JPH1176257A - 焼灼止血装置 - Google Patents

焼灼止血装置

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JPH1176257A
JPH1176257A JP9238621A JP23862197A JPH1176257A JP H1176257 A JPH1176257 A JP H1176257A JP 9238621 A JP9238621 A JP 9238621A JP 23862197 A JP23862197 A JP 23862197A JP H1176257 A JPH1176257 A JP H1176257A
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distal end
thin film
temperature
heating
heating element
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JP9238621A
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Hitoshi Watanabe
均 渡辺
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Olympus Corp
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Olympus Optical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】長期使用に耐え得る耐摩耗性及び温湿度環境の
変化や高温高圧蒸気滅菌に耐え得る耐熱性及び化学的安
定性、超音波洗滌やオートクレーブ滅菌等によって基材
から剥離しない高い密着性、どのような環境下でも安定
した非粘着性を発揮し得る表面処理を施した先端発熱部
を有する焼灼止血装置を提供すること。 【解決手段】先端キャップ18の熱伝達面18aに対向
する底部には半田付け20によって発熱素子14が接合
固定され、同軸ケーブル13と送電コイル21を介して
電気的に接続されている。発熱素子14は、絶縁チュー
ブ22を介して本体部17の凹部17dの内壁に一端部
が当接したコイルバネ23にて半田付け20面側に押圧
されている。このため、半田が再溶融したとき、発熱素
子14が熱伝達面18aに対向する底部から遊離しない
構成である。先端キャップ18の外周面には全面にわた
ってポリパラキシリレン薄膜が膜厚5μmで形成されて
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、経内視鏡的に用い
られ、生体組織の出血部位を加熱して凝固作用を発生さ
せる焼灼止血装置に関し、特に先端発熱部を覆う先端キ
ャップを備えた焼灼止血装置に関する。
【0002】
【従来の技術】体表面からの切開を必要とせず、体腔内
の診断及び治療処置を経内視鏡的に同時に行う手技が広
く普及している。内視鏡には、一般に観察手段の他に各
種処置具を挿通するための中空の処置用チャンネルが設
けられており、このチャンネルを介して体腔内の症状等
に応じた処置具を目的部位まで導いて術者の目視観察下
で種々の治療処置が行えるようになっている。
【0003】体腔内の腫瘍等の切除や潰瘍等を原因とす
る出血に対する止血手段として、レーザービームを出血
部位に照射して血液を凝固させるレーザー治療装置が用
いられることがある。しかし、現状ではレーザービーム
の照射制御に十分な熟練が必要で、かつ、過剰エネルギ
ーの供給によって体組織を必要以上に焼灼して瘻孔を形
成しないよう慎重な施術が必要であると共に、レーザー
照射装置自体が高価であるのでコスト的にかなり高くな
るのでレーザービームを止血手段にするこの手技は広く
普及するに至っていない。
【0004】これに対して、内視鏡の処置用チャンネル
内に他の処置具と同様に先端発熱部を有する細長なシー
スを挿通して、この先端発熱部を出血部位に押圧した状
態で、先端発熱部に内設されている発熱源に通電するこ
とによって、出血部位を加熱して、血液を加熱凝固させ
て止血する焼灼止血装置が一般的に使われている。
【0005】前記焼灼止血装置の先端発熱部に内設され
ている発熱源は、対象部位以外の体組織の壊死を最小に
抑えるため、血液を凝固させる際の温度の立ち上がり特
性である昇温特性及び止血後の温度の立ち下がり特性で
ある降温特性が早ければ早いほどよい。このため、発熱
源の発熱素子として応答特性の良好なツェナーダイオー
ドを組み込んだ焼灼止血装置が実用化されている。
【0006】前記焼灼止血装置で有効な止血処置を行う
ため、先端発熱部の加熱をパルス幅が数秒の複数パルス
を断続的に印加することによって制御し、この1パルス
当たりの発熱量を10〜30J、瞬間最高温度を250
〜350℃に設定して処置が行われている。
【0007】また、従来から使用されている焼灼止血装
置においては、焼灼止血時に先端発熱部の外周面が生体
組織に直接接触する。従って、この先端発熱部の外周面
に体組織が貼りついてしまうことによって発生する止血
後の再出血を防止するため、前記先端発熱部の外周面に
非粘着コーティングを施すことが知られている。実際、
焼灼止血装置において、金属製の先端キャップの基材の
外周面に耐摩耗用セラミック微粉末を混合したフッ素ポ
リマーコーティングを数十μmの膜厚で施すことが特開
昭61−154659号公報等に開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記フ
ッ素ポリマーコーティングは、十分な非粘着特性を示す
一方、使用温度環境である250〜350℃がフッ素ポ
リマーの熱分解温度に近いので、次第に熱劣化して、所
定の表面性を継続維持することが困難であるという問題
があった。
【0009】また、前記フッ素ポリマーコーティング
は、有機溶剤に溶解したフッ素ポリマーと、これに分散
したセラミック微粉末の混合溶液を、スプレーイングや
ディッピング等の公知の湿式塗布法によって、先端キャ
ップ基材上に塗布して乾燥させた後、最後に熱処理によ
る焼付けを行って形成される。このような高粘度の塗料
を用いる湿式塗布法では膜厚を制御することが困難で、
特にエッジ部が厚膜化し易いという欠点がある。その結
果、基材外形寸法等が設計寸法よりも太径化しやすく、
細く形成されている内視鏡の処置用チャンネル内を挿通
させる際、抵抗が大きくなって、安定した操作感が得ら
れない等の不都合の原因になっていた。
【0010】さらに近年、医療器具類に関わる消毒滅菌
方法において、一般的に高温高圧蒸気を用いたオートク
レーブ滅菌や超音波洗滌機による長時間加振洗滌等が採
用されているため、従来の基材表面にフッ素ポリマーコ
ーティングを形成した焼灼止血装置では金属基材に対す
る密着性が低く、数回の消毒滅菌を行っただけで、基材
表面からフッ素ポリマーコーティングが剥離して、所定
の非粘着性が失われてしまうという問題があった。
【0011】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、長期使用に耐え得る耐摩耗性及び温湿度環境の変
化や高温高圧蒸気滅菌に耐え得る耐熱性、化学的安定
性、さらには超音波洗滌、オートクレーブ滅菌等によっ
て基材から剥離しない高い密着性を有し、どのような環
境下でも安定した非粘着性を発揮し得る表面処理を施し
た先端発熱部を有する焼灼止血装置を提供することを目
的にしている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の焼灼止血装置
は、内視鏡の処置用チャンネル等に挿通される細長なシ
ースの先端部に先端発熱部を有する焼灼止血装置であっ
て、前記先端発熱部に、 の化学式で表されるパラキシリレン誘導体を単量体とす
る重合体薄膜を全面に成膜した金属製先端キャップを被
覆している。
【0013】この構成によれば、先端発熱部を覆う金属
製先端キャップにパラキシリレン誘導体を単量体とする
重合体薄膜を全面に成膜したので、環境に左右されるこ
となく、安定した非粘着性を発揮して繰り返しの使用が
可能になる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。図1及び図2は本発明の第1実施
形態に係り、図1は焼灼止血装置を説明する図、図2は
焼灼止血装置の先端発熱部及び先端キャップを説明する
断面図である。
【0015】図1に示すように本実施形態の焼灼止血装
置1は、前面に加熱量設定ボタン2a及び洗滌水の送水
量設定ボタン2bを操作パネル2に設けた電源ボックス
3と、この電源ボックス3に基端部に設けた電気コネク
タ4及び送水コネクタ5にて着脱自在に接続される焼灼
プローブ6と、前記電源ボックス3にケーブル7の基端
部に設けたコネクタ8にて着脱自在に装着されるフット
スイッチ9と、前記電源ボックス3の側面に着脱自在に
取り付けられる洗滌水タンク10とで主に構成されてい
る。
【0016】前記焼灼プローブ6は、細長で可撓性を有
する合成樹脂である例えばPTFEチューブで形成され
たシース11と、前記シース11の先端に配置された先
端発熱部12と、このシース11の基端部に設けられた
前記電気コネクタ4及び送水コネクタ5とで構成され、
前記シース11及びその先端に設けられた先端発熱部1
2が図示しない内視鏡の処置用チャンネル内に挿通可能
で、このチャンネルを介して先端発熱部12が体腔内の
処置部位に導かれるようになっている。
【0017】図2(a)に示すように前記シース11内
には同軸ケーブル13が長手方向に挿通されており、こ
の同軸ケーブル13を介して先端発熱部12に内設され
ている発熱素子14に通電されるようになっている。ま
た、図2(a)のA−A断面図である同図(b)に示す
ように前記先端発熱部12の側面には複数の洗滌ノズル
15,…,15が設けられており、これら洗滌ノズル1
5に洗滌水を圧送するための送水路16が同軸ケーブル
13の外周方向に形成されている。
【0018】上述のように構成されている焼灼止血装置
1は以下のように操作される。まず、焼灼プローブ6の
電気コネクタ4及び送水コネクタ5を電源ボックス3に
接続すると共に、フットスイッチ9をコネクタ8を介し
て前記電源ボックス3に接続する。
【0019】次に、電源ボックス3の主電源スイッチ3
aを操作し、電源をオン状態にすると共に、操作パネル
2上の加熱量設定ボタン2a及び洗滌水の送水量設定ボ
タン2bを設定する。
【0020】この後、フットスイッチ9の洗滌水送水側
スイッチ9aを押圧することで、電源ボックス3内に内
設された送水ポンプ(図示せず)を作動させて洗滌水タ
ンク10内の洗滌水をシース11内の送水路16を経て
先端発熱部12の洗滌ノズル15から体腔内出血部位に
向けて送水して血液等を洗い流す。
【0021】一方、前記フットスイッチ9の加熱スイッ
チ9b側を押圧することによって、先端発熱部12内の
発熱素子14に通電して、この発熱素子14を所定温度
に加熱して先端発熱部12を出血部位に押圧して焼灼止
血処置を行う。
【0022】図2(a),(b)を参照して焼灼プロー
ブ6の先端発熱部12の詳細な構成を説明する。前記細
長で可撓性を有するシース11の先端部に設けられてい
る先端発熱部12は、前記シース11の先端部に接続固
定される本体部17と、この本体部17を覆うように配
置され、先端面を半球面(円弧面)に形成した中空の円
筒状金属製の先端キャップ18とで構成されている。
【0023】前記本体部17は先端側を形成する太径部
17aと基端側を形成する細径部17bとで形成されて
おり、この細径部17bをシース11の先端部の透孔内
に嵌入することによって、前記本体部17がシース11
の先端部に一体的に接続固定される。なお、この本体部
17の中央長手方向には貫通孔17cが形成されてお
り、この貫通孔17c内に同軸ケーブル13が挿通され
ている。
【0024】また、前記本体部17の先端側には、前記
貫通孔17cに連なる凹部17dが形成されており、こ
の凹部17dにシース11側から挿通された同軸ケーブ
ル13の先端が配置されている。
【0025】前記先端キャップ18は、速い熱応答性を
実現するために熱伝導率の高い銅を多く含有して良好な
熱伝達性を有する真ちゅうを切削加工して形成されてお
り、出血部位に先端部側外周面を押し当てることによっ
て焼灼凝固を行う熱伝達面18aと、前記本体部17の
太径部17aの外周面に装着固定される本体被覆部18
bとで構成されている。
【0026】前記先端キャップ18の半球状の熱伝達面
18aの先端面に対向する底部には半田付け20によっ
て例えばツェナーダイオードである発熱素子14が接合
固定され、この発熱素子14と前記同軸ケーブル13の
先端とが送電コイル21を介して電気的に接続されてい
る。
【0027】また、前記発熱素子14は、例えばガラス
チューブである絶縁チューブ22を介して本体部17の
凹部17dの内壁に一端部が当接したコイルバネ23に
て半田付け20面側に押圧されている。このことによっ
て、前記発熱素子14が発熱されて周辺温度が半田の融
点以上に上昇して、半田が再溶融したとき、発熱素子1
4が熱伝達面18aに対向する底部から遊離しない構成
になっている。
【0028】前記先端キャップ18の外周面には全面に
わたってポリパラキシリレン薄膜24が膜厚5μmで形
成されている。このポリパラキシリレン薄膜24は化学
的気相成長法(CVD法)により、ジパラキシリレンの
熱分解蒸気(パラキシリレンラジカルモノマー)を反応
槽に導入し、反応槽内に設置した基材、先端キャップの
表面に堆積することによって形成されている。なお、こ
こでいうパラキシリレン誘導体は の化学式で表されるパラキシリレン及び塩素置換誘導体
を総称し、ジパラキシリレンを加熱気化して真空槽中へ
キャリヤーガスと共に導入し、高温で熱分解してラジカ
ルモノマーを生成し基板上へ吸着堆積すると同時に重合
物薄膜を形成するものである。
【0029】ここで、ポリパラキシリレン薄膜の詳細に
ついて説明する。ポリパラキシリレン薄膜は、ジパラキ
シリレンを気化原料に用いて気化重合させることによっ
て得られる。このジパラキシリレンは、パラキシリレン
重合体薄膜の前駆体物質であり、パラキシリレンの熱分
解、芳香族溶媒中の急冷によってパラキシリレンの二量
化反応を起こさせることによって合成される。
【0030】前記ポリパラキシリレンは、前記化学式で
示したXが水素の場合であり、X位の水素を種々の元
素、例えば塩素、フッ素、アミノ基、アルキル基等で置
換することによって、いろいろな誘導体を得ることが知
られている。これらのパラキシリレン誘導体はいずれも
同様の成膜方法によって、各々の重合体薄膜を形成する
ことができる。中でも、X位へ1又は2個の塩素を置換
導入したモノクロルパラキシリレン又はジクロルパラキ
シレンは成膜速度が速く、効率的に均一な重合体薄膜を
得るのに適している。
【0031】上述したポリパラキシリレン又はその塩素
置換体からなる薄膜の形成には、一般的にCVD法と略
称される化学的気相成長法が用いられ、ジパラキシリレ
ン単量体(気化原料)の加熱蒸発、熱分解による安定ラ
ジカルモノマーの生成、前記安定ラジカルモノマーの基
板表面吸着と表面反応(重合)のステップとを経て薄膜
が形成される。この成膜法は単に蒸着といわれることも
ある。
【0032】パラキシリレン又はその誘導体からなる重
合体薄膜の形成方法についてはパラキシリレン(前記化
学式におけるXが両方とも水素の無置換体)を例に説明
する。重合体薄膜の前駆体物質であるジパラキシリレン
は、加熱ヒーターを組み込んだ気化器中に収容されて1
50〜180℃に加熱される。このとき、気化器内の圧
力は1Torr以下に保たれている。
【0033】この気化器内で気化したジパラキシリレン
は、成膜室に接続されている真空ポンプによって減圧側
に輸送されて熱分解室へ導入される。この熱分解室は、
ハロゲンランプ、赤外線ランプ、高周波加熱、抵抗ヒー
ター等の加熱手段によって、前記化合物の熱分解温度で
ある約600℃以上に加熱されている。なお、ジパラキ
シリレンの気化輸送についてはアルゴン等のキャリアー
ガスを用いて行うこともできる。
【0034】前記熱分解室へ誘導されたジパラキシリレ
ン蒸気は、速やかに分解されて非常に反応性に富むパラ
キシリレンラジカルガスを生成する。このパラキシリレ
ンラジカルガスは、続いてこの熱分解室に隣接して、成
膜基材が内部に設置されている成膜室へ導入されて、基
材表面へ吸着して凝縮し、同時に重合反応が進行して分
子量約50万の高分子量ポリパラキシリレン薄膜を形成
する。
【0035】なお、このときの成膜室及び基材の温度
は、室温近傍である20〜35℃であり、基材の表面温
度が室温近傍で成膜が可能である。また、基材の表面温
度を0℃以下の低温に維持することによりラジカル中間
体の表面凝縮速度を増加させて成膜速度を向上させるこ
とが可能である。
【0036】上述のように気相成膜が可能なパラキシリ
レン又はその誘導体からなる薄膜は、極めて精密なコー
ティングが可能であるという特徴を有している。即ち、
成膜の第1段階で単分子膜が基材表面全体を覆って形成
され、続く第2段階で重合体薄膜が堆積する。このた
め、ピンホールの殆どない被覆性に優れた薄膜が得られ
る。
【0037】このことによって、本発明の焼灼止血装置
においては内視鏡の細い挿通チャンネルにスムースに挿
通し、体腔内で処置を行うために、先端発熱部を被覆す
る微細加工が施された先端キャップの極めて細密な表面
形状や開口部の寸法を正確に維持することができる。
【0038】また、段差部における被覆性能にも優れ、
湿式コーティングでは不可能な鋭いエッジ部や狭い溝内
部に対しても均一な膜厚で薄膜形成が可能である。さら
には、基材の温度が低いほど成膜効率が良好となり、一
般に室温でのコーティングが可能であるため、基材の熱
劣化や、溶融変形、一部成分元素の蒸発による被膜の付
着性低下等がなく、硬化ストレスによる膜内残留応力や
熱歪みによる熱応力等が加わらず、安定した密着力が得
られ、剥離やクラッキングのない薄膜が得られる。
【0039】なお、パラキシリレン又はその誘導体から
なる重合体薄膜は、化学的に安定かつ中性であり、生体
への刺激性のない理想的な生体適合材料であり、生体へ
の悪影響は全くない。また、これらの重合体薄膜の水に
対する接触角は約90°と撥水性に優れると共に、気相
重合によって形成される薄膜表面は非常に平滑であるた
め、焼灼止血時の組織の貼り付きが少ない。さらに、耐
熱性においてもポリパラキシリレンの融点は405℃、
ポリモノクロルパラキシリレンは280℃、ポリジクロ
ルパラキシリレンは350℃と、いずれも生体組織の焼
灼止血に十分な高温に対して安定で、かつ高密度で硬質
な薄膜を形成し、基材への密着力も高く、高温高圧蒸気
滅菌や超音波洗滌等の環境下でも、剥離することなく、
完全な絶縁被覆を維持し、さらに、これら重合体薄膜
は、耐摩耗性、低摩擦性にも優れているので、内視鏡チ
ャンネル内への挿通を繰り返し行っても、長期にわたっ
て操作性を安定的に保持するという特性を有している。
また、前記パラキシリレン薄膜の成膜において基材との
密着性をさらに高めるべく、基材表面にシランカップリ
ング剤、チタネートカップリング剤等によるプライマー
処理を施したり、サンドブラスト、化学エッチング等に
より表面に微小凹凸を形成したりすることもできる。
【0040】具体的に、本実施形態のポリパラキシリレ
ン薄膜24を施した焼灼プローブ6を実際に電源ボック
ス3に接続して、通電及び耐性の評価を行うための実験
を行った。このとき、比較例として、従来のフッ素ポリ
マーコーティングを施した焼灼プローブを同じ電源装置
に接続して、同条件で評価を行い結果を比較した。
【0041】実験方法を説明する。切開した豚胃を用い
て試験用臓器とした。まず、臓器内表面に洗滌水を噴射
して表面を濡らした後、焼灼プローブの発熱部を前記洗
滌面に固定押圧した状態で、1パルス当たりの積算熱量
を30Jに制御して焼灼処置を行う。なお、この時の先
端発熱部の生体組織接触個所での平均温度は、およそ3
00℃であった。さらに、場所をずらしながら同様の出
力にて50回の加熱焼灼を行いながら使用感を確認し、
続いて先端キャップ表面を顕微鏡にて観察し、生体組織
の付着残滓の有無を調べる。その後、焼灼実験の終了し
た本実施形態及び比較例の焼灼プローブを微アルカリ性
洗滌液を満たした超音波洗滌器に浸漬して周波数38k
Hzで1.5時間加振洗滌を行った後、続いてオートク
レーブ装置に入れて高温高圧蒸気滅菌を135℃、5分
間行った。これを1症例として20症例を繰り返し、症
例前後の先端キャップ表面の被膜の状態及び剥離の有無
を観察した。
【0042】この結果を表1に示す。
【0043】
【表1】 表1を見てわかるように、連続加熱パルス印加による焼
灼実験では、50パルス印加後も本実施形態の先端発熱
部表面に生体組織の貼り付きや焦げ付きは見られず、良
好な表面性を保持することが示された。ポリパラキシリ
レン薄膜の融点は、約450℃であり本焼灼止血装置の
使用温度範囲250〜350℃の全域において安定した
物性が得られた。
【0044】また、薄膜表面の非粘着性を薄膜表面の水
に対する接触角を代表値として、本実施形態及び比較例
を比較すると比較例の105°に対して本実施形態は8
9〜90°の値を示すので、撥水性ではフッ素ポリマー
コーティングに及ばないものの実用上の支障は全くない
ことが確認された。
【0045】一方、消毒滅菌の繰り返しによる耐久性を
比較すると、比較例は超音波洗滌及び高温高圧蒸気滅菌
を繰り返すことによって、短時間で基材からコーティン
グ被膜が剥離して15例を超えると殆ど全面の被覆が剥
落して非粘着性が失われて危険性ゆえにそれ以上の再使
用が不可能であった。これに対して、本実施形態の被膜
では同条件の洗滌滅菌を50サイクル繰り返した後も、
被膜の剥離や、表面或いは外観の異常が全く見られず、
再使用が可能であり、良好な処置操作が可能であった。
【0046】このように、内視鏡の挿通用チャンネル等
に挿通可能な細長なシースの先端に設けた先端発熱部
を、ポリパラキシリレン又はその誘導体からなる重合体
薄膜を全面に形成した先端キャップで被覆することによ
り、300℃以上の高熱に耐えて連続使用が可能である
と共に、焼灼止血処理時に組織の焼き付き、貼り付きが
なく、基材への密着性が高く、超音波洗滌、オートクレ
ーブ滅菌を繰り返し行うことによっても薄膜が剥離する
ことのない、繰り返し安定した使用が可能な焼灼止血装
置を提供することができる。
【0047】なお、本実施形態においては先端キャップ
の材料として良好な熱伝導性を得るという観点から真ち
ゅうを選択したが、他の金属、例えばステンレス鋼、ア
ルミニウム、銅等の汎用加工用金属材料や高い融点を有
するタングステンやモリブデン又はそれらの合金、さら
には白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属を用いても
よい。
【0048】次に、本発明の第2実施形態について説明
する。焼灼止血装置及び焼灼プローブの構造は第1実施
形態と同様であるため省略する。
【0049】本実施形態においては、前記第1実施形態
で先端キャップの表面に形成したポリパラキシリレン薄
膜に塩素を置換導入したポリモノクロルパラキシリレン
薄膜を膜厚5μmにて、前記第1実施形態と同様のCV
D装置を用いて全面に形成したものであり、その他の構
成は第1実施形態と同様である。
【0050】なお、本実施形態で被膜として使用するポ
リモノクロルパラキシリレンは、第1実施形態のポリパ
ラキシリレン薄膜に比較して室温における成膜速度が約
5倍と速く、短時間で同等の膜厚の薄膜を形成ることが
できるため、生産性に優れている。
【0051】ここで、ポリモノクロルパラキシリレン薄
膜を施した焼灼プローブ6を実際に電源ボックス3に接
続して、前記第1実施形態と同様の評価を行った結果を
表2に示す。
【0052】
【表2】 表2を見てわかるように、初期の焼灼組織に対する非粘
着性に関しては、押し付けた組織から引き戻すときに第
1実施形態1に比べてやや抵抗感を示すものの、先端キ
ャップ表面への組織の遺存は観察されなかった。
【0053】また、本実施形態の場合、薄膜の融点が2
80℃であり第1実施形態のポリモノクロルパラキシリ
レンに比べて耐熱性は低いが、融点を上回る300℃の
加熱パルスを50回繰り返した後も、先端キャップ全体
を覆う連続膜として残存し、ピンホールの形成、基材面
からの剥離や表面状態に変化はなかった。
【0054】このように、ポリモノクロルパラキシリレ
ン薄膜を施した焼灼プローブでは、短いパルスを断続的
に印加して行う実用的な焼灼止血処置において、安定し
た特性を保持することができる。
【0055】また、超音波洗滌、高温高圧蒸気滅菌の長
期繰り返しによっても剥離やクラッキングが発生するこ
となく、非粘着性を保持することができる。
【0056】なお、本発明は、以上述べた実施形態のみ
に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範
囲で種々変形実施可能である。
【0057】[付記]以上詳述したような本発明の上記
実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができ
る。
【0058】(1)内視鏡の処置用チャンネル等に挿通
される細長なシースの先端部に先端発熱部を有する焼灼
止血装置において、前記先端発熱部に、以下の化学式で
表されるパラキシリレン誘導体を単量体とする重合体薄
膜を、全面に成膜した金属製先端キャップを被覆する焼
灼止血装置。 (2)前記パラキシリレン誘導体がパラキシリレンであ
る付記1記載の焼灼止血装置。
【0059】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、長
期使用に耐え得る耐摩耗性及び温湿度環境の変化や高温
高圧蒸気滅菌に耐え得る耐熱性、化学的安定性、さらに
は超音波洗滌、オートクレーブ滅菌等によって基材から
剥離しない高い密着性を有し、どのような環境下でも安
定した非粘着性を発揮し得る表面処理を施した先端発熱
部を有する焼灼止血装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1及び図2は本発明の第1実施形態に係り、
図1は焼灼止血装置を説明する図
【図2】焼灼止血装置の先端発熱部及び先端キャップを
説明する断面図
【符号の説明】
6…焼灼プローブ 12…先端発熱部 14…発熱素子 17…本体部 18…先端キャップ 24…ポリパラキシリレン薄膜

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内視鏡の処置用チャンネル等に挿通され
    る細長なシースの先端部に先端発熱部を有する焼灼止血
    装置において、 前記先端発熱部に、下記の化学式で表されるパラキシリ
    レン誘導体を単量体とする重合体薄膜を全面に成膜した
    金属製先端キャップを被覆することを特徴とする焼灼止
    血装置。
JP9238621A 1997-09-03 1997-09-03 焼灼止血装置 Withdrawn JPH1176257A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003070884A (ja) * 2001-07-13 2003-03-11 Ethicon Inc 滅菌処理適合性を改善するためのアルミニウム合金の表面処理
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