JPH115591A - 水上浮遊物回収船および水上浮遊物回収方法 - Google Patents

水上浮遊物回収船および水上浮遊物回収方法

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JPH115591A
JPH115591A JP17645297A JP17645297A JPH115591A JP H115591 A JPH115591 A JP H115591A JP 17645297 A JP17645297 A JP 17645297A JP 17645297 A JP17645297 A JP 17645297A JP H115591 A JPH115591 A JP H115591A
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floating
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oil
ship
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JP17645297A
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English (en)
Inventor
Tatsuro Kato
達郎 加藤
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Original Assignee
NIPPON SARUBUEEJI KK
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外洋などでも使用することができ、油分など
の水上浮遊物を効率良く回収する。 【解決手段】 船体2の前部に開設された取入口3と、
船体内に設けられて下面開口部15を介して船外に連通
したムーンプール4と、このムーンプールと取入口とを
連通する導入路5と、ムーンプールの壁部に開口した浮
遊物回収口31とを備え、船外の水面上に浮遊している
浮遊物を水と共に取入口から導入路を介してムーンプー
ル内に導入し、このムーンプール内の水面に浮遊してい
る浮遊物を浮遊物回収口から船内の浮遊物回収室30内
に流入させて回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海難事故などで海
上に流出した重油や材木などの水上浮遊物を回収する水
上浮遊物回収船及び回収方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】海難事故などが発生して重油が流出する
と、従来は、現場に油回収船を派遣し、この油回収船の
外板に開口した取入口から重油と水と共に船内に導入し
たり、油回収船に備えた吸引ポンプを作動し、フロータ
ーの付いたホースの先端を油層に入れて直接回収した
り、オイルフェンスで囲い込んだ後に同様にして回収し
たり、或は柄杓などを使って手作業で回収したりしてい
た。そして、油回収船で直接回収しても、またオイルフ
ェンスで囲い込んでから回収しても、油だけを回収する
ことはできず、油よりも多くの水と共に回収せざるを得
ない。また、浮遊した油分をローラーの表面に付着させ
て回収する装置も提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来の回収方法は、いずれも湾内や港内など静穏な海
域であれば使用できるが、外洋や波浪の高い海域での作
業は危険であり、使用できなかった。また、油分だけを
分離して回収することができず、実際の作業では回収し
た油分よりも海水などの水分の方が多くなってしまう。
そして、回収した油分と水分とを分離して、油分だけを
船内に残して水を海に戻そうとしても、実際には分離し
た水分中に油分が入っているので、戻すことができなか
った。このため、油回収船により回収したといっても、
回収量に対する正味油分の割合は低く、効率が悪かっ
た。
【0004】そこで本発明の目的は、外洋などでも使用
することができ、油分などの水上浮遊物を効率良く且つ
作業員が安全に回収することができる水上浮遊物回収船
を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために提案されたもので、請求項1に記載の水上浮
遊物回収船は、船体の外板に開設された取入口と、船体
の内部に設けられ、少なくとも下面開口部を介して船外
に連通したムーンプールと、このムーンプールと上記取
入口とを連通する導入路と、ムーンプールの壁部に、水
面に対応した位置に開口した浮遊物回収口と、を備え、
船外の水面上に浮遊している浮遊物を水と共に取入口か
ら導入路を介してムーンプール内に導入し、このムーン
プール内の水面に浮遊している浮遊物を上記浮遊物回収
口から船内の浮遊物回収室内に流入させて回収するよう
にしたことを特徴とする。
【0006】請求項2に記載のものは、請求項1の構成
に加えて、導入路とムーンプール内との連通を遮断可能
な遮断装置を備え、遮断装置により連通を遮断してムー
ンプール内を静穏状態とすることを特徴とする水上浮遊
物回収船である。
【0007】請求項3に記載のものは、前記浮遊物回収
口は、下開口縁を上下動可能とし、船体の吃水に応じて
下開口縁の位置を上下に位置調整可能としたことを特徴
とする請求項1または2に記載の水上浮遊物回収船であ
る。
【0008】請求項4に記載のものは、前記浮遊物回収
室は、比重の差により油分の下に溜る水分を取り出す排
水装置を備え、この排水装置により取り出した水分をム
ーンプール内に吐出するようにしたことを特徴とする請
求項1から3のいずれかに記載の水上浮遊物回収船であ
る。
【0009】請求項5に記載のものは、下面開口部を介
して船外に連通したムーンプール内に、船外の水面上に
浮遊している浮遊物を水と共に船体外板の取入口から導
入路を通して導入し、このムーンプール内の水面に浮遊
している浮遊物を回収することを特徴とする水上浮遊物
回収方法である。
【0010】請求項6に記載のものは、ムーンプール内
の水面に浮遊している浮遊物を、ムーンプールの壁部に
開口した浮遊物回収口から船内の浮遊物回収室内に流入
させ、浮遊物回収室内において、比重の差により油分と
水分とを分離し、水分の上に浮遊した油分を油移送装置
により回収すると共に、油分の下に溜る水分を排水装置
により排水することを特徴とする請求項5に記載の水上
浮遊物回収方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は水上浮遊物回収船1の全体
構成を示すもので、(a)はその側面図、(b)は平面
図である。この水上浮遊物回収船(以下、単に回収船と
いう)1は、全長約75m、幅約24mの船体2の外板
に取入口3を開設し、船体2内のほぼ中央にムーンプー
ル4を設け、このムーンプール4と上記取入口3とを導
入路5により連通し、甲板上には作業者等が宿泊するキ
ャビン6を設けるとともに、このキャビン6上にはヘリ
コプター用デッキ7を設け、また、キャビン6とは反対
側の甲板上にはオイルフェンス等を格納する格納庫8な
どを設け、ムーンプール4近くの甲板上には揚荷装置9
を備える。また、甲板の前後左右に繋留錨用ウインチ1
0を設け、取入口3側の底部には、船体2の左右の位置
調整を行うサイドスラスター11を備える。なお、サイ
ドスラスター11は、上下装置により、通常時には船底
ラインよりも上方の船内に格納し、使用時には下降する
構成とすることが望ましい。これにより、水深の浅い海
岸などでも作業が可能となる。また、本実施形態では、
ムーンプール4の左右の甲板上に小型の作業艇12を搭
載してある。
【0012】ムーンプール4は、底無しプール状の部分
であり、船体2の底部に下面開口部15を、甲板に上面
開口部16を開設し、両開口部15,16をプール側壁
部17により接続した上下貫通空部であり、下面開口部
15を介して船外に連通している。したがって、ムーン
プール4内の水面のレベルは、船外の水面のレベルと同
じになる。なお、このムーンプール4は、下面開口部1
5を介して船外に連通していればよく、プールの面積よ
りも小さな下面開口部15でもよい。また、本実施形態
では、船体のほぼ中央に設けたので、船体がローリン
グ、ピッチング等で揺れても、ムーンプールの揺れは最
少となり、静穏状態を得易い。
【0013】次に、このムーンプール4内に水上浮遊物
を水と共に導入するための取入口3と導入路5について
説明する。まず、取入口3は、できるだけ広範囲に亘っ
て水上浮遊物を回収するために横長に開口し、しかも水
面に浮遊している状態の浮遊物を水と共に取り入れるた
めに、下開口縁は水面よりも下方に、上開口縁は水面に
浮かんだ浮遊物よりも十分に高い位置にある。したがっ
て、この取入口3は、船体2の吃水線を挟んで上下に開
口している。
【0014】そして、本実施形態における導入路5は、
ムーンプール4の幅に比較して取入口3が数倍幅広なの
で、取入口3の左右幅から次第に幅を狭めた流路として
形成されており、出口がムーンプール4の側壁部17に
開口している。なお、この導入路5は、底面と天井面を
有するが、天井面を無くして上面開放でもよい。
【0015】この様な構成からなる導入路5の途中に
は、船外の波を途中で減衰あるいは消す消波機構を備
え、この消波機構の消波作用により、ムーンプール4内
の水面ができるだけ静穏状態になるようにする。この消
波機構は、導入する水上浮遊物の通過を許容する一方で
波を弱めることが必要であるため、例えば、図2に示す
ように、左右から消波板材20…を交互に配置してもよ
い。この様な構成からなる消波機構であれば、例えば重
油などの油分は消波板材20により形成された流路を蛇
行しながらムーンプール4に向かって流れ込むことがで
きるが、波は消波板材20…に当たる度にエネルギーを
失う。したがって、船外の波がムーンプール4内に波及
することを防止することができ、ムーンプール4内の静
穏化に寄与する。なお、上記消波板材20は、導入路5
内に進退可能な構成とし、木材等の比較的大きな浮遊物
を回収する際には、導入路5内から退避させておく。
【0016】外洋などで天候が荒れたときは消波機構の
消波作用だけではムーンプール4内の静穏が不充分な場
合がある。そこで、本実施形態においては、導入路5と
ムーンプール4内との連通を遮断可能な遮断装置を備
え、この遮断装置により連通を遮断してムーンプール4
内を静穏状態とする。具体的には、図2に示すように、
導入路5とムーンプール4との接続部分である開口部
に、遮蔽扉21を設け、この遮蔽扉21により開口部を
遮断してムーンプール4内を静穏状態にしたり、開放し
て導入路5からムーンプール4内に水上浮遊物を導入し
たりする。なお、遮蔽扉21の開閉機構は、例えば、油
圧シリンダ等の駆動源により遮蔽扉21を上下動させて
もよい。また、遮断装置は、ムーンプール4と取入口3
との間を遮断することができればどのような構成でも良
いし、どのような位置に設けてもよい。
【0017】また、導入路5内においては、水上浮遊物
がムーンプール4に向かって効率良く流れ、逆流するこ
とは望ましくない。そこで、本実施形態では、図2
(a)に示すように、導入路5の途中の天井面から水噴
射ノズル23を追込み装置としてムーンプール4側に向
けて斜めに設け、このノズル23から噴出する水により
水上浮遊物をムーンプール4側に押し進め、逆流を防止
している。なお、天井面の無い導入路5の場合、上記水
噴出ノズル23は、水面よりも上方に位置する導入路5
の側壁などに設けてもよい。そして、ムーンプール4内
に水上浮遊物が流れ込んだならば、この浮遊物が再び導
入路5内に戻ることは作業能率を高める上で好ましくな
い。そこで、本実施形態においては、導入路5とムーン
プール4との接続部分、具体的には開口部の導入路5側
の底部に気泡噴出ノズル24…を設け、この気泡噴出ノ
ズル24…から噴出した気泡のエアーバブルカーテンに
より水上浮遊物の流れ出しを防止している。
【0018】次に、ムーンプール4内の水上浮遊物を回
収するための機構について説明する。図2および図3に
示すように、ムーンプール4に隣接した船内に浮遊物回
収室30を設け、この浮遊物回収室30とムーンプール
4との間にある壁部17に浮遊物回収口31を開設す
る。導入路5から導入される浮遊物は水噴出ノズル23
からの水噴出により押し進められて最終的には導入路5
とは反対側に位置するムーンプール4内で行き止まる。
このため、本実施形態では、導入路5とは反対側に浮遊
物回収室30を設け、ムーンプール4の壁部17に浮遊
物回収口31を開口する。
【0019】この浮遊物回収口31は、ムーンプール4
内の水面上に浮いている浮遊物を回収するための開口な
ので、できるだけ水の流入を少なくして浮遊物の割合を
高めることが望ましい。したがって、上開口縁は水面よ
りも十分に高く、下開口縁は水面よりも少し低い位置に
あることが望ましい。しかしながら、実際には、回収し
た水上浮遊物の重量増加などにより船体2が下降して浮
遊物回収口31と水面との位置関係が変化する。そこ
で、本実施形態では、図3に示すように浮遊物回収口3
1の下開口縁を構成する部分を、上下動可能な昇降板材
32により構成してある。なお、昇降板材32を上下動
させる駆動源等(図示せず)は、保守・点検等を容易に
行うために、甲板上に設置することが望ましい。そし
て、回収作業が進んで船体2が下降したならばこの昇降
板材32の位置を次第に高め、これにより浮遊物回収口
31の下開口縁を吃水に応じた高さに調整する。したが
って、ムーンプール4内の水面に浮遊している浮遊物を
浮遊物回収室30内に回収する場合に、水の割合を少な
くして浮遊物の割合を高め、これにより効率良く回収す
ることができる。
【0020】浮遊物回収室30内には隔壁35を設け、
この隔壁35により、浮遊物回収口31側に連通した油
水分離室36と油分回収室37とに区画し、隔壁35の
高さの途中には油分流入口38を開設し、隔壁35の上
端には、作業者用足場43を設ける。そして、上記油水
分離室36の下部には排水装置40の排水口を設け、油
分回収室37の下部には油移送装置41の吸引口を設け
るとともに、油分加熱装置42を設ける。なお、排水装
置40や油移送装置41は、ポンプを主な構成部材とし
た装置である。また、油分加熱装置42は、例えばスチ
ームヒータにより構成する。そして、上記油水分離室3
6は、比重の差により油分と水分とを分離する室である
ため、静水状態であることが好ましい。そこで、本実施
形態では、浮遊物回収口31と油水分離室36との間
に、上面が油水分離室36側に僅かに下り傾斜した静水
化段部33を設け、浮遊物回収口31から流入してくる
油水混合物が一旦静水化段部33に流下し、これにより
勢いが弱まった状態で油水分離室36内に静かに流れ込
むようにしてある。したがって、昇降板材32を上昇さ
せて浮遊物回収口31の下開口縁と油水分離室36内の
液面との落差が大きくなったとしても、浮遊物回収口3
1から流下した油水混合物が一旦静水化段部33に流下
して勢いを弱めてから油水分離室36内に静かに流れ込
む。このため、流れ込む油水混合物によって油水分離室
36内の油層と水層とが大きく乱されることはなく、所
要の分離機能を維持できる。なお、静水化段部33は、
流れを弱めることができればどのような構成でも良く、
例えば上面を階段状にしてもよいし、邪魔板を複数立設
してもよい。また、昇降板材32と静水化段部33との
間などにはシール(図示せず)を設け、水の浸入を防止
する。
【0021】上記した構成からなる浮遊物回収室30に
おいては、昇降板材32の上端の高さをムーンプール4
内の水面よりも少し下方に調整すると、ムーンプール4
内に浮遊している浮遊物が僅かな水と共に浮遊物回収口
31から油水分離室36内に流入する。なお、ムーンプ
ール4内は、船外の波浪の影響を受け難いので、水面が
穏やかな静穏状態となり易く、遮断装置により導入路5
を遮蔽すると、外部からの波の進入を確実に遮断するこ
とができ、これにより一層静穏な状態とすることができ
る。したがって、静穏状態となった水面に浮遊している
浮遊物は上下動が少なく、このため、浮遊物回収口31
から油水分離室36内に流入する場合に僅かな水と共に
流入し得る。
【0022】油水分離室36内に流入した浮遊物と水と
の混同物(いわゆるアラミズ)は、比重の差により分離
される。すなわち、軽い油分は重い水に浮き、油分と水
とが上下に分離する。そして、油水分離室36内で分離
された油分がある程度溜ってそのレベルが上昇すると、
この油分は隔壁35の油分流入口38からオーバーフロ
ーして油分回収室37内に流入する。この様にして、油
水分離室36内に溜った油分は、油分流入口38から油
分回収室37内に回収され、残った水は排水装置40に
より汲み出され、送水管45を通ってムーンプール4内
に戻される。したがって、油水分離室36内が満水にな
ることはない。
【0023】油分回収室37内に流入した油分は、液状
であっても、また、塊状であっても油分加熱装置42に
より加熱されて液状に溶融されるので、油移送装置41
の吸込口に吸い込まれ、送油管46を通って油分回収タ
ンク47に移送される。そして、この様にして、回収タ
ンク47内に移送された回収物は、僅かな水を含むがそ
の殆どは油分である。したがって、水を含む全体回収量
に対する目的物(油分)の割合が高く、このため回収効
率が高い。なお、本実施形態では、回収タンク47をム
ーンプール4の左右に設けたが、その他の部位にも適宜
設けることができ、例えばキャビン6の下方にも設けて
もよい。
【0024】次に、上記した構成からなる回収船1を使
用して水上浮遊物を回収する回収作業について説明す
る。例えば、外洋でのタンカーの海難事故が発生して大
量の重油が流出した場合、重油流出現場まではタグボー
トにより曳航する。このとき、取入口3側を前にすると
抵抗が大きいので、反対側を前にして曳航することが望
ましい。なお、本実施形態では回収船1に推進装置を備
えていないので、タグボートによって曳航するが、回収
船1自体に推進装置を設けて自走するように構成しても
よい。
【0025】現場に到着したならば、取入口3側を前に
して、重油が浮遊している海域を曳航する。なお、左右
のサイドスラスター11を作動することにより回収船1
の左右の位置調整することができるので、重油が浮遊し
ている場所に取入口3を確実に位置させることができ
る。
【0026】この状態では遮蔽扉21が開いているの
で、取入口3からムーンプール4までの導入路5が開放
状態になっている。したがって、海面に浮遊している重
油が海水と共に取入口3から導入路5内に取入れられ、
ムーンプール4内に導入される。
【0027】この様にして曳航を続けると、ムーンプー
ル4内においては、取り込まれた重油が次第に溜ってい
くが、海水はムーンプール4の下開口部を介して船外に
戻る。したがって、ムーンプール4内には、重油の量が
増加するだけであり、海水は増加しない。
【0028】ムーンプール4内の水面は、船外の波浪の
影響を殆ど受けないので、海上が荒れていても静穏状態
である。したがって、従来は回収作業を行えないような
天候であっても回収作業を行うことができる。また、静
穏状態のムーンプール4内では、水面が穏やかなので、
重油が海中に巻き込まれることが少なく、塊になっても
水面に浮遊する。したがって、ムーンプール4は、単に
静穏状態を得る機能だけではなく、水層と油分層とに大
まかに分離する機能もある。なお、海上が大荒れでムー
ンプール4内が十分に静穏状態にならない場合には、遮
蔽扉21を閉じて取入口3との連通を適宜に遮断して静
穏状態とすることが望ましい。
【0029】ムーンプール4内の水面に浮遊した油分の
量が増えると、これらの油分は、追込み装置により、或
は作業者の追込み操作により浮遊物回収口31側に追い
込まれる。浮遊物回収口31は、ムーンプール4内の水
面の高さに応じて昇降板材32の高さを調整してあるの
で、追い込まれた浮遊物は、浮遊物回収口31から水面
の水と共に浮遊物回収室30の油水分離室36内に流入
する。なお、ムーンプール4内には、油分の他にも海藻
などの浮遊物も導入されるので、これらの雑物は揚荷装
置9を使用して吊り上げて排除し、ドラム缶などの容器
に回収する。
【0030】油水分離室36内では、重油と海水の比重
の差により海水が沈み、重油が海水上に浮上して分離さ
れ、この浮上した重油は油分流入口38から浮遊物回収
室30内にオーバーフローさせて回収する。したがっ
て、浮遊物回収室30内に回収した重油は海水を僅かに
含有している程度であり、従来の油回収手段による回収
よりも油分の割合が高い。そして、浮遊物回収室30内
に回収した重油は、塊状であっても加熱装置42の加熱
により流動体となり、油移送装置41の作動により回収
タンク47に移送される。
【0031】一方、油水分離室36内の海水は、排水装
置40により汲み出し、ムーンプール4内に排水する。
油水分離室36では、重油と海水の比重の差により分離
するが、排水装置40により汲み出す海水中に重油が混
合している可能性も否定できない。そこで、この海水を
直接船外に排水するのではなく、ムーンプール4内に吐
出すれば、比重の小さな油分はムーンプール4内で浮上
し、再度浮遊物回収室30内に回収することができる。
したがって、油分が海に戻る可能性を極力抑制すること
ができる。なお、排水装置40の吐出口50は、ムーン
プール4の壁部17の下端よりも高くて吃水線よりも低
い位置で内側に向けて開口することが望ましい。
【0032】上記したように、取入口3を前に向けた状
態で回収船1を単に移動するだけでも海面に浮遊してい
る重油を取入口3から水と共に取り入れてムーンプール
4内に導入することができるが、オイルフェンスを使用
して、重油の取入れ効率を更に高める様にしてもよい。
例えば、作業艇12とオイルフェンス51を降ろし、回
収船1の取入口3の左右両側にオイルフェンス51の一
端をそれぞれ接続し、各オイルフェンス51の他端を作
業艇12に接続し、両作業艇12によりオイルフェンス
51をそれぞれ曳航して幅広く海上の重油を囲い込んで
集め、これを取入口3から取り込むようにしてもよい。
また、船が海底に沈んだ状態で、あるいは座礁した状態
で重油等を流出している場合には、回収船1を前記繋留
錨用ウインチ10を使用して繋留し、この繋留状態で回
収作業を行ってもよい。
【0033】また、本発明に係る回収船1は重油等の油
分に限らず、他の水上浮遊物も回収することができる。
例えば、木材運搬船が事故を起こして木材を流出させた
場合、海上に浮遊している木材を取入口3から導入路5
を通してムーンプール4内に導入することができる。ム
ーンプール4内の水面は静穏状態なので、水面に浮かん
だ木材等の浮遊物(例えば、雑貨)を揚荷装置9を使用
して効率良く、且つ安全に吊り上げて回収することがで
きる。なお、本願における「船」とは、水上を行き来す
る浮体であり、推進装置の有無は問わない。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、以
下の効果を奏する。請求項1の発明によれば、船外の水
面上に浮遊している浮遊物を水と共に取入口から導入路
を介してムーンプール内に導入し、このムーンプール内
の水面に浮遊している浮遊物を浮遊物回収口から船内の
浮遊物回収室内に流入させて回収するので、ムーンプー
ル内に導入した水はムーンプールの下面開口部から船外
に自然に戻すことができる。したがって、ムーンプール
内に集めた浮遊物を効率良く回収することができる。
【0035】また、船外の水面が波立っていてもムーン
プール内の水面を静穏状態にして回収作業を行うことが
できる。したがって、天候の影響を大きく受けることな
く安全に作業を進めることができる。このため、油流出
事故など緊急性を要する場合に対応し易い。
【0036】また、静穏状態となるムーンプール内の水
面に浮遊している浮遊物を浮遊物回収室内に流入して回
収するので、全体の回収量に対する回収対象物の割合を
高めることができる。したがって、効率良く安全に回収
することができる。特に、油分を回収する場合には水の
量を減らすことができるので、効率の良い油回収が期待
できる。
【0037】請求項2の発明によれば、遮断装置により
ムーンプールと取入口との連通を遮断できるので、船外
が荒れていても、ムーンプール内を静穏状態にし易い。
【0038】請求項3の発明によれば、浮遊物回収口の
下開口縁を上下に位置調整できるので、回収船の吃水線
が変化しても対応することができ、浮遊物回収室内に流
入する水の割合を少なくすることができる。したがっ
て、一層回収能率を高めることができる。
【0039】請求項4の発明によれば、浮遊物回収室
に、比重の差により油分の下に溜る水分を取り出す排水
装置を備え、この排水装置により取り出した水分をムー
ンプール内に吐出するようにしたので、最終回収物中の
油分の割合を確実に高めることができる。したがって、
一層効率の良い油分の回収作業を行うことができる。ま
た、排水装置により取り出した水分をムーンプール内に
吐出するので、この吐出した水分中に油分が含まれてい
たとしても、船外の海面を汚染することなく、この油分
を再度浮遊物回収口から浮遊物回収室内に回収すること
ができる。
【0040】請求項5の発明によれば、下面開口部を介
して船外に連通したムーンプール内に、船外の水面上に
浮遊している浮遊物を水と共に船体の取入口から導入路
を通して導入し、このムーンプール内の水面に浮遊して
いる浮遊物を回収するので、ムーンプール内に導入した
水はムーンプールの下面開口部から船外に自然に戻すこ
とができ、ムーンプール内に集めた浮遊物を効率良く回
収することができる。また、船外の水面が波立っていて
もムーンプール内の水面を静穏状態にして回収作業を行
うことができる。したがって、天候の影響を大きく受け
ることなく安全に作業を進めることができる。このた
め、木材流出事故など緊急性を要する場合に対応し易
い。
【0041】請求項6の発明によれば、浮遊物回収室内
において、比重の差により油分と水分とを分離し、水分
の上に浮遊した油分を油移送装置により取り出して回収
すると共に、油分の下に溜る水分を排水装置により排水
するので、重油などの油分の回収作業を効率良く行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は水上浮遊物回収船の側面図、(b)は
水上浮遊物回収船の平面図である。
【図2】(a)は水上浮遊物回収船の導入路及びムーン
プールの縦断面図、(b)はその水平断面図である。
【図3】浮遊物回収室の断面図である。
【符号の説明】
1 水上浮遊物回収船 2 船体 3 取入口 4 ムーンプール 5 導入路 6 キャビン 7 ヘリコプター用デッキ 8 格納庫 9 揚荷装置 10 ウインチ 11 サイドスラスター 12 作業艇 15 下面開口部 16 上面開口部 30 浮遊物回収室 31 浮遊物回収口 32 昇降板材 33 静水化段部 35 隔壁 36 油水分離室 37 油分回収室 38 油分流入口 40 排水装置 41 油移送装置 42 油分加熱装置 43 足場 45 送水管 46 送油管 47 油分回収タンク 51 オイルフェンス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 船体の外板に開設された取入口と、 船体の内部に設けられ、少なくとも下面開口部を介して
    船外に連通したムーンプールと、 このムーンプールと上記取入口とを連通する導入路と、 ムーンプールの壁部に、水面に対応した位置に開口した
    浮遊物回収口と、 を備え、船外の水面上に浮遊している浮遊物を水と共に
    取入口から導入路を介してムーンプール内に導入し、こ
    のムーンプール内の水面に浮遊している浮遊物を上記浮
    遊物回収口から船内の浮遊物回収室内に流入させて回収
    するようにしたことを特徴とする水上浮遊物回収船。
  2. 【請求項2】 導入路とムーンプール内との連通を遮断
    可能な遮断装置を備え、遮断装置により連通を遮断して
    ムーンプール内を静穏状態とすることを特徴とする請求
    項1に記載の水上浮遊物回収船。
  3. 【請求項3】 前記浮遊物回収口は、下開口縁を上下動
    可能とし、船体の吃水に応じて下開口縁の位置を上下に
    位置調整可能としたことを特徴とする請求項1または2
    に記載の水上浮遊物回収船。
  4. 【請求項4】 前記浮遊物回収室は、比重の差により油
    分の下に溜る水分を取り出す排水装置を備え、この排水
    装置により取り出した水分をムーンプール内に吐出する
    ようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか
    に記載の水上浮遊物回収船。
  5. 【請求項5】 下面開口部を介して船外に連通したムー
    ンプール内に、船外の水面上に浮遊している浮遊物を水
    と共に船体外板の取入口から導入路を通して導入し、 このムーンプール内の水面に浮遊している浮遊物を回収
    することを特徴とする水上浮遊物回収方法。
  6. 【請求項6】 ムーンプール内の水面に浮遊している浮
    遊物を、ムーンプールの壁部に開口した浮遊物回収口か
    ら船内の浮遊物回収室内に流入させ、浮遊物回収室内に
    おいて、比重の差により油分と水分とを分離し、水分の
    上に浮遊した油分を油移送装置により回収すると共に、
    油分の下に溜る水分を排水装置により排水することを特
    徴とする請求項5に記載の水上浮遊物回収方法。
JP17645297A 1997-06-16 1997-06-16 水上浮遊物回収船および水上浮遊物回収方法 Pending JPH115591A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011158773A1 (ja) * 2010-06-14 2011-12-22 Morimoto Nobuyoshi 海面に流出した油の回収方法および油回収船
JP2018012350A (ja) * 2016-06-14 2018-01-25 株式会社高知丸高 自航式災害復興作業船
CN110409396A (zh) * 2019-08-13 2019-11-05 李建虎 一种水产养殖用水面杂物打捞装置

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