JPH11514986A - 光力学的療法におけるナノ粒子 - Google Patents

光力学的療法におけるナノ粒子

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JPH11514986A
JPH11514986A JP9512208A JP51220897A JPH11514986A JP H11514986 A JPH11514986 A JP H11514986A JP 9512208 A JP9512208 A JP 9512208A JP 51220897 A JP51220897 A JP 51220897A JP H11514986 A JPH11514986 A JP H11514986A
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ガーニー,ロベール
オリヴィエ アレマン,エリク
ルルー,ジャン−クリストフ
クリストル,ユリアナ
ドルカー,エリク
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ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、亜鉛フタロシアニン錯体、およびナノ粒子の形成に適当であるポリマーを含むナノ粒子の水性分散液の形の医薬組成物、該医薬組成物の製造方法、ならびに例えば光力学的療法におけるその治療的用途に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 光力学的療法におけるナノ粒子 本発明は、亜鉛フタロシアニン錯体、およびナノ粒子形成に適当であるポリマ ーを含む医薬組成物、該医薬組成物の製造方法、ならびに例えば光力学的療法に おけるその治療的用途に関する。 亜鉛フタロシアニン錯体と、腫瘍の治療のための光力学的療法におけるその治 療的用途は、知られている(例えばJ.D.Spikes,Photochem.Photobiol.43,69 1(1986))。亜鉛フタロシアニン錯体は、水性懸濁液の形で、マウスやラットにin vivo で腹腔内投与し、そして実験動物に惹起されたがんには、高エネルギー光 、好ましくは濃縮可視光(LASER)を照射する。 ヒトの治療において腹腔内投与の剤型を用いることは、腹腔に穿刺する際に惹 起される重度の疼痛の点から許容されないと考えられている。この難しい投与形 態において注射シリンジの使用に熟練することは、治療を行う医師にとっては厳 密に必須である。そこで、患者および投与を行う医師にとってより受け入れられ る、より安全かつより良好な剤型を発見するために、いくつもの試みがなされて きた。 静脈内投与の剤型により、活性成分を全身に分布させることが可能であるが、 活性成分が、水性注射液に溶けることが必要とされる。しかし、亜鉛フタロシア ニン錯体は、水に対する溶解性が極端に低く、ほぼすべての有機溶媒に溶けない ことを特徴としている。この観察の例外としては、亜鉛フタロシアニン錯体は、 ある種の選択された極性非プロトン性物質(ジメチルスルホキシド、N−メチル −2−ピロリドン、またはピリジンなど)に溶けることが認められている。 このような溶解性についての問題を解決するために、ビヒクルを加えることに よって亜鉛フタロシアニン錯体を水相に可溶化することが提唱されてきた。例え ば可溶化剤としてリン脂質を用いることによって、水相に均一に分散しうる単一 層リポソームにカプセル封入(encapsulation)することにより錯体を可溶化す ることができる(例えば、Reddi et al.,Br.J.Cancer,Vol.56,pages 597-6 00(1987))。 しかし、この均一なリポソーム分散液は、ヒトへの静脈内投与の目的にはまだ 不適当である。この分散液が、比較的多量の、毒性のあるピリジンを用いる、い わゆる注射法(injection method)により調製されるからである(例えば、G.Va lduga et al.,J.Inorg.Biochem.59-65,Vol.29(1987))。 ピリジンは、亜鉛フタロシアニン錯体が少しでも溶解する数少ない溶媒の一つ である。この溶液をエタノールで希釈し、ピリジン含有エタノール溶液を、昇温 下で水または緩衝溶液に注入する。この方法により、毒性のある溶媒であるピリ ジンが、より毒性の低い有機溶媒(ジメチルスルホキシドまたはN−メチル−2 −ピロリドンなど)によって置換されるとしても、有機溶媒の残りが、共沸混合 物の形成の結果として水相に永久に残存する。 選択されたリン脂質のリン脂質混合物から形成されるリポソーム中への亜鉛フ タロシアニン錯体のカプセル封入は、米国特許第5,270,053号明細書に 開示されている。合成された、実質的に純粋なホスファチジルコリン誘導体と、 合成された、実質的に純粋なホスファチジルセリン誘導体、ならびに亜鉛フタロ シアニン鉗体の均一な混合物を含有する、溶媒を含まない乾燥調製物を水相に分 散すると、もともとは多重層リポソームであるリポソーム分散液が結果として形 成され、これが静脈内に適用可能なのである。 低水溶性の医薬物質をリポソームにカプセル封入するこのような方法、および そのほかの提唱されている方法(ミセル、混合ミセル、逆ミセル、ミクロカプセ ル、またはミクロスフェアへの配合など)には、溶解性が改良されているという 明らかな利点がある。残念なことに、このような利点は、相が個々の成分に分離 してしまうため水系の安定性が悪い、カプセル封入される活性物質の量が不十分 である、粒度が用いる方法に大きく依存する、得られる生成物の均一性が満足の いくものでなく、その再現性が不十分である、などの一連の問題で相殺されてし まう。 驚くべきことに、亜鉛フタロシアニン錯体が、薬学的に有効な量で、選択され た薬学的に許容しうるポリマーから形成されるナノ粒子にカプセル封入されるこ とが認められた。したがって、以下の発明は、亜鉛フタロシアニン錯体の可溶化 に適当である医薬組成物に関する。本組成物は、以下の成分を特徴とする: a)亜鉛フタロシアニン錯体; b)ナノ粒子の形成に適当である薬学的に許容しうるポリマー、そして場合によ り; c)更に、意図する投与形態のための剤型への配合に適当である薬学的に許容し うる添加剤。 本発明による医薬組成物は、亜鉛フタロシアニン錯体の溶解性が改良されてい る、および新生物などの悪性組織の選択された標的領域において特異的に放出さ れるという利点を有する。このため、本医薬組成物は、光力学的療法における使 用に特に有用である。 本発明の明細書を通して使用する一般的用語を、好ましくは以下のように定義 する: 「医薬組成物」の語は、適応の疾患または状態を治療する治療法において、宿 主に投与することのできる、亜鉛フタロシアニン錯体含有混合物を意味する。本 組成物は、非経口投与、特に静脈内投与、そして局所投与にも特に適当である。 「可溶化」の語は、水に対する溶解性が極端に低い亜鉛フタロシアニン錯体を 、ナノ粒子の調製に適当である薬学的に許容しうる可溶化剤を用いて、ナノ粒子 を含有する水相に均一に分散することを定義している。 ナノ粒子は、粒度が約10〜1,000nmの範囲の固形の球状の粒子である。 水相に分散されると、これらは、コロイド特性を有する。ナノ粒子の語は、ナノ スフェアおよびナノカプセルを含む一般的用語である。ナノスフェアは、ポリマ ーマトリックス型構造を有する一方、ナノカプセルは、液状のコアを囲むポリマ ーから形成されるシェルを有する。ナノ粒子は、水に対する溶解性の極端に低い 亜鉛フタロシアニン錯体をカプセル封入したものである。 「カプセル封入」の語は、活性物質である亜鉛フタロシアニンが、ナノ粒子内 に存在していることを示す。ナノスフェアでは、活性物質はその表面において吸 着されているか、または例えば微結晶としてポリマーマトリックス内に捕捉され ているか、あるいはそこに溶解されていることができる。ナノカプセルにおいて は、活性物質は、コア内に存在する液体中に分散されていることができるが、ま たその表面において吸着されているか、ポリマーマトリックスに捕捉されている かもしくは溶解されていてもよい。 成分a)−活性物質:亜鉛フタロシアニン成分は、WHO薬物情報(WHO Drug I nformation)のVol.9,No.4(1995)号に発表されたINN案(International N onproprietary Names)のリスト74に「シアフタラン亜鉛」として挙げられて いる。 成分b)−ポリマー:ナノ粒子の形成に適当である薬学的に許容しうるポリマー は、例えばL−ラクチドNもしくはS、D−ラクチドS、D,L−ラクチドS、 グリコリドS、またはトリメチレンカーボナートからなる群より選択されるモノ マーに由来する薬学的に許容しうるホモポリマーまたはコポリマーである。これ らのポリマーは、商標メディソルブ(MEDISORB)(Medisorb Technologies Inc. の登録商標)、プラソルブ(PURASORB)(PURAC Biochem.の登録商標)、またはレソ マー(RESOMER)(Boehringer Ingelheim,Germany の登録商標)として市販され ている。 適当な製品は、LもしくはDLシリーズのメディソルブポリマー、例えば10 0LもしくはDL、または8515、7525、6535もしくは5050DL ;あるいはL−ラクチドから形成されるLシリーズのレソマーホモポリマー、例 えばL104、206−210、または214;ラセミD,L−ラクチドから形 成されるRシリーズ、例えばR104、202、203、または206−208 、あるいはグリコリドから形成されるGシリーズ、例えばG205、あるいはL −ラクチドとD,L−ラクチドから形成されるLRシリーズのコポリマー、例え ばLR708もしくは909、あるいはグリコリドとのDL−ラクチド、例えば RG502−505、752、755、756、または858である。 局所投与などのそのほかの投与形態を意図する場合でも、ナノ粒子の形成に適 当であるそのほかのポリマーを選択することができる。替わりのポリマーは、メ タクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリル酸およびアクリル酸エステルから なる群より選択されるモノマーから形成される、薬学的に許容しうるコポリマー である。これらのポリマーは、Roehm Pharma GmbH,Weiterstadt,Germany から 入手可能であり、オイドラギット(EUDRAGIT)(Roehm Pharma GmbH の登録商標 )の商標で市販されている。 オイドラギットシリーズの特に好ましいポリマーは、メタクリル酸およびメタ クリル酸低級アルキルエステルからなる群より選択されるモノマーから形成され る1:1〜1:2コポリマー(メタクリル酸とメタクリル酸メチルの1:1〜1 :2コポリマーなど)である。1:1コポリマーは、オイドラギットLシリーズ (L12.5、100、またはL30Dなど)として市販されている。対応する 1:2コポリマーは、オイドラギットSシリーズ(S12.5またはS100など )として市販されている。 オイドラギットシリーズの別の好ましいポリマーは、メタクリル酸とアクリル 酸エチルエステルの1:1コポリマーである。このポリマーは、商品名オイドラ ギットL100−55で市販されている。 ナノ粒子の形成に適当である別のポリマーは、ポリビニルアセタートフタラー ト(PVAP)、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナ ート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPM CP)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、およびセルロースアセター トトリメリタート(CAT)からなる群より選択される薬学的に許容しうるセル ロース誘導体である。 HPMCPは、Eastman Kodak Corp.から市販されており、HPMCP50( USP/NF型220824)およびHPMCP55(USP/NF型2007 31)が特に好ましい。 CAPは、商標アクアテリク(AQUATERIC)(FMC Corp.の登録商標)で市販さ れているか、またはEastmanより市販されている(組成:フタリル35%、アセチ ル24%、水分1%、遊離酸0.5%(フタル酸として))。 CATは、Eastman より市販されている(組成:トリメリチル29%、アセチ ル22%、水分1%、遊離酸0.5%(フタル酸として))。 成分c)−添加剤:薬学的に許容しうる添加剤は、意図する投与形態のための剤 型によって決定する。好ましい投与形態は、非経口投与(特に静脈内)、そして 局所投与(例えば眼内)である。 非経口剤型は、特に静脈内、そして筋肉内投与にも有用である。静脈内投与を 意図する場合、各国の薬局方(米国薬局方(USP)またはドイツ薬局方(DA P)など)の処方にしたがって滅菌し、発熱性物質を除去しておいた水を 加える。等張条件の調節に適当である水溶性添加剤(代表的には塩化ナトリウム 、ソルビタン、マンニトール、グルコース、乳糖、または果糖)を加えることが 特に好ましい。筋肉内投与を意図する場合、油性の担体の液体(ゴマ油もしくは オリーブ油、そしてレシチン)を加えることができる。 局所用処方物用の添加剤は、標準的な教科書(例えば、Remington's Pharmace utical SciencesまたはHagers Handbuch der Pharmazeutischen Praxis)に挙げ られている。局所用処方物は、詳細にはクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、パスタ剤 、または局所投与用噴霧剤、そしてナノ粒子の懸濁液または眼科用組成物である 。 局所用および特に眼科用組成物のための適当な添加剤は、詳細には不活性担体 、可溶化剤、張度上昇剤、緩衝物質、保存剤、増粘剤、およびそのほかの補助物 質である。このような添加剤は、例えばエタノール、植物油、ヒドロキシエチル セルロース含有鉱物油、エチルオレアート、カルボキシメチルセルロース、ポリ ビニルピロリドン、および眼科用使用を意図したそのほかの非毒性の水溶性ポリ マー(例えば、メチルセルロースなどのセルロースエーテル、カルボキシメチル セルロースまたはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルもしくはヒドロキシプロ ピルセルロースのアルカリ金属塩、ポリアクリル酸の塩もしくはエチルアクリラ ートなどのアクリラートまたはメタクリラート、ポリアクリルアミド、ゼラチン 、アルギナート、ペクチン、トラガント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラゲ ナン、寒天、またはアカシアなどの天然物、酢酸デンプンおよびヒドロキシプロ ピルデンプンなどのデンプン誘導体、そしてそのほかの合成添加剤(ポリビニル アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレン オキシドなど)であり、好ましくは中性カルボポール(Carbopol、登録商標)な どの架橋ポリアクリル酸、またはこれらのポリマーの混合物である。 緩衝物質の例は、酢酸塩、アスコルビン酸塩、ホウ酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、 クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、およびいわゆ るトリス緩衝剤である。生理学的に許容しうるpH領域を保持するための量の緩 衝物質を加える。 張度上昇剤は、例えばアルカリ金属またはアルキル土類金属ハロゲン化物など のイオン性化合物(例えば、CaCl2、KBr、KCl、LiCl、NaI、 NaBr、NaCl、またはホウ酸)である。非イオン性張度上昇剤は、例えば 尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、ま たはデキストロースである。十分な張度上昇剤を加えると、眼科用組成物は、約 50〜400mOsmolの好ましい範囲の容量オスモル濃度を有する。 保存剤の例は、セトリミド、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム 塩、チオメルサルなどのチオサリチル酸のアルキル水銀塩、硝酸、酢酸もしくは ホウ酸フェニル水銀、メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなどのパラベン、 クロロブタノール、ベンジルアルコールもしくはフェニルエタノールなどのアル コール、グアニジン誘導体、例えばクロロヘキシジンもしくはポリヘキサメチレ ンビグアニド、あるいはソルビン酸である。所望であれば、確実に無菌とするの に必要な量の保存量を眼科用組成物に加える。 本発明は詳細には静脈内投与に適当であり、以下を含有する医薬組成物に関す る: a)亜鉛フタロシアニン錯体; b)L−ラクチドNもしくはS、D−ラクチドS、D,L−ラクチドS、または グリコリドSからなる群より選択されるモノマーに由来する薬学的に許容しうる ホモポリマーまたはコポリマー; c)更に、静脈内投与のための剤型への配合に適当である薬学的に許容しうる添 加剤。 本発明はまた、該医薬組成物の製造方法であって、 a)亜鉛フタロシアニン錯体; b)ナノ粒子の形成に適当である薬学的に許容しうるポリマー; を含有するナノ粒子の水性分散液を形成し、意図する投与形態のための剤型への 配合に適当である、薬学的に許容しうる添加剤c)を場合により加えて、更に分 散液を処理することを特徴とする方法に関する。 この方法を実施する方法が各種知られている。これらは、Eric Allemann et al .,Eur.J.Pharm.Biopharm.39(5),173-191(1993)にまとめられている。この 参考文献に記載されているナノスフェアの調製法が、特に好ましい。 特に好ましい方法は、親水性ポリマーを含有する水性ゲルを、場合により水溶 性塩を加えて調製することを含む。このゲルを、活性成分と、ナノ粒子の形成に 適当であるポリマーを含有する有機溶媒の溶液と混合する。ついで相分離が観察 されたら、水を添加した後、形成されたナノ粒子を、水相に均一に分散する。次 に水相を更に処理して、例えば通例の精製および分離法を適用することによって 、意図する医薬剤型とする。 親水性ポリマーを含有する水性ゲルの調製は、上記引用文中の E.Allemann、 および更にそこに引用されている参考文献に開示されている。ゲルは、親水性ポ リマーに水を加えることによって形成される。適当な親水性ポリマーは、モウイ オール(MOWIOL)(Hoechst AG,Germany の登録商標)の商標で市販されている ものなどのポリビニルアルコールである。70%を超える(部分的に加水分解さ れたグレード)、特に87%を超える加水分解度を有するポリビニルアルコール、 例えば88および92シリーズのモウイオール(例えば、4−88、5−88、 8−88、18−88、23−88、26−88、および40−88)が好まし い。次に加える有機相からの相分離を促進するためには、生理学的に許容しうる 水溶性の塩、例えば塩化マグネシウム、または酢酸マグネシウムをゲル相に加え るのが好ましい。 活性物質、例えば亜鉛フタロシアニン錯体、および上記で定義したナノ粒子の 形成に適当である薬学的に許容しうるポリマーを含有する有機溶媒(例えば、ア セトンまたはベンジルアルコール)の溶液に、ゲル相を撹拌しながら加える。 次に純水を加えて、有機溶媒を水相に分散させ、ナノ粒子を形成させ、そして 均一にそこに分散させる。通例の精製および分離法により水相を更に処理して、 所望の剤型の調製物を得ることができる。 このようにして得られた分散液は、亜鉛フタロシアニンを含有するナノ粒子の 水性懸濁液であると定義することができる。水性ゲルの有機溶媒からの相分離の 好ましい方法により、ナノスフェアの均一な分散液が得られる。ナノスフェアは 、そのほかの微粒子(液状結晶、ミセル、逆ミセル、リポソーム、ミクロスフェ ア、またはミクロカプセルなど)とは、物理学的方法(フォトン相関分光法(P CS)など、例えば COULTER NANO-SIZER による、レーザー光散乱法、または電 子顕微 鏡法など)により明らかに区別可能である。80%を超える、好ましくは90% を超える統計学的平均を得るには、60〜300nm の平均粒度が決定された。 得られるナノ粒子の粒度は、その調製法について確立された、選択された公知の 方法に依存する。 ナノスフェアを含有する均一な水性分散液を次に、標準的な精製方法、例えば ナノ粒子を精製するための当業界において公知の方法(例えば、超遠心分離また はクロスフロー(cross-flow)濾過)を適用することによって更に処理して、通 例の医薬剤型とする。この分散液は、通例の方法により凍結乾燥することもでき 、凍結乾燥物を次に所望の医薬剤型に再構築する。凍結乾燥物を再構築した後で さえも、均一なナノ分散液が再び得られる。凍結乾燥物を調製する場合、特異的 量の水溶性添加剤を加えるのが勧められる。 本発明は、ヒトまたは動物の身体を光力学的療法により治療する方法における 医薬組成物の使用にも関する。本組成物は、活性物質を0.01〜1.00mg/k g、好ましくは0.03〜1.0mg/kg の範囲で好ましくは静脈内投与する。光 力学的療法では、薬物投与後に、波長約671nm の高エネルギー光源に20分 〜24時間患者を曝す。 非経口剤型は、Hagers Handbuch der Pharmazeutischen Praxis またはReming ton's Pharmaceutical Sciences に記載の方法などの公知の方法を適用すること によって調製する。詳細には、非経口剤型の調製に習慣的に使用されている添加 剤を、必要であれば加えることができる。その選択は、必要とする剤型の型、例 えば静脈内または筋肉内投与剤型に応じて行う。 場合により規格化された量に濃縮した均一な分散液、または凍結乾燥物を、バ イアルなどの単位剤型用の適当な容器に加える。以下の実施例は、本明細書に開 示されたような発明を、その範囲を限定することなく説明するものであり;温度 は、摂氏で示し;記載したパーセントは、すべて重量パーセント(w/w)である 。 実施例:酢酸マグネシウム35%およびポリビニルアルコール(モウイオール4− 88、Hoechst)11%を含有する水性ゲル40gを、N−メチル−2−ピロリ ドン(NMP)およびアセトン(1:9)に亜鉛フタロシアニン10mgおよびポ リ乳酸(メディソルブ100DL)1.0gを含有する有機溶液に、撹拌しな がら(5000rpm)加えて、水中油滴型エマルションを生成させた。このエマ ルションに、純水(40g)を加えて、有機溶媒を水相に分散させて、単分散ポ リマー性ナノ粒子を形成させた。 次にナノ粒子分散液を、孔径100nm のポリオレフィンカートリッジフィル ターを装着した SARTOCON Mini Device(Sartorius,Goettingen,Germany)を 用いて、クロスフロー濾過により精製した。濾過の操作は、濾液10リットルを 集めたところで中止した。水性分散液を最後に−55℃で10分間凍結し、0. 05mbar で24時間凍結乾燥した。 凍結乾燥物を、緩やかに撹拌しながら、水中で再構築した。クロスフロー濾過 による精製の前に COULTER NANO-SIZER で測定した平均粒度は、264nm(多分 散指数:2)であり、凍結乾燥物の再構築後では268nm(多分散指数:3)で あった。凍結乾燥ナノ粒子は、活性物質0.98%を含有していた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AU,BA,BB,BG ,BR,CA,CN,CU,CZ,EE,GE,HU, IL,IS,JP,KP,KR,LC,LK,LR,L T,LV,MG,MK,MN,MX,NO,NZ,PL ,RO,SG,SI,SK,TR,TT,UA,US, UZ,VN (72)発明者 ルルー,ジャン−クリストフ カナダ国 ウトルモン ケベック エイチ 2ブイ 4ピー1 テラース−レ−オヴィ ルエイ 6 (72)発明者 クリストル,ユリアナ スロヴェニア国 61117 リュブリャーナ オメルソワ ウリカ 20 (72)発明者 ドルカー,エリク スイス国 ツェーハー−1231 コンシュ シュマン ド コンシュ 56

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.亜鉛フタロシアニンの可溶化に適当である医薬組成物であって、以下の成分 : a)亜鉛フタロシアニン錯体; b)ナノ粒子の形成に適当である薬学的に許容しうるポリマー、そして場合によ り; c)更に、意図する投与形態のための剤型への配合に適当である薬学的に許容し うる添加剤 を特徴とする組成物。 2.ナノ粒子の形成に適当であるポリマーが、L−ラクチドNもしくはS、D− ラクチドS、D,L−ラクチドS、またはグリコリドSからなる群より選択され るモノマーに由来する薬学的に許容しうるホモポリマーまたはコポリマーである 、請求項1記載の医薬組成物。 3.ナノ粒子の形成に適当であるポリマーが、メタクリル酸、メタクリル酸エス テル、アクリル酸およびアクリル酸エステルからなる群より選択されるモノマー から形成される薬学的に許容しうるコポリマーである、請求項1記載の医薬組成 物。 4.ナノ粒子の形成に適当であるポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロ ースアセタートスクシナート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロ ースフタラート(HPMCP)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、およ びセルロースアセタートトリメリタート(CAT)からなる群より選択される薬 学的に許容しうるセルロース誘導体である、請求項1記載の医薬組成物。 5.コポリマーが、メタクリル酸およびメタクリル酸低級アルキルエステルから なる群より選択されるモノマーから形成される1:1〜1:2コポリマーである 、請求項3記載の医薬組成物。 6.コポリマーが、メタクリル酸とメタクリル酸メチルエステルの1:1〜1: 2コポリマーである、請求項5記載の医薬組成物。 7.コポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸エチルエステルの1:1コポリマ ーである、請求項5記載の医薬組成物。 8.薬学的に許容しうるポリマーb)が、ナノスフェアの形成に適当である、請 求項1記載の医薬組成物。 9.添加剤c)が、非経口投与を意図する剤型に適当である、請求項1記載の医 薬組成物。 10.添加剤c)が、局所投与を意図する剤型に適当である、請求項1記載の医 薬組成物。 11.静脈内投与のための請求項1記載の医薬組成物であって、 a)亜鉛フタロシアニン錯体; b)L−ラクチドNもしくはS、D−ラクチドS、D,L−ラクチドS、または グリコリドSからなる群より選択されるモノマーに由来する薬学的に許容しうる ホモポリマーまたはコポリマー; c)静脈内投与のための剤型への配合に適当である薬学的に許容しうる添加剤 を含有する医薬組成物。 12.請求項1記載の医薬組成物の製造方法であって、 a)亜鉛フタロシアニン錯体; b)ナノ粒子の形成に適当である薬学的に許容しうるポリマー; を含有するナノ粒子の水性分散液を形成し、意図する投与形態のための剤型への 配合に適当である、薬学的に許容しうる添加剤c)を場合により加えて、更に分 散液を処理することを特徴とする方法。 13.水性分散液を更に処理して凍結乾燥物とすることを特徴とする、請求項1 2記載の方法。 14.ナノスフェアの水性分散液を含有する医薬剤型の製造のための亜鉛フタロ シアニン錯体の使用。 15.ヒトまたは動物の身体を光力学的療法により治療する方法における用途の ための請求項1記載の医薬組成物。
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