JPH1151838A - 摩耗試験装置 - Google Patents

摩耗試験装置

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JPH1151838A
JPH1151838A JP22096197A JP22096197A JPH1151838A JP H1151838 A JPH1151838 A JP H1151838A JP 22096197 A JP22096197 A JP 22096197A JP 22096197 A JP22096197 A JP 22096197A JP H1151838 A JPH1151838 A JP H1151838A
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Hiroyuki Nagasawa
裕之 長澤
Takafumi Tsurui
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造が複雑とならず、人工関節材料等の生体
材料の摩耗の状況により即した摩耗試験が行え、潤滑液
の取り換え等の管理が作業性よく行え、また潤滑液の性
状を良好に保持でき、全体として作業性がよく試験の信
頼性を得ることができる摩耗試験装置の提供を課題とす
る。 【解決手段】 ディスク状試験片1aを着脱自在に固定さ
せると共に潤滑液2を充填することができるようにした
容器本体10と、容器本体10を着脱自在に固定する回転基
盤20と、回転駆動手段30と、ピン状試験片1bを保持する
と共に容器本体10に対して上方から侵入してピン状試験
片1bをディスク状試験片1a面に当接させるピン状試験片
押し付け手段40と、ピン状試験片押し付け手段40に対し
て一定の荷重を負荷する荷重負荷手段50と、回転駆動手
段30による回転基盤20の回転を一定のタイミングで正逆
回転させるコントローラ60とを少なくとも有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は摩耗試験装置に関
し、特に人工関節用材料等の生体材料の摩耗試験に良好
に用いることができる摩耗試験装置に関する。
【0002】
【従来の技術】生体材料の摩耗試験に関しては、ピンと
称する丸棒状試験片と一方向に回転するディスク状試験
片との組み合わせからなるピンオンディスク方式の摩耗
試験装置、前記ピンの代わりにリングを用いるリングオ
ンディスク方式の摩耗試験装置、前記ピンの代わりにデ
ィスクを用いるディスクオンディスク方式の摩耗試験装
置、ピンと往復線運動する板状試験片体との組み合わせ
からなるピンオンプレート方式の摩耗試験装置等が知ら
れている。そして前記各種の摩耗試験装置のうち、ポリ
エチレンのようなプラスチックス材料も対象となる人工
股関節材料や人工膝関節材料等、人工関節材料としての
生体材料の摩擦摩耗性能を評価する基礎的段階に用いら
れる試験装置としては、ピンオンディスク方式の摩耗試
験装置とピンオンプレート方式の摩耗試験装置がある。
前記ピンオンディスク方式の摩耗試験装置とピンオンプ
レート方式の摩耗試験装置とを比較した場合、両方式で
の試験結果は被試験材料において必ずしも同様な傾向と
はならず、信頼性に問題があった。そして、どちらかと
言えば、往復運動を伴うピンオンプレート方式の摩耗試
験装置の方が生体の動きに近いということで信頼度が高
いとされていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ピンオ
ンプレート方式の摩耗試験装置は、潤滑液を入れた容器
内において板状試験片を、該板状試験片だけを水平方向
に往復運動させるか或いは板状試験片を容器と共に水平
方向往復運動をさせる必要があり、装置が機械構造上に
おいて複雑となって安定性に不安が生じ、且つ高価にな
るという問題があった。一般に生体材料用の摩耗試験装
置は1000ないし1500時間という長期連続運転が必要とな
る場合もあり、装置の安定性は非常に重要なことであ
る。また、人工関節材料等の摩耗試験における別の問題
は、潤滑液対策である。即ち、人工関節材料の摩耗試験
の場合、潤滑液として、人体の関節液と成分が類似して
いる血清や、疑似体液としてのヒアルロン酸ナトリウム
水溶液や、タンパク質を混入した溶液をはじめ各種の体
液等を用い、これを人体の体温付近の温度にして、長時
間の摩耗試験に用いる必要があるので、潤滑液を長期間
にわたって一定の良好な状態に保持するために潤滑液を
摩耗試験途中において交換したり、また水分の蒸発逃散
を防いだり、或いはそのための管理作業をスムーズに行
えるようにする必要がある。また潤滑液によって周辺部
品が腐食したりする等の悪影響を防止する必要があり、
さらに容器等から潤滑液への異物の溶出や混入等による
悪影響等を考慮する必要がある。
【0004】そこで、本発明は上記摩耗試験装置におけ
る問題点を解消し、構造が複雑となることなく、人工関
節材料等の生体材料の摩耗の状況により即した状況での
摩耗試験を行うことができ、また潤滑液の取り換え等の
管理が作業性よく行え、また潤滑液の性状を良好に保持
することができ、全体として作業性がよく且つ試験の信
頼性を得ることができる摩耗試験装置の提供を課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の摩耗試験装置は、ディスク状試験片を着脱
自在に固定させると共に潤滑液を充填することができる
ようにした容器本体と、該容器本体を着脱自在に固定す
る回転基盤と、該回転基盤の回転駆動手段と、ピン状試
験片を保持すると共に前記容器本体に対して上方から侵
入してピン状試験片を前記ディスク状試験片面に当接さ
せるピン状試験片押し付け手段と、該ピン状試験片押し
付け手段に対して一定の荷重を負荷する荷重負荷手段
と、前記回転駆動手段による前記回転基盤の回転を一定
のタイミングで正逆回転させるコントローラとを少なく
とも有することを第1の特徴としている。また本発明の
摩耗試験装置は、上記第1の特徴に加えて、ピン状試験
片押し付け手段は、ピン状試験片を着脱自在に差し入れ
て保持するピン状試験片保持具と、該ピン状試験片保持
具を着脱自在に差し入れて保持する押し付け軸とを有
し、荷重負荷手段とは着脱自在に結合されていることを
第2の特徴としている。また本発明の摩耗試験装置は、
上記第1又は第2の特徴に加えて、荷重負荷手段は、レ
バーの一端側に支点を持ち、他端側に錘を調整自在に取
り付け、且つ途中位置に荷重点を有するレバー式の荷重
負荷手段とし、該前記荷重点において、荷重を負荷され
るピン状試験片押し付け手段と連結ピンによって着脱自
在に結合されていることを第3の特徴としている。また
本発明の摩耗試験装置は、上記第1〜3の何れかの特徴
に加えて、容器本体の動きに対して非従動の静止状態の
蓋体を配置し、これによって容器本体の上面開口を蓋す
ることを第4の特徴としている。また本発明の摩耗試験
装置は、上記第4の特徴に加えて、蓋体はピン状試験片
押し付け手段によって着脱自在に支持されて、容器本体
の上面開口を蓋するように構成されていることを第5の
特徴としている。また本発明の摩耗試験装置は、上記第
4の特徴に加えて、蓋体は、容器本体の外側に接するこ
となく設けられた固定の支持体によって着脱自在に支持
されて、容器本体の上面開口を蓋するように構成されて
いることを第6の特徴としている。
【0006】上記第1の特徴を有する摩耗試験装置にお
いては、容器本体を着脱自在に回転基盤に固定し、ディ
スク状試験片を容器本体に着脱自在に固定した後、潤滑
液を容器本体に適当な液位まで充填する。一方、ピン状
試験片押し付け手段に前記ディスク状試験片と対をなす
ピン状試験片を保持させ、このピン状試験片押し付け手
段でもってピン状試験片をディスク状試験片の面に当接
させた状態とする。そして荷重負荷手段によりピン状試
験片押し付け手段に一定の荷重負荷を継続負荷した状態
とし、コントローラによって回転駆動手段を介して前記
回転基盤を一定のタイミングで正逆回転させる。コント
ローラによって回転基盤を、単純な一方向の回転ではな
く、往復移動を含むような正逆2方向回転とすること
で、ディスク状試験片とピン状試験片とによる往復摺動
を含むような回転摺動となり、人工関節用生体材料の摩
耗試験としては、従来のピンオンプレート方式における
試験片同士の往復摺動的な要素、或いは関節における動
き始めの影響が取り入れられた、より現実の生体の動き
に近い状態での摩耗試験を行うことができる。一方、摩
耗試験装置としては、従来のピンオンプレート方式の装
置のように往復直線運動させる必要がなく、往復回転運
動を利用するので、駆動装置やその周辺の機構を単純で
簡単なものとすることができる。前記正逆回転は、正方
向の回転と逆方向の回転を複数回転づつ行う仕方、正逆
一回転づつ行う仕方、正逆を一回転未満づつ行う仕方
等、試験が行われる材料が実際にどのような環境におい
て使用されるのかという条件に応じて適当な正逆回転の
仕方が選ばれることになる。勿論、正回転と逆回転の回
転数を異ならしめて行うようにすることもできる。また
容器本体は回転基盤に対して着脱自在であるので、容易
に取り外すことができ、潤滑液の交換や容器本体内の洗
浄やその他、容器本体に対する作業上において便利であ
る。またディスク状試験片も容器本体に対して着脱自在
であるので、作業が行い易い。
【0007】上記第2の特徴を有する摩耗試験装置にお
いては、ピン状試験片押し付け手段は、ピン状試験片を
着脱自在に差し入れて保持するピン状試験片保持具と、
該ピン状試験片保持具を着脱自在に差し入れて保持する
押し付け軸とを有することで、ピン状試験片の取り付け
作業が容易となる。即ち、比較的小さい寸法であるピン
状試験片はそれより多少大きい寸法としたピン状試験片
保持具に先ず取り付け、このピン状試験片を取り付けた
保持具をより寸法の大きな押し付け軸に取り付けること
で、ピン状試験片をいきなり大寸法の押し付け軸に取り
付けるよりも作業が随分容易となる。また種々の寸法の
ピン状試験片に対して色々なピン状試験片保持具を用意
しておくことで、大寸法の押し付け軸を取り換えること
なく、種々のピン状試験片を押し付け軸にセットするこ
とができる。また、ピン状試験片押し付け手段と荷重負
荷手段とを着脱自在とすることで、両者のそれぞれの取
り扱いを、他方の部材によって制限されることがなく、
行うことができる。
【0008】上記第3の特徴を有する摩耗試験装置にお
いては、荷重負荷手段をレバー式とすることで、簡単な
構成で荷重を容易にピン状試験片押し付け手段に加える
ことができる。またピン状試験片押し付け手段との連結
ピンを外し、レバーを上昇させることで、レバーに邪魔
されることなく容易にピン状試験片押し付け手段を上下
方向に上げ下げすることができ、よってピン状試験片押
し付け手段の下端側を容易に容器本体から脱出させたり
侵入させたりする作業ができると共に、ピン状試験片の
取り付け、取り外し作業も容易に行うことができる。
【0009】上記第4の特徴を有する摩耗試験装置にお
いては、容器本体の動きに対して非従動の静止状態の蓋
体を容器本体に対して配置することで、容器本体内に入
れられている潤滑液が容器本体外へ飛び出たり、蒸発逃
散するのを防止し、潤滑液の性状の安定性を図ることが
できる。また容器本体を蓋することで、潤滑液の温度の
安定性を増すことができる。勿論、潤滑液が外部に飛び
出たりするのを防止することができる他、外部から異物
が容器本体内に入るのを防止することができる。回転運
動せられる容器本体に対して、蓋体を静止状態に保持す
るためには、勿論、蓋体を容器本体以外の構成物で支持
する必要がある。即ち、蓋体の支持は容器本体以外のも
ので行い、且つその蓋体の機能としては容器本体の蓋と
しての役割をなすようにすればよい。そしてこの場合、
蓋体に対して容器本体が接触して摺動するように蓋体を
配置させるようにしてもよいし、また非接触で近接した
状態に配置させてもよい。
【0010】上記第5の特徴を有する摩耗試験装置にお
いては、蓋体はピン状試験片押し付け手段を利用して、
支持されるようになされている。このようにすれば、蓋
体を支持するするための他の特別な構成物は必要がなく
なる。勿論、この場合には、試験運転中に多少の上下方
向移動が予想されるピン状試験片押し付け手段に対し
て、上下方向に適当にスライドしたり伸縮するような状
態で蓋体がピン状試験片押し付け手段に取り付けられる
必要がある。
【0011】上記第6の特徴を有する摩耗試験装置にお
いては、容器本体の蓋として機能する蓋体は、その配置
としては、容器本体の外方に別に構成された固定の支持
体によって、容器本体の動きに従動せられることなく確
実に支持することができる。前記固定の支持体は、例え
ば、容器本体の周囲を囲むように設けられた固定壁や枠
体であってもよい。また数本の固定の支持柱を立設して
もよい。前記支持体を容器本体の周囲を完全に囲む固定
周壁とする場合には、その固定周壁の蓋としても機能す
る蓋体を用意することで、容器本体内の潤滑液が容器本
体から出ないようにすることができると共に、例えシー
ル構造が不十分で容器本体から漏れ出たとしても、前記
固定周壁から更に外へは漏れ出るのを確実に防止するこ
とができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態である
摩耗試験装置の全体を示す正面図、図2は摩耗試験装置
の全体を示す平面図、図3は図1のA−A矢視図、図4
は摩耗試験装置の容器本体付近の詳細図、図5は図1の
B矢視図である。
【0013】ディスク状試験片1aを取り付ける容器本体
10は固定ピン11によって回転基盤20に対して着脱自在に
固定され、該回転基盤20は回転駆動手段30によって回転
がなされる。一方、ピン状試験片1bはピン状試験片押し
付け手段40に取り付けられ、このピン状試験片押し付け
手段40は、荷重負荷手段50によって荷重が負荷される。
装置全体の制御はコントローラ60によってなされる。
【0014】前記容器本体10は、その内底上に固定ピン
12によりディスク状試験片1aを着脱自在に固定させるよ
うにしており、また容器本体10内には、潤滑液2を適当
な液位まで充填することができるようになっている。前
記ディスク状試験片1a及びピン状試験片1bは、例えば人
工関節用材料とすることができ、またより一般的には生
体用材料とすることができる。さらに一般的には、種々
の液体等の中で用いられる材料とすることができる。前
記潤滑液2は、試験片1a、1bが人工関節用材料や生体用
材料の場合には、人体の関節液の成分やそれと類似して
いる血清、また疑似体液としてのヒアルロン酸ナトリウ
ム水溶液、タンパク質を混入した溶液、その他の体液成
分やそれに近い液が用いられる。また潤滑液2は、試験
片1a、1bが人工関節用材料や生体用材料の場合には、人
体の体温やその他用いられる生体の環境の温度で用いら
れる。この場合の潤滑液2の温度調節は、容器本体10内
に電気ヒータ71を含めた温度調節機構を設備することで
行うことができる。潤滑液2の温度は温度センサ72で検
出することができる。検出された値はコントローラ60に
入力せられ、所定の潤滑液2温度となるように電気ヒー
タ71が制御せられる。前記容器本体10は、特に人工関節
用材料や生体用材料の試験を行う場合等において、潤滑
液2への金属イオンの溶け込みによる、摩耗試験の環境
への悪影響や試験片1a、1bへの悪影響を予防するため、
容器本体10の材料を、例えばガラス繊維強化樹脂やポリ
アセタール樹脂等の強度の高いプラスチックスやその他
の金属イオンの溶出の少ないプラスチックスとすること
ができる。またアルミナ等のファインセラミックスで製
作することができる。
【0015】前記回転駆動手段30は、駆動モータ31と、
該駆動モータ31による回転駆動を伝達する一対のプーリ
32、33及びベルト34と、従動軸35と、軸受け機構36等か
らなり、駆動モータ31の回転を適当に減速して或いはせ
ずに従動軸35に伝えて、回転させる。従動軸35の回転速
度はコントローラ60によって調節できるようにすること
ができる。前記従動軸35に対して前記回転基盤20が一体
に取り付けられ、或いは一体成形せられている。これに
よって回転基盤20は所定の速度で回転を行う。73は基台
で、該基台73は不動状態で且つ堅固に構成されており、
前記軸受け機構36を保持すると共に、上面に非接触で前
記回転基盤20を配置せしめている。
【0016】前記ピン状試験片押し付け手段40は、ピン
状試験片1bをディスク状試験片1aの上面に当接状態にセ
ットするための手段で、ピン状試験片保持具41と、押し
付け軸42とを有する。前記ピン状試験片保持具41は、ピ
ン状試験片1bよりも多少大きい形状ないし寸法に構成す
ることで、作業者による取り扱いを容易にしており、下
端にピン状試験片1bを差し込んで保持するための差し込
み穴41a を形成している。ピン状試験片1bは、必要に応
じて金属等の硬度のあるスペーサ74を介して、差し込み
穴41aに差し込まれ、保持される。前記ピン状試験片保
持具41は、ピン状試験片1bの外径寸法や長さ等に応じて
差し込み穴41a の寸法を異ならしめてなる複数種類を予
め用意しておくことができる。このようにすることで、
ピン状試験片1bの寸法に応じたピン状試験片保持具41を
選ぶことができ、その選んだピン状試験片保持具41を押
し付け軸42に差し込んで、保持させることができる。前
記押し付け軸42には、その下端に前記ピン状試験片保持
具41の頭部を差し込むための差し込み穴42a が設けられ
ている。押し付け軸42の差し込み穴42a の形状寸法は一
種類とし、前記必要に応じて複数個用意されるピン状試
験片保持具41において共通の寸法を有する差し込み頭部
41b を受け入れる。前記押し付け軸42は前記ピン状試験
片保持具41を保持すると共に自身も垂直方向に保持され
て、前記ピン状試験片1bを前記容器本体10内に取り付け
られたディスク状試験片1aの上面に垂直方向に当接させ
る垂直軸としての役割をなす。また押し付け軸42の上端
には荷重計43が連結されており、さらに荷重計43の上端
で、二股連結具44を介して連結ピン45により着脱自在に
荷重負荷手段50のレバー52に連結されている。これによ
って荷重負荷手段50による荷重が二股連結具44、荷重計
43を介して押し付け軸42に負荷され、さらにピン状試験
片保持具41を介してピン状試験片1bに負荷される。前記
荷重計43によって加わる荷重が測定される。前記押し付
け軸42は、ボールスプライン75によって上下垂直方向に
姿勢を保持されて摺動することができるようになされて
いる。ボールスプライン75は、立設せられた複数の固定
柱76によって固定された固定台77に固定されている。
【0017】前記荷重負荷手段50は、前記固定台77によ
って固定された支点ブロック51と、該支点ブロック51に
よって上下方向に回動自在に支持されるレバー52を有
し、該レバー52の先端側に錘53が吊り下げられると共に
レバー52の基端側にはバランサー54が設けられている。
前記支点ブロック51はその上半部に溝51a が構成されて
おり、その溝51a にレバー52が嵌まり込んだ形で、支軸
51b により回動自在にピン止めされている。この支軸51
b がレバー52の回動の支点となる。前記支点ブロック51
に構成した溝51a の深さは、連結ピン45を外してレバー
52とピン状試験片押し付け手段40とを分離した際に、レ
バー52を十分上方へ退避させてピン状試験片押し付け手
段40の上方への移動距離を十分に確保できるように十分
な切れ込み深さとしている(図5参照)。前記レバー52
は、その途中位置において、ピン状試験片押し付け手段
40の二股連結具44と連結ピン45で着脱自在に連結され、
荷重点を構成している。レバー52は錘53によってその荷
重をピン状試験片押し付け手段40に負荷し、ピン状試験
片1bをディスク状試験片1a上に押し付ける。一方、前記
連結ピン45を外すことでレバー52を上方に退避させ、こ
れによってピン状試験片押し付け手段40を障害物なしに
十分引き上げて、ピン状試験片1bやピン状試験片保持具
41の容器本体10外での取り付け、取り外し作業を容易な
らしめる。
【0018】前記容器本体10に対しては、その上面開口
を蓋するための蓋体80を設ける。該蓋体80は、その機能
としては、容器本体10の上面開口から潤滑液2が飛び出
たり漏れたりしないように、また潤滑液2の揮発放散を
抑制し、或いは潤滑液2の放熱を抑制する等、潤滑液2
の状態を安定的に長時間保持する役割を果たすためのも
のである。その一方、蓋体80の機械的な構成としては、
容器本体10の回転動作に従動することなく、静止状態で
保持されるものである。即ち、蓋体80は回転状態の容器
本体10に対し接触状態で静止するようにするか或いは非
接触で近接した状態とすることで、上記機能を保有させ
る。蓋体80の支持の仕方は、例えば、図に示すように、
該蓋体80を容器本体10に対してフリーであるピン状試験
片押し付け手段40によって支持することができる。この
場合は、蓋体80に対してピン状試験片押し付け手段40の
押し付け軸42を貫通させた状態とすると共に蓋体80の一
部でもって押し付け軸42に対して着脱自在に取り付ける
ことで支持を達成できる。押し付け軸42への蓋体80の取
り付けは、蓋体80が容器本体10に対して摺動状態となる
か或いは容器本体10から若干浮いた状態になるように取
り付ける。勿論、蓋体80は押し付け軸42に対して上下移
動が可能となるように取り付けることができる。この場
合には、作業者によって手動的に蓋体80の位置を調節
し、或いは蓋体80が容器本体10に当接することで自動的
に押されて位置調整がなされるようにすることができ
る。他方、蓋体80を別に構成した固定の支持体によって
支持するようにしてもよい。前記固定の支持体は、例え
ば、基台73上に容器本体10とは非接触にその周囲を囲む
ように固定周壁や固定の枠体を構成し、これらで蓋体80
を支持するようにすることもできる。前記支持体を容器
本体10の周囲を完全に囲む固定周壁とする場合には、蓋
体80でその固定周壁をも蓋するように構成することで、
容器本体10内の潤滑液2が該容器本体10から出ないよう
にすることができると共に、例えシール構造が不十分で
容器本体10から漏れ出たとしても、固定周壁から外へは
漏れ出ないようにすることができる。
【0019】前記蓋体80を容器本体10に対して非従動で
静止状態とすることで、該蓋体80を貫通させて、電気ヒ
ータ71の配線や温度センサ72の配線を容易に設備するこ
とができる。また摩耗試験中において蓋体80を外して、
容器本体10内の様子を見たり、また液の取り換え等も容
易に行うことができる。蓋体80の材質は、人工関節材料
等の生体材料としての試験片1a、1bに悪影響を及ぼすよ
うな金属イオンの溶出を防止するためには、例えば硬質
ポリ塩化ビニール等のプラスチックスとすることができ
る。
【0020】尚、本装置には温度センサ72等の他に、試
験片1a、1bの摩擦係数を測定する装置を付設することが
できる。
【0021】前記コントローラ60は装置全体の制御を行
うと共に駆動モータ31の正逆回転のタイミングを制御す
る。このコントローラ60による駆動モータ31の正逆回転
の制御は、正方向の回転と逆方向の回転の程度を、回転
数或いはサイクル時間によって予め設定できるように
し、また1回転未満の回転における正方向と逆方向の回
転角度を予め設定できるようにし、これによって駆動モ
ータ31を正逆複数回転づつ、正逆一回転づつ、正逆一回
転未満づつ等、正逆数回転のタイミングを自由に設定で
きるようにすることができる。これによって、試験され
る材料の条件に応じて適当な摩耗試験を行うことができ
る。
【0022】
【発明の効果】本発明は以上の構成及び作用からなり、
請求項1に記載の摩耗試験装置によれば、ディスク状試
験片を着脱自在に固定させると共に潤滑液を充填するこ
とができるようにした容器本体と、該容器本体を着脱自
在に固定する回転基盤と、該回転基盤の回転駆動手段
と、ピン状試験片を保持すると共に前記容器本体に対し
て上方から侵入してピン状試験片を前記ディスク状試験
片面に当接させるピン状試験片押し付け手段と、該ピン
状試験片押し付け手段に対して一定の荷重を負荷する荷
重負荷手段と、前記回転駆動手段による前記回転基盤の
回転を一定のタイミングで正逆回転させるコントローラ
とを少なくとも有することにより、摩耗試験の試験片同
士の相対的な動きを、単純な回転摺動ではなく、ディス
ク状試験片とピン状試験片とによる往復摺動を含むよう
な回転摺動とすることができる。よってまた人工関節用
生体材料の摩耗試験としては、従来のピンオンプレート
方式における試験片同士の往復摺動的な要素、或いは関
節における動き始めの影響が取り入れられた、より現実
の生体の動きに近い状態での摩耗試験を行うことができ
る。しかも、摩耗試験装置としては、従来のピンオンプ
レート方式の装置のように往復直線運動させる必要がな
く、往復回転運動を利用するので、駆動装置やその周辺
の機構を単純で簡単なものとすることができる。またデ
ィスク状試験片を取り付けたり潤滑液を充填する容器本
体を、回転基盤に対して着脱自在としたので、容器本体
を容易に取り外して、試験片の取り換えや潤滑液の交
換、容器本体内の洗浄、その他容器本体に対する作業を
容易に且つ速やかに行うことができる。また請求項2に
記載の摩耗試験装置によれば、請求項1に記載の構成に
よる効果に加えて、ピン状試験片押し付け手段は、ピン
状試験片を着脱自在に差し入れて保持するピン状試験片
保持具と、該ピン状試験片保持具を着脱自在に差し入れ
て保持する押し付け軸とを有し、荷重負荷手段とは着脱
自在に結合されているので、ピン状試験片を先ずピン状
試験片保持具に取り付け、これをさらに押し付け軸に取
り付けることができるので、ピン状試験片をいきなり大
寸法の押し付け軸に取り付ける場合に較べて、ピン状試
験片の取り付け作業を容易にすることができる。また複
数種類のピン状試験片保持具を用意しておくことで、大
寸法の押し付け軸を取り換えることなく、種々のピン状
試験片に対してその取り付けを容易に行うことができ
る。また、ピン状試験片押し付け手段と荷重負荷手段と
が着脱自在であるので、互いに取り外すことで、それら
各手段の取り扱いを、他方の手段によって制限されるこ
となく、容易に行うことができる。また請求項3に記載
の摩耗試験装置によれば、請求項1又は2に記載の構成
による効果に加えて、荷重負荷手段は、レバーの一端側
に支点を持ち、他端側に錘を調整自在に取り付け、且つ
途中位置に荷重点を有するレバー式の荷重負荷手段と
し、該前記荷重点において、荷重を負荷されるピン状試
験片押し付け手段と連結ピンによって着脱自在に結合さ
れているので、荷重負荷手段をレバー式とすることで、
簡単な構成で荷重を容易にピン状試験片押し付け手段に
加えることができる。またピン状試験片押し付け手段と
の連結ピンを外し、レバーを上昇させることで、レバー
に邪魔されることなく容易にピン状試験片押し付け手段
を上下方向に上げ下げすることができる。よってまたピ
ン状試験片押し付け手段の下端側を容易に容器本体から
脱出させたり侵入させたりする作業ができると共に、ピ
ン状試験片の取り付け、取り外し作業も容易に行うこと
ができる。また請求項4に記載の摩耗試験装置によれ
ば、請求項1〜3の何れかに記載の構成による効果に加
えて、容器本体の動きに対して非従動の静止状態の蓋体
を配置し、これによって容器本体の上面開口を蓋するこ
ととしたので、容器本体内の潤滑液が容器本体外へ飛び
出たり、蒸発逃散するのを防止し、潤滑液の性状の安定
性を図ることができる。また外部から異物が容器本体内
に入るのを防止することができる。また請求項5に記載
の摩耗試験装置によれば、請求項4に記載の構成による
効果に加えて、蓋体はピン状試験片押し付け手段によっ
て着脱自在に支持されて、容器本体の上面開口を蓋する
ように構成されているので、蓋体を支持するするための
他の特別な支持構成物をに設ける必要がなくなる。また
請求項6に記載の摩耗試験装置によれば、請求項4に記
載の構成による効果に加えて、蓋体は、容器本体の外側
に接することなく設けられた固定の支持体によって着脱
自在に支持されて、容器本体の上面開口を蓋するように
構成されているので、蓋体を容器本体の動きに従動せら
れることなく確実に支持することができる。固定の支持
体を容器本体の周囲を完全に囲む固定周壁とする場合に
は、容器本体内の潤滑液が容器本体から出ないようにす
ることができると共に、例えシール構造が不十分で容器
本体から漏れ出たとしても、前記固定周壁から更に外へ
は漏れ出るのを確実に防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である摩耗試験装置の全体
を示す正面図である。
【図2】実施の形態である摩耗試験装置の全体を示す平
面図である。
【図3】図1のA−A矢視図である。
【図4】摩耗試験装置の容器本体付近の詳細図である。
【図5】図1のB矢視図である。
【符号の説明】
1a ディスク状試験片 1b ピン状試験片 2 潤滑液 10 容器本体 20 回転基盤 30 回転駆動手段 40 ピン状試験片押し付け手段 41 ピン状試験片保持具 42 押し付け軸 45 連結ピン 50 荷重負荷手段 52 レバー 53 錘 60 コントローラ 80 蓋体
フロントページの続き (72)発明者 長澤 裕之 兵庫県神戸市兵庫区和田宮通3丁目2番24 号 株式会社神戸工業試験場内 (72)発明者 鶴井 孝文 兵庫県神戸市兵庫区和田宮通3丁目2番24 号 株式会社神戸工業試験場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ディスク状試験片を着脱自在に固定させ
    ると共に潤滑液を充填することができるようにした容器
    本体と、該容器本体を着脱自在に固定する回転基盤と、
    該回転基盤の回転駆動手段と、ピン状試験片を保持する
    と共に前記容器本体に対して上方から侵入してピン状試
    験片を前記ディスク状試験片面に当接させるピン状試験
    片押し付け手段と、該ピン状試験片押し付け手段に対し
    て一定の荷重を負荷する荷重負荷手段と、前記回転駆動
    手段による前記回転基盤の回転を一定のタイミングで正
    逆回転させるコントローラとを少なくとも有することを
    特徴とする摩耗試験装置。
  2. 【請求項2】 ピン状試験片押し付け手段は、ピン状試
    験片を着脱自在に差し入れて保持するピン状試験片保持
    具と、該ピン状試験片保持具を着脱自在に差し入れて保
    持する押し付け軸とを有し、荷重負荷手段とは着脱自在
    に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の摩
    耗試験装置。
  3. 【請求項3】 荷重負荷手段は、レバーの一端側に支点
    を持ち、他端側に錘を調整自在に取り付け、且つ途中位
    置に荷重点を有するレバー式の荷重負荷手段とし、該前
    記荷重点において、荷重を負荷されるピン状試験片押し
    付け手段と連結ピンによって着脱自在に結合されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の摩耗試験装
    置。
  4. 【請求項4】 容器本体の動きに対して非従動の静止状
    態の蓋体を配置し、これによって容器本体の上面開口を
    蓋することを特徴とする請求項1〜3に記載の摩耗試験
    装置。
  5. 【請求項5】 蓋体はピン状試験片押し付け手段によっ
    て着脱自在に支持されて、容器本体の上面開口を蓋する
    ように構成されていることを特徴とする請求項4に記載
    の摩耗試験装置。
  6. 【請求項6】 蓋体は、容器本体の外側に接することな
    く設けられた固定の支持体によって着脱自在に支持され
    て、容器本体の上面開口を蓋するように構成されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の摩耗試験装置。
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