JPH1187105A - Ptc素子 - Google Patents

Ptc素子

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Publication number
JPH1187105A
JPH1187105A JP24311897A JP24311897A JPH1187105A JP H1187105 A JPH1187105 A JP H1187105A JP 24311897 A JP24311897 A JP 24311897A JP 24311897 A JP24311897 A JP 24311897A JP H1187105 A JPH1187105 A JP H1187105A
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JP
Japan
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ptc
insulating layer
substrate
pair
electrodes
Prior art date
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Pending
Application number
JP24311897A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Obata
哲也 小幡
Shoichi Sugaya
昭一 菅谷
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Daito Tsushinki KK
Original Assignee
Daito Tsushinki KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期間安定した素子特性を示すPTC素子を
提供する。 【解決手段】 PTC素子1は、結晶性高分子中に導電
性粒子を分散したPTC組成物で略矩形板状に成形した
PTC基板である成形体2を有する。この成形体2の表
裏面に一対の金属膜状の電極膜である金属箔3,3を接
合形成する。これら金属箔3,3の異なるいずれか一方
の一部を覆って成形体2の長手方向の対向する側面に連
続して略L字状に第1の絶縁層7を被覆形成する。この
第1の絶縁層7の対向する端面に、この第1の絶縁層7
に覆われていない金属箔3,3の各表面の異なるいずれ
か一方に接合した一対の電極9,9を形成する。成形体
2の幅方向の対向する側面には、第2の絶縁層13を被覆
形成する。成形体2の表裏面を金属箔3,3で覆い、か
つ、成形体2の側面を第1の絶縁層7および第2の絶縁
層13で覆うため、成形体2がむきだしになっていない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、結晶性高分子物質
に導電性粒子が分散されたPTC(Positive Temperatu
re Coefficient)組成物で形成したPTC基板に電極を
設けたPTC素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、特定の温度領域において電気抵抗
が急激に増大する正の温度特性を示すPTC素子は、自
己復帰形の過電流保護素子、自己制御形ヒータなどとし
て広く利用されている。
【0003】そして、このようなPTC素子に用いる組
成物としては、例えば、チタン酸バリウムなどのセラミ
ックス系組成物、あるいは、カーボンブラックなどの導
電性粒子を結晶性高分子中に分散したポリマ系組成物が
知られている。
【0004】セラミックス系組成物にて成形されたPT
C素子では、キュリー点での急激な抵抗値上昇を利用す
ることにより、PTC特性を発現させている。一方、ポ
リマ系組成物にて成形されたPTC素子では、結晶性高
分子の結晶融点での大きな熱膨張を利用して導電性粒子
間を切り離すことにより、PTC特性を発現させてい
る。
【0005】ところで、過電流保護素子としてPTC素
子を利用する場合には、例えば、特開平1−11070
2号公報、特開平2−145659号公報、特開平3−
209702号公報、特開平3−200301号公報、
特開平3−233902号公報、特開平4−7801号
公報、特開平4−7802号公報、特開平4−4870
1号公報、特開平4−167501号公報、特開平5−
21207号公報、特開平5−90009号公報、特開
平5−21208号公報、特開平5−109502号公
報および特開平6−318504号公報などに記載され
ているように、一般に、体積抵抗率が低く、また狭い温
度範囲で急激に抵抗値が上昇する特性をもつものが好ま
しいが、そのような用途には、ポリマ系組成物にて成形
されたものが適している。
【0006】そして、近年におけるエレクトロニクス業
界の高密度実装化の要求に伴い、過電流保護素子につい
ても表面実装化が求められ、今日、表面実装型の過電流
保護素子であるポリマ系のPTC素子としては、例え
ば、特開平9−219302号公報に記載のPTC素子
が知られている。
【0007】このPTC素子は、ポリマ系組成物で略矩
形板状に成形されたPTC基板の表裏面にそれぞれ設け
た一対の電極膜のそれぞれ相異なるいずれか一方の一部
を覆ってPTC基板の長手方向の対向する側面に連続し
て略L字状に絶縁層を設け、PTC基板の長手方向の両
端に位置する絶縁層の表面にこれら絶縁層に覆われてい
ない一対の電極膜に電気的に接触して断面略コ字状の膜
状に多層構造の一対の電極を設けた構成である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のPTC素子のように、PTC基板の幅方向の両側面
が、電極膜、絶縁層、電極に覆われてなく露出した構成
では、PTC基板が、酸化、水分の吸収などによる悪影
響を受け易いため、長期間にわたる安定した素子特性が
得られないおそれがある。また、半田付けの際に、近接
する一対の電極膜が、半田により、短絡するおそれがあ
る問題も有している。
【0009】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、長期間安定した素子特性を得ることができ、半田
付けの際の電極膜間の短絡を生じにくくできるPTC素
子を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のPTC素
子は、結晶性高分子中に導電性粒子を分散したPTC組
成物で略矩形板状に成形されたPTC基板と、このPT
C基板の両端にそれぞれ設けられた一対の電極と、前記
PTC基板の表裏面に対向して設けられ、前記電極の異
なるいずれか一方に電気的にそれぞれ接続された対をな
す金属膜状の電極膜と、前記電極および前記電極膜の少
なくともいずれにも覆われていない前記PTC基板の少
なくとも一部を覆う絶縁層とを具備したものである。
【0011】そして、この構成では、PTC基板の全面
が、電極膜、電極および絶縁層の少なくともいずれかに
覆われており、PTC基板が露出している部分がないた
め、PTC基板が、酸化、水分の吸収などによる悪影響
を受けにくい。また、近接して位置する一対の電極膜間
の近傍に絶縁層が位置するため、半田付けの際に、これ
ら電極膜間が半田により架橋されにくいため、電極膜間
の短絡が生じにくい。
【0012】請求項2記載のPTC素子は、結晶性高分
子中に導電性粒子を分散したPTC組成物で略矩形板状
に成形されたPTC基板と、このPTC基板の表裏面に
それぞれ略全面にわたって設けられた対をなす金属膜状
の電極膜と、前記PTC基板の表裏面の一面の一端側お
よび表裏面の他面の他端側に積層しない部分を形成しつ
つ前記電極膜の各表面に略全面にわたって積層されると
ともに前記PTC基板の対向する側面に連続して設けら
れた第1の絶縁層と、これら第1の絶縁層が形成された
前記PTC基板の対向する側面の前記第1の絶縁層上に
積層してそれぞれ設けられ、これら第1の絶縁層に覆わ
れていない前記電極膜の異なるいずれか一方に電気的に
それぞれ接続された一対の電極と、前記第1の絶縁層に
覆われていない前記PTC基板の側面に設けられた第2
の絶縁層とを具備したものである。
【0013】そして、この構成では、PTC基板の表裏
面が電極膜に覆われ、かつ、PTC基板の側面が第1の
絶縁層および第2の絶縁層に覆われて、PTC基板が露
出している部分がないため、PTC基板が、酸化、水分
の吸収などによる悪影響を受けにくい。また、近接して
位置する一対の電極膜間の近傍に第2の絶縁層が位置す
るため、半田付けの際に、電極膜間の短絡が生じにく
い。
【0014】請求項3記載のPTC素子は、結晶性高分
子中に導電性粒子を分散したPTC組成物で略矩形板状
に成形されたPTC基板と、このPTC基板の表裏面に
それぞれ略全面にわたって対をなして設けられ、スリッ
ト部によりそれぞれ電気的に分断された主電極膜および
この主電極膜より面積の小さい副電極膜を有し、前記主
電極膜同士が略対向する金属膜状の電極膜と、前記スリ
ット部のスリット方向に対して略平行に位置する前記P
TC基板の対向する側面にそれぞれ設けられ、前記電極
膜の主電極膜の異なるいずれか一方に電気的にそれぞれ
接続された一対の電極と、前記電極膜の表面および前記
スリット部にて露出した前記PTC基板の表裏面を覆う
第1の絶縁層と、前記電極に覆われていない前記PTC
基板の側面を覆う第2の絶縁層とを具備したものであ
る。
【0015】そして、この構成では、PTC基板の表裏
面が電極膜とスリット部に設けられた第1の絶縁層とに
覆われ、かつ、PTC基板の側面が電極および第2の絶
縁層に覆われて、PTC基板が露出している部分がない
ため、PTC基板が、酸化、水分の吸収などによる悪影
響を受けにくい。また、近接して位置する一対の電極膜
間の近傍に第2の絶縁層が位置するため、半田付けの際
に、これら電極膜間が半田により架橋されにくいため、
電極膜間の短絡が生じにくい。
【0016】請求項4記載のPTC素子は、請求項1な
いし3いずれかに記載のPTC素子において、絶縁層
は、絶縁性ペーストが塗布されることにより設けられた
ものである。
【0017】そして、この構成では、絶縁層を、絶縁性
ペーストを塗布することにより設けるので、容易に膜状
にできる。
【0018】請求項5記載のPTC素子は、請求項2な
いし4いずれかに記載のPTC素子において、第2の絶
縁層は、対をなす電極膜の露出した各側面にわたってそ
れぞれ設けられたものである。
【0019】そして、この構成では、第2の絶縁層が電
極膜の露出した各側面にわたってそれぞれ設けられてい
るため、PTC基板と電極膜との境界面からの酸素、水
などの吸収を防止するとともに、半田付けの際の電極膜
間の短絡を防止する。
【0020】請求項6記載のPTC素子は、請求項3に
記載のPTC素子において、スリット部は、PTC基板
の表裏面のそれぞれ反対側の端部近傍に位置して設けら
れたものである。
【0021】そして、この構成では、スリット部がPT
C基板のそれぞれ反対側の端部近傍に位置して設けられ
ているため、主電極膜の対向する面積を大きくできるの
で、電流の流れるPTC基板の面積が増大し、抵抗値が
低下して、大きな保持電流が得られる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明のPTC素子の第1
の実施の形態を図1および図2を参照して説明する。
【0023】図1および図2において、1はPTC素子
で、このPTC素子1は、結晶性高分子物質に導電性粒
子を分散したPTC組成物で略矩形板状に成形されたP
TC基板である成形体2を有している。
【0024】そして、PTC組成物に用いる結晶性高分
子物質としては、一般に結晶性ポリマとして知られてい
る結晶化度が10%以上のもの、例えば、高密度ポリエ
チレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレン/プロピレンコポリマ、トラン
スポリブタジエンなどのポリオレフィン、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの含
フッ素ポリマ、エチレン−アクリル酸コポリマ、各種ポ
リエステル、各種ポリアミド、各種ポリエチレンオキサ
イドなどが用いられる。なお、これらの結晶性高分子物
質は単一でまたは混合して用いる。また、これらの結晶
性高分子物質は、過電流保護素子などの大きなPTC特
性を要する場合には、例えばポリエチレン類、特に高密
度ポリエチレンを主体にした結晶化度の高い高分子物質
を用いることが好ましい。反対に、それほど大きなPT
C特性を必要としない場合は、結晶化度のより低い高分
子物質を選択してもよい。
【0025】一方、導電性粒子としては、炭素質粒子や
各種の金属粒子、例えばファーネスブラック、サーマル
ブラック、アセチレンブラックなどのカーボンブラック
類やグラファイト、カーボンファイバ、カーボンビーズ
などの炭素質粒子、純金属、合金、または金属粒子に異
種金属をコーティングした各種金属粒子や炭素質粒子に
金属をコーティングしたものなどが用いられる。これら
の導電性粒子は単一でまたは混合して用いる。なお、優
れたPTC特性を得るためには、導電性粒子としてカー
ボンブラックを選択することが好ましく、低抵抗のサー
マルブラックを用いた場合は特に優れたPTC特性が得
られる。
【0026】また、結晶性高分子物質への導電性粒子の
分散は、ロールミルや加圧ニーダなどで両者を加熱混練
したり、バンバリーミキサ中で混合することで行う。
【0027】さらに、成形体2の成形は、射出成形、押
出し成形、コンプレッション成形、カレンダ成形などの
成形方法で行う。
【0028】そして、この成形された成形体2の表裏面
には、これら表面および裏面の略全面にわたって、銅や
ニッケル、これらの合金などの電極膜である金属箔3
が、熱圧着、コンプレッション成形などによりそれぞれ
一対接合形成されている。
【0029】なお、コンプレッション成形の際には、温
度をPTC組成物中の結晶性高分子物質の融点以上とす
る。また、金属箔3は、成形体2の成形と同時に接合し
てもよい。さらに、成形体2または金属箔3,3を設け
た成形体2にγ線、電子線などの放射線を照射して結晶
性高分子物質を架橋し、熱エージングして、PTC特性
の発現後の抵抗値を安定させることが好ましい。なお、
放射線を用いず、化学架橋を行うこともできる。また、
PTC素子1の信頼性を高めるために、熱エージング温
度を結晶性高分子物質の融点以上でかつ分解温度以下に
設定することが好ましい。
【0030】さらに、これら金属箔3,3のうち、成形
体2の表面に形成した金属箔3の表面には、第1の上側
表面絶縁層5aが、この金属箔3の表面の一端部に積層し
ない部分を形成しつつ略全面にわたって積層されてい
る。一方、成形体2の裏面に形成した金属箔3の表面に
は、第1の下側表面絶縁層5bが、この金属箔3の表面の
他端部に積層しない部分を形成しつつ略全面にわたって
積層されている。
【0031】また、成形体2の長手方向の対向する側面
のうち、成形体2の他側に位置する側面には、第1の他
側側面絶縁層6aが、第1の上側表面絶縁層5aに連続して
被覆形成され、かつ、成形体2の一側に位置する側面に
は、第1の一側側面絶縁層6bが、第1の下側表面絶縁層
5bに連続して被覆形成されている。
【0032】そして、これら連続する第1の上側表面絶
縁層5aおよび第1の他側側面絶縁層6aにて第1の上他側
絶縁層7aが形成され、かつ、第1の下側表面絶縁層5bお
よび第1の一側側面絶縁層6bにて第1の下一側絶縁層7b
が形成されて、これら第1の上他側絶縁層7aと第1の下
一側絶縁層7bとにて、第1の絶縁層7が構成されてい
る。
【0033】なお、この第1の絶縁層7は、絶縁性ペー
ストをスクリーン印刷、ドクターブレード法、ロールや
シリコーンゴムなどの柔軟部材からなる曲面原盤などに
て転写するなどの方法により塗布して形成するほか、絶
縁性ペーストを入れた槽にディップする方法、絶縁性塗
料のスプレにて吹き付ける方法、絶縁性フィルムを貼り
付ける方法など、いかなる方法で形成してもよい。
【0034】また、絶縁性ペーストとしては、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミ
ドなどの熱硬化性樹脂、紫外線硬化型樹脂などが用いら
れる。そして、熱硬化性樹脂は、耐熱性が大きく、か
つ、硬化前の常温で流動状態で金属箔3上への塗布操作
が容易にできるため用いられる。特に、熱硬化時の温度
や硬化後の耐熱性からエポキシ樹脂系が好ましい。ま
た、熱硬化性樹脂を用いた場合、PTC組成物が劣化し
ない温度、例えば250℃以下、好ましくは150℃以
下、さらに好ましくは120℃以下の温度など適宜な条
件下での熱硬化を行う、すなわちPTC組成物の性状か
ら熱硬化性樹脂が選定される。
【0035】さらに、成形体2の長手方向の対向する側
面には、第1の絶縁層7上に積層した状態に、金属箔
3,3の各表面の異なるいずれか一方に電気的にそれぞ
れ接続された一対の電極9,9が形成されている。
【0036】これら電極9,9は、第1の他側側面絶縁
層6aおよび第1の一側側面絶縁層6bの各表面にそれぞれ
被覆形成された導電ペースト層である導電膜層10,10
と、これら導電膜層10,10の各表面にそれぞれ被覆形成
されたニッケルメッキなどのメッキ層11,11とにて構成
されている。
【0037】そして、第1の他側側面絶縁層6aの表面に
被覆された一方の導電膜層10は、第1の上側表面絶縁層
5aの他端部表面と第1の下側表面絶縁層5bに被覆されて
いない金属箔3の他端部表面とに跨がって形成されてい
る。
【0038】また、第1の一側側面絶縁層6bの表面に被
覆された他方の導電膜層10も同様に、第1の下側表面絶
縁層5bの一端部表面と第1の上側表面絶縁層5aに被覆さ
れていない金属箔3の一端部表面とに跨がって形成され
ている。
【0039】なお、この導電膜層10,10は、導電性粒子
とバインダとの混合物である導電ペーストにて形成され
ている。そして、導電性粒子としては、PTC組成物の
導電性粒子と同様のものが用いられるが、銀、パラジウ
ム、金、銅、アルミニウム、ニッケルなどの金属粒子や
カーボンブラックやグラファイトなどの導電性粒子、特
に銀が好ましい。一方、バインダとしては、絶縁性ペー
ストと同様の熱硬化性樹脂、耐熱性を有する熱可塑性樹
脂などが用いられるが、熱硬化性樹脂が好ましい。な
お、この導電ペーストは、必要に応じて導電性粒子およ
びバインダ以外の他の物質を添加したものでもよいが、
導電性、耐熱性、信頼性、硬化時の温度、価格などの面
から、銀とエポキシ樹脂との組み合わせが好ましい。そ
して、絶縁性ペーストと同様に塗布した後、焼結して、
導電膜層10,10を形成する。
【0040】また、これら電極9,9は、導電膜層10,
10のみ、導電膜層10,10の表面に半田にて半田層を形成
した2層構造、あるいは、導電膜層10,10を被覆するメ
ッキ層11,11の各表面にさらに半田にて半田層を形成し
た3層構造などとしてもよい。この半田層を電極9,9
の各表面に形成することにより、プリント基板への面実
装の際に半田付けが容易となる。
【0041】さらに、成形体2の長手方向に直交する幅
方向の対向する側面には、第2の前側側面絶縁層13a
が、図1に示すように成形体2の前側に位置して膜状に
被覆形成されているとともに、第2の後側側面絶縁層13
b が、成形体2の後側に位置して膜状に被覆形成されて
いる。
【0042】これら第2の前側側面絶縁層13a および第
2の後側側面絶縁層13b の周縁部は、金属箔3,3、第
1の絶縁層7および電極9,9のそれぞれ露出した各側
面にわたっており、これら第2の前側側面絶縁層13a お
よび第2の後側側面絶縁層13b は、それぞれ全体として
略I字形状をなしている。
【0043】そして、これら第2の前側側面絶縁層13a
と第2の後側側面絶縁層13b とにて、第2の絶縁層13が
構成されている。
【0044】なお、この第2の絶縁層13は、絶縁性ペー
ストをスクリーン印刷、ドクターブレード法、ロールや
シリコーンゴムなどの柔軟部材からなる曲面原盤などに
て転写するなどの方法により塗布して形成するほか、絶
縁性ペーストを入れた槽にディップする方法、絶縁性塗
料のスプレにて吹き付ける方法、絶縁性フィルムを貼り
付ける方法など、いかなる方法で形成してもよく、ま
た、絶縁性ペーストとしては、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミドなどの熱硬化
性樹脂、紫外線硬化型樹脂などのほか、酸素や水分を遮
断できるものならば有機系、無機系を問わずいかなる物
質でもよい。熱硬化性樹脂は、耐熱性が大きく、かつ、
硬化前の常温で流動状態で塗布操作が容易にできるため
用いられる。特に、熱硬化時の温度や硬化後の耐熱性か
らエポキシ樹脂系のものが好ましい。さらに、熱硬化性
樹脂を用いた場合、PTC組成物が劣化しない温度、例
えば250℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好
ましくは120℃以下の温度など適宜な条件下での熱硬
化を行う、すなわちPTC組成物の性状から熱硬化性樹
脂が選定される。
【0045】次に、上記第1の実施の形態の製造工程の
動作を説明する。
【0046】まず、ロールミルや加圧ニーダなどで加熱
混練したり、バンバリーミキサ中で混合するなどして、
結晶性高分子物質に導電性粒子を分散させてPTC組成
物を調製する。そして、この得られたPTC組成物を、
射出成形、押出し成形、コンプレッション成形、カレン
ダ成形などの方法により、図示しない所定寸法の薄板状
の基板を成形する。
【0047】次いで、この基板の表裏面に、一対の金属
箔3,3を熱圧着やコンプレッション成形にて接合形成
する。
【0048】そして、これら金属箔3,3の各表面に、
所定の間隔をおいて所定の幅寸法で縞状に絶縁ペースト
をスクリーン印刷、ドクターブレード法などにて塗布し
て乾燥させて、帯状の第1の上側表面絶縁層5aおよび第
1の下側表面絶縁層5bを互いにずらした状態でそれぞれ
複数形成する。
【0049】次に、この絶縁ペーストを塗布した基板
を、第1の上側表面絶縁層5aおよび第1の下側表面絶縁
層5bの長手方向の一縁の位置で切断して短冊片を形成す
る。この切断は、例えば、ダイシングソーおよびシャー
リングなどの各種カッタやレーザなどにより行う。
【0050】次いで、この得られた短冊片の切断面であ
る長手方向の両側面に、絶縁ペーストを塗布し乾燥させ
て、第1の他側側面絶縁層6aおよび第1の一側側面絶縁
層6bをそれぞれ形成する。
【0051】さらに、これら第1の他側側面絶縁層6aお
よび第1の一側側面絶縁層6bの各表面に、導電ペースト
を塗布し焼結させて、導電膜層10,10を形成する。そし
て、これら導電膜層10,10の各表面に、ニッケルメッキ
などのメッキ層11,11を形成する。
【0052】最後に、こうして電極9,9を形成した短
冊片を所定寸法に切断した後、この切断面に、絶縁ペー
ストを塗布し乾燥させて、第2の絶縁層13を形成するこ
とによって、表面実装型のチップ状のPTC素子1を得
る。
【0053】なお、この切断面への第2の絶縁層13の形
成は、短冊片の切断後速やかに行うことが好ましい。時
間をおくと、その間に成形体2が酸化、水分の吸収など
による悪影響を受けてしまい、素子特性が不安定になる
傾向があるためである。もし、切断後、第2の絶縁層13
の形成までに、長時間経過した場合には、加熱処理、真
空引き処理などにより、成形体2の内部に吸収された水
分を取り除くことが、素子特性を安定させる上で有効で
ある。
【0054】こうして、得られたPTC素子1によれ
ば、成形体2の表裏面が金属箔3,3に覆われ、かつ、
成形体2の側面が第1の絶縁層7および第2の絶縁層13
に覆われており、成形体2が露出している部分がないた
め、この成形体2が酸化、水分の吸収などによる悪影響
を受けにくく、長期間安定した素子特性を得ることがで
きる。
【0055】また、第1の絶縁層7および第2の絶縁層
13を、絶縁性ペーストを塗布することにより設けるの
で、容易に膜状にできる。
【0056】さらに、第2の絶縁層13を、その周縁部が
金属箔3,3、第1の絶縁層7および電極9,9のそれ
ぞれ露出した各側面にわたるように形成するため、成形
体2と金属箔3,3との境界面からの酸素、水などの吸
収を確実に防止でき、しかも、半田付けの際の金属箔
3,3間の短絡を確実に防止できる。
【0057】次に、本発明のPTC素子の第2の実施の
形態を図3および図4を参照して説明する。
【0058】図3および図4において、21はPTC素子
で、このPTC素子21は、結晶性高分子物質に導電性粒
子を分散したPTC組成物で略矩形板状に成形されたP
TC基板である成形体22を有している。
【0059】そして、この成形体22の表裏面には、これ
ら表面および裏面の略全面にわたって、銅やニッケル、
これらの合金などの電極膜である金属箔23が、熱圧着、
コンプレッション成形などによりそれぞれ一対接合形成
されている。
【0060】さらに、これら金属箔23,23には、成形体
22の幅方向に沿って金属箔23,23を、主電極膜23a とこ
の主電極膜23a より面積の小さい副電極膜23b とに分割
するスリット状のスリット部24が、パターンエッチング
などにより金属箔23,23の一部を除去することにより、
成形体22のそれぞれ反対側の端部近傍にそれぞれ設けら
れている。なお、面積の大きい主電極膜23a 同士は、成
形体22を介して対向して位置している。
【0061】なお、パターンの形成には、感光性レジス
トを使用するとよい。そして、スリット部24の幅寸法
は、成形体22の厚さ寸法より大きい寸法に設定すること
が好ましい。
【0062】また、金属箔23,23の表面およびスリット
部24にて露出する成形体22の表裏面には、金属箔23,23
の両端部表面を露出して、膜状の第1の絶縁層25が被覆
形成されている。
【0063】なお、この第1の絶縁層25は、絶縁性ペー
ストをスクリーン印刷、ドクターブレード法、ロールや
シリコーンゴムなどの柔軟部材からなる曲面原盤などに
て転写するなどの方法により塗布して形成するほか、絶
縁性ペーストを入れた槽にディップする方法、絶縁性塗
料のスプレにて吹き付ける方法、絶縁性フィルムを貼り
付ける方法など、いかなる方法で形成してもよい。
【0064】さらに、成形体22の長手方向の対向する側
面には、薄膜状の一対の電極26,26が、主電極膜23a お
よび副電極膜23b の各表面にわたって、電解メッキ、無
電解メッキ、導電性ペースト、金属片などにて形成され
ている。こうして、これら電極26,26は、対向して位置
する面積の大きい主電極膜23a ,23a の各表面の異なる
いずれか一方に電気的にそれぞれ接続されている。
【0065】なお、これら電極26,26は、電解メッキの
みで形成した場合、非常に強固で、信頼性が高く寸法精
度の管理が容易にできるため好ましい。また、これら電
極26,26の表面にさらに半田にて半田層を形成した多層
構造としてもよい。この半田層を電極26,26の表面に形
成することにより、プリント基板への面実装の際の半田
付けを容易にできる。
【0066】さらに、成形体22の幅方向の対向する側面
には、第2の前側側面絶縁層28a が、図3に示すように
成形体22の前側に位置して膜状に被覆形成されていると
ともに、第2の後側側面絶縁層28b が、成形体22の後側
に位置して膜状に被覆形成されている。
【0067】これら第2の前側側面絶縁層28a および第
2の後側側面絶縁層28b の周縁部は、金属箔23,23、第
1の絶縁層25および電極26,26のそれぞれ露出した各側
面にわたっており、これら第2の前側側面絶縁層28a お
よび第2の後側側面絶縁層28b は、それぞれ全体として
略I字形状をなしている。
【0068】そして、これら第2の前側側面絶縁層28a
と第2の後側側面絶縁層28b とにて、第2の絶縁層28が
構成されている。
【0069】なお、この第2の絶縁層28は、絶縁性ペー
ストをスクリーン印刷、ドクターブレード法、ロールや
シリコーンゴムなどの柔軟部材からなる曲面原盤などに
て転写するなどの方法により塗布して形成するほか、絶
縁性ペーストを入れた槽にディップする方法、絶縁性塗
料のスプレにて吹き付ける方法、絶縁性フィルムを貼り
付ける方法など、いかなる方法で形成してもよく、ま
た、絶縁性ペーストとしては、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、不飽和ポリエステル、ポリイミドなどの熱硬化
性樹脂、紫外線硬化型樹脂などのほか、酸素や水分を遮
断できるものならば有機系、無機系を問わずいかなる物
質でもよい。熱硬化性樹脂は、耐熱性が大きく、かつ、
硬化前の常温で流動状態で塗布操作が容易にできるため
用いられる。特に、熱硬化時の温度や硬化後の耐熱性か
らエポキシ樹脂系のものが好ましい。さらに、熱硬化性
樹脂を用いた場合、PTC組成物が劣化しない温度、例
えば250℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好
ましくは120℃以下の温度など適宜な条件下での熱硬
化を行う、すなわちPTC組成物の性状から熱硬化性樹
脂が選定される。
【0070】次に、上記第2の実施の形態の製造工程の
動作を説明する。
【0071】まず、ロールミルや加圧ニーダなどで加熱
混練したり、バンバリーミキサ中で混合するなどして、
結晶性高分子物質に導電性粒子を分散させてPTC組成
物を調製する。そして、この得られたPTC組成物を、
射出成形、押出し成形、コンプレッション成形、カレン
ダ成形などの方法により、図示しない所定寸法の薄板状
の基板に成形する。
【0072】次いで、この基板の表裏面に、一対の金属
箔23,23を熱圧着やコンプレッション成形にて接合形成
する。
【0073】そして、この金属箔23,23の表面に、所定
の間隔をおいて所定の幅寸法でパターンエッチングなど
にて金属箔23,23の一部を帯状に除去し縞状にスリット
部24を形成する。
【0074】次に、このスリット部24を形成した基板の
表裏面に、所定の間隔をおいて所定の幅寸法で縞状に絶
縁ペーストをスクリーン印刷、ドクターブレード法など
にて塗布して乾燥させて、帯状の第1の絶縁層25をそれ
ぞれ複数形成する。
【0075】次いで、この第1の絶縁層25を形成した基
板を、第1の絶縁層25間の略中央で切断して短冊片を形
成する。この切断は、例えば、ダイシングソーおよびシ
ャーリングなどの各種カッタやレーザなどにより行う。
【0076】そして、この得られた短冊片の切断面であ
る長手方向の両側面に、金属箔23,23の各表面にわたっ
て略コ字状に電極26,26を電解メッキなどにて形成す
る。
【0077】この後、この電極26,26を形成した短冊片
を所定寸法に切断した後、この切断面に、絶縁ペースト
を塗布し乾燥させて、第2の絶縁層28を形成することに
よって、表面実装型のチップ状のPTC素子21を得る。
【0078】なお、この切断面への第2の絶縁層28の形
成は、短冊片の切断後速やかに行うことが好ましい。時
間をおくと、その間に成形体22が酸化、水分の吸収など
による悪影響を受けてしまい、素子特性が不安定になる
傾向があるためである。もし、切断後、第2の絶縁層28
の形成までに、長時間経過した場合には、加熱処理、真
空引き処理などにより、成形体22の内部に吸収された水
分を取り除くことが、素子特性を安定させる上で有効で
ある。
【0079】こうして、得られたPTC素子21によれ
ば、成形体22の表裏面が金属箔23,23とスリット部24に
設けられた第1の絶縁層25とに覆われ、かつ、成形体22
の側面が電極26,26および第2の絶縁層28に覆われて、
成形体22が露出している部分がないため、成形体22が酸
化、水分の吸収などによる悪影響を受けにくく、長期間
安定した素子特性を得ることができる。
【0080】また、第1の絶縁層25および第2の絶縁層
28を、絶縁性ペーストを塗布することにより設けるの
で、容易に膜状にできる。
【0081】さらに、第2の絶縁層28を、その周縁部が
金属箔23,23、第1の絶縁層25および電極26,26のそれ
ぞれ露出した各側面にわたるように形成するため、成形
体22と金属箔23,23との境界面からの酸素、水などの吸
収を確実に防止でき、しかも、半田付けの際の金属箔2
3,23間の短絡を確実に防止できる。
【0082】また、スリット部24を、成形体22のそれぞ
れ反対側の端部近傍に位置して設けるため、電流の流れ
る成形体22の面積を増大させ、抵抗値を低下させ、大き
な保持電流を得ることができる。
【0083】なお、上記第1の実施の形態においては、
第2の絶縁層13は、金属箔3,3、第1の絶縁層7およ
び電極9,9のそれぞれ露出した各側面にわたって形成
した構成について説明したが、成形体2の幅方向の対向
する側面にのみ形成した構成でもよいほか、金属箔3,
3の露出した各側面の少なくとも一面にわたって形成し
た構成、電極9,9の露出した各側面の少なくとも一面
にわたって形成した構成などでもよい。
【0084】また、上記第2の実施の形態においては、
第2の絶縁層28は、金属箔23,23、第1の絶縁層25およ
び電極26,26のそれぞれ露出した各側面にわたって形成
した構成について説明したが、成形体22の幅方向の対向
する側面にのみ形成した構成でもよいほか、金属箔23,
23の露出した各側面の少なくとも一面にわたって形成し
た構成、電極26,26の露出した各側面の少なくとも一面
にわたって形成した構成などでもよい。
【0085】なお、第2の絶縁層13,28を成形体2,22
の幅方向の対向する側面にのみ形成した構成であって
も、近接して位置する一対の金属箔3,3,23,23間の
近傍に第2の絶縁層13,28が位置するため、半田付けの
際に、これら金属箔3,3,23,23間が半田により架橋
されにくく、半田付けの際の短絡が生じにくい。
【0086】さらに、上記第1の実施の形態および第2
の実施の形態においては、第2の絶縁層13,28は、電極
9,9,26,26を形成した短冊片を所定寸法に切断した
後、この切断面に絶縁ペーストを塗布して形成すると説
明したが、まず、短冊片を所定寸法に切断してから、こ
の切断面に絶縁ペーストを塗布して第2の絶縁層13,28
を形成し、その後、電極9,9,26,26を形成してもよ
い。例えば、第2の実施の形態において、短冊片を得た
後、この短冊片をスリット部24のスリット方向に対して
直交する方向に沿って切断してから、この切断面に絶縁
ペーストを塗布して第2の絶縁層28を形成し、その後、
電極26,26を、例えばバレルメッキ法にて形成できる。
【0087】
【実施例】次のようにして製造した、上記第1の実施の
形態に係るPTC素子である実施例1と、PTC基板の
一部が露出している従来のPTC素子である比較例1と
を用いて、両者の電気的特性を測定して比較検討した。
【0088】実施例1および比較例1は、次のようにし
て製造した。
【0089】まず、カーボンブラックを高密度ポリエチ
レンに加圧ニーダを用いて加熱混練して分散させたPT
C組成物をペレット化し、このぺレットを押し出し成形
機によりシート化し、このシートの両面に厚さ寸法25
μmの金属箔であるニッケルメッキ箔を熱圧着すること
によって、幅寸法180mm、長さ寸法250mm、厚さ寸
法0.3mmの基板を得た。
【0090】次に、この基板にγ線を10Mrad照射
することで、高密度ポリエチレンを架橋した後、幅寸法
37mm、長さ寸法37mmのサイズにポンチを用いて打ち
抜いた。
【0091】次いで、この略正方形板状の基板の表面の
ニッケルメッキ箔に、エポキシ樹脂からなる絶縁ペース
トを縞状に165メッシュのスクリーンメッシュを用い
てスクリーン印刷にて塗布した後、120℃保持の恒温
槽に入れ乾燥硬化した。この印刷パターンは、幅寸法3
mm、長さ寸法30mmの縞状のパターンが、1.5mmの間
隔をおいて長さ方向に対して平行に6本並んだものであ
る。同様に、この基板の裏面のニッケルメッキ箔にも、
エポキシ樹脂からなる絶縁ペーストを縞状にスクリーン
印刷にて塗布した後、120℃保持の恒温槽に入れ乾燥
硬化したが、この裏面においては、縞状のパターンを、
縞状のパターン間の間隔部の長手方向の中心線が表面の
縞状のパターンの長手方向の中心線と対向するように位
置決めして形成した。
【0092】そして、表面の縞状のパターンの長手方向
の中心線と、裏面の縞状のパターン間の間隔部の長手方
向の中心線とに沿って、絶縁層を形成した基板をカッタ
を用いて切断して短冊片を得た。
【0093】次に、エポキシ樹脂からなる絶縁ペースト
をガラス板上にドクターブレード法により印刷した後、
この絶縁ペーストを短冊片の切断面である長手方向の両
側面に転写により塗布して、120℃保持の恒温槽に入
れ乾燥硬化して、この短冊片の両側面に絶縁層を形成し
た。
【0094】次いで、銀系の導電ペーストをガラス板上
に、上述のエポキシ樹脂からなる絶縁ペーストより厚め
にドクターブレード法により印刷した後、この導電ペー
ストに絶縁層を形成した短冊片の両側面をディップする
ことで、この導電ペーストを、絶縁層を覆うとともに基
板の表裏面に形成したニッケルメッキ箔に跨がるように
略コ字状に塗布して、150℃保持の恒温槽に入れ乾燥
硬化して、この短冊片の両側面に導電膜層を形成した。
【0095】そして、この導電膜層の表面に、電気メッ
キ法により、ニッケルメッキを行い、さらに、半田メッ
キを行って、電極を形成した。
【0096】次に、この短冊片の長手方向の両端から3
mmの部分を切断し廃棄した後、残りの部分を長さ方向に
沿って1.6mm間隔で切断して、比較例1を得た。
【0097】最後に、エポキシ樹脂からなる絶縁ペース
トを、ガラス板上にドクタープレード法により印刷した
後、比較例1の切断面に転写により塗布して、140℃
保持の恒温槽に入れ乾燥硬化して、絶縁層を形成し、実
施例1を得た。
【0098】このようにして製造した実施例1と比較例
1とをプリント基板上に半田付けでそれぞれ面実装し、
DC12Vを印加することで、トリップさせ、つまりP
TC特性を発現させ、このトリップ状態を320時間保
持したときの抵抗値変化を測定した。
【0099】この結果を図5に示す。なお、ここで測定
した抵抗値とは、印加を適宜休止した後、30分以上室
温に放置したときの素子抵抗値である。
【0100】この図5に示す結果をみると、印加時間が
100時間までは、実施例1と比較例1とでは、抵抗値
に差がみられず、両者とも安定した抵抗値を示してい
る。
【0101】しかし、印加時間100時間以降について
は、比較例1では抵抗値が徐々に上昇しているのに対
し、実施例1では抵抗値が印加時間300時間を越えて
も一定である。
【0102】よって、実施例1は、比較例1と比べて、
長期間安定した素子特性を示すことが確認できた。
【0103】一方で、上述のように製造した100個以
上の実施例1を、プリント基板上に半田付けで面実装し
てみたが、金属箔間が半田により架橋されず、金属箔間
の短絡の発生は認められなかった。
【0104】また、次のようにして製造した、上記第2
の実施の形態に係るPTC素子である実施例2と、PT
C基板の一部が露出している従来のPTC素子である比
較例2とについても、両者の電気的特性を測定して比較
検討した。その結果は、図示しないが、上述の実施例1
と比較例1との結果と同じであった。よって、実施例2
は、比較例2と比べて、長期間安定した素子特性を示す
ことが確認できた。
【0105】実施例2および比較例2は、次のようにし
て製造した。
【0106】まず、カーボンブラックを高密度ポリエチ
レンに加圧ニーダを用いて加熱混練して分散させたPT
C組成物をペレット化し、このぺレットを押し出し成形
機によりシート化し、このシートの両面に厚さ寸法25
μmの金属箔であるニッケルメッキ箔を熱圧着すること
によって、幅寸法180mm、長さ寸法250mm、厚さ寸
法0.3mmの基板を得た。
【0107】次に、この基板にγ線を10Mrad照射
することで、高密度ポリエチレンを架橋した後、幅寸法
37mm、長さ寸法37mmのサイズにポンチを用いて打ち
抜いた。
【0108】次いで、この略正方形板状の基板の表裏面
に、感光性レジストをスピンコート法により一定の厚さ
で膜状に形成し乾燥させた後、所定のマスクを配置して
選択的な露光・現像処理を行い、スリット部に対応する
位置のニッケルメッキ銅箔を塩化第二鉄水溶液にて溶解
除去した。その後、残存する感光性レジストを取り除い
た。
【0109】そして、この基板の表裏面に、エポキシ樹
脂系の感光性レジストを、スピンコート法により一定の
厚さで膜状に塗布して80℃で乾燥した後、スリット部
のスリット方向に対して直交する方向の感光性レジスト
の両端部を炭酸水素ナトリウム溶液にて溶解除去した。
【0110】次いで、プレス機を用いて、この基板をス
リット部のスリット方向に沿って所定間隔をおいて、切
断することで短冊片を得た。
【0111】そして、この短冊片の切断面とともにこの
短冊片の表裏面に位置するニッケルメッキ箔の各表面に
わたって略コ字状に電気メッキ法によりニッケルメッキ
を行い、さらに、半田メッキを行って、電極を形成し
た。
【0112】次いで、プレス機を用いて長さ寸法3.2
mm、幅寸法1.6mm、厚さ寸法0.5mmに切断して、比
較例2を得た。
【0113】最後に、エポキシ樹脂からなる絶縁ペース
トを、ガラス板上にドクタープレード法により印刷した
後、比較例2の切断面に転写により塗布して、140℃
保持の恒温槽に入れ乾燥硬化して、絶縁層を形成し、実
施例2を得た。
【0114】
【発明の効果】請求項1記載のPTC素子によれば、P
TC基板が露出しむきだしになっている部分がなく、P
TC基板が酸化、水分の吸収などによる悪影響を受けに
くいため、長期間安定した素子特性を得ることができ
る。また、近接して位置する一対の電極膜間の近傍に絶
縁層が位置するため、半田付けの際に、これら電極膜間
が半田により架橋されにくく、半田付けの際の電極膜間
の短絡を生じにくくできる。
【0115】請求項2記載のPTC素子によれば、PT
C基板が露出しむきだしになっている部分がなく、PT
C基板が酸化、水分の吸収などによる悪影響を受けにく
いため、長期間安定した素子特性を得ることができる。
また、近接して位置する一対の電極膜間の近傍に第2の
絶縁層が位置するため、半田付けの際に、これら電極膜
間が半田により架橋されにくく、半田付けの際の電極膜
間の短絡を生じにくくできる。
【0116】請求項3記載のPTC素子によれば、PT
C基板が露出しむきだしになっている部分がなく、PT
C基板が酸化、水分の吸収などによる悪影響を受けにく
いため、長期間安定した素子特性を得ることができる。
また、近接して位置する一対の電極膜間の近傍に第2の
絶縁層が位置するため、半田付けの際に、これら電極膜
間が半田により架橋されにくく、半田付けの際の電極膜
間の短絡を生じにくくできる。
【0117】請求項4記載のPTC素子によれば、請求
項1ないし3いずれかに記載のPTC素子の効果に加
え、絶縁層を、絶縁性ペーストを塗布することより設け
るので、容易に膜状にできる。
【0118】請求項5記載のPTC素子によれば、請求
項2ないし4いずれかに記載のPTC素子の効果に加
え、第2の絶縁層を電極膜の露出した各側面にわたって
それぞれ設けるため、PTC基板と電極膜との境界面か
らの酸素、水などの吸収を防止でき、しかも、半田付け
の際の電極膜間の短絡を防止できる請求項6記載のPT
C素子によれば、スリット部をPTC基板のそれぞれ反
対側の端部近傍に位置して設けるため、主電極膜の対向
する面積を大きくでき、電流の流れるPTC基板の面積
を増大させ、抵抗値を低下させ、大きな保持電流を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のPTC素子を示す
一部を切り欠いた斜視図である。
【図2】同上PTC素子を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態のPTC素子を示す
一部を切り欠いた斜視図である。
【図4】同上PTC素子を示す断面図である。
【図5】本発明のPTC素子の実施例1の印加時間と抵
抗値変化率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,21 PTC素子 2,22 PTC基板である成形体 3,23 電極膜である金属箔 7,25 第1の絶縁層 9,26 電極 13,28 第2の絶縁層 23a 主電極膜 23b 副電極膜 24 スリット部

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結晶性高分子中に導電性粒子を分散した
    PTC組成物で略矩形板状に成形されたPTC基板と、 このPTC基板の両端にそれぞれ設けられた一対の電極
    と、 前記PTC基板の表裏面に対向して設けられ、前記電極
    の異なるいずれか一方に電気的にそれぞれ接続された対
    をなす金属膜状の電極膜と、 前記電極および前記電極膜の少なくともいずれにも覆わ
    れていない前記PTC基板の少なくとも一部を覆う絶縁
    層とを具備したことを特徴とするPTC素子。
  2. 【請求項2】 結晶性高分子中に導電性粒子を分散した
    PTC組成物で略矩形板状に成形されたPTC基板と、 このPTC基板の表裏面にそれぞれ略全面にわたって設
    けられた対をなす金属膜状の電極膜と、 前記PTC基板の表裏面の一面の一端側および表裏面の
    他面の他端側に積層しない部分を形成しつつ前記電極膜
    の各表面に略全面にわたって積層されるとともに前記P
    TC基板の対向する側面に連続して設けられた第1の絶
    縁層と、 これら第1の絶縁層が形成された前記PTC基板の対向
    する側面の前記第1の絶縁層上に積層してそれぞれ設け
    られ、これら第1の絶縁層に覆われていない前記電極膜
    の異なるいずれか一方に電気的にそれぞれ接続された一
    対の電極と、 前記第1の絶縁層に覆われていない前記PTC基板の側
    面に設けられた第2の絶縁層とを具備したことを特徴と
    するPTC素子。
  3. 【請求項3】 結晶性高分子中に導電性粒子を分散した
    PTC組成物で略矩形板状に成形されたPTC基板と、 このPTC基板の表裏面にそれぞれ略全面にわたって対
    をなして設けられ、スリット部によりそれぞれ電気的に
    分断された主電極膜およびこの主電極膜より面積の小さ
    い副電極膜を有し、前記主電極膜同士が略対向する金属
    膜状の電極膜と、 前記スリット部のスリット方向に対して略平行に位置す
    る前記PTC基板の対向する側面にそれぞれ設けられ、
    前記電極膜の主電極膜の異なるいずれか一方に電気的に
    それぞれ接続された一対の電極と、 前記電極膜の表面および前記スリット部にて露出した前
    記PTC基板の表裏面を覆う第1の絶縁層と、 前記電極に覆われていない前記PTC基板の側面を覆う
    第2の絶縁層とを具備したことを特徴とするPTC素
    子。
  4. 【請求項4】 絶縁層は、絶縁性ペーストが塗布される
    ことにより設けられたことを特徴とする請求項1ないし
    3いずれかに記載のPTC素子。
  5. 【請求項5】 第2の絶縁層は、対をなす電極膜の露出
    した各側面にわたってそれぞれ設けられたことを特徴と
    する請求項2ないし4いずれかに記載のPTC素子。
  6. 【請求項6】 スリット部は、PTC基板の表裏面のそ
    れぞれ反対側の端部近傍に位置して設けられたことを特
    徴とする請求項3記載のPTC素子。
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