JPH1171422A - ポリエチレン製造用のクロムを基とするチタン化触媒 - Google Patents

ポリエチレン製造用のクロムを基とするチタン化触媒

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JPH1171422A
JPH1171422A JP10173854A JP17385498A JPH1171422A JP H1171422 A JPH1171422 A JP H1171422A JP 10173854 A JP10173854 A JP 10173854A JP 17385498 A JP17385498 A JP 17385498A JP H1171422 A JPH1171422 A JP H1171422A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 より良好な環境応力亀裂抵抗を示すポリエチ
レンの製造で用いるためのクロムを基としていてチタン
化を受けさせた触媒。 【解決手段】 本発明は、クロムを基とする触媒に特殊
な条件下でチタン化を受けさせた支持型触媒に関し、こ
れをエチレンのホモ重合または共重合で用いる。この触
媒を用いて得たポリエチレンは高い耐せん断性と環境応
力亀裂抵抗を示し、このポリエチレンは向上した引裂き
特性を示すフィルムの製造で使用可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、良好な加工性と良好な物理的お
よび化学的特性を与える目的で幅広い分子量分布を持た
せた高密度ポリエチレンの製造で用いるに適した触媒に
関する。このように物性が良好であると、特に、上記ポ
リエチレンをフィルムにした時の引裂き特性が向上しそ
して/または環境応力亀裂抵抗(environmen
tal stress crack resistan
ce)が向上し得る。本発明は更に上記触媒の製造方法
および上記触媒の使用にも関する。
【0002】ポリエチレン、特に高密度ポリエチレン
(HDPE)では、分子量分布(MWD)が該ポリマー
の特性を決定付ける、従ってそれの用途を決定付ける基
本的な特性である。ポリエチレン樹脂の物性、特に機械
的特性は主にこの樹脂の分子量分布によって決定され得
ることと、いろいろな分子量を有するポリエチレン分子
を与えることによってポリエチレンが全体として示す流
動特性に有意な影響を与えることができることは、本技
術分野で一般に認識されている。
【0003】この分子量分布はゲル浸透クロマトグラフ
ィーで得られる曲線を用いて充分に定義可能である。こ
の分子量分布(MWD)は、一般的にはより簡単に、重
量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の間の比
率である分散指数Dとして知られるパラメーターで定義
される。この分散指数は分子量分布の幅の尺度を構成す
る。大部分の用途で、分子分散指数は10から30の間
で多様である。
【0004】ポリエチレン樹脂では分子量を高くすると
通常は物性も向上することから、ポリエチレンに高い分
子量を持たせることが強く求められている。しかしなが
ら、このように分子の分子量を高くするとポリマーの加
工がより困難になる傾向がある。他方、分子量分布を広
げると、ポリマーを高いせん断速度で加工する時の流動
性が向上する傾向がある。従って、例えばブロー技術お
よび押出し加工技術などで材料をダイスに通して迅速な
変換を行う必要がある用途では、ポリエチレンの分子量
分布を広げることによって高い分子量の時でもそれの加
工性を向上させることができる(高い分子量を有するポ
リエチレンは本技術分野で知られているように低いメル
トインデックスを示す)。ポリエチレンに高い分子量を
持たせると共にまた幅広い分子量分布を持たせるとその
ポリエチレン樹脂の高分子量部分が良好な耐衝撃性に貢
献する一方で低分子量分が存在する結果として該ポリエ
チレンの加工がより容易になることが知られている。こ
のような種類のポリエチレンでは、より低いエネルギー
を用いて、より高い加工収率で加工を行うことができ
る。
【0005】一般的には、高い密度を有するポリエチレ
ンは高い度合の堅さを示す傾向がある。しかしながら、
一般に、ポリエチレンが示す環境応力亀裂抵抗(ESC
R)は堅さと逆の関係にある。言い換えれば、ポリエチ
レンの環境応力亀裂抵抗は堅さを高くすればするほど低
下し、そしてその逆も言える。このような逆の関係は本
技術分野でESCR−剛性均衡として知られる。特定用
途ではポリエチレンが示す環境応力亀裂抵抗と剛性の間
の歩み寄りを達成する必要がある。
【0006】フィルムの製造でポリエチレンが用いられ
ることは本技術分野でよく知られている。ポリエチレン
のフィルムは典型的にダイスに通すブロー成形または押
出し加工で行われる。薄フィルムのブロー成形および押
出し加工におけるフィルムの方向はブロー成形もしくは
押出し加工でダイスを通る方向が機械方向でそれに直角
な方向が横方向であると定義される。数多くの用途でポ
リエチレンフィルムに高い引裂き強度を持たせる必要が
あり、特に機械方向の引裂き強度と横方向の引裂き強度
の間に高い等方性を存在させることが要求される。ポリ
エチレンのポリマー鎖はブロー成形または押出し加工技
術の結果としてブロー成形または押出し加工の機械方向
に実質的に配列し得る。それによって、横方向における
フィルムの引裂き強度の方が機械方向における引裂き強
度よりも有意に高くなり得る。一般的にはフィルムの製
造で用いるに良好な引裂き特性を示すポリエチレンフィ
ルムが求められており、特に機械方向と横方向の間に良
好な等方性を示す引裂き特性を有するポリエチレンフィ
ルムが求められている。
【0007】ポリエチレンの製造ではいろいろな触媒系
が知られている。ポリエチレン樹脂の物性、特に機械的
特性はそのポリエチレンの製造でどのような触媒系を用
いるかに応じて変わり得ることが本技術分野で知られて
いる。これは、異なる触媒系を用いると生じるポリエチ
レンの分子量分布も異なる傾向があることによるもので
ある。このように、例えば、クロムを基とする触媒[即
ち本技術分野で「フィリップス(Phillips)触
媒」として知られる触媒]を用いて生じさせたポリエチ
レン樹脂の特性とチーグラー・ナッタ(Ziegler
−Natta)触媒を用いた時の生成物が示す特性とは
異なる傾向がある。
【0008】チーグラー・ナッタ触媒を用いて製造した
HDPE樹脂はポリエチレンフィルムの製造で機械方向
と横方向の間に良好な均衡を示す引裂き特性を与えるこ
とが知られている。特に、チーグラー・ナッタ触媒を用
いて作られた上記樹脂(これは二頂分子量分布として本
技術分野で知られている分子量分布を示す)は良好な等
方性を示す引裂き特性を有する。このような二頂HDP
E樹脂は二頂分子量分布を示し、このような二頂分布
は、例えばこの高密度ポリエチレンをゲル相クロマトグ
ラフィーなどで測定した時の分子量分布グラフで示され
る。このグラフの曲線には分子量分布ピークの高分子量
側に「ショルダー」が含まれる。そのような二頂高密度
ポリエチレンは高分子量画分と低分子量画分を含み、一
頂分布と比較した時、上記画分の混合度合を調整するこ
とでポリマーに含まれる高分子量種の比率を高くするこ
とができる。
【0009】従って、正にクロムを基とする触媒を用い
てそのような特別なポリエチレン生成物が生じ得るよう
に高密度ポリエチレンを製造することができれば、これ
は望ましいことである。
【0010】Encyclopedia of Pol
ymer Science andEngineeri
ng,6巻 431−432頁よび466−470頁
(John Wiley & Sons,Inc.,1
986,ISBN 0−471−80050−3)そし
てUllman's Encyclopedia of
Industrial Chemistry,第五版、
A21巻、501−502頁(VCH Verlags
gesellschaft mbH,1992,ISB
N 3−527−20121−1)の各々に、フィリッ
プス触媒およびチーグラー・ナッタ触媒、そしてHDP
Eの製造が考察されている。
【0011】分子量分布が幅広いことの利点を得るには
通常の製造方法で重合を行ってポリエチレン分子の密な
混合物を生じさせる必要があることが本技術分野で知ら
れている。幅広い分子量分布と要求される特性を示すポ
リエチレンを簡単にいろいろな分子量を有するポリエチ
レン類をブレンドすることで調製するのは不可能である
ことが本技術分野で知られている。
【0012】従って、直列連結の2基の反応槽を用いた
2段階工程で重合を実施することが提案された(英国特
許出願公開第1233599号、ヨーロッパ特許出願公
開第057352号、米国特許第4,414,369号
および4,338,424号)。第一段階における第一
反応槽内で高密度のポリエチレン画分を指定条件下で生
じさせ、そしてそれに続く第二段階における第二反応槽
内では異なる重合条件組み合わせを用いて高密度ポリエ
チレンの第二画分を生じさせる。このような2段階方法
では工程全体における各段階の効率および収率が高くな
るように工程条件と触媒を最適にすることができる。現
在商業的に用いられている2段階方法は、個々別々の2
つの工程を逐次的に用いる必要があることから工程全体
の産出量が低いと言った欠点を有する。
【0013】更に、1つの支持型クロム触媒と1つのチ
ーグラー・ナッタ型触媒から成る2触媒混合物を用いて
幅広い分子量分布を示すポリエチレンを製造することも
提案された(ヨーロッパ特許出願公開第0480376
号)。このような方法ではチーグラー・ナッタ触媒を活
性触媒系にする目的で共触媒を用いる必要があるが、上
記共触媒が支持型クロム触媒に影響を与え得る、特にそ
れの活性に悪影響を与え得ると言った欠点を有する。
【0014】また、クロムを基とする触媒をポリオレフ
ィン類の製造で用いることも、例えばヨーロッパ特許出
願公開第661299号、ヨーロッパ特許出願公開第6
47661号またはWO 95/33777などで提案
された。
【0015】良好な引裂き特性を示すフィルムの製造で
用いるに適していてブロー成形で成形した時に良好な環
境応力亀裂抵抗(ESCR)を示すに適切なポリエチレ
ン樹脂をチーグラー・ナッタ触媒を用いないで特にクロ
ムを基とする触媒を用いて製造する方法が本技術分野で
求められている。
【0016】クロムを基とする触媒にチタンを入れるこ
とは本技術分野で公知である。チタンはクロム触媒用支
持体に組み込み可能であるか或は支持体に付着させる触
媒組成物に組み込み可能である。
【0017】Phillips Petroleumが
開発して例えばヨーロッパ特許出願公開第352715
号に記述されているコゲル(cogel)およびターゲ
ル(tergel)型触媒の場合のように共沈または三
沈(terprecipitation)でチタンを支
持体に組み込むことができる。コゲルおよびターゲル触
媒はそれぞれ2成分および3成分支持体で支持されてい
る。
【0018】また、例えば米国特許第4,402,86
4号およびフランス特許出願公開第2,134,743
号に記述されているように支持体に含浸を受けさせる
か、或は例えば米国特許第4,016,343号に記述
されているようにチタン化合物を支持体に化学吸収(c
hemisorption)させることを通して、チタ
ンを支持体に組み込むことも可能である。
【0019】触媒組成物のチタン化(titanati
on)は以前の特許明細書に開示されている。
【0020】米国特許第4,728,703号には、担
体材料(即ち支持体)と三酸化クロムが入っている複合
液状懸濁液に式Ti(OR)4で表されるチタン化合物
を添加することでチタンを触媒組成物に組み込むことが
できることが開示されている。
【0021】米国特許第4,184,979号には、乾
燥不活性ガス中で加熱しておいたクロムを基とする触媒
にチタン化合物、例えばチタンテトライソプロポキサイ
ドなどを高温で添加することを通してチタンを触媒組成
物に組み込むことができることが開示されている。次
に、そのチタン化(titanated)触媒に活性化
を高温で受けさせている。
【0022】上述した方法全部で得られるエチレンポリ
マー類は満足される機械的特性を示さず、特に環境応力
亀裂抵抗(ESCR)に関して満足される特性を示さな
い。
【0023】従って、良好な加工性と良好な物理的およ
び化学的特性を示すブロー成形用ポリエチレン樹脂をも
たらし得るクロムを基とする触媒が求められている。
【0024】本発明の1つの目的は、エチレンを重合さ
せて加工性が良好なポリエチレンをもたらす触媒を提供
することにある。
【0025】本発明の別の目的は、高い環境応力亀裂抵
抗を示すポリエチレンをもたらす触媒を提供することに
ある。
【0026】本発明の更に別の目的は、結果として生じ
るポリエチレン樹脂がポリエチレンフィルムの製造で用
いるに適切、特に機械方向と横方向の間に良好な均衡を
示す引裂き特性を有するフィルムの製造で用いるに適切
であると言ったポリエチレンをクロムを基とする触媒を
用いて製造する方法を提供することにある。
【0027】本発明のさらなる目的は、この上に記述し
た所望特性を示すポリエチレンをもたらす高活性の触媒
を提供することにある。
【0028】本発明は、クロムを基とする支持型触媒に
チタン化を特殊な条件下で受けさせた触媒を用いて上記
および他の目的を達成することができ、上記触媒を用い
ると、加工性と物理的および化学的特性が向上した高密
度ポリエチレンを製造することができる。
【0029】本発明は、エチレンを重合させるか或はエ
チレンと炭素原子数が3から10のアルファ−オレフィ
ンコモノマーを共重合させることによる高密度ポリエチ
レン製造で用いるに適したクロムを基とするチタン化触
媒を製造する方法を提供し、この方法は、 a)少なくとも400m2/gの比表面積を有するシリ
カ含有支持体を準備し、 b)この支持体にクロム化合物を付着させることでクロ
ムを基とする触媒を生じさせ、 c)このクロムを基とする触媒を乾燥不活性ガス雰囲気
中で少なくとも300℃の温度に加熱して上記触媒の脱
水を行うことで、物理的に吸着されている水を除去し、 d)このクロムを基とする触媒をRnTi(OR’)m
よび(RO)nTi(OR’)m[ここで、RおよびR’
は、同一もしくは異なり、炭素原子を1から12個含む
ヒドロカルビル基であり、nは0から3であり、mは1
から4であり、そしてm+nは4に等しい]から選択さ
れる一般式で表されるチタン化合物が入っている乾燥不
活性ガス雰囲気中で少なくとも300℃の温度でチタン
化することで、クロムを基とするチタン化触媒を生じさ
せるが、このチタン化触媒は、このチタン化触媒の重量
を基準にして1から5重量%のチタン含有量を有し、そ
して e)このチタン化触媒を500から900℃の温度で活
性化させる、段階を含む。
【0030】本発明は、更に、エチレンを重合させるか
或はエチレンと炭素原子数が3から10のアルファ−オ
レフィンコモノマーを共重合させることによる高密度ポ
リエチレン製造で用いるに適した触媒も提供し、この触
媒に少なくとも400m2/gの比表面積を有するシリ
カ含有支持体と上記支持体に付着しているクロム化合物
と上記支持体に付着しているチタン化合物を含め、ここ
で、上記触媒はTiをチタン化触媒の重量を基準にして
1から5重量%含有する。
【0031】本発明は、また、クロムを基とする触媒の
存在下でエチレンを重合させるか或はエチレンと炭素原
子数が3から10のアルファ−オレフィンコモノマーを
共重合させることによって高密度のポリエチレンを製造
するに適したポリエチレン製造方法も提供し、ここで
は、上記触媒に少なくとも400m2/gの比表面積を
有するシリカ含有支持体と上記支持体に付着しているク
ロム化合物と上記支持体に付着しているチタン化合物を
含め、ここで、上記触媒はTiをチタン化触媒の重量を
基準にして1から5重量%含有する。
【0032】本発明は、更に、溶融させて回転せん断を
いろいろな速度で受けさせた時に低いメルトフラクチャ
ー発生率(incidence of melt fr
acture)を示しかつ高い環境応力亀裂抵抗を示す
高密度ポリエチレンの製造で本発明の触媒を用いること
も提供する。
【0033】本発明は、更に、ポリエチレン樹脂から作
られたフィルムが示す引裂き特性の等方性を高める目的
で本発明の触媒系を用いることも提供する。
【0034】本発明は、最小限の比表面積を持たせたシ
リカ含有支持体で特別なクロムを基とする触媒を支持さ
せそしてこの触媒に脱水と表面チタン化を高温活性化工
程前または工程中に受けさせた触媒をポリエチレン樹脂
の製造で用いると予想外に非常に高い環境応力亀裂抵抗
(ESCR)と低いメルトフラクチャーインデックスを
示す高密度ポリエチレンを得ることができそして上記ポ
リエチレン樹脂から作成したポリエチレンフィルムが向
上した引裂き均衡を示し得ることを本発明者が驚くべき
ことに見い出したことを基とする。
【0035】本発明の触媒で用いるシリカ含有支持体材
料は本技術分野で公知の如何なる触媒支持体であっても
よい。この支持体は、この触媒組成物に含める他の成分
および反応系に含める他の如何なる活性成分にも不活性
な無機の多孔質粒子状固体材料である。従って、適切な
支持体は無機の材料、例えばシリカなどであり、これは
単独で使用可能であるか或はこれを他の金属酸化物と組
み合わせて使用することも可能であり、例えばシリカ−
アルミナまたはシリカ−チタニアなどであってもよい。
【0036】本発明で用いる支持体に少なくとも400
2/g、好適には450から600m2/g、より好適
には475から550m2/gの大きな表面積を持たせ
る。この支持体に好適には1cm3/g以上、より好適
には1から3cm3/g、更により好適には1.3から
2.5cm3/gの細孔容積を持たせる。この支持体に
如何なるクロム種を付着させる場合にもそれに先立って
上記支持体を乾燥させておくのが好適である。
【0037】このシリカ含有支持体にクロムを付着させ
る時、上記支持体表面のヒドロキシル基に反応し得る公
知のクロム含有化合物を用いることができる。このよう
な化合物の例には硝酸クロム、三酸化クロム、クロム酸
エステル、例えば酢酸クロム、アセチルアセトンクロム
およびクロム酸t−ブチルなど、シリルクロム酸エステ
ルおよび燐含有エステルなどが含まれる。好適には三酸
化クロムを用いる。
【0038】クロムを基とする好適な触媒では、クロム
を触媒支持体、例えばシリカとチタニアの複合支持体な
どに0.5から3重量%、好適にはクロムを約1重量%
支持させて含めてもよい。
【0039】本発明で用いるに特に好適な、クロムを基
とする触媒に、表面積が450m2/gで細孔容積が約
1.5cc/gでクロム含有量がクロム含有触媒の重量
を基準にして約1重量%の触媒(「触媒1」)を含め
る。支持体にシリカ支持体を含める。シリカ支持型の他
の好適な触媒は、比表面積が500m2/gで個々の細
孔容積が2および3cc/gの触媒である。シリカ支持
体を伴う別の好適な触媒は、比表面積が450m2/g
で細孔容積が1.5cc/gの触媒である。
【0040】この支持体を触媒合成で用いるに先立っ
て、本分野の技術者に知られている様式で、この支持体
を不活性ガスと一緒に例えば約200℃に8から16時
間加熱することで乾燥させるか、或はそれを前以て乾燥
させておく。
【0041】このクロムを基とする触媒は乾燥混合また
は非水性含浸でも調製可能であるが、好適には、溶解し
得るクロム化合物、例えばCrO3などが入っている水
溶液をシリカに含浸させることでそれの調製を行う。
【0042】このクロムを基とする支持型触媒に前処理
を受けさせて物理的に吸着されている水を上記シリカま
たはシリカ含有支持体から追い出す、即ち上記支持体の
−Si−O−骨組(取り除く必要がない)に結合してい
る水酸化物(−OH)基の形態で化学的に吸着されてい
る水を追い出すことにより、それの脱水を行う。この物
理的に吸着されている水を除去しておくと、以下に記述
する如きチタン化手順中に後で導入するチタン化合物と
水の反応で生じる如きTiO2の生成が回避される。上
記脱水段階を、好適には、上記触媒を流動床内の乾燥不
活性雰囲気、例えば窒素雰囲気中で少なくとも300℃
の温度に加熱することを通して実施する。この脱水段階
を好適には0.5から2時間実施する。
【0043】次の段階において、上記クロムを基とする
支持型触媒にチタン化合物を充填する。このチタン化合
物は式RnTi(OR’)mまたは(RO)nTi(O
R’)m[式中、RおよびR’は、同一もしくは異な
り、炭素原子を1から12個含む如何なるヒドロカルビ
ル基であってもよく、nは0から3であり、mは1から
4であり、そしてm+nは4に等しい]で表され得る。
このチタン化合物は、好適にはチタンテトラアルコキサ
イドTi(OR’)4[式中、R’は、各々が炭素原子
を3から5個有するアルキルまたはシクロアルキル基で
あってもよい]である。このチタン化を、本明細書の上
に示した脱水段階で記述した乾燥した不活性な非酸化性
ガス流の中に上記チタン化合物を徐々に導入することで
実施する。このチタン化段階でも脱水段階と同様に温度
を少なくとも300℃に維持する。好適には、上記チタ
ン化合物を液体として反応ゾーンにポンプ輸送して、そ
のゾーン内で気化させる。結果として生じる触媒のチタ
ン含有量が、クロムを基としていてチタン化を受けた触
媒の重量を基準にして1から5重量%、好ましくは2か
ら4重量%になるように、上記チタン化段階を調節す
る。結果として生じる触媒で要求されるチタン含有量が
得られるように上記ガス流に導入する全チタン化合物量
を計算し、そしてチタン化反応期間が0.5から1時間
になるようにチタンの累進的流量を調整する。
【0044】この反応期間が終了した時点で上記チタン
化合物の導入を終了した後、触媒のフラッシュ洗浄(f
lush)を気体流下で典型的には0.75時間行う。
【0045】上記脱水およびチタン化段階を流動床内の
気相中で実施する。
【0046】次に、このチタン化を受けた触媒に乾燥空
気中で活性化段階を活性化用の高温で少なくとも6時間
受けさせる。この活性化用の温度を好適には500から
900℃の範囲にし、最も好適には約650℃にする。
この活性化温度を約650℃にすると向上したESCR
が得られる。その雰囲気を徐々に窒素から空気に変え、
そして温度をチタン化段階から活性化段階に向かって徐
々に高くする。
【0047】結果としてチタン化を受けた、クロムを基
とする触媒は、非常に高い活性を示す。
【0048】本発明の好適な重合方法では重合または共
重合過程を液相中で実施し、その液相に、不活性希釈剤
に入っているエチレンと適宜必要な炭素原子数が3から
10のα−オレフィンコモノマーを含める。このコモノ
マーは1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル1−ペン
テン、1−ヘプテンおよび1−オクテンから選択可能で
ある。上記不活性希釈剤は好適にはイソブタンである。
この重合過程を典型的には20から45バールの圧力下
85から110℃の重合温度で実施する。高いESCR
を示すポリマー樹脂を製造しようとする場合には、好適
には、上記温度を95から105℃の範囲にしそして圧
力を40から42バールの範囲にする。向上した引裂き
特性を示すフィルムを製造しようとする場合には、好適
には、温度を90から94℃の範囲にしそして圧力を最
低で約24バールにする。
【0049】この重合過程では典型的にエチレンモノマ
ーが全液相重量の0.5から8重量%、典型的には約6
重量%を構成するようにする。共重合過程では典型的に
エチレンモノマーが0.5から8重量%を構成しそして
上記コモノマーが0から4重量%を構成するようにする
(各々全液相重量を基準)。
【0050】この重合反応に化学還元剤、例えばアルキ
ル金属などを導入することも可能である。このアルキル
金属にトリエチルアルミニウム(TEAl)を含めても
よく、これの量は不活性希釈剤の重量を基準にして約
0.5ppm(重量)であってもよい。これは、使用す
る触媒が低い活性化温度を示す場合に使用可能である。
【0051】ポリマーの特性は明らかに操作条件、例え
ば反応槽内の重合温度および圧力、そして触媒の調製条
件、例えば支持体の表面積などの影響を受ける一方で、
触媒にチタン化をこの上に記述した特定条件下で受けさ
せると(他の要因全部を実質的に等しくして)、ESC
Rが向上する。
【0052】このクロムを基としていてチタン化を受け
させた触媒を重合反応槽に導入する。この重合反応槽に
アルキレンモノマーおよびコモノマー(存在させる場
合)を送り込む。本発明の好適な方法では重合または共
重合過程をループ反応槽(これを液体で満たす)内で実
施し、この反応槽内の滞留時間が0.5から2時間、好
適には約1時間になった時点でポリエチレンを回収して
1つ以上の沈降用レッグ(settling leg
s)に移し、その中で固体の濃度を重力によって高め
る。ループ反応槽内の固体含有量を典型的には30から
40重量%にし、沈降用レッグ内の濃度を60重量%に
及ぶ濃度にすることができる。重合生成物である高密度
ポリエチレンを上記沈降用レッグから取り出して、それ
から希釈剤を分離して、この希釈剤を後で再利用するこ
とができる。
【0053】本発明の触媒を用いて得たポリエチレンは
幅広い分子量分布(MWD)を示し、これは分散指数D
が典型的に12から23で密度が典型的に0.948か
ら0.960g/cm3の如く高いことで示される。
【0054】驚くべきことに、本発明の触媒を用いて得
たポリエチレンは、この上で要約したように、同様なメ
ルトインデックスと密度を保持しながら、従来技術の方
法および触媒を用いて得たポリエチレンに比べてずっと
高い環境応力亀裂抵抗(ESCR)とずっと低いメルト
インデックスを示すことを観察した。本発明に従って得
たポリエチレンはまた非常に高い耐せん断性(SR)
[これはHLMI/MI 2(HLMIは21.6kgの
荷重下190℃で測定した時の高荷重メルトインデック
スでありそしてMI2は2.16kgの荷重下190℃
で測定した時のメルトインデックスであり、両方ともA
STM D−1238標準方法に従う)として定義され
る]も示す。このように耐せん断性が高い結果としてメ
ルトフラクチャー現象が抑制され得る。
【0055】本発明の範囲を制限することなく本発明を
説明する目的で下記の実施例を示す。
【0056】
【実施例】実施例1から7 この実施例では、より良好なESCRを示すポリエチレ
ンを例示する。以下に示す段階を用いてシリカ支持体に
クロムを1重量%の量で含浸させた。60gのシリカを
130℃で1時間そして500℃で3時間加熱すること
で、それを乾燥させた。このシリカをデシケーターに4
5分間入れることで冷却した。この乾燥させたシリカの
50gを真空下に30分間置いた。250mlのアセト
ンに3.498gのアセチルアセトンクロムを溶解させ
ることで溶液を調製した。この溶液を上記乾燥シリカに
このシリカが完全に飽和状態になるまで滴下した。次
に、上記溶液の残りを連続流としてゆっくりと加えた。
この飽和状態のシリカを2時間撹拌した後、一晩放置し
た。乾燥した微細粉末が得られるまで400から200
ミリバールの減圧下70℃の温度でアセトンを蒸発させ
た。次に、この触媒をオーブンに入れて110℃で一晩
かけて完全に乾燥させた。
【0057】次に、このクロムで処理した支持体を流動
床が組み込まれている活性化装置容器に導入し、窒素下
でフラッシュ洗浄した後、温度を室温から300℃にま
で上昇させた。次に、この高温で脱水段階を2時間実施
した。この脱水段階後、チタンテトライソプロポキサイ
ド(無水窒素下で貯蔵)を上記流動床が組み込まれてい
る活性化装置容器の底に徐々に注入した。結果として生
じさせる触媒で要求されるチタン含有量になるようにそ
の注入するチタンテトライソプロポキサイドの量を計算
し、そしてその注入を継続した時に所望レベルのチタン
化が約30分で完了するようにそれの流量を調整した。
この注入が完了した後、触媒のフラッシュ洗浄を窒素下
で約45分間行った。次に、窒素を徐々に空気に切り換
えそして温度を活性化温度である約650℃にまで上昇
させて、次の活性化段階を実施した。この活性化段階で
は、クロムを基としていてチタン化を受けた触媒を上記
活性化温度に6時間保持した。この活性化段階が終了し
た時点で、温度を徐々に350℃にまで低下させた。こ
の触媒を継続して350℃から室温に冷却しながら窒素
下でフラッシュ洗浄した。
【0058】実施例8 脱水温度とチタン化温度の両方を400℃にする以外は
実施例1から7と同じ手順を用いてエチレンの重合を実
施した。
【0059】表Iに実施例1から8各々に関する支持体
の性質および比表面積、チタン重量パーセント、脱水温
度、チタン化温度および活性化温度を示す。
【0060】この上に記述した重合方法に従い、ループ
反応槽(液体で満たす)を1基用いて、エチレンの重合
を、この上に明記した条件下で調製した各実施例の触媒
の存在下で実施した。
【0061】また、実施例1から8各々の重合条件も表
Iに示す。実施例7における重合過程では共触媒である
TEAl(トリエチルアルミニウム)を表Iに示す量で
用いた。
【0062】実施例1から8の各々で圧力を42バール
にし、希釈剤をイソブタンにしそしてコモノマーを1−
ヘキセンにした。
【0063】エチレンと1−ヘキセンの重量パーセント
を表Iに示す。
【0064】また、結果として得られたメルトインデッ
クスMI2、耐せん断性SR、密度、分子量分布(分散
指数Dで示される如き)、ESCRおよびメルトフラク
チャーも表Iに示す。メルトインデックスをASTM
D−1238の方法を用いて190℃の温度で測定し、
荷重をMI2の場合には2.16kgにしそしてHLM
Iの場合には21.6kgにした。本明細書に示すES
CR値は、ASTMD−1693−70の手順Bに従っ
て測定した時のBell ESCR F50値である。
【0065】表Iに示す実施例では、それらの全部にお
いて、支持体に450m2/g以上の表面積を持たせ、
脱水を受けさせた後、チタン化を高温で受けさせ、そし
て活性化を約650℃の温度で受けさせる。結果として
得たポリエチレンは全部、それを溶融させて回転せん断
をいろいろな速度で受けさせた時のメルトフラクチャー
発生率が低くかつ応力亀裂抵抗ESCRが高いと言った
所望の特性を同時に示す。実施例3から7は全くフラク
チャーを示さず、この場合の結果は1分当たり20回
転、40回転および60回転の回転速度で得たものであ
る。
【0066】比較実施例1および2 触媒にチタン化を受けさせない以外は実施例1から7と
同じ手順を用いてエチレンの重合を実施した。
【0067】比較実施例3から5 触媒のチタン化を米国特許第4,402,864号に記
述されている如き含浸で得そしてトリエチルアルミニウ
ムを共触媒として用いる以外は実施例1から7と同じ手
順を用いてエチレンの重合を実施した。
【0068】比較実施例6および7 クロム触媒にチタン化を受けさせずそしてトリエチルア
ルミニウムを共触媒として用いる以外は実施例1から7
と同じ手順を用いてエチレンの重合を実施した。上記比
較実施例各々の触媒が有する表面積は316m2/gの
みであった。
【0069】比較実施例8 触媒支持体に小さい表面積(308m2/g)を持たせ
そしてそれにチタニアを含有させる以外は実施例1から
7と同じ手順を用いてエチレンの重合を実施した。この
触媒にはチタン化を受けさせなかった。トリエチルアル
ミニウムを共触媒として用いた。
【0070】比較実施例9 触媒支持体に小さい表面積(280m2/g)を持た
せ、クロムを基とする触媒にチタン化を受けさせずそし
てトリエチルアルミニウムを共触媒として用いる以外は
実施例1から7と同じ手順を用いてエチレンの重合を実
施した。
【0071】表IIに、実施例1から8と同じ情報を比
較実施例1から9の各々に関しても示す。
【0072】比較実施例1および2では表面積を大きく
した(492m2/g)がチタン化を受けさせず、それ
のESCRは高かったが、回転速度を1分当たり60回
転にした時、比較実施例1では4回の試験でメルトフラ
クチャーが起こりそして比較実施例2では3回の試験で
メルトフラクチャーが起こった。回転速度が1分当たり
20回転および40回転の時にはメルトフラクチャーが
起こらなかった。
【0073】比較実施例3から5および8(チタンを支
持体内に存在させた)の場合のESCRは非常に低い。
【0074】比較実施例6、7および9(チタンを存在
させていない)の場合のESCRも非常に低い。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】
【0077】実施例9から12 この実施例では、本発明のポリエチレンを用いて作成し
たフィルムがより良好な引裂き特性を有することを示
す。
【0078】クロムを基とする触媒に脱水、チタン化お
よび活性化を受けさせた触媒を用いる本発明の方法を示
す目的で、エチレンを共重合させて高密度ポリエチレン
を生じさせる実験を数多く実施した。この実施例の各々
で、エチレンと1−ヘキセンを含有していて残りが不活
性希釈剤としてのイソブタンである液体を重合反応ゾー
ンに送り込んだ。また水素も上記反応ゾーンに送り込ん
だ。この反応ゾーン内の温度を90から94℃にしそし
て圧力を38から42バールの範囲にした。実施例12
では、上記反応ゾーンにまたアルキル金属を還元剤とし
てトリエチルアルミニウム(TEAl)の形態で導入し
た。表IIIに実施例9から12の工程条件を要約す
る。
【0079】上記重合反応ゾーンにまた触媒系も送り込
んだ。実施例9から12では、クロムを基とする触媒系
に「触媒1」として示す触媒を含めて、これに活性化を
約650℃の活性化温度で受けさせておいた。この触媒
に活性化を受けさせるに先立って、この触媒に脱水を受
けさせた後これをチタンテトライソプロポキサイドを含
むチタン含有化合物と一緒に混合することでチタン化を
受けさせておいた。実施例9から12では、触媒に存在
させるチタンのパーセントを触媒系の重量を基準にして
2から4重量%にした。
【0080】上記脱水、チタン化および活性化段階を下
記の如く実施した。この場合、クロムを基とする触媒を
流動床が組み込まれている活性化装置容器に導入し、窒
素下でフラッシュ洗浄した後、温度を室温から300℃
にまで上昇させた。次に、この高温で脱水段階を2時間
実施した。この脱水段階後、チタンテトライソプロポキ
サイド(無水窒素下で貯蔵)を上記流動床が組み込まれ
ている活性化装置容器の底に徐々に注入した。結果とし
て生じさせる触媒で要求されるチタン含有量になるよう
にその注入するチタンテトライソプロポキサイドの量を
計算し、そしてその注入を継続した時に所望レベルのチ
タン化が約30分で完了するようにそれの流量を調整し
た。この注入が完了した後、触媒のフラッシュ洗浄を窒
素下で約45分間行った。次に、窒素を徐々に空気に切
り換えそして温度を活性化温度である約650℃にまで
上昇させて、次の活性化段階を実施した。実施例12で
は、より低い活性化温度である約550℃を用い、そし
てTEAlを表IIIに示すように反応体に添加するこ
とで重合過程の反応性を向上させた。活性化段階では、
クロムを基としていてチタン化を受けた触媒を上記活性
化温度に6時間保持した。この活性化段階が終了した時
点で、温度を徐々に350℃にまで低下させた。この触
媒を継続して350℃から室温に冷却しながら窒素下で
フラッシュ洗浄した。
【0081】表IIIにまた実施例9から12で生じさ
せたポリエチレン樹脂ペレットの特性そしてまた上記ポ
リエチレン樹脂から作成したいろいろな厚みのフィルム
が示す特性も要約する。実施例9から12が示す高荷重
メルトインデックス(HLMI)は11.8から15.
1g/10分の範囲でありそしてメルトインデックスM
2は0.07から0.086g/10分の範囲であっ
た。このメルトインデックスMI2および高荷重メルト
インデックスHLMIは、ASTM D 1238の手
順でそれぞれ2.16kgおよび21.6kgの荷重を
用いて190℃の温度で測定した時のメルトインデック
スである。このMI2およびHLMIは幅広い意味でポ
リマー分子量分布の逆を示す指数である。実施例9から
12のポリエチレン樹脂が示すせん断応答(これはHL
MI値とMI2値の比率である)は156から189の
範囲であった。実施例9から12に従って生じさせたポ
リエチレン樹脂の密度値を表IIIに示し、この範囲は
0.958から0.951g/ccである。
【0082】実施例9から12のポリエチレン樹脂を加
工して厚みが10ミクロン、20ミクロンおよび40ミ
クロンのフィルムを生じさせた。表IIIに上記フィル
ムの引裂き特性を示す。引裂き強度をN/mmで表す。
機械方向(MD)の引裂き強度および横方向(TD)の
引裂き強度をASTM D 1922の手順で測定し
た。上記フィルム各々のTD値とMD値の間の比率を計
算して、それを表IIIに示す。
【0083】実施例9から12で用いた3種類のフィル
ム厚である10、20および40ミクロンの各々でTD
/MD比は比較的低くて実施例9の10ミクロンフィル
ムの場合に最大値が得られて5.7であることが表II
Iから分かるであろう。このことは、上記フィルムが示
す引裂き強度の等方性が比較的良好であることを示して
いる。例えば、実施例9から12の40ミクロンフィル
ムの場合のTD/MD比の範囲は最小値の0.8から最
大値の1.5に至る範囲のみで、これは機械方向引裂き
強度と横方向引裂き強度の等方性度合が比較的高いこと
を示していることが分かるであろう。
【0084】比較実施例10 比較実施例10では、実施例9から12の工程を同じク
ロムを基とする触媒「触媒1」を用い、同じ活性化温度
である650℃の温度を用いそして重合過程でも同じ工
程条件を用いて繰り返した。しかしながら、比較実施例
10では上記クロムを基とする触媒に活性化段階に先立
ってチタン化を受けさせなかった。比較実施例10で生
じたポリエチレン樹脂の相当する特性そして上記樹脂か
ら成形したフィルムの特性を表IIIに示す。比較実施
例10で生じたポリエチレン樹脂が示すせん断応答は9
6で、実施例9から12の樹脂が示すせん断応答に比較
して有意に低いことが分かるであろう。このようにせん
断応答値がより低いことは、ポリエチレン樹脂の加工性
が低いことを示している。加うるに、比較実施例10の
10、20および40ミクロン厚の3種類のフィルム各
々が示すTD/MD比は所定のフィルム厚で実施例9か
ら12の各々が示すそれよりも有意に高いことも分かる
であろう。このことは、活性化段階中にチタン化を受け
させた触媒を用いると予想外にポリエチレンフィルムの
引裂き特性の等方性が有意に向上することを実証してい
る。
【0085】比較実施例11および12 表IIIに、チーグラー・ナッタ(Z−N)触媒を用い
た共重合方法で製造した比較実施例11および12のポ
リエチレン樹脂が示す典型的な特性、そしてそれから作
成した厚みが20および40ミクロンのフィルムの特性
を示す。このチーグラー・ナッタ触媒を用いて製造した
樹脂の特性と実施例9から12の樹脂の特性は実質的に
同様であることが分かるであろう。更に、このフィルム
の引裂き特性、特にフィルムが示す機械方向引裂き強度
と横方向引裂き強度の等方性は実施例9から12のフィ
ルムのそれと実質的に同様でありそして比較実施例11
および12の樹脂から作成したフィルムのそれに匹敵す
ることも分かるであろう。
【0086】比較実施例13 表IIIに、シリカとチタニアの複合支持体に支持させ
たクロム含有触媒を用いた共重合方法で製造した比較実
施例13のポリエチレン樹脂が示す典型的な特性、そし
てそれから作成した厚みが10、20および40ミクロ
ンのフィルムの特性を示す。比較実施例13では、平均
孔半径が190Aで細孔容積が約2.1cc/gでクロ
ム含有量がクロム含有触媒の重量を基準にして約1重量
%の触媒「触媒2」を用いた。この触媒のチタン含有量
は触媒の全重量を基準にして3重量%であった(支持体
に含めたチタニアに入っている)。この触媒に活性化を
約550℃で受けさせたが、その前に脱水もチタン化工
程も受けさせなかった。用いたフィルム厚各々で得られ
た横方向引裂き強度と機械方向引裂き強度の比率は本発
明に従う実施例に比べて大きく異方性であることが表I
IIから分かるであろう。
【0087】このように、本発明は、良好な引裂き特性
を示すフィルムの製造で使用可能なポリエチレン樹脂を
製造する方法を提供するものであるが、本方法ではチー
グラー・ナッタ触媒とは対照的にクロムを基とする触媒
を用いる。
【0088】
【表題3】
【0089】本発明の特徴および態様は以下のとおりで
ある。
【0090】1. エチレンを重合させるか或はエチレ
ンと炭素原子数が3から10のアルファ−オレフィンコ
モノマーを共重合させることによる高密度ポリエチレン
製造で用いるに適したクロムを基とする支持型触媒を製
造する方法であって、 a)少なくとも400m2/gの比表面積を有するシリ
カ含有支持体を準備し、 b)この支持体にクロム化合物を付着させることでクロ
ムを基とする触媒を生じさせ、 c)このクロムを基とする触媒を乾燥不活性ガス雰囲気
中で少なくとも300℃の温度に加熱して上記触媒の脱
水を行うことで、物理的に吸着されている水を除去し、 d)このクロムを基とする触媒をRnTi(OR’)m
よび(RO)nTi(OR’)m[ここで、RおよびR’
は、同一もしくは異なり、炭素原子を1から12個含む
ヒドロカルビル基であり、nは0から3であり、mは1
から4であり、そしてm+nは4に等しい]から選択さ
れる一般式で表されるチタン化合物が入っている乾燥不
活性ガス雰囲気中で少なくとも300℃の温度でチタン
化することで、クロムを基とするチタン化触媒を生じさ
せるが、このチタン化触媒は、このチタン化触媒の重量
を基準にして1から5重量%のチタン含有量を有し、そ
して e)このチタン化触媒を500から900℃の温度で活
性化させる、段階を含む方法。
【0091】2. 該支持体に450から600m2
gの比表面積を持たせる第1項記載の方法。
【0092】3. 該支持体に475から550m2
gの比表面積を持たせる第2項記載の方法。
【0093】4. 該チタン化合物が一般式Ti(O
R’)4[式中、R’は、各々が炭素原子を3から5個
有するアルキルおよびシクロアルキルから選択される]
で表されるチタンテトラアルコキサイドである第1から
3項いずれか1項記載の方法。
【0094】5. 該チタン化触媒のチタン含有量がこ
のチタン化触媒の重量を基準にして2から4重量%のT
iである前項いずれか1項記載の方法。
【0095】6. 該クロム化合物が酸化クロムであり
そしてクロム含有量がチタン化前の該クロムを基とする
触媒の重量を基準にして0.5から1.5重量%の範囲
である前項いずれか記載の方法。
【0096】7. エチレンを重合させるか或はエチレ
ンと炭素原子数が3から10のアルファ−オレフィンコ
モノマーを共重合させることによる高密度ポリエチレン
製造で用いるに適したクロムを基とする触媒であって、
少なくとも400m2/gの比表面積を有するシリカ含
有支持体と上記支持体に付着しているクロム化合物と上
記支持体に付着しているチタン化合物を含むことでTi
をチタン化触媒の重量を基準にして1から5重量%含有
する触媒。
【0097】8. 該支持体が450から600m2
gの比表面積を有する第7項記載の触媒。
【0098】9. 該支持体が475から550m2
gの比表面積を有する第8項記載の触媒。
【0099】10. 該チタン化合物が該チタン化触媒
の重量を基準にして2から4重量%のTiを含む第7か
ら9項いずれか1項記載の触媒。
【0100】11. クロムを基とする触媒の存在下で
エチレンを重合させるか或はエチレンと炭素原子数が3
から10のアルファ−オレフィンコモノマーを共重合さ
せることによって高密度のポリエチレンを製造するに適
したポリエチレン製造方法であって、上記触媒に少なく
とも400m2/gの比表面積を有するシリカ含有支持
体と上記支持体に付着しているクロム化合物と上記支持
体に付着しているチタン化合物を含めることでTiをチ
タン化触媒の重量を基準にして1から5重量%含有させ
る方法。
【0101】12. 第1から第6項の方法で生じさせ
たクロムを基とする触媒の使用であって、エチレンを重
合させるか或はエチレンと炭素原子数が3から10のア
ルファ−オレフィンコモノマーを共重合させることによ
って高い環境応力亀裂抵抗と低いメルトフラクチャーイ
ンデックスを示す高密度のポリエチレンを製造するため
の使用。
【0102】13. 第1から第6項の方法で生じさせ
たクロムを基とする触媒系の使用であって、エチレンを
重合させるか或はエチレンと炭素原子数が3から10の
アルファ−オレフィンコモノマーを共重合させることに
よって得られるポリエチレン樹脂から作られるフィルム
が示す引裂き特性の等方性を高めるための使用。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンを重合させるか或はエチレンと
    炭素原子数が3から10のアルファ−オレフィンコモノ
    マーを共重合させることによる高密度ポリエチレン製造
    で用いるに適したクロムを基とする支持型触媒を製造す
    る方法であって、 a)少なくとも400m2/gの比表面積を有するシリ
    カ含有支持体を準備し、 b)この支持体にクロム化合物を付着させることでクロ
    ムを基とする触媒を生じさせ、 c)このクロムを基とする触媒を乾燥不活性ガス雰囲気
    中で少なくとも300℃の温度に加熱して上記触媒の脱
    水を行うことで、物理的に吸着されている水を除去し、 d)このクロムを基とする触媒をRnTi(OR’)m
    よび(RO)nTi(OR’)m[ここで、RおよびR’
    は、同一もしくは異なり、炭素原子を1から12個含む
    ヒドロカルビル基であり、nは0から3であり、mは1
    から4であり、そしてm+nは4に等しい]から選択さ
    れる一般式で表されるチタン化合物が入っている乾燥不
    活性ガス雰囲気中で少なくとも300℃の温度でチタン
    化することで、クロムを基とするチタン化触媒を生じさ
    せるが、このチタン化触媒は、このチタン化触媒の重量
    を基準にして1から5重量%のチタン含有量を有し、そ
    して e)このチタン化触媒を500から900℃の温度で活
    性化させる、段階を含む方法。
  2. 【請求項2】 エチレンを重合させるか或はエチレンと
    炭素原子数が3から10のアルファ−オレフィンコモノ
    マーを共重合させることによる高密度ポリエチレン製造
    で用いるに適したクロムを基とする触媒であって、少な
    くとも400m2/gの比表面積を有するシリカ含有支
    持体と上記支持体に付着しているクロム化合物と上記支
    持体に付着しているチタン化合物を含むことでTiをチ
    タン化触媒の重量を基準にして1から5重量%含有する
    触媒。
  3. 【請求項3】 クロムを基とする触媒の存在下でエチレ
    ンを重合させるか或はエチレンと炭素原子数が3から1
    0のアルファ−オレフィンコモノマーを共重合させるこ
    とによって高密度のポリエチレンを製造するに適したポ
    リエチレン製造方法であって、上記触媒に少なくとも4
    00m2/gの比表面積を有するシリカ含有支持体と上
    記支持体に付着しているクロム化合物と上記支持体に付
    着しているチタン化合物を含めることでTiをチタン化
    触媒の重量を基準にして1から5重量%含有させる方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の方法で生じさせたクロム
    を基とする触媒の使用であって、エチレンを重合させる
    か或はエチレンと炭素原子数が3から10のアルファ−
    オレフィンコモノマーを共重合させることによって高い
    環境応力亀裂抵抗と低いメルトフラクチャーインデック
    スを示す高密度のポリエチレンを製造するための使用。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の方法で生じさせたクロム
    を基とする触媒系の使用であって、エチレンを重合させ
    るか或はエチレンと炭素原子数が3から10のアルファ
    −オレフィンコモノマーを共重合させることによって得
    られるポリエチレン樹脂から作られるフィルムが示す引
    裂き特性の等方性を高めるための使用。
JP17385498A 1997-06-06 1998-06-08 ポリエチレン製造用のクロムを基とするチタン化触媒 Expired - Lifetime JP4388609B2 (ja)

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