JPH1182476A - 複合材ロール - Google Patents

複合材ロール

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Publication number
JPH1182476A
JPH1182476A JP26108497A JP26108497A JPH1182476A JP H1182476 A JPH1182476 A JP H1182476A JP 26108497 A JP26108497 A JP 26108497A JP 26108497 A JP26108497 A JP 26108497A JP H1182476 A JPH1182476 A JP H1182476A
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JP
Japan
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composite material
roll
rubber layer
conductive rubber
material roll
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Pending
Application number
JP26108497A
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English (en)
Inventor
Masayuki Saito
正幸 斉藤
Katsuji Ito
勝治 伊藤
Tadahiro Nishimoto
忠弘 西本
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Mitsubishi Chemical Corp
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd, Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】薄肉でたわみ量が少なく高精度で高速回転可能
なCFRPロールの特徴を損なうことなく、非汚染性、
耐摩耗性が兼ね備えられたCFRPロールを、高生産性
で安価に提供すること。 【解決手段】繊維補強樹脂複合材ロール基体の表面に、
フッ素樹脂微粒子及び金属酸化物微粒子を分散した、導
電性ゴム層を設けた複合材ロールであって、フッ素樹脂
微粒子を導電性ゴム層を構成するゴム材料100重量部
に対して30〜300重量部の割合で、また金属酸化物
微粒子を導電性ゴム層を構成するゴム材料100重量部
に対して30〜500重量部の割合で分散したことを特
徴とする複合材ロール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽量かつ高剛性を
有する繊維補強樹脂複合材ロールに関し、特に高速で回
転し、被処理物による耐摩耗性、防汚染性が要求される
ロールに関するものである。更に詳しくは、印刷機、製
紙機械、紙工機械、フィルム製造機、フィルム加工機械
等の、摩耗し易く、被処理物により汚れる箇所に用いら
れるロールに関する。
【0002】
【従来の技術】印刷機関係、製紙工業、紙加工業、フィ
ルム製造・加工業において使用されているロールはこれ
まで鉄製が主である。近年製造業では生産性の向上が求
められ、ロールが用いられる装置ではロールの高速回転
が求められている。しかし、基材が鉄であるロールは重
量が大きく、そのためロールが長くなるにつれて自重に
よりたわみが増す。また、慣性モーメントが大きいた
め、回転速度の変更に時間がかかり、被処理物の非定常
ロスを生じる。ロールの重量が大きいため、被処理物に
高い張力がかかり、薄いフィルム等への適用が困難であ
る。また、印刷機等では、ロールの回転の精度等が上げ
られない。そのために、ロールはより軽量で低たわみ量
であることが求められている。軽量化を行うために、ア
ルミニウム等の軽金属が基材として用いられることがあ
る。しかし、アルミニウムは鉄に比較して弾性率が低
く、鉄と同等のたわみ量にするためには材料の厚みを増
さなければならず、実際には重量を軽減することはでき
ない。最近は、炭素繊維補強樹脂複合材(CFRP)を
基材とするロールも一部使用されている。
【0003】次に、各産業分野で用いられるロールは被
処理物と接触するために、表面の摩耗が問題となる。一
般に、鉄を基材とするロールでは、ハードクロムメッキ
処理が行われている。また、セラミックの熔射による処
理等も行われている。これらのものは耐摩耗性を備えて
いる。一方、CFRPそのものは鉄に対し耐摩耗性が劣
る。そのため従来は、CFRPロールの表面にはメッキ
を施したり、セラミックを熔射したり、金属クラッドを
嵌合したりしてきた。従来の金属製ロール等に行われて
きたメッキやセラミック熔射等の表面処理は、それらの
処理原理からロール基体に熱がかかることになる。しか
し、CFRPはマトリックスが樹脂であるため、樹脂の
ガラス転移点以上の温度での処理では変形等の問題が生
じる。そのために高温処理をさけるため、従来は、メッ
キやセラミック熔射等の処理速度を低くおさえなければ
ならず、生産性が低く非常に高価格のものとなってい
た。金属クラッドの嵌合は、熱による問題は回避される
が、ロールの重量を増やさないように薄いものとするに
は、嵌合後に研削加工を施す等の工程が必要となり、や
はり生産性の低下及び製造コストの増加を招いていた。
また、クロム、銅、鉄等の金属メッキ、セラミック熔射
や金属クラッドを表面に行った場合、ロールのGD2
増加し、折角のCFRPの軽量化による効果を相殺して
しまう。
【0004】さらに、印刷等の用途に用いられるロール
は、被処理物と接触するため汚れる。その原因は一つは
金属とインク等の濡れの問題であり、もう一つは静電気
発生による紙粉等の吸い寄せによるものである。これら
の問題に対しては、従来、表面加工として、導電性熱収
縮性テフロンチューブの利用や、導電性フッ素樹脂系焼
付け塗装が行われてきた。導電性熱収縮性テフロンチュ
ーブは、価格が高くまた耐摩耗性が無かった。導電性フ
ッ素樹脂系焼付塗装では、フッ素樹脂の溶融温度以上の
処理が必要であるため、CFRPロールに適用できない
等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、以上のよ
うな従来技術に対し、薄肉でたわみ量が少なく高精度で
高速回転可能なCFRPロールの特徴を損なうことな
く、非汚染性、耐摩耗性が兼ね備えられたCFRPロー
ルを、高生産性で安価に提供しょうとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】これに対し、本発明者ら
は、CFRPロール基体の表面に、非汚染性、耐摩耗性
を兼ねそろえたゴム層を設けたことで課題を解決した。
すなわち、本発明は、繊維補強樹脂複合材ロール基体の
表面に、フッ素樹脂微粒子及び金属酸化物微粒子を分散
した、導電性ゴム層を設けた複合材ロールであって、フ
ッ素樹脂微粒子を導電性ゴム層を構成するゴム材料10
0重量部に対して30〜300重量部の割合で、また金
属酸化物微粒子を導電性ゴム層を構成するゴム材料10
0重量部に対して30〜500重量部の割合で分散した
ことを特徴とする複合材ロールに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、導電性ゴム層を
構成するゴム材料としては、任意のものが使用可能であ
るが、防汚性、耐熱性、耐油性及び耐薬品性が優れてい
る点でフッ素ゴムの使用が好ましい。また、フッ素ゴム
としては、フッ化ビニリデン系重合体、テトラフルオロ
エチレン−プロピレン系共重合体、テトラフルオロエチ
レン−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)系共重合
体、フルオロシリコーン系重合体、フルオロホスファゼ
ン系重合体等があるが、フッ化ビニリデンに基づく重合
単位を共重合単位として含有するものが、硬化が容易な
ことから好ましい。
【0008】その場合には、フッ素ゴムは、共重合単位
として、フッ化ビニリデンに基づく重合単位を0.5〜
90モル%含有し、他に少なくとも1種の含フッ素単量
体に基づく重合単位を含有するものである。また、さら
にα−オレフィン等、他のオレフィン性化合物に基づく
重合単位を含有してもよい。共重合可能な含フッ素単量
体としては、ヘキサフルオロプロピレン、(パーフルオ
ロブチル)エチレン、トリフルオロクロロエチレン等
が、α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、
ブテン等が、他の含フッ素単量体としては、さらにエチ
ルビニルエーテル、パーフルオロ(メチルビニルエーテ
ル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等のビ
ニルエーテル類、含フッ素アクリレート類等が挙げられ
る。
【0009】中でも、フッ化ビニリデン−テトラフルオ
ロエチレン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロペン共重合体、フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロペン−テトラフルオロエチレン共重
合体が、フッ素ゴムとして好ましく用いられる。これら
は、単独で、または2種以上の混合物として用いられ
る。
【0010】本発明に用いられるフッ素ゴムの製造に際
しては、塊状重合、懸濁重合、乳化重合、溶液重合等の
従来公知の各種重合方法はすべて採用可能である。ま
た、本発明に用いられるフッ素ゴムは任意の分子量の範
囲において使用可能である。
【0011】導電性ゴム層の形成方法には、特に制限は
なく、シート状のゴム材料を繊維補強樹脂複合材ロール
基体の表面に巻き付けてもよいが、通常、上記のゴム材
料及び後記の諸成分を溶剤等に溶解、または分散させて
塗料化し、これを繊維補強樹脂複合材ロール基体の表面
に塗布する。その際に、ロール基体の表面をあらかじめ
接着剤で処理しておくことも可能である。また、接着剤
をゴム材料に添加してもよい。塗料化に使用される溶剤
の種類や量は特に限定されるものではなく、用途や使用
方法にあわせて適宜選択される。具体的には、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メタ
ノール、エタノール等のアルコール類、ヘキサン、オク
タン、トルエン、キシレン等の炭化水素類等が好ましく
用いられる。これらの溶剤は、単独で、または2種以上
の混合物として用いられる。塗料化されたゴム材料の塗
布方法としては、スプレー法、コーター法、ディップ
法、静電塗装法等があり、特に限定されないが、スプレ
ー塗装により薄い層を複数回塗装することで、導電性ゴ
ム層として、長手方向、厚み方向ともに均一なものが得
られやすい。
【0012】このようにしてロール基体の表面上に設け
られた塗布層中のゴム材料を、加硫して硬化し、所望の
導電性ゴム層を形成させることができる。加硫方法とし
ては、有機過酸化物加硫、ポリオール加硫、アミン加硫
が採用可能である。その場合には、加硫剤及びその他の
助剤をゴム材料に配合しておく必要がある。加硫剤及び
その他の助剤の種類や使用量は、用途や使用方法にあわ
せて適宜選定される。加硫条件は、作業条件等により決
められるものであるが、例えば、100℃〜400℃で
数秒〜24時間程度が一般的である。
【0013】例えば、加硫剤として有機過酸化物を用る
有機過酸化物加硫の場合には、加硫部位を導入する目的
で、臭素を含有するモノマーを共重合したり、重合に際
してヨウ素を含有する連鎖移動剤を用いてゴム材料を製
造してもよい。また、加硫部位を導入せずに、加硫促進
剤として有機4級アンモニウム塩や有機4級ホスホニウ
ム塩等の有機オニウム化合物、アミン、イミン等の含窒
素有機化合物、ホスフィン、ホスファイト等の有機リン
化合物のような有機塩基を用いてもよい。しかして、臭
素またはヨウ素を加硫部位として導入する場合には、加
硫助剤として不飽和多官能性化合物が用いられる。ま
た、有機塩基を加硫促進剤として用いる場合には、受酸
剤として2価の金属の酸化物または水酸化物が用いられ
る。
【0014】有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオ
キサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パ
ーオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,4−ビス
(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼ
ン、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパー
アセテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert
−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサ
ン、tert−ブチルパーベンゾエート、tert−ブ
チルパーフェニルアセテート等が用いられる。不飽和多
官能性化合物としては、トリアリルイソシアヌレート、
トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリ
メタクリレート、ポリブタジエン等が用いられる。
【0015】有機塩基としては、硫酸水素テトラブチル
アンモニウム、テトラブチルアンモニウムブロマイド、
8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]
−7−ウンデセニウムクロライド、p−トルエンスルホ
ン酸1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウン
デセニウム、テトラブチルホスホニウムクロライド、ト
リオクチルメチルホスホニウムクロライド、トリフェニ
ルベンジルホスホニウムクロライド、1,8−ジアザビ
シクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ピリジン、ト
リブチルアミン、トリフェニルホスフィン、トリブチル
ホスファイト等が用いられる。受酸剤としては、マグネ
シウム、カルシウム、亜鉛、鉛等の酸化物または水酸化
物が用いられる。
【0016】また、加硫剤としてポリヒドロキシ化合物
を用るポリオール加硫の場合には、加硫促進剤として有
機オニウム化合物、受酸剤として2価の金属の酸化物や
水酸化物が用いられる。ポリヒドロキシ化合物として
は、ゴム材料のポリオール加硫に用いられる公知の化合
物はすべて使用可能であり、中でも、ビスフェノールA
F、ビスフェノールA、ヒドロキノン等の芳香族ポリヒ
ドロキシ化合物が好ましく用いられる。
【0017】有機オニウム化合物としては、ゴム材料の
ポリオール加硫に用いられる公知の化合物はすべて使用
可能であり、トリフェニルベンジルホスホニウムクロラ
イド、トリオクチルメチルホスホニウムクロライド等の
4級ホスホニウム塩、テトラブチルアンモニウムブロマ
イド、硫酸水素テトラブチルアンモニウム、8−ベンジ
ル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウン
デセニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、イミニ
ウム塩、スルホニウム塩等が用いられる。また、受酸剤
としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉛等の酸
化物または水酸化物が用いられる。
【0018】また、加硫剤としてポリアミン化合物を用
いるアミン加硫の場合には、受酸剤として2価の金属の
酸化物や水酸化物が用いられる。ポリアミン化合物とし
ては、ゴム材料のアミン加硫に用いられる公知の化合物
はすべて使用可能であり、ヘキサメチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミンジカルバメート、ジシンナミリデ
ンヘキサメチレンジアミン等が用いられる。また、受酸
剤としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉛等の
酸化物または水酸化物が用いられる。
【0019】本発明においては、上述の導電性ゴム層を
構成するゴム材料に、フッ素樹脂微粒子及び金属酸化物
微粒子を分散させることが必要であり、ゴム材料中にで
きるだけ均一に分散させたものが好ましい。これによっ
て、得られる導電性ゴム層の撥水、撥油性及び耐磨耗性
を向上させることができる。
【0020】フッ素樹脂としては、PTFE(ポリテト
ラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレ
ン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合
体)、FEP(テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体)、ETFE(エチレン−テトラ
フルオロエチレン系共重合体)、PVdF(ポリフッ化
ビニリデン)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエ
チレン)、ECTFE(エチレン−クロロトリフルオロ
エチレン共重合体)等が挙げられる。中でも、PTFE
に放射線を照射し、低分子量化したものが、塗料に分散
しやすく、撥水性、撥油性、潤滑性等も向上する。これ
らのフッ素樹脂の製造に際しては、塊状重合、懸濁重
合、乳化重合、溶液重合等の従来公知の各種重合方法は
すべて採用可能である。また、任意の分子量の範囲にお
いて使用可能である。
【0021】フッ素樹脂微粒子としては、球形または不
定形の粒子状のものが使用される。その粒径は、1〜1
00μm程度が好ましく、それよりも大きいと塗料への
分散性が低下し、また、小さい場合にはフッ素樹脂の効
果が得られ難いことがある。フッ素樹脂微粒子は、導電
性ゴムを構成するゴム材料100重量部に対し、30重
量部から300重量部程度配合する必要がある。それよ
りも多いとゴム材料のフッ素樹脂微粒子保持力が低下し
導電性ゴム層の摩耗量が増加することがある。またそれ
より少ないとフッ素樹脂の効果が得られ難いことがあ
る。
【0022】金属酸化物微粒子としては、Al2 3
SiO2 、MgO等の微粒子が挙げられ、その粒径は、
耐摩耗性の観点から0.1〜20μm程度が好ましく、
それより大きいと塗料への分散性が低下し、また小さい
場合は金属酸化物の効果が得られ難いことがある。金属
酸化物微粒子は、導電性ゴムを構成するゴム材料100
重量部に対し、30重量部から500重量部程度配合す
る必要がある。それよりも多いとゴム材料の金属酸化物
保持力が低下し導電性ゴム層の摩耗量が増加することが
ある。またそれより少ないと金属酸化物の効果が得られ
難いことがある。
【0023】本発明において、上述の導電性ゴム層を構
成するゴム材料は、通常、それ自身では導電性を有しな
いので、別途導電性付与剤を配合することが必要であ
る。導電性付与剤としては、ケッチェンブラック、アセ
チレンブラック、炭素繊維、金属フィラー、チタン酸ウ
イスカー等の導電性無機フィラーが用いられる。これら
の導電性付与剤の配合量は、付与剤の種類や使用目的に
よっても相違し、一概には規定できないが、通常、導電
性ゴム層を構成するゴム材料100重量部に対し、0.
5〜30重量部程度配合できる。例えば、複合材ロール
に対する紙粉等の付着を避けるためには、導電性ゴム層
の電気抵抗、具体的には体積固有抵抗値が1012Ωcm
以下になるように、導電性付与剤を配合することが好ま
しい。
【0024】また本発明の導電性ゴム層には、上述の諸
成分の外に、その性能を損なわない範囲において、必要
に応じてシリカ、カーボン、ガラス繊維や無機フィラー
等の充填剤、顔料、可塑剤、接着性付与剤、シランカッ
プリング剤やチタネート系カップリング剤等の任意の成
分を配合することも可能である。
【0025】本発明において、その表面に上述の導電性
ゴム層を形成すべき、ロール基体を構成する繊維補強樹
脂複合材は、補強繊維及び硬化されたマトリックス樹脂
からなる。しかして、該複合材の曲げ弾性率が150G
Pa以上であることが好ましい。曲げ弾性率が150G
Paより小さいと、たわみが大きいので好ましくない。
【0026】繊維補強樹脂複合材ロール基体の製造方法
としては、特に制限はなく、慣用の方法に従うことがで
きる。例えば、補強繊維を一方向に引きそろえ、これら
の繊維に未硬化のマトリックス樹脂を含浸したプリプレ
グを、マンドレルに積層捲回した後、硬化するシートワ
インド法、補強繊維を樹脂に含浸しながら直接マンドレ
ルに捲回した後、硬化するフィラメントワインド法、補
強繊維に樹脂を含浸し、連続的に金型で硬化する引き抜
き成形法等がある(例えば、特開平5−229018号
公報、特開平6−313003号公報参照)。硬化法
は、マトリックス樹脂の種類によっても相違するが、通
常、120〜200℃の温度に、30〜720分間加熱
することによって行われる。
【0027】ここで、補強繊維を積層する場合には、ロ
ール軸方向のたわみを抑える目的で軸方向に対し繊維を
0゜から15゜の角度に、ロールの扁平化防止及び積層
する材料の巻き締めの目的で軸方向に対し繊維を概ね9
0゜の角度に配置する。またねじりが問題となるものに
ついては、軸方向に対して概ね30〜60゜の角度に繊
維を配置する。これら各角度に使用する繊維の比率及び
物性は、ロールとしての必要物性に合わせて選ぶことが
可能であるが、ロールのたわみ防止の観点からは、ロー
ル軸方向に対し低角度に95〜70%の繊維を配置する
のが好ましい。一方、軸方向に配置する繊維として、引
張弾性率が40t/mm2 を越えるものを用いること
で、曲げ弾性率150GPa以上の低たわみのロールが
製造できる。また、60t/mm2 以上のものを用いれ
ば、鉄(弾性率210GPa)を上回る極低たわみのロ
ールも製造できる。
【0028】また、補強繊維としては、炭素繊維が最も
一般的であり、炭素繊維の種類は、高強度炭素繊維(引
張弾性率20〜30t/mm2 )、中弾性炭素繊維(引
張弾性率40〜50t/mm2 )、高弾性炭素繊維(引
張弾性率60〜90t/mm2 )等がある。また、炭素
繊維の製造法により、ピッチ系及びPAN系がある。こ
れらの中でも、ピッチ系炭素繊維の方が、より高弾性が
得られる点で好ましい。もちろん、必要とあれば、炭素
繊維に代えて、または炭素繊維とともに、SiCウィス
カー、ガラス繊維、ケブラー繊維等を補強繊維として使
用することも可能である。
【0029】一方、複合材を構成するマトリックス樹脂
としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリ
エステル樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が一般
的であるが、必要ならば、ナイロン樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂、PEEK樹脂、PEK樹脂、PPS樹脂、P
EI樹脂等の熱可塑性樹脂を選択することも可能であ
る。
【0030】
【実施例】以下に実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明はそれに限定されるものではない。実施例
中の部とは重量部を示す。
【0031】[実施例] <ロール基体の調製>ピッチ系高弾性炭素繊維(三菱化
学株式会社製、商品名ダイアリイードK13710。引
張弾性率65t/mm2 )に、エポキシ樹脂をマトリッ
クスとして含浸させた一方向プリプレグを、ロール軸方
向に対し0°方向に、一方、PAN系炭素繊維(引張弾
性率24t/mm2 )に、エポキシ樹脂をマトリックス
として含浸させた一方向プリプレグを、ロール軸方向に
対して90°方向に、4:1の厚み比で、マンドレルに
積層捲回し、加熱炉にて160℃に120分間加熱して
硬化させ、その後マンドレルを抜き去り、パイプ状の繊
維補強樹脂複合材ロール基体成型物を得る。このロール
基体の曲げ弾性率は210GPaであった。また、該ロ
ール基体中のマトリックス樹脂のガラス転移点は150
℃であった。該成型物を所定の寸法(径100mm、長
さ1000mm、厚み5mm)に加工後、鉄製のジャー
ナルを接着剤にて取り付け、バランス取りを行い、複合
材ロール基体とする。
【0032】<導電性ゴム層の形成>フッ化ビニリデン
に基づく重合単位/テトラフルオロエチレンに基づく重
合単位/プロピレンに基づく重合単位=35/40/2
5(モル比)のフッ素ゴム100部、MTカーボン(C
ancarb製)30部、キョーワマグ150(酸化マ
グネシウム、協和化学製)3部、カルビット(水酸化カ
ルシウム、近江化学製)6部、ビスフェノールAF2
部、硫酸水素テトラブチルアンモニウム1部を2ロール
で均一に混合し、フッ素ゴム組成物を得た。このフッ素
ゴム組成物100部、及びH−44(平均粒径2μmの
アルミナ、昭和電工製)100部、L−169J(平均
粒径20μmのPTFE、旭アイシーアイフロロポリマ
ーズ製)100部、ケッチェンブラック(ライオン・ア
クゾー製)2部を酢酸ブチル400部に均一に分散させ
フッ素ゴム塗料を得た。こうして得られたフッ素ゴム塗
料を、スプレーにより200μmの厚みに、前記の複合
材ロール基体の表面に塗布し、乾燥後、150℃で30
分間加熱し、硬化塗膜として導電性ゴム層を形成させ、
複合材ロールを得た。
【0033】<ロール基体の特性>上記実施例において
導電性ゴム層を形成させる前の複合材ロール基体の特性
を、鉄、アルミニウム、従来のCFRPロール基体のそ
れと比較して、表−1に示す。なお、比較のため、ロー
ル基体の寸法は、実施例の寸法で統一し、また、従来C
FRPには、PAN系汎用炭素繊維強化エポキシ樹脂を
使用した。また、下表中、たわみは、均一荷重100k
g/mと自重による値である。
【0034】 表−1 ロール基体の特性比較 重量 曲げ剛性 たわみ GD2 kg MPa・m4 μm kg・m2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 2.45 0.380 34 0.022 鉄 11.73 0.347 41 0.106 アルミニウム 4.03 0.116 115 0.036 従来CFRP 2.32 0.149 88 0.021
【0035】<各種コート層の特性>実施例の導電性ゴ
ム層の特性を、比較例1〜3の各種硬化塗膜(詳細後
記)及び他の樹脂コート層(エポキシ樹脂、FEP樹
脂)と比較して、表−2に示す。なお、エポキシ樹脂の
場合は、ビスフェノールAタイプエポキシ樹脂E828
(油化シェル製)、硬化剤無水メチルハイミック酸及び
促進剤メチルイミダゾールを、100:80:1の割合
で混合した組成物を塗布し、140℃で硬化塗膜化した
ものを使用した。また、FEP樹脂の場合は、FEP樹
脂(テフロンFEP、デュポン製)の水分散液を塗布
後、溶融し380℃で塗膜化したもの(焼付け塗装品)
を使用した。
【0036】 表−2 各種コート層の特性比較 接触角 テーバ 体積固有 水 αBN 摩耗量 抵抗値 ° ° mg Ωcm −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例 132 63 14.2 108 比較例1 100 51 46.1 比較例2 103 53 49.8 比較例3 128 66 27.3 エポキシ樹脂 68 14 31.5 >1014 FEP樹脂 97 62 90.0 >1014
【0037】防汚染性の評価及び耐摩耗性の評価は、各
種コート剤を、CFRP板の表面上に、実施例と同じ条
件で塗布、硬化させて、厚み200μm(FEP樹脂の
場合は、焼付け塗膜厚み300μm)の樹脂コート層を
形成させたものをサンプルとした。これらのサンプルを
使用し、前者では、水、α−ブロモナフタレン(αB
N)との接触角測定を行い、結果を(°)で表示した。
なお、インキの付着性、拭き取り性の観点から水との接
触角が90゜以上好ましくは100°以上、α−ブロモ
ナフタレンとの接触角が50゜以上好ましくは60゜以
上のものがよい。後者では、テーバ摩耗試験(JIS
K6902に準じる)を行い、結果を1000回転後の
摩耗量(mg)で表示した。なお、この試験は、東洋精
機社製テーバ摩耗試験機を用い、摩耗輪CS10、荷重
1kg、回転速度60rpmで行った。ロール表面の耐
摩耗性の観点から摩耗量が25mg以下、好ましくは2
0mg以下のものがよい。
【0038】帯電防止性の評価は、各種コート材単体の
体積固有抵抗値を測定した。コート材を、実施例と同じ
条件で塗布、硬化させて(FEP樹脂の場合は、焼付け
塗装して)、厚み100μmの樹脂コート層を形成させ
たものをサンプルとして、コート層表面と基体表面との
間の電気抵抗を、KYORITSU製INSULATI
ON TESTER MODEL3311で100Vに
て測定し、その結果を体積固有抵抗値(Ωcm)で表示
した。なお、ロールに対する紙粉等の付着性の観点から
体積固有抵抗値が1012Ωcm以下、好ましくは1010
Ωcm以下のものがよい。
【0039】[比較例1]上記実施例のフッ素ゴム組成
物のみを酢酸ブチルに均一分散したフッ素ゴム塗料を塗
布し、乾燥後、150℃で30分間加熱し、硬化塗膜を
得た。
【0040】[比較例2]上記実施例のフッ素ゴム組成
物100部、PTFE5部、アルミナ5部を酢酸ブチル
に均一分散したフッ素ゴム塗料を塗布し、乾燥後、15
0℃で30分間加熱し、硬化塗膜を得た。
【0041】[比較例3]上記実施例のフッ素ゴム組成
物100部、PTFE200部を酢酸ブチルに均一分散
したフッ素ゴム塗料を塗布し、乾燥後、150℃で30
分間加熱し、硬化塗膜を得た。
【0042】
【発明の効果】本発明においては、複合材ロール基体の
表面に、フッ素樹脂微粒子及び金属酸化物微粒子を分散
させた導電性ゴム層を形成することにより、軽量で、G
2 が小さく、かつ、たわみも小さく、優れた非汚染性
及び耐摩耗性を備えた複合材ロールが提供できる。すな
わち、本発明においては、金属クラッドの嵌合あるいは
メッキやセラミック溶射等の表面処理を必要としないの
で、処理時の温度を低く抑えることができ、低GD
2 性、軽量性等のCFRPの特性が阻害されることもな
い。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西本 忠弘 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】繊維補強樹脂複合材ロール基体の表面に、
    フッ素樹脂微粒子及び金属酸化物微粒子を分散した、導
    電性ゴム層を設けた複合材ロールであって、フッ素樹脂
    微粒子を導電性ゴム層を構成するゴム材料100重量部
    に対して30〜300重量部の割合で、また金属酸化物
    微粒子を導電性ゴム層を構成するゴム材料100重量部
    に対して30〜500重量部の割合で分散したことを特
    徴とする複合材ロール。
  2. 【請求項2】前記フッ素樹脂微粒子として、粒径1〜1
    00μmのものを、また前記金属酸化物微粒子として、
    粒径0.1〜20μmのものを用いたことを特徴とする
    請求項1記載の複合材ロール。
  3. 【請求項3】前記フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエ
    チレンであることを特徴とする請求項1または2記載の
    複合材ロール。
  4. 【請求項4】前記金属酸化物が、Al2 3 、SiO2
    またはMgOであることを特徴とする請求項1又は2記
    載の複合材ロール。
  5. 【請求項5】前記導電性ゴム層を構成するゴム材料が、
    フッ素ゴムであることを特徴とする請求項1〜4記載の
    複合材ロール。
  6. 【請求項6】前記導電性ゴム層の体積固有抵抗が1012
    Ωcm以下であることを特徴とする請求項1〜5記載の
    複合材ロール。
  7. 【請求項7】前記導電性ゴム層の特性が、水との接触角
    が90°以上で、しかも、α−ブロモナフタレンとの接
    触角が50°以上であることを特徴とする請求項1〜6
    記載の複合材ロール。
  8. 【請求項8】前記導電性ゴム層のテーバ摩耗量(JIS
    K6902に準じる)が25mg以下であることを特
    徴とする請求項1〜7記載の複合材ロール。
  9. 【請求項9】前記ロール基体が、ピッチ系高弾性炭素繊
    維を用いた複合材からなり、その複合材の曲げ弾性率が
    150GPa以上であることを特徴とする請求項1〜8
    記載の複合材ロール。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009045633A (ja) * 2007-08-16 2009-03-05 Toyo Kohan Co Ltd 缶胴接合部の補正に用いるバックアップロールおよびこれを備えた缶胴接合部の補正装置
JP2015142962A (ja) * 2014-01-31 2015-08-06 トーカロ株式会社 非粘着性複合樹脂皮膜被覆ロール

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009045633A (ja) * 2007-08-16 2009-03-05 Toyo Kohan Co Ltd 缶胴接合部の補正に用いるバックアップロールおよびこれを備えた缶胴接合部の補正装置
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