JPH1162833A - プランジャポンプ用バルブ - Google Patents

プランジャポンプ用バルブ

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JPH1162833A
JPH1162833A JP24027397A JP24027397A JPH1162833A JP H1162833 A JPH1162833 A JP H1162833A JP 24027397 A JP24027397 A JP 24027397A JP 24027397 A JP24027397 A JP 24027397A JP H1162833 A JPH1162833 A JP H1162833A
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JP
Japan
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valve
seat
plunger pump
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solid
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JP24027397A
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English (en)
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Hidenori Okuma
英則 大隈
Mamoru Tanaka
守 田中
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Y B M KK
Original Assignee
Y B M KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】壊食現象を起こさないようにバルブ本体とバル
ブシートとの間の硬度差と対向面状態を適切にし、バル
ブ本体の表面粗さを適切にして、耐久時間を実質的に8
倍にする。 【構成】プランジャポンプのバルブ機構の壊食防止構造
である。バルブ本体41は本体表層部47と本体内実部
46とから形成され、バルブシート21はシート表層部
25とシート内実部24とから形成され、本体表層部4
7とシート表層部25は互いに硬度が異なり、本体表層
部47は平滑処理がなされている。本体表層部47は少
なくともその一部がカニゼンメッキ層で形成されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プランジャポンプに使
用されるバルブに関する。更に詳しくは、キャビテーシ
ョンによるバルブの損傷を防止する鏡面対称なプランジ
ャポンプ用バルブシートに関する。
【0002】
【従来の技術】高圧を発生するプランジャポンプでは、
キャビテーションが発生する。キャビテーションは、可
動側であるバルブ本体と非可動側であるバルブシートの
それぞれの面を損傷させ高圧ポンプの高圧化機能を低下
させる。漏洩防止手段を改良することにより低圧化して
も送り出し流量を低減させない努力が一方でなされてい
るが、それでも、1000Kgf/平方cmの高圧発生
が必要である。しかし、このように圧力を下げても、な
おシート面の損傷を回避できない現状である。
【0003】このような損傷は、キャビテーション・気
泡が崩壊するときに発生する高い衝撃により起こると従
来から説明されている。いわゆるウオータージェット壊
食が発生すると説明されている。一般に、ウオータージ
ェット壊食は金属面を痛めるが、出願人会社のバルブシ
ートが有している弾性材で形成した面は損傷しない。こ
のような損傷差の詳細なメカニズムは不明であるが、そ
の弾性体は硬度が低いからであるか、弾性体の固有振動
数と流体の固有振動数とが共鳴しないのではないか等の
推定的検討がなされている。水の固有振動数と金属の固
有振動数は元来全く異なるのにエロージョンが激しく発
生する現象を説明するために、水中クラスタと金属体中
クラスタの共鳴ではないかとの推定も可能であるが、ど
のような説も推定の域を出ていない。
【0004】従来現実的・実際的な対応を行うために、
このような損傷の生起によっても実質的に耐久寿命を2
倍にする案が採用されている。即ち、バルブ本体もバル
ブシートも共に鏡面対称に形成することにより、裏返し
て使用する案が採用されてきた。しかし、上述の壊食は
使用していない側の面にも生じ、裏返ししなければなら
ない状態になると、反対側の面も壊食が進んでいて、案
通りに2倍の寿命で使用することができず、その案の良
さを生かし切れていない現状である。
【0005】このような現状に鑑み、多方面から考察さ
れる実験を繰り返し行う試行錯誤的な研究を行ってき
た。例えば、ある種の超硬合金はキャビテーションエロ
ージョンに対して有効な対抗性を示すが、コストが高く
なりすぎて実用的ではない。ある程度に硬度が高いSC
M(クロムモリブデンはだ焼鋼)は、キャビテーション
エロージョンに対して有効な対抗性を示すが、錆が生じ
て結局弁体としては不適切であることが判明した。その
他の実験では、きわめて狭い空間に閉じこめるように発
生させる高速ジェット流体を挟むバルブ本体とバルブシ
ートの硬度が異なれば、どちらの面にもキャビテーショ
ンエロージョンに基づく壊食の進行が遅れる傾向も見出
された。いずれにしても有効な理論的解析が行われてい
ない現状では、キャビテーションエロージョンに基づく
壊食の進行を遅らせるための経験則を見つけて対応する
ことが合理的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような技
術的背景に基づいてなされたものであり、下記目的を達
成する。
【0007】本発明の目的は、壊食現象を起こさないよ
うにバルブ本体とバルブシートとの間の硬度差と対向面
状態を適切にしたプランジャポンプ用バルブを提供する
ことにある。
【0008】本発明の他の目的は、壊食現象を起こさな
いようにバルブ本体とバルブシートとの間の硬度差を適
切にするとともにバルブ本体の表面粗さを適切にしたプ
ランジャポンプ用バルブを提供することにある。
【0009】本発明の他の目的は、耐久時間を実質的に
8倍にするプランジャポンプ用バルブを提供することに
ある。
【0010】本発明の更に他の目的は、前記目的をより
よく達成するための最良の材料を選択したプランジャポ
ンプ用バルブを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解
決するために次のような手段が採られている。プランジ
ャポンプは、シリンダ内で往復動するプランジャにより
生じさせた高圧脈動流体を一方方向に送り出すために2
位置で動作する逆止弁としての2組のバルブが用いられ
る。1組のバルブは、バルブシートとこれに対して可動
なバルブ本体からなり弁構造を形成する逆止弁である。
【0012】バルブ本体は、本体表層部と本体内実部と
から形成されている。バルブシートは、シート表層部と
シート内実部とから形成されている。本体表層部とシー
ト表層部は互いに硬度が異なる。この硬度の相違は、本
体表層部の一部とシート表層部の一部とが異なる場合を
含む。即ち、本体表層部の全部とシート表層部の全部と
が異なる必要はない。硬度が同じであると、原因不明の
キャビテーションエロージョンが起きやすい。本体表層
部は平滑処理がなされている。硬度が異なる両材料が形
成する対向面は、その表面が平滑であればあるほどキャ
ビテーションエロージョンが起きにくい。
【0013】硬度の差が極端であることが好ましい。例
えば、ゴムと高炭素クロム鋼(SUJ2)の関係硬度
差、ゴムとクロム・モリブデンはだ焼き鋼(SCM44
0)の関係硬度差である。これらの鋼の硬度は、ロック
ウエルCスケールで、50以上であることが好ましく、
特に、70に近い硬度であることが好ましい。この場合
対応硬度でいえば、ビッカー硬度では1000に近い値
であることが好ましい。これは、カニゼンメッキ層を4
00度Cで熱処理した硬度に相当する。カニゼンメッキ
処理はバルブ本体の必要箇所だけでよいが、処理コスト
からすれば、全面処理であることが好ましい。特に、鏡
面対称構造では、全面処理であることが好ましい。
【0014】バルブシート側の表層部即ちシート表層部
は、弾性体例えばゴムが焼き付けられていることが好ま
しい。バルブシートは、その設計上、内実部が露出する
構造に形成される。この露出部にもカニゼンメッキを施
すことが好ましい。しかし、対向する一方の面が平滑で
あれば、他方の面はその側の材料がそれなりの硬度を有
しておれば、必ずしも平滑処理を施す必要はない。
【0015】本発明との関係で見た場合、カニゼンメッ
キの第1の特徴は表面処理後の表面がきわめて平滑であ
ること、その第2の特徴はその表面処理層がきわめて硬
いことであり、これら両特徴が同時に成立していること
に技術上の重要な意義が認められる。
【0016】キャビテーションエロージョンは、硬度が
高ければ起こりにくいというのではない。キャビテーシ
ョンエロージョンを有効に防止するための条件は、まず
キャビテーションを起こさせないこと、次に、キャビテ
ーションが起こってもエロージョンが起きないような硬
度を持たせることである。対向する面の硬度が異なって
いて、且つ、平滑であればキャビテーションが起きにく
い。キャビテーションが起きても、硬度が高ければ、エ
ロージョンは起きにくい。硬度差があって一方の面が平
滑であれば、その一方の面にエロージョンは発生しにく
く、一方の面にエロージョンが発生しにくい場合には他
方の面にも発生しにくい、という経験則が見出された。
【0017】経験則からすると、硬度差はキャビテーシ
ョン泡またはこれを単位とする集団のクラスターの共鳴
化を阻止すること、表面の平滑さはキャビテーション泡
の激しい運動を阻止することの2点を示している。この
2条件が同時に成立すると、キャビテーション泡の乱流
化が阻止されるので、キャビテーションの乱流によるエ
ロージョンの進行が遅延する。
【0018】ここで、硬度差は硬度についての同一の定
義によりいわれる場合の硬度差を含むが、異なる定義に
よりいわれる材料どうしでは基本的に硬度が異なってい
ると考る。例えば、ビッカース硬度の定義によればコン
ニャクの方が鉄よりも硬いということになり感覚に合致
しないが、鉄とコンニャクとの間には、硬度差が存在す
るものとする(材料が異なるから当然であるといえ
る)。
【0019】コスト上合理的なクロムモリブデンはだ焼
鋼を用いると2倍の耐久性があり、これにカニゼンメッ
キを施すと錆びず、且つ、平滑になって更に2倍の耐久
性があり、鏡面対称の構造にすることにより裏返し使用
をすれば更に2倍の耐久性を保証でき、結局、8倍の耐
久性があるバルブを提供することができる。
【0020】バルブ本体もバルブシートも、いわゆるフ
ラットバルブと称されるように、対称鏡面が平行である
ものとして実用されるが、両者に曲率を持たせることも
できる。
【0021】
【発明の効果】本発明によるプランジャポンプ用バルブ
は、耐久性を高めることができ、実質的に、ポンプを更
に高圧化することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明のプランジャポンプ
用バルブの実施の形態について説明する。図1は、本発
明のプランジャポンプ用バルブを組み込んだプランジャ
ポンプを示す正面断面図である。図1に示すように、ポ
ンプ1は適宜の原動機(図示せず)に連結されるクラン
ク軸2を内部に有している。クランク軸2には、クラン
ク3、ピン4、スライダ5、連接棒6、カップリング7
などを介してプランジャ8が連結されている。
【0023】プランジャ8は、シリンダブロック9に形
成されるシリンダ10にはめられている。プランジャ8
はシリンダ10の中でほぼ同軸に往復運動自在に設けら
れている。プランジャ8は、後述するように、圧縮空
気、圧縮液体などの圧縮流体を圧縮するためのピストン
として用いられる。吸入口11は、流体を吸い込むため
の吸込口である。
【0024】吸入バルブ機構12は、吸入口11から吸
入した流体を吸入して圧縮時には閉鎖するための機構で
ある。吐出口13は、圧縮流体を吐出する吐き出し口で
ある。吐出バルブ機構14は、圧縮流体を吐出するため
の機構である。吸入口11と吐出口13との間の圧縮部
15は、圧縮室16を備えている。
【0025】圧縮室16にプランジャ8の先頭部が突入
し進退動する。吸入バルブ機構12と吐出バルブ機構1
4は、同一構造である。吸入バルブ機構12と吐出バル
ブ機構14は、同一のバルブとバルブシート21をそれ
ぞれに備えている。
【0026】バルブシート21は、図2に示すように、
概ね円板状又はディスク状に形成されている。バルブシ
ート21は、対称軸線Lに関して対称であり、また、対
称面Sに関して対称である。対称軸線Lと対称面Sは直
交している。バルブシート21には、中央に流路22が
構成されている。流路22は、対称軸L及び対称面Sに
関して対称である。
【0027】流路の向きは使用中は1方向に定められる
が、バルブシート21は反転使用されるので、流 路方
向は図中に双方向矢印23で示されている。バルブシー
ト21は、シート内実部である金属体部分24とシート
表層部である弾性体部分25から構成されている。
【0028】金属体部分24は、高周波焼き入れされ、
その硬度はHRC60度前後である。理想的には、全焼
入れが行われた鋼炭素クロム軸受鋼SUJ2(2は右下
添字)が用いられる。金属体部分24と弾性体部分25
とは、焼き付けにより一体化されている。弾性体部分2
5の材料は、フッ素ゴム、ポリウレタンゴムから選択さ
れる。その硬度は、JIS A 90〜97が好まし
い。
【0029】その引張強さは、MPa40以上である。
例えば、ポリウレタンゴム、NOK社製の商品名「ノッ
クスラン・U652」が最適であり、その硬度はJIS
A硬度96度、その引張強さは43.2(441)M
Pa(Kgf/平方cm)である。
【0030】金属体部分24には、上流側及び下流側に
上流側環状凹部26U及び下流側環状凹部26Dが設け
られている。上流側環状凹部26U及び下流側環状凹部
26Dは、鏡面対称に形成されている。上流側環状凹部
26Uには上流側弾性体部分25Uが、下流側環状凹部
26Dには下流側弾性体部分25Dが嵌め込まれ、それ
ぞれに焼き付けられている。
【0031】弾性体部分25には、最上流側弾性面27
U、最下流側弾性面27Dが形成されている。最上流側
弾性面27U、最下流側弾性面27Dは、弾性シート面
を形成している。この弾性シート面は好ましくは平面に
形成されるが、僅かでも傾斜角度を持つ円錐面に形成す
ることもできる。金属体部分24にはその中心側に、上
流側、下流側の環状部分28U,28Dが形成されてい
る。
【0032】環状部分28U,28Dには、非弾性シー
ト面29U、29Dが形成されている。非弾性シート面
29U、29Dも好ましくは平面に形成されているが、
僅かでも傾斜角度を持つ円錐面に形成することもでき
る。弾性シート面29U、29Dは、帯状であり環状で
ある。
【0033】金属体部分24の中心孔即ち流路22を形
成する中心円筒面31が直角に曲がって弾性シート面2
9U、29Dに接続していく過渡部分は、丸く面取り3
2がなされている。最上流側弾性面27U、最下流側弾
性面27Dは、非弾性シート面29U、29Dよりも僅
かであるが、高い位置に即ちより上流側またはより下流
側に形成されている。その落差は、0.2mm〜0.3
mmが好ましい。
【0034】図2は、バルブ本体41を示している。バ
ルブ本体41には、本体中心部42と本体両側部43と
を有している。本体中心部42は、下流側外側対向面4
4Dと上流側外側対向面44Uを有している。本体両側
部43は、下流側内側対向面45Dと上流側内側対向面
45Uを有している。
【0035】下流側内側対向面45Dは、下流側外側対
向面44Dよりも高い位置に即ちより下流側に形成され
ている。上流側内側対向面45Uは、上流側外側対向面
44Uよりも高い位置に即ちより上流側に形成されてい
る。下流側外側対向面44Dは、非弾性シート面29U
及び最上流側弾性面27Uに対して対向する面である。
本体中心部42は、バルブシート21の円筒面32の中
に相対的に進入することができる。実施例では、バルブ
本体41が可動側部材として説明されている。
【0036】バルブ本体41は、図3〜5に示されるよ
うに、本体内実部分46と本体表層部分47とから形成
されている。本体内実部分46は、鉄鋼部材で形成され
ている。鉄鋼部材としては、バルブシート21の内実部
分の材料と異なることが好ましく、安価な通常のステン
レススティールでよい。本体表層部分47は、図3〜図
5に示されるように、特に、上流側外側対向面44Uと
下流側外側対向面44Dに表面処理された層即ちカニゼ
ンメッキ層である。
【0037】図3は、その表面処理が上流側外側対向面
44Uと下流側外側対向面44Dにのみ行われている実
施例を示している。図4は、その表面処理が全周面に施
されている他の実施例を示している。図5は、バルブ本
体41に関しては、図3に示す表面処理と同じ位置部分
に表面処理が行われているが、バルブシート21の弾性
シート面29U、29Dにも同じ表面処理が施こされた
更に他の実施例を示している。
【0038】このような表面処理としてもっとも好まし
いものは、カニゼンメッキである。カニゼンメッキは、
周知慣用の手段であり各分野で全世界的に用いられてい
る表面処理技術である。カニゼンメッキは、無電解ニッ
ケルメッキの一種である。このメッキは、英語表現で
は、Catalytic Nickel Generation であり、その略称
が、canigenであり、Kanizen は登録商標であ
り、日本ではカニゼンと発音され実質上普通名称として
用いられている。このメッキ方法は、今世紀の中頃に発
明された特許発明であり確立された無電解ニッケルメッ
キの一種である技術である。
【0039】カニゼン法は、被鍍金物が触媒となって還
元反応を起こし鍍金液中のニッケル陽イオンを還元し
て、その表面にカニゼン合金であるニッケル合金をメッ
キする無電解ニッケルメッキの一種である。このメッキ
方法は、大抵の金属に対して可能な表面処理方法であ
り、”つきまわり”100%で中空の内側でも複雑な形
状でも均一な厚さで被着され、厚さは自由であり、素地
との密着性がよく剥げにくく、ピンホールがなくカニゼ
ン合金の化学的な安定と相俟って耐食性がよく、非常に
硬くて対磨耗性がよく、高温下で曲げても剥離すること
がなく、鉄の表面酸化によるスケールの発生を防止する
こと等の数多くの利点があり、ベアリング小球の表面処
理、各種液体輸送用タンクの内面の表面処理その他多く
の分野で欠かせない表面処理手段である。即ち、鉄のキ
ャビテーション防止、エロージョン防止の点で、きわめ
て優れた物性を示す。
【0040】この方法の詳細な説明は省略するが、その
原理を簡単に文献から下記の通り引用する。
【0041】
【数1】
【0042】
【数2】
【0043】
【数3】 式(1)は触媒のもとで起こる反応である。この3式の
反応は、硫酸ニッケルの水溶液中のニッケル陽イオン
が、その水溶液中に含まれる次亜燐酸陰イオンが触媒の
作用で脱水素により生じた原子水素により金属ニッケル
に還元されると同時に、硫酸が生成される触媒下での化
学反応である。カニゼンメッキは、鉄、コバルト、ニッ
ケル、ルチニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウ
ム、イリジウム、白金に対しては直接メッキが可能であ
り、銅、銀、金、ベリリウム、ゲルマニウム、アルミニ
ウム、炭素、バナジウム、モリブデン、クロム、セレ
ン、チタン、ウラニウム等に対しては触媒作用のもとで
間接メッキが可能である(その詳細は、日本カニゼン株
式会社発行の「無電解ニッケルメッキ−カニゼン法」を
参照)。
【0044】アモルファス状態であるカニゼン合金のメ
ッキ層の組織及びその化学組成は、アモルファス状態が
前記化学式により生成されるため、反応素地金属の材質
及び組織等によってなんら変化しない。前記式に見られ
る接触還元の機構からわかるように、忠実に素地金属表
面に従って一様に逐次メッキ層が発育し、メッキの厚さ
を適度にすれば、素地のピンホールは完全に閉ざされて
しまう。本発明との関係で見た場合、カニゼンメッキの
第1の特徴は表面処理後の表面がきわめて平滑であるこ
と、その第2の特徴はその表面処理層がきわめて硬いこ
とであり、これら両特徴が同時に成立していることに技
術上の重要な意義が認められる。
【0045】カニゼンメッキ層は、図6に示すような硬
度を有している。図6は、Ni90−92%、P8−1
0%の化学組成のカニゼン(合金)について示してい
る。横軸はその組成のカニゼンの熱処理温度を示し、そ
の縦軸はビッカース硬度を示している。カニゼンは、4
00度Cで1時間の熱処理で、最高の硬度1000(ロ
ックウエルCスケール70に相当)を示す。
【0046】脈動する高圧流体は、ピンホール部分から
激しいキャビテーションを発生させる。両側で交互に開
閉する2つの開閉弁の間即ち、強力なパワーで駆動され
るプランジャの往復動作で膨張収縮する空間部分に激し
いキャビテーションが発生する。キャビテーションとエ
ロージョンとの間に高い相関関係があることは、従来か
ら、よく知られている。塩分が含まれている流体は、こ
のエロージョンを促進させることも、従来から、よく知
られている。
【0047】激しいキャビテーションにより、流体は常
態的に更新されて流路壁面に供給される。壁面層には、
激しく局所的電池が形成され、エロージョンが進行す
る。このように進行する腐食部分には、激しい機械的エ
ネルギーが供給され、またこの部分は繰り返し応力を受
け、クリープ現象も加わって、壊食が更に促進される。
【0048】しかし、硬度が異なる物体の両表面間の高
速ジェット流体は、その表面にピンホールが少なくその
表面が平滑に形成されている場合には、キャビテーショ
ンエロージョンが激減することが本発明者により確かめ
られた。この確認のためのテストを次に説明する。
【0049】図7(a),(b)は、図8の閉弁状態の
従来バルブ(比較試験用バルブ)の壊食状況を示してい
る。200時間のテストの結果を図7に示すように、リ
ング状領域に激しい壊食が起きている。シート側リング
状領域51は図8に示すバルブシート21の非弾性シー
ト面29Uに対応し、バルブ本体41の本体側リング状
領域52は下流側外側対向面44Dの内側領域44DI
に対応している。
【0050】図8に示すように、例示する流線は、上流
側流線53Uと中間流線53Mと下流側流線53Dとか
ら形成されている。このような流線は、上流側流体の圧
力に押されて弁が閉じる瞬間前の流路状況を示してい
る。中間流線53Mは、微視的には直線状では表すこと
ができず大小の複雑な局所的渦巻き線で表されるジェッ
ト流線になっているはずである。このジェット流線で表
される流体のキャビテーション泡は小さく、その前後の
流線53U、53Dで表される流体のキャビテーション
泡はより大きい。短時間のテストでは、最上流側弾性面
27Uと下流側外側対向面44Dの外側領域44DOに
は、壊食はまだ起きていない。
【0051】即ち、壊食は、ジェット流が弾性体部分2
5の最上流側弾性面27Uを通り過ぎる当たりの変化点
(円上の点)から急激に起き始めることを示している。
バルブ本体41側では、最上流側弾性面27Uとこれに
対向する下流側外側対向面44Dの外側領域44DOの
間の小さい隙間(弁が閉まる直前に生じる隙間)で流れ
るジェット流は半径が小さくなる領域に進行して圧力を
急激に上げるが流体の圧縮はほとんどないからその隙間
内で上流側にキャビテーションが発生し、前記変化点P
で再び急激に拡散してその変化点より下流側で再び激し
いキャビテーションが発生する。
【0052】このようなキャビテーション泡は再び流路
方向変更点Jで更に閉じるバルブシートとバルブ本体と
の間で挟まれその泡が崩壊して壊食が進行する。図7
(b)の円55から僅かに外側の円領域で、このように
泡が崩壊した痕が観測される。
【0053】試験用バルブは、図2の形状と同じ形状の
ものを鉄で作成し弾性体はウレタンゴムで作成した。鉄
部分は旋盤で研削しているが、顕微鏡レベルでみて旋削
跡が見える。バルブ本体41の壊食が発生した領域から
は、旋盤研削跡は消失している。
【0054】次に、本発明によるバルブによる試験の結
果を説明する。バルブシート21及びバルブ本体41の
ために、焼入れ処理を施した高炭素クロム軸受鋼SUJ
2を用いた。バルブ本体41とバルブシート21の焼き
入れを異ならせた。バルブ本体41の焼き入れは全焼入
であり、バルブシート21の焼き入れは高周波焼入であ
る。焼き入れ後の硬度HrCは共に、62である(誤差
範囲はプラスマイナス2)。バルブシート21の非弾性
シート面29Uに壊食が生じる点で比較試験用バルブと
ほぼ同様であったが、バルブ本体には壊食は全く現れな
かった。対向面はほぼ鏡面対称に配置されているから、
本来なら、バルブシート21の非弾性シート面29Uと
バルブ本体41の内側領域44DIの両方に比較試験品
と同様な壊食が生じるはずである。
【0055】このような相違が生じた原因は、両材料の
相違にしかない。両材料の相違は、全焼入と高周波焼入
しかない。この相違には、硬度差は含まれていない。両
材料の相違点は、表面荒さしか見いだせなかった。全焼
入バルブの表面は、高周波焼入バルブの表面に比較し
て、荒さが少ない。
【0056】荒い面に高速で接するキャビテーション泡
は、面から強力な抵抗力を受けて渦に巻き込まれキャビ
テーション泡どうしの激しい衝突が生じ、キャビテーシ
ョン泡の発生と消滅が激しく繰り返される際にエロージ
ョンが進行するのであると推定される。硬度差がある両
物体間では、キャビテーション泡である見かけ上の粒子
集団のクラスター振動は、共鳴化しないと考えられる。
キャビテーションエロージョンを回避するためには、
(1)狭い流路を形成する両側の材料に硬度差があるこ
と、(2)表面荒さが小さいこと、の2条件が必要であ
る。
【0057】内実部も表層部も、金属に代えてセラミッ
クスを用いることが可能である。セラミックス層と金属
層との2重層を形成させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のプランジャポンプ用バルブシ
ートの実施形態1を示す正面断面図である。
【図2】図2は、図1中のバルブを拡大した断面図であ
る。
【図3】図3は、図2の一部分を示す断面図である。
【図4】図4は、図2の他の一部分を示す断面図であ
る。
【図5】図5は、図2の更に他の一部分を示す断面図で
ある。
【図6】図6は、カニゼンの硬度特性を示すグラフであ
る。
【図7】図7(a),(b)は、比較試験品の試験結果
を示す平面図である。
【図8】図8は、試験方法を示す断面図である。
【符号の説明】
1…ポンプ 21…バルブシート 24…金属体部分(シート内実部) 25…弾性体部分(シート表層部) 27U,27D…弾性シート面 29U,29D…非弾性シート面 41…バルブ本体 44D,44U…下流側外側対向面 46…本体内実部分 47…本体表層部分

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダ内で往復動するプランジャにより
    生じさせた高圧脈動流体の流路中に配置されて用いら
    れ、バルブシートと前記バルブシートに対して可動なバ
    ルブ本体からなり弁構造を形成するプランジャポンプ用
    バルブであり、 前記バルブ本体は本体表層部と本体内実部とから形成さ
    れ、 前記バルブシートはシート表層部とシート内実部とから
    形成され、 前記本体表層部と前記シート表層部は互いに硬度が異な
    り、 前記本体表層部は平滑処理がなされていることを特徴と
    するプランジャポンプ用バルブ。
  2. 【請求項2】請求項1において、 前記本体表層部は少なくともその一部がカニゼンメッキ
    層で形成されていることを特徴とするプランジャポンプ
    用バルブ。
  3. 【請求項3】請求項1において、 前記シート表層部は少なくともその一部が弾性部材で形
    成された弾性層であることを特徴とするプランジャポン
    プ用バルブ。
  4. 【請求項4】請求項1において、 前記本体表層部は少なくともその一部がカニゼンメッキ
    層で形成され、 前記シート表層部は少なくともその一部が弾性部材で形
    成された弾性層であり、 前記カニゼンメッキ層と前記弾性層とは互いに対面して
    いないことを特徴とするプランジャポンプ用バルブ。
  5. 【請求項5】請求項2において、 前記シート内実部の一部は表層として露出する部分を有
    し前記シート内実部は高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)
    で形成されていることを特徴とするプランジャポンプ用
    バルブ。
  6. 【請求項6】請求項5において、 前記本体内実部も高炭素クロム軸受鋼(SUJ2)で形
    成され、 前記本体内実部も前記シート内実部もロックウエルCス
    ケールで硬度が50以上であることを特徴とするプラン
    ジャポンプ用バルブ。
  7. 【請求項7】請求項1において、 前記バルブ本体はその表裏側部分が鏡面対称に形成され
    ていることを特徴とするプランジャポンプ用バルブ。
  8. 【請求項8】請求項7において、 前記バルブシートはその表裏部分が鏡面対称に形成され
    ていることを特徴とするプランジャポンプ用バルブ。
  9. 【請求項9】請求項1において、 前記本体内実部はクロムモリブデンはだ焼鋼で形成さ
    れ、 前記本体表層部は前記クロムモリブデンはだ焼鋼を表面
    処理したカニゼンメッキ層で形成されていることを特徴
    とするプランジャポンプ用バルブ。
JP24027397A 1997-08-22 1997-08-22 プランジャポンプ用バルブ Pending JPH1162833A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014185734A (ja) * 2013-03-25 2014-10-02 Suncall Corp シール弁及びその製造方法

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