JPH1180876A - 押出性に優れたAl−Zn−Mg系アルミ合金およびAl−Zn−Mg系アルミ合金押出材の製造方法 - Google Patents

押出性に優れたAl−Zn−Mg系アルミ合金およびAl−Zn−Mg系アルミ合金押出材の製造方法

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JPH1180876A
JPH1180876A JP24286397A JP24286397A JPH1180876A JP H1180876 A JPH1180876 A JP H1180876A JP 24286397 A JP24286397 A JP 24286397A JP 24286397 A JP24286397 A JP 24286397A JP H1180876 A JPH1180876 A JP H1180876A
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based aluminum
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Masahiro Yanagawa
政洋 柳川
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Al-Zn-Mg系アルミ合金の押出に際し、押出速
度を高速化しても、アルミ合金の焼付きを防止し、良好
な表面性状を確保することができる、押出用Al合金とAl
合金押出材の製造方法を提供する。 【解決手段】 押出される前のAl-Zn-Mg系アルミ合金の
組織を、アルミ合金マトリックス中の析出物のうち、Mg
Zn2 析出物がアルミ合金中に固溶しているか、若しく
は、MgZn2 析出物の平均サイズが0.01μm 未満であると
ともに、Al- 遷移金属系析出物の平均サイズを0.2 μm
未満に規制すること、および、この組織を得るために、
Al-Zn-Mg系アルミ合金を鋳造後に均質化熱処理する際、
熱処理温度を430 〜480 ℃の範囲とするとともに、熱処
理後の冷却を水冷により行うことである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、押出性に優れたAl-Zn-
Mg系アルミ合金およびAl-Zn-Mg系アルミ合金押出材の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】JIS 7000系で規格化されているAl-Zn-Mg
系のアルミ合金は、アルミ合金の中でも軽量で高強度を
有し、溶接性にも優れることから、高力アルミ合金とし
て、鉄道車両や航空機等の輸送機の構造材、特に溶接構
造用材として汎用されている。そして、これらの用途
に、Al-Zn-Mg系アルミ合金は、押出加工による型材、棒
材などの押出材として用いられることが多い。ところ
で、このようなAl-Zn-Mg系アルミ合金を押出加工する場
合、所定化学成分組成のアルミ合金を鋳造し、均質化熱
処理後空冷乃至徐冷し、所定の長さに切断してから再加
熱 (通常は急速加熱)して押出加工 (以下単に押出と言
う) するのが一般的である。
【0003】このアルミ合金の押出に関し、近年生産効
率向上の観点から押出速度の向上が図られている。しか
し、この押出の高速化に伴い、必然的にアルミ合金ビレ
ットとダイス間の摩擦力 (摩擦応力) が高くなる。この
ため、特に、上記Al-Zn-Mg系アルミ合金の押出時には、
ダイスとアルミ合金ビレットとの間で焼付きが発生し、
アルミ合金押出材の表面欠陥になりやすい。この焼付き
を防止するためには、従来から押出温度や押出速度を低
下させて押出することが有効であるが、押出の生産性が
著しく低下し、前記生産効率向上の目的を到底達成でき
ない。
【0004】このため、押出条件の改善など、押出操業
側からダイスとアルミ合金ビレットとの間での焼付きを
防止する技術が、例えば、特開昭55-112123 号や特開昭
55-112124 号公報などで提案されている。即ち、これら
の公報には、押出に際し、潤滑乃至研磨効果を有するB
、アルミナ粒などを含んだアルミ合金の溶射層をアル
ミ合金ビレット端面や前面に形成し、この溶射層形成面
にビレットを当接させるか、溶射層形成面を押出開始端
として押出を行い、焼付きを防止して押出製品の表面性
状を改善し、押出速度の向上を図る技術が開示されてい
る。
【0005】また、アルミ合金の素材側から焼付きを防
止する技術として、例えば、特公昭62-9662 号公報に
は、合金成分であるMg、Zn、Zr、Mn、Crを特定の成分範
囲に調整するととともに、更にB を添加し、B-(Zr 、A
l) 系化合物 (サイズ3 〜5 μm)の生成および微細分散
により焼付きを防止して、押出製品の表面性状を改善
し、押出速度の向上を図る技術が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明Al-Zn-Mg系アル
ミ合金が対象とする鉄道車両や航空機等の輸送機の構造
材、特に溶接構造用材の用途における押出材は、通常、
幅500mm 厚み10mm程度の大型・長尺材で、しかもその形
状がホローや多数の凹凸のある用途に応じた複雑な形状
をしている。このため、押出に際して、必然的にアルミ
合金ビレットとダイス間の摩擦力が高くなり、特にダイ
スとアルミ合金ビレットとの間で焼付きが発生しやす
く、アルミ合金押出材の表面欠陥になりやすい。したが
って、この焼付きを防止するために、従来の前記大型・
長尺材の押出では、最高でも8m/min.程度の押出速度し
か得られていない。
【0007】前記特開昭55-112123 号や特開昭55-11212
4 号公報などの技術では、溶射層をアルミ合金ビレット
端面や前面に形成しているため、押出時に溶射材がダイ
ス口周辺のメタルフローのデッドゾーンに存在しやす
く、定常的に溶射材( 溶射層)をダイスベアリング面と
押出材との間に流入させることは困難である。特に、本
発明が対象とする前記大型・長尺材で、しかも複雑な形
状の押出材の場合にはこの傾向が著しく、前記溶射層が
実質的な焼付き防止効果を発揮することは難しい。因み
に、これら公報の実施例にはJIS 6063乃至7001のアルミ
合金を50m/min.程度の押出速度で押出した例が開示され
ているものの、その押出材は、いずれも押出やすい、直
径が3.17mmと小径で、形状が単純な線材でしかない。即
ち、本発明が対象とする前記大型・長尺材で、しかも複
雑な形状の押出材の場合には、この従来技術では、更に
押出速度の高速化に際しての焼付きを防止することがで
きない。
【0008】また、前記特公昭62-9662 号公報の技術で
も、B を添加し、B-(Zr 、Al) 系化合物をアルミ合金中
に存在させているため、本発明が対象とする前記大型・
長尺材で、しかも複雑な形状の押出材の場合には、却っ
てアルミ合金ビレットとダイス間の摩擦力が高くなり、
特にダイスとアルミ合金ビレットとの間で焼付きが発生
しやすく、アルミ合金押出材の表面欠陥になりやすい。
したがって、、焼付き防止効果を発揮することは難し
い。因みに、この公報の実施例にはJIS 7000系Al合金を
60〜80m/min.程度の押出速度で押出した例が開示されて
いるものの、その押出材は、やはり押出やすい、断面が
5mm ×70mmと小さくかつ形状が単純なフラットバーでし
かない。即ち、本発明が対象とする前記大型・長尺材
で、しかも複雑な形状の押出材の場合には、この従来技
術では、更に押出速度の高速化に際しての焼付きを防止
することができない。
【0009】本発明はこの様な事情に着目してなされた
ものであって、その目的は、Al-Zn-Mg系アルミ合金の大
型・長尺材で、しかも複雑な形状の押出材の押出に際
し、押出速度をより高速化しても、ダイスとアルミ合金
ビレットとの間での摩擦力を低減して焼付きを防止し、
押出製品の良好な表面性状を確保することができる、新
規な組織のアルミ合金とアルミ合金押出材の製造方法を
提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の要旨は、Al-Zn-Mg系アルミ合金として、押
出される前のAl-Zn-Mg系アルミ合金の組織を、アルミ合
金マトリックス中の析出物のうち、MgZn2 析出物がアル
ミ合金中に固溶しているか、あるいは、該MgZn 2 析出物
の一部または全部が析出していたとしても、MgZn2 析出
物の平均サイズが0.01μm 未満であるとともに、Al- 遷
移金属系析出物の平均サイズを0.2 μm未満に規制する
ことである。
【0011】また、Al-Zn-Mg系アルミ合金押出材の製造
方法として、Al-Zn-Mg系アルミ合金を鋳造後に均質化熱
処理する際、熱処理温度を430 〜480 ℃の範囲とすると
ともに、熱処理後の冷却を水冷により行い、アルミ合金
中の析出物のうち、MgZn2 析出物がアルミ合金中に固溶
しているか、および/ またはMgZn2 析出物の平均サイズ
が0.01μm 未満であるとともに、Al- 遷移金属系析出物
の平均サイズを0.2 μm 未満として押出を行うことであ
る。
【0012】本発明のような上記要旨とすることによ
り、Al-Zn-Mg系アルミ合金の大型・長尺材で、しかも複
雑な形状の押出材の押出に際し、押出速度をより高速化
しても、ダイスとアルミ合金ビレットとの間での摩擦力
を低減して、焼付きを防止し、押出製品の表面性状を改
善し、押出速度の向上を図ることができる。
【0013】本発明者らは、押出される前のAl-Zn-Mg系
アルミ合金の組織の、押出時のダイスとアルミ合金ビレ
ットとの間での摩擦力に与える影響に注目し、特にAl-Z
n-Mg系アルミ合金マトリックス中の晶出物や析出物につ
いて検討を重ねた。その結果、これら晶出物や析出物の
内でも、特にMgZn2 系析出物およびAl- 遷移金属系析出
物がアルミ合金マトリックス中に存在すると、ダイスと
アルミ合金ビレットとの間での摩擦力を大きくすること
を知見した。そして、この知見に基づき、更にこれらMg
Zn2 系析出物およびAl- 遷移金属系析出物の存在状態
と、ダイスとアルミ合金ビレットとの間での摩擦力との
関係を定量的に把握した。この結果、押出される前のア
ルミ合金マトリックス中にMgZn2 系析出物を存在させず
に固溶させたものとするか、あるいは固溶せずに乃至一
部が固溶してアルミ合金マトリックス中にMgZn2 系析出
物が存在していても、その平均サイズを0.01μm 未満と
するとともに、Al- 遷移金属系析出物の平均サイズを0.
2 μm 未満規制すれば、前記摩擦力が大幅に軽減される
ことを知見して、本発明をなしたものである。
【0014】本発明で言う析出物のうち、MgZn2 系析出
物は、元々Zn、Mgを主要合金成分とするAl-Zn-Mg系アル
ミ合金に特有の析出物として、熱処理条件によって、ア
ルミ合金マトリックス中に析出してくる。また、本発明
で言う (平均サイズを規制する)Al-遷移金属系析出物と
は、Al-Zn-Mg系アルミ合金に、不純物乃至合金成分とし
て実質量 (押出時の焼付き性に実質的な影響のある量)
含まれる乃至含まれやすい、Cu、Zr、Cr、Mnなどの遷移
金属の析出物を主として対象とする。これらCu、Zr、C
r、Mnなどの遷移金属を不純物乃至合金成分として含む
場合に、これらの遷移金属は、例えば、Al-Cu 、Al-Zr
、Al3Zr 、Al-Cr 、Al3Cr あるいはAl-Mn、Al-(Mn,Cr)
などの、Alとの化合物として、熱処理条件によって、Al
-Zn-Mg系アルミ合金マトリックス中に析出してくる。な
お、その他の遷移金属は、Fe、Tiを除き、通常はAl-Zn-
Mg系アルミ合金には、不純物としても実質量は含まれな
いため、Alとの析出物として実質的に存在せず、押出時
の焼付き性に影響を与えない。ただ、Fe、Tiは、後述す
る通り、含有量を規制するものの、不純物として前記実
質量含まれて、Alとの析出物を生成し、押出時の焼付き
性に影響を与える可能性があり、その場合は、前記Cu、
Zr、Cr、Mnなどに、Fe、Tiを含めたAl- 遷移金属系析出
物の平均サイズを規制することが好ましい。
【0015】因みに、押出される前のアルミ合金マトリ
ックス中のMgZn2 系析出物が固溶せず、平均サイズ0.01
μm を越える大きさで粗大に析出する、およびAl- 遷移
金属系析出物が平均サイズ0.2 μm を越える大きさで粗
大に析出した場合には、従来技術と同様に、押出速度を
高速化した際に、押出時のダイスとアルミ合金ビレット
との間での摩擦力を減少させることができず、焼付きの
発生を防止することができない。
【0016】更に、本発明のアルミ合金マトリックス中
のMgZn2 系析出物の固溶乃至平均サイズ、およびAl- 遷
移金属系析出物の平均サイズの同定は、透過型電子顕微
鏡(TEM) により、アルミ合金マトリックスを観察して行
う。より具体的には、10000倍のTEM による組織写真(1c
mが1 ミクロンに該当) において画像解析を行い、析出物が
観察されない場合には固溶と認定するとともに、これら
析出物が存在する場合には、そのサイズ分布を求め、析
出物の平均サイズを導出する。また、本発明において、
これら析出物の平均サイズで規定したのは、実際の押出
時のダイスとアルミ合金ビレットとの間での摩擦力に影
響するのは、より大きなサイズの析出物ではあるもの
の、実際には、より小さなサイズの析出物も析出してお
り、より大きなサイズの析出物とより小さなサイズの析
出物とを合わせた、析出物全体として評価する方が、よ
り正確に析出物の摩擦力に対する挙動を評価できると判
断したためである。
【0017】なお、本発明で言う、MgZn2 系析出物やAl
- 遷移金属系析出物自体は、元々Al-Zn-Mg系アルミ合金
に特有の析出物として公知である。しかし、その存在目
的乃至存在形態は、本発明と全く相違する。即ち、まず
MgZn2 系析出物は、従来から、Al-Zn-Mg系アルミ合金の
強度を増すものと認識され、均質化熱処理の段階、即ち
押出前の段階から積極的に析出乃至存在させている。ま
た、Al- 遷移金属系析出物も、耐応力腐食割れ性を向上
させるものとして、従来から、均質化熱処理の段階、即
ち押出前の段階から積極的に析出させている。現に前記
特公昭62-9662号公報でも、Al-Zn-Mg系アルミ合金の強
度や耐応力腐食割れ性の向上を目的として、均質化熱処
理を400 〜550 ℃×6 〜24時間の比較的高温乃至長時間
行って空冷乃至放冷し、押出前のアルミ合金マトリック
ス中に、MgZn2 系析出物やAl- 遷移金属系析出物を十分
析出させるようにしている。
【0018】例えば、前記特公昭62-9662 号公報のよう
に、Al-Zn-Mg系アルミ合金の均質化熱処理を400 〜550
℃×6 〜24時間の高温で行った場合には、アルミ合金マ
トリックス中に、粗大で安定でMgZn2 系析出物およびAl
- 遷移金属系析出物が析出し始め、その後の通常の空冷
過程において、MgZn2 系析出物で平均サイズ0.1 〜0.5
μm 、Al- 遷移金属系析出物で平均サイズ 1〜3 μm 程
度の粗大で安定なMgZn 2 系析出物およびAl- 遷移金属系
析出物が、アルミ合金マトリックス中に多数存在するよ
うになる。
【0019】しかし、これに対し、本発明では、これら
MgZn2 系析出物およびAl- 遷移金属系析出物は、ともに
Al-Zn-Mg系アルミ合金の押出時のダイスとアルミ合金ビ
レットとの間での摩擦力を増し、焼付きの発生を助長さ
せるものとして、前記従来のAl-Zn-Mg系アルミ合金や技
術常識に反して、これら析出物の存在乃至平均サイズを
逆に規制する点が特徴的である。
【0020】
【発明の実施の形態】次に、本発明アルミ合金におけ
る、化学成分組成について説明する。本発明のAl-Zn-Mg
系アルミ合金の化学成分組成は、基本的にJIS 7001、7N
01、7003、7050、7072、7075等のJIS 7000番の成分規
格、特に好ましくは輸送機の構造材用乃至溶接構造材用
の、特に溶接性に優れたJIS 7N01の成分規格として良い
が、より具体的な用途および要求特性に応じて、以下に
説明する成分組成範囲から適宜選択しうる。
【0021】より具体的に説明すると、まずZnとMgは、
ともに本発明のAl-Zn-Mg系の基本的な合金成分であり、
主としてアルミ合金押出材の引張強度や耐力を確保する
ために必須である。しかし、本発明では、前記した通
り、押出に際して、押出される前のアルミ合金マトリッ
クス中のMgZn2 系析出物が固溶しているか、平均サイズ
0.01μm 未満の大きさで微細に析出させ、およびAl- 遷
移金属系析出物も平均サイズ0.2 μm 未満の大きさで微
細に析出させ、押出時のダイスとアルミ合金ビレットと
の間での摩擦力を減少させ、焼付きの発生を防止する。
そして本発明では、押出後は、例えば、T6処理などの
溶体化処理( 水冷や温水による焼入れを含む) および時
効硬化処理による調質を行い、後述する引張強度や耐力
の上昇を図ることが好ましい。例えば、MgZn2 析出物
は、100 〜200 ℃の低温で時効熱処理した際に形成さ
れ、Al-Zn-Mg系アルミ合金の強度や耐力を最大にする。
このため、ZnとMgの下限含有量は、本発明のAl-Zn-Mg系
アルミ合金押出材の必要強度や耐力によって定まり、Zn
とMgの上限含有量は、前記焼付き発生の防止の観点から
定まる。
【0022】本発明のAl-Zn-Mg系アルミ合金押出材は、
鉄道車両や航空機等の輸送機の構造材乃至溶接構造用材
などへの高力アルミ合金として、他のJIS 3000系や5000
系あるいは6000系に比して、高い強度と耐力を確保する
必要がある。例えば、車両や航空機などの輸送機の構造
材用としては、好ましくは前記T6処理で300N/mm2程度以
上および耐力250N/mm2以上、より好ましくは強度が350N
/mm2以上および耐力が270N/mm2以上を確保する。この高
い強度と耐力を確保するためには、ZnとMgの含有量はZn
で0.80% 以上、好ましくは4.0%以上、Mgで0.50% 以上、
好ましくは1.0%以上必要である。しかし、一方Znの含有
量が7.0%を越える乃至Mgの含有量が3.0%を越えると、Zn
とMgの固溶限界を越えて、均質化熱処理中に前記従来の
ような粗大な( 平均サイズ0.01μm を越える)MgZn2系析
出物や、SiとMgとのMg2Si 化合物が形成されやすく、こ
れらの析出物が押出時のダイスとアルミ合金ビレットと
の間での摩擦力を増し、焼付きの発生を助長させる。こ
れを防止するためには、ZnとMgの含有量はZnで7.0%以
下、好ましくは5.0%以下、Mgで3.0%以下、好ましくは2.
0%以下とすることが必要である。したがって、Znの含有
量は0.80〜7.0%、好ましくは4.0 〜5.0%の範囲およびMg
の含有量は0.50〜3.0%、好ましくは1.0 〜2.0%の範囲と
する。
【0023】次に、Cu、Mn、Cr、Zrなどの遷移金属は、
Al-Cu 、Al-Zr 、Al-Cr 、Al-Mn 、Al-(Mn,Cr)などのAl
- 遷移金属系析出物を形成し、アルミ合金の強度や耐力
を向上させるとともに、焼入れ性を低下させることなく
耐応力腐食割れ性を向上させるものであり、必要により
一種または二種以上を選択的に含有する。しかし、一方
では、前記した通り、粗大な析出物となった場合には、
Al-Zn-Mg系アルミ合金の押出時のダイスとアルミ合金ビ
レットとの間での摩擦力を増し、焼付きの発生を助長さ
せるので、含有させる量には注意する必要がある。
【0024】より具体的には、まず、Cuは、アルミ合金
の強度を著しく向上させるが、溶接性を阻害する。した
がって、前記したように、押出後のT6処理で強度を300N
/mm2、耐力で250 N/mm2 程度を確保することが特に必要
な用途には、Cuを1.2 〜2.6%の範囲で選択的に含有させ
る。しかし溶接構造用などで、特に溶接性が重視される
用途には、Cu含有量が0.20% を越えると溶接性を著しく
阻害するので、好ましくはCu含有量を0.20% 以下に規制
する。
【0025】Mnは、アルミ合金マトリックス中で熱的に
安定な化合物であるAl6Mn あるいはAl6(Mn、Fe) を形成
するため、強度を向上させるとともに耐応力腐食割れ性
を向上させる効果があり、また溶接後の熱影響部を自然
時効により母材に近い強さに回復する効果を有し、優れ
た継手効率が得られる。したがって、JIS 7N01アルミ合
金押出材のように、溶接構造用材料として、前記特性が
特に必要な場合には、0.20〜0.7 % の範囲で選択的に含
有させる。しかし、これらの特性が不要なその他の用途
の場合には、前記Mn化合物が押出時のダイスとアルミ合
金ビレットとの間での摩擦力を増し、焼付きの発生を助
長させるので、Mnの含有量は好ましくは0.30% 以下、よ
り好ましくは0.10% 以下に規制する。
【0026】CrとZrは、アルミ合金マトリックス中で微
細なAl3Cr あるいはAl3Zr を析出させ、この微細なAl3C
r あるいはAl3Zr が耐応力腐食割れ性を向上させるとと
もに、溶接部などの強度等の機械的性質の劣化( 結晶粒
の異常粒成長や析出物の粗大化など) を抑制する効果を
有する。よって、アルミ合金のこの特性を更に向上させ
たい場合に選択的に含有させる。CrとZrの含有量が各々
0.05% 未満ではこの効果がなく、また一方でCrとZrの含
有量が各々0.3%を越えると、粗大な化合物が形成され却
ってこの効果を阻害するとともに、この粗大な化合物
が、押出時のダイスとアルミ合金ビレットとの間での摩
擦力を増し、焼付きの発生を助長させる。したがって、
CrとZrとを含有させる場合、これらの含有量は、各々0.
05〜0.3%の範囲とする。
【0027】その他、本発明において、Siは、前記した
通り、Mgと結合してアルミ合金マトリックス中でMg2Si
を形成析出させ、このMg2Si が押出時のダイスとアルミ
合金ビレットとの間での摩擦力を増し、焼付きの発生を
助長させる。したがって、Siの含有量は0.3%以下、好ま
しくは0.15% 以下に規制する。
【0028】また、Feは遷移金属であるが、Feの含有量
が多いと、Mnとともに安定な化合物であるAl6(Mn、Fe)
系析出物を形成し、このAl6(Mn、Fe) 析出物が、押出時
のダイスとアルミ合金ビレットとの間での摩擦力を増
し、焼付きの発生を助長させる。また、材料の加工硬化
が大きくなり、成形加工性を低下させる。したがって、
Feの含有量は0.50% 以下、好ましくは0.35% 以下に規制
する。
【0029】その他、Ti、B は基本的に不純物であり、
アルミ合金押出材の強度や耐力を低下させ、またTiはAl
と析出物をつくる遷移金属であり、押出時の焼付きの発
生を助長させるので、含有量はできるだけ少ない方が好
ましいが、一方アルミ合金の鋳造時にマトリックスを微
細化する効果も有するので、Tiで押出時の焼付きに影響
のない0.20% まで、B で0.005%までの含有は許容され
る。
【0030】更に、本発明に係るAl-Zn-Mg系アルミ合金
押出材の製造方法について説明する。まず、Al-Zn-Mg系
アルミ合金は、前記本発明の成分範囲内に溶解調整され
たアルミ合金溶湯を、例えば、連続鋳造圧延法、半連続
鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択
して、鋳造する。次いで、このアルミ合金鋳塊に均質化
熱処理を施すが、この均質化熱処理条件と押出前のビレ
ットの加熱条件が、Al-Zn-Mg系アルミ合金のマトリック
ス中のMgZn2 系析出物およびAl- 遷移金属系析出物の存
在状態を規定する上で重要となる。
【0031】即ち、まず、均質化熱処理条件は、熱処理
温度を430 〜480 ℃の範囲とするとともに、熱処理後の
冷却を水冷により行うことが重要である。MgZn2 化合物
の析出物は、100 〜200 ℃の低温で時効熱処理した際に
形成され、更に200 〜450 ℃の高温で熱処理すると、粗
大で安定な析出物になり、更に450 ℃の高温で熱処理す
ると固溶し始め、550 ℃では完全に固溶する。したがっ
て、MgZn2 化合物 (析出物) を、押出される前のAl-Zn-
Mg系アルミ合金マトリックス中に固溶乃至微細に析出さ
せる本発明では、熱処理温度を430 ℃以上とする必要が
ある。430 ℃未満の熱処理温度では、MgZn2 化合物 (析
出物) が、アルミ合金マトリックス中に固溶乃至微細に
析出せず、平均サイズ0.01μm を越える粗大で安定な析
出物になり、押出時の焼付きを防止できない。また、Al
-Zn-Mg系アルミ合金の鋳造組織の均質化が不十分とな
り、押出時に割れを招く場合があり、均質化熱処理の効
果や意味が無くなる問題が生じる。一方、本発明では、
焼付き防止の観点からは、MgZn2 化合物 (析出物) を、
できるだけAl-Zn-Mg系アルミ合金マトリックス中に固溶
乃至微細に析出させたい。そのためには、均質化熱処理
温度が高い方が良いわけであるが、熱処理温度が480 ℃
を越えると、他方で平均サイズ0.2 μm を越える粗大な
Cu、Zr、Cr、Mnなどの遷移金属とAlとの化合物 (Al- 遷
移金属系化合物) の析出が生じてしまう。したがって、
Al- 遷移金属系化合物を微細に析出させるためには、こ
の熱処理温度を480 ℃以下とする必要がある。即ち、本
発明では、前記した通り、押出される前のアルミ合金マ
トリックス中に、MgZn2 系析出物を存在させずに固溶さ
せた状態にしたいが、それがAl- 遷移金属系化合物の微
細化とは相矛盾するために、MgZn2 系析出物の一部が固
溶乃至固溶せずに、アルミ合金マトリックス中にMgZn2
系析出物が存在していたとしても、その平均サイズを0.
01μm 未満とすることによって本発明の目的を達成しよ
うとしている。
【0032】また、均質化熱処理の時間は、均質化熱処
理温度にもよるが、あまり長時間になると、粗大で安定
なMgZn2 系析出物やAl- 遷移金属系析出物が析出するの
で、均質化を保証する範囲で短時間が好ましい。具体的
には、4 〜6 時間程度が好ましい。
【0033】更に、熱処理後の冷却を水冷により行うの
も、熱処理によりアルミ合金マトリックス中に固溶した
MgZn2 の粗大な析出物の再析出および粗大なAl- 遷移金
属系析出物の再析出を防止するために重要である。熱処
理後の冷却を水冷により行うことにより、MgZn2 を押出
される前のアルミ合金マトリックス中に固溶したまま乃
至平均サイズ0.01μm 以下の微細析出のまま、Al- 遷移
金属系析出物を平均サイズ0.2 μm 以下の微細析出のま
まとすることができる。因みに、前記特公昭62-9662 号
公報や通常の方法のように、均質化熱処理を400 〜550
℃の比較的高温乃至長時間で行うとともにその後の冷却
を空冷で行った場合には、一旦アルミ合金マトリックス
中に固溶乃至微細に析出した前記析出物が、空冷乃至放
冷過程で粗大なMgZn2 系析出物およびAl- 遷移金属系析
出物として析出してしまう。
【0034】次に、前記均質化処理を施したアルミ合金
は、好ましくは、押出温度に再加熱して押出を行う。こ
の際、押出温度までの加熱は、急速加熱により行うこと
が好ましい。加熱速度があまり遅いと、前記300 〜400
℃の低温での時効熱処理をしているのと同様の結果とな
り、押出される前のアルミ合金マトリックス中に粗大な
MgZn2 析出物およびAl- 遷移金属系析出物が形成されて
しまう。この点、通常のヒータなどの加熱手段では加熱
速度が遅くなる可能性があり、高周波加熱などの急速加
熱によることが好ましい。因みに好ましい急速加熱速度
は、1 〜10℃/secである。
【0035】更に、押出自体の条件は、直接押出であっ
ても、また間接押出であっても、いずれでも良く、押出
材の形状に応じて適宜選択される。また、押出温度が48
0 ℃を超えると、結晶粒径が大きくなり過ぎ、Al-Zn-Mg
系アルミ合金押出材の強度を低下させる。また、押出に
おける焼付きを発生し易くなり、表面欠陥を生じやす
い。一方、押出温度が430 ℃を下回ると押出効率が極端
に低下し、生産性を阻害する。したがって、押出温度は
好ましくは、430 〜480 ℃の範囲とする。
【0036】押出後は、押出ままでも良いが、要求強度
に応じて、押出後にオンラインでミストやシャワーなど
による水冷などの急冷を行っても良く、またオフライン
でT6処理などの、溶体化処理( 水冷や温水による焼入れ
を含む、また必要により溶体化処理後に残留応力を除去
する) と時効硬化処理による調質を行っても良い。しか
し、前記溶接構造用などの用途向けに高い押出材強度や
耐力を得るためには、前記T6処理などの調質処理を行
い、Al-Zn-Mg系アルミ合金の強度300N/mm2以上、耐力25
0N/mm2以上、より好ましくは強度350N/mm2以上、耐力27
0N/mm2以上を確保することが好ましい。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例を説明する。本発明の
アルミ合金および押出材の製造方法として、表1 に示す
JIS 7N01規格の組成のAl-Zn-Mg系アルミ合金鋳塊をDC
鋳造法により溶製後、400 〜450 ℃×6 時間の範囲で均
質化熱処理を施し、熱処理後の冷却を水冷により行い、
押出される前のアルミ合金マトリックス内の析出物の析
出状態を、表2 に示すように調節した。そして、これら
均質化熱処理後のアルミ合金をビレットに切断および面
削後、押出温度への加熱を高周波加熱による急速加熱で
行い、その後3000t の直接押出機で、ビレットを継ぎ足
しつつ連続的な押出を行い、幅500mm 、厚み10mm、長さ
10000mm の中空アルミ合金型材を製造した。押出条件は
押出比10、押出温度450 ℃として、押出速度を従来の8m
/min.から17 m/min. に上げて押出した結果、押出製品
に焼付きは発生せず、表面性状の良好な押出材が得られ
た。更にこの押出型材に、T6処理(460℃×1 時間の溶体
化処理後、120 ℃×24時間の時効硬化処理) を行い、押
出材製品とした。
【0038】ここにおいて、前記均質化熱処理後のアル
ミ合金より試験片を採取し、10000倍の透過型電子顕微
鏡(TEM) により、アルミ合金マトリックスの組織写真(1
cmが1 ミクロンに該当) において画像解析を行い、析出物が
観察されない場合には固溶と判定するとともに、これら
析出物が存在する場合には、そのサイズ分布を求め、析
出物の平均サイズを導出した。
【0039】また、前記均質化熱処理後の各アルミ合金
ビレットとダイス間の摩擦力 (N/mm 2)を測定した。な
お、摩擦力の測定は実際の押出時には困難であるので、
前記均質化熱処理後のアルミ合金ビレットからリング状
の試験片 (外径16mm、内径8mm、高さ4mm)を採取し、こ
れをリング圧縮引き抜き試験機にかけることにより行っ
た。具体的には、図2 に示す試験機のコンテナ2 内にリ
ング状の試験片1 を水平に収容するとともに、使用ダイ
スと同じ材質の棒状工具3(材質SKD61)を、リング状試験
片の孔中に差し込み、また試験片のリング部分を上と下
から試験片と同じリング状の圧板 4、5(上下2 枚) にて
挟み込んで750kgfの力P で圧縮荷重し、試験片1 を棒状
工具3 に対しp の力で圧縮するようにする。そして、温
度を押出時の温度450 ℃まで挙げた状態で、前記棒状工
具3 をリング状の試験片1 から引き抜き、その際の棒と
試験片との単位接触面積当たりの引き抜き荷重F ( 引き
抜き抵抗値) から摩擦力τf (N/mm2) を算出した。この
リング圧縮引き抜き試験方法により測定された摩擦力
は、押出材との大きさや形状の違いによらず、実機によ
る押出の際の、アルミ合金ビレットとダイス間の摩擦力
に良く対応乃至良く相関する。
【0040】更に各押出材の焼付き性評価は、前記実機
押出機による押出材表面の長手方向に渡る全面を目視に
より観察し、押出材表面に全く焼付き発生が無いものを
○、わずかでも焼付き発生があるものを×とした。ま
た、T6処理後の押出材製品の引張強度および耐力を測定
した。これらの結果を発明例No.3、4 として、表2 に示
す。また、これら発明例の他に、比較のために、他の条
件を実施例と同じとして、均質化熱処理の温度が本発明
範囲からはずれた比較例(No.1 、2 、5)、均質化熱処理
後放冷した比較例(No.6)の結果も、同様に表2 に示す。
【0041】また、表2 の各例の、アルミ合金ビレット
とダイス間の摩擦力と押出材の焼付き性との関係を、図
1 に整理して示す。この図1 および表2 から明らかな通
り、発明例No.3、4 は、まず、押出される前のアルミ合
金中の析出物のうち、MgZn2析出物がアルミ合金中に固
溶しているか、または析出物の平均サイズが0.01μm未
満であるとともに、Al- 遷移金属系析出物の平均サイズ
が0.2 μm 未満であり、この結果、前記リング圧縮引き
抜き試験機でのアルミ合金ビレットとダイス間の摩擦力
が15.7N/mm2 以下であり、実機による押出において、押
出速度を従来の8m/min. から17 m/min. に上げて押出し
た結果でも、押出製品に焼付きは発生せず、表面性状の
良好な押出材が得られた。したがって、言い換えると、
前記リング圧縮引き抜き試験機での、Al-Zn-Mg系アルミ
合金ビレットとダイス間の摩擦力が15.7N/mm2 以下であ
れば、実機による大型で長尺材の押出において、押出速
度を高速化した場合でも、押出製品に焼付きは発生せ
ず、表面性状の良好な押出材が得られると言える。因み
に、この実施例の結果からすると、仮にアルミ合金押出
材が、より小径で単純な、前記従来技術の線材やフラッ
トバーの場合に、本発明を適用した場合には、100m/mi
n. 以上の高速の押出速度が得られることを示してい
る。また、発明例では引張強度や耐力などの機械的性質
も優れている。なお、発明例No.3と4 とで、押出される
前のアルミ合金中の析出物が異なるのは、均質化熱処理
温度の違いによるものである。
【0042】一方、これに対し、均質化熱処理の温度が
本発明範囲からはずれた比較例(No.1 、2 、5)や、均質
化熱処理後放冷した比較例(No.6)は、いずれも粗大なMg
Zn2析出物やAl- 遷移金属系析出物が析出しており、ア
ルミ合金ビレットとダイス間の摩擦力が1.6N/mm2を越
え、いずれも実機による押出において、押出速度を従来
の8m/min. から17 m/min. に上げて押出した場合、押出
製品に焼付きが発生している。特に、MgZn2 析出物が固
溶しているにもかかわらず、Al- 遷移金属系析出物が0.
2 μm の比較例5 や、Al- 遷移金属系析出物が0.2 μm
未満と小さいにもかかわらず、MgZn2 析出物が0.2 μm
の比較例6 でも、焼付きが発生しており、本発明の前記
析出物の規定の臨界的意義が裏付けられる。
【0043】更に、鉄道車両用の溶接構造用材料を想定
して、前記発明例No.3、4 のアルミ合金押出材製品同士
を、各々交流電源によりティグ溶接した結果 (溶加材:J
IS 5356 、アルゴンガス雰囲気) 、溶接性は良好であ
り、また溶接部乃至溶接熱影響部も良好で、溶接部は母
材アルミ合金並の強度と耐力が得られた。したがって、
本発明によって得られたアルミ合金押出材は、輸送機の
溶接構造用材料として好適に用いることができる。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、大型で長尺の押出材の
押出において、押出速度が高速化しても、ダイスとアル
ミ合金ビレットとの間での摩擦力を低減して焼付きを防
止し、押出製品の表面性状を改善し、押出速度の向上を
図ることができる。したがって、Al-Zn-Mg系アルミ合金
押出材の生産効率乃至生産性を飛躍的に高めることがで
きる点で、工業的な価値を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】均質化熱処理温度 (均熱温度) とアルミ合金ビ
レットとダイス間の摩擦力との関係を示す説明図であ
る。
【図2】ダイスとアルミ合金ビレットとの間での摩擦力
を測定する、リング圧縮引き抜き試験機を示す説明図で
ある。
【符号の説明】
1:リング状の試験片、 2:コンテナ、3:棒状工
具、 4、5:リング状の圧板、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630A 631 631Z 682 682 691 691B 694 694B

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 押出される前のAl-Zn-Mg系アルミ合金中
    の析出物のうち、MgZn2 析出物が固溶しているか、若し
    くは、MgZn2 析出物の平均サイズが0.01μm未満である
    とともに、Al- 遷移金属系析出物の平均サイズが0.2 μ
    m 未満であることを特徴とする押出性に優れたAl-Zn-Mg
    系アルミ合金。
  2. 【請求項2】 前記Al- 遷移金属系析出物の遷移金属
    が、Cu、Mn、Cr、Zrである請求項1に記載の押出性に優
    れたAl-Zn-Mg系アルミ合金。
  3. 【請求項3】 前記Al-Zn-Mg系アルミ合金が、Zn:0.80
    〜7.0%、Mg:0.5〜3.0%を含有し、残部Alおよび不可避的
    不純物からなる請求項1または2に記載の押出性に優れ
    たAl-Zn-Mg系アルミ合金。
  4. 【請求項4】 前記Al-Zn-Mg系アルミ合金が、更にCu:
    1.2〜2.6%、Mn:0.20〜0.7%、Cr:0.05 〜0.3%、Zr:0.05
    〜0.3%の一種または二種以上を含有する請求項3に記載
    の押出性に優れたAl-Zn-Mg系アルミ合金。
  5. 【請求項5】 前記Al-Zn-Mg系アルミ合金が、JIS 7N01
    規格のアルミ合金である請求項4に記載の押出性に優れ
    たAl-Zn-Mg系アルミ合金。
  6. 【請求項6】 前記アルミ合金の押出材の溶体化処理お
    よび時効硬化処理後の強度が300N/mm2以上および耐力が
    250N/mm2以上である請求項1乃至5に記載の押出性に優
    れたAl-Zn-Mg系アルミ合金。
  7. 【請求項7】 前記アルミ合金の押出材が輸送機の構造
    材用である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の押出
    性に優れたAl-Zn-Mg系アルミ合金。
  8. 【請求項8】 Al-Zn-Mg系アルミ合金を鋳造後に均質化
    熱処理する際、熱処理温度を430 〜480 ℃の範囲とする
    とともに、熱処理後の冷却を水冷により行い、アルミ合
    金中の析出物のうち、MgZn2 析出物がアルミ合金中に固
    溶しているか、若しくは、MgZn2 析出物の平均サイズが
    0.01μm 未満であるとともに、Al- 遷移金属系析出物の
    平均サイズを0.2 μm 未満として押出を行うAl-Zn-Mg系
    アルミ合金押出材の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記押出温度への加熱を急速加熱により
    行う請求項8に記載のAl-Zn-Mg系アルミ合金押出材の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 前記押出後に溶体化処理および時効硬
    化処理を行う請求項8または9に記載のAl-Zn-Mg系アル
    ミ合金押出材の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記Al-Zn-Mg系アルミ合金押出材の強
    度が300N/mm2以上および耐力が250N/mm2以上である請求
    項10に記載のAl-Zn-Mg系アルミ合金押出材の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 前記Al-Zn-Mg系アルミ合金押出材が輸
    送機の構造材用である請求項8乃至11のいずれか1項
    に記載のAl-Zn-Mg系アルミ合金押出材の製造方法。
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