JP3584427B2 - 構造部材のモニタリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造部材の健全性の診断に用いられる構造部材のモニタリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
橋梁、高架道、トンネル、ビルなどの土木・建築構造物は、供用期間が長いことから、地震、過荷重や疲労などによる損傷、腐食や苛酷な環境などによる劣化の問題にさらされている。
そこで、従来よりかかる問題を解決すべく、構造部材または構造物の所要箇所にセンサーを配置して、随時、構造物の健全性のモニタリングを行い、長期の耐久性を保証するという方法がとられている。このモニタリングは、常時または定期的に、さらには地震や過荷重を受けた直後等に行われる。
【0003】
具体的には、上述したモニタリングの技術は、次のような場所、箇所に適用される。
(a)目視などによる検査、点検を行うことができない場所や位置にある部材・部位のモニタリング。
例としては、地下部分、仕上材、天井材、カバー(屋上における防水層やトンネルの覆工など)がある部材、部位、他の設備、機器配管類により見えない部分、作業の為、立入できないほど狭い場所、密閉されている場所等が挙げられる。
【0004】
(b)簡単には人が立ち入ることが出来ない場所、部位や、立入や作業に危険を伴う場所、位置における部材、部位のモニタリング。
一例としては、高所作業を伴い、かつ安全な作業足場が確保しがたい場所、水・海水に接している構造物や水中・海中構造物、変電所設備などのような(超)高電圧の設備機器がある所、原子力施設や放射性廃棄物の処分場などのような放射性物質を取り扱う施設、人体に有害な気体(ガス)あるいは刺激臭(臭い)のある場所、酸欠状態になり易い場所、交通車輌が多いところ、出来れば避けたい汚物、光、騒音、粉塵、振動などのある場所、高温度、高湿度の場所等が挙げられる。
【0005】
(c)新しい構造用の材料や新しい構工法を適用した場合のモニタリング。
新しい構造用の材料や新しい構工法を採用するにあたっては、事前に実験や検討等による多くの実績をもとに、慎重に行われるものであり、多くの場合、長期の耐久性についても問題が生じるようなことはない。
しかしながら、土木・建築構造物では供用期間が長いことから、使用条件の変更や環境の変化なども考慮に入れれば、不測の事故の回避や長期の耐久性を保証するために、モニタリングを行うことは、非常に有効となる場合があるからである。
また、設計・運用データの少なさからくる過剰設計が不要となると同時に、信頼性も飛躍的に向上するなどの利点が期待できるからである。
【0006】
また、建築構造物では、現在の許容応力度設計法による設計体系から、限界状態設計法、さらには基準により構造細部までを規定するのではなく性能自体を規定することにより、設計者自らがその性能を保証するという新しい設計体系への展開も始まろうとしている。このような新しい設計による場合には、性能(機能)・安全・コスト(経済性)のバランスをとることが今後の課題とされている。
【0007】
次に、上述したモニタリングを実現する手段たる従来の構造部材のモニタリング装置について説明する。
この種の構造部材のモニタリング装置は、構造部材に配置されたセンサと、該センサを用いて各種計測を行う計測機器とから構成されている。上記センサとしては、光ファイバまたは炭素繊維束等の導電性線材が用いられている。
【0008】
はじめに、センサとして光ファイバを用いた構造部材のモニタリング装置について説明する。この構造部材のモニタリング装置は、光ファイバと、該光ファイバへ光パルスを入射するとともに該光ファイバにおける障害点により反射された反射パルスに基づいて上記障害点を特定する計測機器とから構成されている。
【0009】
上記光ファイバは、周知のごとく、直径が数ミクロンから10ミクロンであってかつ屈折率がna(=1.5)のコアと、該コアに対して同軸をなしかつ屈折率がnb(<na)のクラッドとが一体に形成されてなり、可とう性を有している。 従って、上記コアに入射した光は、コアとクラッドとの屈折率差(0.2%〜1.0%)によって、コアとクラッドとの境界面で全反射を繰り返し、極めて低い損失で伝搬する。
また、光ファイバは、弾力性を持たせるべくシリコンやウレタン等により外周面が被覆されていることから、機械的強度が高く、光ファイバ自体の破断伸びは、1%程度とされている。
【0010】
上記構成において、炭素繊維やガラス繊維などの繊維強化プラスチック(以下、FRPと称する)やその複合材料のひびわれや亀裂の進展をモニタリングする場合には、被覆が剥された光ファイバがFRPの中に予め埋め込まれるか、または被覆が剥された光ファイバがFRPの表面に接着剤により接着される。
このように、被覆が剥された光ファイバを用いる理由は、被覆の強度が大きいため、被覆された光ファイバをFRPにそのまま埋め込む等した状態でFRPに亀裂等が生じても、被覆のみが損傷するのみで光ファイバ自体が損傷しないからである。
【0011】
ここで、今、FRPに亀裂が生じたとすると、該亀裂箇所に対応する光ファイバの部分(以下、障害点と称する)が損傷する。
この状態において、光ファイバの入射端面に計測機器より光パルスが入射されると、該光パルスは、光ファイバ内部を伝搬する。そして、上記光パルスの一部は、光ファイバの障害点により微弱な反射光(後方散乱光)として反射されるとともに、光パルスの残りは、障害点を透過してさらに光ファイバ内を伝搬する。
【0012】
そして、障害点の有無または障害点における損傷の程度は、光ファイバの出射端面より出射された透過光の光強度を計測するか、または障害点により反射された微弱な反射光を入射端面において計測するかして判定される。
【0013】
また、障害点において光ファイバが完全に破断されている場合、光ファイバの入射端面より入射された光パルスは、光ファイバの破断面により反射パルスとして反射(フレネル反射)される。このとき、上記反射パルスを計測することにより、光ファイバにおける障害点の位置が特定される。
【0014】
一方、障害点における破断の程度によっては、上記反射パルスが生じない場合がある。しかしながら、この場合においては、障害点における上述した後方散乱光のレベルを測定することにより、上記障害点の位置が特定される。
【0015】
次に、センサとして炭素繊維束等の導電性線材を用いた構造部材のモニタリング装置について説明する。この構造部材のモニタリング装置は、導電性線材と、該導電性線材の抵抗値を計測する計測機器とから構成されている。
上記導電性線材としては、例えば、導電性の炭素繊維ガラス繊維強化プラスチックス(CFGFRP)が用いられている。この炭素繊維ガラス繊維強化プラスチックスには、極細長の炭素繊維がおおむね千本単位で束ねられたもの(炭素繊維束)が含まれている。
【0016】
上記構成において、コンクリート等の構造部材に埋め込まれた導電性線材の抵抗値が計測機器により計測されることにより、構造部材の損傷の程度がモニタリングされる。
すなわち、構造部材(導電性材料)に引張荷重が作用すると、導電性線材の炭素繊維が引張荷重による伸びに応じて徐々に破断され、計測機器により計測される、炭素繊維の抵抗値が徐々に上昇する。そして、上記伸びが所定以上になると、炭素繊維のほとんどが破断し、導電性材料の抵抗値が急激に上昇する。
【0017】
そして、さらに構造部材に対する引張荷重が大きくなると、炭素繊維が完全に破断することにより、炭素繊維の抵抗値が極めて大きくなる(空気中であればほぼ無限大)。
【0018】
また、構造部材に対する引張荷重が取り除かれると、構造部材のたわみが徐々に小さくなるとともに、破断されていない炭素繊維のみが元の形状に戻る。この状態において、導電性線材の抵抗値(以下、残留抵抗値と称する)は、構造部材に対して引張荷重がかかる前の抵抗値(以下、初期抵抗値と称する)に比べて大きい値とされている。これは、導電性材料において破断した炭素繊維の分だけ抵抗値が大きいためである。
【0019】
そして、実際のモニタリングにおいては、引張荷重および構造部材の伸びと、残留抵抗値との対応関係を実験等により変換テーブルとして調べておき、実測値たる残留抵抗値と変換テーブルとから、実際の引張荷重および構造部材の伸びを推測することができる。この推測結果に基づいて、構造部材の損傷の程度がモニタリングされる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の光ファイバを用いた構造部材のモニタリング装置においては、以下に列挙する問題点、欠点があった。
(1) 被覆が剥された光ファイバを構造部材たるコンクリート躯体に埋め込んだ場合、光ファイバが石英ガラスからなるという材料の性質上、コンクリートに含まれているアルカリ成分により、光ファイバの伝送特性が悪化する。従って、この場合には、長期間に亙ってモニタリングを行うことができないという問題があった。
【0021】
(2) 被覆された光ファイバを構造部材に適用した場合、光ファイバの強度が高くなるため、光ファイバの損傷箇所と構造部材の損傷箇所との不一致が生じたり、また、被覆と構造部材との間に剥がれが発生するといった、測定精度が低いという問題があった。
(3) 被覆した光ファイバを単なる光信号の伝達ケーブルとして用いた場合、光ファイバの破断伸びがわずか1%程度であることから、炭素繊維シート等の高弾性であってかつ破断伸びの小さい補強材中に光ファイバを配置するときを除けば、保護管等により光ファイバを養生しなければならないという問題があった。
【0022】
(4) 光ファイバの口元自体が入射端面とされていることから、この入射端面から所定点までの間の部分が、計測不可能ないわゆるデッドゾーンとされる。従って、上記デットドーンに障害点が存在する場合、該障害点を検出することができないという問題があった。
このデットゾーンの距離は、光の波長や計器機器の計測精度により異なるが、通常、シングルモード光ファイバで8m、マルチモード光ファイバで3mとされている。しかしながら、デッドゾーンの距離は、特定の測定方法を用いた場合、10〜20mにもおよぶ。
(5) 引張荷重等による光ファイバの変形が弾性域内であった場合には、引張荷重が取り除かれた時点で光ファイバが引張荷重がかかる前の状態に戻る。従って、この引張荷重が取り除かれた状態で計測を行っても、引張荷重が加えられたという過去の状態を知ることができないという欠点があった。
【0023】
一方、従来の導電性線材(炭素繊維束)を用いた構造部材のモニタリング装置においては、導電性線材の抵抗値の変化から、構造部材のどこかに損傷を受けた位置が存在するということを知ることができるという利点があるが、その測定の性質上、損傷を受けた位置を特定することができないという欠点があった。
なお、導電性線材を複数に分割して、両端だけではなく、中間点に複数の端子を設けておき、その間の抵抗値を計測することにより、損傷を受けた部位の範囲を特定することも考えられる。
しかしながら、この場合においては、複数の端子と計測機器との間を接続する複数の信号ケーブルが必要とされ、コスト面、施工の困難性等を考慮すれば適用に問題があることもある。
本発明はこのような背景の下になされたもので、耐久性に優れ、しかも低コストであってかつ簡易な構成で構造部材のモニタリングをすることができる構造部材のモニタリング装置を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、構造部材の内部に埋設されるかあるいは構造部材の表面に接着され、導電性を有する導線と、前記導線の一端へ入射信号としてパルス信号又は高周波信号を供給する信号供給手段と、前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記入射信号及び前記反射信号の電圧に基づいて反射係数を算出して前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、構造部材の内部に埋設されるかあるいは構造部材の表面に接着され、導電性を有する第1の導線と、前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造部材の内部に平行配置され、導電性を有する第2の導線と、前記第1の導線の一端へ入射信号としてパルス信号又は高周波信号を供給する信号供給手段と、前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号に基づいて前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記入射信号及び前記第1の反射信号の電圧に基づいて反射係数を算出しかつその算出値と前記第2の導線の一端より出力される第2の反射信号の有無とにより前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、構造部材の内部に埋設されるかあるいは構造部材の表面に接着され、導電性を有する導線と、前記導線の一端へ入射信号としてパルス信号又は高周波信号を供給する信号供給手段と、前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記反射信号と前記導線の他端より出力される透過信号のレベル比を算出して前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の概略構成を示す図である。以下に説明する第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の測定原理は、TDR(Time Domain Reflectometry)測定方法に基づくものである。
【0026】
ここで、上記TDR測定方法とは、インパルス状またはステップ状のパルス信号を導電性の被測定物に入力した後、上記パルス信号(入射波)と被測定物により反射された反射信号(反射波)とが重畳された反射信号の波形に基づいて、被測定物のインピーダンス特性やインピーダンスの不連続性を距離の関数として測定する方法をいう。また、上記重畳された反射信号の波形は、オシロスコープにより観測される。
【0027】
図1において、1は、パルス信号発生器であり、図2(c)に示すパルス信号Siまたは図2(d)に示すステップ状のパルス信号Ssを発生する。このパルス信号発生器1には、図示しないプローブが接続されており、パルス信号Siまたはパルス信号Ssは、該プローブを介して出力される。また、上記プローブ先端部からパルス信号発生器1およびオシロスコープ3側を見たときの特性インピーダンスは、Zo(50Ωまたは75Ω)とされている。
【0028】
2は、被測定物たる導電性線材であり、この導電性線材2としては、例えば、炭素繊維束等が用いられている。この導電性線材2の一端2aには、プローブを介してパルス信号Siまたはパルス信号Ssが入力される。また、導電性線材2については、一端2aにおいて反射が発生しないように、そのインピーダンスと特性インピーダンスZoとができるかぎり整合するように、長さおよび径、材料の抵抗率の設計が行われる。3は、反射信号Sri3(図2(c)参照)または反射信号Srs3(図2(d)参照)の波形を表示するオシロスコープである。
【0029】
さらに、導電性線材2の外周面は、プラスチックス等の被覆材(図示略)で被覆されている。この被覆材としては、例えば、その破断伸びが、後述するより線や中心導体と同程度かまたは小さいという機械的特性を有しているものが用いられている。ここで、上記導電性線材2(より線)として銅線を用いた場合には、引張荷重による引張(破断)伸びが数パーセント以下のプラスチックスの被覆を用いることが望ましい。これにより、コンクリート部材のひび割れや亀裂の進展に伴い、被覆材であるプラスチックスに同じようにひび割れ、または亀裂が入り、ひいては、被覆材を含めた周辺のインピーダンスが変化し、この結果、その損傷状況をより感度良くモニタリングすることができる。
【0030】
引張(破断)伸びが数パーセント以下のプラスチックスとしては、例えば、ポリスチレンの標準グレード、またはビニルエステル系エポキシ樹脂の標準グレードのものが挙げられる。ここで、ポリスチレンの標準グレードのものの引張(破断)伸びは、2%であり、一方、ビニルエステル系エポキシ樹脂の標準グレードのものの引張(破断)は、3%である。
【0031】
また、オシロスコープ3には、各種演算を行うCPU(中央処理装置)(図示略)が内蔵されている。
【0032】
上記構成において、今、図1に示す導電性線材2の途中部分に引張荷重等による損傷部、すなわち障害点2bが存在するものとする。すなわち、導電性線材2においては、障害点2bによりインピーダンスの不整合が生じている。
【0033】
この状態において、図2(b)に示すパルス信号発生器1より、パルス信号Si(図2(c)参照)が図2(a)に示す導電性線材2の一端2aへプローブを介して出力されると、パルス信号Siは、導電性線材2を伝搬する。そして、パルス信号Siの一部は、障害点2bにより反射され、反射信号Sri1として、一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Siの残りは、他端2cにより反射され、反射信号Sri2として一端2aへ向けて伝搬する。
【0034】
これにより、導電性線材2の一端2aからは、上述した反射信号Sri1と反射信号Sri2とが重畳された反射信号Sri3が出力される。そして、この反射信号Sri3は、オシロスコープ3に入力される。この結果、オシロスコープ3には、図2(c)に示す反射信号Sri3の波形が表示される。この図において、部分Aは、反射信号Sri1に対応する部分であり、部分Bは、反射信号Sri2に対応する部分である。
【0035】
従って、図2(c)において、パルス信号Siと部分Aとの間の時間を求め、該時間に反射信号Sri3の伝搬速度(≒光速c)を乗算した結果を「2」で除算することにより、図2(a)に示す一端2aから障害点2bまでの距離が求められる。すなわち、導電性線材2における障害点2bの位置が特定される。
【0036】
また、図2(b)に示すパルス信号発生器1より、ステップ状のパルス信号Ss(図2(d)参照)が図2(a)に示す導電性線材2の一端2aへプローブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部は、障害点2bにより反射され、反射信号Srs1として、一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Ssの残りは、他端2cにより反射され、反射信号Srs2として一端2aへ向けて伝搬する。
【0037】
これにより、導電性線材2の一端2aからは、上述した反射信号Srs1と反射信号Srs2とが重畳された反射信号Srs3が出力される。そして、この反射信号Srs3は、オシロスコープ3に入力される。この結果、オシロスコープ3には、図2(d)に示す反射信号Srs3の波形が表示される。この図において、部分Cは、反射信号Srs1に対応する部分であり、部分Dは、反射信号Srs2に対応する部分である。
【0038】
従って、図2(d)において、パルス信号Ssの立ち上がりと部分Cとの間の時間を求め、該時間に反射信号Srs3の伝搬速度(≒光速c)を乗算した結果を「2」で除算することにより、図2(a)に示す一端2aから障害点2bまでの距離が求められる。すなわち、導電性線材2における障害点2bの位置が特定される。
【0039】
次に、本発明の第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の具体的構成について図3(a)および(b)を参照して説明する。図3(a)は、第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す平面図であり、図3(b)は、図3(a)に示すA−A線視断面図である。上記図3(a)および(b)において、図1、図2(a)および(b)に対応する部分には、同一の符号を付け、その説明を省略する。
【0040】
図3(a)に示す4は、地表5に縦方向に打設された、構造部材たる円柱形状の基礎杭である。この基礎杭4の内部には、図3(b)に示す杭頭4aから杭先端部4bまでに至って、長手方向に導電性線材2が埋設されている。また、導電性線材2の外周面は、図示しない絶縁材料(例えば、プラスチックス)により被覆されている。ここで、基礎杭4の長手方向の距離はL1(=50m)である。
【0041】
次に、上述した第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作について説明する。今、図3(b)に示す導電性線材2において、一端2a(杭頭4a)より下方向へ距離L2(=35m)隔てた障害点2bで断線が発生しているものとする。すなわち、上記障害点2bにおける断線は、基礎杭4に対して引張荷重等が加えられた結果、障害点2b近傍の基礎杭4部分に亀裂、ひび割れ、破損等が生じたことにより発生したものである。
【0042】
この状態において、図3(b)に示すパルス信号発生器1より、パルス信号Si(図4(b)参照)が導電性線材2の一端2aへプローブを介して出力されると、パルス信号Siは、他端2c方向へ向けて導電性線材2を伝搬する。そして、パルス信号Siの一部は、図4(a)に示す障害点2bにより反射され、反射信号Sri1(図2(b)参照)として、一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Siの残りは、他端2cにより反射され、反射信号Sri2(図2(b)参照)として一端2aへ向けて伝搬する。
【0043】
これにより、導電性線材2の一端2aからは、反射信号Sri1と反射信号Sri2とが重畳された反射信号Sri3(図4(c)参照)が出力される。なお、図4(c)においては、反射信号Sri2に対応する部分の図示が省略されている。
そして、この反射信号Sri3は、オシロスコープ3に入力される。この結果、オシロスコープ3には、図4(c)に示す反射信号Sri3の波形が表示される。この図において、部分Eは、図4(b)に示す反射信号Sri1に対応する部分である。
【0044】
次に、オシロスコープ3に内蔵されているCPU(図示略)は、図4(c)に示すパルス信号Siと部分Eとの間の伝搬遅延時間tdを求める。ここで、図4(a)に示す一端2aから障害点2bまでの距離L2は、上記伝搬遅延時間をtd、導電性線材2における反射信号Sri1の伝搬速度をvp(≒光速c)とすると次の(1)式で表される。
L2=td・vp/2 ・・・・・・・・・(1)
【0045】
次いで、CPUは、上記(1)式に先ほど求めた伝搬遅延時間td、および既値たる伝搬速度vpを各々代入して、距離L2を求める。
これにより、図3(b)に示す導電性線材2における障害点2bの位置が特定され、ひいては基礎杭4に発生している亀裂、ひび割れ、破損等の箇所が特定される。
【0046】
また、図3(b)に示すパルス信号発生器1より、ステップ状のパルス信号Ss(図4(d)参照)が図4(a)に示す導電性線材2の一端2aへプローブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部は、障害点2bにより反射され、反射信号Srs1として、一端2aへ向けて伝搬する。一方、パルス信号Ssの残りは、他端2cにより反射され、反射信号Srs2(図2(b)参照)として一端2aへ向けて伝搬する。
【0047】
これにより、導電性線材2の一端2aからは、上述した反射信号Srs1と反射信号Srs2とが重畳された、図4(e)に示す反射信号Srs3が出力される。なお、図4(e)においては、反射信号Srs2に対応する部分の図示が省略されている。
【0048】
そして、この反射信号Srs3は、オシロスコープ3に入力される。この結果、オシロスコープ3には、図4(e)に示す反射信号Srs3の波形が表示される。この図において、部分Fは、図4(d)に示すパルス信号Ssの立ち上がり部分に対応しており、部分Gは、反射信号Srs1に対応する部分である。
【0049】
次いで、CPUは、図4(e)に示す部分Fの立ち上がりから部分Gの立ち上がりまでの伝搬遅延時間tdを求めた後、先に示した(1)式に該伝搬遅延時間td、および既値たる伝搬速度vpを各々代入して、距離L2(図4(a)参照)を求める。
【0050】
次に、CPUは、図4(e)に示す反射信号Srs3の波形から得られる電圧ErおよびEiに基づいて、障害点2bの状態を次の手順で判定する。
すなわち、ここで、障害点2bにおける反射係数ρは、パルス信号Ss(入射波)の電圧をEi(図4(e)参照)、反射信号Srs1(反射波)の電圧をEr(図4(e)参照)、特性インピーダンスをZo(図3(b)参照)、障害点2bから他端2c側をみた導電性線材2のインピーダンスをZ1、障害点2bが存在しない場合において一端2aから他端2c側をみた導電性線材2のインピーダンスをZ0とすると、次の(2)式で表される。
ρ=Er/Ei=(Z1−Z0)/(Z1+Z0)・・・・(2)
【0051】
まず、CPUは、図4(e)に示す反射信号Srs3における部分Fの立ち上がりの電圧Ei、および部分Gの立ち上がりの電圧Erを各々求める。次いで、CPUは、上記電圧Eiおよび電圧Erを(2)式に代入して、反射係数ρを求める。ここで、電圧Ei=電圧Erなる関係があるものとすると、反射係数ρは、1である。従って、(2)式においては、(Z1−Z0)/(Z1+Z0)=1なる関係が成立することから、CPUは、インピーダンスZ1が無限大、すなわち、図3(b)に示す障害点2bが完全に断線しているものと判定する。
【0052】
一方、障害点2bが他の導体と短絡している場合や接地されている場合には、図4(e)に示す電圧Erは、マイナス符号であってかつ電圧Eiと同レベルとなる。従って、このような場合には、(2)式に示す反射係数ρは、−1とされ、CPUは、障害点2bが完全に短絡しているものと判定する。
【0053】
さらに、図3(b)に示す基礎杭4の障害点2b近傍の部分にひび割れ、亀裂等が発生して、障害点2bにおいて断線が発生した直後においては、反射係数ρは、上述したように1をとる。すなわち、障害点2bは、空気中に存在しているのである。
【0054】
そして、基礎杭4のひび割れ、亀裂部分に地下水が侵入して、障害点2bが地下水で満たされると、反射係数ρは、障害点2bのインピーダンスの変化に伴って1から−1へと徐々に変化する。この反射係数ρの変化により、CPUは、障害点2bが空気中にあるか、または地下水中にあるかを判定する。
言い換えれば、基礎杭4の施工後、反射係数ρの変化をモニタリングすることにより、基礎杭4のひび割れ部分、亀裂部分がどのような状態にあるのかを知ることができるのである。
【0055】
また、上記反射係数ρの変化により、基礎杭4の損傷箇所の状態を判定する場合には、実験等により反射係数ρの変化と基礎杭4の損傷箇所の状態との関係を表すデータを図示しないメモリに記憶しておけばよい。
この場合、CPUは、実際に得られる反射係数ρをメモリに記憶されているデータに適用することにより、基礎杭4の損傷箇所の状態を判定する。
【0056】
以上図面を参照して本発明の第1実施形態による構造部材のモニタリング装置について詳述してきたが、具体的な構成は、この第1実施形態に限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0057】
例えば、上述した第1実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、図3(b)に示す導電性線材2の形状等について特に限定をしなかったが、導電性線材2としては、次に列挙するものを用いてもよい。
(a) 炭素の長繊維を束ねた炭素繊維束を中心導体として、その外周面を絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)で被覆したもの。
(b) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により被覆されたより線を中心導体とした単線状のもの。または、絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により被覆された単線であって、導電性を有しかつ径が0.3mm以下の金属細線の単線。さらに、絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により、幅小であって長手方向に延伸された帯状の金属箔が被覆されてなる導電性の箔材。
(c) (a)項または(b)項で述べた各単線を2本以上より合わせたもの(図5(a)参照)。このような導電性線材2を用いることにより、線間容量の影響を低減することができる。
【0058】
(d) (a)項または(b)項で述べた各単線または箔材を中央部から各々折り曲げて、2つの端子を片側に集めたもの(図5(b)参照)。ただし、この場合、一方の部分と他方の部分とは所定距離をおいて絶縁されるように近接配置されているものとする。
(e) (a)項または(b)項で述べた各単線を中央部から各々折り曲げた後、一方の単線部と他方の単線部とをより合わせたもの(図5(c)参照)。
(f) 図5(a)に示すより線状のものを複数、平行配置した後、これらを絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により被覆した平行ケーブル状のもの。
(g) 単数(または複数)の中心導体の外周面が誘電体材料で被覆されており、かつ該誘電体材料の外周面が外部導体でシールドされている同軸ケーブル状のもの(同軸シールド線または多軸シールド線を含む)。このような、導電性線材2を用いることにより、外部からの電磁場の影響が低減される。
【0059】
また、上述した第1実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、図3(b)に示す導電性線材2の材料として、上述した(b)〜(g)において次に列挙するものを用いてもよい。
(イ) 銅などの導電性の金属
(ロ) 径が7ミクロン程度の細い繊維・炭素繊維をおおむね数千本単位で束ねた炭素繊維束。これを用いた場合には、径が極小であるため、特に高周波電流による表皮効果の影響が低減される。なお、上記炭素繊維の引張(破断)伸びは、0.4〜2.2%程度とされている。
(ハ) 炭素繊維(CF)等の補強材とエポキシ樹脂とからなる強化プラスチックス(RP)のうち、引抜き成形方法によりロッド状に加工されたもの(CFRP)。
(ニ) カーボン繊維(CF)とガラス繊維(GF)とがそれぞれ束ねられてなる繊維束等の補強材と、エポキシ、ビニルエステル等の樹脂とからなる強化プラスチックス(RP)の成形体(CFGFRP)。この成形体(CFGFRP)としては、棒状、矩形状、シート状、ネット状等の形状のものが用いられる。なお、成形体(CFGFRP)においては、ガラス繊維をセラミックス繊維やアラミド繊維に、さらにはセルロース樹脂に置き換えてもよい。
(ホ) 導電性粉末をプラスチックス材料中に分散させた後、硬化させることにより得られる導電性の高いプラスチックス成形体。ここで、上記導電性粉末としては、例えば、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粉末、炭化チタンや窒化チタン等のセラミックス粉末が用いられる。
(ヘ) 導電性粉末をモルタル材料中に分散させた後、硬化させることにより得られる導電性のモルタル成形体。ここで、上記導電性粉末としては、上述した(ホ)項で述べた炭素粉末、セラミックス粉末等が用いられる。
【0060】
以上説明したように、上述した第1実施形態による構造部材のモニタリング装置において(イ)項〜(ヘ)項で説明した種々の材料からなる様々な特性を有する導電性線材2を用いた場合には、引っ張り側における基礎杭4(導電性線材2)の破断のみならず、曲げや圧縮側における基礎杭4の損傷状態をも判定することができる。従って、(イ)項〜(ヘ)項で説明した導電性線材2を用いた場合には、目的に合わせて導電性線材2の種類を適宜選択することにより、基礎杭4の損傷状態をきめ細かくモニタリングすることができる。
【0061】
加えて、上述した第1実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、導電性線材2として、例えば、1000本の炭素繊維束と、3000本の炭素繊維束と、6000本の炭素繊維束とを直列に配置した後、これらを束ねて1本としたものを用いてもよい。すなわち、このような導電性線材2は、部分によって機械的強度が異なるという特性を有している。
【0062】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成について図6を参照して説明する。この図において、図3(b)の各部に対応する部分には、同一の符号を付ける。図6においては、図3(a)に示すオシロスコープ3および導電性線材2に代えてオシロスコープ20および導電性線材21、22が設けられている。
【0063】
オシロスコープ20は、2つの波形を同時に表示する、いわゆる2現象式のものであり、第1現象の信号を入力するための入力端子20aおよび第2現象の信号を入力するための入力端子20bを各々有している。また、このオシロスコープ20には、図示しないCPUが内蔵されており、このCPUは、図1に示すオシロスコープ3に内蔵されているCPUと同様にして、各種演算を行う。
【0064】
導電性線材21は、導電性線材2(図3(a)参照)と同一構成とされており、基礎杭4の杭頭4aから杭先端部4bに至って基礎杭4の内部に埋め込まれている。この導電性線材21の一端21aは、プローブを介して信号発生器1およびオシロスコープ20の入力端子20aに接続されている。
【0065】
導電性線材22は、導電性線材21に対して一定間隔をおいて平行配置されており、基礎杭4の杭頭4aから杭先端部4bに至って基礎杭4の内部に埋め込まれている。導電性線材22の一端22aは、オシロスコープ20の入力端子20bに接続されている。
【0066】
上記構成において、今、導電性線材21と導電性線材22とが短絡しておらず、かつ導電性線材21において基礎杭4の損傷等による障害点21bが存在しているものとする。この状態において、信号発生器1より、パルス信号Siまたはパルス信号Ssが出力されると、第1実施形態において説明した動作と同様にして、オシロスコープ20の入力端子20aには、反射信号Sri3または反射信号Srs3が入力される。このとき、オシロスコープ20の入力端子20bには、いずれの信号も入力されない。
【0067】
これにより、オシロスコープ20のCPUは、前述した動作と同様にして、障害点21bの位置を特定するとともに、(2)式を用いて反射係数ρを求めた後、障害点21bの状態、すなわち基礎杭4の損傷状態を判定する。
【0068】
一方、今、基礎杭4に多大なる損傷が発生したか、または基礎杭4にひび割れ等が発生して、同図に示す障害点Hにおいて導電性線材21と導電性線材22とが短絡しているものとする。ここで、上記短絡とは、物理的な接触はもとより、インピーダンスの不整合が生じていることをいう。従って、導電性線材21と導電性線材22とが物理的に接触していない場合であっても、インピーダンスの不整合が発生しているときには、電磁誘導作用により、導電性線材21と導電性線材22とが電気的に結合される。以下、短絡の定義については、同様とする。
この状態において、信号発生器1よりパルス信号Siが出力されると、パルス信号Siは、導電性線材21の一端21aから他端21cへ向けて伝搬する。そして、パルス信号Siの一部は、障害点Hにより反射され、反射信号Sri1(図2(b)参照)として、一端21aへ向けて伝搬するとともに、導電性線材22の一端22aへ向けて伝搬する。
【0069】
これにより、導電性線材22の一端21aからは、反射信号Sri3がオシロスコープ20の入力端子20aへ出力されるとともに、導電性線材22の一端22aからは、反射信号Sri3’が、オシロスコープ20の入力端子20bへ出力される。
【0070】
この結果、オシロスコープ20には、反射信号Sri3および反射信号Sri3’の各波形が表示される。
また、オシロスコープ20のCPUは、上述した動作と同様にして、障害点Hの位置を特定するとともに、反射信号Sri3’が入力されていることから、障害点Hにおいて短絡(インピーダンスの不整合)が発生しているものと判定する。
【0071】
一方、パルス信号発生器1より、ステップ状のパルス信号Ss(図4(d)参照)が導電性線材21の一端21aへプローブを介して出力されると、パルス信号Ssの一部は、障害点Hにより反射される。これにより、入力端子20aおよび入力端子20bには、反射信号Srs3および反射信号Srs3’が各々入力され、オシロスコープ20には、上記反射信号Srs3および反射信号Srs3’の各波形が表示される。
【0072】
次いで、CPUは、反射信号Srs3より得られる電圧Eiおよび電圧Er(図4(e)参照)および(2)式に基づいて、前述した手順により反射係数ρを求めるとともに、障害点Hの位置を特定する。ここで、今の場合、障害点Hにおいて短絡(インピーダンスの不整合)が発生しているため、上記電圧Erの符号は、マイナスである。従って、反射係数ρは、−1である。
【0073】
なお、上述した第2実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、平行配置された導電性線材21および導電性線材22を用いた例について説明したが、これら導電性線材21、22に代えて、前述した(g)項において説明した同軸状のものを用いてもよい。すなわち、この場合には、中心導体を導電性線材21(または導電性線材22)と見なすとともに、外部導体を導電性線材22(または導電性線材21)と見なすことができる。
【0074】
なお、上述した第2実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、図6に示す導電性線材21および導電性線材22という、いわゆる平行ケーブル状のものを用いた例について説明した。
しかしながら、上記導電性線材21および導電性線材22は、共に引張(破断)伸びが等しいものを用いてもよいが、引張(破断)伸びが異なるものを用いてもよい。
【0075】
すなわち、この場合には、導電性線材21として、引張(破断)伸びが例えば0.5%のものを用いる一方、導電性線材22として引張(破断)伸びが例えば1.2%のものを用いればよい。従って、これら導電性線材21および導電性線材22を用いた場合においては、引張(破断)伸びが小さい導電性線材21が導電性線材22より先に損傷を受けるため、基礎杭4が受けた損傷の程度を細かく判定することができる。
【0076】
また、一般に導電性線材21等の引張(破断)伸びは、原料(ポリアクリルニトリル(PAN系)およびピッチ系)、製造工程により調整することができ、例えば、0.4%〜2.2%の範囲とされている。従って、引張(破断)伸びが異なるものを用いる場合には、想定される基礎杭4の損傷状況、損傷の判定精度に応じて、導電性線材21および導電性線材22の各引張(破断)伸びを上記範囲内において選定すればよい。
【0077】
さらに、上述した異なる引張(破断)伸びの特性を有する材質のものを用いる方法は、前述した(g)項で説明した同軸ケーブル状のものにも適用可能である。この場合には、中心導体と外部導体との各引張(破断)伸びが異なるようにすればよい。
【0078】
加えて、上述した第2実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、導電性線材21および導電性線材22として次のものを用いてもよい。
まず、導電性線材21(または導電性線材22)としては、次に列挙する(21a)項〜(21c)項のうちいずれかのものを用いてもよい。
(21a) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により被覆されたより線(例えば、銅のより線)を中心導体とした単線状のもの。
(21b) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により被覆された単線であって、導電性を有しかつ径が0.3mm以下の金属細線の単線。
(21c) 絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)により、幅小であって長手方向に延伸された帯状の金属箔(例えば、銅箔)が被覆されてなる導電性の箔材。
【0079】
次に、導電性線材22(または導電性線材21)としては、次に列挙する(22a)項〜(22e)項のうちいずれかのものを用いてもよい。
(22a) 炭素の長繊維が束ねられてなる炭素繊維束を中心導体として絶縁性の高いプラスチックス(誘電体材料)で被覆したもの。
(22b) 炭素繊維(CF)等の補強材とエポキシ樹脂とからなる強化プラスチックス(RP)のうち、引抜き成形方法によりロッド状に加工されたもの(CFRP)。
(22c) カーボン繊維(CF)とガラス繊維(GF)とがそれぞれ束ねられてなる繊維束等の補強材と、エポキシ、ビニルエステル等の樹脂とからなる強化プラスチックス(RP)の成形体(CFGFRP)。この成形体(CFGFRP)としては、棒状、矩形状、シート状、ネット状等の形状のものが用いられる。なお、成形体(CFGFRP)においては、ガラス繊維をセラミックス繊維やアラミド繊維に、さらにはセルロース樹脂に置き換えてもよい。
(22d) 導電性粉末をプラスチックス材料中に分散させた後、硬化させることにより得られる導電性の高いプラスチックス成形体。ここで、上記導電性粉末としては、例えば、カーボンブラックや黒鉛等の炭素粉末、炭化チタンや窒化チタン等のセラミックス粉末が用いられる。
(22e) 導電性粉末をモルタル材料中に分散させた後、硬化させることにより得られる導電性のモルタル成形体。ここで、上記導電性粉末としては、上述した(22d)項で述べた炭素粉末、セラミックス粉末等が用いられる。
【0080】
以上説明したように、上述した第2実施形態による構造部材のモニタリング装置において(21a)項〜(21c)項で説明した導電性線材21と、(22a)項〜(22e)項で説明した導電性線材21を用いた場合には、導電性線材21の価格が導電性線材22に比して安いため、一般にはコストを下げることができる。
【0081】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成について図7を参照して説明する。この図において図6の各部に対応する部分には、同一の符号を付けその説明を省略する。図7においては、図6に示す導電性線材21および導電性線材22に代えて、導電性線材23が設けられている。
【0082】
上記導電性線材23は、上述した図5(b)に示すようにその中央部が折曲げられており、基本的な構成が導電性線材2(図3(b)参照)と同一とされている。また、導電性線材23の一端23aは、プローブを介して信号発生器1およびオシロスコープ20の入力端子20aに接続されており、他端23cは、オシロスコープ20の入力端子20bに接続されている。
【0083】
上記構成において、今、基礎杭4(導電性線材23)に損傷等が発生していないものとする。この状態において、信号発生器1よりパルス信号Siまたはパルス信号Ssが出力されると、該パルス信号Siまたはパルス信号Ssは、導電性線材23を伝搬した後、オシロスコープ20の入力端子20bに入力される。一方、入力端子20aにも、パルス信号Siまたはパルス信号Ssが入力される。
【0084】
これにより、オシロスコープ20には、同一波形たるパルス信号Siまたはパルス信号Ssが2現象分表示される。この結果、CPUは、同一波形がわずかな時間遅れをもってオシロスコープ20に表示されているため、基礎杭4(導電性線材2)に損傷等が発生していないものと判定する。
【0085】
一方、今、導電性線材23において、基礎杭4の損傷により障害点23bが存在しているものとする。この状態において、信号発生器1よりパルス信号Siまたはパルス信号Ssが出力されると、該パルス信号Siまたはパルス信号Ssは、導電性線材23の一端23aから他端23cへ向けて伝搬する。そして、パルス信号Siまたはパルス信号Ssの一部は、障害点23bにより、反射信号Sri1または反射信号Srs1としてオシロスコープ20の入力端子20aに入力される。
【0086】
他方、パルス信号Siまたはパルス信号Ssの残りは、導電性線材23の障害点23bを透過して、透過信号Sti1または透過信号Sts1として、導電性線材23を介してオシロスコープ20の入力端子20bに入力される。
【0087】
この結果、オシロスコープ20には、反射信号Sri1または反射信号Srs1、および透過信号Sti1または透過信号Sts1の各波形が表示される。これにより、CPUは、反射信号Sri1(または反射信号Srs1)と透過信号Sti1(または透過信号Sts1)とのレベル比より、障害点23b(基礎杭4)の状態を判定する。
【0088】
すなわち、CPUは、透過信号Sti1(または透過信号Sts1)がゼロである場合、障害点23bが完全に断線しているものと判定する。一方、CPUは、反射信号Sri1(または反射信号Srs1)のレベルが、透過信号Sti1(または透過信号Sts1)のレベルより大きい場合、障害点23bの損傷等が大きいものと判定し、他方、この逆の場合、障害点23bの損傷が小さいものと判定する。
【0089】
なお、上述した第3実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、1本の導電性線材23を折曲げて用いる例について説明したが、この導電性線材23に代えて、前述した(g)項において説明した同軸状のものを用いてもよい。すなわち、この場合には、中心導体の一端を一端23aと見なすとともに、外部導体の一端を他端23cと見なすことができる。また、この場合には、杭先端部4b側において中心導体の他端と外部導体の他端とを短絡する必要がある。
【0090】
以上説明したように、上述した第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、基礎杭4が弾性ひずみの範囲内で引張荷重等を受けた後、元の状態に戻ったとしても、上記弾性ひずみを受けた時点で導電性線材2の炭素繊維束の一部に破断が生じる。従って、第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、上述した場合であっても、過去の基礎杭4に対して引張荷重等が加えられたということを判定することができるという効果が得られる。言い換えれば、第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、基礎杭4の損傷状況を連続的にモニタリングすることができるという効果が得られる。
【0091】
また、第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、センサとして従来の光ファイバに代えて、導電性線材2を用いているため、基礎杭4がコンクリートである場合であっても、耐久性が向上するという効果が得られる。
また、第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、従来のもののように、導電性線材の中間点に複数の端子を設けることなく、低コストでかつ簡易な構成で基礎杭4の損傷箇所を特定することができるという効果が得られる。
【0092】
<第4実施形態>
次に、本発明の第4実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成について図8を参照して説明する。この図において、図3(b)の各部に対応する部分には同一の符号を付けその説明を省略する。図8においては、図3(b)に示す信号発生器1およびオシロスコープ3に代えて、ネットワークアナライザ30、パワースプリッタ31および方向性結合器32が設けられている。以下に説明する第4実施形態による構造部材のモニタリング装置の測定原理は、VNA(Vector Network Analyser)測定方法に基づくものである。
【0093】
図8において、ネットワークアナライザ30は、5Hz〜数十GHzの信号解析が可能な測定機器であり、後述する高周波信号Shを出力するとともに、入力される高周波信号Sh1および反射信号Srに基づいて、導電性線材2(基礎杭4)の状態を判定する機能等を有している。具体的には、ネットワークアナライザ30は、高周波信号Sh1および反射信号Srの位相特性および周波数領域における振幅特性を求め、これらに基づいて、伝送路の損失や信号の伝搬遅延時間等をさらに求める等の機能を有している。
【0094】
このネットワークアナライザ30は、1つの出力端子30a、3つの入力端子30b、30cおよび30dを有している。上記出力端子30aからは、高周波信号Shが出力される。また、入力端子30bおよび30cには、高周波信号Sh1および反射信号Srが各々入力される。なお、この第4実施形態において、ネットワークアナライザ30の入力端子30dには、いずれも信号も入力されない。また、ネットワークアナライザ30の動作の詳細については、後述する。
【0095】
パワースプリッタ31は、入力される高周波信号Shを高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流するものであり、分流抵抗R1およびR2から構成されている。すなわち、分流抵抗R1およびR2の各一端は、ネットワークアナライザ30の出力端子30aに接続されており、分流抵抗R1の他端は、ネットワークアナライザ30の入力端子30bに接続されている。
【0096】
方向性結合器32は、端子32a、32bおよび32cを有しており、端子32aに入力される高周波信号Sh2を端子32bから出力するとともに、端子32bに入力される反射信号Srを端子32cから出力する。ここで、方向性結合器32の端子32aは、分流抵抗R2の他端に接続されており、端子32cは、導電性線材2の一端2aに接続されている。また、方向性結合器32の端子32cは、ネットワークアナライザ30の入力端子30cに接続されている。
【0097】
次に、上述した第4実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作について説明する。
図8において、今、導電性線材2の途中に障害点2bが存在しているものとする。この状態において、ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、該高周波信号Shは、パワースプリッタ31により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流され、このうち高周波信号Sh1は、ネットワークアナライザ30の入力端子30bに入力される。ここで、上記高周波信号Sh2は、パルス状またはステップ状のものである。
【0098】
一方、高周波信号Sh2は、パワースプリッタ31の分流抵抗R2、方向性結合器32を介して、導電性線材2の一端2aへ入力される。さらに、高周波信号Sh2は、障害点2bにより反射されて、反射信号Srとして、一端2a方向へ伝搬する。そして、この反射信号Srは、方向性結合器32を介して、ネットワークアナライザ30の入力端子30cに入力される。
【0099】
これにより、ネットワークアナライザ30は、入力された高周波信号Sh1および反射信号Srの位相特性および周波数領域における振幅特性を求める。次いで、ネットワークアナライザ30は、上記位相特性および振幅特性の各情報に対して、逆フーリエ変換を行い、図4(c)または図4(e)に示す反射信号Sri3または反射信号Srs3と同様な時間軸の波形を得る。
【0100】
すなわち、ネットワークアナライザ30は、高周波信号Shがパルス状のものであるとき、図4(c)に示す波形と同様のものを得た後、該波形より伝搬遅延時間tdを求める。次いで、ネットワークアナライザ30は、上記伝搬遅延時間tdと前述した(1)式とから、図8に示す導電性線材2の一端2aから障害点2bまでの距離L2を求めることにより、障害点2bの位置を特定する。
【0101】
一方、ネットワークアナライザ30は、高周波信号Shがステップ状のものであるとき、図4(e)に示す波形と同様のものを得た後、該波形より伝搬遅延時間tdを求めた後、さらに上述した動作と同様にして、障害点2bの位置を特定する。
次いで、ネットワークアナライザ30は、図4(e)に示す波形と同様のものから、電圧Eiおよび電圧Erを求めた後、前述した(2)式より反射係数ρを求める。そして、ネットワークアナライザ30は、前述した手順と同様にして、反射係数ρから障害点2b(基礎杭4)の損傷状態を判定する。
【0102】
また、ネットワークアナライザ30は、上述した逆フーリエ変換を行うとき、ノイズ成分をカットしたものに対して逆フーリエ変換を行う。これにより、逆フーリエ変換された結果は、ノイズによる影響を受けないものとなる。
【0103】
ここで、ネットワークアナライザ30の分解能について説明する。ネットワークアナライザ30の分解能は、高周波信号Shの周波数に比例して向上する。例えば、高周波信号Shの周波数を110GHzとした場合には、導電性線材2を覆う被覆材の影響を受けて、2.7mm(1波長)の60%〜90%が分解能となる。
【0104】
なお、上述した第4実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、導電性線材2として、前述した(a)項、(b)項および(c)項において説明したより線等を用いてもよい。この場合には、高周波における表皮効果が低減される。
【0105】
<第5実施形態>
次に、本発明の第5実施形態による構造部材のモニタリング装置について図9を参照して説明する。この図において、図8の各部に対応する部分には、同一の符号を付けその説明を省略する。図9においては、図8に示す方向性結合器32、導電性線材2に代えて、スイッチ33、方向性結合器34、方向性結合器35および導電性線材23が設けられている。
【0106】
スイッチ33は、高周波信号Sh2を方向性結合器34または方向性結合器35のいずれかへ出力するための切り替えスイッチである。このスイッチ33の可動片33eおよび可動片33fは、図示しない制御装置または手動によって、端子33bおよび端子33d側、または端子33a側および端子33c側のいずれかに切り換えられる。また、端子33bおよび端子33cは、パワースプリッタ31の分流抵抗R2の他端に接続されている。
【0107】
方向性結合器34は、図8に示す方向性結合器32と同一構成とされており、その端子34aが可動片33eに、その端子34bが導電性線材23の一端23aに、その端子34cがネットワークアナライザ30の入力端子30cに各々接続されている。この方向性結合器34は、端子34aに入力される高周波信号Sh2を端子34bへ出力するとともに、端子34bに入力される反射信号Sr(または透過信号St)を端子34cへ出力するという機能を有している。
【0108】
導電性線材23は、図7に示すものと同一構成とされており、その中央部から折り曲げられている。方向性結合器35は、方向性結合器34と同一構成とされており、その端子35aが可動片33fに、その端子35bが導電性線材23の他端23cに、その端子35cがネットワークアナライザ30の入力端子30dに各々接続されている。
【0109】
上記方向性結合器35は、端子35aに入力される高周波信号Sh2を端子35bへ出力するとともに、端子35bに入力される透過信号St(または反射信号Sr)を端子35cへ出力するという機能を有している。
【0110】
次に、上述した第5実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作について説明する。
図9において、今、導電性線材23に障害点23bが存在しており、かつスイッチ33の可動片33eおよび可動片33fが端子33b側および端子33d側に各々切り換えられているものとする。
【0111】
この状態において、ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、該高周波信号Shは、前述した動作と同様にして、パワースプリッタ31により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流される。そして、高周波信号Sh1がネットワークアナライザ30の入力端子30bに入力される一方、高周波信号Sh2は、分流抵抗R2、スイッチ33および方向性結合器34を介して、導電性線材23の一端23aに入力された後、導電性線材23を伝搬する。
【0112】
そして、高周波信号Sh2の一部は、障害点23bにより反射されて、反射信号Srとして、方向性結合器34を介してネットワークアナライザ30の入力端子30cに入力される。
一方、高周波信号Sh2の残りは、障害点23bを透過して透過信号Stとして方向性結合器35を介してネットワークアナライザ30の入力端子30dに入力される。
【0113】
これにより、ネットワークアナライザ30は、前述した第4実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作と同様にして、高周波信号Sh1、反射信号Srおよび透過信号Stの各位相特性および振幅特性を得る。次に、ネットワークアナライザ30は、高周波信号Sh1および反射信号Srの位相特性および振幅特性に対して逆フーリエ変換を行い、図4(c)または図4(e)に示すものと同様の波形から、前述した動作と同様にして、伝搬遅延時間tdを求め、これに基づいて、図9に示す導電性線材23の一端23aから障害点23bまでの距離を求める。
【0114】
また、ネットワークアナライザ30は、反射信号Srと透過信号Stとのレベル比より、障害点23b(基礎杭4)の状態を判定する。
【0115】
すなわち、CPUは、透過信号Stのレベルがゼロである場合、障害点23bが完全に断線しているものと判定する。一方、ネットワークアナライザ30は、反射信号Srのレベルが、透過信号Stのレベルより大きい場合、障害点23bの損傷等が大きいものと判定し、他方、この逆の場合、障害点23bの損傷が小さいものと判定する。
【0116】
また、今、スイッチ33の可動片33eおよび可動片33fが、制御装置または手動により、同図に示す状態から、端子33aおよび端子33c側に切り替えられたものとする。
この状態において、ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、該高周波信号Shは上述した動作と同様にして、パワースプリッタ31により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流される。そして、上記高周波信号Sh2は、分流抵抗R2、スイッチ33および方向性結合器35を介して、導電性線材23の他端23cに入力された後、導電性線材23を伝搬する。
【0117】
そして、高周波信号Sh2の一部は、障害点23bにより反射されて、反射信号Srとして、方向性結合器35を介してネットワークアナライザ30の入力端子30dに入力される。
一方、高周波信号Sh2の残りは、障害点23bを透過して透過信号Stとして方向性結合器34を介してネットワークアナライザ30の入力端子30cに入力される。
これにより、ネットワークアナライザ30は、上述した動作と同様にして、他端23cから障害点23bまでの距離を求めるとともに、障害点23b(基礎杭4)の状態を判定する。
【0118】
<第6実施形態>
次に、本発明の第6実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成について図10を参照して説明する。この図において、図8の各部に対応する部分には、同一の符号を付ける。図10においては、図8に示す方向性結合器32が設けられておらず、かつ図8に示す導電性線材2に代えて、導電性線材21および導電性線材22が設けられている。
【0119】
すなわち、図10に示すパワースプリッタ31の分流抵抗R2の他端は、導電性線材21の一端21aに接続されている。導電性線材21および導電性線材22は、図6に示すものと同一構成とされており、一定間隔をおいて基礎杭4内部に平行配置されている。導電性線材22の一端22aは、ネットワークアナライザ30の入力端子30cに接続されている。
【0120】
次に、上述した第6実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作について説明する。
今、導電性線材21と導電性線材22との間に短絡(インピーダンスの不整合)が生じておらず、かつ導電性線材21において基礎杭4の損傷等による障害点21bが存在しているものとする。この状態において、ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、該高周波信号Shは、パワースプリッタ31により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分流される。そして、上記高周波信号Sh1がネットワークアナライザ30の入力端子30bに入力される一方、高周波信号Sh2は、導電性線材21の一端21aに入力された後、導電性線材21を伝搬する。
【0121】
そして、高周波信号Sh2の一部は、導電性線材21の障害点21bにより反射され、反射信号Srとしてパワースプリッタ31を介してネットワークアナライザ30の入力端子30bに入力される。これにより、ネットワークアナライザ30は、第5実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作と同様にして、高周波信号Sh1および反射信号Srの位相特性および振幅特性を求めた後、これらの情報に対して逆フーリエ変換を行い、時間軸の波形を得る。次いで、ネットワークアナライザ30は、上記波形より伝搬遅延時間td(図4(c)、(e)参照)を求め、上記伝搬遅延時間tdから、一端21aから障害点21bまでの距離を求める。
【0122】
一方、今、基礎杭4に多大なる損傷が発生したか、または基礎杭4にひび割れ等が発生して、同図に示す障害点Hにおいて導電性線材21と導電性線材22との間に短絡(インピーダンスの不整合)が生じているものとする。
この状態において、ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、上述した動作を経て高周波信号Sh2の一部は、障害点Hにより反射され、反射信号Srとして、一端2aへ向けて伝搬する。これと同時に、高周波信号Sh2の残りは、反射信号Sr’として導電性線材22の一端22aへ向けて伝搬する。
【0123】
これにより、導電性線材22の一端21aからは、パワースプリッタ31を介して反射信号Srがネットワークアナライザ30の入力端子30bへ出力されるとともに、同一端22aからは、ネットワークアナライザ30の入力端子30cへ反射信号Sr’が出力される。
【0124】
これにより、ネットワークアナライザ30は、上述した動作と同様にして、反射信号Srおよび反射信号Sr’の波形を得た後、該波形に基づいて、障害点Hの位置を特定するとともに、反射信号Sr’が入力されていることから、障害点Hにおいて短絡(インピーダンスの不整合)が発生しているものと判定する。なお、障害点Hを特定する手順は、前述した第2実施形態による構造部材のモニタリング装置における手順と同様である。
【0125】
<第7実施形態>
次に、本発明の第7実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成について図11を参照して説明する。この図において、図10の各部に対応する部分には同一の符号を付けその説明を省略する。図11においては、図10に示すパワースプリッタ31に代えて、方向性結合器36が設けられている。
【0126】
方向性結合器36は、端子36a、36bおよび36cを有しており、端子36aに入力される高周波信号Shを、高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分岐するという機能を有している。すなわち、方向性結合器36は、高周波信号Sh1を端子36cから出力するとともに、高周波信号Sh2を端子36bから出力する。また、方向性結合器36の端子36aは、ネットワークアナライザ30の出力端子30aに接続されており、端子36bは、導電性線材21の一端21aに接続されており、端子36cは、ネットワークアナライザ30の入力端子30bに接続されている。
【0127】
次に、上述した第7実施形態による構造部材のモニタリング装置の動作について説明する。
図11において、今、基礎杭4に多大なる損傷が発生したか、または基礎杭4にひび割れ等が発生して、同図に示す障害点Hにおいて導電性線材21と導電性線材22との間に短絡(インピーダンスの不整合)が生じているものとする。
【0128】
この状態において、ネットワークアナライザ30の出力端子30aより高周波信号Shが出力されると、該高周波信号Shは、方向性結合器36により高周波信号Sh1と高周波信号Sh2とに分岐される。そして、高周波信号Sh1がネットワークアナライザ30の入力端子30bに入力されるとともに、高周波信号Sh2は、導電性線材21の一端21aに入力された後、導電性線材21を伝搬する。
【0129】
そして、高周波信号Sh2は、障害点Hにおいて反射され、反射信号Srとして導電性線材22を伝搬した後、ネットワークアナライザ30の入力端子30dに入力される。
これにより、ネットワークアナライザ30は、上述した動作と同様にして、高周波信号Sh1および反射信号Srの波形を得た後、該波形に基づいて、障害点Hの位置を特定するとともに、反射信号Srが入力されていることから、障害点Hにおいて短絡(インピーダンスの不整合)が発生しているものと判定する。なお、障害点Hを特定する手順は、前述した第2実施形態による構造部材のモニタリング装置における手順と同様である。
【0130】
以上説明したように、上述した第4〜第7実施形態による構造部材のモニタリング装置によれば、信号として高周波信号Shを用いているので、第1〜第3実施形態による構造部材のモニタリング装置の効果に加えて、モニタリングの精度を向上させることができるという効果が得られる。
【0131】
以上、本発明の第1〜第7実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれら第1〜第7実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、第1〜第7実施形態においては、基礎杭4に対してモニタリングを行う例について説明したが、これに限定されることなく、モニタリングの対象は、構造部材であればいかなるものであってもよい。一例としては、鉄筋コンクリート構造物、鉄筋造等が挙げられる。なお、鉄筋造をモニタリングの対象とする場合には、導電性線材2等を接着材等を用いて確実に固定するとともに、養生を行うことが必要である。以下、具体例について説明する。
【0132】
図12は、導電性線材50の構成およびその配設状態を示す一部裁断側断面図である。この図において、51は、コンクリート等から構成された構造物であり、柱51a、51b、51cおよび51dと梁51e、51fおよび51gとが直交されてなる。導電性線材50は、前述した導電性線材2、21、22または23と同一構成とされており、柱51b、梁51fおよび柱51dの各表面に接着されている。
【0133】
52aおよび52bは、柱51bおよび51dの側面に各々取り付けられた端子であり、端子52aおよび52bには、導電性線材50の各端部が接続されている。なお、第1実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子52a(または端子52b)には、図1および図3に示すパルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ3が接続される。また、第3実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子52aには図7に示すパルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ20の入力端子20aが接続され、端子52bには図7に示すオシロスコープ20の入力端子20bが接続される。
【0134】
さらに、第4実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子52a(または端子52b)には図8に示す方向性結合器32の端子32bが接続される。加えて、第5実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子52aには図9に示す方向性結合器34の端子34bが接続され、端子52bには図9に示す方向性結合器35の端子35bが接続される。
【0135】
上記構成において、構造物51に荷重が作用して、構造物51に変形が生じることにより断面積が増加すると、導電性線材50に引っ張り力が作用し、導電性線材50の抵抗値が変化する。これにより、前述した手法により構造物51の損傷状況等が検知される。
このように、導電性線材50を用いた場合には、構造物51における広い範囲に亙って構造物51の表面の損傷状況(ひび割れ、剥離)等をモニタリングすることができる。
また、近時においては、炭素繊維シートを既存の構造物および構造部材に接着することによる耐震補強が行われている。従って、図12を参照して説明した手法は、上記炭素繊維シートの性能保証や性能確認をモニタリングする手法として非常に有効である。
【0136】
なお、第2、第6および第7実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、図12に示す導電性線材50を2本使用し、2本の導電性線材50を平行配置すればよい。
【0137】
図13は、導電性線材60の構成およびその配設状態を示す一部裁断側面図である。この図において、61は、コンクリート等から構成された構造物であり、柱61a、61bと梁61c、61dとが直交されてなる。導電性線材60は、前述した導電性線材2、21、22または23と同一構成とされている。この導電性線材60は、柱61aおよび柱61bの外周面に沿って巻回されている。
【0138】
端子62aおよび62bは、柱61bの側面に各々取り付けられている。なお、第1実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子62a(または端子62b)には、図1および図3に示すパルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ3が接続される。また、第3実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子62aには図7に示すパルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ20の入力端子20aが接続され、端子62bには図7に示すオシロスコープ20の入力端子20bが接続される。
【0139】
さらに、第4実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子62a(または端子62b)には図8に示す方向性結合器32の端子32bが接続される。加えて、第5実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子62aには図9に示す方向性結合器34の端子34bが接続され、端子62bには図9に示す方向性結合器35の端子35bが接続される。
【0140】
63aは、導電性線材60の一端部60aと端子62aとの間を接続するリード線であり、63bは、導電性線材60の他端部60bと端子62bとの間を接続するリード線である。
【0141】
上記構成において、構造物61に荷重が作用して、構造物61の柱61aまたは柱61bに変形が生じることにより断面積が増加すると、導電性線材60に引っ張り力が作用し、導電性線材60の抵抗値が変化する。これにより、前述した手法により構造物61の表面の損傷状況(ひび割れ、剥離)等がモニタリングされる。
このように、導電性線材60を用いた場合には、構造物61における広い範囲に亙って構造物61の損傷状況等をモニタリングすることができる。
【0142】
なお、第2、第6および第7実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、図13に示す導電性線材60を2本使用し、2本の導電性線材60を平行配置すればよい。
【0143】
図14は、導電性線材70の構成およびその配設状況を示す一部裁断側面図である。この図において、71は、コンクリート等から構成された構造物であり、柱71a、71bと梁71c、71dとが直交されてなる。
導電性線材70は、前述した導電性線材2、21、22または23と同一構成とされている。
【0144】
この導電性線材70は、同図に示すように波線形状に形成されており、構造物71の表面に接着されている。すなわち、導電性線材70は、梁71cから梁71dまでに至る広い範囲に設けられている。
また、導電性線材70は、その一端部70aと他端部70bが近接するように形成されている。
【0145】
72a、72bは、柱71bの側面71eに各々取り付けられた端子である。なお、第1実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子72a(または端子72b)には、図1および図3に示すパルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ3が接続される。また、第3実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子72aには図7に示すパルス信号発生器1のプローブおよびオシロスコープ20の入力端子20aが接続され、端子72bには図7に示すオシロスコープ20の入力端子20bが接続される。
【0146】
さらに、第4実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子72a(または端子72b)には図8に示す方向性結合器32の端子32bが接続される。加えて、第5実施形態による構造部材のモニタリング装置において、端子72aには図9に示す方向性結合器34の端子34bが接続され、端子72bには図9に示す方向性結合器35の端子35bが接続される。73a、73bは、導電性線材70の一端部70aおよび他端部70bと端子72aおよび端子72bとの間を各々接続するリード線であり、柱71bの内部に埋設されている。
【0147】
上記構成において、構造物71に亀裂、損傷等が発生していない状態では、テスタ1により測定される、導電性線材70の抵抗値は、非常に低い値である。
そして、今、構造物71に荷重が作用しているものとすると、該荷重により、構造物71に変形、断面積変化が生じることにより、導電性線材70に対して引っ張り力が作用、導電性線材70の抵抗値が変化する。これにより、前述した手法により構造物71の表面の損傷状況(ひび割れ、剥離)等がモニタリングされる。
【0148】
このように、導電性線材70を用いた場合には、構造物71における広い範囲に亙って構造物71の損傷状況等をモニタリングすることができる。
また、導電性線材70を用いた場合には、一端部70aおよび他端部70bが近接配置されているため、導電性線材70等を楽に施工することができる。
【0149】
なお、図14においては、導電性線材70を平面的に配設した例について説明したが、これに限定されることなく導電性線材70を構造物71の表面または内部に立体的に配設するようにしてもよい。
さらに、第2、第6および第7実施形態による構造部材のモニタリング装置においては、図14に示す導電性線材70を2本使用し、2本の導電性線材70を平行配置すればよい。
【0150】
また、本発明の第1および第2実施形態において述べた、導電性線材2、21、22の形状、材質等の変形例は、本発明の第3〜第7実施形態においても適用される。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、構造部材が弾性ひずみの範囲内で引張荷重等を受けた後、元の状態に戻ったとしても、上記弾性ひずみを受けた時点で導線の繊維束の一部に破断が生じる。従って、本発明によれば、上述した場合であっても、過去の構造部材に対して引張荷重等が加えられたということを判定することができるという効果が得られる。
言い換えれば、本発明によれば、構造部材の損傷状況を連続的にモニタリングすることができるという効果が得られる。
【0152】
また、本発明によれば、導電性線材として従来の光ファイバに代えて、導線を用いているため、構造部材がコンクリートである場合であっても、耐久性が向上するという効果が得られる。
また、本発明によれば、従来のもののように、導電性線材の中間点に複数の端子を設けることなく、低コストでかつ簡易な構成で構造部材の損傷箇所を特定することができるという効果が得られる。
【0153】
さらに、導線として第1の導線、第2の導線を用いる場合、それら第1の導線、第2の導線のうち、第1の導線を導電性を有する安価なもの(例えば、単線)とすることができ、価格の高い第2の導線を2本使用する場合に比してコストを安くすることができるという効果が得られる。
また、導線を構造部材の表面に導線を接着する構成とすれば、構造部材の表面に生じるひび割れ、剥離等の損傷状態を広い範囲に亙って判定することができるという効果が得られる。
【0154】
さらに、導線への入射信号として高周波信号を用いるようにすれば、この高周波信号の周波数に比例してモニタリングの分解能を向上させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示す構造部材のモニタリング装置の動作を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態による構造部材のモニタリング装置の具体的構成を示す図である。
【図4】図3に示す構造部材のモニタリング装置の動作を説明する図である。
【図5】図3に示す導電性線材2の変形例を示す図である。
【図6】本発明の第2実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す図である。
【図7】同第3実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す図である。
【図8】同第4実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す図である。
【図9】同第5実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す図である。
【図10】同第6実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す図である
【図11】同第7実施形態による構造部材のモニタリング装置の構成を示す図である。
【図12】同第1〜第7実施形態による構造部材のモニタリング装置に用いられる導電性線材50の構成およびその配設状況を示す一部裁断側断面図である。
【図13】同第1〜第7実施形態による構造部材のモニタリング装置に用いられる導電性線材60の構成およびその配設状況を示す一部裁断側面図である。
【図14】同第1〜第7実施形態による構造部材のモニタリング装置に用いられる導電性線材70の構成およびその配設状況を示す一部裁断側面図である。
【符号の説明】
1 信号発生器
2 導電性線材
2b 障害点
3 オシロスコープ
4 基礎杭
20 オシロスコープ
21 導電性線材
22 導電性線材
23 導電性線材
50 導電性線材
51 構造物
60 導電性線材
61 構造物
70 導電性線材
71 構造物
30 ネットワークアナライザ
31 パワースプリッタ
32 方向性結合器
33 スイッチ
34 方向性結合器
35 方向性結合器
36 方向性結合器

Claims (3)

  1. 構造部材の内部に埋設されるかあるいは構造部材の表面に接着され、導電性を有する導線と、
    前記導線の一端へ入射信号としてパルス信号又は高周波信号を供給する信号供給手段と、
    前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記入射信号及び前記反射信号の電圧に基づいて反射係数を算出して前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装置。
  2. 構造部材の内部に埋設されるかあるいは構造部材の表面に接着され、導電性を有する第1の導線と、
    前記第1の導線に対して所定間隔をおいて前記構造部材の内部に平行配置され、導電性を有する第2の導線と、
    前記第1の導線の一端へ入射信号としてパルス信号又は高周波信号を供給する信号供給手段と、
    前記第1の導線の一端より出力される第1の反射信号に基づいて前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記入射信号及び前記第1の反射信号の電圧に基づいて反射係数を算出しかつその算出値と前記第2の導線の一端より出力される第2の反射信号の有無とにより前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装置。
  3. 構造部材の内部に埋設されるかあるいは構造部材の表面に接着され、導電性を有する導線と、
    前記導線の一端へ入射信号としてパルス信号又は高周波信号を供給する信号供給手段と、
    前記導線の一端より出力される反射信号に基づいて前記構造部材の損傷位置を特定するとともに、前記反射信号と前記導線の他端より出力される透過信号のレベル比を算出して前記構造部材の損傷状態を判定する判定手段と
    を具備することを特徴とする構造部材のモニタリング装置。
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