JPH1183535A - 機器の精度管理方法及び装置 - Google Patents

機器の精度管理方法及び装置

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JPH1183535A
JPH1183535A JP9241422A JP24142297A JPH1183535A JP H1183535 A JPH1183535 A JP H1183535A JP 9241422 A JP9241422 A JP 9241422A JP 24142297 A JP24142297 A JP 24142297A JP H1183535 A JPH1183535 A JP H1183535A
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BUNSEKI KIKI KOSEI KYODO KUMIAI
KOKURITSU IYAKUHIN SHOKUHIN EI
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BUNSEKI KIKI KOSEI KYODO KUMIA
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ノイズの性質を確率論的に取り扱
う精度評価理論による自動化、標準化された機器の精度
管理方法及び装置の提供を目的とする。 【解決手段】 本発明は、ある測定対象に高々1回の測
定により信号パラメータ及びノイズパラメータを決定
し、これらのパラメータの測定対象依存性を夫々階層的
に扱い、従来は複数の繰り返し測定でのみ知り得た精
度、検出限界等の統計量を予測し、日常点検に適した汎
用的な機器の精度管理方法及び装置を実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、機器の精度管理の
方法及び装置に係わり、特に、例えば、分析機器等の機
器が正常に動作しているかどうかを評価するため機器の
精度を得る方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、分析のような測定の信頼
性保証の重要性が一般的に認識されている。かかる測定
の信頼性を保証するためには、測定に用いる機器の校
正、管理或いはバリデーションが必要とされている。ま
た、分析機器の日常の管理時に異常を検出するため機器
の精度管理を行うことが望まれている。このような背景
に対応して、機器の校正、管理或いはバリデーションに
関する開発研究が行われている。
【0003】以下、機器、特に、分析機器の典型的な例
であるHPLC(高速液体クロマトグラフィ)に関する
従来の精度管理について説明する。HPLCは、測定デ
ータを電気信号として出力し、インテグレータ等の測定
器でその電気信号が解析され、その解析結果に基づいて
分析機器の精度が評価される。HPLCの評価方法とし
て、例えば、JAIMAS(日本分析機器工業会)の規
定によるHPLCの校正方法が知られている。
【0004】定量分析法の能力を判断する際の普遍的な
基準として定量精度があり、分析機器の精度の基準とし
て定量値の相対標準偏差(RSD)を用いることが可能
である。従来のRSDを求める一つの方法は、例えば、
ある種のHPLCの条件で夫々5回ずつ繰り返し実験を
行なう。1回の実験に要する時間を15分とすると、5
回の繰り返しに要する時間は75分である。しかし、統
計学的には約40回程度の繰り返し実験(所要時間は1
0時間に達する)が必要であると言われているため、5
回の繰り返し実験では充分な精度が得られないと考えら
れる。しかし、5回の繰り返し実験だけでも約75分を
要するので、かかる繰り返し実験を行うためには、必要
な時間及び労力が膨大になる。
【0005】そこで、繰り返し実験なしに精度を得る方
法が求められている。そのため、最終出力である電気信
号のノイズとシグナルの確率論的性質を調べることによ
り、測定データの精度を評価する理論が、林 譲、松田
りえ子:Anal. Chem, 66,2874(1994)に提案されてい
る。この理論では、誤差原因に言及することなく測定機
器のバックグラウンドノイズに着目することにより、殆
どすべての測定機器ノイズは1/f揺らぎという共通の
性質を持つことに依拠して、定量精度RSDと1/f揺
らぎとの数学的関係が明らかにされている。さらに、こ
の理論では、殆どすべての分析機器の精度は一つの基本
的数式で記述できるので、多くの分析機器の最適化や評
価を統一的に行えることが指摘されている。また、ノイ
ズの性質を確率論的に扱うことにより、測定に伴う誤差
の程度を予測し、測定条件を最適化する方法論が提案さ
れている。
【0006】より具体的に言うと、上記理論から直接導
き出せる分析能パラメータは、併行精度(repeatabilit
y) 、検出限界(detection limit) 及び定量限界(quanti
tation limit)である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の繰り返し実
験型の精度評価方法の場合、繰り返しの回数が増大する
と共に、時間的コスト及び費用的コストが増大する。従
って、1回の測定に長い時間を有する分析機器の日常の
点検の際に繰り返し実験を行うことは実際上不可能であ
る。
【0008】一方、ノイズの性質を確率論的に扱う上記
の理論によれば、繰り返し測定を行う必要が無くなり、
精度評価のために要する時間的及び費用的コストの低下
が期待できる。しかし、日常の点検に利用でき、機器の
個体差、利用者の個人差等の影響を受けない標準的かつ
汎用的な機器の精度管理技術を確立するためには、上記
の理論が自動的に実現される客観的な精度評価が必要で
ある。
【0009】更に、精度管理装置の信頼性向上、標準
化、汎用性を高め、国家計量標準へのトレーサビリティ
を得ることが必要である。従って、本発明は、上記従来
技術における課題を解決するため、ノイズの性質を確率
論的に取り扱う精度評価理論による自動化、標準化され
た機器の精度管理方法及び装置の提供を目的とする。
【0010】また、機器の電気信号を測定データに変換
するマルチメータは、温度、湿度の影響を受けやすく、
或いは、マルチメータの個体差に起因して測定値にばら
つきを生じ、機器の精度管理の正確さがマルチメータの
動作条件に依存する傾向がある。このため、従来、マル
チメータにより高い精度で電気信号を測定するには、温
度及び湿度等の環境条件が管理された校正室にマルチメ
ータを含む精度管理装置を設置しなければならないた
め、精度管理作業を日常的に簡便に行うことが困難であ
る。
【0011】従って、本発明は、機器の精度管理の正確
さを確保するため機器に接続される測定装置を一定の動
作環境に維持すると共に、機器の精度管理の標準化及び
汎用性を得るため、ポータブルな精度管理装置の実現を
目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】図1は本発明の原理を説
明する図である。本発明は、シグナル及びノイズを含む
測定値を出力する機器の精度を評価し、機器の正常な動
作を保証する機器の検証・校正システムにおいて、シグ
ナルの測定対象依存性を表わす量とノイズパラメータの
測定対象依存性を表わす量とを組み合わせて上記機器の
精度を得る(ステップ31)ことを特徴とする機器の精
度管理方法である。
【0013】上記シグナルの測定対象依存性を表わす量
は、上記機器により測定対象についてサンプルを測定す
ることにより上記シグナルを取得し(ステップ11)、
上記測定対象について得られた上記シグナルから上記測
定対象についてのシグナルの統計量を計算し(ステップ
12)、測定対象について得られた上記シグナルの統計
量を組み合わせる(ステップ13)ことにより得られ
る。
【0014】上記ノイズパラメータの測定対象依存性を
表わす量は、上記機器により測定対象についてバックグ
ラウンドノイズのパワースペクトルを測定することによ
りノイズパラメータを取得し(ステップ21)、上記測
定対象について得られた上記ノイズパラメータから上記
測定対象についてのノイズパラメータの統計量を計算し
(ステップ22)、測定対象について得られた上記ノイ
ズパラメータの統計量を組み合わせる(ステップ23)
ことにより得られる。
【0015】このように、本発明の機器の精度管理方法
によれば、ある測定対象の測定によりシグナル及びノイ
ズに関するパラメータを決定し、シグナルの測定対象依
存性及びノイズパラメータの測定対象依存性を夫々階層
的に扱い、従来は複数の繰り返し測定でのみ知り得た精
度、検出限界等の統計量を予測し、日常点検に適した汎
用的な機器の精度管理方法及び装置を実現する。
【0016】本発明によれば、ある測定対象についての
1回の測定に基づいて精度、検出限界等の統計量を予測
することが可能である。また、ある測定対象について複
数回の測定を行うことにより、シグナル及びノイズに関
するパラメータの統計量を求め、得られたシグナル及び
ノイズに関するパラメータの統計量を用いて精度、検出
限界等の統計量が予測される。
【0017】上記ノイズパラメータは、上記バックグラ
ウンドノイズをパワースペクトルに変換し、上記パワー
スペクトルをホワイトノイズ及びマルコフ過程に近似
し、上記ホワイトノイズから1個のノイズパラメータを
取得し、上記マルコフ過程から2個のノイズパラメータ
を取得することにより得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】図2は本発明の機器の精度管理装
置の原理的な構成図である。シグナル及びノイズを含む
電気信号を出力する機器の精度を評価し、機器の正常な
動作を保証する機器10の検証・校正システムにおける
本発明の機器の精度管理装置2は、マルチメータ12、
精度評価手段14及びポータブル校正手段16とからな
る。
【0019】上記マルチメータ12は、上記機器10に
接続され、上記機器10から出力された電気信号を測定
し、上記電気信号に対応した測定値を発生する。上記精
度評価手段14は、上記マルチメータ12に接続され、
上記マルチメータ12から上記測定値を受け、上記機器
10の精度を得る。上記ポータブル校正手段16は、上
記マルチメータ12を収容し、温度調整手段18及び湿
度調整手段20が設けられている。
【0020】本発明の機器の精度管理装置2によれば、
上記ポータブル校正手段16が設けられているので、移
動が困難な大型の分析機器の精度管理にも適用される。
ノイズの性質を確率的に取り扱って精度を得る上記精度
評価手段14は、測定対象について上記マルチメータか
ら受けた測定値に含まれるシグナルの積分量を生成する
積分手段22と、測定対象について得られたシグナルの
積分量からシグナルの統計量を得る手段24と、測定対
象について得られた上記シグナルの統計量からシグナル
の測定対象依存性を表わす量を得る手段26と、上記マ
ルチメータから受けた測定値に含まれるノイズのパワー
スペクトルを生成するフーリエ変換手段28と、測定対
象について上記フーリエ変換手段28により得られたパ
ワースペクトルからノイズパラメータを得る手段30
と、測定対象について得られた上記ノイズパラメータか
らノイズパラメータの統計量を得る手段32と、測定対
象について得られた上記ノイズパラメータの統計量から
ノイズパラメータの測定対象依存性を表わす量を得る手
段34と、上記シグナルの測定対象依存性を表わす量と
上記ノイズパラメータの測定対象依存性を表わす量とを
組み合わせて、上記機器の精度を得る手段36とを有す
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の第1の実施例によるクロマト
グラフィの精度管理方法における精度予測について説明
する。本発明の第1の実施例による精度予測は、機器の
シグナルとノイズから精度を予測する。日本薬局方に依
る分析能パラメータの中で、上記のノイズの性質を確率
論的に扱う理論により直接導き出せる分析能パラメータ
は、併行精度、検出限界及び定量限界である。
【0022】上記精度予測により提供されるシグナルに
関係するパラメータは、(s1)測定値(インテグレー
タの積分領域の設定)、(s2)スムージング後の測定
値、(s3)クロマトグラフィパラメータ(分離度
等)、(s4)測定値の統計量(平均、標準偏差、相対
標準偏差)及び(s5)検量線、即ち、シグナルの濃度
依存性である。
【0023】上記精度予測により提供されるノイズに関
係するパラメータは、(n1)上記理論におけるノイズ
パラメータ、(n2)ノイズパラメータの統計量(平
均、標準偏差、相対標準偏差)及び(n3)分散性(sce
dasticity)、即ち、ノイズパラメータの濃度依存性であ
る。更に、シグナルとノイズの両方に関係する量は、
(f1)精度曲線(目的物質の分析精度、検出限界、相
対標準偏差)、(f2)理論と実測の相関(散布図)及
び(f3)検量線の信頼区間である。
【0024】ここで、本発明の第1の実施例によれば、
シグナルに関してパラメータが階層構造をなすだけでは
なく、シグナルとノイズの両方が階層的に扱われる点に
注意する必要がある。図3は本発明の第1の実施例によ
る分析能パラメータの階層的構造を説明する図である。
上記の説明では、シグナル及びノイズに関するパラメー
タとして、夫々、測定値の統計量及びノイズパラメータ
の統計量が示されている。これらの統計量は、一般に複
数回の測定により得られるが、本発明の第1の実施例に
おいて、測定回数は複数回に限定されることなく、1回
の測定でも構わない。測定回数が1回のときには、例え
ば、平均は1回だけ測定された値とし、分散はゼロとみ
なすことにより、複数回の測定の場合と同様に取り扱っ
てもよい。
【0025】同図に示されたファイル111、112・
・・は、夫々一つのデータを意味する。例えば、ある測
定対象、即ち、ある濃度のサンプルから得られたクロマ
トグラムのテキストファイルである。このファイル中の
目的物質のピークから一つのシグナルが得られる。図4
は、本発明の第1の実施例によるシグナルパラメータの
階層的な処理を表わすフローチャートである。
【0026】最初に、データ解析の方法が指定される
(ステップ51)。例えば、ピークの全体を積分するか
若しくは一部を積分するか、又は、ピークのどの位置で
高さを測定するかが入力される。次に、ファイルに入っ
ているシグナルデータにノイズが多く含まれるかどうか
が判定される(ステップ52)。ノイズが多く含まれる
場合には、スムージングが行われる(ステップ53)。
ノイズが多くは含まれない場合、若しくは、スムージン
グが行われた後に、ピークの最大値の位置、クロマトグ
ラフィに特有の分離度及び理論段数等のパラメータが得
られる(ステップ54)。
【0027】一つのファイル毎に一つのシグナルが得ら
れるので、ある濃度でのデータ(ファイル)が幾つかあ
る場合に、その濃度におけるシグナルの統計量(平均、
標準偏差SD、RSD)が計算される(ステップ5
5)。更に、異なる濃度でのシグナル又はシグナルの平
均値を利用して、検量線が引かれる(ステップ56)。
【0028】従って、シグナルに関するパラメータは、 測定値 -----> 一つの濃度での統計量 -----> 検量
線 の様に階層的になる。検量線はシグナルの大きさがどの
ように濃度に依存するかを表わす。図5は本発明の第1
の実施例によるノイズパラメータの階層的な処理のフロ
ーチャートである。ノイズパラメータは、ノイズの性質
を確率論的に取り扱う上記の理論に従って処理される。
【0029】最初に、一つのノイズデータ(ファイル)
をフーリエ変換することによって、ホワイトノイズの標
準偏差と、マルコフ過程の標準偏差及び自己相関パラメ
ータとからなる三つのノイズパラメータが得られる(ス
テップ61)。上記のノイズパラメータは同じ測定条件
で記録されたバックグラウンドノイズであっても少しず
つ異なるノイズパラメータを与える。従って、ノイズパ
ラメータの統計量が得られる(ステップ62)。例え
ば、2048ポイントのノイズデータ(ファイル)が複
数あれば、ホワイトノイズの標準偏差値のばらつき(S
D)が求められる。
【0030】クロマトグラフィでは、シグナルの形はピ
ーク状(ガウス型)をなすため、シグナルの上に現れる
ノイズの様子が観測できない。そこで、低濃度の時のシ
グナルのばらつきはベースラインノイズに起因し、高濃
度の時のばらつきはインジェクション誤差に起因すると
仮定する。また、ベースラインノイズの大きさ(三つの
ノイズパラメータ)は濃度に依らず一定であると考え
る。HPLCの場合には、これらの仮定に基づいて広い
濃度での精度を得ることが可能になる。これに対し、原
子吸光分析のシグナルは矩形波であるため、シグナル状
のノイズを観測することが可能である。そこで、ノイズ
パラメータの濃度依存性を求める(ステップ63)。こ
のために、「ノイズの濃度」としてノイズデータを分類
する。実際上、ノイズデータは同じ濃度のシグナルデー
タでもあるため、このデータをある区間で積分すること
により原子吸光分析の測定値が得られる。
【0031】ここで、ノイズパラメータの濃度依存性を
分散性と称する。ノイズパラメータが濃度に関して一定
であれば、等分散であり、濃度依存性があれば非等分散
と言う。上記の例では、HPLCは等分散であり、原子
吸光分析は非等分散である。このように分散性は、ノイ
ズの大きさの濃度依存性を表すので、ノイズの分散性は
シグナルの検量線と対応する。
【0032】従って、ノイズパラメータの階層構造は、 ノイズパラメータ -----> 一つの濃度での統計量 --
---> 分散性 の様に表される。検量線と分散性とが得られると、次
に、精度予測理論に特有な量である精度曲線を求めるこ
とが可能になる。図6はHPLCの場合の精度曲線を模
式的に表したグラフである。同図に示された精度曲線に
より、ある濃度のサンプルの測定精度が分かる。更に、
検出限界(33%RSD)及び定量限界(10%RS
D)の濃度も直ちに分かる。
【0033】分散性と検量線の概念は、共に検出限界の
定義に含まれている。どちらも重要な分析化学量であ
る。検出限界は繰り返し測定を行うことによりその測定
値の標準偏差から計算することが可能である。しかし、
繰り返し測定では測定のため時間がかかりすぎる。これ
に対し、本発明の第1の実施例の精度管理方法によれ
ば、1回だけの測定から検出限界を得ることが可能であ
る。
【0034】以上説明したように、分析化学量には階層
があることが分かる。検出限界を計算するためには、分
散性及び検量線が必要である。分散性若しくは検量線を
得るためには、異なった濃度における測定が必要にな
る。図7は、HPLCの内部標準法のSDについて、繰
り返し測定により得られた値と、本発明の第1の実施例
の精度予測により予測された値との相関を表わす散布図
である。同図を参照するに、本発明の第1の実施例は、
機器測定だけの精度を予測し得るのみならず、ピペット
を用いた内部標準物質の添加及び機器測定を組み合わせ
た内部標準法の定量精度をかなり正確に予測できること
が分かる。
【0035】検量線は、同じ測定条件で作成しても、作
成する毎に少しずつばらつくことが知られている。この
ばらつきは検量線の日間変動に相当する。この日間変動
は、統計的、若しくは、本発明の第1の実施例の精度予
測に従って予測可能であり、検量線の信頼区間と称され
る。図8は95%信頼区間の例であり、信頼区間は、点
線------で示される。同じ条件で多数の検量線を作成し
たとき、すべての検量線の中の95%がこの信頼区間に
含まれる。検量線は中程の点(x、y)を中心にして回
転するようにばらつくので、信頼区間は中程が狭くな
る。この信頼区間の予測のためには、ノイズの分散性の
概念を用いることが必要である。従って、検量線の信頼
区間は、検量線と分散性の上位の最も高い階層にある。
【0036】上記本発明の第1の実施例は、分離分析の
分野における液体クロマトグラフィを例として説明した
が、本発明の精度管理方法は、機器分析の広い分野に適
用することが可能であり、上記本発明の第1の実施例の
説明に限定されることはない。本発明の精度管理方法
は、上記の分離分析、分光分析、質量分析、又は、NM
R等の機器分析に適用される。詳述すれば、分離分析に
は、液体クロマトグラフィ、キャピラリ電気泳動及びガ
スクロマトグラフィが含まれる。また、液体クロマトグ
ラフィにおける検出器としては、光電子増倍管、フォト
ダイオードアレイ、示差屈折計、電気伝導度計又は電気
化学検出器が使用され得る。
【0037】更に、本発明の精度管理方法が適用可能な
分光分析には、原子吸光、蛍光分析、可視・紫外吸収分
析及びICP発光分析が含まれる。図9は本発明の第2
の実施例による分析機器用の精度管理システムの構成図
である。同図に示す如く、精度管理システムは、精度を
管理されるべき分析機器10、校正装置40、例えば、
インテグレータのような記録計42及びプリンタ44か
らなる。記録計42は、通常の動作時には分析機器10
に接続され、分析機器10から出力された信号を記録す
る。
【0038】校正装置40は、分析機器10からの信号
を受け、測定値として出力するマルチメータ12と、マ
ルチメータ12から出力された測定値を受け、分析機器
の精度を予測する精度管理部14とを有する。精度管理
部14は、上記本発明の第1の実施例において説明した
精度予測を行う。校正装置40は、精度管理部14と記
録計42との間に接続され、記録計42に信号を供給す
るファンクションジェネレータ15を更に有する。精度
管理部14は、記録計42の精度を確認するため、ファ
ンクションジェネレータ15に擬似的な信号を発生させ
る。ファンクションジェネレータ15から発生された擬
似的な信号は、記録計42に入力され、記録計42を動
作させる。擬似的な信号に対する記録計42の動作を監
視することにより、記録計42の精度が確認される。
【0039】プリンタ44は精度予測部14により処理
されたデータを印刷するため設けられる。校正装置40
は、断熱材で被われ、調湿シートにより調湿され、温度
センサにより調温される。温度センサは、例えば、Pt
100のような測温抵抗体、熱電対又はサーミスタによ
り形成され、±0.1°Cの範囲内でコントロールされ
る。
【0040】上記本発明の第2の実施例による校正装置
40は、マルチメータ12、ファンクションジェネレー
タ15、及び、例えば、パーソナルコンピュータを含む
精度管理部14を一体的に内蔵し携帯可能である。これ
により、精度管理されるべき分析機器10が設置されて
いる場所に校正装置40を持ち込み、客観的、正確な精
度管理を行うことが可能である。
【0041】図10は本発明の第3の実施例による電気
計測用精度管理システムの構成図である。同図に示され
た電気計測用精度管理システムは、モデム伝送路の品質
の調査及び校正を行う。校正装置40は、マルチメータ
12及び精度管理部14を含む。マルチメータ12は、
モデム45の受信部46の分離増幅器から出力されたア
ナログ信号を測定するようモデム45の受信部46に接
続される。このような構成によれば、精度管理部14
は、マルチメータ12を介して、モデム45の受信部4
6のシグナル及びベースのノイズを測定することが可能
である。
【0042】本発明の第3の実施例において測定される
ベースのノイズは、ホワイトノイズから1/f揺らぎへ
と連続的に変化する性質を有するため、本発明の精度管
理方法を適用してモデムの試験、例えば、エラー発生率
の調査を行うことが可能である。上記の説明では、本発
明の第3の実施例の電気計測用精度管理システムは、モ
デムの試験に適用されているが、本システムは、かかる
実施例に限定されることなく、例えば、以下に列挙する
ように伝送系における通信品質試験に広く適用される。 (1)メタル伝送路(電線)におけるモデム等の通信機
器のエラー発生率の調査、校正 ・メタル伝送路自体の品質調査、校正 ・モデム等の通信機器の受信部、送信部の品質調査、校
正 (2)光ファイバ伝送路におけるモデム等の通信機器の
エラー発生率の調査、校正 ・光ファイバ伝送路自体の品質調査、校正 ・モデム等の通信機器の発光部及び受光部の品質調査、
校正 (3)電磁波伝送におけるモデム等の通信機器のエラー
発生率の調査、校正 ・電磁波伝送自体の品質調査、校正 ・モデム等の通信機器の送信部及び受信部の品質調査、
校正 図11は本発明の第4の実施例による校正装置の外形を
表わす斜視図である。同図に示される如く、校正装置5
0は、空調ユニット内蔵ケース51、ファンクションジ
ェネレータ53、マルチメータ54、空調システム55
及び取っ手57により構成される。
【0043】
【発明の効果】上記説明したように、本発明によれば、
機器の精度管理の際に、校正項目が自動化、標準化さ
れ、国家計量標準にトレーサブルな機器精度管理が行え
る利点がある。更に、検査室に持ち込み得る高精度な校
正室が得られる。また、本発明によれば、精度管理が自
動化されるので、個人誤差、機器差の排除された客観的
な機器の精度評価が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】本発明による機器の精度管理装置の原理構成図
である。
【図3】本発明の第1の実施例による分析能パラメータ
の階層的構造を表わす図である。
【図4】本発明の第1の実施例によるシグナルパラメー
タの階層的な処理のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例によるノイズパラメータ
の階層的な処理のフローチャートである。
【図6】HPLCの精度曲線の例である。
【図7】HPLCの内部標準法のSDについての散布図
である。
【図8】検量線の信頼区間の例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施例による分析機器用精度管
理システムの構成図である。
【図10】本発明の第3の実施例による電気計測用精度
管理システムの構成図である。
【図11】本発明の第4の実施例による校正装置の外形
図である。
【符号の説明】
2 精度管理装置 10 機器 12 マルチメータ 14 精度評価手段 15 ファンクションジェネレータ 16 ポータブル校正手段 18 温度調整手段 20 湿度調整手段 22 シグナル積分手段 24 シグナル統計量取得手段 26 シグナル測定対象依存性取得手段 28 フーリエ変換手段 30 ノイズパラメータ取得手段 32 ノイズパラメータ統計量取得手段 34 ノイズパラメータ測定対象依存性取得手段 36 精度取得手段 40,50 校正装置 42 記録計 44 プリンタ 45 モデム 46 受信部 51 空調ユニット内蔵ケース 53 ファンクションジェネレータ 54 マルチメータ 55 空調システム 57 取っ手

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シグナル及びノイズを含む測定値を出力
    する機器の精度を評価し、機器の正常な動作を保証する
    機器の検証・校正システムにおいて、 シグナルの測定対象依存性を表わす量とノイズパラメー
    タの測定対象依存性を表わす量とを組み合わせて上記機
    器の精度を得る機器の精度管理方法であって、 上記シグナルの測定対象依存性を表わす量は、 上記機器により測定対象についてサンプルを測定するこ
    とにより上記シグナルを取得し、 該測定対象について得られた上記シグナルから該測定対
    象についてのシグナルの統計量を取得し、 測定対象について得られた上記シグナルの統計量を組み
    合わせることにより得られ、 上記ノイズパラメータの測定対象依存性を表わす量は、 上記機器により測定対象についてバックグラウンドノイ
    ズのパワースペクトルを測定することによりノイズパラ
    メータを取得し、 該測定対象について得られた上記ノイズパラメータから
    該測定対象についてのノイズパラメータの統計量を取得
    し、 測定対象について得られた上記ノイズパラメータの統計
    量を組み合わせることにより得られることを特徴とする
    機器の精度管理方法。
  2. 【請求項2】 上記ノイズパラメータは、 上記バックグラウンドノイズをパワースペクトルに変換
    し、 上記パースペクトルをホワイトノイズ及びマルコフ過程
    に近似し、上記ホワイトノイズから1個のノイズパラメ
    ータを取得し、上記マルコフ過程から2個のノイズパラ
    メータを取得することにより取得されることを特徴とす
    る請求項1記載の機器の精度管理方法。
  3. 【請求項3】 シグナル及びノイズを含む電気信号を出
    力する機器の精度を評価し、機器の正常な動作を保証す
    る機器の検証・校正システムにおいて、 上記機器に接続され、上記機器から出力された電気信号
    を測定し、上記電気信号に対応した測定値を発生するマ
    ルチメータと、 上記マルチメータに接続され、上記マルチメータから上
    記測定値を受け、上記機器の精度を得る精度評価手段
    と、 上記マルチメータを収容し、温度調整手段及び湿度調整
    手段が設けられたポータブル校正手段とからなることを
    特徴とする機器の精度管理装置。
  4. 【請求項4】 上記精度評価手段は、 測定対象について上記マルチメータから受けた測定値に
    含まれるシグナルの積分量を生成する積分手段と、 測定対象について得られた複数のシグナルの積分量から
    シグナルの統計量を得る手段と、 複数の測定対象について得られた上記シグナルの統計量
    からシグナルの測定対象依存性を表わす量を得る手段
    と、 上記マルチメータから受けた測定値に含まれるノイズの
    パワースペクトルを生成するフーリエ変換手段と、 測定対象について上記フーリエ変換手段により得られた
    パワースペクトルからノイズパラメータを得る手段と、 測定対象について得られた複数の上記ノイズパラメータ
    からノイズパラメータの統計量を得る手段と、 複数の測定対象について得られた上記ノイズパラメータ
    の統計量からノイズパラメータの測定対象依存性を表わ
    す量を得る手段と、 上記シグナルの測定対象依存性を表わす量と上記ノイズ
    パラメータの測定対象依存性を表わす量とを組み合わせ
    て、上記機器の精度を得る手段とを有することを特徴と
    する請求項3記載の機器の精度管理装置。
  5. 【請求項5】 シグナル及びノイズを含む電気信号を出
    力する機器の精度を評価し、機器の正常な動作を保証す
    る機器の検証・校正システムにおいて、 測定対象について上記マルチメータから受けた測定値に
    含まれるシグナルの積分量を生成させる積分プロセス
    と、 測定対象について得られた複数のシグナルの積分量から
    シグナルの統計量を得させるプロセスと、 複数の測定対象について得られた上記シグナルの統計量
    からシグナルの測定対象依存性を表わす量を得させるプ
    ロセスと、 上記マルチメータから受けた測定値に含まれるノイズの
    パワースペクトルを生成させるプロセスと、 測定対象について上記生成されたパワースペクトルから
    ノイズパラメータを得させるプロセスと、 測定対象について得られた複数の上記ノイズパラメータ
    からノイズパラメータの統計量を得させるプロセスと、 複数の測定対象について得られた上記ノイズパラメータ
    の統計量からノイズパラメータの測定対象依存性を表わ
    す量を得させるプロセスと、 上記シグナルの測定対象依存性を表わす量と上記ノイズ
    パラメータの測定対象依存性を表わす量とを組み合わせ
    て、上記機器の精度を得させるプロセスとを有すること
    を特徴とする機器の精度管理プログラムを記録した記録
    媒体。
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