JPH1167245A - 燃料電池の保持電解質管理方法 - Google Patents

燃料電池の保持電解質管理方法

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JPH1167245A
JPH1167245A JP9225085A JP22508597A JPH1167245A JP H1167245 A JPH1167245 A JP H1167245A JP 9225085 A JP9225085 A JP 9225085A JP 22508597 A JP22508597 A JP 22508597A JP H1167245 A JPH1167245 A JP H1167245A
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electrolyte
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JP9225085A
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Taiji Kogami
泰司 小上
Kentaro Matsunaga
健太郎 松永
Hiroshi Chisawa
洋 知沢
Tadanori Maoka
忠則 真岡
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電解質の最適な補給時期及び補給量を決定可
能な燃料電池の保持電解質管理方法を提供する。 【解決手段】 一対の多孔質電極によってマトリックス
層を挟持した単位電池を、複数個積層することによって
燃料電池を構成する。この燃料電池を、定格条件で運転
した場合における電池電圧の経時的な変化量ΔV(t)
を測定し、定格条件と異なるガス流量で運転した場合に
おける電池電圧の経時的な変化量ΔV′(t)を測定す
る。ΔV(t)の変化の傾向と、ΔV(t)−ΔV′
(t)の変化の傾向とが異なる場合には、マトリックス
層の保持電解質量が減少し、抵抗分極(ηr)が増加し
ていることを示しているので、このときに電解質を補給
する。電解質の補給量は、初期の電池保持電解質量か
ら、多孔質電極における気孔体積の15%に相当する電
解質量を減じた量とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池の継続運
転によって、単位電池内に生ずる電解質の欠乏による電
池特性の劣化を防止するために、電解質を適宜補給する
燃料電池の保持電解質管理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、燃料の持つ化学エネルギー
を、直接電気エネルギーに変換する発電装置であり、熱
エネルギーや運動エネルギーの過程を経ないので、小規
模でも高い発電効率が期待できる。このような燃料電池
は、通常、多数枚のセルと呼ばれる単位電池を、セパレ
ータを介して積層した電池スタックを備えている。各セ
ルは、電解質を含浸したマトリックス層を、触媒層が形
成された一対の多孔質電極基板(サブストレート)によ
って挟持したものである。
【0003】このような燃料電池による発電は、各セル
における一方の電極背面に水素リッチガスなどの燃料ガ
スを供給し、他方の電極背面に空気などの酸化剤ガスを
供給することにより、発生する電気化学反応を利用し
て、上記電極間から電気エネルギーを取り出すことによ
って行われる。この電気化学反応は、燃料ガスと酸化剤
ガスが供給されている限り継続し、高い変換効率でエネ
ルギーを連続的に取り出すことができる。
【0004】上記のような燃料電池におけるマトリック
ス層は、耐電解質性能を有する微粒子を主原料とした多
孔質層に、リン酸等の電解質を含浸することによって形
成されている。かかるマトリックス層は、燃料電極及び
酸化剤電極における電気化学反応に伴う各電極間のイオ
ン伝達の役割を果たすとともに、燃料ガスと酸化剤ガス
とに混合が生じないように、両反応ガスを互いに分離し
ておく重要な役割も果たしている。
【0005】このようなマトリックス層は、その気孔に
電解質が十分含浸されていれば、上記のイオン伝達機能
及びガス分離機能に問題はないが、含浸されている電解
質の量が少なくなると、イオン伝達の抵抗(内部抵抗)
が大きくなり、反応ガスの対極へのリーク(クロスオ―
バー)が発生し、電池電圧は大きく低下する。また、か
かる場合には、電池材料の腐食が進行し、発電不能やガ
ス爆発に至る可能性もある。以上のことから、マトリッ
クス層中の電解質量の管理は、電池性能を維持する上で
も、電池の安全運転を保証する上でも、極めて重要とな
る。
【0006】ところで、燃料電池を運転すると、電池内
に保持した電解質が微量ではあるが反応ガス中に蒸発
し、電池外部へ搬出されることが知られている(小上、
上野、西川、城上:電気化学協会第53回大会A10
2、昭和61年)。このように、反応ガス中に蒸発する
電解質は微量であっても、長期運転を行うと、電池内に
保持された電解質は徐々に低減する。これは、マトリッ
クス層内の電解質量も低減することを意味するため、長
期運転に伴い、マトリックス層の内部抵抗は増加(抵抗
分極増大)し、クロスオーバが発生するので、電池電圧
は大きく低下することになる。
【0007】例えば、一定時間継続して運転を行った寿
命試験の結果を、図4に示す。この試験結果によれば、
セルの内部抵抗は、ある時期を境に急激に増大し、少し
遅れてセル電圧が急激に低下することがわかる。但し、
電池特性が急激に低下した電池であっても、図5に示す
ように、適切な量の電解質を適切な時期に補給すれば、
その電池性能を回復させることができる。
【0008】このような電池特性の低下防止のために、
電解質を補給する上で重要となるのは、その補給時期と
補給量である。まず、電解質の補給時期については、電
池内の電解質量が、電池電圧に影響する程度に減少した
ときに補給を行っても、電池にはすでにクロスオーバが
発生しているので、触媒層はかなりのダメージを受ける
ことになる。従って、図6に示すように、このような時
期に、たとえ適量の電解質を補給したとしても、触媒層
がダメージを受けて活性化分極が増加しているため、セ
ル電圧を十分に回復させることができない。
【0009】また、電解質の補給量については、必要か
つ十分な量を確保しなければならないが、従来は、電池
の運転時間によって電解質の補給量を決定していた。し
かし、運転条件等により電池内の残留電解質は異なるた
め、電池の運転時間を基準に定められた補給量では、補
給量が少なすぎたり、逆に多すぎたりすることがある。
補給量が少ないと、次の補給までの時間が短くなり、補
給回数が増えることになる。また、補給量が多すぎる
と、図7に示すように、多孔質の電極基板や触媒層のガ
ス拡散性が低下し、拡散分極が大きくなるため、低下し
た電池電圧が回復しないことになる。
【0010】ここで、従来の研究によって、電解質欠乏
症によりクロスオーバが発生する以前に、電池の内部抵
抗が上昇する現象が明らかとなっている。そして、この
現象を利用して、特開平5−251098号公報に示す
ように、電池の内部抵抗を監視することにより、電解質
補給の最適時期、最適量を決定する方法が提案されてい
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実用機
の燃料電池プラントにおいては、電池は直列に接続され
ていて、電池電圧は高くなっている。このため、発電中
に電池内部抵抗を測定することは、必ずしも容易ではな
い。これに対処するため、プラント停止時に電池内部電
圧を測定することも考えられるが、毎年1回程度のプラ
ント停止では電解質補給の最適時期を見極めるのは困難
である。
【0012】本発明は、以上のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
発電中であっても、電池内部抵抗の変化を知ることによ
り、電解質の最適な補給時期及び補給量を決定すること
ができる燃料電池の保持電解質管理方法を提供すること
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は、電解質を保持した多孔質のマトリック
ス層を、触媒層が形成された一対の多孔質電極によって
挟持した単位電池が複数個積層され、各単位電池におけ
る一方の多孔質電極側に燃料ガスを供給し、他方の多孔
質電極側に酸化剤ガスを供給することにより発電を行う
燃料電池に対して、運転により減少した電解質を補給す
る燃料電池の保持電解質管理方法において、以下のよう
な技術的特徴を有する。
【0014】すなわち、請求項1記載の発明は、燃料ガ
ス及び酸化剤ガスの少なくとも一方を、基準のガス流量
で運転した場合における電池電圧の経時的な変化量を示
す基準経時変化量と、前記基準と異なるガス流量で運転
した場合における電池電圧の経時的な変化量を示す供試
経時変化量とを測定し、前記基準経時変化量と前記供試
経時変化量との差が、前記基準経時変化量と異なる変化
傾向を生じた時を、電解質の補給時期とすることを特徴
とする。
【0015】以上のような請求項1記載の発明では、ガ
ス流量に応じた基準経時変化量と供試経時変化量との差
を、基準経時変化量と比較することにより、電解質の補
給時期を決定し、最適な時点で電解質の補給を行うこと
ができるので、電解質の欠乏による電池性能の劣化を防
止することができる。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の燃
料電池の保持電解質管理方法において、前記基準経時変
化量は、定格運転における電池電圧の経時変化量であ
り、前記供試経時変化量は、一定時間毎に燃料ガス及び
酸化剤ガスの少なくとも一方を増加させた場合における
電池電圧の経時変化量であることを特徴とする。
【0017】以上のような請求項2記載の発明では、定
格運転における電池電圧の経時変化量と、一定時間毎に
ガス流量を増加させた場合の電池電圧の経時変化量とに
基づいて、電解質の補給時期を決定し、最適な時点で電
解質の補給を行うことができるので、実際のプラントに
適した方法によって、電解質の欠乏による電池性能の劣
化を防止することができる。
【0018】請求項3記載の発明は、燃料ガス及び酸化
剤ガスの少なくとも一方を、基準となる濃度で供給して
運転した場合における電池電圧の経時的な変化量を示す
基準経時変化量と、基準と異なる濃度で供給して運転し
た場合における電池電圧の経時的な変化量を示す供試経
時変化量とを測定し、前記基準経時変化量と前記供試経
時変化量との差が、前記基準経時変化量と異なる変化傾
向を生じた時を、電解質の補給時期とすることを特徴と
する。
【0019】以上のような請求項3記載の発明では、ガ
ス濃度に応じた基準経時変化量と供試経時変化量との差
を、基準経時変化量と比較することにより、電解質の補
給時期を決定し、最適な時点で電解質の補給を行うこと
ができるので、電解質の欠乏による電池性能の劣化を防
止することができる。
【0020】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれか1項に記載の燃料電池の保持電解質管理方法にお
いて、電池電圧の抵抗分極に増加現象が生じた時を、電
解質の補給時期とすることを特徴とする。以上のような
請求項4記載の発明では、抵抗分極に増加現象が生じた
時を、電解質補給時期とすることにより、最適な時点で
電解質の補給を行うことができるので、電解質の欠乏に
よる電池性能の劣化を防止することができる。
【0021】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか1項に記載の燃料電池の保持電解質管理方法にお
いて、前記基準経時変化量と前記供試経時変化量との差
と、前記基準経時変化量との比において、経時的な増加
現象又は減少現象が生じた時を、電解質補給時期とする
ことを特徴とする。
【0022】以上のような請求項5記載の発明では、基
準経時変化量と供試経時変化量との差と、基準経時変化
量との比は、通常の状態では一定であり、クロスオーバ
が発生するリン酸量に近付くと増減現象が生じる。従っ
て、この比の経時変化に基づいて判断すれば、電解質の
補給時期が明確となり、容易に最適な時点での電解質の
補給を行うことができるので、電池の劣化をより確実に
防止することができる。
【0023】請求項6記載の発明は、請求項1〜5のい
ずれか1項に記載の燃料電池の保持電解質管理方法にお
いて、前記マトリックス層の電解質含浸量が、気孔体積
の100%〜70%である場合において、電解質を補給
することを特徴とする。以上のような請求項6記載の発
明では、電解質含浸量が気孔体積の70%以下になると
クロスオーバが発生するので、クロスオーバが発生する
以前に電解質を補給することができ、電池性能の劣化を
防止することができる。
【0024】また、請求項7記載の発明は、請求項1〜
6のいずれか1項に記載の燃料電池の保持電解質管理方
法において、初期の電池保持電解質量から、多孔質電極
における気孔体積の15%に相当する電解質量を減じた
量を、補給量とすることを特徴とする。以上のような請
求項7記載の発明では、マトリックス層の電解質含浸率
が100%から減少するときには、電極基板には、初期
の電池保持電解質量から気孔体積の15%に電解質が残
留しているので、これに基づいて最適な補給量を決定で
き、電解質欠乏による電池性能の劣化を防止することが
できる。
【0025】
【発明の実施の形態】請求項1〜7記載の本発明の実施
の形態を以下に説明する。
【0026】(1)電解質の補給時期の判定 まず、電解質の補給時期の判定について説明する。すな
わち、燃料電池は、負荷電流が大きくなるほど電池電圧
が低下する。これは、電圧の分極が大きくなるためであ
る。一般的に、分極は活性化分極(ηact)、拡散分
極(ηdif)、抵抗分極(ηr)からなる。そして、
燃料電池を運転すると、電池電圧は徐々に低下するが、
これは上記の3つの分極がそれぞれ増加するためであ
る。但し、これまでの研究では、運転時間の経過に伴
い、活性化分極(ηact)、拡散分極(ηdif)は
増加するが、抵抗分極(ηr)の増加はほとんどないこ
とが判明している。
【0027】さらに、マトリックス層の保持電解質量が
減少すると、抵抗分極(ηr)は急激に増加し、しばら
くするとクロスオーバが発生することがわかっている。
よって、抵抗分極(ηr)の急激な増加が、電解質の補
給最適時期を判定する際の鍵となるので、抵抗分極(η
r)の変化を検出することが必要となる。
【0028】例えば、定格条件などの一定条件下におい
て、燃料電池を運転したときのt時間後の電池電圧の変
化量ΔV(t)は、以下の式1に示すように、活性化分
極(ηact)、拡散分極(ηdif)、抵抗分極(η
r)の増加分の和となる。なお、このΔV(t)は、請
求項に記載の基準経時変化量に対応する。
【0029】
【数1】 ΔV(t)=Δηact(t)+Δηdif(t)+Δηr(t) …式1 一方、酸化剤流量又は酸化剤濃度などの条件を、上記の
定格条件とは異なる値に変えて燃料電池を運転した場合
には、活性化分極(ηact)と拡散分極(ηdif)
は変化するが、抵抗分極(ηr)は変化しない。このこ
とから、酸化剤流量又は酸化剤濃度が異なる時のt時間
後の電池電圧の変化量ΔV′(t)は、以下の式2に示
すように、活性化分極(ρ・ηact)、拡散分極(ρ
・ηdif),抵抗分極(ηr)の和となる。なお、こ
のΔV′(t)は請求項に記載の供試経時変化量に対応
し、式2中のρは、酸化剤流量又は酸化剤濃度に依存す
る定数である。
【0030】
【数2】 ΔV′(t)=ρ・Δηact(t)+ρ・Δηdif(t)+Δηr(t) …式2 従って、例えば定格条件などの一定条件下で運転したと
きのt時間後の電池電圧の変化量ΔV(t)と、酸化剤
流量又は酸化剤濃度などの条件が異なる時のt時間後の
電池電圧の変化量ΔV′(t)との差は、以下の式3に
示すように、活性分極(ηact)と拡散分極(ηdi
f)の経時変化の和となる。
【0031】
【数3】 ΔV(t)-ΔV′(t)=(1−ρ)(Δηact(t)+Δηdif(t))…式3 ここで、通常の運転では、上記のように抵抗分極(Δη
r(t))の増加はほとんどないことから、Δηr
(t)=0となる。よって、式1のΔV(t)の変化
は、活性化分極(ηact)と拡散分極(ηdif)の
変化に依存することになる。これは、式3のΔV(t)
−ΔV′(t)の変化と同じ傾向となる。
【0032】ところが、電池内の電解質の量が不十分と
なり、内部抵抗の上昇が始まると、式1におけるΔηr
(t)は正の値となるので、ΔV(t)の変化傾向に変
化が見られる。一方、式3には、抵抗分極の項(Δη
r)が存在しないために、内部抵抗の上昇が始まって
も、ΔV(t)−ΔV′(t)の値は変化を受けない。
以上のことから、ΔV(t)とΔV(t)−ΔV′
(t)の変化傾向を比較することにより、抵抗分極(η
r)の増加を検出する。
【0033】そして、この変化をさらに顕著にするた
め、(ΔV(t)−ΔV′(t))/ΔV(t)の経時
的変化を管理する。すなわち、抵抗分極(ηr)の増加
がない場合には、上記の比率はほぼ一定値で推移する
が、抵抗分極(ηr)が増加すると上記の比率は小さく
なる。なお、上記の一定値で推移する比率は、酸化剤ガ
スの流量、酸化剤濃度のそれぞれの組み合わせによって
決定できる量(1−ρ)である。以上のように、抵抗分
極(ηr)の上昇を検知することにより、電解質の補給
時期を決定することができる。
【0034】(2)電解質の補給量の判定 次に、電解質の補給量の判定について説明する。すなわ
ち、マトリックス層の電解質含浸量は、気孔体積の10
0%より少なくなると、電池内部抵抗が上昇(抵抗分極
が増加)し、70%以下になるとクロスオーバが発生す
ることが判明している。よって、上記の第1の実施の形
態で説明したように、電池内部抵抗が上昇を始めたとき
に、電解質を補給すれば、クロスオーバが発生する前に
補給できる。
【0035】そして、電池内のリン酸バランスから、マ
トリックス層の電解質含浸率が100%から減少する時
には、電極基板には、その気孔体積の15%に電解質が
残留していることが判明している。このことから、電池
内部抵抗の上昇が見られた時の電池内部に残留する電解
質量を、初期の保持電解質量から減じた量が、電池外に
搬出された電解質量であることが分かる。よって、この
ように電池外に搬出された電解質量を補給量とすること
により、最適な電解質補給量を決定することができる。
【0036】(3)実施の形態の効果 以上説明したように、本実施の形態によれば、電池の運
転を停止することなく、電池の抵抗分極の増加を検知す
ることができ、これにより電解質の最適補給時期及び最
適補給量を決定することができる。従って、電池内の電
解質が欠乏して電池が決定的ダメージを受ける前に、最
適量の電解質を補給して、電池性能の劣化を防止し、電
池寿命を大幅に長くすることができる。
【0037】(4)他の実施の形態 上記の実施の形態においては、基準用及び供試用として
ガス流量又はガス濃度の測定対象となるガスを、酸化剤
ガスとしたが、燃料ガスのガス流量及びガス濃度を対象
としてもよい。また、基準用のガス流量又はガス濃度と
しては、定格条件に限定されるものではない。
【0038】
【実施例】本発明の具体的な実施例を説明する。
【0039】(1)第1実施例 セルを25積層したリン酸型燃料電池を作成し、これを
以下の定格条件によって連続運転した。 運転温度 200℃ 負荷電流密度 300mA/cm2 運転圧力 常圧 燃料利用率 70% 空気利用率 60% また、500時間に1回、空気流量を2倍(空気利用率
30%)として、電池電圧を測定した。
【0040】以上の場合の電池電圧の経時変化を、図1
に示す。なお、図1中の(A)は定格条件で運転したと
きの電池電圧の経時変化であり、(B)は500時間に
1回、空気流量を2倍としたときの電池電圧の経時変化
である。
【0041】上記の電池電圧の経時変化から、定格条件
で運転した時のt時間後の電池電圧の変化量ΔV
(t)、空気流量を2倍にした時のt時間後の電池電圧
の変化量ΔV′(t)を計算し、ΔV(t)と(ΔV
(t)−ΔV′(t))との経時変化をグラフとした。
その結果を図2に示す。これによると、ある時期までは
ΔV(t)と(ΔV(t)−ΔV′(t))の変化傾向
は同一であるが、その時期を越えるとそれらの変化傾向
が異なることが分かる。
【0042】このように異なる変化傾向を示した電池を
分解調査し、電池内のリン酸を調査した結果、クロスオ
ーバが発生するリン酸量に近い値、すなわち、電極基板
の気孔体積の15%に相当する電解質量にまでリン酸が
減少していることが判明した。そこで、同様に試験した
別の電池では、初期の電池内保持電解質量から電極基板
の気孔体積の15%に相当する電解質量を減じたリン酸
量を補給した。その結果、電池電圧は低下することがな
く、ΔV(t)の変化傾向は元に戻った。また、電池寿
命はリン酸を補給した分長くなった。
【0043】以上のことから、ΔV(t)と(ΔV
(t)−ΔV′(t))の変化傾向が異なる時期がリン
酸補給時期であり、その時の電池内のリン酸残留量か
ら、補給量の最適値を計算することができるので、適切
なリン酸補給時期と補給量を判定することができる。
【0044】(2)第2実施例 第1実施例と同様のリン酸型燃料電池を、第1実施例と
同様の定格条件によって連続運転した。そして、空気流
量を2倍とするのではなく、500時間に1回、酸素濃
度を50%とした窒素混合ガスを供給して、電池電圧を
測定した。上記の電池電圧の経時変化から、定格条件で
運転した時のt時間後の電池電圧の変化量ΔV(t)
と、酸素濃度を50%とした窒素混合ガスを供給した時
のt時間後の電池電圧間変化量ΔV′(t)とを計算し
て、実施例1と同様の検討を行い、同様の結果が得られ
た。
【0045】(3)第3実施例 第1実施例、第2実施例において(ΔV(t)−ΔV′
(t))/ΔV(t)の経時的変化を、図3に示すよう
に、グラフ化した。すると、ある時期までは上記の値に
変化は殆ど見られず、ほぼ一定値で推移するが、その時
期を越えると上記の値は小さくなる。この変化が発生し
たときの電池を分析し、電池内のリン酸を調査した結
果、クロスオーバが発生するリン酸量に近い値、すなわ
ち、電極基板の気孔体積の15%に相当する電解質量ま
でリン酸が減少していた。
【0046】そして、同様に試験した別の電池では初期
の電池内保持電解質量から電極基板の気孔体積の15%
に相当する電解質量を減じたリン酸量を補給した。その
結果、電池電圧は低下することがなく、ΔV(t)の変
化傾向は元に戻った。また、電池寿命はリン酸を補給し
た分長くなった。
【0047】従って、(ΔV(t)−ΔV′(t))/
ΔV(t)の値に変化が生じる時期がリン酸補給時期で
あり、その時の電池内のリン酸残留量から、補給量の最
適値を計算することができるので、適切なリン酸補給時
期と補給量を判定することができる。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
発電中であっても、電池内部抵抗の変化を知ることによ
り、電解質の最適な補給時期及び補給量を決定可能な燃
料電池の保持電解質管理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料電池の電池電圧の経時変化を示す図であ
り、(A)は定格条件で運転した場合、(B)は空気流
量を変化させた場合を示す。
【図2】電池電圧の変化傾向に基づいた燃料電池の電解
液補給時期を示す図である。
【図3】電池電圧の比の変化傾向に基づいた燃料電池の
電解液補給時期を示す図である。
【図4】電解質を補給しない場合のセルの寿命特性を示
す図である。
【図5】適性時期に適量の電解質を補給した場合のセル
の寿命特性を示す図である。
【図6】電解質補給時期が遅すぎた場合のセルの寿命特
性を示す図である。
【図7】電解質の補給量が多すぎた場合のセルの寿命特
性を示す図である。
【符号の説明】
(A)…定格条件で運転した場合の電池電圧の経時変化 (B)…酸化剤ガス量又は酸化剤濃度を増加させて運転
した場合の電池電圧の経時変化 ΔV(t)…定格条件で運転した場合のt時間後の電池
電圧の変化量 ΔV′(t)…酸化剤流量又は酸化剤濃度を増加させて
運転した場合のt時間後の電池電圧の変化量
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 真岡 忠則 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電解質を保持した多孔質のマトリックス
    層を、触媒層が形成された一対の多孔質電極によって挟
    持した単位電池が複数個積層され、各単位電池における
    一方の多孔質電極側に燃料ガスを供給し、他方の多孔質
    電極側に酸化剤ガスを供給することにより発電を行う燃
    料電池に対して、運転により減少した電解質を補給する
    燃料電池の保持電解質管理方法において、 燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方を、基準のガ
    ス流量で運転した場合における電池電圧の経時的な変化
    量を示す基準経時変化量と、前記基準と異なるガス流量
    で運転した場合における電池電圧の経時的な変化量を示
    す供試経時変化量とを測定し、 前記基準経時変化量と前記供試経時変化量との差が、前
    記基準経時変化量と異なる変化傾向を生じた時を、電解
    質の補給時期とすることを特徴とする燃料電池の保持電
    解質管理方法。
  2. 【請求項2】 前記基準経時変化量は、定格運転におけ
    る電池電圧の経時変化量であり、前記供試経時変化量
    は、一定時間毎に燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも
    一方を増加させた場合における電池電圧の経時変化量で
    あることを特徴とする請求項1記載の燃料電池の保持電
    解質管理方法。
  3. 【請求項3】 電解質を保持した多孔質のマトリックス
    層を、触媒層が形成された一対の多孔質電極によって挟
    持した単位電池が複数個積層され、各単位電池における
    一方の多孔質電極側に燃料ガスを供給し、他方の多孔質
    電極側に酸化剤ガスを供給することにより発電を行う燃
    料電池に対して、運転により減少した電解質を補給する
    燃料電池の保持電解質管理方法において、 燃料ガス及び酸化剤ガスの少なくとも一方を、基準とな
    る濃度で供給して運転した場合における電池電圧の経時
    的な変化量を示す基準経時変化量と、基準と異なる濃度
    で供給して運転した場合における電池電圧の経時的な変
    化量を示す供試経時変化量とを測定し、 前記基準経時変化量と前記供試経時変化量との差が、前
    記基準経時変化量と異なる変化傾向を生じた時を、電解
    質の補給時期とすることを特徴とする燃料電池の保持電
    解質管理方法。
  4. 【請求項4】 電池電圧の抵抗分極に増加現象が生じた
    時を、電解質の補給時期とすることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池の保持電解質管
    理方法。
  5. 【請求項5】 前記基準経時変化量と前記供試経時変化
    量との差と、前記基準経時変化量との比において、経時
    的な増加現象又は減少現象が生じた時を、電解質補給時
    期とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    に記載の燃料電池の保持電解質管理方法。
  6. 【請求項6】 前記マトリックス層の電解質含浸量が、
    気孔体積の100%〜70%である場合において、電解
    質を補給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の燃料電池の保持電解質管理方法。
  7. 【請求項7】 初期の電池保持電解質量から、多孔質電
    極における気孔体積の15%に相当する電解質量を減じ
    た量を、補給量とすることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか1項に記載の燃料電池の保持電解質管理方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011517037A (ja) * 2008-04-11 2011-05-26 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 燃料電池の操作方法
US9540278B2 (en) 2010-05-27 2017-01-10 Corning Incorporated Ion exchangeable glasses
US9682885B2 (en) 2011-11-16 2017-06-20 Corning Incorporated Ion exchangeable glass with high crack initiation threshold

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