JPH1164176A - 構造部材のモニタリング装置 - Google Patents

構造部材のモニタリング装置

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JPH1164176A
JPH1164176A JP31554197A JP31554197A JPH1164176A JP H1164176 A JPH1164176 A JP H1164176A JP 31554197 A JP31554197 A JP 31554197A JP 31554197 A JP31554197 A JP 31554197A JP H1164176 A JPH1164176 A JP H1164176A
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conductive
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清 石井
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裕 稲田
Satoshi Fujikawa
智 藤川
Koji Osada
耕治 長田
Makoto Kokubu
誠 國分
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れ、しかも低コストであってかつ
簡易な構成で構造部材のモニタリングをすることができ
る構造部材のモニタリング装置を得ること。 【解決手段】 本発明は、インパルス状のパルス信号S
iまたはステップ状のパルス信号Ssを発生するパルス
信号発生器1と、炭素繊維束等からなり、基礎杭4内部
に埋設され、その一端2aにパルス信号Siまたはパル
ス信号Ssが供給される導電性線材2と、導電性線材2
の一端2aより出力される反射信号Sri3または反射
信号Srs3に基づいて、導電性線材2における障害点
2bの位置を特定するとともに、障害点2b近傍の基礎
杭4の損傷状態を判定するオシロスコープ3とを有して
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、構造部材の健全性
の診断に用いられる構造部材のモニタリング装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】橋梁、高架道、トンネル、ビルなどの土
木・建築構造物は、供用期間が長いことから、地震、過
荷重や疲労などによる損傷、腐食や苛酷な環境などによ
る劣化の問題にさらされている。そこで、従来よりかか
る問題を解決すべく、構造部材または構造物の所要箇所
にセンサーを配置して、随時、構造物の健全性のモニタ
リングを行い、長期の耐久性を保証するという方法がと
られている。このモニタリングは、常時または定期的
に、さらには地震や過荷重を受けた直後等に行われる。
【0003】具体的には、上述したモニタリングの技術
は、次のような場所、箇所に適用される。 (a)目視などによる検査、点検を行うことができない
場所や位置にある部材・部位のモニタリング。例として
は、地下部分、仕上材、天井材、カバー(屋上における
防水層やトンネルの覆工など)がある部材、部位、他の
設備、機器配管類により見えない部分、作業の為、立入
できないほど狭い場所、密閉されている場所等が挙げら
れる。
【0004】(b)簡単には人が立ち入ることが出来な
い場所、部位や、立入や作業に危険を伴う場所、位置に
おける部材、部位のモニタリング。一例としては、高所
作業を伴い、かつ安全な作業足場が確保しがたい場所、
水・海水に接している構造物や水中・海中構造物、変電
所設備などのような(超)高電圧の設備機器がある所、
原子力施設や放射性廃棄物の処分場などのような放射性
物質を取り扱う施設、人体に有害な気体(ガス)あるい
は刺激臭(臭い)のある場所、酸欠状態になり易い場
所、交通車輌が多いところ、出来れば避けたい汚物、
光、騒音、粉塵、振動などのある場所、高温度、高湿度
の場所等が挙げられる。
【0005】(c)新しい構造用の材料や新しい構工法
を適用した場合のモニタリング。新しい構造用の材料や
新しい構工法を採用するにあたっては、事前に実験や検
討等による多くの実績をもとに、慎重に行われるもので
あり、多くの場合、長期の耐久性についても問題が生じ
るようなことはない。しかしながら、土木・建築構造物
では供用期間が長いことから、使用条件の変更や環境の
変化なども考慮に入れれば、不測の事故の回避や長期の
耐久性を保証するために、モニタリングを行うことは、
非常に有効となる場合があるからである。また、設計・
運用データの少なさからくる過剰設計が不要となると同
時に、信頼性も飛躍的に向上するなどの利点が期待でき
るからである。
【0006】また、建築構造物では、現在の許容応力度
設計法による設計体系から、限界状態設計法、さらには
基準により構造細部までを規定するのではなく性能自体
を規定することにより、設計者自らがその性能を保証す
るという新しい設計体系への展開も始まろうとしてい
る。このような新しい設計による場合には、性能(機
能)・安全・コスト(経済性)のバランスをとることが
今後の課題とされている。
【0007】次に、上述したモニタリングを実現する手
段たる従来の構造部材のモニタリング装置について説明
する。この種の構造部材のモニタリング装置は、構造部
材に配置されたセンサと、該センサを用いて各種計測を
行う計測機器とから構成されている。上記センサとして
は、光ファイバまたは炭素繊維束等の導電性線材が用い
られている。
【0008】はじめに、センサとして光ファイバを用い
た構造部材のモニタリング装置について説明する。この
構造部材のモニタリング装置は、光ファイバと、該光フ
ァイバへ光パルスを入射するとともに該光ファイバにお
ける障害点により反射された反射パルスに基づいて上記
障害点を特定する計測機器とから構成されている。
【0009】上記光ファイバは、周知のごとく、直径が
数ミクロンから10ミクロンであってかつ屈折率がna
(=1.5)のコアと、該コアに対して同軸をなしかつ
屈折率がnb(<na)のクラッドとが一体に形成されて
なり、可とう性を有している。 従って、上記コアに入
射した光は、コアとクラッドとの屈折率差(0.2%〜
1.0%)によって、コアとクラッドとの境界面で全反
射を繰り返し、極めて低い損失で伝搬する。また、光フ
ァイバは、弾力性を持たせるべくシリコンやウレタン等
により外周面が被覆されていることから、機械的強度が
高く、光ファイバ自体の破断伸びは、1%程度とされて
いる。
【0010】上記構成において、炭素繊維やガラス繊維
などの繊維強化プラスチック(以下、FRPと称する)
やその複合材料のひびわれや亀裂の進展をモニタリング
する場合には、被覆が剥された光ファイバがFRPの中
に予め埋め込まれるか、または被覆が剥された光ファイ
バがFRPの表面に接着剤により接着される。このよう
に、被覆が剥された光ファイバを用いる理由は、被覆の
強度が大きいため、被覆された光ファイバをFRPにそ
のまま埋め込む等した状態でFRPに亀裂等が生じて
も、被覆のみが損傷するのみで光ファイバ自体が損傷し
ないからである。
【0011】ここで、今、FRPに亀裂が生じたとする
と、該亀裂箇所に対応する光ファイバの部分(以下、障
害点と称する)が損傷する。この状態において、光ファ
イバの入射端面に計測機器より光パルスが入射される
と、該光パルスは、光ファイバ内部を伝搬する。そし
て、上記光パルスの一部は、光ファイバの障害点により
微弱な反射光(後方散乱光)として反射されるととも
に、光パルスの残りは、障害点を透過してさらに光ファ
イバ内を伝搬する。
【0012】そして、障害点の有無または障害点におけ
る損傷の程度は、光ファイバの出射端面より出射された
透過光の光強度を計測するか、または障害点により反射
された微弱な反射光を入射端面において計測するかして
判定される。
【0013】また、障害点において光ファイバが完全に
破断されている場合、光ファイバの入射端面より入射さ
れた光パルスは、光ファイバの破断面により反射パルス
として反射(フレネル反射)される。このとき、上記反
射パルスを計測することにより、光ファイバにおける障
害点の位置が特定される。
【0014】一方、障害点における破断の程度によって
は、上記反射パルスが生じない場合がある。しかしなが
ら、この場合においては、障害点における上述した後方
散乱光のレベルを測定することにより、上記障害点の位
置が特定される。
【0015】次に、センサとして炭素繊維束等の導電性
線材を用いた構造部材のモニタリング装置について説明
する。この構造部材のモニタリング装置は、導電性線材
と、該導電性線材の抵抗値を計測する計測機器とから構
成されている。上記導電性線材としては、例えば、導電
性の炭素繊維ガラス繊維強化プラスチックス(CFGF
RP)が用いられている。この炭素繊維ガラス繊維強化
プラスチックスには、極細長の炭素繊維がおおむね千本
単位で束ねられたもの(炭素繊維束)が含まれている。
【0016】上記構成において、コンクリート等の構造
部材に埋め込まれた導電性線材の抵抗値が計測機器によ
り計測されることにより、構造部材の損傷の程度がモニ
タリングされる。すなわち、構造部材(導電性材料)に
引張荷重が作用すると、導電性線材の炭素繊維が引張荷
重による伸びに応じて徐々に破断され、計測機器により
計測される、炭素繊維の抵抗値が徐々に上昇する。そし
て、上記伸びが所定以上になると、炭素繊維のほとんど
が破断し、導電性材料の抵抗値が急激に上昇する。
【0017】そして、さらに構造部材に対する引張荷重
が大きくなると、炭素繊維が完全に破断することによ
り、炭素繊維の抵抗値が極めて大きくなる(空気中であ
ればほぼ無限大)。
【0018】また、構造部材に対する引張荷重が取り除
かれると、構造部材のたわみが徐々に小さくなるととも
に、破断されていない炭素繊維のみが元の形状に戻る。
この状態において、導電性線材の抵抗値(以下、残留抵
抗値と称する)は、構造部材に対して引張荷重がかかる
前の抵抗値(以下、初期抵抗値と称する)に比べて大き
い値とされている。これは、導電性材料において破断し
た炭素繊維の分だけ抵抗値が大きいためである。
【0019】そして、実際のモニタリングにおいては、
引張荷重および構造部材の伸びと、残留抵抗値との対応
関係を実験等により変換テーブルとして調べておき、実
測値たる残留抵抗値と変換テーブルとから、実際の引張
荷重および構造部材の伸びを推測することができる。こ
の推測結果に基づいて、構造部材の損傷の程度がモニタ
リングされる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の光フ
ァイバを用いた構造部材のモニタリング装置において
は、以下に列挙する問題点、欠点があった。 (1) 被覆が剥された光ファイバを構造部材たるコン
クリート躯体に埋め込んだ場合、光ファイバが石英ガラ
スからなるという材料の性質上、コンクリートに含まれ
ているアルカリ成分により、光ファイバの伝送特性が悪
化する。従って、この場合には、長期間に亙ってモニタ
リングを行うことができないという問題があった。
【0021】(2) 被覆された光ファイバを構造部材
に適用した場合、光ファイバの強度が高くなるため、光
ファイバの損傷箇所と構造部材の損傷箇所との不一致が
生じたり、また、被覆と構造部材との間に剥がれが発生
するといった、測定精度が低いという問題があった。 (3) 被覆した光ファイバを単なる光信号の伝達ケー
ブルとして用いた場合、光ファイバの破断伸びがわずか
1%程度であることから、炭素繊維シート等の高弾性で
あってかつ破断伸びの小さい補強材中に光ファイバを配
置するときを除けば、保護管等により光ファイバを養生
しなければならないという問題があった。
【0022】(4) 光ファイバの口元自体が入射端面
とされていることから、この入射端面から所定点までの
間の部分が、計測不可能ないわゆるデッドゾーンとされ
る。従って、上記デットドーンに障害点が存在する場
合、該障害点を検出することができないという問題があ
った。このデットゾーンの距離は、光の波長や計器機器
の計測精度により異なるが、通常、シングルモード光フ
ァイバで8m、マルチモード光ファイバで3mとされて
いる。しかしながら、デッドゾーンの距離は、特定の測
定方法を用いた場合、10〜20mにもおよぶ。 (5) 引張荷重等による光ファイバの変形が弾性域内
であった場合には、引張荷重が取り除かれた時点で光フ
ァイバが引張荷重がかかる前の状態に戻る。従って、こ
の引張荷重が取り除かれた状態で計測を行っても、引張
荷重が加えられたという過去の状態を知ることができな
いという欠点があった。
【0023】一方、従来の導電性線材(炭素繊維束)を
用いた構造部材のモニタリング装置においては、導電性
線材の抵抗値の変化から、構造部材のどこかに損傷を受
けた位置が存在するということを知ることができるとい
う利点があるが、その測定の性質上、損傷を受けた位置
を特定することができないという欠点があった。なお、
導電性線材を複数に分割して、両端だけではなく、中間
点に複数の端子を設けておき、その間の抵抗値を計測す
ることにより、損傷を受けた部位の範囲を特定すること
も考えられる。しかしながら、この場合においては、複
数の端子と計測機器との間を接続する複数の信号ケーブ
ルが必要とされ、コスト面、施工の困難性等を考慮すれ
ば適用に問題があることもある。本発明はこのような背
景の下になされたもので、耐久性に優れ、しかも低コス
トであってかつ簡易な構成で構造部材のモニタリングを
することができる構造部材のモニタリング装置を提供す
ることを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、構造部材の内部に埋設され、導電性を有しかつ繊維
からなる導線と、前記導線の一端へパルス信号を供給す
るパルス信号供給手段と、前記導線の一端より出力され
る反射信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定
するとともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定
手段とを具備することを特徴とする。また、請求項2に
記載の発明は、前記構造部材の内部に埋設され、導電性
を有する第1の導線と、前記第1の導線に対して所定間
隔をおいて前記構造部材の内部に平行配置され、導電性
を有しかつ繊維からなる第2の導線と、前記第1の導線
の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給手段と、
前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号、
および前記第2の導線の一端より出力される第2の反射
信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定すると
ともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
を具備することを特徴とする。また、請求項3に記載の
発明は、前記構造部材の内部に埋設され、導電性を有し
かつ繊維からなる導線と、前記導線の一端へパルス信号
を供給するパルス信号供給手段と、前記導線の一端より
出力される反射信号、および前記導線の他端より出力さ
れる透過信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特
定するとともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判
定手段とを具備することを特徴とする。また、請求項4
に記載の発明は、構造部材の内部に埋設され、導電性を
有しかつ繊維からなる導線と、前記導線の一端へ高周波
信号を供給する高周波信号供給手段と、前記導線の一端
より出力される反射信号に基づいて、前記構造部材の損
傷位置を特定するとともに、前記構造部材の損傷状態を
判定する判定手段とを具備することを特徴とする。ま
た、請求項5に記載の発明は、前記構造部材の内部に埋
設された導電性を有する第1の導線と、前記第1の導線
に対して所定間隔をおいて前記構造部材の内部に平行配
置され、導電性を有しかつ繊維からなる第2の導線と、
前記第1の導線の一端へ高周波信号を出力する高周波信
号供給手段と、前記第1の導線の一端より出力される第
1の反射信号、および前記第2の導線の一端より出力さ
れる第2の反射信号に基づいて、前記構造部材の損傷位
置を特定するとともに、前記構造部材の損傷状態を判定
する判定手段とを具備することを特徴とする。また、請
求項6に記載の発明は、前記構造部材の内部に埋設さ
れ、導電性を有しかつ繊維からなる導線と、前記導線の
一端へ高周波信号を供給する高周波信号供給手段と、前
記導線の一端より出力される反射信号、および前記導線
の他端より出力される透過信号に基づいて、前記構造部
材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部材の損傷
状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とす
る。また、請求項7に記載の発明は、構造部材の表面に
接着され、導電性を有しかつ繊維からなる導線と、前記
導線の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給手段
と、前記導線の一端より出力される反射信号に基づい
て、前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記
構造部材の損傷状態を判定する判定手段とを具備するこ
とを特徴とする。また、請求項8に記載の発明は、前記
構造部材の表面に接着され、導電性を有する第1の導線
と、前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造
部材の内部に平行配置され、導電性を有しかつ繊維から
なる第2の導線と、前記第1の導線の一端へパルス信号
を供給するパルス信号供給手段と、前記第1の導線の一
端より出力される第1の反射信号、および前記第2の導
線の一端より出力される第2の反射信号に基づいて、前
記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部
材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特
徴とする。また、請求項9に記載の発明は、前記構造部
材の表面に接着され、導電性を有しかつ繊維からなる導
線と、前記導線の一端へパルス信号を供給するパルス信
号供給手段と、前記導線の一端より出力される反射信
号、および前記導線の他端より出力される透過信号に基
づいて、前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、
前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段とを具備す
ることを特徴とする。また、請求項10に記載の発明
は、構造部材の表面に接着され、導電性を有しかつ繊維
からなる導線と、前記導線の一端へ高周波信号を供給す
る高周波信号供給手段と、前記導線の一端より出力され
る反射信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定
するとともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定
手段とを具備することを特徴とする。また、請求項11
に記載の発明は、前記構造部材の内部に接着され、導電
性を有する第1の導線と、前記第1の導線に対して所定
間隔をおいて前記構造部材の内部に平行配置され、導電
性を有しかつ繊維からなる第2の導線と、前記第1の導
線の一端へ高周波信号を出力する高周波信号供給手段
と、前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信
号、および前記第2の導線の一端より出力される第2の
反射信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定す
るとともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手
段とを具備することを特徴とする。また、請求項12に
記載の発明は、前記構造部材の表面に接着され、導電性
を有しかつ繊維からなる導線と、前記導線の一端へ高周
波信号を供給する高周波信号供給手段と、前記導線の一
端より出力される反射信号、および前記導線の他端より
出力される透過信号に基づいて、前記構造部材の損傷位
置を特定するとともに、前記構造部材の損傷状態を判定
する判定手段とを具備することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>以下、図面を参照して本発明の実施形
態について説明する。図1は本発明の第1実施形態によ
る構造部材のモニタリング装置の概略構成を示す図であ
る。以下に説明する第1実施形態による構造部材のモニ
タリング装置の測定原理は、TDR(Time Domain Refl
ectometry)測定方法に基づくものである。
【0026】ここで、上記TDR測定方法とは、インパ
ルス状またはステップ状のパルス信号を導電性の被測定
物に入力した後、上記パルス信号(入射波)と被測定物
により反射された反射信号(反射波)とが重畳された反
射信号の波形に基づいて、被測定物のインピーダンス特
性やインピーダンスの不連続性を距離の関数として測定
する方法をいう。また、上記重畳された反射信号の波形
は、オシロスコープにより観測される。
【0027】図1において、1は、パルス信号発生器で
あり、図2(c)に示すパルス信号Siまたは図2
(d)に示すステップ状のパルス信号Ssを発生する。
このパルス信号発生器1には、図示しないプローブが接
続されており、パルス信号Siまたはパルス信号Ss
は、該プローブを介して出力される。また、上記プロー
ブ先端部からパルス信号発生器1およびオシロスコープ
3側を見たときの特性インピーダンスは、Zo(50Ω
または75Ω)とされている。
【0028】2は、被測定物たる導電性線材であり、こ
の導電性線材2としては、例えば、炭素繊維束等が用い
られている。この導電性線材2の一端2aには、プロー
ブを介してパルス信号Siまたはパルス信号Ssが入力
される。また、導電性線材2については、一端2aにお
いて反射が発生しないように、そのインピーダンスと特
性インピーダンスZoとができるかぎり整合するよう
に、長さおよび径、材料の抵抗率の設計が行われる。3
は、反射信号Sri3(図2(c)参照)または反射信
号Srs3(図2(d)参照)の波形を表示するオシロ
スコープである。
【0029】さらに、導電性線材2の外周面は、プラス
チックス等の被覆材(図示略)で被覆されている。この
被覆材としては、例えば、その破断伸びが、後述するよ
り線や中心導体と同程度かまたは小さいという機械的特
性を有しているものが用いられている。ここで、上記導
電性線材2(より線)として銅線を用いた場合には、引
張荷重による引張(破断)伸びが数パーセント以下のプ
ラスチックスの被覆を用いることが望ましい。これによ
り、コンクリート部材のひび割れや亀裂の進展に伴い、
被覆材であるプラスチックスに同じようにひび割れ、ま
たは亀裂が入り、ひいては、被覆材を含めた周辺のイン
ピーダンスが変化し、この結果、その損傷状況をより感
度良くモニタリングすることができる。
【0030】引張(破断)伸びが数パーセント以下のプ
ラスチックスとしては、例えば、ポリスチレンの標準グ
レード、またはビニルエステル系エポキシ樹脂の標準グ
レードのものが挙げられる。ここで、ポリスチレンの標
準グレードのものの引張(破断)伸びは、2%であり、
一方、ビニルエステル系エポキシ樹脂の標準グレードの
ものの引張(破断)は、3%である。
【0031】また、オシロスコープ3には、各種演算を
行うCPU(中央処理装置)(図示略)が内蔵されてい
る。
【0032】上記構成において、今、図1に示す導電性
線材2の途中部分に引張荷重等による損傷部、すなわち
障害点2bが存在するものとする。すなわち、導電性線
材2においては、障害点2bによりインピーダンスの不
整合が生じている。
【0033】この状態において、図2(b)に示すパル
ス信号発生器1より、パルス信号Si(図2(c)参
照)が図2(a)に示す導電性線材2の一端2aへプロ
ーブを介して出力されると、パルス信号Siは、導電性
線材2を伝搬する。そして、パルス信号Siの一部は、
障害点2bにより反射され、反射信号Sri1として、
一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Siの残
りは、他端2cにより反射され、反射信号Sri2とし
て一端2aへ向けて伝搬する。
【0034】これにより、導電性線材2の一端2aから
は、上述した反射信号Sri1と反射信号Sri2とが
重畳された反射信号Sri3が出力される。そして、こ
の反射信号Sri3は、オシロスコープ3に入力され
る。この結果、オシロスコープ3には、図2(c)に示
す反射信号Sri3の波形が表示される。この図におい
て、部分Aは、反射信号Sri1に対応する部分であ
り、部分Bは、反射信号Sri2に対応する部分であ
る。
【0035】従って、図2(c)において、パルス信号
Siと部分Aとの間の時間を求め、該時間に反射信号S
ri3の伝搬速度(≒光速c)を乗算した結果を「2」
で除算することにより、図2(a)に示す一端2aから
障害点2bまでの距離が求められる。すなわち、導電性
線材2における障害点2bの位置が特定される。
【0036】また、図2(b)に示すパルス信号発生器
1より、ステップ状のパルス信号Ss(図2(d)参
照)が図2(a)に示す導電性線材2の一端2aへプロ
ーブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部は、
障害点2bにより反射され、反射信号Srs1として、
一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Ssの残
りは、他端2cにより反射され、反射信号Srs2とし
て一端2aへ向けて伝搬する。
【0037】これにより、導電性線材2の一端2aから
は、上述した反射信号Srs1と反射信号Srs2とが
重畳された反射信号Srs3が出力される。そして、こ
の反射信号Srs3は、オシロスコープ3に入力され
る。この結果、オシロスコープ3には、図2(d)に示
す反射信号Srs3の波形が表示される。この図におい
て、部分Cは、反射信号Srs1に対応する部分であ
り、部分Dは、反射信号Srs2に対応する部分であ
る。
【0038】従って、図2(d)において、パルス信号
Ssの立ち上がりと部分Cとの間の時間を求め、該時間
に反射信号Srs3の伝搬速度(≒光速c)を乗算した
結果を「2」で除算することにより、図2(a)に示す
一端2aから障害点2bまでの距離が求められる。すな
わち、導電性線材2における障害点2bの位置が特定さ
れる。
【0039】次に、本発明の第1実施形態による構造部
材のモニタリング装置の具体的構成について図3(a)
および(b)を参照して説明する。図3(a)は、第1
実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示
す平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示すA−
A線視断面図である。上記図3(a)および(b)にお
いて、図1、図2(a)および(b)に対応する部分に
は、同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0040】図3(a)に示す4は、地表5に縦方向に
打設された、構造部材たる円柱形状の基礎杭である。こ
の基礎杭4の内部には、図3(b)に示す杭頭4aから
杭先端部4bまでに至って、長手方向に導電性線材2が
埋設されている。また、導電性線材2の外周面は、図示
しない絶縁材料(例えば、プラスチックス)により被覆
されている。ここで、基礎杭4の長手方向の距離はL1
(=50m)である。
【0041】次に、上述した第1実施形態による構造部
材のモニタリング装置の動作について説明する。今、図
3(b)に示す導電性線材2において、一端2a(杭頭
4a)より下方向へ距離L2(=35m)隔てた障害点
2bで断線が発生しているものとする。すなわち、上記
障害点2bにおける断線は、基礎杭4に対して引張荷重
等が加えられた結果、障害点2b近傍の基礎杭4部分に
亀裂、ひび割れ、破損等が生じたことにより発生したも
のである。
【0042】この状態において、図3(b)に示すパル
ス信号発生器1より、パルス信号Si(図4(b)参
照)が導電性線材2の一端2aへプローブを介して出力
されると、パルス信号Siは、他端2c方向へ向けて導
電性線材2を伝搬する。そして、パルス信号Siの一部
は、図4(a)に示す障害点2bにより反射され、反射
信号Sri1(図2(b)参照)として、一端2aへ向
けて伝搬する。一方、パルス信号Siの残りは、他端2
cにより反射され、反射信号Sri2(図2(b)参
照)として一端2aへ向けて伝搬する。
【0043】これにより、導電性線材2の一端2aから
は、反射信号Sri1と反射信号Sri2とが重畳され
た反射信号Sri3(図4(c)参照)が出力される。
なお、図4(c)においては、反射信号Sri2に対応
する部分の図示が省略されている。そして、この反射信
号Sri3は、オシロスコープ3に入力される。この結
果、オシロスコープ3には、図4(c)に示す反射信号
Sri3の波形が表示される。この図において、部分E
は、図4(b)に示す反射信号Sri1に対応する部分
である。
【0044】次に、オシロスコープ3に内蔵されている
CPU(図示略)は、図4(c)に示すパルス信号Si
と部分Eとの間の伝搬遅延時間tdを求める。ここで、
図4(a)に示す一端2aから障害点2bまでの距離L
2は、上記伝搬遅延時間をtd、導電性線材2における
反射信号Sri1の伝搬速度をvp(≒光速c)とする
と次の(1)式で表される。 L2=td・vp/2 ・・・・・・・・・(1)
【0045】次いで、CPUは、上記(1)式に先ほど
求めた伝搬遅延時間td、および既値たる伝搬速度vp
を各々代入して、距離L2を求める。これにより、図3
(b)に示す導電性線材2における障害点2bの位置が
特定され、ひいては基礎杭4に発生している亀裂、ひび
割れ、破損等の箇所が特定される。
【0046】また、図3(b)に示すパルス信号発生器
1より、ステップ状のパルス信号Ss(図4(d)参
照)が図4(a)に示す導電性線材2の一端2aへプロ
ーブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部は、
障害点2bにより反射され、反射信号Srs1として、
一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Ssの残
りは、他端2cにより反射され、反射信号Srs2(図
2(b)参照)として一端2aへ向けて伝搬する。
【0047】これにより、導電性線材2の一端2aから
は、上述した反射信号Srs1と反射信号Srs2とが
重畳された、図4(e)に示す反射信号Srs3が出力
される。なお、図4(e)においては、反射信号Srs
2に対応する部分の図示が省略されている。
【0048】そして、この反射信号Srs3は、オシロ
スコープ3に入力される。この結果、オシロスコープ3
には、図4(e)に示す反射信号Srs3の波形が表示
される。この図において、部分Fは、図4(d)に示す
パルス信号Ssの立ち上がり部分に対応しており、部分
Gは、反射信号Srs1に対応する部分である。
【0049】次いで、CPUは、図4(e)に示す部分
Fの立ち上がりから部分Gの立ち上がりまでの伝搬遅延
時間tdを求めた後、先に示した(1)式に該伝搬遅延
時間td、および既値たる伝搬速度vpを各々代入し
て、距離L2(図4(a)参照)を求める。
【0050】次に、CPUは、図4(e)に示す反射信
号Srs3の波形から得られる電圧ErおよびEiに基
づいて、障害点2bの状態を次の手順で判定する。すな
わち、ここで、障害点2bにおける反射係数ρは、パル
ス信号Ss(入射波)の電圧をEi(図4(e)参
照)、反射信号Srs1(反射波)の電圧をEr(図4
(e)参照)、特性インピーダンスをZo(図3(b)
参照)、障害点2bから他端2c側をみた導電性線材2
のインピーダンスをZ1、障害点2bが存在しない場合
において一端2aから他端2c側をみた導電性線材2の
インピーダンスをZ0とすると、次の(2)式で表され
る。 ρ=Er/Ei=(Z1−Z0)/(Z1+Z0)・・・・(2)
【0051】まず、CPUは、図4(e)に示す反射信
号Srs3における部分Fの立ち上がりの電圧Ei、お
よび部分Gの立ち上がりの電圧Erを各々求める。次い
で、CPUは、上記電圧Eiおよび電圧Erを(2)式
に代入して、反射係数ρを求める。ここで、電圧Ei=
電圧Erなる関係があるものとすると、反射係数ρは、
1である。従って、(2)式においては、(Z1−Z
0)/(Z1+Z0)=1なる関係が成立することか
ら、CPUは、インピーダンスZ1が無限大、すなわ
ち、図3(b)に示す障害点2bが完全に断線している
ものと判定する。
【0052】一方、障害点2bが他の導体と短絡してい
る場合や接地されている場合には、図4(e)に示す電
圧Erは、マイナス符号であってかつ電圧Eiと同レベ
ルとなる。従って、このような場合には、(2)式に示
す反射係数ρは、−1とされ、CPUは、障害点2bが
完全に短絡しているものと判定する。
【0053】さらに、図3(b)に示す基礎杭4の障害
点2b近傍の部分にひび割れ、亀裂等が発生して、障害
点2bにおいて断線が発生した直後においては、反射係
数ρは、上述したように1をとる。すなわち、障害点2
bは、空気中に存在しているのである。
【0054】そして、基礎杭4のひび割れ、亀裂部分に
地下水が侵入して、障害点2bが地下水で満たされる
と、反射係数ρは、障害点2bのインピーダンスの変化
に伴って1から−1へと徐々に変化する。この反射係数
ρの変化により、CPUは、障害点2bが空気中にある
か、または地下水中にあるかを判定する。言い換えれ
ば、基礎杭4の施工後、反射係数ρの変化をモニタリン
グすることにより、基礎杭4のひび割れ部分、亀裂部分
がどのような状態にあるのかを知ることができるのであ
る。
【0055】また、上記反射係数ρの変化により、基礎
杭4の損傷箇所の状態を判定する場合には、実験等によ
り反射係数ρの変化と基礎杭4の損傷箇所の状態との関
係を表すデータを図示しないメモリに記憶しておけばよ
い。この場合、CPUは、実際に得られる反射係数ρを
メモリに記憶されているデータに適用することにより、
基礎杭4の損傷箇所の状態を判定する。
【0056】以上図面を参照して本発明の第1実施形態
による構造部材のモニタリング装置について詳述してき
たが、具体的な構成は、この第1実施形態に限定される
ものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更
等があっても本発明に含まれる。
【0057】例えば、上述した第1実施形態による構造
部材のモニタリング装置においては、図3(b)に示す
導電性線材2の形状等について特に限定をしなかった
が、導電性線材2としては、次に列挙するものを用いて
もよい。 (a) 炭素の長繊維を束ねた炭素繊維束を中心導体と
して、その外周面を絶縁性の高いプラスチックス(誘電
体材料)で被覆したもの。 (b) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)に
より被覆されたより線を中心導体とした単線状のもの。
または、絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)に
より被覆された単線であって、導電性を有しかつ径が
0.3mm以下の金属細線の単線。さらに、絶縁性の高
いプラスチックス(誘電体材料)により、幅小であって
長手方向に延伸された帯状の金属箔が被覆されてなる導
電性の箔材。 (c) (a)項または(b)項で述べた各単線を2本
以上より合わせたもの(図5(a)参照)。このような
導電性線材2を用いることにより、線間容量の影響を低
減することができる。
【0058】(d) (a)項または(b)項で述べた
各単線または箔材を中央部から各々折り曲げて、2つの
端子を片側に集めたもの(図5(b)参照)。ただし、
この場合、一方の部分と他方の部分とは所定距離をおい
て絶縁されるように近接配置されているものとする。 (e) (a)項または(b)項で述べた各単線を中央
部から各々折り曲げた後、一方の単線部と他方の単線部
とをより合わせたもの(図5(c)参照)。 (f) 図5(a)に示すより線状のものを複数、平行
配置した後、これらを絶縁性の高いプラスチックス(誘
電体材料)により被覆した平行ケーブル状のもの。 (g) 単数(または複数)の中心導体の外周面が誘電
体材料で被覆されており、かつ該誘電体材料の外周面が
外部導体でシールドされている同軸ケーブル状のもの
(同軸シールド線または多軸シールド線を含む)。この
ような、導電性線材2を用いることにより、外部からの
電磁場の影響が低減される。
【0059】また、上述した第1実施形態による構造部
材のモニタリング装置においては、図3(b)に示す導
電性線材2の材料として、上述した(b)〜(g)にお
いて次に列挙するものを用いてもよい。 (イ) 銅などの導電性の金属 (ロ) 径が7ミクロン程度の細い繊維・炭素繊維をお
おむね数千本単位で束ねた炭素繊維束。これを用いた場
合には、径が極小であるため、特に高周波電流による表
皮効果の影響が低減される。なお、上記炭素繊維の引張
(破断)伸びは、0.4〜2.2%程度とされている。 (ハ) 炭素繊維(CF)等の補強材とエポキシ樹脂と
からなる強化プラスチックス(RP)のうち、引抜き成
形方法によりロッド状に加工されたもの(CFRP)。 (ニ) カーボン繊維(CF)とガラス繊維(GF)と
がそれぞれ束ねられてなる繊維束等の補強材と、エポキ
シ、ビニルエステル等の樹脂とからなる強化プラスチッ
クス(RP)の成形体(CFGFRP)。この成形体
(CFGFRP)としては、棒状、矩形状、シート状、
ネット状等の形状のものが用いられる。なお、成形体
(CFGFRP)においては、ガラス繊維をセラミック
ス繊維やアラミド繊維に、さらにはセルロース樹脂に置
き換えてもよい。 (ホ) 導電性粉末をプラスチックス材料中に分散させ
た後、硬化させることにより得られる導電性の高いプラ
スチックス成形体。ここで、上記導電性粉末としては、
例えば、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粉末、炭化チ
タンや窒化チタン等のセラミックス粉末が用いられる。 (ヘ) 導電性粉末をモルタル材料中に分散させた後、
硬化させることにより得られる導電性のモルタル成形
体。ここで、上記導電性粉末としては、上述した(ホ)
項で述べた炭素粉末、セラミックス粉末等が用いられ
る。
【0060】以上説明したように、上述した第1実施形
態による構造部材のモニタリング装置において(イ)項
〜(ヘ)項で説明した種々の材料からなる様々な特性を
有する導電性線材2を用いた場合には、引っ張り側にお
ける基礎杭4(導電性線材2)の破断のみならず、曲げ
や圧縮側における基礎杭4の損傷状態をも判定すること
ができる。従って、(イ)項〜(ヘ)項で説明した導電
性線材2を用いた場合には、目的に合わせて導電性線材
2の種類を適宜選択することにより、基礎杭4の損傷状
態をきめ細かくモニタリングすることができる。
【0061】加えて、上述した第1実施形態による構造
部材のモニタリング装置においては、導電性線材2とし
て、例えば、1000本の炭素繊維束と、3000本の
炭素繊維束と、6000本の炭素繊維束とを直列に配置
した後、これらを束ねて1本としたものを用いてもよ
い。すなわち、このような導電性線材2は、部分によっ
て機械的強度が異なるという特性を有している。
【0062】<第2実施形態>次に、本発明の第2実施
形態による構造部材のモニタリング装置の構成について
図6を参照して説明する。この図において、図3(b)
の各部に対応する部分には、同一の符号を付ける。図6
においては、図3(a)に示すオシロスコープ3および
導電性線材2に代えてオシロスコープ20および導電性
線材21、22が設けられている。
【0063】オシロスコープ20は、2つの波形を同時
に表示する、いわゆる2現象式のものであり、第1現象
の信号を入力するための入力端子20aおよび第2現象
の信号を入力するための入力端子20bを各々有してい
る。また、このオシロスコープ20には、図示しないC
PUが内蔵されており、このCPUは、図1に示すオシ
ロスコープ3に内蔵されているCPUと同様にして、各
種演算を行う。
【0064】導電性線材21は、導電性線材2(図3
(a)参照)と同一構成とされており、基礎杭4の杭頭
4aから杭先端部4bに至って基礎杭4の内部に埋め込
まれている。この導電性線材21の一端21aは、プロ
ーブを介して信号発生器1およびオシロスコープ20の
入力端子20aに接続されている。
【0065】導電性線材22は、導電性線材21に対し
て一定間隔をおいて平行配置されており、基礎杭4の杭
頭4aから杭先端部4bに至って基礎杭4の内部に埋め
込まれている。導電性線材22の一端22aは、オシロ
スコープ20の入力端子20bに接続されている。
【0066】上記構成において、今、導電性線材21と
導電性線材22とが短絡しておらず、かつ導電性線材2
1において基礎杭4の損傷等による障害点21bが存在
しているものとする。この状態において、信号発生器1
より、パルス信号Siまたはパルス信号Ssが出力され
ると、第1実施形態において説明した動作と同様にし
て、オシロスコープ20の入力端子20aには、反射信
号Sri3または反射信号Srs3が入力される。この
とき、オシロスコープ20の入力端子20bには、いず
れの信号も入力されない。
【0067】これにより、オシロスコープ20のCPU
は、前述した動作と同様にして、障害点21bの位置を
特定するとともに、(2)式を用いて反射係数ρを求め
た後、障害点21bの状態、すなわち基礎杭4の損傷状
態を判定する。
【0068】一方、今、基礎杭4に多大なる損傷が発生
したか、または基礎杭4にひび割れ等が発生して、同図
に示す障害点Hにおいて導電性線材21と導電性線材2
2とが短絡しているものとする。ここで、上記短絡と
は、物理的な接触はもとより、インピーダンスの不整合
が生じていることをいう。従って、導電性線材21と導
電性線材22とが物理的に接触していない場合であって
も、インピーダンスの不整合が発生しているときには、
電磁誘導作用により、導電性線材21と導電性線材22
とが電気的に結合される。以下、短絡の定義について
は、同様とする。この状態において、信号発生器1より
パルス信号Siが出力されると、パルス信号Siは、導
電性線材21の一端21aから他端21cへ向けて伝搬
する。そして、パルス信号Siの一部は、障害点Hによ
り反射され、反射信号Sri1(図2(b)参照)とし
て、一端21aへ向けて伝搬するとともに、導電性線材
22の一端22aへ向けて伝搬する。
【0069】これにより、導電性線材22の一端21a
からは、反射信号Sri3がオシロスコープ20の入力
端子20aへ出力されるとともに、導電性線材22の一
端22aからは、反射信号Sri3’が、オシロスコー
プ20の入力端子20bへ出力される。
【0070】この結果、オシロスコープ20には、反射
信号Sri3および反射信号Sri3’の各波形が表示
される。また、オシロスコープ20のCPUは、上述し
た動作と同様にして、障害点Hの位置を特定するととも
に、反射信号Sri3’が入力されていることから、障
害点Hにおいて短絡(インピーダンスの不整合)が発生
しているものと判定する。
【0071】一方、パルス信号発生器1より、ステップ
状のパルス信号Ss(図4(d)参照)が導電性線材2
1の一端21aへプローブを介して出力されると、パル
ス信号Ssの一部は、障害点Hにより反射される。これ
により、入力端子20aおよび入力端子20bには、反
射信号Srs3および反射信号Srs3’が各々入力さ
れ、オシロスコープ20には、上記反射信号Srs3お
よび反射信号Srs3’の各波形が表示される。
【0072】次いで、CPUは、反射信号Srs3より
得られる電圧Eiおよび電圧Er(図4(e)参照)お
よび(2)式に基づいて、前述した手順により反射係数
ρを求めるとともに、障害点Hの位置を特定する。ここ
で、今の場合、障害点Hにおいて短絡(インピーダンス
の不整合)が発生しているため、上記電圧Erの符号
は、マイナスである。従って、反射係数ρは、−1であ
る。
【0073】なお、上述した第2実施形態による構造部
材のモニタリング装置においては、平行配置された導電
性線材21および導電性線材22を用いた例について説
明したが、これら導電性線材21、22に代えて、前述
した(g)項において説明した同軸状のものを用いても
よい。すなわち、この場合には、中心導体を導電性線材
21(または導電性線材22)と見なすとともに、外部
導体を導電性線材22(または導電性線材21)と見な
すことができる。
【0074】なお、上述した第2実施形態による構造部
材のモニタリング装置においては、図6に示す導電性線
材21および導電性線材22という、いわゆる平行ケー
ブル状のものを用いた例について説明した。しかしなが
ら、上記導電性線材21および導電性線材22は、共に
引張(破断)伸びが等しいものを用いてもよいが、引張
(破断)伸びが異なるものを用いてもよい。
【0075】すなわち、この場合には、導電性線材21
として、引張(破断)伸びが例えば0.5%のものを用
いる一方、導電性線材22として引張(破断)伸びが例
えば1.2%のものを用いればよい。従って、これら導
電性線材21および導電性線材22を用いた場合におい
ては、引張(破断)伸びが小さい導電性線材21が導電
性線材22より先に損傷を受けるため、基礎杭4が受け
た損傷の程度を細かく判定することができる。
【0076】また、一般に導電性線材21等の引張(破
断)伸びは、原料(ポリアクリルニトリル(PAN系)
およびピッチ系)、製造工程により調整することがで
き、例えば、0.4%〜2.2%の範囲とされている。
従って、引張(破断)伸びが異なるものを用いる場合に
は、想定される基礎杭4の損傷状況、損傷の判定精度に
応じて、導電性線材21および導電性線材22の各引張
(破断)伸びを上記範囲内において選定すればよい。
【0077】さらに、上述した異なる引張(破断)伸び
の特性を有する材質のものを用いる方法は、前述した
(g)項で説明した同軸ケーブル状のものにも適用可能
である。この場合には、中心導体と外部導体との各引張
(破断)伸びが異なるようにすればよい。
【0078】加えて、上述した第2実施形態による構造
部材のモニタリング装置においては、導電性線材21お
よび導電性線材22として次のものを用いてもよい。ま
ず、導電性線材21(または導電性線材22)として
は、次に列挙する(21a)項〜(21c)項のうちい
ずれかのものを用いてもよい。 (21a) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材
料)により被覆されたより線(例えば、銅のより線)を
中心導体とした単線状のもの。 (21b) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材
料)により被覆された単線であって、導電性を有しかつ
径が0.3mm以下の金属細線の単線。 (21c) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材
料)により、幅小であって長手方向に延伸された帯状の
金属箔(例えば、銅箔)が被覆されてなる導電性の箔
材。
【0079】次に、導電性線材22(または導電性線材
21)としては、次に列挙する(22a)項〜(22
e)項のうちいずれかのものを用いてもよい。 (22a) 炭素の長繊維が束ねられてなる炭素繊維束
を中心導体として絶縁性の高いプラスチックス(誘電体
材料)で被覆したもの。 (22b) 炭素繊維(CF)等の補強材とエポキシ樹
脂とからなる強化プラスチックス(RP)のうち、引抜
き成形方法によりロッド状に加工されたもの(CFR
P)。 (22c) カーボン繊維(CF)とガラス繊維(G
F)とがそれぞれ束ねられてなる繊維束等の補強材と、
エポキシ、ビニルエステル等の樹脂とからなる強化プラ
スチックス(RP)の成形体(CFGFRP)。この成
形体(CFGFRP)としては、棒状、矩形状、シート
状、ネット状等の形状のものが用いられる。なお、成形
体(CFGFRP)においては、ガラス繊維をセラミッ
クス繊維やアラミド繊維に、さらにはセルロース樹脂に
置き換えてもよい。 (22d) 導電性粉末をプラスチックス材料中に分散
させた後、硬化させることにより得られる導電性の高い
プラスチックス成形体。ここで、上記導電性粉末として
は、例えば、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粉末、炭
化チタンや窒化チタン等のセラミックス粉末が用いられ
る。 (22e) 導電性粉末をモルタル材料中に分散させた
後、硬化させることにより得られる導電性のモルタル成
形体。ここで、上記導電性粉末としては、上述した(2
2d)項で述べた炭素粉末、セラミックス粉末等が用い
られる。
【0080】以上説明したように、上述した第2実施形
態による構造部材のモニタリング装置において(21
a)項〜(21c)項で説明した導電性線材21と、
(22a)項〜(22e)項で説明した導電性線材21
を用いた場合には、導電性線材21の価格が導電性線材
22に比して安いため、一般にはコストを下げることが
できる。
【0081】<第3実施形態>次に、本発明の第3実施
形態による構造部材のモニタリング装置の構成について
図7を参照して説明する。この図において図6の各部に
対応する部分には、同一の符号を付けその説明を省略す
る。図7においては、図6に示す導電性線材21および
導電性線材22に代えて、導電性線材23が設けられて
いる。
【0082】上記導電性線材23は、上述した図5
(b)に示すようにその中央部が折曲げられており、基
本的な構成が導電性線材2(図3(b)参照)と同一と
されている。また、導電性線材23の一端23aは、プ
ローブを介して信号発生器1およびオシロスコープ20
の入力端子20aに接続されており、他端23cは、オ
シロスコープ20の入力端子20bに接続されている。
【0083】上記構成において、今、基礎杭4(導電性
線材23)に損傷等が発生していないものとする。この
状態において、信号発生器1よりパルス信号Siまたは
パルス信号Ssが出力されると、該パルス信号Siまた
はパルス信号Ssは、導電性線材23を伝搬した後、オ
シロスコープ20の入力端子20bに入力される。一
方、入力端子20aにも、パルス信号Siまたはパルス
信号Ssが入力される。
【0084】これにより、オシロスコープ20には、同
一波形たるパルス信号Siまたはパルス信号Ssが2現
象分表示される。この結果、CPUは、同一波形がわず
かな時間遅れをもってオシロスコープ20に表示されて
いるため、基礎杭4(導電性線材2)に損傷等が発生し
ていないものと判定する。
【0085】一方、今、導電性線材23において、基礎
杭4の損傷により障害点23bが存在しているものとす
る。この状態において、信号発生器1よりパルス信号S
iまたはパルス信号Ssが出力されると、該パルス信号
Siまたはパルス信号Ssは、導電性線材23の一端2
3aから他端23cへ向けて伝搬する。そして、パルス
信号Siまたはパルス信号Ssの一部は、障害点23b
により、反射信号Sri1または反射信号Srs1とし
てオシロスコープ20の入力端子20aに入力される。
【0086】他方、パルス信号Siまたはパルス信号S
sの残りは、導電性線材23の障害点23bを透過し
て、透過信号Sti1または透過信号Sts1として、
導電性線材23を介してオシロスコープ20の入力端子
20bに入力される。
【0087】この結果、オシロスコープ20には、反射
信号Sri1または反射信号Srs1、および透過信号
Sti1または透過信号Sts1の各波形が表示され
る。これにより、CPUは、反射信号Sri1(または
反射信号Srs1)と透過信号Sti1(または透過信
号Sts1)とのレベル比より、障害点23b(基礎杭
4)の状態を判定する。
【0088】すなわち、CPUは、透過信号Sti1
(または透過信号Sts1)がゼロである場合、障害点
23bが完全に断線しているものと判定する。一方、C
PUは、反射信号Sri1(または反射信号Srs1)
のレベルが、透過信号Sti1(または透過信号Sts
1)のレベルより大きい場合、障害点23bの損傷等が
大きいものと判定し、他方、この逆の場合、障害点23
bの損傷が小さいものと判定する。
【0089】なお、上述した第3実施形態による構造部
材のモニタリング装置においては、1本の導電性線材2
3を折曲げて用いる例について説明したが、この導電性
線材23に代えて、前述した(g)項において説明した
同軸状のものを用いてもよい。すなわち、この場合に
は、中心導体の一端を一端23aと見なすとともに、外
部導体の一端を他端23cと見なすことができる。ま
た、この場合には、杭先端部4b側において中心導体の
他端と外部導体の他端とを短絡する必要がある。
【0090】以上説明したように、上述した第1〜第3
実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、
基礎杭4が弾性ひずみの範囲内で引張荷重等を受けた
後、元の状態に戻ったとしても、上記弾性ひずみを受け
た時点で導電性線材2の炭素繊維束の一部に破断が生じ
る。従って、第1〜第3実施形態による構造部材のモニ
タリング装置によれば、上述した場合であっても、過去
の基礎杭4に対して引張荷重等が加えられたということ
を判定することができるという効果が得られる。言い換
えれば、第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリ
ング装置によれば、基礎杭4の損傷状況を連続的にモニ
タリングすることができるという効果が得られる。
【0091】また、第1〜第3実施形態による構造部材
のモニタリング装置によれば、センサとして従来の光フ
ァイバに代えて、導電性線材2を用いているため、基礎
杭4がコンクリートである場合であっても、耐久性が向
上するという効果が得られる。また、第1〜第3実施形
態による構造部材のモニタリング装置によれば、従来の
もののように、導電性線材の中間点に複数の端子を設け
ることなく、低コストでかつ簡易な構成で基礎杭4の損
傷箇所を特定することができるという効果が得られる。
【0092】<第4実施形態>次に、本発明の第4実施
形態による構造部材のモニタリング装置の構成について
図8を参照して説明する。この図において、図3(b)
の各部に対応する部分には同一の符号を付けその説明を
省略する。図8においては、図3(b)に示す信号発生
器1およびオシロスコープ3に代えて、ネットワークア
ナライザ30、パワースプリッタ31および方向性結合
器32が設けられている。以下に説明する第4実施形態
による構造部材のモニタリング装置の測定原理は、VN
A(Vector Network Analyser)測定方法に基づくもの
である。
【0093】図8において、ネットワークアナライザ3
0は、5Hz〜数十GHzの信号解析が可能な測定機器
であり、後述する高周波信号Shを出力するとともに、
入力される高周波信号Sh1および反射信号Srに基づ
いて、導電性線材2(基礎杭4)の状態を判定する機能
等を有している。具体的には、ネットワークアナライザ
30は、高周波信号Sh1および反射信号Srの位相特
性および周波数領域における振幅特性を求め、これらに
基づいて、伝送路の損失や信号の伝搬遅延時間等をさら
に求める等の機能を有している。
【0094】このネットワークアナライザ30は、1つ
の出力端子30a、3つの入力端子30b、30cおよ
び30dを有している。上記出力端子30aからは、高
周波信号Shが出力される。また、入力端子30bおよ
び30cには、高周波信号Sh1および反射信号Srが
各々入力される。なお、この第4実施形態において、ネ
ットワークアナライザ30の入力端子30dには、いず
れも信号も入力されない。また、ネットワークアナライ
ザ30の動作の詳細については、後述する。
【0095】パワースプリッタ31は、入力される高周
波信号Shを高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに
分流するものであり、分流抵抗R1およびR2から構成
されている。すなわち、分流抵抗R1およびR2の各一
端は、ネットワークアナライザ30の出力端子30aに
接続されており、分流抵抗R1の他端は、ネットワーク
アナライザ30の入力端子30bに接続されている。
【0096】方向性結合器32は、端子32a、32b
および32cを有しており、端子32aに入力される高
周波信号Sh2を端子32bから出力するとともに、端
子32bに入力される反射信号Srを端子32cから出
力する。ここで、方向性結合器32の端子32aは、分
流抵抗R2の他端に接続されており、端子32cは、導
電性線材2の一端2aに接続されている。また、方向性
結合器32の端子32cは、ネットワークアナライザ3
0の入力端子30cに接続されている。
【0097】次に、上述した第4実施形態による構造部
材のモニタリング装置の動作について説明する。図8に
おいて、今、導電性線材2の途中に障害点2bが存在し
ているものとする。この状態において、ネットワークア
ナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出
力されると、該高周波信号Shは、パワースプリッタ3
1により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流
され、このうち高周波信号Sh1は、ネットワークアナ
ライザ30の入力端子30bに入力される。ここで、上
記高周波信号Sh2は、パルス状またはステップ状のも
のである。
【0098】一方、高周波信号Sh2は、パワースプリ
ッタ31の分流抵抗R2、方向性結合器32を介して、
導電性線材2の一端2aへ入力される。さらに、高周波
信号Sh2は、障害点2bにより反射されて、反射信号
Srとして、一端2a方向へ伝搬する。そして、この反
射信号Srは、方向性結合器32を介して、ネットワー
クアナライザ30の入力端子30cに入力される。
【0099】これにより、ネットワークアナライザ30
は、入力された高周波信号Sh1および反射信号Srの
位相特性および周波数領域における振幅特性を求める。
次いで、ネットワークアナライザ30は、上記位相特性
および振幅特性の各情報に対して、逆フーリエ変換を行
い、図4(c)または図4(e)に示す反射信号Sri
3または反射信号Srs3と同様な時間軸の波形を得
る。
【0100】すなわち、ネットワークアナライザ30
は、高周波信号Shがパルス状のものであるとき、図4
(c)に示す波形と同様のものを得た後、該波形より伝
搬遅延時間tdを求める。次いで、ネットワークアナラ
イザ30は、上記伝搬遅延時間tdと前述した(1)式
とから、図8に示す導電性線材2の一端2aから障害点
2bまでの距離L2を求めることにより、障害点2bの
位置を特定する。
【0101】一方、ネットワークアナライザ30は、高
周波信号Shがステップ状のものであるとき、図4
(e)に示す波形と同様のものを得た後、該波形より伝
搬遅延時間tdを求めた後、さらに上述した動作と同様
にして、障害点2bの位置を特定する。次いで、ネット
ワークアナライザ30は、図4(e)に示す波形と同様
のものから、電圧Eiおよび電圧Erを求めた後、前述
した(2)式より反射係数ρを求める。そして、ネット
ワークアナライザ30は、前述した手順と同様にして、
反射係数ρから障害点2b(基礎杭4)の損傷状態を判
定する。
【0102】また、ネットワークアナライザ30は、上
述した逆フーリエ変換を行うとき、ノイズ成分をカット
したものに対して逆フーリエ変換を行う。これにより、
逆フーリエ変換された結果は、ノイズによる影響を受け
ないものとなる。
【0103】ここで、ネットワークアナライザ30の分
解能について説明する。ネットワークアナライザ30の
分解能は、高周波信号Shの周波数に比例して向上す
る。例えば、高周波信号Shの周波数を110GHzと
した場合には、導電性線材2を覆う被覆材の影響を受け
て、2.7mm(1波長)の60%〜90%が分解能と
なる。
【0104】なお、上述した第4実施形態による構造部
材のモニタリング装置においては、導電性線材2とし
て、前述した(a)項、(b)項および(c)項におい
て説明したより線等を用いてもよい。この場合には、高
周波における表皮効果が低減される。
【0105】<第5実施形態>次に、本発明の第5実施
形態による構造部材のモニタリング装置について図9を
参照して説明する。この図において、図8の各部に対応
する部分には、同一の符号を付けその説明を省略する。
図9においては、図8に示す方向性結合器32、導電性
線材2に代えて、スイッチ33、方向性結合器34、方
向性結合器35および導電性線材23が設けられてい
る。
【0106】スイッチ33は、高周波信号Sh2を方向
性結合器34または方向性結合器35のいずれかへ出力
するための切り替えスイッチである。このスイッチ33
の可動片33eおよび可動片33fは、図示しない制御
装置または手動によって、端子33bおよび端子33d
側、または端子33a側および端子33c側のいずれか
に切り換えられる。また、端子33bおよび端子33c
は、パワースプリッタ31の分流抵抗R2の他端に接続
されている。
【0107】方向性結合器34は、図8に示す方向性結
合器32と同一構成とされており、その端子34aが可
動片33eに、その端子34bが導電性線材23の一端
23aに、その端子34cがネットワークアナライザ3
0の入力端子30cに各々接続されている。この方向性
結合器34は、端子34aに入力される高周波信号Sh
2を端子34bへ出力するとともに、端子34bに入力
される反射信号Sr(または透過信号St)を端子34
cへ出力するという機能を有している。
【0108】導電性線材23は、図7に示すものと同一
構成とされており、その中央部から折り曲げられてい
る。方向性結合器35は、方向性結合器34と同一構成
とされており、その端子35aが可動片33fに、その
端子35bが導電性線材23の他端23cに、その端子
35cがネットワークアナライザ30の入力端子30d
に各々接続されている。
【0109】上記方向性結合器35は、端子35aに入
力される高周波信号Sh2を端子35bへ出力するとと
もに、端子35bに入力される透過信号St(または反
射信号Sr)を端子35cへ出力するという機能を有し
ている。
【0110】次に、上述した第5実施形態による構造部
材のモニタリング装置の動作について説明する。図9に
おいて、今、導電性線材23に障害点23bが存在して
おり、かつスイッチ33の可動片33eおよび可動片3
3fが端子33b側および端子33d側に各々切り換え
られているものとする。
【0111】この状態において、ネットワークアナライ
ザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力され
ると、該高周波信号Shは、前述した動作と同様にし
て、パワースプリッタ31により高周波信号Sh1と高
周波信号Sh2とに分流される。そして、高周波信号S
h1がネットワークアナライザ30の入力端子30bに
入力される一方、高周波信号Sh2は、分流抵抗R2、
スイッチ33および方向性結合器34を介して、導電性
線材23の一端23aに入力された後、導電性線材23
を伝搬する。
【0112】そして、高周波信号Sh2の一部は、障害
点23bにより反射されて、反射信号Srとして、方向
性結合器34を介してネットワークアナライザ30の入
力端子30cに入力される。一方、高周波信号Sh2の
残りは、障害点23bを透過して透過信号Stとして方
向性結合器35を介してネットワークアナライザ30の
入力端子30dに入力される。
【0113】これにより、ネットワークアナライザ30
は、前述した第4実施形態による構造部材のモニタリン
グ装置の動作と同様にして、高周波信号Sh1、反射信
号Srおよび透過信号Stの各位相特性および振幅特性
を得る。次に、ネットワークアナライザ30は、高周波
信号Sh1および反射信号Srの位相特性および振幅特
性に対して逆フーリエ変換を行い、図4(c)または図
4(e)に示すものと同様の波形から、前述した動作と
同様にして、伝搬遅延時間tdを求め、これに基づい
て、図9に示す導電性線材23の一端23aから障害点
23bまでの距離を求める。
【0114】また、ネットワークアナライザ30は、反
射信号Srと透過信号Stとのレベル比より、障害点2
3b(基礎杭4)の状態を判定する。
【0115】すなわち、CPUは、透過信号Stのレベ
ルがゼロである場合、障害点23bが完全に断線してい
るものと判定する。一方、ネットワークアナライザ30
は、反射信号Srのレベルが、透過信号Stのレベルよ
り大きい場合、障害点23bの損傷等が大きいものと判
定し、他方、この逆の場合、障害点23bの損傷が小さ
いものと判定する。
【0116】また、今、スイッチ33の可動片33eお
よび可動片33fが、制御装置または手動により、同図
に示す状態から、端子33aおよび端子33c側に切り
替えられたものとする。この状態において、ネットワー
クアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Sh
が出力されると、該高周波信号Shは上述した動作と同
様にして、パワースプリッタ31により高周波信号Sh
1と高周波信号Sh2とに分流される。そして、上記高
周波信号Sh2は、分流抵抗R2、スイッチ33および
方向性結合器35を介して、導電性線材23の他端23
cに入力された後、導電性線材23を伝搬する。
【0117】そして、高周波信号Sh2の一部は、障害
点23bにより反射されて、反射信号Srとして、方向
性結合器35を介してネットワークアナライザ30の入
力端子30dに入力される。一方、高周波信号Sh2の
残りは、障害点23bを透過して透過信号Stとして方
向性結合器34を介してネットワークアナライザ30の
入力端子30cに入力される。これにより、ネットワー
クアナライザ30は、上述した動作と同様にして、他端
23cから障害点23bまでの距離を求めるとともに、
障害点23b(基礎杭4)の状態を判定する。
【0118】<第6実施形態>次に、本発明の第6実施
形態による構造部材のモニタリング装置の構成について
図10を参照して説明する。この図において、図8の各
部に対応する部分には、同一の符号を付ける。図10に
おいては、図8に示す方向性結合器32が設けられてお
らず、かつ図8に示す導電性線材2に代えて、導電性線
材21および導電性線材22が設けられている。
【0119】すなわち、図10に示すパワースプリッタ
31の分流抵抗R2の他端は、導電性線材21の一端2
1aに接続されている。導電性線材21および導電性線
材22は、図6に示すものと同一構成とされており、一
定間隔をおいて基礎杭4内部に平行配置されている。導
電性線材22の一端22aは、ネットワークアナライザ
30の入力端子30cに接続されている。
【0120】次に、上述した第6実施形態による構造部
材のモニタリング装置の動作について説明する。今、導
電性線材21と導電性線材22との間に短絡(インピー
ダンスの不整合)が生じておらず、かつ導電性線材21
において基礎杭4の損傷等による障害点21bが存在し
ているものとする。この状態において、ネットワークア
ナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出
力されると、該高周波信号Shは、パワースプリッタ3
1により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流
される。そして、上記高周波信号Sh1がネットワーク
アナライザ30の入力端子30bに入力される一方、高
周波信号Sh2は、導電性線材21の一端21aに入力
された後、導電性線材21を伝搬する。
【0121】そして、高周波信号Sh2の一部は、導電
性線材21の障害点21bにより反射され、反射信号S
rとしてパワースプリッタ31を介してネットワークア
ナライザ30の入力端子30bに入力される。これによ
り、ネットワークアナライザ30は、第5実施形態によ
る構造部材のモニタリング装置の動作と同様にして、高
周波信号Sh1および反射信号Srの位相特性および振
幅特性を求めた後、これらの情報に対して逆フーリエ変
換を行い、時間軸の波形を得る。次いで、ネットワーク
アナライザ30は、上記波形より伝搬遅延時間td(図
4(c)、(e)参照)を求め、上記伝搬遅延時間td
から、一端21aから障害点21bまでの距離を求め
る。
【0122】一方、今、基礎杭4に多大なる損傷が発生
したか、または基礎杭4にひび割れ等が発生して、同図
に示す障害点Hにおいて導電性線材21と導電性線材2
2との間に短絡(インピーダンスの不整合)が生じてい
るものとする。この状態において、ネットワークアナラ
イザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力さ
れると、上述した動作を経て高周波信号Sh2の一部
は、障害点Hにより反射され、反射信号Srとして、一
端2aへ向けて伝搬する。これと同時に、高周波信号S
h2の残りは、反射信号Sr’として導電性線材22の
一端22aへ向けて伝搬する。
【0123】これにより、導電性線材22の一端21a
からは、パワースプリッタ31を介して反射信号Srが
ネットワークアナライザ30の入力端子30bへ出力さ
れるとともに、同一端22aからは、ネットワークアナ
ライザ30の入力端子30cへ反射信号Sr’が出力さ
れる。
【0124】これにより、ネットワークアナライザ30
は、上述した動作と同様にして、反射信号Srおよび反
射信号Sr’の波形を得た後、該波形に基づいて、障害
点Hの位置を特定するとともに、反射信号Sr’が入力
されていることから、障害点Hにおいて短絡(インピー
ダンスの不整合)が発生しているものと判定する。な
お、障害点Hを特定する手順は、前述した第2実施形態
による構造部材のモニタリング装置における手順と同様
である。
【0125】<第7実施形態>次に、本発明の第7実施
形態による構造部材のモニタリング装置の構成について
図11を参照して説明する。この図において、図10の
各部に対応する部分には同一の符号を付けその説明を省
略する。図11においては、図10に示すパワースプリ
ッタ31に代えて、方向性結合器36が設けられてい
る。
【0126】方向性結合器36は、端子36a、36b
および36cを有しており、端子36aに入力される高
周波信号Shを、高周波信号Sh1と高周波信号Sh2
とに分岐するという機能を有している。すなわち、方向
性結合器36は、高周波信号Sh1を端子36cから出
力するとともに、高周波信号Sh2を端子36bから出
力する。また、方向性結合器36の端子36aは、ネッ
トワークアナライザ30の出力端子30aに接続されて
おり、端子36bは、導電性線材21の一端21aに接
続されており、端子36cは、ネットワークアナライザ
30の入力端子30bに接続されている。
【0127】次に、上述した第7実施形態による構造部
材のモニタリング装置の動作について説明する。図11
において、今、基礎杭4に多大なる損傷が発生したか、
または基礎杭4にひび割れ等が発生して、同図に示す障
害点Hにおいて導電性線材21と導電性線材22との間
に短絡(インピーダンスの不整合)が生じているものと
する。
【0128】この状態において、ネットワークアナライ
ザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力され
ると、該高周波信号Shは、方向性結合器36により高
周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分岐される。そ
して、高周波信号Sh1がネットワークアナライザ30
の入力端子30bに入力されるとともに、高周波信号S
h2は、導電性線材21の一端21aに入力された後、
導電性線材21を伝搬する。
【0129】そして、高周波信号Sh2は、障害点Hに
おいて反射され、反射信号Srとして導電性線材22を
伝搬した後、ネットワークアナライザ30の入力端子3
0dに入力される。これにより、ネットワークアナライ
ザ30は、上述した動作と同様にして、高周波信号Sh
1および反射信号Srの波形を得た後、該波形に基づい
て、障害点Hの位置を特定するとともに、反射信号Sr
が入力されていることから、障害点Hにおいて短絡(イ
ンピーダンスの不整合)が発生しているものと判定す
る。なお、障害点Hを特定する手順は、前述した第2実
施形態による構造部材のモニタリング装置における手順
と同様である。
【0130】以上説明したように、上述した第4〜第7
実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、
信号として高周波信号Shを用いているので、第1〜第
3実施形態による構造部材のモニタリング装置の効果に
加えて、モニタリングの精度を向上させることができる
という効果が得られる。
【0131】以上、本発明の第1〜第7実施形態を図面
を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれら第1
〜第7実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨
を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含ま
れる。例えば、第1〜第7実施形態においては、基礎杭
4に対してモニタリングを行う例について説明したが、
これに限定されることなく、モニタリングの対象は、構
造部材であればいかなるものであってもよい。一例とし
ては、鉄筋コンクリート構造物、鉄筋造等が挙げられ
る。なお、鉄筋造をモニタリングの対象とする場合に
は、導電性線材2等を接着材等を用いて確実に固定する
とともに、養生を行うことが必要である。以下、具体例
について説明する。
【0132】図12は、導電性線材50の構成およびそ
の配設状態を示す一部裁断側断面図である。この図にお
いて、51は、コンクリート等から構成された構造物で
あり、柱51a、51b、51cおよび51dと梁51
e、51fおよび51gとが直交されてなる。導電性線
材50は、前述した導電性線材2、21、22または2
3と同一構成とされており、柱51b、梁51fおよび
柱51dの各表面に接着されている。
【0133】52aおよび52bは、柱51bおよび5
1dの側面に各々取り付けられた端子であり、端子52
aおよび52bには、導電性線材50の各端部が接続さ
れている。なお、第1実施形態による構造部材のモニタ
リング装置において、端子52a(または端子52b)
には、図1および図3に示すパルス信号発生器1のプロ
ーブおよびオシロスコープ3が接続される。また、第3
実施形態による構造部材のモニタリング装置において、
端子52aには図7に示すパルス信号発生器1のプロー
ブおよびオシロスコープ20の入力端子20aが接続さ
れ、端子52bには図7に示すオシロスコープ20の入
力端子20bが接続される。
【0134】さらに、第4実施形態による構造部材のモ
ニタリング装置において、端子52a(または端子52
b)には図8に示す方向性結合器32の端子32bが接
続される。加えて、第5実施形態による構造部材のモニ
タリング装置において、端子52aには図9に示す方向
性結合器34の端子34bが接続され、端子52bには
図9に示す方向性結合器35の端子35bが接続され
る。
【0135】上記構成において、構造物51に荷重が作
用して、構造物51に変形が生じることにより断面積が
増加すると、導電性線材50に引っ張り力が作用し、導
電性線材50の抵抗値が変化する。これにより、前述し
た手法により構造物51の損傷状況等が検知される。こ
のように、導電性線材50を用いた場合には、構造物5
1における広い範囲に亙って構造物51の表面の損傷状
況(ひび割れ、剥離)等をモニタリングすることができ
る。また、近時においては、炭素繊維シートを既存の構
造物および構造部材に接着することによる耐震補強が行
われている。従って、図12を参照して説明した手法
は、上記炭素繊維シートの性能保証や性能確認をモニタ
リングする手法として非常に有効である。
【0136】なお、第2、第6および第7実施形態によ
る構造部材のモニタリング装置においては、図12に示
す導電性線材50を2本使用し、2本の導電性線材50
を平行配置すればよい。
【0137】図13は、導電性線材60の構成およびそ
の配設状態を示す一部裁断側面図である。この図におい
て、61は、コンクリート等から構成された構造物であ
り、柱61a、61bと梁61c、61dとが直交され
てなる。導電性線材60は、前述した導電性線材2、2
1、22または23と同一構成とされている。この導電
性線材60は、柱61aおよび柱61bの外周面に沿っ
て巻回されている。
【0138】端子62aおよび62bは、柱61bの側
面に各々取り付けられている。なお、第1実施形態によ
る構造部材のモニタリング装置において、端子62a
(または端子62b)には、図1および図3に示すパル
ス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ3が接
続される。また、第3実施形態による構造部材のモニタ
リング装置において、端子62aには図7に示すパルス
信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ20の入
力端子20aが接続され、端子62bには図7に示すオ
シロスコープ20の入力端子20bが接続される。
【0139】さらに、第4実施形態による構造部材のモ
ニタリング装置において、端子62a(または端子62
b)には図8に示す方向性結合器32の端子32bが接
続される。加えて、第5実施形態による構造部材のモニ
タリング装置において、端子62aには図9に示す方向
性結合器34の端子34bが接続され、端子62bには
図9に示す方向性結合器35の端子35bが接続され
る。
【0140】63aは、導電性線材60の一端部60a
と端子62aとの間を接続するリード線であり、63b
は、導電性線材60の他端部60bと端子62bとの間
を接続するリード線である。
【0141】上記構成において、構造物61に荷重が作
用して、構造物61の柱61aまたは柱61bに変形が
生じることにより断面積が増加すると、導電性線材60
に引っ張り力が作用し、導電性線材60の抵抗値が変化
する。これにより、前述した手法により構造物61の表
面の損傷状況(ひび割れ、剥離)等がモニタリングされ
る。このように、導電性線材60を用いた場合には、構
造物61における広い範囲に亙って構造物61の損傷状
況等をモニタリングすることができる。
【0142】なお、第2、第6および第7実施形態によ
る構造部材のモニタリング装置においては、図13に示
す導電性線材60を2本使用し、2本の導電性線材60
を平行配置すればよい。
【0143】図14は、導電性線材70の構成およびそ
の配設状況を示す一部裁断側面図である。この図におい
て、71は、コンクリート等から構成された構造物であ
り、柱71a、71bと梁71c、71dとが直交され
てなる。導電性線材70は、前述した導電性線材2、2
1、22または23と同一構成とされている。
【0144】この導電性線材70は、同図に示すように
波線形状に形成されており、構造物71の表面に接着さ
れている。すなわち、導電性線材70は、梁71cから
梁71dまでに至る広い範囲に設けられている。また、
導電性線材70は、その一端部70aと他端部70bが
近接するように形成されている。
【0145】72a、72bは、柱71bの側面71e
に各々取り付けられた端子である。なお、第1実施形態
による構造部材のモニタリング装置において、端子72
a(または端子72b)には、図1および図3に示すパ
ルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ3が
接続される。また、第3実施形態による構造部材のモニ
タリング装置において、端子72aには図7に示すパル
ス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ20の
入力端子20aが接続され、端子72bには図7に示す
オシロスコープ20の入力端子20bが接続される。
【0146】さらに、第4実施形態による構造部材のモ
ニタリング装置において、端子72a(または端子72
b)には図8に示す方向性結合器32の端子32bが接
続される。加えて、第5実施形態による構造部材のモニ
タリング装置において、端子72aには図9に示す方向
性結合器34の端子34bが接続され、端子72bには
図9に示す方向性結合器35の端子35bが接続され
る。73a、73bは、導電性線材70の一端部70a
および他端部70bと端子72aおよび端子72bとの
間を各々接続するリード線であり、柱71bの内部に埋
設されている。
【0147】上記構成において、構造物71に亀裂、損
傷等が発生していない状態では、テスタ1により測定さ
れる、導電性線材70の抵抗値は、非常に低い値であ
る。そして、今、構造物71に荷重が作用しているもの
とすると、該荷重により、構造物71に変形、断面積変
化が生じることにより、導電性線材70に対して引っ張
り力が作用、導電性線材70の抵抗値が変化する。これ
により、前述した手法により構造物71の表面の損傷状
況(ひび割れ、剥離)等がモニタリングされる。
【0148】このように、導電性線材70を用いた場合
には、構造物71における広い範囲に亙って構造物71
の損傷状況等をモニタリングすることができる。また、
導電性線材70を用いた場合には、一端部70aおよび
他端部70bが近接配置されているため、導電性線材7
0等を楽に施工することができる。
【0149】なお、図14においては、導電性線材70
を平面的に配設した例について説明したが、これに限定
されることなく導電性線材70を構造物71の表面また
は内部に立体的に配設するようにしてもよい。さらに、
第2、第6および第7実施形態による構造部材のモニタ
リング装置においては、図14に示す導電性線材70を
2本使用し、2本の導電性線材70を平行配置すればよ
い。
【0150】また、本発明の第1および第2実施形態に
おいて述べた、導電性線材2、21、22の形状、材質
等の変形例は、本発明の第3〜第7実施形態においても
適用される。
【0151】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
構造部材が弾性ひずみの範囲内で引張荷重等を受けた
後、元の状態に戻ったとしても、上記弾性ひずみを受け
た時点で導線の繊維束の一部に破断が生じる。従って、
本発明によれば、上述した場合であっても、過去の構造
部材に対して引張荷重等が加えられたということを判定
することができるという効果が得られる。言い換えれ
ば、本発明によれば、構造部材の損傷状況を連続的にモ
ニタリングすることができるという効果が得られる。
【0152】また、本発明によれば、導電性線材として
従来の光ファイバに代えて、導線を用いているため、構
造部材がコンクリートである場合であっても、耐久性が
向上するという効果が得られる。また、本発明によれ
ば、従来のもののように、導電性線材の中間点に複数の
端子を設けることなく、低コストでかつ簡易な構成で構
造部材の損傷箇所を特定することができるという効果が
得られる。
【0153】さらに、請求項2、5、8、11に記載の
発明によれば、第1の導線、第2の導線のうち、第1の
導線を導電性を有する安価なもの(例えば、単線)とし
たので、価格の高い第2の導線を2本使用する場合に比
してコストを安くすることができるという効果が得られ
る。また、請求項7〜12に記載の発明によれば、構造
部材の表面に(第1、第2の)導線を接着する構成とし
たので、構造部材の表面に生じるひび割れ、剥離等の損
傷状態を広い範囲に亙って判定することができるという
効果が得られる。
【0154】さらに、請求項4〜6、請求項10〜12
に記載の発明によれば、高周波信号を用いているため、
この高周波信号の周波数に比例してモニタリングの分解
能を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態による構造部材のモニ
タリング装置の概略構成を示す図である。
【図2】 図1に示す構造部材のモニタリング装置の動
作を説明する図である。
【図3】 本発明の第1実施形態による構造部材のモニ
タリング装置の具体的構成を示す図である。
【図4】 図3に示す構造部材のモニタリング装置の動
作を説明する図である。
【図5】 図3に示す導電性線材2の変形例を示す図で
ある。
【図6】 本発明の第2実施形態による構造部材のモニ
タリング装置の構成を示す図である。
【図7】 同第3実施形態による構造部材のモニタリン
グ装置の構成を示す図である。
【図8】 同第4実施形態による構造部材のモニタリン
グ装置の構成を示す図である。
【図9】 同第5実施形態による構造部材のモニタリン
グ装置の構成を示す図である。
【図10】 同第6実施形態による構造部材のモニタリ
ング装置の構成を示す図である
【図11】 同第7実施形態による構造部材のモニタリ
ング装置の構成を示す図である。
【図12】 同第1〜第7実施形態による構造部材のモ
ニタリング装置に用いられる導電性線材50の構成およ
びその配設状況を示す一部裁断側断面図である。
【図13】 同第1〜第7実施形態による構造部材のモ
ニタリング装置に用いられる導電性線材60の構成およ
びその配設状況を示す一部裁断側面図である。
【図14】 同第1〜第7実施形態による構造部材のモ
ニタリング装置に用いられる導電性線材70の構成およ
びその配設状況を示す一部裁断側面図である。
【符号の説明】
1 信号発生器 2 導電性線材 2b 障害点 3 オシロスコープ 4 基礎杭 20 オシロスコープ 21 導電性線材 22 導電性線材 23 導電性線材 50 導電性線材 51 構造物 60 導電性線材 61 構造物 70 導電性線材 71 構造物 30 ネットワークアナライザ 31 パワースプリッタ 32 方向性結合器 33 スイッチ 34 方向性結合器 35 方向性結合器 36 方向性結合器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長田 耕治 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内 (72)発明者 國分 誠 東京都港区芝浦一丁目2番3号 清水建設 株式会社内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構造部材の内部に埋設され、導電性を有
    しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて、前
    記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部
    材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特
    徴とする構造部材のモニタリング装置。
  2. 【請求項2】 前記構造部材の内部に埋設され、導電性
    を有する第1の導線と、 前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造部材
    の内部に平行配置され、導電性を有しかつ繊維からなる
    第2の導線と、 前記第1の導線の一端へパルス信号を供給するパルス信
    号供給手段と、 前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号、
    および前記第2の導線の一端より出力される第2の反射
    信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定すると
    ともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装
    置。
  3. 【請求項3】 前記構造部材の内部に埋設され、導電性
    を有しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号、および前記導
    線の他端より出力される透過信号に基づいて、前記構造
    部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部材の損
    傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とす
    る構造部材のモニタリング装置。
  4. 【請求項4】 構造部材の内部に埋設され、導電性を有
    しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へ高周波信号を供給する高周波信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて、前
    記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部
    材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特
    徴とする構造部材のモニタリング装置。
  5. 【請求項5】 前記構造部材の内部に埋設された導電性
    を有する第1の導線と、 前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造部材
    の内部に平行配置され、導電性を有しかつ繊維からなる
    第2の導線と、 前記第1の導線の一端へ高周波信号を出力する高周波信
    号供給手段と、 前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号、
    および前記第2の導線の一端より出力される第2の反射
    信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定すると
    ともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装
    置。
  6. 【請求項6】 前記構造部材の内部に埋設され、導電性
    を有しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へ高周波信号を供給する高周波信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号、および前記導
    線の他端より出力される透過信号に基づいて、前記構造
    部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部材の損
    傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とす
    る構造部材のモニタリング装置。
  7. 【請求項7】 構造部材の表面に接着され、導電性を有
    しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて、前
    記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部
    材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特
    徴とする構造部材のモニタリング装置。
  8. 【請求項8】 前記構造部材の表面に接着され、導電性
    を有する第1の導線と、 前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造部材
    の内部に平行配置され、導電性を有しかつ繊維からなる
    第2の導線と、 前記第1の導線の一端へパルス信号を供給するパルス信
    号供給手段と、 前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号、
    および前記第2の導線の一端より出力される第2の反射
    信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定すると
    ともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装
    置。
  9. 【請求項9】 前記構造部材の表面に接着され、導電性
    を有しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へパルス信号を供給するパルス信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号、および前記導
    線の他端より出力される透過信号に基づいて、前記構造
    部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部材の損
    傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とす
    る構造部材のモニタリング装置。
  10. 【請求項10】 構造部材の表面に接着され、導電性を
    有しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へ高周波信号を供給する高周波信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて、前
    記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部
    材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特
    徴とする構造部材のモニタリング装置。
  11. 【請求項11】 前記構造部材の内部に接着され、導電
    性を有する第1の導線と、 前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造部材
    の内部に平行配置され、導電性を有しかつ繊維からなる
    第2の導線と、 前記第1の導線の一端へ高周波信号を出力する高周波信
    号供給手段と、 前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号、
    および前記第2の導線の一端より出力される第2の反射
    信号に基づいて、前記構造部材の損傷位置を特定すると
    ともに、前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装
    置。
  12. 【請求項12】 前記構造部材の表面に接着され、導電
    性を有しかつ繊維からなる導線と、 前記導線の一端へ高周波信号を供給する高周波信号供給
    手段と、 前記導線の一端より出力される反射信号、および前記導
    線の他端より出力される透過信号に基づいて、前記構造
    部材の損傷位置を特定するとともに、前記構造部材の損
    傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とす
    る構造部材のモニタリング装置。
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