JPH1164903A - 波長変換素子及びその使用方法 - Google Patents

波長変換素子及びその使用方法

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JPH1164903A
JPH1164903A JP22637697A JP22637697A JPH1164903A JP H1164903 A JPH1164903 A JP H1164903A JP 22637697 A JP22637697 A JP 22637697A JP 22637697 A JP22637697 A JP 22637697A JP H1164903 A JPH1164903 A JP H1164903A
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nonlinear optical
optical crystal
walk
crystal
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JP22637697A
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Inventor
Yuji Kaneda
有史 金田
Koichi Tatsuki
幸一 田附
Nobuhiko Umetsu
暢彦 梅津
Tatsuo Fukui
達雄 福井
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱的安定性に優れ、安定かつ信頼性の高い非
線形光学結晶からなる波長変換素子、及びその使用方法
を提供すること。 【解決手段】 レーザ光入射面2とレーザ光出射面3と
を有する非線形光学結晶1からなり、非線形光学結晶中
1をレーザ光が、この光軸に対しほぼ垂直な面内でウォ
ークオフを発生しながら伝搬する波長変換素子であっ
て、レーザ光の非ウォークオフ方向xにおいて、前記レ
ーザ光の径に対し、非線形光学結晶1の厚みが15倍以
下であることを特徴とする波長変換素子。非線形光学結
晶1をウォークオフ方向xに移動する波長変換素子の使
用方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非線形光学効果を
利用して波長変換を行う波長変換素子及びその使用方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光は、一般に、電波よりも周波数
が高いので情報収容能力が大きく、また、波長が同一で
あり位相がそろっているので単色性や指向性に優れ、通
常の光線にみられない干渉性をもっており、さらに、極
めて細く収束できるため、微小な面積にエネルギーを集
中して、局部的、瞬間的に高温、高圧を実現できるなど
の特徴を有しており、通信及び情報関係、計測関係、加
工技術への応用、医学面への応用など、多方面に応用さ
れている。
【0003】レーザ光の波長を変換して例えば第2高調
波を発生せしめることができる非線形光学結晶からなる
波長変換素子は、例えば、半導体の微細加工に用いられ
るステッパなどの半導体露光装置に適用されるレーザ光
源や、安定な高出力レーザ光を発振できるレーザ光発生
装置などに採用されている。
【0004】近年、このようなレーザ光源やレーザ光発
生装置(例えば、半導体製造装置に用いられる露光用光
源)に関して、レーザ光の高出力化、短波長化の研究が
なされている。
【0005】前記レーザ光の高出力化、短波長化を達成
する手段として、現在、様々な手法が取られているが、
これらの中で最も有望なものの一つに、固体レーザの非
線形波長変換により短波長領域、特に紫外光領域のレー
ザ光を得る方法がある。固体レーザは、半導体レーザよ
りも、高効率でかつ安価に提供することが可能であり、
また、KrFやArF等を用いるガスレーザに比べて信
頼性が高いと考えられる。
【0006】ここで、例えば、波長1064nmのレー
ザ光を発振するネオジミウム:イットリウム・アルミニ
ウム・ガーネットレーザ(以下、Nd:YAGレーザと
称する。)の第5高調波、すなわち、波長213nmの
レーザ光は、高いエネルギー変換効率を有し、小型化可
能で比較的安価にて供給されるため、次世代露光装置の
光源として有望である。
【0007】実際に第5高調波を得る方法としては、ま
ず、波長1064nmの基本波から、第1のSHG(第
2高調波:Second Harmonic Generation;以下、同様)
の発生過程により波長532nmの第2高調波を得て、
さらに、第2のSHG発生過程によって、さらに半分の
波長を有する波長266nmのレーザ光(以下、便宜的
に第4高調波と称することがある。)を得る。そして、
第1のSHG発生過程で波長変換されずに残った波長1
064nmの基本波レーザ光と波長266nmの第4高
調波とを、和周波混合(以下、SFMと称する。)過程
によって第5高調波となる波長213nmのレーザ光を
得る方法が実施されている。
【0008】この第5高調波発生過程を図6を参照に説
明する。
【0009】まず、図示省略したNd:YAGレーザ発
振器から発振された波長1064nmのレーザ光aが非
線形光学結晶であるホウ酸リチウム結晶(以下、LBO
結晶と称する。)20を通過する(第1のSHG)。こ
の際、第2高調波である波長532nmのレーザ光が発
生するが、LBO結晶20から出射するレーザ光bは、
波長1064nmのレーザ光と波長532nmのレーザ
光とを含むレーザ光である。
【0010】次に、LBO結晶20から出射されるレー
ザ光bは、分離ミラー24に入射し、ここで、波長10
64nmのレーザ光eは透過し、波長532nmのレー
ザ光cは反射されて光軸が90度曲げられて、それぞれ
分離される。
【0011】分離された波長532nmのレーザ光c
は、さらに全反射ミラー25にて反射され、非線形光学
結晶であるβ−ホウ酸バリウム結晶(以下、BBO結晶
と称する。)21を透過して、第4高調波である波長2
66nmのレーザ光dが発生する(第2のSHG)。こ
の波長266nmのレーザ光dは、全反射ミラー26と
分離ミラー27とにて反射され、和周波混合が可能な非
線形光学結晶であるBBO結晶22に導かれる。
【0012】一方、分離ミラー24を透過した波長10
64nmのレーザ光eは、分離ミラー27を透過してB
BO結晶22に導かれる。
【0013】このBBO結晶22において、波長106
4nmのレーザ光eと波長266nmのレーザ光dとが
和周波混合されて、基本波レーザ光の第5高調波である
213nmの紫外レーザ光が発生し、この波長213n
mのレーザ光fが出射される。
【0014】ここで、上述したように、前記第1のSH
Gには、非線形光学結晶としてLBO(LiB3 4
結晶が広く利用されている。このLBO結晶は、高いレ
ーザ損傷しきい値を有し、かつ、光学損失が低いことか
ら、波長1064nmの基本波レーザ光から波長532
nmのレーザ光(第2高調波)の発生用途には好適であ
る。
【0015】また、上述したように、前記第2のSHG
や、第5高調波発生のためのSFMには、非線形光学結
晶としてBBO(β−BaB2 4 )結晶やCLBO
(CsLiB6 10)結晶が用いられることが多い。な
お、第1のSHGで用いられるLBO結晶は、その光学
特性上、位相整合条件を満たすことができず、波長26
6nmのレーザ光の発生等に用いることは不適当であ
る。
【0016】ただし、CLBO結晶は、低繰り返しのパ
ルス(例えば、毎秒10〜20パルス程度)のレーザを
用いる場合には良好な波長変換特性を示すが、例えば、
半導体製造用の露光装置に用いられるような毎秒数千パ
ルスというような高繰り返し動作のもとでは、その高調
波出力が急速に低下するという問題を抱えている。
【0017】従って、高繰り返しパルスレーザを必要と
する環境下では、前記第2のSHG(即ち、図6の非線
形光学結晶21として)及び第5高調波発生のためのS
FMに用いる非線形光学結晶として、主にBBO結晶が
用いられている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ここで、BBO結晶
(特に、図6の非線形光学結晶21)を用いた波長変換
素子を図5に示す。
【0019】図5(A)に示す非線形光学結晶11は、
横長x’、縦長y’を有するレーザ光入射面12及びレ
ーザ光出射面13を有し、光軸方向の長さz’(z’=
10〜15mm)を有する平行6面体の結晶である。一
般に、レーザ光入射面12及びレーザ光出射面13は、
横長x’=縦長y’(x’=y’=3〜5mm)の正方
形となされている。なお、図示省略するが、入射面12
及び出射面13以外の面には、全て温度制御素子が配さ
れている。
【0020】ここで、例えば波長532nmのレーザ光
4は、レーザ光入射面12から非線形光学結晶11に入
射し、非線形光学結晶11中、非線形光学効果を受けて
ウォークオフを発生しながら伝搬し、レーザ光出射面1
3から波長266nmのレーザ光に波長変換される。
【0021】すなわち、入射するレーザ光4は、非線形
光学結晶11中で非線形光学効果を受けて、光軸方向の
長さz’を伝搬する間に徐々に偏平なレーザ光となりな
がら波長変換されて、レーザ光出射面13に達し、図5
(A)に示す如く、入射するレーザ光4がその光軸に垂
直な断面(即ち、レーザ光入射面12)でほぼ円形をな
すレーザ光4’であれば、レーザ光出射面13では、ウ
ォークオフ方向(即ち、図中x軸方向)に偏平なレーザ
光5’となる。
【0022】従って、図5(B)に示すように、非線形
光学結晶11において、レーザ光、特にウォークオフ方
向に偏平なレーザ光5’の吸収によって熱が発生する。
特に、短波長レーザ光、さらには紫外光領域の波長を有
するレーザ光の場合は、前記熱の発生割合が大きい。な
お、前記熱の発生源(熱源)もレーザ光5’と同様の偏
平な形状となり、発生する熱は図中矢印15に示す方向
に発散する。
【0023】ここで、一般に、非線形光学結晶11のレ
ーザ光入射面及びレーザ光出射面以外の面には、温度制
御素子14が設けられている。この温度制御素子14
は、前記熱を緩和、さらには制御するべく構成されてお
り、熱による非線形光学結晶11の不安定性を取り除く
ことができる。
【0024】しかしながら、通常の波長変換素子には、
このような熱の制御手段が配されているにもかかわら
ず、長期的な出力の低下や周期的な出力変動が生じるこ
とがあり、信頼性の高い波長変換素子とは言い難いもの
であった。
【0025】すなわち、例えば、レーザ光発振器として
Nd:YAGレーザを用い、第4高調波発生過程でBB
O結晶を用いた場合、CLBO結晶を用いた場合ほどの
急速な出力劣化ではないが、周波数7kHz、平均出力
7W程度で波長266nmの第4高調波を発生させる
際、これを長時間行った場合に、高調波出力の低下を伴
う非線形光学結晶の劣化が観察される。ただし、これら
の出力劣化は、個体差によるものである。
【0026】また、高出力のレーザ光光源を用い、例え
ば出力2W以上の波長266nmの第4高調波の発生を
試みた実験では、一部の結晶サンプルで、熱的不安定性
によるものと思われる周期的な出力の変動が生じた。こ
れは、1分程度の周期で、出力が0.5W〜2W程度の
間で変動する現象であった。
【0027】このような出力変動は、発生する短波長レ
ーザ光、特に紫外光を非線形光学結晶自身が吸収して結
晶の温度上昇を招き、非線形光学結晶は屈折率の温度依
存性を有していることから、必要な位相整合条件が満た
されなくなってしまうことに起因すると考えられる。な
お、これらの実験で用いた入力レーザ光ビームは、その
直径が約150μm〜250μm程度のほぼ円形のレー
ザ光である。
【0028】従って、本発明者は、前記熱的不安定性
は、 (1)高調波の発生 (2)非線形光学結晶による短波長レーザ光(特に紫外
線レーザ光)の吸収 (3)非線形光学結晶の(局部的な)温度上昇 (4)位相整合条件が満たされなくなり、高調波出力の
低下 (5)温度が初期状態に近くなる の繰り返し、即ち、周期的な挙動(以下、同様)によっ
て起こると考えた。
【0029】これを解決するためには、短波長レーザ
光、特に紫外線レーザ光による吸収の全くない非線形光
学結晶を使用することが理想的な解決方法であることは
言うまでもないが、このような非線形光学結晶は現実的
に不可能である。
【0030】また、前記周期的な挙動を部分的にでも緩
和させることができれば、前記熱的不安定性を低減でき
ると考えられるが、現在のところ、有効な手段は見出さ
れていない。
【0031】つまり、現状では、典型的には、Nd:Y
AGレーザの第4高調波である波長266nmの異常光
線では、2%/cm程度の吸収が存在しており、この吸
収による非線形光学結晶の局部的な温度上昇は、前記熱
的不安定性に関与するため、大きな問題となっている。
【0032】本発明は、上述した実情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、熱的安定性に優れ、安定かつ
信頼性の高い非線形光学結晶からなる波長変換素子、及
びその使用方法を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、非線形光学効
果を利用してレーザ光の波長を変換する非線形光学結晶
からなる波長変換素子において、前記非ウォークオフ方
向でのレーザ光の径に対する前記非線形光学結晶の径を
特定の値以下にすることにより、熱的安定性に優れ、安
定かつ信頼性の高い非線形光学結晶からなる波長変換素
子が得られることを見出した。
【0034】すなわち、本発明は、レーザ光入射面とレ
ーザ光出射面とを有する非線形光学結晶からなり、前記
非線形光学結晶中をレーザ光が、この光軸に対しほぼ垂
直な面内でウォークオフを発生しながら伝搬する波長変
換素子であって、前記レーザ光の非ウォークオフ方向に
おいて、前記レーザ光の径に対し、前記非線形光学結晶
の厚みが15倍以下であることを特徴とする、波長変換
素子(以下、本発明の波長変換素子と称する。)に係る
ものである。
【0035】本発明の波長変換素子によれば、レーザ光
入射面とレーザ光出射面とを有する非線形光学結晶から
なり、前記非線形光学結晶中をレーザ光が、この光軸に
対しほぼ垂直な面内でウォークオフを発生しながら伝搬
する波長変換素子であって、前記レーザ光の非ウォーク
オフ方向において、前記レーザ光の径に対する前記非線
形光学結晶の厚みを15倍以下としているので、前記非
線形光学結晶中を伝搬するレーザ光によって発生する熱
を容易に制御することができ、従って、非線形光学結晶
の局部的な温度上昇を抑制することによって、位相整合
条件が変動しにくく、熱的安定性に優れ、安定かつ信頼
性の高い波長変換素子を構成することができる。
【0036】特に、前記非ウォークオフ方向に関し、前
記レーザ光の径に対する前記非線形光学結晶の厚みが1
5倍を越えると、前記レーザ光によって発生する熱の制
御が困難になり、得られるレーザ光が熱的に不安定性に
なる。なお、前記厚みは5倍以下であることがさらに好
ましい。
【0037】ここで、前記「ウォークオフ」とは、異方
性を有する結晶中でのレーザ光のずれを意味し、また、
ウォークオフ方向とは、前記ずれによって生じるレーザ
光の広がり方向を意味する。
【0038】すなわち、異方性(屈折率異方性)をもっ
た結晶中では、レーザ光は複屈折を生じせしめ、この複
屈折により生じる、異常光線と呼ばれる偏光を有するレ
ーザ光は、そのエネルギーの流れ方向がその波面の法線
方向と若干ずれる。例えば、前記BBO結晶の場合、発
生する短波長のレーザ光が異常光線となり、波長266
nmのレーザ光発生の場合、そのずれ角(ウォークオフ
角:以下、同様)は約4.8度となる。従って、非線形
光学結晶のレーザ光入射面付近で発生する高調波と、レ
ーザ光出射面付近で発生している高調波とは空間的に若
干離れたものとなる。
【0039】この結果、波長変換を受けたレーザ光は、
この光軸に対しほぼ垂直な面内でウォークオフを発生
し、ウォークオフ方向には幅の広がったレーザ光とな
る。一方、ウォークオフ方向と垂直な方向(即ち、非ウ
ォークオフ方向:以下、同様)にはこの効果がないの
で、レーザ光は広がらず、結果的に、例えば縦横比=
1:1のレーザ光を入射した場合、発生するレーザ光
(高調波)は、結晶中でも、さらに結晶中から出射され
た状態でも「偏平なレーザ光」となる。
【0040】図3に、この様子を概念的に示す。
【0041】図3中、(1)にあるのは入力されるビー
ムのパターンである。また、図中、入口付近で発生され
る高調波は(2)に示したビームのパターンを示し、ほ
ぼ、(1)に示した入力のビームパターンを反映する。
この(2)のビームパターンで発生された高調波は結晶
中を、図3で示すと、右の方(図中x軸方向)にずれて
伝搬していく。一方、入力となるビーム、即ち基本波
は、BBO結晶の場合、位相整合条件のために、常光線
の偏光を持ち、ウォークオフによるずれ(シフト)は起
こらない。従って、基本波は図中のy軸方向に伝搬して
いく。
【0042】ここで、高調波は、基本波から、結晶全体
(伝搬方向の)方向に発生されるので、例えば、図中
(3)の位置で発生される高調波はy軸上にあるが、図
中(2)の位置で発生し、図中(3)の位置まで伝搬し
てきた高調波は右にずれた位置に来る。なお、図中
(4)〜(6)に関しては、その位置で発生される高調
波のパターンと(1)で発生され、伝搬してきた高調波
のみを示した。そして、図中(7)、すなわち結晶の出
口の位置には、これら(2)から(7)までの位置で発
生したそれぞれのビームパターンを示した。
【0043】実際に出力として得られるレーザビーム
(レーザ光)は、非線形光学結晶の中で発生されたビー
ムパターン全ての重ね合わせであるから、図中(8)に
示したように、ウォークオフ方向に広がった扁平なパタ
ーンとなる。なお、図中、x軸、y軸はそれぞれウォー
クオフ方向、波面法線の方向を示す。
【0044】なお、上述したように、非線形光学結晶の
熱的不安定性を取り除くためには、前述した周期的な挙
動を部分的にでも緩和することが必要であるが、その方
法の一つとして、例えば、その周期を短くすることで、
その振幅も小さくすることが可能である。つまり、この
周期的な挙動は、時間的な遅れによってもたらされるの
で、この時間的な遅れを少なくすること(つまり、熱緩
和時間の短縮)が重要である。
【0045】本発明の波長変換素子によれば、前記非線
形光学結晶中を伝搬するレーザ光によって発生する熱を
容易に制御することができるので、熱緩和時間を短縮す
ることができ、上述した熱的不安定性の周期的な挙動の
周期を短くすることが可能であり、安定性の優れた波長
変換素子を提供できる。
【0046】また、本発明は、本発明の波長変換素子の
使用方法として、レーザ光入射面とレーザ光出射面とを
有する非線形光学結晶からなり、前記非線形光学結晶中
をレーザ光が、この光軸に対しほぼ垂直な面内でウォー
クオフを発生しながら伝搬する波長変換素子であって、
前記レーザ光の非ウォークオフ方向において、前記レー
ザ光の径に対し、前記非線形光学結晶の厚みが15倍以
下であることを特徴とする波長変換素子を使用するに際
し、前記非線形光学結晶を前記ウォークオフ方向に移動
させて前記レーザ光の入射位置を変更する、波長変換素
子の使用方法(以下、本発明の使用方法と称する。)も
提供するものである。
【0047】本発明の使用方法によれば、本発明の波長
変換素子を使用するに際し、前記非線形光学結晶を前記
ウォークオフ方向に移動させて前記レーザ光の入射位置
(即ち、前記結晶におけるレーザ光の伝搬経路)を適宜
変更するので、例えば、長時間の使用によって結晶が部
分的に劣化するような場合でも、非線形光学結晶を移動
(例えば平行移動)させることによって、結晶性の劣化
していない部分(以下、フレッシュスポットと称するこ
とがある。)でレーザ光を伝搬、つまり波長変換させる
ことができ、非線形光学結晶を交換することなく波長変
換素子の長寿命化を図ることができる。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明の波長変換素子及び本発明
の使用方法においては、前記レーザ光の非ウォークオフ
方向において、前記レーザ光の直径に対し、前記非線形
光学結晶の前記厚みが2倍以上であることが望ましい。
【0049】前記レーザ光の非ウォークオフ方向に関し
て、前記レーザ光の径に対し、前記非線形光学結晶の前
記厚みを小さくしすぎると、入力或いは出力するレーザ
光をクリップ(clip)して、有効な出力を望めなくなる
ことがある。従って、本発明の波長変換素子において
は、前記レーザ光の非ウォークオフ方向において、前記
レーザ光の径に対し、前記非線形光学結晶の厚みが2倍
以上であるのが望ましい。この厚みは2〜5倍であるこ
とがさらに望ましいが、これは、前記レーザ光の直径が
200〜300mm程度のとき、ハンドリング性や加工
の簡便さも考慮して、前記厚みが約1mmと小さめの非
線形光学結晶を作製しうるからである。
【0050】また、本発明の波長変換素子においては、
前記非線形光学結晶が平行6面体であって、この平行6
面体における前記光軸と垂直な断面が、前記レーザ光の
前記ウォークオフ方向に長辺を有し、非ウォークオフ方
向に短辺を有する四角形をなしており、前記レーザ光の
非ウォークオフ方向の径に対して前記短辺が15倍以下
であることが望ましい。
【0051】すなわち、前記非線形光学結晶を平行6面
体とし、前記非ウォークオフ方向に関して、前記レーザ
光の径に対して前記短辺を15倍以下とすることによっ
て、レーザ光(特に短波長レーザ光)の吸収による熱の
発生源から、前記熱を効率よく排熱し、または制御し、
温度変化による位相整合条件の変動を抑制すると同時
に、温度上昇による非線形光学結晶の損傷も抑制するこ
とができる。
【0052】また、このような場合でも、前記出射面又
は前記入射面の前記短辺は、前記クリップの防止の点か
ら、前記レーザ光の径の3倍以上が望ましい。
【0053】つまり、もちろんレーザ光の波長や非線形
光学結晶の種類、サイズによっても異なるが、前記出射
面又は前記入射面が長方形である場合は、結晶加工やハ
ンドリングの簡便さも考慮して、(ウォークオフ方向の
辺の長さ):(非ウォークオフ方向の辺の長さ)=2
0:1〜2:1が望ましい。この比は、さらに5:1〜
3:1が望ましい。
【0054】すなわち、ウォークオフによって広がった
ビームの大きさは、結晶の長さにほぼ比例するので、例
えば、結晶長(図1におけるz)が10〜15mm程度
の結晶を用いる場合、その出射側では、ウォークオフ方
向のビームの大きさ(即ち、ビーム幅)は約1mmにな
る。従って、2mm以上の幅(図1におけるy)の結晶
が好適である。なお、結晶の平行移動によりフレッシュ
スポットを用いる事を考える場合は、さらに幅広のもの
が好適となる。
【0055】例えばBBO結晶を用いる場合、その幅
(図1におけるy)が10mmを越えるものを作製する
ためには、比較的大きな結晶を成長させる必要があり、
また、成長した一個のブール(バルク)からとれるデバ
イスの量も限られてしまうので、例えば0.5mm厚の
結晶を使ったと仮定すると、ウォークオフ方向の辺の長
さは20倍(即ち10mm)までが現実的であると思わ
れる。
【0056】また、本発明の波長変換素子においては、
前記非線形光学結晶において、前記レーザ光入射面及び
前記レーザ光出射面以外の面に、前記非線形光学結晶の
温度制御用の素子が設けられていることが望ましい。
【0057】勿論、前記非線形光学結晶の長辺側の面に
のみ前記温度制御素子が設けられていてもよい。また、
前記温度制御素子は、例えば、ペルティエ(Peltier )
素子に接続されている銅等の熱伝導性の高い金属などを
使用できる。また、これは、前記非線形光学結晶に密着
されていなくてもよく、例えば、熱伝導性の良好な樹脂
等を介して設けられていてもよい。また、ペルティエ素
子等の温度制御手段を直接に前記非線形光学結晶に設け
てもよい。更に、前記温度制御素子は、非線形光学結晶
を伝搬するレーザ光の光路の最も近い部分にのみ配され
ていてもよい。
【0058】また、本発明の波長変換素子においては、
前記非線形光学結晶がβ−ホウ酸バリウムであることが
望ましい。
【0059】上述したように、β−ホウ酸バリウム結晶
(BBO結晶)は、Nd:YAGレーザの第2高調波で
ある波長532nmのレーザ光から、第4高調波である
波長266nmのレーザ光の発生のために使用される非
線形光学結晶として有用なものである。すなわち、非線
形光学結晶によるレーザ光の吸収、発熱は、特に短波長
のレーザ光、更には紫外領域波長のレーザ光によって生
じるものであるから、前記非線形光学結晶がβ−ホウ酸
バリウム結晶であって、紫外光領域内にあるレーザ光を
発生せしめる場合、本発明の特徴的構成による効果が大
きい。
【0060】本発明によれば、前記レーザ光出射面にお
いて、出射するレーザ光のウォークオフ方向の径に対し
て、前記ウォークオフ方向での前記非線形光学結晶の長
さ(又は幅:即ち、図1のx方向)が3倍以上であるこ
とが望ましい。
【0061】前記ウォークオフ方向に関して、前記レー
ザ光の径に対して前記長さを3倍以上にすることによっ
て、長時間の使用によって結晶が劣化した場合、非線形
光学結晶を前記ウォークオフ方向に移動(平行移動)さ
せることによって、結晶性の劣化していない部分(フレ
ッシュスポット)でレーザ光を伝搬させることができ、
非線形光学結晶を交換することなく波長変換素子の長寿
命化(すなわち、単純計算で、一般的な波長変換素子の
3倍以上の寿命)を図ることができる。なお、前記長さ
の上限は特に限定されるものではないが、10mm長
(z方向)と長い非線形光学結晶を使用すると出射側で
は、約1mm幅(直径)のレーザ光が生じるので、前記
長さの上限はレーザ光の径の10倍とするのがよい。
【0062】次に、本発明を好ましい実施の形態例につ
いて説明する。
【0063】図1は、例えば、波長1064nmのレー
ザ光を発振するNd:YAGレーザの第2高調波(波長
532nm)から第4高調波(波長266nm)を生じ
せしめる際に使用可能な非線形光学結晶である。なお、
図1においては、ウォークオフ方向は図中x軸方向であ
り、非ウォークオフ方向は図中y軸方向である。
【0064】図1(A)に示す非線形光学結晶11は、
横長x、縦長yを有するレーザ光入射面2及びレーザ光
出射面3を有し、光軸方向の長さzを有する平行6面体
の非線形光学結晶である。なお、図示省略するが、入射
面2及び出射面3以外の面には、全て温度制御素子が配
されている。
【0065】ここで、例えば波長532nmのレーザ光
4は、レーザ光入射面2から非線形光学結晶1に入射
し、非線形光学結晶1中、非線形光学効果を受けてウォ
ークオフを発生しながら伝搬し、レーザ光出射面3から
波長266nmのレーザ光に波長変換される。
【0066】すなわち、入射するレーザ光4は、非線形
光学結晶1中で非線形光学効果を受けて、光軸方向の長
さzを伝搬する間に徐々に偏平なレーザ光となりながら
波長変換されて、レーザ光出射面3に達し、図1(A)
に示す如く、入射するレーザ光4がその光軸に垂直な断
面でほぼ円形をなすレーザ光4’であれば、レーザ光出
射面3では、ウォークオフ方向(即ち、図中x軸方向)
に偏平なレーザ光5’となる。
【0067】従って、図2に示すように、前記ウォーク
オフ方向での径Aを有する入射レーザ光4が非線形光学
結晶1に入射すると(もちろん、レーザ光4はこの時点
ではウォークオフされていないが)、ウォークオフ角θ
を有するレーザ光は、この非線形光学結晶1を進行する
につれてその幅がウォークオフ方向に大きくなり、レー
ザ光出射面3から出射される時点で、レーザ光5のウォ
ークオフ方向での幅は幅Bとなる。
【0068】つまり、図4(A)に示すように、(1)
非ウォークオフ方向の径t及びウォークオフ方向の径A
を有するレーザ光4’が非線形光学結晶1のレーザ光入
射面2に入射すると、非線形光学結晶1をレーザ光が伝
搬するにつれて、(2)その光軸に垂直な面では、レー
ザ光はウォークオフ方向での幅Cを有するようになり、
さらに、(3)その出射面3では、ウォークオフ方向で
の幅Bを有するレーザ光となって、非線形光学結晶1か
ら出射される。
【0069】このように、非線形光学効果に基づき、異
方性を有する非線形光学結晶中を伝搬するレーザ光は、
ウォークオフ方向にはレーザ光の径が図中A→C→Bの
ように徐々に広がっていくが、非ウォークオフ方向に
は、その径tはほぼ一定である。なお、本発明によれ
ば、図4(A)において、非線形光学結晶1の非ウォー
クオフ方向の辺の長さyはレーザ光4’の径tの15倍
以下であって、その関係は、y≦15tが成り立ってい
る。
【0070】例えば、非線形光学結晶がBBO結晶(長
さz=10mm)であり、波長532nmのレーザ光
(円形レーザ光の径φ=200μm程度)を入射する場
合、そのウォークオフ角が約4.8°であり、従って、
前記径Aが約0.2mm(200μm)であるのに対し
て、前記幅Bは約1mmとなり、前記ウォークオフ方向
でのレーザ光は約5倍に広がる。
【0071】従って、図1(B)に示すように、非線形
光学結晶1によるウォークオフ方向に偏平なレーザ光
5’の吸収によって熱が発生するが、この熱も同様の形
状(熱源5’)となり、図中矢印7に示す方向に発散す
る。
【0072】この際、非線形光学結晶1の側面には、温
度制御素子6が設けられているので、この温度制御素子
6によって、前記熱が制御され、熱による非線形光学結
晶1の不安定性、つまり、非線形光学結晶の(局部的
な)温度上昇を取り除くようになされている。
【0073】このように、本実施の形態によれば、その
非ウォークオフ方向において、熱源と温度制御素子との
距離が比較的近く、非線形光学結晶1の局部的な温度上
昇を抑制することによって、位相整合条件が変動しにく
く、熱的安定性に優れ、安定かつ信頼性の高い波長変換
素子を構成することができる。また、その熱の緩和時間
を短くすることができるので、前述した周期的な挙動の
周期を短くすることができ、波長変換素子の安定性を向
上できる。
【0074】これに対して、図5に示した非線形光学結
晶の場合、特に、非線形光学結晶としてBBO結晶を用
いる場合、このBBO結晶のサイズは、通常、光軸方向
の長さz’は10mm〜15mm程度であり、光軸と垂
直な方向(x’及びy’、但し、x’=y’)は、ハン
ドリング性などの点から約3mm〜5mm程度であるこ
とが一般的である。
【0075】つまり、図5に示した非線形光学結晶にお
ける入射面12及び出射面13のサイズは、入射するレ
ーザ光(前述したNd;YAGレーザにおける第4高調
波発生時では、直径約150μm〜250μm程度のほ
ぼ円形のレーザ光)の径に対して15倍〜30倍程度の
大きさとなっている。
【0076】従って、高調波成分を有するレーザ光、特
に紫外光領域のレーザ光の吸収によって発生する熱は、
ヒートシンクの役割を果たすマウント、即ち、温度制御
素子14に伝導されるまで、結晶中を、その熱源の大き
さの数倍以上の距離を伝導されなければならず、時間的
な遅れ、即ち、熱緩和時間の長時間化をもたらしてい
る。
【0077】つまり、例えばペルティエ素子によって温
度制御さる結晶マウントとして用いられる金属の熱伝導
率が、例えば銅の場合、400W/m・K程度であるの
に対して、BBO結晶では1〜1.5W/m・K程度と
数百分の1程度であることを考えると、非線形光学結晶
1をその非ウォークオフ方向に小さく加工することの効
果は、発生した熱が緩和されるまでの時間に短縮に役立
つことは明らかである。
【0078】この熱緩和時間の短縮は、光軸に対して結
晶の角度を細かく調整して位相整合条件を満たし、高調
波出力を大きくする際の微調整時にも役立つ。すなわ
ち、非線形光学結晶からなる波長変換素子を用いたレー
ザ光源(または波長変換装置)の製造時間の短縮につな
がる。
【0079】これは、結晶の角度を変化させるなどして
高調波出力が変動した場合に、熱的な条件の変化により
高調波出力が一定値に収束するまでの時間が短縮される
ためである。
【0080】また、高調波出力の低下を伴う非線形光学
結晶の劣化(長期劣化)を観察した際、例えば、非線形
光学結晶の光軸と垂直な断面の面積を従来の20分の1
に変更したとき、前記劣化の割合が約8分の1に低下
(改善)した。すなわち、非線形光学結晶のサイズを特
に前記非ウォークオフ方向に小さく加工することによっ
て、前述の長期劣化も抑制することができるものと考え
られる。
【0081】ここで、非線形光学結晶のサイズを、特に
前記非ウォークオフ方向に小さくすることについて説明
する。
【0082】一般に用いられている非線形光学結晶に対
して言えることであるが、殊に、BBO結晶中では非線
形光学効果によるウォークオフ角が存在し、発生する高
調波は、ウォークオフ方向とはほぼ垂直方向(即ち、非
ウォークオフ方向)には入力時と同じビームパラメータ
を持ち、ウォークオフ方向にはウォークオフが発生しな
がら離れていき、この結果、得られるレーザ光は偏平な
レーザ光となる。そして、非線形光学結晶の光学軸はこ
の面内に存在し、従って、位相整合角もこの面内で規定
される。
【0083】また、BBO結晶において、波長266n
mのレーザ光を発生せしめる場合、そのウォークオフ角
は4.8°であり、従って、例えば長さ10mmの結晶
により発生されるレーザ光は、幅約1mmの偏平な出力
パターンをもつ。従って、非線形光学結晶は、ウォーク
オフ方向にはある程度以上は小さくすることはできな
い。
【0084】そこで、非ウォークオフ方向に小さくし
て、ウォークオフ方向には高調波レーザ光のウォークオ
フ幅よりも大きくすることで、非線形光学結晶の温度制
御を容易にし、即ち、熱的不安定性を抑制すると同時に
前述した長期劣化も抑制し、さらに、前述した周期的な
挙動の周期を短くすることによって、安定かつ光出力の
レーザ光を発生せしめることが可能な波長変換素子が可
能となる。
【0085】さらに、図1におけるx軸方向、即ち、ウ
ォークオフ方向に非線形光学結晶を大きくすることで、
結晶が劣化した際に、結晶の平行移動で、劣化していな
い部分にレーザ光が当たるようにすることで、結晶を交
換することなく、波長変換素子の長寿命化を図ることが
できる。
【0086】例えば、図4(B)に示すように、例えば
長時間の使用によって結晶が部分的(特に、ウォークオ
フ方向の幅B2 を有するレーザ光の光路5’)に劣化す
れば、結晶性の劣化した部分を避けて、非線形光学結晶
1をウォークオフ方向に移動(例えば平行移動)させる
ことによって、結晶性の劣化していない部分(フレッシ
ュスポット)9でレーザ光を伝搬、つまり波長変換させ
ることができ、非線形光学結晶を交換することなく波長
変換素子の長寿命化を図ることができる。
【0087】以上、本発明を好ましい実施の形態につい
て説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定さ
れるものではない。
【0088】すなわち、本発明の波長変換素子に関し
て、その形状、即ち、非線形光学結晶の形状は、上述し
たように、前記非ウォークオフ方向に関して、前記レー
ザ光の径に対し前記非線形光学結晶の少なくとも一部分
での厚みが15倍以下であればよく、例えば、前記レー
ザ光入射面及び前記レーザ光出射面は互いに平行でなく
てもよい。また、その形状は平行6面体に限定されるも
のではなく、本発明の特徴的構成を満たすものであれ
ば、例えば、先細偏平形、円筒形、円錐台形等の任意の
形状であってもよい。また、本発明は、入射光が結晶内
で反射して内部共振後に出射される波長変換素子にも適
用してよく、この場合は、前記レーザ光出射面と前記レ
ーザ光入射面とは同一面であってもよい。
【0089】また、非線形光学結晶において、レーザ光
の光軸と平行方向の面には、温度制御素子を設けること
が望ましいが、全ての面(つまり、前記光軸の全周囲)
に設ける必要はなく、一部であっても構わない。特に、
本発明の波長変換素子によれば、非ウォークオフ方向に
のみ温度制御素子を設けても構わない。
【0090】さらに、前記非線形光学結晶に入射するレ
ーザ光の形状も、レーザ光の光軸に対して垂直な面で円
形でなくてもよく、楕円形や偏平形のレーザ光であって
もよい。
【0091】また、前記非線形光学結晶は、特定方向に
のみレーザ光が伝搬するように構成してもよいし、この
結晶中を前記レーザ光が往復するように構成されていて
もよい。また、前記結晶中をレーザ光が複数の光軸を以
て伝搬するような波長変換素子であってもよい。
【0092】また、本発明の波長変換素子は、例えば、
半導体露光装置用(ステッパ)の波長変換装置をはじ
め、例えば、光ディスク装置、レーザプリンタなどの光
エレクトロニクス分野におけるレーザ光波長変換装置に
用いることもできる。
【0093】また、前記非線形光学結晶としては、BB
O(β−BaB2 4 )の他に、前記した如きウォーク
オフを生じる他の非線形光学結晶を使用することもで
き、また、それぞれの結晶に適した形状に作製しうる。
【0094】
【発明の作用効果】本発明の波長変換素子によれば、レ
ーザ光入射面とレーザ光出射面とを有する非線形光学結
晶からなり、前記非線形光学結晶中をレーザ光が、この
光軸に対しほぼ垂直な面内でウォークオフを発生しなが
ら伝搬する波長変換素子であって、前記レーザ光の非ウ
ォークオフ方向において、前記レーザ光の径に対する前
記非線形光学結晶の厚みを15倍以下としているので、
前記非線形光学結晶中を伝搬するレーザ光によって発生
する熱を容易に制御することができ、従って、非線形光
学結晶の局部的な温度上昇を抑えることによって、位相
整合条件が変動しにくく、熱的安定性に優れ、安定かつ
信頼性の高い波長変換素子を構成することができる。
【0095】また、本発明の使用方法によれば、本発明
の波長変換素子を使用するに際し、前記非線形光学結晶
を前記ウォークオフ方向に移動させて前記レーザ光の入
射位置(即ち、前記結晶におけるのレーザ光の伝搬経
路)を適宜変更するので、例えば、長時間の使用によっ
て結晶が劣化するような場合でも、非線形光学結晶を移
動(例えば平行移動)させることによって、結晶性の劣
化していない部分でレーザ光を伝搬させることができ、
非線形光学結晶を交換することなく波長変換素子の長寿
命化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の波長変換素子の要部概略斜視図
(A)、同波長変換素子のレーザ光出射側の正面図
(B)である。
【図2】同波長変換素子の概略平面図である。
【図3】ウォークオフ発生の原理を説明する概念図であ
る。
【図4】本発明に基づく非線形光学結晶のレーザ光入射
面からレーザ光出射面へのレーザ光のウォークオフの発
生を示す模式図(A)、本発明の使用方法に基づき非線
形光学結晶を移動する場合のレーザ光出射面の模式図
(B)である。
【図5】一般的な波長変換素子の要部概略斜視図
(A)、同波長変換素子のレーザ光出射側の正面図
(B)である。
【図6】一般的な波長変換装置の模式図である。
【符号の説明】
1、11、20、21、22…非線形光学結晶、2、1
2…レーザ光入射面、3、13…レーザ光出射面、4、
4’…入射レーザ光、5、5’、9…出射レーザ光、
6、14…温度制御素子、7、15…熱の流れ、8…伝
搬するレーザ光、24、27…分離ミラー、25、26
…反射ミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福井 達雄 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザ光入射面とレーザ光出射面とを有
    する非線形光学結晶からなり、前記非線形光学結晶中を
    レーザ光が、この光軸に対しほぼ垂直な面内でウォーク
    オフを発生しながら伝搬する波長変換素子であって、前
    記レーザ光の非ウォークオフ方向において、前記レーザ
    光の径に対し、前記非線形光学結晶の厚みが15倍以下
    であることを特徴とする、波長変換素子。
  2. 【請求項2】 前記レーザ光の非ウォークオフ方向にお
    いて、前記レーザ光の直径に対し、前記非線形光学結晶
    の前記厚みが2倍以上である、請求項1に記載した波長
    変換素子。
  3. 【請求項3】 前記非線形光学結晶が平行6面体であっ
    て、この平行6面体における前記光軸と垂直な断面が、
    前記レーザ光の前記ウォークオフ方向に長辺を有し、非
    ウォークオフ方向に短辺を有する四角形をなしており、
    前記レーザ光の非ウォークオフ方向の径に対して前記短
    辺が15倍以下である、請求項1に記載した波長変換素
    子。
  4. 【請求項4】 前記非線形光学結晶において、前記レー
    ザ光入射面及び前記レーザ光出射面以外の面に、前記非
    線形光学結晶の温度制御用の素子が設けられている、請
    求項1に記載した波長変換素子。
  5. 【請求項5】 前記非線形光学結晶がβ−ホウ酸バリウ
    ムである、請求項1に記載した波長変換素子。
  6. 【請求項6】 前記レーザ光出射面において、出射する
    レーザ光のウォークオフ方向の径に対して、前記ウォー
    クオフ方向での前記非線形光学結晶の長さが3倍以上で
    ある、請求項3に記載した波長変換素子。
  7. 【請求項7】 レーザ光入射面とレーザ光出射面とを有
    する非線形光学結晶からなり、前記非線形光学結晶中を
    レーザ光が、この光軸に対しほぼ垂直な面内でウォーク
    オフを発生しながら伝搬する波長変換素子であって、前
    記レーザ光の非ウォークオフ方向において、前記レーザ
    光の径に対し、前記非線形光学結晶の厚みが15倍以下
    であることを特徴とする波長変換素子を使用するに際
    し、前記非線形光学結晶を前記ウォークオフ方向に移動
    させて前記レーザ光の入射位置を変更する、波長変換素
    子の使用方法。
  8. 【請求項8】 前記レーザ光出射面において、出射する
    レーザ光のウォークオフ方向の径に対して、前記ウォー
    クオフ方向での前記非線形光学結晶の長さが3倍以上で
    ある、請求項7に記載した波長変換素子の使用方法。
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