JPH1176703A - 水中油型エマルション型消泡剤組成物の安定化方法 - Google Patents

水中油型エマルション型消泡剤組成物の安定化方法

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JPH1176703A
JPH1176703A JP23985997A JP23985997A JPH1176703A JP H1176703 A JPH1176703 A JP H1176703A JP 23985997 A JP23985997 A JP 23985997A JP 23985997 A JP23985997 A JP 23985997A JP H1176703 A JPH1176703 A JP H1176703A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製紙工程、排水処理工程などの広い分野
で用いられる水中油型エマルション型消泡剤組成物の安
定化方法であって、エマルション粒子表面の湿潤性が損
なわれることがなく、従ってエマルション液体と空気が
接する面に固化を生じない安定化方法を提供する。 【解決手段】 (A)炭素数1〜18のアルコールと炭
素数12〜24の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルと
(B)炭素数12〜26のアルコールを有効成分とする
水中油型エマルション型消泡剤組成物において、(C)
分子中にエーテル結合および/あるいは水酸基を有する
分子量200〜50000の水溶性化合物を加えること
を特徴とする水中油型エマルション型消泡剤組成物の安
定化方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製紙工程、排水処
理工程などの広い分野で用いられる水中油型エマルショ
ン型消泡剤組成物の安定化方法であり、エマルションの
湿潤性が損なわれることがなく、従ってエマルション液
体と空気が接する面に固化を生じない安定化方法に関す
るものである。
【0002】
【従来技術】水中油型エマルション消泡剤は、抄紙工程
をはじめとする各種製造工程や、排水処理工程において
消泡、発泡抑制を目的として広く使用されている。特に
高級アルコール成分を含有する水中油型エマルション消
泡剤は、優れた効果を示すものとしてよく知られている
〔特開昭48−62683号公報、特開昭60−156
516号公報〕。しかし、この水中油型エマルション型
消泡剤の問題点として、製品貯蔵中に増粘し、あるいは
クリーム状に固化し、取扱い性が極めて悪いという欠点
があった。その改良方法として、例えばポリアクリル
酸、ポリアクリルアミド等の水溶性高分子化合物を配合
する方法〔特公平6−104165号公報〕、炭素数1
6〜24のアルコール、及び一価〜三価の炭素数1〜1
8のアルコールと炭素数12〜22の脂肪酸とからなる
脂肪酸エステルを用いる方法〔特公平8−24806号
公報〕等が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の改良方法をもってしてもエマルションの湿潤性の改善
は不充分であり、該エマルションを長期にわたって貯蔵
した際にはその表面の空気と接する面に固化を生じると
いう問題は依然改善されなかった。本発明の目的は、か
かる水中油型エマルション型消泡剤の優れた消泡性能を
有したまま、長期貯蔵した際にも、組成物表面の湿潤性
が失われず、固化を起こさず、取り扱い良好な水中油型
エマルション型消泡剤組成物の安定化方法を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者は、かかる水中
油型エマルション型消泡剤の表面湿潤性及びその解決方
法について鋭意研究を重ねた結果、脂肪酸エステルと、
高級アルコールを組合せた水中油型エマルション型消泡
剤組成物において、特定の水溶性化合物を配合すること
により、これらの問題を改善し得ることを見出し、その
知見に基づいて本研究をなすに至った。
【0005】すなわち、本請求項1の発明は、(A)炭
素数1〜18のアルコールと炭素数12〜24の脂肪酸
とからなる脂肪酸エステルと、(B)炭素数12〜26の
アルコールを有効成分とする水中油型エマルション型消
泡剤組成物において、(C)分子中にエーテル結合および
/あるいは水酸基を有する分子量200〜50000の
水溶性化合物を加えることを特徴とする水中油型エマル
ション型消泡剤組成物の安定化方法であり、請求項2の
発明は(A)成分の脂肪酸エステルを構成する炭素数1
〜18のアルコール成分が、エリスリトール及びペンタ
エリスリトールからなる群より選ばれた1種以上である
請求項1記載の水中油型エマルション型消泡剤組成物の
安定化方法である。
【0006】
【発明実施の形態】以下、本発明について説明する。
【0007】本発明における水中油型エマルション型消
泡剤組成物は、(A)炭素数1〜18のアルコールと炭素
数12〜24の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルと(B)
炭素数12〜26のアルコールを消泡活性成分としてい
る。
【0008】本発明における(A)脂肪酸エステルを構成
している炭素数1〜18のアルコール成分は、一価ない
し四価アルコールであり、その具体的な例を挙げると、
メタノール、イソプロパノール、n−ブチルアルコー
ル、n−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアル
コール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、エチ
レングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、
エリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。こ
のうち、エマルション消泡剤のエマルション安定性の観
点から、四価アルコールであるエリスリトール、ペンタ
エリスリトールが特に好ましいことがある。これらアル
コールは二種以上の混合物であってもなんら差し支えな
い。
【0009】(A)成分の脂肪酸エステルにおける一方の
脂肪酸成分は、炭素数12〜24、好ましくは14〜1
8の飽和脂肪酸あるいは不飽和脂肪酸である。しかし、
原料に炭素数12〜24の脂肪酸を用いたとき、一部炭
素数11以下の脂肪酸、あるいは炭素数25以上の脂肪
酸を含むことがあるが、消泡剤の性能、その他性状を損
なわない範囲で含有することを妨げるものではない。通
常、炭素数12〜24の脂肪酸成分が70重量%以上含
有する混合脂肪酸であれば、本発明の目的が達成され
る。炭素数12〜24の具体的な例として、ラウリン
酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、リグノ
セリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸があ
り、さらに牛脂油、トウモロコシ油、大豆油、パーム
油、オリーブ油など天然の油脂から得られ、且つ炭素数
12〜24の成分を多く含む脂肪酸等が挙げられる。
【0010】本発明の(A)成分である脂肪酸エステル
は、上記脂肪酸と炭素数1〜18のアルコールとのエス
テル化反応により得られる。二価ないし四価アルコール
を用いてエステル化して得られた脂肪酸エステルの場合
には分子中の水酸基全てがエステル化されたものであっ
てもよいが、また部分的にエステル化され、一部水酸基
のまま残った構造のものでもよい。また2種以上の脂肪
酸エステルを混合して用いることも何ら差し支えない。
また脂肪酸エステルは、動植物の油脂やそれらの硬化油
を用いることもできる。
【0011】本発明における(B)成分の炭素数12〜2
6のアルコールとして、高級飽和脂肪族アルコールが用
いられ、好ましくは炭素数16〜22の合成アルコール
あるいは天然アルコールである。しかし、炭素数12〜
26の脂肪族アルコールを用いたとき、一部炭素数11
以下のアルコール、あるいは炭素数27以上のアルコー
ルを含むことがあるが、消泡剤の性能、その他性状を損
なわない範囲で含有することを妨げるものではない。通
常、炭素数12〜26のアルコール成分が70重量%以
上含有する脂肪族アルコールであれば本発明の目的が達
成される。炭素数12〜26の単体アルコールの例とし
て、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチ
ルアルコール、ステアリルアルコール、エイコシルアル
コール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。又合成ア
ルコールとしては、例えばトリアルキルアルミニウムを
触媒(チーグラー・ナッタ触媒)としてエチレンを重合
し、得られたポリエチレンに濃硫酸を反応させてモノア
ルキル硫酸を得、次いで加水分解した後、蒸留分離して
得られるチーグラー合成によるアルコールがある。この
チーグラー合成によるアルコールは偶数の炭素数を有
し、炭素数の異なる複数のアルコールを混在しているの
で、本発明の消泡剤の好ましいアルコール成分として挙
げられる。
【0012】本発明における(C)分子中にエーテル結
合および/あるいは水酸基を有する分子量200〜50
000の水溶性化合物は、本発明のエマルション型消泡
剤組成物におけるエマルション液体と空気が接する面に
固化を生じない安定化を与えるものである。この水溶性
化合物は親水基 (あるいは極性基)のみから構成されて
いるもので、分子内に親水基と疎水基を有し、水中の油
滴を安定化させる乳化剤とは本質的に異なるものであ
る。好ましい水溶性化合物の例として、ポリエチレング
リコール、アルコール類のエチレンオキサイド付加体、
カルボン酸類のエチレンオキサイド付加体、ポリグリセ
リン、グリセリンあるいはポリグリセリンのエチレンオ
キサイド付加体等が挙げられる。尚、アルコール類のエ
チレンオキサイド付加体やカルボン酸類のエチレンオキ
サイド付加体においては、アルコール部分あるいはカル
ボン酸部分の炭素数が大きくなると水溶性が損なわるこ
とがあり、好ましくは炭素数5以下のアルコールあるい
は炭素数5以下のカルボン酸が用いられる。また、数モ
ルのプロピレンオキサイド付加体は親水基として作用す
るので、化合物の水溶性を損なわれない範囲において分
子中にプロピレンオキサイド付加体部分が含まれていて
もよい。本発明における水溶性は、該化合物を10重量
%水溶液としたとき均一に溶解していることが目安とな
る。10重量%水溶液が均一に溶解しない程の水溶性で
は、本発明の目的とする消泡剤の安定化効果が充分に期
待されない。本発明における水溶性化合物の分子量は2
00〜50000、好ましくは1000〜10000、
さらに好ましくは2000〜5000である。分子量2
00未満では目的とする消泡剤安定化効果が充分でな
く、他方50000より大きいものは効果はあるが、該
化合物の製造コストが高く不経済であり好ましくない。
【0013】本発明における分子中にエーテル結合およ
び/あるいは水酸基を有する分子量200〜50000
の水溶性化合物の配合量は、完成された水中油型エマル
ション型消泡剤組成物中に、0.1〜10重量%、好ま
しくは1〜5重量%、さらに好ましくは2〜4重量%で
ある。0.1重量%未満ではその効果が充分でなく、ま
た10重量%より多いと消泡効果が悪くなることがあ
り、またエマルションの安定性を逆に悪くすることがあ
りいずれも好ましくない。
【0014】本発明の水中油型エマルション型消泡剤の
製造方法は、特に限定するものではなく、従来の水中油
型エマルションの製造において慣用されている方法を用
いることができる。本発明における分子中にエーテル結
合および/あるいは水酸基を有する分子量200〜50
000の水溶性化合物の添加時期は、該水中油型エマル
ション型消泡剤組成物の製造段階のいずれの時期でもよ
い。例えば、水中に界面活性剤及び(C)の水溶性化合物
を加え、これを激しく撹拌しながら(A)成分及び(B)成
分の混合物を徐々に加えてエマルションとする方法があ
る。本発明における(A)成分及び(B)成分は、その合計
量が水中に10〜40重量%、好ましくは20〜30重
量%含有するエマルションとして用いられる。
【0015】本発明における水中油型エマルション型消
泡剤の有効成分は、(A)成分の脂肪酸エステルと、
(B)成分のアルコールである。本発明の(C)水溶性
化合物は、該水中油型エマルション型消泡剤組成物に加
わることによりその消泡機能に本質的な劣化を与えるこ
となく、該エマルション粒子表面に湿潤性を与え、エマ
ルション液体と空気が接する面に固化を生じない安定化
に寄与することが認められた。
【0016】水中油型エマルション型消泡剤組成物の製
造においては、乳化剤として非イオン性界面活性剤、ア
ニオン性界面活性剤が用いられるが、本発明はこれら乳
化剤の使用量、その化学構造についてなんら制限を加え
るものではない。
【0017】本発明の水中油型エマルション型消泡剤組
成物においては、本発明の効果が失われない範囲におい
て、鉱油等を加えること、あるいはその他公知のエマル
ション安定化剤、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリルアミド、メタクリルアミドなどの重合物等の水
溶性高分子化合物及び天然から得られるキサンタンガ
ム、ラムザンガム、ウェランガム等の多糖類、セルロー
ス系等の添加について何ら制限するものではない。
【0018】又、本発明の水中油型エマルション型消泡
剤組成物には長期貯蔵の際の腐敗を防止する目的で、必
要に応じた公知の水溶性防腐剤を含有させることが出来
るが、本発明はそれら防腐剤の添加に関して何ら制限を
加えるものではない。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
る。
【0020】A成分:脂肪酸エステル A−1:チーグラー合成による天然アルコール(成分比
率:炭素数10=2重量%、炭素数12=40重量%、
炭素数14=30重量%、炭素数16=18重量%、炭
素数18=10重量%)とステアリン酸とからのエステ
ル化合物 A−2:メタノールとステアリン酸からのエステル化合
物 A−3:プロピレングリコールとステアリン酸からのエ
ステル化合物(エステル化率=50%) A−4:グリセリとオレイン酸からのエステル化合物
(エステル化率=35%) A−5:ペンタエリスリトールとステアリン酸とからの
エステル(エステル化率=50%) A−6:ペンタエリスリトールとベヘニン酸とからのエ
ステル(エステル化率=65%) A−7:エリスリトールとステアリン酸とからのエステ
ル(エステル化率=62%)
【0021】B成分:アルコール B−1:チーグラー合成による天然アルコール(成分比
率:炭素数10=2重量%、炭素数12=40重量%、
炭素数14=30重量%、炭素数16=18重量%、炭
素数18=10重量%) B−2:チーグラー合成によるアルコール(炭素数16
=63重量%、炭素数18=33重量%、炭素数20=
3重量%) B−3:ナタネ油から得られたアルコール(炭素数18
=43重量%、炭素数20=11重量%、炭素数22=
44重量%)
【0022】C成分:水溶性化合物 C−1:ポリエチレングリコール(平均分子量4,00
0)[BASF製、Pluriol E4000(商品
名)] C−2:ポリエチレングリコール(平均分子量200)
[BASF製、Pluriol E200(商品名)] C−3:ポリエチレングリコール(平均分子量35,0
00)[関東化学(株)製、ポリエチレングリコール#3
5,000(商品名)] C−4:ペンタグリセリン C−5:エチレングリコール C−6:エタノール
【0023】〔エマルションの製造〕水の所定重量部を
80℃に加温し、界面活性剤[ポリオキシエチレンポリ
オキシプロピレンブロックポリマー、HLB=5.7、
旭電化工業(株)製、プルロニックL−61(商品名)]
を1重量部、本発明(あるいは比較)の分子中にエーテ
ル結合および/あるいは水酸基を有する水溶性化合物を
所定重量部加えた。この際水と水溶性化合物の合計を7
9重量部として調整した。この水溶液をタービン羽根で
激しく攪拌しながら、脂肪酸エステル10重量部とアル
コールを10重量部を80℃に加温した溶液と加え水中
油型エマルションを調製した。
【0024】〔エマルシションの湿潤性評価〕本発明の
水中油型エマルション型消泡組成物あるいは比較の水中
油型エマルション型消泡剤組成物を5.0gを内径31.
6mmのシャーレに秤取り、温度20℃、湿度65%の
恒温恒湿室で72時間静置させた。次いで内容物を10
0メッシュワイヤーで濾過しワイヤー上の残査を計量し
た。以上の結果を表1に示した。表1の乾燥状態の評価
は、100メッシュワイヤーで濾過する前のエマルショ
ン表面の状態であり、○は流動性があるもの、△は流動
性がほとんどなくなくなっているもの、×は表面がペー
スト化あるいは固化しているものを示す。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により水中
油型エマルション型消泡剤の優れた消泡性能を確保した
まま、長期貯蔵時においても、エマルション粒子表面の
湿潤性が失われず、エマルション液体と空気が接する面
に固化を起こさない、取り扱い良好な水中油型エマルシ
ョン型消泡剤組成物を提供することができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)炭素数1〜18のアルコールと炭
    素数12〜24の脂肪酸とからなる脂肪酸エステルと、
    (B)炭素数12〜26のアルコールを有効成分とする
    水中油型エマルション型消泡剤組成物において、(C)
    分子中にエーテル結合および/あるいは水酸基を有する
    分子量200〜50000の水溶性化合物を加えること
    を特徴とする水中油型エマルション型消泡剤組成物の安
    定化方法。
  2. 【請求項2】 (A)成分の脂肪酸エステルを構成する
    炭素数1〜18のアルコール成分が、エリスリトール及
    びペンタエリスリトールからなる群より選ばれた1種以
    上である請求項1記載の水中油型エマルション型消泡剤
    組成物の安定化方法。
  3. 【請求項3】 (C)成分の分子中にエーテル結合およ
    び/あるいは水酸基を有する分子量200〜50000
    の水溶性化合物が、ポリエチレングリコールである請求
    項1または請求項2記載の水中油型エマルション型消泡
    剤組成物の安定化方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1057926A1 (en) * 1999-05-31 2000-12-06 Fina Research S.A. Foam-controlling process
KR100686326B1 (ko) 2005-09-15 2007-02-22 주식회사 한진산업 생분해성 소포제 조성물 및 그 제조방법

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