JPH1162990A - 多点接触玉軸受 - Google Patents

多点接触玉軸受

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JPH1162990A
JPH1162990A JP11588198A JP11588198A JPH1162990A JP H1162990 A JPH1162990 A JP H1162990A JP 11588198 A JP11588198 A JP 11588198A JP 11588198 A JP11588198 A JP 11588198A JP H1162990 A JPH1162990 A JP H1162990A
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JP
Japan
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ring
raceway
contact ball
ball bearing
raceway surface
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Application number
JP11588198A
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English (en)
Inventor
Masahito Taniguchi
雅人 谷口
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C19/00Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement
    • F16C19/02Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows
    • F16C19/14Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load
    • F16C19/16Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with a single row of balls
    • F16C19/163Bearings with rolling contact, for exclusively rotary movement with bearing balls essentially of the same size in one or more circular rows for both radial and axial load with a single row of balls with angular contact
    • F16C19/166Four-point-contact ball bearings

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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼球と2点で接触する軌道面を有する軌道輪
が1つのリング部材から構成されている場合に、この軌
道輪の軌道面の表面粗さを効率良く改善して摩擦トルク
低減、磨耗防止、耐久性向上を容易に図ることができる
多点接触玉軸受を提供する。 【解決手段】 合わせ内輪タイプの四点接触玉軸受10
の外輪12は、ゴシックアーチの断面形状を有する軌道
面12aが形成されている1つのリング部材から構成さ
れ、外輪12には、軌道面12aの表面粗さを改善する
ために、遠心バレル機によりバレル加工が施される。こ
の遠心バレル機により12時間連続のバレル加工を実施
した場合、加工前に0.3μmRaであった外輪12の
軌道面12aの表面粗さが0.06μmRaに改善され
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外輪と内輪間にそ
れぞれに鋼球が接触するように保持され、外輪および内
輪の内の少なくとも一方の軌道輪に鋼球と二点で接触す
る軌道面が形成されている多点接触玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、転がり軸受においては、摩擦ト
ルク低減、磨耗防止、耐久性向上のために、軌道輪と転
動体との接触部に、表面粗さに比べ十分な厚さの潤滑油
膜を確保する必要がある。よって、深溝玉軸受などの一
般的な転がり軸受では、軌道面に超仕上加工を施し、そ
の表面粗さを小さくしている。
【0003】また、玉軸受の中には、三点接触玉軸受、
四点接触玉軸受などの多点接触玉軸受があり、この多点
接触玉軸受においては、外輪および内輪の内の少なくと
も一方の軌道輪に鋼球と二点で接触する軌道面が形成さ
れている。例えば、三点接触玉軸受の場合、外輪および
内輪の内のいずれか一方の軌道輪には鋼球と二点で接触
する軌道面が形成され、他方の軌道輪には鋼球と一点で
接触する軌道面が形成されている。この鋼球と2点で接
触する軌道面の断面形状としては、ゴシックアーチ、歪
円、V字形などの形状がある。
【0004】このような鋼球と2点で接触する軌道面を
有する軌道輪としては、2つのリング部材から構成され
た軌道輪、1つのリング部材から構成された軌道輪など
がある。例えば、断面形状がゴシックアーチからなる軌
道面を有する内輪を2つのリング部材から構成するとき
には、まず、2つのリング部材をアーバーなどにより一
体に合わせて内輪部材を形成し、この内輪部材の外周面
に対し断面形状が円弧形状の軌道溝を形成する。この軌
道溝の形成後、内輪部材は各リング部材に分離され、各
リング部材の合わせ面がそれぞれ所定幅分平面カットさ
れる。このカット後に、各リング部材を再度一体的に合
わせることによって内輪が構成されるともに、この内輪
には、ゴシックアーチの断面形状を有する軌道溝すなわ
ち鋼球と2点接触可能な軌道面が形成されることにな
る。
【0005】これに対し、断面形状がゴシックアーチか
らなる軌道面を有する内輪を1つのリング部材から構成
するときには、リング部材の外周面に溝加工を施すこと
によって、ゴシックアーチの断面形状を有する軌道溝が
形成されている。
【0006】鋼球と一点または2点で接触するような軌
道面の表面粗さの改善を行うときには、上述したよう
に、この軌道面に対し超仕上加工が施される。2つのリ
ング部材から構成された軌道輪の場合には、各リング部
材毎にそれに形成された軌道面に対し超仕上加工を施し
て各リング部材の軌道面の表面粗さを小さくする方法が
用いられている。これに対し、1つのリング部材から構
成された軌道輪の場合には、それに形成された軌道面に
対し超仕上加工を施してその軌道面の表面粗さを小さく
する方法が用いられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ゴシックアーチの断面
形状からなる軌道面を有する軌道輪を2つのリング部材
から構成する場合には、各リング部材毎に形成された軌
道面が円弧形状であるので、各リング部材の軌道面に対
しては超仕上加工を容易に施すことができるが、前記軌
道輪を1つのリング部材から構成する場合には、該リン
グ部材に形成された軌道面がゴシックアーチ、歪円、V
字形などの断面形状を有するので、このリング部材の軌
道面に対してはその断面形状の制約により超仕上加工を
効率良く行うことが難しい。また、前記軌道輪が歪円、
V字形などの断面形状からなる軌道面を有する場合に
も、同様に、超仕上加工を効率良く行うことは難しい。
よって、鋼球と2点で接触する軌道面を有する軌道輪を
1つのリング部材から構成する場合、この軌道輪の軌道
面の表面粗さを効率良く改善することが難しく、摩擦ト
ルク低減、磨耗防止、耐久性向上を容易に図ることがで
きない。
【0008】本発明は、上記問題を解決するために、鋼
球と2点で接触する軌道面を有する軌道輪が1つのリン
グ部材から構成されている場合に、この軌道輪の軌道面
の表面粗さを効率良く改善して摩擦トルク低減、磨耗防
止、耐久性向上を容易に図ることができる多点接触玉軸
受を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
外輪と内輪間にそれぞれに鋼球が接触するように保持さ
れ、前記外輪および前記内輪の内の少なくとも一方の軌
道輪に前記鋼球と二点で接触する軌道面が形成されてい
る多点接触玉軸受において、前記少なくとも一方の軌道
輪が1つのリング部材から構成されている場合に、バレ
ル加工により前記少なくとも一方の軌道輪の軌道面の表
面粗さを調整したことを特徴とする。
【0010】請求項1記載の多点接触玉軸受では、鋼球
と二点で接触する軌道面を有する少なくとも一方の軌道
輪が1つのリング部材から構成されている場合に、バレ
ル加工により少なくとも一方の軌道輪の軌道面の表面粗
さを調整したので、この少なくとも一方の軌道輪の軌道
面の表面粗さを効率良く改善して摩擦トルク低減、磨耗
防止、耐久性向上を容易に図ることができる。また、バ
レル加工が施された軌道輪においては、剥離に至るまで
の転がり疲れ寿命が延び、ひいては軸受寿命の延長効果
を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を参照しながら説明する。
【0012】(実施の第1形態)まず、本発明の原理が
適用された多点接触玉軸受の構成例を図1ないし図5を
参照しながら説明する。図1は本発明に係る多点接触玉
軸受である四点接触玉軸受の一例における主要部を示す
構成図、図2は本発明に係る多点接触玉軸受である四点
接触玉軸受の他の例における主要部を示す構成図、図3
は本発明に係る多点接触玉軸受である四点接触玉軸受の
さらに他の例における主要部を示す構成図、図4は本発
明に係る多点接触玉軸受である三点接触玉軸受の一例に
おける主要部を示す構成図、図5は本発明に係る多点接
触玉軸受である三点接触玉軸受の他の例における主要部
を示す構成図である。
【0013】多点接触玉軸受としては、合わせ内輪タイ
プの四点接触玉軸受10(図1に示す)、合わせ外輪タ
イプの四点接触玉軸受20(図2に示す)、内輪、外輪
それぞれ一体構造の四点接触玉軸受30(図3に示
す)、内輪、外輪それぞれ一体構造の三点接触玉軸受4
0,50(図4または図5に示す)がある。
【0014】合わせ内輪タイプの四点接触玉軸受10
は、図1に示すように、内輪11と外輪12との間に保
持器4により保持されている複数の鋼球3を有する。内
輪11は互いに合わされた2つのリング部材13,14
から構成されている。各リング部材13,14には所定
半径の円弧状の断面形状を有する軌道面13a,14a
がそれぞれ形成され、各軌道面13a,14aは互いに
共働してゴシックアーチの断面形状を有する軌道面11
aを形成する。外輪12は1つのリング部材から構成さ
れ、該リング部材にはゴシックアーチの断面形状を有す
る軌道面12aが形成されている。外輪12の軌道面1
2aの表面粗さは、バレル加工により調整されている。
各鋼球3は内輪11の軌道面11aに対し二点で接触す
るようにかつ外輪12の軌道面12aに対し二点で接触
するように内輪11と外輪12との間に保持されてい
る。この鋼球3と内輪11、外輪12との間の接触状態
は図中の一点鎖線で示している。
【0015】合わせ外輪タイプの四点接触玉軸受20で
は、図2に示すように、内輪21が1つのリング部材か
ら構成され、外輪22が互いに合わされた2つのリング
部材23,24から構成されている。内輪21にはゴシ
ックアーチの断面形状を有する軌道面21aが形成さ
れ、該軌道面21aの表面粗さはバレル加工により調整
されている。外輪22を構成する2つのリング部材2
3,24には所定半径の円弧状の断面形状を有する軌道
面23a,24aがそれぞれ形成され、各軌道面23
a,24aは互いに共働してゴシックアーチの断面形状
を有する軌道面22aを形成する。各鋼球3は内輪21
の軌道面21aに対し二点で接触するようにかつ外輪2
2の軌道面22aに対し二点で接触するように内輪21
と外輪22との間に保持されている。
【0016】内輪、外輪それぞれ一体構造の四点接触玉
軸受30では、図3に示すように、内輪31および外輪
32が1つのリング部材から構成され、内輪31にはゴ
シックアーチの断面形状を有する軌道面31aが、外輪
32にはゴシックアーチの断面形状を有する軌道面32
aがそれぞれ形成されている。各軌道面31a,32a
の表面粗さは、バレル加工によりそれぞれ調整されてい
る。各鋼球3は内輪31の軌道面31aに対し二点で接
触するようにかつ外輪32の軌道面32aに対し二点で
接触するように内輪31と外輪32との間に保持されて
いる。
【0017】内輪、外輪それぞれ一体構造の三点接触玉
軸受40では、図4に示すように、内輪41および外輪
42が1つのリング部材から構成されている。内輪41
にはゴシックアーチの断面形状を有する軌道面41aが
形成され、軌道面41aの表面粗さはバレル加工により
調整されている。外輪42には円弧状の断面形状を有す
る軌道面42aが形成されている。各鋼球3は内輪41
の軌道面41aに対し二点で接触するようにかつ外輪4
2の軌道面42aに対し一点で接触するように内輪41
と外輪42との間に保持されている。
【0018】内輪、外輪それぞれ一体構造の三点接触玉
軸受50では、図5に示すように、内輪51および外輪
52が1つのリング部材から構成されている。内輪51
には円弧状の断面形状を有する軌道面51aが形成さ
れ、外輪52にはゴシックアーチの断面形状を有する軌
道面52aが形成されている。外輪52の軌道面52a
の表面粗さはバレル加工により調整されている。各鋼球
3は内輪51の軌道面51aに対し一点で接触するよう
にかつ外輪52の軌道面52aに対し二点で接触するよ
うに内輪51と外輪52との間に保持されている。
【0019】上述の各多点接触玉軸受の内輪または外輪
において、1つのリング部材から構成されかつ二点で接
触する軌道面を有する内輪または外輪に対しては、その
軌道面に対する表面粗さの改善を目的としてバレル加工
が施される。このバレル加工を合わせ内輪タイプの四点
接触玉軸受10(図1に示す)の外輪12に施す場合を
例に説明する。
【0020】外輪12に対するバレル加工を施す装置と
しては遠心バレル機を使用し、この遠心バレル機では、
アルミナ系砥粒を材料とする球形のメディアを使用し、
該メディアの直径を軌道面曲率半径の70%程度の値に
設定している。また、コンパウンドとしては鋼の仕上げ
用として一般的に用いられるものを使用する。合わせ内
輪タイプの四点接触玉軸受10(図1に示す)の外輪1
2は、上述したように、ゴシックアーチの断面形状を有
する軌道面12aが形成されている1つのリング部材か
ら構成されている。外輪12は、軌道面12aが形成さ
れた後に遠心バレル機内に送り込まれ、遠心バレル機に
より外輪12に対しバレル加工が施される。この遠心バ
レル機により12時間連続のバレル加工を実施した場
合、加工前に0.3μmRaであった外輪12の軌道面
12aの表面粗さが0.06μmRaに改善された。
【0021】このように、1つのリング部材から構成さ
れた外輪12においてゴシックアーチからなる断面形状
を有する軌道面12aが形成されているときに、この外
輪12の軌道面12aに対して超仕上げ加工を効率的に
行うことは難しいが、バレル加工を効率的に行うことは
容易である。よって、バレル加工を実施することによっ
て、外輪12の軌道面12aの表面粗さを効率良く改善
することができ、四点接触玉軸受10の摩擦トルク低
減、磨耗防止、耐久性向上を容易に図ることができる。
【0022】また、バレル加工を施した軸受材料におい
てはその表面の残留圧縮応力が大きくなり、亀裂の伝播
を抑制する効果が生じるため、剥離に至るまでの転がり
疲れ寿命が延びる。よって、バレル加工が施された外輪
12においては、剥離に至るまでの転がり疲れ寿命が延
び、ひいては軸受寿命の延長効果を得ることができる。
【0023】なお、本実施の形態では、バレル加工を合
わせ内輪タイプの四点接触玉軸受10(図1に示す)の
外輪12に施す場合を例に説明したが、他の多点接触玉
軸受においても同様に、ゴシックアーチからなる断面形
状を有する軌道面が形成されている1つのリング部材か
ら構成された軌道輪に対しバレル加工を施すことによっ
て、超仕上げ加工を効率的に行うことが難しい断面形状
を有する軌道面の表面粗さを効率良く改善することがで
き、多点接触玉軸受の摩擦トルク低減、磨耗防止、耐久
性向上を容易に図ることができる。例えば、合わせ外輪
タイプの四点接触玉軸受20(図2に示す)の場合には
その内輪21に、内輪、外輪それぞれ一体構造の四点接
触玉軸受30(図3に示す)の場合には内輪31および
外輪32に、内輪、外輪それぞれ一体構造の三点接触玉
軸受40(図4に示す)の場合には内輪41に、内輪、
外輪それぞれ一体構造の三点接触玉軸受50(図5に示
す)の場合には外輪52にバレル加工が施されることに
なる。
【0024】また、本実施の形態では、ゴシックアーチ
の断面形状を有する軌道面が形成されている軌道輪に対
しバレル加工を施す例について説明したが、超仕上げ加
工を効率的に行うことが難しい他の断面形状例えば歪
円、V字形などの断面形状を有する軌道面が形成されて
いる軌道輪に対してもバレル加工を施すことによって、
軌道面の表面粗さを効率良く改善することができること
はいうまでもない。
【0025】さらに、本実施の形態では、1つのリング
部材から構成された軌道輪に対しバレル加工による軌道
面の表面粗さを改善する例について説明したが、分割さ
れた複数のリング部材から構成された軌道輪、例えば2
つのリング部材から構成された軌道輪に対しても本発明
の原理を適用することができることはいうまでもない。
【0026】(実施の第2形態)次に、本発明の実施の
第2形態について図6を参照しながら説明する。図6は
内輪、外輪それぞれ一体構造の四点接触玉軸受における
摩擦トルクと軌道面の表面粗さとの関係を表すコンピュ
ータによる解析結果を示す図である。
【0027】本実施の形態では、バレル加工による軌道
面の表面粗さの加工範囲を0.03μmRaから0.1
μmRaまでの範囲に設定している。
【0028】まず、図3に示す内輪、外輪それぞれ一体
構造の四点接触玉軸受30における摩擦トルクに及ぼす
軌道面31a,32aの表面粗さの影響について説明す
る。
【0029】この四点接触玉軸受30における摩擦トル
クに及ぼす軌道面31a,32aの表面粗さの影響を次
の表1に示す解析条件に基づきコンピュータにより解析
すると、この解析結果として図6に示す結果が得られ
る。
【0030】
【表1】 ここで、表1から分かるように、アキシアル荷重のみが
負荷されているという条件下で解析し、また、四点接触
玉軸受30における内輪31、外輪32の各軌道輪の軌
道面31a,32aの表面粗さは同一であると仮定す
る。
【0031】図6に示す解析結果から、各軌道面31
a,32aの表面粗さの増大に伴い四点接触玉軸受30
の摩擦トルクが増加することが分かり、特に低回転(2
00rpm,500rpm)の場合においては、各軌道
輪の軌道面31a,32aの表面粗さがおおむね0.1
μmRa以下になると、摩擦トルクが著しい減少傾向を
示す。これに対し、各軌道輪の軌道面31a,32aの
表面粗さが0.1μmRaを超えるときには、回転数に
よらずに摩擦トルクは高い値を示す。これは、軌道面3
1a,32aと鋼球3との接触点に生じる潤滑油膜の厚
さに比べて表面粗さが大きくなるため、接触面の突起間
で金属同士の接触が起こり、潤滑油膜によって二表面が
分離されている場合に比べて摩擦が大きくなることに起
因するものである。油膜形成は、回転数や荷重、温度な
どの運転条件によって変化するが、表面粗さがおおむね
0.1μmRa以下であれば、潤滑油、潤滑方法を適正
に選択することにより、表面粗さに比べて十分な厚さの
潤滑油膜を確保し、好ましい潤滑状態で多点接触玉軸受
を使用することが可能になると考えられる。また、バレ
ル加工によって表面粗さを極限まで改善することは可能
であるが、加工時間およびコストを考慮して表面粗さの
下限値としては0.03μmRa以上であれば、実用上
十分な効果が得られると考えられる。よって、バレル加
工による軌道面31a,32aの表面粗さの加工範囲を
0.03μmRaから0.1μmRaまでの範囲に設定
すれば、余分な加工時間およびコストを掛けることな
く、好ましい潤滑状態を得るための十分な厚さの潤滑油
膜を確保することが可能な表面粗さが容易に得られるこ
とになる。さらに好ましくは、バレル加工による軌道面
31a,32aの表面粗さの加工範囲を0.03μmR
aから0.06μmRaまでの範囲とする。
【0032】なお、本実施の形態では、四点接触玉軸受
30における内輪31、外輪32の各軌道輪の軌道面3
1a,32aの表面粗さを0.03μmRaから0.1
μmRaまでの範囲に設定する例について説明したが、
他の多点接触玉軸受(図1、図2、図4、図5に示す四
点接触玉軸受または三点接触玉軸受)においても同様
に、例えばゴシックアーチからなる断面形状を有する軌
道面が形成されている1つのリング部材から構成された
軌道輪に対しバレル加工による軌道面の表面粗さの加工
範囲を0.03μmRaから0.1μmRaまでの範囲
に設定することによって、余分な加工時間およびコスト
を掛けることなく、好ましい潤滑状態を得るための十分
な厚さの潤滑油膜を確保することが可能な表面粗さが容
易に得られることになる。
【0033】また、本実施の形態では、1つのリング部
材から構成された軌道輪に対しバレル加工による軌道面
の表面粗さを改善する例について説明したが、分割され
た複数のリング部材から構成された軌道輪、例えば2つ
のリング部材から構成された軌道輪に対しても本発明の
原理を適用することができることはいうまでもない。
【0034】(実施の第3形態)次に、本発明の実施の
第3形態について図7を参照しながら説明する。図7は
内輪、外輪それぞれ一体構造の四点接触玉軸受における
摩擦トルクと軌道面の表面粗さとの関係を表す実験によ
る測定結果を示す図である。
【0035】本実施の形態では、内輪、外輪がそれぞれ
一体構造の四点接触玉軸受における摩擦トルクに及ぼす
軌道面の表面粗さの影響を確認するための実験を行い、
その実験結果について説明する。この実験の供試軸受と
しては、図3に示すような四点接触玉軸受が用いられ、
その諸元は上記表1に示すものと同じである。この軸受
における内輪、外輪の各軌道輪にはそれぞれゴシックア
ーチ状の軌道溝が研削加工によって形成され、内外輪の
各軌道面に対しては上述の実施の第1形態に準じたバレ
ル加工を施している。ここでは、供試軸受として、バレ
ル加工時間やバレル加工前の軌道面の粗さを選択して軌
道面の表面粗さがそれぞれ異なる4つの四点接触玉軸受
(軸受A,B,C,D)を試作した。試作した各軸受
A,B,C,Dに対するバレル加工の有無および軌道面
の表面粗さを表2に示す。
【0036】
【表2】 摩擦トルクの測定には、谷口、荒牧、正田、4点接触玉
軸受の性能解析、(社)日本トライボロジー学会トライ
ボロジー会議予稿集(東京 1996−5)に記された
方法を用い、この測定条件としては、表3に示す条件を
用いている。
【0037】
【表3】 ここでは、表3から分かるように、試作した各四点接触
玉軸受A,B,C,Dに対して、アキシアル荷重108
0N、ラジアル荷重980Nを負荷し、軸受単体の動摩
擦トルクを測定している。この測定結果を図7に示す。
【0038】図7に示す測定結果から、軌道輪の表面粗
さが最も小さい軸受Aにおいて動摩擦トルクが最も小さ
くなり、軸受B,C,Dの順に、軌道輪の表面粗さの増
加に従い動摩擦トルクが上昇していることが分かる。す
なわち、軌道輪の表面粗さの減少に伴い動摩擦トルクが
減少することが分かる。
【0039】特に低回転の場合、軌道輪の表面粗さが
0.1μmRaより小さい軸受Aにおいては、回転数の
低下に従い摩擦トルクが減少する傾向を顕著に示す。こ
れに対し、軌道輪の表面粗さが0.1μmRaを超える
軸受C,Dにおいては、回転数によらず高い動摩擦トル
クを示すとともに、回転数が低いときには、高回転時に
比して動摩擦トルクが増加する傾向が見られる。よっ
て、明らかに、バレル加工により軌道輪の表面粗さを
0.1μmRa以下とすることによって、特に低回転域
で四点接触玉軸受の動摩擦トルクが小さく抑制されてい
る。
【0040】また、表2に示すように、バレル加工を施
した軸受Cとバレル加工を施していない(すなわち研削
加工により軌道輪の表面粗さを調整した)軸受Dとの間
では、それぞれの軌道輪の表面粗さ(平均の表面粗さ)
が大きく違わない。しかし、図7から明らかなように、
両者の間の動摩擦トルクの値は大きく異なる。すなわ
ち、バレル加工を施した軸受Cの動摩擦トルクは、バレ
ル加工を施さずに研削加工のみにより軌道輪の表面粗さ
を調整した軸受Dの動摩擦トルクに比して、明らかに小
さい。このことから、バレル加工を施すことは、軌道輪
の表面粗さを改善するだけではなく、動摩擦トルクの低
減に有効に作用していることが分かる。すなわち、軌道
輪の表面性状が、バレル加工により粗さの山が平らにな
りまたその表面の残留圧縮応力が大きくなるなどによっ
て動摩擦トルクの低減に有効な性状に変化すると考えら
れる。
【0041】このように、図3に示すような内輪、外輪
がそれぞれ一体構造でかつそれぞれの軌道面の断面形状
がゴシックアーチ形状である四点接触玉軸受に対して
は、この軌道面にバレル加工を施すことにより、動摩擦
トルク低減を容易に図ることを確認することができた。
また、動摩擦トルクの低減効果をさらに得るためには、
バレル加工による軌道面の表面粗さの加工範囲を0.0
6μmRaまでの範囲に設定することが好ましいことに
なる。
【0042】なお、本実施の形態では、図3に示すよう
な内輪、外輪がそれぞれ一体構造でかつそれぞれの軌道
面の断面形状がゴシックアーチ形状である四点接触玉軸
受を例にして、この軌道面に施したバレル加工が軸受の
動摩擦トルクの低減に寄与することを示したが、他の多
点接触玉軸受(図1、図2、図4、図5に示す四点接触
玉軸受または三点接触玉軸受)に対しても同様に、バレ
ル加工を用いて内外輪の軌道面の表面粗さを小さくする
ことにより、同摩擦トルクを低減させ、良好な軸受性能
を得ることが可能であると考えられる。
【0043】また、分割された複数のリング部材から構
成された軌道輪、例えば2つのリング部材から構成され
た軌道輪に対しても本発明の原理を適用することができ
ることはいうまでもない。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の多
点接触玉軸受によれば、鋼球と二点で接触する軌道面を
有する少なくとも一方の軌道輪が1つのリング部材から
構成されている場合に、バレル加工により少なくとも一
方の軌道輪の軌道面の表面粗さを調整したので、この少
なくとも一方の軌道輪の軌道面の表面粗さを効率良く改
善して摩擦トルク低減、磨耗防止、耐久性向上を容易に
図ることができる。また、バレル加工が施された軌道輪
においては、剥離に至るまでの転がり疲れ寿命が延び、
ひいては軸受寿命の延長効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る多点接触玉軸受である四点接触玉
軸受の一例における主要部を示す構成図である。
【図2】本発明に係る多点接触玉軸受である四点接触玉
軸受の他の例における主要部を示す構成図である。
【図3】本発明に係る多点接触玉軸受である四点接触玉
軸受のさらに他の例における主要部を示す構成図であ
る。
【図4】本発明に係る多点接触玉軸受である三点接触玉
軸受の一例における主要部を示す構成図である。
【図5】本発明に係る多点接触玉軸受である三点接触玉
軸受の他の例における主要部を示す構成図である。
【図6】内輪、外輪それぞれ一体構造の四点接触玉軸受
における摩擦トルクと軌道面の表面粗さとの関係を表す
コンピュータによる解析結果を示す図である。
【図7】内輪、外輪それぞれ一体構造の四点接触玉軸受
における摩擦トルクと軌道面の表面粗さとの関係を表す
実験による測定結果を示す図である。
【符号の説明】
3 鋼球 4 保持器 10,20,30 四点接触玉軸受 11,21,31,41,51 内輪 11a,21a,31a,41a,51a 軌道面 12,22,32,42,52 外輪 12a,22a,32a,42a,52a 軌道面 40,50 三点接触玉軸受

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外輪と内輪間にそれぞれに鋼球が接触す
    るように保持され、前記外輪および前記内輪の内の少な
    くとも一方の軌道輪に前記鋼球と二点で接触する軌道面
    が形成されている多点接触玉軸受において、前記少なく
    とも一方の軌道輪が1つのリング部材から構成されてい
    る場合に、バレル加工により前記少なくとも一方の軌道
    輪の軌道面の表面粗さを調整したことを特徴とする多点
    接触玉軸受。
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