JPH117923A - 非水溶媒電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ガラスシールで封止することによって負極と正
極を絶縁した密閉型の非水溶媒電池において、ガラスシ
ールの衝撃に対する機械的強度を向上する。 【解決手段】ガラス材を負極と正極との絶縁に用いた密
閉型の非水溶媒電池において、正極端子１１に金属製の
鍔１２を設け、正極端子と金属製の鍔と電池蓋９とで囲
まれた空間にガラス材１０を充填したことを特徴とし、
金属製の鍔をこのように設置したことによって、ガラス
材が水平方向のみでなく垂直方向に対しても衝撃に強度
を増し、落下等に対して強度を向上させることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、密閉型の非水溶媒
電池に関し、さらに詳しくは、ガラス材を充填して負極
と正極を絶縁した密閉型の非水溶媒電池に関する。

【０００２】

【従来の技術】負極作用物質としてリチウムなどのアル
カリ金属を用い、正極作用物質に常温で液体である塩化
チオニル，塩化スルフリルなどのオキシハロゲン化物を
用いた無機非水溶媒電池は、エネルギー密度が大きく、
貯蔵特性に優れ、作動温度範囲が広いという特徴をも
ち、産業用機器のメモリバックアップ等の電源として広
く使用されている。かかる電池は負極と正極の絶縁をガ
ラスを用いて封止し、密閉型の電池とすることによっ
て、電池外部からの水分等の侵入を防ぎ、電池の自己放
電を少なくしている。

【０００３】例えば図７はＡＡサイズの塩化チオニル・
リチウム電池の断面を示す図で、この電池の上面開口部
には電池蓋９がレーザー溶接されており、電池蓋９の中
心にはパイプ状の正極端子１１が設置されて、正極端子
１１と電池蓋９の間にはガラスシール１０が充填されて
電気的に絶縁されている。

【０００４】ところが、絶縁材にガラスを用いているた
め、外部からの衝撃に弱く、落下等によってガラスシー
ル部から液漏れ等の不具合が発生することがあった。こ
れに対して、絶縁材にポリエチレン等の樹脂を用いたも
のも考えられるが、これは耐電解液性に劣るため長期間
の貯蔵に対して液漏れの心配がある。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、従来
のガラスシールは耐電解液性に優れ長期間の使用にも十
分封口性を保持することができるという利点があるが、
落下等による衝撃に弱く電池の取り扱いに注意が必要で
あった。

【０００６】本発明は上記問題に対処してなされたもの
で、非水溶媒電池におけるガラスシールを改良して、衝
撃に強くかつ封口性のよい非水溶媒電池を提供すること
を目的としたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ガラ
ス材を負極と正極との絶縁に用いた密閉型の非水溶媒電
池において、正極端子に金属製の鍔を設け、正極端子と
金属製の鍔と電池蓋とで囲まれた空間にガラス材が充填
されていることを特徴とする。

【０００８】通常ガラスシールは、外側の金属により圧
縮力を受けることによって安定し、封着したときの強度
を得ている。これは、外側の金属がガラスより熱膨張係
数が大きいので、封着するときにガラスを高温より冷却
すると外側金属より圧縮力を受けるようになるからであ
る。しかし、圧縮力の方向は一方向なので、それに対し
て垂直方向から力が加わると機械的強度が弱く、従来ク
ラックや割れが発生していたのはそのためである。

【０００９】本発明の非水溶媒電池は、正極端子に金属
製の鍔を設け、正極端子と金属製の鍔と電池蓋とで囲ま
れた空間にガラス材が充填されているので、端子と金属
製鍔で垂直な面を構成し、従来のように正極端子と電池
蓋とから受ける水平方向のみでなく、それに垂直な方向
の圧縮力をも受けることができる。そのため、ガラスシ
ールは機械的強度の優れたものとなる。

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について、負
極作用物質にリチウム、正極作用物質に塩化チオニルを
用いた電池を例にして説明する。

【００１１】（実施例１）図１は本発明の非水溶媒電池
（ＡＡサイズの塩化チオニル・リチウム電池）の断面図
であり、図２は図１の封口部分の拡大図である。これら
の図において、１は負極端子を兼ねるステンレス製の缶
体であり、この缶体１の内周面には金属リチウムからな
る筒状の負極２が圧着されている。３は多孔質炭素正極
体で、アセチレンブラック４５重量％、ファーネスブラ
ック４５重量％、ポリテトラフルオロエチレン１０重量
％を混練し、円筒状に成形したニッケルのエキスパンド
メタル７の周囲に、直径１０ｍｍ、高さ３５ｍｍに成形
し、１５０℃で８時間真空乾燥したものである。

【００１２】４，５，８はガラス繊維不織布による隔離
紙で負極と正極体を隔離している。缶体１の上面開口部
には電池蓋９がレーザー溶接されている。この電池蓋９
の中心にはパイプ状の正極端子１１があり、上部に金属
製鍔１２を配置している。ガラスシール１０は電池蓋９
と正極端子１１および金属製鍔１２に溶着しており、こ
れらは電気的に絶縁されている。この正極端子１１の下
端は、リード箔１３を介して正極体の集電体７と電気的
に接続されている。

【００１３】前記缶体１内にはパイプ状の正極端子１１
から注入された電解液１４が収容されている。この電解
液は塩化チオニルに電解質として塩化アルミニウムと塩
化リチウムをそれぞれ１．２ｍｏｌ／１づつ溶解したも
のである。パイプ状の正極端子１１には封口体１５が挿
入され、レーザー溶接されている。

【００１４】（実施例２）図３に示すように、金属製鍔
１２を正極端子の頂部からやや下がった位置に設置した
電池蓋９を使用し、それ以外は実施例１と同一の電池を
作製した。

【００１５】（比較例１）図４に示す従来の電池蓋９を
使用したこと以外、実施例１と同一の電池を作製した。
上記の実施例１，２および比較例１の電池に用いた電池
蓋の面に対して垂直方向から力を加え、ガラスが破壊す
る荷重を調べたところ、表１の結果を得た。

【００１６】

【表１】

【００１７】実施例１，２および比較例１の電池１００
個を用いて、２ｍの高さから自由落下させ、これらの電
池のガラスシール部分の損傷により漏液したものの数を
調べたところ表２の結果を得た。

【００１８】

【表２】

【００１９】以上のように、金属製鍔を設けた電池はガ
ラスシール部分の強度が増し、落下等による衝撃に強い
非水溶媒電池が得られた。

【００２０】なお、本発明の非水溶媒電池における正極
端子、金属製鍔、電池蓋等の形状は上記の実施例に限定
されないことは勿論であり、例えば図５および図６に示
すようなものも挙げることができる。

【００２１】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
封口部分において正極と負極の絶縁に用いられるガラス
シールの機械的強度が向上したので、落下等に対する衝
撃に強い安全性の高い非水溶媒電池を提供することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す非水溶媒電池の断面図。

【図２】図１の封口部分の断面図。

【図３】本発明の他の実施例を示す電池の封口部分の断
面図。

【図４】従来の電池の封口部分の断面図。

【図５】本発明の他の実施例を示す電池の封口部分の断
面図。

【図６】本発明の他の実施例を示す電池の封口部分の断
面図。

【図７】従来の非水溶媒電池の断面図。

【符号の説明】

１…缶体、２…負極、３…多孔質炭素正極体、４，５，
８…ガラス繊維不織布セパレータ、７…正極集電体、９
…電池蓋、１０…ガラスシール、１１…正極端子、１２
…金属製鍔、１３…ニッケルリード箔、１４…電解液、
１５…封口体。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラス材を負極と正極との絶縁に用いた
   密閉型の非水溶媒電池において、正極端子に金属製の鍔
   を設け、正極端子と金属製の鍔と電池蓋とで囲まれた空
   間にガラス材が充填されていることを特徴とする非水溶
   媒電池。
2. 【請求項２】 正極端子の頂部に金属製の鍔を設けた請
   求項１記載の非水溶媒電池。
3. 【請求項３】 正極端子の頂部より下がった位置に金属
   製の鍔を設けた請求項１記載の非水溶媒電池。
4. 【請求項４】 非水溶媒電池が負極作用物質としてリチ
   ウムを用い正極作用物質として塩化チオニルを用いた電
   池である請求項１記載の非水溶媒電池。