクランプレバー３はクランプレバー支点
ピン５を中心として下向きに回動する。同様に、リンク
１３によって折り曲がっている中間部が押圧されたクラ
ンプレバー４はクランプレバー支点ピン５を中心として
上向きに回動する。このとき、クランプレバー３，４は
同一の角度で下向き及び上向きにそれぞれ回動する。

【００３５】そして、同一の軸のクランプレバー支点ピ
ン５を中心として同一の角度で下向き及び上向きにそれ
ぞれ回動するクランプレバー３，４は、クランプレバー
３，４の先端部のクランプジョウ６，７同士が当たるこ
とにより、完全に閉じることになる。

【００３６】なお、この発明は上記発明の実施の形態に
限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない
範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。また、
この発明によるクランピング装置１は、単に鍛造用マニ
ピュレータにおけるクランピング装置１として使用され
るだけではなく、クランプする物品の形状が雑多であ
り、その反力の大きさも、方向も一定せず、しかも、よ
り強力なクランピング力が必要とされ、更に、小型化の
要求の強い分野においても、同様に応用可能であり、そ
の応用範囲は広い。

【００３７】

【発明の効果】以上の記載より明らかなように、この発
明に係る鍛造用マニピュレータにおけるクランピング装
置によれば、クランプハウジングに一対のクランプレバ
ーの後部を同軸のクランプレバー支点ピンを介して旋回
自在に枢結することにより、クランプレバーの最大回転
直径を小さくできるのは勿論のこと、一対のクランプレ
バーを開閉駆動するシリンダーをクランプハウジングの
後部に配置し、前方のクランプハウジングに向けて進退
移動するシリンダーのピストンロッドの両側に開いた先
端部の両端側と、一対の各クランプレバーの中間部とを
各リンクによりそれぞれピン連結することにより、クラ
ンプレバーを開閉駆動させるシリンダーをクランピング
装置の前部側に配置できるので、クランピング装置の後
部側にシリンダーを配置した従来の装置に比べて、装置
全体の長さを短くでき、長さが短い分、装置の移動など
が容易となりその操作性を向上させることができる。

【００３８】しかも、従来装置のように長くて重量のあ
るドローバーを不要にでき、その分、装置全体の重量を
軽減することができ、さらに、クランプレバーを開閉駆
動させるシリンダーは長くて重量のあるドローバーを介
して駆動力を伝達する必要がないので、その分、シリン
ダーを小型化することができる。

【００３９】このように、装置全体を短くでき、又ドロ
ーバーを不要にできて、更に軽量化を図ることができ
る。例えば、従来装置が３３０トンであったのを、この
発明の構造にすることによって２６０トンに小型軽量化
することができる。そして、装置全体の小型軽量化に伴
い、装置が設置される工場内の土台の基礎もその分簡単
になり、基礎のコスト低下を図ることができる。

【００４０】さらに、クランプジョウ先端からクランピ
ング装置の前部側支持部までの長さが、従来装置に比べ
て短くできるので、クランピング装置の前部側支持部に
作用するモーメントを小さくでき、その結果、モーメン
トに抵抗する前部側支持部の構造をその分、小さくする
ことができる等、極めて新規的有益なる効果を奏するも
のである。

【００４１】また、請求項２のように、ピストンロッド
の両側に開いた先端部の両端側と一対の各クランプレバ
ーの中間部とをピン連結する各リンクは、クランプハウ
ジングの外側方に突出して設けられている場合には、リ
ンクはクランプハウジングの外部側に臨んでおり、リン
クのブッシュ交換等は他の部品を分解することなく外部
から容易に行うことができ、そのメンテナンスが従来装
置に比べて非常に簡単になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態を示すクランピング装置
の前部側の部分拡大断面図である。

【図２】この発明の実施の形態を示すクランピング装置
の前部側の部分拡大平面図である。

【図３】この発明の実施の形態を示すクランピング装置
の前部側の部分拡大断面図である。

【図４】この発明の実施の形態を示すクランピング装置
の全体側断面図である。

【図５】この発明の実施の形態を示すクランピング装置
の全体平面図である。

【図６】従来のクランピング装置の全体側断面図であ
る。

【符号の説明】

１ クランピング装置 ２ クランプハウジング ３ クランプレバー ４ クランプレバー ５ クランプレバー支点ピン ６ クランプジョウ ７ クランプジョウ ８ ジョウピン ９ ジョウピン １０ シリンダー １０ａ 油圧室 １１ ピストンロッド １１ａ ピストン １２ リンク １３ リンク １４ ピン １５ ピン １６ ピン １７ ピン １８ サイドウォール １９ 車輪 ２０ レール

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 クランピング装置の前部側に設けられた
   クランプハウジングに、一対のクランプレバーの後部を
   同軸のクランプレバー支点ピンを介して旋回自在に枢結
   し、一対のクランプレバーを開閉駆動するシリンダーを
   クランプハウジングの後部に配置し、前方のクランプハ
   ウジングに向けて進退移動するシリンダーのピストンロ
   ッドの両側に開いた先端部の両端側と、一対の各クラン
   プレバーの中間部とを各リンクによりそれぞれピン連結
   したことを特徴とする鍛造用マニピュレータにおけるク
   ランピング装置。
2. 【請求項２】 ピストンロッドの両側に開いた先端部の
   両端側と一対の各クランプレバーの中間部とをピン連結
   する各リンクは、クランプハウジングの外側に突出して
   設けられている請求項１記載の鍛造用マニピュレータに
   おけるクランピング装置。